JP2018135135A - 二重構造容器 - Google Patents
二重構造容器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018135135A JP2018135135A JP2017031524A JP2017031524A JP2018135135A JP 2018135135 A JP2018135135 A JP 2018135135A JP 2017031524 A JP2017031524 A JP 2017031524A JP 2017031524 A JP2017031524 A JP 2017031524A JP 2018135135 A JP2018135135 A JP 2018135135A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- container
- bag
- double
- inner bag
- outer container
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
Abstract
【課題】袋状の内容器の外面と外容器の内面との間に、容易に空気層を形成し得る二重構造容器を提供する。【解決手段】内部に空気を導入するための空気導入口5を備えた外容器1と、外容器1内に挿入されて保持された袋状内容器3とからなる二重構造容器において、袋状内容器3は、下記式(1):飽和含水率(%)=(W2−W1)×100/W1 (1)式中、W1は、乾燥状態での該袋状内容器の重量であり、W2は、23℃での飽和含水時での該袋状容器の重量である、により算出される飽和含水率が2%以上を示すことを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、二重構造容器に関するものであり、より詳細には、外容器と、該外容器内に挿入されて保持された袋状内容器とからなる二重構造容器に関する。
従来、内袋と外筒とからなる二重構造を有している二重構造容器は、例えばエアレスボトルとして、醤油等の調味液が収容される容器として実用されている。かかるエアレスボトルは、逆止弁付のキャップと組み合わせで使用されるものであり、ボトルの胴部壁を外部から押圧して凹ませることにより、袋状内容器(内袋)に充填されている内容物がキャップに形成されている注出路から排出され、ボトルの胴部壁の押圧を停止することにより内容物の排出を終了させると、逆止弁の作用により、空気は内袋には導入されず、キャップの注出路とは異なる流路を通って、内袋と外容器との間の空間に導入されることとなる。これにより、内袋は、内容物が排出された分だけ収縮することとなり、内容物を排出する毎に、内袋が収縮していく。このような方法により内容物が排出されるデラミボトルでは、内容物を小出しできると共に、内容物が充填されている内袋への空気の侵入が有効に防止されるため、内容物の酸化劣化を有効に回避でき、内容物の鮮度を長期間にわたって保持できるという利点がある。
このような二重構造容器は、一般に、ダイレクトブロー成形により製造されている。即ち、溶融押出しにより、二重構造のパイプを形成し、このパイプの下端部をピンチオフし、次いでブロー流体を吹き込むことによりボトルの形態に賦形することにより製造される。
また、最近では、延伸ブロー成形による二重構造容器の製造方法もが検討されている(特許文献1〜3参照)。即ち、延伸ブロー成形法は、射出成形等により、一旦、試験管形状の容器用プリフォームを成形しておき、このプリフォームを延伸成形温度(ガラス転移点以上融点未満)に加熱し、この状態でブロー流体を吹き込んで容器の形状に賦形するという方法であり、容器用プリフォームの量産が可能であり、生産性が高く、また、容器重量や内容積のバラつきも少なく、安定した品質の容器を製造できるという利点があり、特にコストの低減が可能となるという利点がある。
また、最近では、延伸ブロー成形による二重構造容器の製造方法もが検討されている(特許文献1〜3参照)。即ち、延伸ブロー成形法は、射出成形等により、一旦、試験管形状の容器用プリフォームを成形しておき、このプリフォームを延伸成形温度(ガラス転移点以上融点未満)に加熱し、この状態でブロー流体を吹き込んで容器の形状に賦形するという方法であり、容器用プリフォームの量産が可能であり、生産性が高く、また、容器重量や内容積のバラつきも少なく、安定した品質の容器を製造できるという利点があり、特にコストの低減が可能となるという利点がある。
しかしながら、何れの方法で二重構造容器を製造する場合にも、袋状の内容器は、その外面が外容器の内面に密着した状態で成形されるため、両者の間に空気層を形成しておくことが必要であり、このような空気層を簡便に形成する手段が求められている。
従って、本発明の目的は、袋状の内容器の外面と外容器の内面との間に、容易に空気層を形成し得る二重構造容器を提供することにある。
本発明によれば、内部に空気を導入するための空気導入口を備えた外容器と、該外容器内に挿入されて保持された袋状内容器とからなる二重構造容器において、
前記袋状内容器は、下記式(1):
飽和含水率(%)=(W2−W1)×100/W1 (1)
式中、
W1は、乾燥状態での該袋状内容器の重量であり、
W2は、23℃での飽和含水時での該袋状容器の重量である、
により算出される飽和含水率が2%以上を示すことを特徴とする二重構造容器が提供される。
前記袋状内容器は、下記式(1):
飽和含水率(%)=(W2−W1)×100/W1 (1)
式中、
W1は、乾燥状態での該袋状内容器の重量であり、
W2は、23℃での飽和含水時での該袋状容器の重量である、
により算出される飽和含水率が2%以上を示すことを特徴とする二重構造容器が提供される。
本発明の二重構造容器では、
(1)前記袋状内容器の容器壁は、乾燥状態でのガラス転移温度(Tg1)と23℃での飽和含水時でのガラス転移温度(Tg2)とが、下記式(2):
Tg1−Tg2>20℃
で表される条件を満足している樹脂から形成されていること、
(2)前記袋状内容器は、外容器には、該外容器の内面と前記袋状内容器の外面との間に空気を導入するための空気導入孔が形成されていること、
(3)前記袋状内容器は、ポリアミド樹脂により形成されていること、
(4)前記ポリアミド樹脂が、ポリメタキシリレンアジパミドであること、
が好適である。
(1)前記袋状内容器の容器壁は、乾燥状態でのガラス転移温度(Tg1)と23℃での飽和含水時でのガラス転移温度(Tg2)とが、下記式(2):
Tg1−Tg2>20℃
で表される条件を満足している樹脂から形成されていること、
(2)前記袋状内容器は、外容器には、該外容器の内面と前記袋状内容器の外面との間に空気を導入するための空気導入孔が形成されていること、
(3)前記袋状内容器は、ポリアミド樹脂により形成されていること、
(4)前記ポリアミド樹脂が、ポリメタキシリレンアジパミドであること、
が好適である。
本発明の二重構造容器は、袋状内容器が2%以上の飽和含水率(23℃)を有している点に重要な特徴を有している。本発明において、袋状内容器が、このような飽和含水率を有していることは、この袋状内容器は、吸水性を有していること及び吸水により収縮することを意味する。
例えば、図2は、後述する実施例1において、飽和含水率(23℃)が6.7%の樹脂(ポリメタキシリレンジアジパミド)を用いて成形された袋状内容器を備えた二重構造容器について、水分含有雰囲気(相対湿度80%)に保持したとき、成形直後からの袋状容器の含水率の経時変化を示し、図3は、この袋状内容器の含水率と収縮容量を示している。この図2及び図3から理解されるように、袋状内容器は、水分含有雰囲気に保持したとき、経時と共に吸水し、吸水にしたがって収縮していくことが判る。即ち、成形直後において、袋状容器の外面が外容器の内面に密着していたとしても、水分含有雰囲気中に保持しておくことにより、袋状内容器が収縮するため、格別の操作を行うことなく、袋状容器の外面と外容器の内面との間に空気層が形成されることなる。この結果、外容器の壁面に空気導入口を形成しておくことにより、この空気導入口を介して、袋状容器の外面と外容器の内面との間からの空気の排出及び空気の導入を速やかに行うことができ、袋状内容器に内容物を充填したとき、外容器の胴部をスクイズしての内容物の排出操作を繰り返し行うことができる。
例えば、図2は、後述する実施例1において、飽和含水率(23℃)が6.7%の樹脂(ポリメタキシリレンジアジパミド)を用いて成形された袋状内容器を備えた二重構造容器について、水分含有雰囲気(相対湿度80%)に保持したとき、成形直後からの袋状容器の含水率の経時変化を示し、図3は、この袋状内容器の含水率と収縮容量を示している。この図2及び図3から理解されるように、袋状内容器は、水分含有雰囲気に保持したとき、経時と共に吸水し、吸水にしたがって収縮していくことが判る。即ち、成形直後において、袋状容器の外面が外容器の内面に密着していたとしても、水分含有雰囲気中に保持しておくことにより、袋状内容器が収縮するため、格別の操作を行うことなく、袋状容器の外面と外容器の内面との間に空気層が形成されることなる。この結果、外容器の壁面に空気導入口を形成しておくことにより、この空気導入口を介して、袋状容器の外面と外容器の内面との間からの空気の排出及び空気の導入を速やかに行うことができ、袋状内容器に内容物を充填したとき、外容器の胴部をスクイズしての内容物の排出操作を繰り返し行うことができる。
また、本発明において、袋状内容器が上記のような吸水性を示すことは、袋状内容器に充填される内容物が、醤油などの水分を含有している流体の場合、内容物充填までの間に水分含有雰囲気に保持するという手段も全く必要が無いことを意味し、これは、本発明の大きな利点である。即ち、内容物が水分を含有している場合、この内容物を充填したときから吸水が生じるため、一般の消費者が内容物を排出しようとする際には、袋状容器の外面と外容器の内面との間に十分な大きさの空気層が形成されているからである。
このように、本発明の二重構造容器によれば、内容物の排出を繰り返し行うために必要な袋状容器の外面と外容器の内面との間の空気層を、複雑な金型を用いるなどの面倒な手段を採用することなく、容易に行うことができる。
図1(a)を参照して、本発明の二重構造容器は、外容器1と、外容器1の内部に収容されている袋状内容器3(以下、内袋と呼ぶ)とから構成されている。
かかる二重構造容器は、例えば、外容器用の樹脂と内袋用の樹脂との共押出により形成された積層パイプを用いてのダイレクトブロー成形や、外容器用の樹脂を用いて成形された外筒プリフォームと、内袋用の樹脂を用いて成形された内袋プリフォームを使用し、内袋プリフォームを外筒プリフォーム内に挿入してスタックした状態での二軸延伸ブロー成形により製造される。このような成形手段は、何れも公知である。
かかる二重構造容器は、例えば、外容器用の樹脂と内袋用の樹脂との共押出により形成された積層パイプを用いてのダイレクトブロー成形や、外容器用の樹脂を用いて成形された外筒プリフォームと、内袋用の樹脂を用いて成形された内袋プリフォームを使用し、内袋プリフォームを外筒プリフォーム内に挿入してスタックした状態での二軸延伸ブロー成形により製造される。このような成形手段は、何れも公知である。
図1(a)において、外容器1は、首部1a、首部1aに連なる胴部1b及び胴部1bの下端を閉じている底部1cとから形成されており、胴部1b及び底部1cがブロー延伸されている部分であり、首部1aは、ブロー延伸されていない固定部であり、ブロー延伸による薄肉化はされていない。
また、上記の首部1aの下方部分には、外容器1の内面と内袋3の外面との間に空気を導入するための空気導入口5が、レーザ加工等の後加工により設けられている。
尚、図1(a)では省略されているが、通常、この部分の外面には、螺子やサポートリングなどが形成されている。
また、上記の首部1aの下方部分には、外容器1の内面と内袋3の外面との間に空気を導入するための空気導入口5が、レーザ加工等の後加工により設けられている。
尚、図1(a)では省略されているが、通常、この部分の外面には、螺子やサポートリングなどが形成されている。
このような外容器1は、ブロー成形可能な熱可塑性樹脂により形成されており、このような熱可塑性樹脂としては、例えば、以下のものを例示することができる。
オレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、環状オレフィン共重合体など;
エチレン・ビニル系共重合体、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等;
スチレン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等;
ビニル系樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等;
ポリアミド樹脂、例えば、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等;
ポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらの共重合ポリエステル等;
ポリカーボネート樹脂;
ポリフエニレンオキサイド樹脂;
生分解性樹脂、例えば、ポリ乳酸など;
勿論、成形性が損なわれない限り、これらの熱可塑性樹脂のブレンド物を使用することもできる。
オレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、環状オレフィン共重合体など;
エチレン・ビニル系共重合体、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等;
スチレン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等;
ビニル系樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等;
ポリアミド樹脂、例えば、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等;
ポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらの共重合ポリエステル等;
ポリカーボネート樹脂;
ポリフエニレンオキサイド樹脂;
生分解性樹脂、例えば、ポリ乳酸など;
勿論、成形性が損なわれない限り、これらの熱可塑性樹脂のブレンド物を使用することもできる。
本発明において、特に好適に使用される熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂及びオレフィン系樹脂であり、さらに、透明性が優れていることから、ポリエステル樹脂が好適である。
また、二重構造容器においては、後述するように、外容器1と内袋3との間に空気が流入する構造となっているため、上記の外容器1には水分及びガスバリア性は必ずしも必要ではなく、水分及びガスバリア性の低いポリ乳酸も外容器1の形成に好適に使用することができる。さらに、高いバリア性が要求されていないため、エチレン・ビニルアルコール樹脂等のガスバリア樹脂による中間層を敢えて形成する必要もない。
また、二重構造容器においては、後述するように、外容器1と内袋3との間に空気が流入する構造となっているため、上記の外容器1には水分及びガスバリア性は必ずしも必要ではなく、水分及びガスバリア性の低いポリ乳酸も外容器1の形成に好適に使用することができる。さらに、高いバリア性が要求されていないため、エチレン・ビニルアルコール樹脂等のガスバリア樹脂による中間層を敢えて形成する必要もない。
また、内袋3には、内容物が充填される。この内袋3は、首部3aと袋部3bとからなっている。
首部3は、ブロー延伸されていない固定部であり、薄肉化されておらず、従って、外容器1の首部1a内にしっかりと嵌め込まれた状態で固定されている。また、袋部3は、ブロー延伸される部分であり、ブロー延伸によって、袋状に薄肉化されており、通常、その厚みは200μm以下である。
首部3は、ブロー延伸されていない固定部であり、薄肉化されておらず、従って、外容器1の首部1a内にしっかりと嵌め込まれた状態で固定されている。また、袋部3は、ブロー延伸される部分であり、ブロー延伸によって、袋状に薄肉化されており、通常、その厚みは200μm以下である。
ところで、上記の二重構造容器では、外筒プリフォーム内に挿入されている内袋プリフォーム内にブロー流体が導入されてブロー成形が行われるため、図1(a)に示されているように、成形直後においては、内袋3の袋状部3bの外面が外容器1の胴部1b及び底部1cの内面に密着した状態にある。従って、このままでは、空気導入口5から空気導入されず、内容物をスムーズに排出することが困難となる。即ち、外容器1と内袋3との間に空気が導入されないと、外容器1の胴部1bの外面をスクイズして内袋3から内容物を排出した場合、胴部1bのスクイズを停止したとき、内袋3(袋状部3b)は、胴部1bに追随して元形に復帰してしまう。従って、次に内容物を排出する時には、内容物の容量が少なくなっているため、胴部1bを大きくスクイズしないと内袋3から内容物を排出できなくなってしまうからである。
しかるに、本発明では、上記の内袋3(袋状内容器)は、下記式(1):
飽和含水率(%)=(W2−W1)×100/W1 (1)
式中、
W1は、乾燥状態での袋状内容器(内袋3)の重量であり、
W2は、23℃での飽和含水時での袋状容器(内袋3)の重量である、
により算出される飽和含水率が2%以上、特に4%以上を示すように設計されている。即ち、このような飽和含水率を示すように内袋3が設計されているため、この内袋3が吸湿すると収縮し、この結果、図1(b)に示されているように、内袋3の袋状部3bと外容器1の胴部1bや底部1cとの間に空隙Xが形成されることとなる。この空隙Xには、前述した空気導入口5から空気が導入されるため、この空隙Xが空気層となる。
即ち、本発明の二重構造容器では、上記のような空隙Xを形成するためには、この内袋3が吸湿すればよいわけである。
飽和含水率(%)=(W2−W1)×100/W1 (1)
式中、
W1は、乾燥状態での袋状内容器(内袋3)の重量であり、
W2は、23℃での飽和含水時での袋状容器(内袋3)の重量である、
により算出される飽和含水率が2%以上、特に4%以上を示すように設計されている。即ち、このような飽和含水率を示すように内袋3が設計されているため、この内袋3が吸湿すると収縮し、この結果、図1(b)に示されているように、内袋3の袋状部3bと外容器1の胴部1bや底部1cとの間に空隙Xが形成されることとなる。この空隙Xには、前述した空気導入口5から空気が導入されるため、この空隙Xが空気層となる。
即ち、本発明の二重構造容器では、上記のような空隙Xを形成するためには、この内袋3が吸湿すればよいわけである。
尚、上記の式(1)において、内袋3の乾燥重量W1は、含水率が0.01%以下程度となるまで内袋3を乾燥雰囲気中に保持しておき、その重量を測定することにより算出できる。また、23℃での内袋3の飽和含水重量W2は、23℃の水を内袋3中に充填し、その含水率が一定値に安定したときの重量である。尚、水分量は、カールフィッシャー法により測定される。
本発明において、内袋3が上記のような飽和含水率を示すためには、内袋3は、延伸成形可能であると同時に、当然、吸湿性を示す樹脂により形成されていなければならない。このような吸湿性樹脂としては、分子鎖中に、カルボキシル基、水酸基、アミド基等の親水性の極性基を有するポリマーの内、延伸成形可能な樹脂、例えば、(メタ)アクリル酸樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ乳酸などを挙げることができ、特にポリアミド樹脂が好適であり、さらに、ガスバリア性にも優れていることから、ポリメタキシリレンアジパミドのような芳香族基含有ポリアミドが最も好適である。
また、上記の内袋3の形成に使用される樹脂は、乾燥状態でのガラス転移温度(Tg1)と23℃での飽和含水時でのガラス転移温度(Tg2)とが、下記式(2):
Tg1−Tg2>20℃
で表される条件を満足していることが好ましい。即ち、このガラス転移温度の差が小さいと、吸湿による収縮が小さくなり、このため、内袋3(袋状部3b)と外容器1の内面との間に空気を導入するに十分な空隙Xを形成することが困難となるおそれがある。
ポリメタキシリレンアジパミドを例にとると、通常、その重量平均分子量が10000〜1000000程度の範囲にあればよい。
Tg1−Tg2>20℃
で表される条件を満足していることが好ましい。即ち、このガラス転移温度の差が小さいと、吸湿による収縮が小さくなり、このため、内袋3(袋状部3b)と外容器1の内面との間に空気を導入するに十分な空隙Xを形成することが困難となるおそれがある。
ポリメタキシリレンアジパミドを例にとると、通常、その重量平均分子量が10000〜1000000程度の範囲にあればよい。
このように、本発明の二重構造容器では、ブロー成形後に、内袋3を吸湿させて収縮させるが、一般に、その収縮量(収縮率)が2%以上であればよく、この程度の収縮量が確保できれば、空隙Xがある程度の大きさを有するものとなり、空気導入口7から速やかに空気が導入されるようになる。
本発明において、上記のように収縮させるために内袋3を吸湿させるための手段としては、含水雰囲気中に成形後の二重構造容器を保持しておくことや二重構造容器の内袋3中に水を充填しておくという手段が一般的であり、例えば、23℃、RH80%の雰囲気中に二重構造容器を保持した時、7日以上の放置時間で収縮率を2%以上とすることができ、また、水を充填して23℃の温度に維持した時には2週間程度で内袋3の含水率は飽和に達する。
さらに、内袋3に充填する内容物が醤油などの含水液である場合には、格別の吸湿処理を行わず、内容物を内袋3中に直接充填し、保管しておくことにより、所定の収縮率が達成され、一般消費者が実際に内容物を排出して使用する時点で、既に適度な大きさの空隙Xが形成され、空気層が形成され、内容物の排出作業をスムーズに行うことができる。
さらに、内袋3に充填する内容物が醤油などの含水液である場合には、格別の吸湿処理を行わず、内容物を内袋3中に直接充填し、保管しておくことにより、所定の収縮率が達成され、一般消費者が実際に内容物を排出して使用する時点で、既に適度な大きさの空隙Xが形成され、空気層が形成され、内容物の排出作業をスムーズに行うことができる。
上述した構造を有する本発明の二重構造容器は、内袋3に内容物を収容した後、この外容器1の首部1aに、それ自体公知の逆止弁付キャップを装着して使用に供される。
このような逆止弁付キャップが装着された本発明の二重構造容器では、内袋3に充填された内容物は、外容器1の胴部1bをスクイズ(押圧)することにより、押圧されて凹んだ分ずつ排出されていくが、従来公知のものと同様、内容物が排出された場合にも内袋3内に空気が導入されることはなく、従って、内容物の酸化劣化が有効に防止され、この内容物の鮮度が有効に保持されることとなる。このため、醤油等の調味液用の容器として極めて有用である。
本発明の優れた効果を次の実験例で説明する。
内袋3を形成するための樹脂として、以下のポリメタキシリレンアジパミド(以下、PMXD6と略す)を用意した。
内袋3形成用PMXD6;
乾燥状態でのガラス転移温度(Tg1):85℃
23℃での飽和含水状態での(Tg2):42℃
尚、乾燥状態でのガラス転移温度(Tg1)は、樹脂ペレットを窒素雰囲気下に保持し、重量変化が観察されなくなったことを確認して測定した。
また、23℃でのガラス転移温度は、樹脂ペレットを23℃の水に浸漬し、重量変化が観察されなくなったことを確認して測定した。
内袋3を形成するための樹脂として、以下のポリメタキシリレンアジパミド(以下、PMXD6と略す)を用意した。
内袋3形成用PMXD6;
乾燥状態でのガラス転移温度(Tg1):85℃
23℃での飽和含水状態での(Tg2):42℃
尚、乾燥状態でのガラス転移温度(Tg1)は、樹脂ペレットを窒素雰囲気下に保持し、重量変化が観察されなくなったことを確認して測定した。
また、23℃でのガラス転移温度は、樹脂ペレットを23℃の水に浸漬し、重量変化が観察されなくなったことを確認して測定した。
<実施例1>
外容器1形成用の樹脂として、通常使用されているブロー成形グレードのポリエチレンテレフタレート(PET)を用意した。
このPETと上記のPMXD6を使用し、射出成形により外容器用プリフォームと内袋用プリフォームとを成形し、得られたプリフォームを重ねて二軸延伸ブロー成形を行うことにより、図1に示す形態の二重構造容器(内容積450ml)を作製した。
外容器1形成用の樹脂として、通常使用されているブロー成形グレードのポリエチレンテレフタレート(PET)を用意した。
このPETと上記のPMXD6を使用し、射出成形により外容器用プリフォームと内袋用プリフォームとを成形し、得られたプリフォームを重ねて二軸延伸ブロー成形を行うことにより、図1に示す形態の二重構造容器(内容積450ml)を作製した。
この二重構造容器から、内袋を取り出し、23℃の水中に浸漬し、23℃での飽和含水重量(W2)を測定すると同時に、窒素雰囲気中に保持して乾燥重量(W1)を測定し、さらに、23℃、RH80%の雰囲気中に保持したときの一定時間毎に含水率をカールフィッシャー法により測定し且つ収縮率を測定した。
この結果、下記式で算出される飽和含水率は6.7%であった。
また、含水率の経時変化を図2に示し、含水率と収縮率との関係を図3に示した。
尚、収縮率は、次式により算出した。
収縮率(%)
=100×(成形直後の内袋容積−測定時の内袋容積)/成形直後の内袋容積
この結果、下記式で算出される飽和含水率は6.7%であった。
また、含水率の経時変化を図2に示し、含水率と収縮率との関係を図3に示した。
尚、収縮率は、次式により算出した。
収縮率(%)
=100×(成形直後の内袋容積−測定時の内袋容積)/成形直後の内袋容積
さらに、上記の二重構造容器を、成形直後から23℃、RH80%の雰囲気中に保持して目視で観察したところ、経時と共に、内袋3と外容器1との間に空隙が形成され、この空隙が次第に大きくなっていくことが確認された。
1:外容器
3:袋状内容器(内袋)
5:空気導入口
X:空隙
3:袋状内容器(内袋)
5:空気導入口
X:空隙
Claims (5)
- 内部に空気を導入するための空気導入口を備えた外容器と、該外容器内に挿入されて保持された袋状内容器とからなる二重構造容器において、
前記袋状内容器は、下記式(1):
飽和含水率(%)=(W2−W1)×100/W1 (1)
式中、
W1は、乾燥状態での該袋状内容器の重量であり、
W2は、23℃での飽和含水時での該袋状容器の重量である、
により算出される飽和含水率が2%以上を示すことを特徴とする二重構造容器。 - 前記袋状内容器は、乾燥状態でのガラス転移温度(Tg1)と23℃での飽和含水時でのガラス転移温度(Tg2)とが、下記式(2):
Tg1−Tg2>20℃
で表される条件を満足している樹脂から形成されている請求項1に記載の二重構造容器。 - 前記袋状内容器は、外容器には、該外容器の内面と前記袋状内容器の外面との間に空気を導入するための空気導入孔が形成されている請求項1または2に記載の二重構造容器。
- 前記袋状内容器は、ポリアミド樹脂により形成されている請求項1〜3に記載の二重構造容器。
- 前記ポリアミド樹脂が、ポリメタキシリレンアジパミドである請求項4に記載の二重構造容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017031524A JP2018135135A (ja) | 2017-02-22 | 2017-02-22 | 二重構造容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017031524A JP2018135135A (ja) | 2017-02-22 | 2017-02-22 | 二重構造容器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018135135A true JP2018135135A (ja) | 2018-08-30 |
Family
ID=63366366
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017031524A Pending JP2018135135A (ja) | 2017-02-22 | 2017-02-22 | 二重構造容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018135135A (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11293080A (ja) * | 1998-04-09 | 1999-10-26 | Kuraray Co Ltd | アリルアルコール系重合体中空成形容器 |
JP2010126207A (ja) * | 2008-11-28 | 2010-06-10 | Yoshino Kogyosho Co Ltd | 合成樹脂製二重容器 |
WO2014156701A1 (ja) * | 2013-03-28 | 2014-10-02 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 積層剥離容器の内層用ポリアミド樹脂組成物及びそれを用いた積層剥離容器 |
-
2017
- 2017-02-22 JP JP2017031524A patent/JP2018135135A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11293080A (ja) * | 1998-04-09 | 1999-10-26 | Kuraray Co Ltd | アリルアルコール系重合体中空成形容器 |
JP2010126207A (ja) * | 2008-11-28 | 2010-06-10 | Yoshino Kogyosho Co Ltd | 合成樹脂製二重容器 |
WO2014156701A1 (ja) * | 2013-03-28 | 2014-10-02 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 積層剥離容器の内層用ポリアミド樹脂組成物及びそれを用いた積層剥離容器 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6867111B2 (ja) | 二重構造容器成形用プリフォーム及び二重構造容器 | |
JP6802499B2 (ja) | 積層剥離容器 | |
JP2018134813A (ja) | 二重構造容器成形用プリフォーム組立体 | |
US8602233B2 (en) | Bottle shaped container with integrated sleeve | |
CA1231506A (en) | Plastic vessel having oriented coating and process for preparation thereof | |
JP6587830B2 (ja) | 延伸ブロー二重容器及びその製造方法 | |
WO2019163296A1 (ja) | 内袋容器の規則的収縮性に優れた二重構造容器 | |
JP6587829B2 (ja) | 延伸ブロー二重容器及びその製造方法 | |
US10752395B2 (en) | Delaminatable container | |
CN107848185B (zh) | 阻挡管肩 | |
PT2170717E (pt) | Embalagem com película de barreira de rótulo-em-molde em combinação com um absorvente de oxigénio | |
JP6914634B2 (ja) | スタック型二重構造容器成形用プリフォーム | |
JP2018135135A (ja) | 二重構造容器 | |
JP7069698B2 (ja) | 二重構造容器 | |
CN106574084A (zh) | 风味剂阻隔组合物 | |
JP7207514B2 (ja) | 二重構造容器 | |
JP6555969B2 (ja) | 樹脂製容器の製造方法 | |
JP2018203344A (ja) | 二重構造容器 | |
JP2018089792A (ja) | 延伸ブロー二重容器の製造方法 | |
JP2783562B2 (ja) | プラスチック製容器およびその製造方法 | |
JP7069697B2 (ja) | 二重構造容器の製造方法 | |
JP7480529B2 (ja) | 油膜形成能を有する表面を備えたブロー成形空容器 | |
JP5979487B2 (ja) | ポリオレフィン系樹脂製のブロー成形壜体 | |
JP6238295B2 (ja) | ガスバリア性に優れた単層の樹脂製ボトルの製造方法 | |
JP2019163065A (ja) | 内袋容器の収縮性に優れた二重構造容器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200115 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20201110 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20201124 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20210525 |