JP6678047B2 - ブロー成形用プリフォーム - Google Patents
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Description
この種のプリフォームとして、例えば下記特許文献1に記載されるように、ブロー成形によって形成される容器の接地部の厚み(肉厚)を確保するために、プリフォーム自身の厚みを変化させているものが知られている。具体的には、このプリフォームは、胴部の下部から底部に至る部分の厚みを、胴部における他の部分(下部以外の部分)の厚みよりも厚肉としている。
しかしながら、上記従来のプリフォームでは底部も厚肉としているので、キャビティ内における底部を形成する部分に、溶融樹脂を多量に充填する必要がある。そのため、底部を形成する部分の溶融樹脂が冷え難くなってしまい、固化するまでに時間を要してしまう。特に、上記ゲートの付近は、高温の溶融樹脂が射出成形の最後まで供給され続ける領域であるので、底部を形成する部分の溶融樹脂はより一層冷え難い状態にある。
従って、溶融樹脂が冷却するまでの間に、例えば溶融樹脂に気泡が含まれてしまう等の不都合が生じ、良好な成形性が得られない場合があった。
これにより、プリフォームの射出成形時、底部の最下端部が形成される部分に開口したゲートを通じて、成形用金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出する際、キャビティにおける底部を形成する部分に対して、溶融樹脂の充填量を抑制することができる。従って、底部を形成する部分の溶融樹脂を速やかに冷却することができ、短時間で固化させ易い。
そのため、例えば溶融樹脂の内部に気泡が含まれてしまうことを抑制でき、良好な成形性で底部が形成された高品質なプリフォームとすることができる。
従って、プリフォームをブロー成形した際に、軽量化を図りながら、接地部に一定の強度を確保することができ、接地部の厚み(肉厚)を確保した容器とすることができる。
しかしながら、プリフォームに温度変化をつける必要性がないので、プリフォームの全体を適切な温度まで加熱した後にブロー成形を行うことができ、白化が生じることを防止できる。
従って、底部を形成する部分の溶融樹脂を、さらに効率良く冷却することができ、より短時間で固化させ易くなる。そのため、さらに良好な成形性で底部が形成された高品質なプリフォームとすることができる。
この場合には、中心軸方向に沿って延びた下胴部本体が、その全長に亘って胴部の他の部分よりも厚肉とされているので、例えばブロー成形時の延伸倍率の変化に柔軟に対応でき、各種の延伸倍率でプリフォームをブロー成形した場合であっても、下胴部本体をより確実に容器の接地部として成形させ易い。
図1に示すように、本実施形態のプリフォーム(ブロー成形用プリフォーム)1は、口部2、連結部3、胴部4及び底部5を備えた有底筒状に形成されている。
なお、プリフォーム1は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂を射出成形することで形成された一次成形品とされ、延伸ロッドを利用したブロー成形(2軸延伸ブロー成形)によって、有底筒状の容器(ボトル)20に成形される。
例えば、主材樹脂及びバリア性樹脂の2種類の合成樹脂を積層することで、プリフォーム1を形成しても構わない。この場合、主材樹脂としては、例えば上述したPET等の樹脂が挙げられる。また、バリア性樹脂は、例えばガス(酸素や二酸化炭素等)や、湿気等の水分や、紫外線等の光や、香り等の匂い成分等が主材樹脂を透過することを規制するバリア性を有する樹脂であり、バリアする対象物に応じて適宜選択される樹脂とされる。例えば、ガスに対するバリア性を発揮させる場合には、ナイロン系樹脂やエチレンビニルアルコール共重合体樹脂等が挙げられ、水分に対するバリア性を発揮させる場合には、環状ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
以下、上述した共通軸をプリフォーム1の中心軸Oといい、中心軸O方向に沿った口部2側を上方、その反対側を下方という。また、中心軸O方向から見た平面視で、中心軸Oに直交する方向を径方向といい、中心軸O回りに周回する方向を周方向という。
図示の例では、ねじ部10のねじ山を周方向に分断する分断溝11が、周方向に一定の間隔をあけて複数形成されている。但し、分断溝11は必須なものではない。例えば、分断溝11を設けずに、ねじ山が口部2の全周に亘って連続して螺旋状に延びるねじ部10としても構わない。
口部2の下部には、径方向の外側に向けて突設された円環状のサポートリング12が口部2の全周に亘って形成されている。
なお、連結部3は、プリフォーム1をブロー成形によって容器20に形成した際に、容器20の肩部21或いは胴部22の一部を形成する。また、連結部3は必須なものではなく、具備しなくても良い。例えば、胴部4の上端部がサポートリング12に接続されていても良い。
胴部4の厚み(肉厚)は、上胴部13と下胴部14とで異なっている。具体的には、下胴部14の厚みt1は、胴部4の他の部分の厚み、すなわち上胴部13の厚みt2よりも厚肉とされている。但し、下胴部14の内径と上胴部13の内径とは同径とされている。つまり、下胴部14の外径が上胴部13の外径よりも大きく形成されることで、下胴部14の厚みt1が上胴部13の厚みt2よりも厚肉とされている。
このように、下胴部14は傾斜胴部15を有しているので、傾斜胴部15において、上胴部13の外径に対して下胴部14の外径が徐々に大きくなるように形成されている。従って、下胴部14の厚みt1は、上胴部13の厚みt2に対して急激に厚くなるように変化しているのではなく、傾斜胴部15において徐々に厚くなるように変化している。なお、下胴部14の厚みt1は下胴部本体16における厚みとされている。
従って、底部5のうち中心軸O上に位置する最下端部17の厚みt3が、底部5において最も薄肉とされている。この際、最下端部17の厚みt3は、胴部4のうち下胴部14以外の部分の厚み、すなわち上胴部13の厚みt2よりも薄肉とされている。
具体的には、プリフォーム1の下胴部14は、容器20の底部23のうち、主に外周縁部が容器20の胴部22の下端部に接続された環状の接地部24を形成する。また、プリフォーム1の底部5は、容器20の底部23のうち、主に接地部24の内周縁部に全周に亘って接続され、上方に向けて膨らんだ膨出部25を形成する。
次に、上述のように構成されたプリフォーム1を製造する場合について、簡単に説明する。
本実施形態のプリフォーム1は、図示しない成形用金型を利用した射出成形によって製造される。成形用金型は、中空部が形成された第1成形用金型と、第1成形用金型に対して例えば相対的に接近離間可能とされ、中空部内に配設される第2成形用金型と、で構成されている。これら第1成形用金型と第2成形用金型との間に、プリフォーム1が成形されるキャビティが画成される。
第1成形用金型には、キャビティの底部部分、すなわちプリフォーム1における底部5の最下端部17が形成される部分に開口したゲートが設けられている。このゲートは、中心軸Oと同軸上に配設され、且つ第2成形用金型の先端部に向けて開口する。
次に、上述のように構成されたプリフォーム1をブロー成形し、有底筒状の容器20を製造する場合ついて簡単に説明する。
はじめに、プリフォーム1を、ヒーターを具備する図示しない加熱器内に配置して、プリフォーム1を所定の温度まで加熱する。なお、通常、ヒーターはプリフォーム1の胴部4を径方向の外側から囲むように配置され、主に胴部4を加熱することでプリフォーム1の全体の温度を上昇させる。なお、加熱時、プリフォーム1を中心軸O回りに回転させながら加熱しても良い。
その結果、プリフォーム1をブロー用金型に倣って成形(ブロー成形)することができ、図1及び図2に示すように、有底筒状の容器20を製造することができる。
本実施形態のプリフォーム1では、図1に示すように、底部5の厚みが下胴部14の下端部から下方に向かうにしたがって漸次薄くなるように形成されているうえ、底部5における最下端部17の厚みt3が、下胴部14の厚みt1及び上胴部13の厚みt2よりも薄肉とされている。
そのため、例えば溶融樹脂の内部に気泡が含まれてしまうことを抑制でき、良好な成形性で底部5が形成された高品質なプリフォーム1とすることができる。
仮にプリフォーム1の温度が低い状態で、ブロー成形を行った場合には、例えば温度に対する適正な延伸量を超えた過延伸となって白化(例えばマイクロボイド状の白化)を招くおそれがある。しかしながら、プリフォーム1に温度変化をつける必要性がないので、プリフォーム1の全体を適切な温度まで加熱した後にブロー成形を行うことができ、白化が生じることを防止できる。
1…プリフォーム(ブロー成形用プリフォーム)
2…口部
4…胴部
5…底部
14…下胴部
16…下胴部本体
17…底部の最下端部
Claims (4)
- 口部、胴部及び底部が中心軸に沿って、上方から順に連設された有底筒状のブロー成形用プリフォームであって、
前記胴部のうち前記底部側に位置する下胴部は、前記胴部全体の前記中心軸方向の中央部よりも下方に配置され、
前記下胴部の内径と前記胴部の他の部分の内径とは同径とされ、
前記下胴部の厚みは、前記下胴部の外径が前記胴部の他の部分の外径よりも大きく形成されることで、前記胴部の他の部分の厚みよりも厚肉とされ、
前記底部は、前記下胴部の下端部から下方に向けて凸曲面状に膨らむように形成され、
前記底部のうち中心軸上に位置する最下端部の厚みは、前記胴部の他の部分の厚みよりも薄肉とされている、ブロー成形用プリフォーム。 - 請求項1に記載のブロー成形用プリフォームにおいて、
前記底部は、その厚みが前記下胴部の下端部から下方に向かうにしたがって漸次薄くなるように形成されている、ブロー成形用プリフォーム。 - 請求項1又は2に記載のブロー成形用プリフォームにおいて、
前記下胴部は、中心軸方向に沿って延びると共に前記底部に連設され、その全長に亘って外径が均一とされた下胴部本体を備えている、ブロー成形用プリフォーム。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のブロー成形用プリフォームにおいて、
前記口部と前記胴部とを接続する連結部を備え、
前記胴部のうち、前記連結部の下方に配置され、且つ前記下胴部の上方に配置された部分は、前記胴部の他の部分となる上胴部とされている、ブロー成形用プリフォーム。
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