JP6914634B2 - スタック型二重構造容器成形用プリフォーム - Google Patents
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しかるに、ダイレクトブロー成形により二重構造容器を製造する場合には、溶融押出からボトルの成形までの工程が一挙に行われることから、多数個取りが難しく、生産性が低いため、コストが高いという問題がある。また、ダイレクトブロー成形ではオレフィン系樹脂が使用されることが多く、透明性が低いため内容物の視認性に難がある。
例えば、特許文献1〜3には、このような延伸ブロー成形により二重構造容器を製造する方法が開示されている。
また、底部に空気孔を設けているため、ブロー成形等に際して用いる金型形状が複雑なものとなってしまう。
本発明の他の目的は、上記の二重構造プリフォームから得られる二重構造容器を提供することにある。
(1)前記突出部は、前記内筒プリフォーム固定用孔に嵌合した状態にあること、
(2)前記突出部と前記内筒プリフォーム固定用孔とは離れて位置していること、
(3)前記固定領域は、前記外筒プリフォームの内面と前記内筒プリフォームの外面とが密着している嵌合部と、該嵌合部の下側において、該外筒プリフォームの内面と該内筒プリフォームの外面との間に形成されている前記空隙部とを含んでおり、該空隙部は、該固定領域の全周にわたって該固定領域の少なくとも下端にまで延びており、前記固定領域に位置する前記外筒プリフォームの壁部に、前記空隙部に通じている前記空気導入口が設けられていること、
という手段を採用することができる。
即ち、係る二重構造容器では、内容物の排出に従い、内袋が大きく収縮した場合にも内袋の底部が外筒体の底部にしっかりと保持されているため、内袋内の内容物の排出流路が塞がれるという不都合が有効に回避され、内容物の排出を安定に行うことができる。
この外筒プリフォーム1は、後述する二重構造容器の外筒体に相当するものであり、内筒プリフォーム3は、二重構造容器の内袋に相当し、この内袋の内部に容器内容物が充填される。
また、上記の固定領域X内には、外筒プリフォーム1の内面と内筒プリフォーム3の外面とが密着している嵌合部Aが存在する。
また、この周状突部11は、後述するキャップを装着したときに、空気導入口7への空気導入路を確保するため、外筒プリフォーム1のサポートリング5よりも小さく、サポートリング5が周状突部11よりも大径となっている。
この空隙13は、周方向の全体にわたって形成されており、かかる空隙13は、空気導入口7に通じている。即ち、この空隙13は、大気中から空気導入口7を通して外筒プリフォーム1の内面と内筒プリフォーム3の外面と間、具体的には、この多重プリフォーム20をブロー成形して得られる二重構造容器における外筒体と内袋との間の空間に空気を導入するための空気導入路として機能する。
従って、延伸成形領域Yに形成される空隙13は、ベントが有効に行われる程度の微小な間隙でよい。
なお、特許文献5で採用されているようなオーバーモールド法や共射出法等により、多重プリフォーム20を形成する場合には、このような空隙13は形成することができず、係る空隙13は、予め別個に成形された外筒プリフォーム1と内筒プリフォーム3とが重ねられたスタック構造を有する多重プリフォーム20に特有の形態である。
即ち、外筒プリフォーム1及び内筒プリフォーム3が上記のような形態を有しているため、内筒プリフォーム3を外筒プリフォーム3の内部にスムーズに挿入し、図1(a)に示すように、外筒プリフォーム1と内筒プリフォーム3とが安定に保持された多重プリフォーム20を組み合立てることが可能となる。
また、嵌合部Aの嵌合の程度は、外筒プリフォーム1及び内筒プリフォーム3の芯の位置が定まる程度からしまりばめ状に完全に固定された状態まで、目的や成形上の都合に応じて適宜設定すればよい。
更に、内筒プリフォーム3の底部に形成されている突出部17は、射出成形に際してのゲート部を残存させることにより、格別の成形手段を用いることなく容易に形成することができ、突出部17が侵入する外筒プリフォーム1の底部の固定用孔15は、後加工により容易に形成することができる。
従って、本発明は、生産性、量産性、コストダウンの点で、極めて有利である。
このような形態の二重構造容器形成用プリフォームでは、図4に示されているように、内筒プリフォーム3の上端部に大径突部19が形成されており、キャップを嵌め込んだ時、この大径突部19の外面にキャップのスカート内面が密着する構造となっている。この場合、外筒プリフォーム1の上端は、上記の大径突部19の下面に当接することにより、その上端位置が規制される。即ち、大径突部19は、キャップを嵌合固定する機能と外筒プリフォーム1の上端を規制する機能とを兼用している。
また、図5の二重構造容器30において、内袋30bは、前述した外筒プリフォーム1の底部に形成されている固定用孔15を貫通している内筒プリフォーム3の突出部17をかしめ加工して形成されている固定部39によりしっかりと固定されており、この固定部39から空気が流入しないようにシールされている。
さらに、図5の例では、外筒体30aと内袋30bとの間に、前述した多重プリフォーム20に対応して空隙13が形成されているが、ブロー成形直後では、通常、内袋30bの外面は、外筒体30aの内面に密着した状態にある。
即ち、図1〜図3に示す構造の多重プリフォーム20において、その固定領域Xをしっかりと固定し、その延伸成形領域Yを該プリフォーム20(外筒プリフォーム1及び内筒プリフォーム3)を形成している樹脂のガラス転移温度(Tg)以上、融点未満の温度に加熱し、次いで、該プリフォーム20の延伸成形領域Yをブロー型内に配置し、このプリフォーム20(内筒プリフォーム3)内にストレッチロッドを挿入して軸方向に延伸させ、同時に、ブロー流体(例えばエア)を吹き込んで周方向に膨張延伸させて、ブロー型による容器形状に賦形することにより、内袋30bが外筒体30aに密着した形態の二重構造容器30が得られる。
例えば、図1(a)に示されているような形態の多重プリフォーム20では、この状態で固定用孔15から突出している突出部17を該突出部を形成している熱可塑性樹脂の融点以上に選択的に加熱した状態でパンチ等により加圧してのかしめ加工により固定部39を形成することができる。また、ストレッチロッドによる一軸延伸に際して、プレスロッドとストレッチロッドで挟持しながら一軸延伸或いはその後のブロー成形を行うことにより、かしめ加工による固定部39を形成することもできる。もちろん、ブロー成形後にこのようなかしめ加工を行うこともできる。
また、図3に示されているように、内筒プリフォーム3の突出部17が外筒プリフォーム1の固定用孔15から離れている形態の多重プリフォーム20では、ストレッチロッドを挿入して内筒プリフォーム3を一軸方向に引き伸ばして突出部17を固定用孔15内に貫通せしめ、この突出部17をストレッチロッドとプレスロッドにより挟持しながら一軸延伸及びその後のブロー成形を行うことにより、かしめ加工による固定部39を形成することができる。
即ち、全体として50で示されている逆止弁付キャップは、従来公知の構造を有しているものでよく、例えば、ノズル部31に被せられているキャップ本体51と、ノズル部31の上端の開口部に嵌め込まれている中栓53とを備えている。
尚、図6では省略されているが、キャップ本体51には、通常、上蓋はヒンジ連結されており、この上蓋を開放した状態で内容物の排出が行われる。
頂板部55には、中央部に内容物注出用の開口59が形成されており、この開口59の周縁から、注ぎ出される内容物の案内となる注出筒61が上方に延びている。また、この頂板部55には、注出筒61の外側となる位置に、空気導入用の開口63が形成されている。
さらに、筒状側壁57の内面には、二重結合容器30のノズル部31(内筒用プリフォーム3の固定領域X)の外面に設けられている螺条9と係合する螺子突起65が形成されており、螺条9と螺子突起65との螺子係合により、このキャップ本体51は、ノズル部31に被せられた状態で安定に保持される。
尚、螺条9および螺子突起65はそのどちらか、あるいは両側が断続的に切りかかれており、互いが係合している状態であっても、切り欠かれた部分を空気が流れるようになっている。また、筒状側壁57の下方部分は、その内面がノズル部31(外筒プリフォーム1の固定領域)のサポートリング5の上面から周縁部分にかけて密着しており、この部分から空気が漏洩しないようにされている。勿論、筒状側壁57の下方部分は、空気導入口7よりも下側の部分でノズル部31の外面(外筒プリフォーム1の固定領域)に密着していればよく、例えば外筒プリフォーム1の空気導入口7よりも下側かつサポートリングより上方に空気流路規制用の周状突起を設置し、ここで筒状側壁57の下方部分と密着していてもよい。
なお、図4に示すように、ノズル部31がキャップ本体51を嵌合固定するような形態を有している場合には、上記の螺条9及び螺条突起65は必要ない。
また、第1の栓体71の上方部分には、外方に延びているフランジ71bが設けられており、このフランジ71bの下端がノズル部31の上端面にしっかりと密着することにより、第1の栓体71がノズル部31にしっかりと保持される。
また、内袋30bをある程度の弾性を有するような厚みに設定し、外筒体30aと内袋30bの間に一定の空気層を設けることで二重構造容器30を断熱ボトルとして利用することも可能である。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば、以下のものを例示することができる。
オレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、環状オレフィン共重合体など;
エチレン・ビニル系共重合体、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等;
スチレン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等;
ビニル系樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等;
ポリアミド樹脂、例えば、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等;
ポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらの共重合ポリエステル等;
ポリカーボネート樹脂;
ポリフエニレンオキサイド樹脂;
生分解性樹脂、例えば、ポリ乳酸など;
勿論、成形性が損なわれない限り、これらの熱可塑性樹脂のブレンド物を、下地樹脂として使用することもできる。
本発明において、特に好適に使用される熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂及びオレフィン系樹脂であり、さらに、用途上、外筒体30aと内袋30bの間には空気が流入するため、外筒体30aを形成する外筒プリフォーム1には水分及びガスバリア性は必ずしも必要ではなく、水分及びガスバリア性の低いポリ乳酸も好適に使用することができる。
例えば、前述したポリエステル系樹脂やオレフィン系樹脂(或いはポリ乳酸)等から形成された内外層の間に中間層として、エチレンビニルアルコール共重合体(エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物)や芳香族ポリアミドなどのガスバリア性樹脂を用いて形成されるガスバリア層を設けることが好ましく、特にエチレンビニルアルコール共重合体によるガスバリア層を設けることが最も好適である。即ち、中間層としてガスバリア層を設けることにより酸素バリア性を付与することができ、特にエチレンビニルアルコール共重合体は、特に優れた酸素バリア性を示すため、酸素透過による内容物の酸化劣化をも有効に抑制することができ、優れた内容物保存性を確保することができる。
3:内筒プリフォーム
5:サポートリング
7:空気導入口
9:螺条
11:周状突部
13:空隙
20:多重プリフォーム(本発明の二重構造プリフォーム)
X:固定領域
Y:延伸成形領域
A:嵌合部
Claims (4)
- 何れもが試験管形状を有しており且つ別個に成形された外筒プリフォームと内筒プリフォームとからなり、該内筒プリフォームが外筒プリフォームの内部に挿入された二重構造を有していると共に、上部の固定領域と、下部の延伸成形領域とに区画される二重構造容器成形用プリフォームにおいて、
前記外筒プリフォームの延伸成形領域の下端部中心位置には、内筒プリフォーム固定用孔が設けられており、
前記内筒プリフォームの延伸成形領域の下端部中心位置には、前記内筒プリフォーム固定用孔に侵入可能な該固定用孔よりも小径の突出部が設けられていると共に、
前記固定領域には、空隙部と、外部から該空隙部まで空気が流れるように通じている空気導入口が設けられていること、を特徴とする二重構造容器成形用プリフォーム。 - 前記突出部は、前記内筒プリフォーム固定用孔に嵌合した状態にある請求項1に記載の二重構造容器成形用プリフォーム。
- 前記突出部と前記内筒プリフォーム固定用孔とは離れて位置している請求項1に記載の二重構造容器成形用プリフォーム。
- 前記固定領域は、前記外筒プリフォームの内面と前記内筒プリフォームの外面とが密着している嵌合部と、該嵌合部の下側において、該外筒プリフォームの内面と該内筒プリフォームの外面との間に形成されている前記空隙部とを含んでおり、該空隙部は、該固定領域の全周にわたって該固定領域の少なくとも下端にまで延びており、
前記固定領域に位置する前記外筒プリフォームの壁部に、前記空隙部に通じている前記空気導入口が設けられている請求項1〜3の何れかに記載の二重構造容器成形用プリフォーム。
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