JP6339435B2 - 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム - Google Patents

塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム Download PDF

Info

Publication number
JP6339435B2
JP6339435B2 JP2014149986A JP2014149986A JP6339435B2 JP 6339435 B2 JP6339435 B2 JP 6339435B2 JP 2014149986 A JP2014149986 A JP 2014149986A JP 2014149986 A JP2014149986 A JP 2014149986A JP 6339435 B2 JP6339435 B2 JP 6339435B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vinylidene chloride
vegetable oil
epoxidized vegetable
resin composition
wrap film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014149986A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016023272A (ja
Inventor
真文 浅野
真文 浅野
八塚 道浩
道浩 八塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2014149986A priority Critical patent/JP6339435B2/ja
Priority to CN201510430410.4A priority patent/CN105273340A/zh
Publication of JP2016023272A publication Critical patent/JP2016023272A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6339435B2 publication Critical patent/JP6339435B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Wrappers (AREA)

Description

本発明は、塩化ビニリデン系樹脂を含む樹脂組成物及び該樹脂組成物を含むラップフィルムに関する。
塩化ビニリデン系樹脂は、透明性、耐水性及びガスバリア性等の特性に優れているため、ラップフィルム等の食品包装用材料として使用されている。近年、食品包装用材料は、上記特性だけでなく、成形加工性及び熱安定性等の特性も向上させ、さらに高機能化させることが求められている。食品包装用材料を高機能化させる方法としては、例えば、可塑剤や熱安定剤等の添加剤を配合する方法が挙げられる。このような添加剤としては、例えば、ラップフィルムの色調変化を抑制するために、エポキシ化植物油が使用されている。
しかしながら、エポキシ化植物油を配合した食品包装用材料は、長期間保管すると、エポキシ化植物油に起因する臭気等の問題が生じる場合がある。このような問題を改善するために、様々な食品包装用材料が提案されている。例えば、特許文献1には、エポキシ化大豆油の過酸化物価を特定値以下に制限することによって、臭気を低減した食品包装用材料が提案されている。また、特許文献2には、エポキシ化植物油と、特定量のグリセリン脂肪酸エステル及び脂肪族二塩基酸エステルとを配合することによって、密着性と引出性とを両立させた塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムが提案されている。さらに、特許文献3には、エポキシ化大豆油の過酸化物価、配合量及びエポキシ開環率を制御することによって、臭気低減と熱分解抑制とを両立させたポリ塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルムが提案されている。
特開平8−27341号公報 特開平11−199736号公報 特開2008−74955号公報
しかしながら、従来のエポキシ化植物油を配合した食品包装用材料は、例えば、気温が40℃以上になる真夏の倉庫内等で長期間保管すると、エポキシ化植物油が多量体化してブリードアウトする場合がある。エポキシ化植物油が多量体化してブリードアウトすると、食品包装用材料は、表面がべたつき、例えば、巻回体とした場合の引出性が低下し、さらに、エポキシ化植物油の安定剤としての機能が低下するため、劣化が急速に進行する。
したがって、従来のエポキシ化植物油を配合した食品包装用材料は、高温下で長期間保管すると、例えば、巻回体の状態での引出性や安定性に改善の余地がある。
そこで、本発明は、高温下で長期間保管した場合であっても、表面のべたつきを抑制でき、例えば、巻回体の状態での引出性により一層優れ、また安定性により一層優れる食品包装用材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討をした結果、塩化ビニリデン系樹脂及びエポキシ化植物油を含む樹脂組成物において、エポキシ化植物油の含有量及び塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量を特定範囲内に制御し、さらにエポキシ化植物油を構成する全ての脂肪酸単位におけるリノレン酸単位の比率を特定範囲以下に制御することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]
塩化ビニリデン系樹脂及びエポキシ化植物油を含み、
前記エポキシ化植物油の含有量が0.5〜3質量%であり、
前記塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量が7.5万〜9.5万であり、
前記エポキシ化植物油を構成する全ての脂肪酸単位において、リノレン酸単位の比率が5mol%以下である、樹脂組成物。
[2]
前記塩化ビニリデン系樹脂における塩化ビニリデン単位の含有量が72〜92mol%である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記樹脂組成物を塩化ビニリデン系樹脂の良溶媒及び貧溶媒を用いて再沈精製することにより得られる精製物中にエポキシ化植物油が、再沈精製後の樹脂組成物100質量%に対して、0.1〜1.3質量%含有している、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物を含むラップフィルム。
[5]
X線散乱測定による結晶化度が20〜35%である、[4]に記載のラップフィルム。
[6]
全ての脂肪酸単位におけるリノレン酸単位の比率が5mol%以下のエポキシ化植物油を得る工程Aと、
前記エポキシ化植物油及び塩化ビニリデン系樹脂を含む原料成分を混合する工程Bと、を含む、樹脂組成物の製造方法。
[7]
塩化ビニリデン単量体を含む単量体成分を重合することにより塩化ビニリデン系樹脂を得る工程Xをさらに含み、
該工程Xにおいて、前記エポキシ化植物油の少なくとも一部を添加する、[6]に記載の樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、高温下で長期間保管した場合であっても、表面のべたつきを抑制でき、例えば、巻回体の状態での引出性により一層優れ、また安定性により一層優れる食品包装用材料を提供することができる。
本発明のラップフィルムを製造する際に用いられる装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの本実施形態にのみ限定する趣旨ではない。そして、本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
≪樹脂組成物≫
本実施形態の樹脂組成物は、塩化ビニリデン系樹脂及びエポキシ化植物油を含み、
前記エポキシ化植物油の含有量が0.5〜3質量%であり、
前記塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量が7.5万〜9.5万であり、
前記エポキシ化植物油を構成する全ての脂肪酸単位において、リノレン酸単位の比率が5mol%以下である。
<塩化ビニリデン系樹脂>
本実施形態に用いる塩化ビニリデン系樹脂は、塩化ビニリデン単位を含む樹脂であれば特に限定されないが、塩化ビニリデン単位以外に、塩化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体単位をさらに含む樹脂が好ましい。塩化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニル、メチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;メチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート等のメタアクリル酸エステル;アクリロニトリル;酢酸ビニルが挙げられる。これらの単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本実施形態に用いる塩化ビニリデン系樹脂は、塩化ビニリデン単位が72〜92mol%であることが好ましく、81〜90mol%であることがより好ましい。塩化ビニリデン単位の含有量が前記範囲内である塩化ビニリデン系樹脂は、結晶の形成を抑制でき、高温下で長期間保管した場合であっても、エポキシ化植物油のブリードアウトを抑制することができるため、巻回体の状態での引出性により一層優れ、かつ、ガラス転移温度が低いため、該樹脂組成物を含むラップフィルム冬場等の低温環境下でもフィルムの扱い性に優れる。
なお、本実施形態において、塩化ビニリデン単位の含有量は、核磁気共鳴(NMR)装置により測定することができる。
また、本実施形態において、巻回体とは、樹脂組成物から得られたフィルムを芯体に巻いた状態の物体を意味し、引出性とは、収納箱内の巻回体を箱の外に引き出すときのフィルム同士の剥離性を意味する。
本実施形態に用いる塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、7.5万〜9.5万であり、8.0万〜9.0万であることが好ましい。重量平均分子量が前記範囲内である塩化ビニリデン系樹脂は、溶融押出時のせん断発熱による劣化を抑制できるため、前記エポキシ化植物油中のエポキシ基の開環を抑制し、さらには、前記エポキシ化植物油の多量体化を抑制できる。その結果、得られる樹脂組成物は、長期間高温下で保管した場合であっても、エポキシ化植物油のブリードアウトを抑制することができるため、巻回体の状態での引出性により一層優れ、また経時劣化が少なく安定性により一層優れる。また、前記塩化ビニリデン系樹脂は十分な強度を有するため、組成物をフィルムや容器に加工した場合の取り扱い性に優れる。
重量平均分子量が前記範囲内である塩化ビニリデン系樹脂は、例えば、塩化ビニリデンモノマーと塩化ビニルモノマーの仕込み比率や、重合開始剤の量、又は重合温度を制御することにより得ることができる。
なお、本実施形態において、塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物において、塩化ビニリデン系樹脂の含有量は、92.0〜95.5質量%であることが好ましく、92.5〜94.0質量%であることがより好ましい。塩化ビニリデン系樹脂の含有量が前記範囲内であると、樹脂組成物は、溶融押出成形時の加工性に優れる傾向にある。
<エポキシ化植物油>
本実施形態に用いるエポキシ化植物油は、全ての脂肪酸単位(エポキシ化植物油を構成する全ての脂肪酸由来の単位)100mol%に対して、リノレン酸単位(エポキシ化植物油を構成するリノレン酸由来の単位)の比率が5mol%以下である。該リノレン酸単位の比率は、3mol%以下であることが好ましい。該リノレン酸単位の比率の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.1mol%以上である。エポキシ化植物油におけるリノレン酸単位の比率が前記範囲内であると、得られる樹脂組成物は、長期間高温下で保管した場合であっても、エポキシ化植物油のブリードアウトを抑制することができるため、巻回体の状態での引出性により一層優れ、また経時劣化が少なく安定性により一層優れる。
なお、本実施形態において、エポキシ化植物油におけるリノレン酸単位の比率は、核磁気共鳴(NMR)装置により測定することができる。
本実施形態に用いるエポキシ化植物油は、リノレン酸単位の比率が5mol%以下であれば特に限定されないが、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化コーン油、エポキシ化パーム油、エポキシ化オリーブ油などが挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物において、エポキシ化植物油の含有量は、0.5〜3質量%であり、1.0〜2.5質量%であることが好ましく、1.2〜2.3質量%であることがより好ましい。エポキシ化植物油の含有量が前記範囲内であると、樹脂組成物は、経時劣化が少なく安定性により一層優れ、かつ、フィルムが柔らかすぎず扱いやすくなる。
<その他の添加剤>
本実施形態の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その他の添加剤を含有させてもよい。その他の添加剤としては、特に限定されないが、例えば、上述のエポキシ化植物油以外の安定剤、可塑剤、耐候性向上剤、染料若しくは顔料などの着色剤、防曇剤、抗菌剤、滑剤、核剤が挙げられる。これらの添加剤は1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上述のエポキシ化植物油以外の安定剤としては、特に限定されないが、例えば、2,5−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4'−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)ブロピオネート、及び4,4'−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)等の酸化防止剤;ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、2−エチル−ヘキシル酸塩、イソデカン酸塩、ネオデカン酸塩、及び安息香酸カルシウム等の熱安定剤が挙げられる。
可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチルクエン酸トリブチルのようなクエン酸エステル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、グリセリン、グリセリンエステル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステルが挙げられる。
耐候性向上剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレン−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾリトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、及び2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤が挙げられる。
染料若しくは顔料などの着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、及びベンガラが挙げられる。
防曇剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
抗菌剤としては、特に限定されないが、例えば、銀系無機抗菌剤が挙げられる。
滑剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレンビスステロアミド、ブチルステアレート、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル等の脂肪酸炭化水素系滑剤、高級脂肪酸滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、及び脂肪酸エステル滑剤が挙げられる。
核剤としては、特に限定されないが、例えば、リン酸エステル金属塩が挙げられる。
<再沈精製>
本実施形態において、上述の樹脂組成物又は後述のラップフィルムを、塩化ビニリデン系樹脂の良溶媒及び貧溶媒を用いて再沈精製することにより得られる精製物中にエポキシ化植物油が含有していることが好ましい。前記精製物中のエポキシ化植物油の含有量は、再沈精製後の樹脂組成物100質量%に対して、0.1〜1.3質量%であることが好ましく、0.5〜1.0質量%であることがより好ましい。このように精製物中にエポキシ化植物油が含有している樹脂組成物又はラップフィルムは、高温下で長期間保管した場合であっても、エポキシ化植物油のブリードアウトを抑制することができるため、表面のべたつきが少なく、巻回体の状態での引出性により一層優れ、また経時劣化が少なく安定性により一層優れる傾向にある。
上述のように精製物中にエポキシ化植物油が含有している樹脂組成物は、例えば、前記塩化ビニリデン系樹脂を得る重合反応において、前記エポキシ化植物油の少なくとも一部を添加する工程Xを含む製造方法により得ることができる。また、上述のように精製物中にエポキシ化植物油が含有しているラップフィルムは、例えば、前記工程Xを含む製造方法により得られた樹脂組成物を用いることにより得ることができる。
なお、精製物中のエポキシ化植物油の含有量は、核磁気共鳴(NMR)装置により測定することができる。
また、本実施形態において、再沈精製とは、被精製物をその良溶媒に溶解して、得られた溶液を貧溶媒中に滴下するか、又は得られた溶液中に貧溶媒を滴下することにより、不純物を除去し、純度の高い精製物を沈殿物として得る精製方法を言う。
通常、塩化ビニリデン系樹脂及びエポキシ化植物油を含有する樹脂組成物又はラップフィルムを、塩化ビニリデン系樹脂の良溶媒及び貧溶媒を用いて再沈精製すると、エポキシ化植物油やその他の不純物は除去され、精製された塩化ビニリデン系樹脂が沈殿物として得られる。
しかしながら、本実施形態においては、上述の樹脂組成物又は後述のラップフィルムを、塩化ビニリデン系樹脂の良溶媒及び貧溶媒を用いて再沈精製しても、精製物中にエポキシ化植物油を含有している場合がある。この理由は明らかではないが、精製物中にエポキシ化植物油を含む樹脂組成物又はラップフィルムは、高温下で長期間保管した場合であっても、表面のべたつきが少なく、巻回体の状態での引出性により一層優れ、また経時劣化が少なく安定性により一層優れる。
≪樹脂組成物の製造方法≫
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、
全ての脂肪酸単位におけるリノレン酸単位の比率が5mol%以下のエポキシ化植物油を得る工程Aと、
前記エポキシ化植物油及び塩化ビニリデン系樹脂を含む原料成分を混合する工程Bと、を含む。
<工程A>
工程Aは、全ての脂肪酸単位におけるリノレン酸単位の比率が5mol%以下のエポキシ化植物油を得る工程である。該リノレン酸単位の比率は、3mol%以下であることが好ましい。該リノレン酸単位の比率の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.1mol%以上である。該リノレン酸単位の比率が前記範囲内であると、得られる樹脂組成物は、長期間高温下で保管した場合であっても、エポキシ化植物油のブリードアウトを抑制することができるため、巻回体の状態での引出性により一層優れ、また経時劣化が少なく安定性により一層優れる。
該リノレン酸単位の比率が前記範囲内であるエポキシ化植物油を得る具体的な方法としては、特に限定されないが、例えば、植物油を得る際の原料中のリノレン酸の配合量を適宜調整する方法が挙げられる。
<工程B>
工程Bは、前記エポキシ化植物油及び塩化ビニリデン系樹脂を含む原料成分を混合する工程である。原料成分の混合方法としては、特に限定されないが、例えば、ヘンシェルミキサーによる混合方法、ターンブレンダーやリボンブレンダー等のブレンダーによる混合方法、懸濁重合等で得られたスラリーに対して添加剤を加えて混合する方法が挙げられる。
本実施形態の製造方法において、エポキシ化植物油の配合量は、得られる樹脂組成物100質量%に対して、0.5〜3質量%であることが好ましく、1.0〜2.5質量%であることがより好ましく、1.2〜2.3質量%であることがさらに好ましい。エポキシ化植物油の配合量が前記範囲内であると、得られる樹脂組成物は、経時劣化が少なく安定性により一層優れる傾向にあり、かつ、フィルムが柔らかすぎず扱いやすくなる。
また、本実施形態の製造方法において、塩化ビニリデン系樹脂の配合量は、得られる樹脂組成物100質量%に対して、92.0〜95.5質量%であることが好ましく、92.5〜94.0質量%であることがより好ましい。塩化ビニリデン系樹脂の含有量が前記範囲内であると、得られる樹脂組成物は、溶融押出成形時の加工性に優れる傾向にある。
工程Bに用いる塩化ビニリデン系樹脂は、塩化ビニリデン単位の含有量が72〜92mol%であることが好ましく、81〜90mol%であることがより好ましい。塩化ビニリデン単位の含有量が前記範囲内である塩化ビニリデン系樹脂は、結晶の形成を抑制でき、高温下で長期間保管した場合であっても、エポキシ化植物油のブリードアウトを抑制することができるため、巻回体の状態での引出性により一層優れ、かつ、ガラス転移温度が低いため、該樹脂組成物を含むラップフィルム冬場等の低温環境下でもフィルムの扱い性に優れる。
工程Bに用いる塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、7.5万〜9.5万であることが好ましく、8.0万〜9.0万であることがより好ましい。重量平均分子量が前記範囲内である塩化ビニリデン系樹脂は、溶融押出時のせん断発熱による劣化を抑制できるため、前記エポキシ化植物油中のエポキシ基の開環を抑制し、さらには、前記エポキシ化植物油の多量体化を抑制できる。その結果、得られる樹脂組成物は、長期間高温下で保管した場合であっても、エポキシ化植物油のブリードアウトを抑制することができるため、巻回体の状態での引出性により一層優れ、また経時劣化が少なく安定性により一層優れる。また、前記塩化ビニリデン系樹脂は十分な強度を有するため、組成物をフィルムや容器に加工した場合の取り扱い性に優れる。
重量平均分子量が前記範囲内である塩化ビニリデン系樹脂は、例えば、塩化ビニリデンモノマーと塩化ビニルモノマーの仕込み比率や、重合開始剤の量、又は重合温度を制御することにより得ることができる。
工程Bにおいて、原料成分としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上述のエポキシ化植物油及び塩化ビニリデン系樹脂以外に、その他の添加剤を配合させてもよい。その他の添加剤としては、特に限定されないが、例えば、上述したその他の添加剤が挙げられる。
<工程X>
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、塩化ビニリデン単量体を含む単量体成分を重合することにより塩化ビニリデン系樹脂を得る工程Xをさらに含み、該工程Xにおいて、前記エポキシ化植物油の少なくとも一部を添加することが好ましい。
このような工程Xを含む製造方法により得られる樹脂組成物は、塩化ビニリデン系樹脂の良溶媒を用いて再沈精製することにより得られる精製物中にエポキシ化植物油を含有している。前記精製物中のエポキシ化植物油の含有量は、再沈精製後の樹脂組成物100質量%に対して、0.1〜1.3質量%であることが好ましく、0.5〜1.0質量%であることがより好ましい。このような樹脂組成物は、高温下で長期間保管した場合であっても、エポキシ化植物油のブリードアウトを抑制することができるため、表面のべたつきが少なく、巻回体の状態での引出性により一層優れ、また経時劣化が少なく安定性により一層優れる傾向にある。
工程Xにおいて、前記エポキシ化植物油の添加量は、得られる樹脂組成物100質量%に対して、0.5〜3質量%であることが好ましく、1.0〜2.5質量%であることがより好ましく、1.2〜2.3質量%であることがさらに好ましい。工程Xにおいて、前記エポキシ化植物油の添加量を前記範囲内とすることにより、得られる樹脂組成物は、前記精製物中のエポキシ化植物油の含有量を好適な範囲内に制御することができる。
工程Xにおいて、重合方法としては、特に限定されないが、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等が挙げられる。なかでも懸濁重合法がより好ましい。
工程Xにおいて、重合温度としては、30〜90℃であることが好ましい。また、重合時間としては、10〜100時間であることが好ましく、20〜60時間であることがより好ましく、25〜50時間であることがさらに好ましい。
工程Xに用いる重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート系開始剤;t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−アミルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート等のパーオキシエステル系開始剤;ジラウロイルパーオキサイド、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド系開始剤;t−ブチルハイドロパーオキサイド、α−クミルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーキサイド等のハイドロパーオキサイド系開始剤;ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーキサイド系開始剤;2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の水溶性過酸化物またはこれらにアミン、重亜硫酸ナトリウム等の還元剤を添加した重合開始剤等が挙げられる。これらの重合開始剤は、重合反応速度を均一化するために10時間半減期温度の異なる重合開始剤を二種類以上組み合わせて使ってもよい。また、これらの重合開始剤はそのまま使用してもよいし、水エマルジョン、水サスペンジョンにしても使用できる。これらの中でも特に、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジラウロイルパーオキサイドが好ましい。
工程Xにおいて、単量体成分としては、塩化ビニリデン単量体以外に、塩化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体を用いてもよい。塩化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニル、メチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;メチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート等のメタアクリル酸エステル;アクリロニトリル;酢酸ビニルが挙げられる。これらの単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
工程Xに用いる単量体成分おいて、塩化ビニリデン単量体の配合量は、72〜92mol%であることが好ましく、81〜90mol%であることがより好ましい。塩化ビニリデン単位の配合量が前記範囲内であると、得られる塩化ビニリデン系樹脂は、前記エポキシ化植物油との親和性が増加する。その結果、最終的に得られる樹脂組成物は、高温下で長期間保管した場合であっても、エポキシ化植物油のブリードアウトを抑制することができるため、巻回体の状態での引出性により一層優れ、また経時劣化が少なく安定性により一層優れる。
≪ラップフィルム≫
本実施形態のラップフィルムは、上述の樹脂組成物を含む。上述の樹脂組成物を含むことにより、本実施形態のラップフィルムは、臭気が抑制され、手触り感及び透明性により一層優れる。
また、本実施形態のラップフィルムは、X線散乱測定による結晶化度が20〜35%であることが好ましく、23〜30%であることがより好ましい。結晶化度が前記範囲内のラップフィルムは、エポキシ化植物油のブリードアウトを抑制することができるため、手触り感及び透明性により一層優れる傾向にある。
ラップフィルムの結晶化度を前記範囲内に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニリデン単位の含有量や延伸倍率により調整する方法が挙げられる。
また、本実施形態のラップフィルムにおいて、エポキシ化植物油中のリノレン酸単位の比率、塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量、塩化ビニリデン系樹脂中の塩化ビニリデン単位の含有量、並びに塩化ビニリデン系樹脂及びエポキシ化植物油の含有量は、上述の樹脂組成物における場合と同様である。
≪ラップフィルムの製造方法≫
本実施形態のラップフィルムの製造方法は、特に限定されず、従来知られている方法であってもよく、例えば、上述の樹脂組成物を押出機より溶融押出した後、延伸、芯体への巻き回しを行うことにより、ラップフィルムを得る方法が挙げられる。溶融押出された樹脂組成物の製膜、延伸の方法としては、特に限定されないが、例えば、インフレーション法やテンター法を用いることができる。延伸時の特にフィルム幅方向(以下、単に「TD」ともいう。)の制御、及びそれにより得られるTDの引裂強度(以下、「TD引裂強度」ともいう。)を制御することにより、得られるラップフィルムのカット性が良好になる傾向にある。TD引裂強度は、ラップフィルムのカット性の観点から、2.0〜6.0cNの範囲が好ましく、2.3〜5.0cNの範囲がより好ましい。
なお、本実施形態において、TD引裂強度は、JIS−P−8116(2000年)に準拠して測定することができる。
延伸されたフィルムは、ラップフィルムに適した厚さになるまで延伸される。フィルム切れ、カット性、引き出し性、及び密着性をバランスよく優れたものとする観点から、ラップフィルムの厚さは、好ましくは6〜18μmであり、より好ましくは8〜15μmであり、さらに好ましくは9〜12μmである。
以下、本実施形態のラップフィルムの製造方法の一例として、上述の樹脂組成物を用いたインフレーション法についてより具体的に説明する。図1は、本実施形態のラップフィルムの製造方法の一例を示す概略図である。
まず、溶融した上述の樹脂組成物を押出機1により、円形のダイ2のダイ口3から管状に押し出し、管状の樹脂組成物であるソック4が形成される。
次に、押出物であるソック4の外側を冷水槽6にて冷水に接触させ、ソック4の内部にはソック液5を常法により注入して貯留することにより、ソック4を内外から冷却して固化させる。この際、ソック4はその内側にソック液5が塗布された状態となる。固化されたソック4は、第1ピンチロール7にて折り畳まれ、ダブルプライシートであるパリソン8が成形される。ソック液5の塗布量は第1ピンチロール7のピンチ圧により制御される。
ソック液5には、水、ミネラルオイル、アルコール類、プロピレングリコールやグリセリン等の多価アルコール類、セルロース系やポリビニルアルコール系の水溶液を用いることができる。これらは単体で使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、ソック液には、本実施形態の効果を阻害しない範囲で、従来の食品包装材料に用いられる耐候性向上剤、防曇剤、抗菌剤等を添加してもよい。
ソック液5の塗布量は、特に限定されないが、パリソンの開口性、フィルムの密着性の観点から、好ましくは50〜20000ppm、より好ましくは100〜15000ppm、更に好ましくは150〜10000ppmである。ここで、塗布量(ppm)とは、ソック4の合計質量に対して、ソック4に塗布されたソック液5の質量を、質量ppmで示したものである。
続いて、パリソン8の内側に空気を注入することにより、再度パリソン8は開口されて管状となる。パリソン8は、温水(図示せず)により延伸に適した温度まで再加熱される。パリソン8の外側に付着した温水は、第2ピンチロール9にて搾り取られる。次いで、インフレーション工程において、適温まで加熱された管状のパリソン8に空気を注入してインフレーション延伸によりバブル10を成形し、延伸フィルムが得られる。
フィルムの引裂強度は、延伸倍率によって一義的に決定されるわけではないが、延伸倍率によって主に制御することができる。カット性に優れ、かつ裂けトラブルを抑制するフィルムを得るためには、MD及びTD方向の延伸倍率は、延伸温度30〜45℃条件下において、共に4〜6倍が好ましい。
ここでMD方向の延伸倍率は、第1ピンチロール7と第3ピンチロール11の速度比で表され、TD方向の延伸倍率は、パリソン8とバブル10の径の比率で表される。
その後、延伸フィルムは、第3ピンチロール11で折り畳まれ、ダブルプライフィルム12となる。ダブルプライフィルム12は、巻取りロール13にて巻き取られる。さらに、このダブルプライフィルム12はスリットされて、1枚のフィルムになるように剥がされる(シングル剥ぎ)。最終的にこのフィルムは例えば芯体に巻き取られ、ラップフィルム巻回体が得られる。
上記の説明は、本実施形態のラップフィルムの製造方法の一例であり、上記以外の各種装置構成や条件等によってラップフィルムを製造してもよく、例えば、公知の他の方法を採用してもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた各測定方法は、以下のとおりとした。
[エポキシ化植物油の含有量]
ラップフィルム中のエポキシ化植物油の含有量(質量%)を(核磁気共鳴(NMR)装置)により測定した。
[リノレン酸単位の比率]
エポキシ化植物油を構成する全ての脂肪酸単位に対するリノレン酸単位の比率(mol%)を核磁気共鳴(NMR)装置により測定した。
[塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量]
ラップフィルムを再沈精製することにより、添加剤を除いた塩化ビニリデン系樹脂を得た。得られた塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した。
[塩化ビニリデン単位の含有量]
ラップフィルムを再沈精製することにより、添加剤を除いた塩化ビニリデン系樹脂を得た。得られた塩化ビニリデン系樹脂における塩化ビニリデン単位の含有量(mol%)を核磁気共鳴(NMR)装置により測定した。
[再沈精製物中のエポキシ化植物油の含有量]
ラップフィルムを塩化ビニリデン系樹脂の良溶媒を用いて再沈精製することにより精製物を得た。得られた精製物中のエポキシ化植物油の含有量(質量%)を核磁気共鳴(NMR)装置により測定した。なお、ここでエポキシ化植物油の含有量の基準は、再沈精製後のラップフィルム(樹脂組成物)100質量%とした。
[結晶化度]
ラップフィルムの結晶化度(%)をX線散乱法により測定した。具体的には、ラップフィルムについて、X線散乱法により測定し、該測定により得られた全散乱強度に対する結晶散乱強度の比率を結晶化度(%)とした。
[脱塩酸量]
ラップフィルムを3mm角、厚み230μmにカットして試験片を得た。得られた試験片を180℃で15分間加熱することで発生した塩酸量(脱塩酸量(ppm))を測定した。該塩酸量が低いほど安定性に優れる。
〔脱塩酸量の評価基準〕
◎(大変良好):脱塩酸量が400ppm以下
○(良好):脱塩酸量が401〜450ppm
△(不良):脱塩酸量が451ppm以上
[引出力]
ラップフィルムを紙管に巻きつけることにより、巻回体を得た。得られた巻回体からラップフィルムを引き出す際に必要な力(引出力(cN))を引張試験機により測定した。該引出力に基づき、ラップフィルムの引出性について以下のとおり評価した。
〔引出性の評価基準〕
◎(大変良好):引出力が11〜50cN
○(良好):引出力が51〜80cN
△(不良):引出力が81〜100cN
×(かなり不良):引出力が101cN以上
[手触り]
評価者として、日常、食品包装用ラップフィルムを使用する100人を選出した。各評価者は、ラップフィルム表面の手触りについて、べたつかない場合を「2点」、あまりべたつかない場合を「1点」、べたつく場合を「0点」として、採点した。100人の採点の合計得点をもとに、ラップフィルム表面の手触りを以下の3段階で評価した。
〔手触りの評価基準〕
◎(大変良好):151〜200点
○(良好):121〜150点
△(不良):91〜120点
×(かなり不良):90点以下
[フィルム強度]
測定はオートグラフAG−IS(島津製作所製)を使用し、23℃、50%RHの雰囲気中にて評価した。ASTM−D−882に記載の方法に準拠し、5mm/minの引張速度、チャック間距離100mmの条件で2%伸長時の荷重から引張弾性率を測定した。
〔フィルム強度の評価基準〕
◎(大変良好):131MPa以上
○(良好):100〜130MPa
△(不良):99MPa以下
なお、上述の結晶化度、引出力、手触り、及びフィルム強度の測定においては、夏場の流通及び保管を想定して、40℃で1ヶ月保管したラップフィルムを用いた。その他の測定においては、流通及び保管時の熱履歴の影響は無視できるので、実施例及び比較例で得られたラップフィルムをそのまま用いた。
[実施例1]
〔エポキシ化植物油〕
エポキシ化植物油として、エポキシ化大豆油(商品名:ニューサイザー510R、日本油脂社製)を用い、全ての脂肪酸単位におけるリノレン酸単位の比率が4mol%のものを選択して利用した。
〔塩化ビニリデン系樹脂〕
工程Xにおいて、塩化ビニリデン単量体84質量部及び塩化ビニル単量体16質量部に、エポキシ化大豆油を塩化ビニリデン系樹脂組成物100質量%に対して2.1質量%となるように添加して重合することにより、塩化ビニリデン系樹脂を得た。なお、重合温度は47℃とし、重合時間は30時間とした。得られた塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は、8.5万であった。
〔樹脂組成物の製造〕
工程Bにおいて、上記塩化ビニリデン系樹脂95.3質量部(エポキシ化大豆油2.1質量部含む)、及びアセチルクエン酸トリブチル(田岡化学工業社製)4.7質量部を、ヘンシェルミキサーにて5分間混合し、15時間以上熟成して樹脂組成物を得た。
〔フィルムの製造〕
上記の樹脂組成物を溶融押出機に供給して溶融し、押出機の先端に取り付けられた環状ダイのスリット出口での溶融樹脂組成物温度が170℃になるように、押出機の加熱条件を調節しながら、環状に10kg/時間の押出速度で押し出した。押出物を過冷却した後、インフレーション延伸によって、長さ(MD)方向に4.1倍に延伸し、幅(TD)方向に5.6倍に延伸して筒状のラップフィルムを得た。得られたラップフィルムの特性について上記のとおり測定した。該測定結果を表1に示す。
[実施例2]
塩化ビニリデン系樹脂の重合時の重合温度を44℃とした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びラップフィルムを得た。得られたラップフィルムの特性について上記のとおり測定した。該測定結果を表1に示す。
[実施例3]
塩化ビニリデン系樹脂の重合時の重合温度を49℃とした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びラップフィルムを得た。得られたラップフィルムの特性について上記のとおり測定した。該測定結果を表1に示す。
[実施例4〜6]
表1に示すとおりに原料成分等の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びラップフィルムを得た。得られたラップフィルムの特性について上記のとおり測定した。該測定結果を表1に示す。
[実施例7]
インフレーション延伸時の延伸倍率を長さ(MD)方向に4.5倍、幅(TD)方向に6.1倍にしたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びラップフィルムを得た。得られたラップフィルムの特性について上記のとおり測定した。該測定結果を表1に示す。
[実施例8]
工程Xではエポキシ化大豆油を添加せず、工程Bにおいて、エポキシ化大豆油を塩化ビニリデン系樹脂組成物100質量%に対して2.1質量%となるように添加すること以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びラップフィルムを得た。得られたラップフィルムの特性について上記のとおり測定した。該測定結果を表1に示す。
[実施例9]
エポキシ化大豆油の添加量を1.5質量部にすること以外は、実施例8と同様にして樹脂組成物及びラップフィルムを得た。得られたラップフィルムの特性について上記のとおり測定した。該測定結果を表1に示す。
[比較例1〜2]
表1に示すとおりに原料成分を変更し、工程Xではエポキシ化大豆油を添加せず、工程Bにおいてエポキシ化大豆油を添加すること以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びラップフィルムを得た。得られたラップフィルムの特性について上記のとおり測定した。該測定結果を表1に示す。
[比較例3]
全ての脂肪酸単位におけるリノレン酸単位の比率が11mol%のエポキシ化植物油を選択して利用し、工程Xではエポキシ化大豆油を添加せず、工程Bにおいてエポキシ化大豆油を添加すること以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びラップフィルムを得た。得られたラップフィルムの特性について上記のとおり測定した。該測定結果を表1に示す。
[比較例4]
全ての脂肪酸単位におけるリノレン酸単位の比率が59mol%のエポキシ化植物油を選択して利用し、工程Xではエポキシ化大豆油を添加せず、工程Bにおいてエポキシ化大豆油を添加すること以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びラップフィルムを得た。得られたラップフィルムの特性について上記のとおり測定した。該測定結果を表1に示す。
[比較例5]
塩化ビニリデン系樹脂の重合時の重合温度を51℃とし、工程Xではエポキシ化大豆油を添加せず、工程Bにおいてエポキシ化大豆油を添加すること以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びラップフィルムを得た。得られたラップフィルムの特性について上記のとおり測定した。該測定結果を表1に示す。
[比較例6]
塩化ビニリデン系樹脂の重合時の重合温度を42℃とし、工程Xではエポキシ化大豆油を添加せず、工程Bにおいてエポキシ化大豆油を添加すること以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びラップフィルムを得た。得られたラップフィルムの特性について上記のとおり測定した。該測定結果を表1に示す。
Figure 0006339435
本発明の樹脂組成物は、高温下で長期間保管した場合であっても、表面のべたつきを抑制でき、巻回体の状態での引出性により一層優れ、また安定性により一層優れるので、食品包装用材料として好適に利用できる。
1…押出機、2…ダイ、3…ダイ口、4…ソック、5…ソック液、6…冷水槽、7…第1ピンチロール、8…パリソン、9…第2ピンチロール、10…バブル、11…第3ピンチロール、12…ダブルプライフィルム、13…巻取りロール

Claims (7)

  1. 塩化ビニリデン系樹脂及びエポキシ化植物油を含み、
    前記エポキシ化植物油の含有量が0.5〜3質量%であり、
    前記塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量が7.5万〜9.5万であり、
    前記エポキシ化植物油を構成する全ての脂肪酸単位において、リノレン酸単位の比率が5mol%以下である、樹脂組成物。
  2. 前記塩化ビニリデン系樹脂における塩化ビニリデン単位の含有量が72〜92mol%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記樹脂組成物を塩化ビニリデン系樹脂の良溶媒及び貧溶媒を用いて再沈精製することにより得られる精製物中にエポキシ化植物油が、再沈精製後の樹脂組成物100質量%に対して、0.1〜1.3質量%含有している、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含むラップフィルム。
  5. X線散乱測定による結晶化度が20〜35%である、請求項4に記載のラップフィルム。
  6. 全ての脂肪酸単位におけるリノレン酸単位の比率が5mol%以下のエポキシ化植物油を得る工程Aと、
    前記エポキシ化植物油及び塩化ビニリデン系樹脂を含む原料成分を混合する工程Bと、を含む、樹脂組成物の製造方法。
  7. 塩化ビニリデン単量体を含む単量体成分を重合することにより塩化ビニリデン系樹脂を得る工程Xをさらに含み、
    該工程Xにおいて、前記エポキシ化植物油の少なくとも一部を添加する、請求項6に記載の樹脂組成物の製造方法。
JP2014149986A 2014-07-23 2014-07-23 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム Active JP6339435B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014149986A JP6339435B2 (ja) 2014-07-23 2014-07-23 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム
CN201510430410.4A CN105273340A (zh) 2014-07-23 2015-07-21 偏二氯乙烯系树脂保鲜膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014149986A JP6339435B2 (ja) 2014-07-23 2014-07-23 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016023272A JP2016023272A (ja) 2016-02-08
JP6339435B2 true JP6339435B2 (ja) 2018-06-06

Family

ID=55143213

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014149986A Active JP6339435B2 (ja) 2014-07-23 2014-07-23 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6339435B2 (ja)
CN (1) CN105273340A (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016023271A (ja) * 2014-07-23 2016-02-08 旭化成ケミカルズ株式会社 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム
JP6795350B2 (ja) * 2016-08-08 2020-12-02 株式会社クレハ 塩化ビニリデン系樹脂フィルム、それを用いたラップフィルム、及び当該樹脂フィルムの製造方法
CN111032753A (zh) * 2017-09-06 2020-04-17 旭化成株式会社 保鲜膜和保鲜膜卷绕体
JP7105713B2 (ja) * 2019-03-18 2022-07-25 株式会社クレハ 樹脂フィルムおよびその製造方法
JP7352414B2 (ja) * 2019-08-29 2023-09-28 旭化成株式会社 ラップフィルム
CN112552622B (zh) * 2019-09-10 2023-03-10 旭化成株式会社 偏二氯乙烯系树脂保鲜膜

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE68923309T2 (de) * 1988-04-08 1996-03-21 Kureha Chemical Ind Co Ltd Harzmischung und daraus hergestellte Formkörper.
JPH0892446A (ja) * 1994-09-20 1996-04-09 Daicel Chem Ind Ltd 塩素含有樹脂組成物
JP3773330B2 (ja) * 1997-08-01 2006-05-10 旭電化工業株式会社 塩化ビニル系樹脂組成物
BR9910684A (pt) * 1998-05-13 2001-01-09 Dow Chemical Co Composições de polìmeros de cloreto de vinilideno extrudáveis e suas aplicações
JP4634701B2 (ja) * 2003-07-30 2011-02-16 株式会社クレハ 塩化ビニリデン系樹脂フィルム、食肉練製品用ケーシング及び包装食肉練製品
JP5127190B2 (ja) * 2006-09-21 2013-01-23 旭化成ケミカルズ株式会社 ポリ塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム
JP5646858B2 (ja) * 2010-02-09 2014-12-24 旭化成ケミカルズ株式会社 フィルムコート剤、ラップフィルム及び該ラップフィルムの製造方法
CN103224580B (zh) * 2012-01-30 2016-03-30 旭化成化学株式会社 偏二氯乙烯类共聚物、其组合物及其膜或片材
JP5881549B2 (ja) * 2012-07-11 2016-03-09 旭化成ケミカルズ株式会社 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム

Also Published As

Publication number Publication date
CN105273340A (zh) 2016-01-27
JP2016023272A (ja) 2016-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6339435B2 (ja) 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム
JP6100034B2 (ja) 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム及びその製造方法
JP2016199315A (ja) 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム
JP7173794B2 (ja) ラップフィルム及びラップフィルム巻回体
JP5501791B2 (ja) ポリ塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム及びラップフィルム巻回体
JP5881549B2 (ja) 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム
JP4634701B2 (ja) 塩化ビニリデン系樹脂フィルム、食肉練製品用ケーシング及び包装食肉練製品
JP2016023271A (ja) 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム
JP5907829B2 (ja) 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム及びその製造方法
JP2017177382A (ja) 塩化ビニリデン系樹脂フィルムの製造方法および該製造方法に用いるパイル液の再生方法
KR102148780B1 (ko) 염화비닐계 식품포장용 필름
WO2007018204A1 (ja) ポリ塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム及びその製造方法
JP2021066872A (ja) 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム
JP4942373B2 (ja) ラップフィルムの製造方法
JP7336321B2 (ja) ラップフィルム
JP2021080437A (ja) ラップフィルム
JP2016022983A (ja) 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム
JPWO2016189987A1 (ja) ラップフィルム
JP7482726B2 (ja) 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム
JP7352414B2 (ja) ラップフィルム
JP7353107B2 (ja) 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム
JP2021046254A (ja) 塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム
JP2021038376A (ja) ラップフィルム
JP2022163706A (ja) ラップフィルム
JP2022134090A (ja) ラップフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20160401

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160523

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180302

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180420

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180510

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6339435

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350