JP2021038376A - ラップフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】塩化ビニリデン系樹脂の炭化によるパンク等が抑制され、低摩擦性にも優れるラップフィルムを提供する。【解決手段】塩化ビニリデン繰り返し単位を72〜93質量%含有する塩化ビニリデン系樹脂と、多孔質無機化合物と、を含有する、ラップフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ラップフィルムに関する。
塩化ビニリデン系樹脂から形成されるラップフィルムは、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性(防湿性)及び透明性に優れ、更に電子レンジ加熱が可能であることから、鮮魚、生肉、加工肉、新鮮野菜、惣菜類等の包装に、酸素遮断、防湿等の目的で広く利用されている。
ラップフィルムを形成する塩化ビニリデン系樹脂としては、フィルムの押出加工性、結晶性、透明性、軟化温度等の観点から、通常、塩化ビニリデンと、塩化ビニルなど塩化ビニリデンと共重合可能な他の単量体とを共重合させて得られる塩化ビニリデン共重合体が使用されている。
塩化ビニリデン系樹脂から形成されるラップフィルムは、通常、塩化ビニリデン系樹脂を、溶融押し出しし、次いで延伸を行うことにより製造され、紙管に巻き取られ化粧箱(カートン)中で保管される。ラップフィルムの製造過程においては、塩化ビニリデン系樹脂に、可塑剤、安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤を含有させることによって、押出加工性やフィルム特性を改善することが行われている。
溶融押し出しの際、押出機内に塩化ビニリデン系樹脂が滞留すると、塩化ビニリデン系樹脂が分解し、炭化し、炭化物が異物となることがある。次いで延伸する際に、たとえばインフレーション成膜を行う際に、この異物が起点となって、パンクし、生産性が落ちることがある(例えば、特許文献1参照)。
また、ラップフィルムの摩擦力が大きすぎると、静摩擦力の影響でカートンからラップフィルムを引き出しにくくなることがある。さらにこれに加えて、摩擦力が大きすぎると、ラップフィルムが手にまとわりついて不快感を覚えたり、ラップフィルム同士が引っかかったりして、取扱い性が悪くなることがある。
また、ラップフィルムは、紙製の芯体に巻回されてフィルム巻回体を構成し、当該フィルム巻回体が、紙製の直方体状のラップフィルム収納箱に収納されている。しかし、ラップフィルムの摩擦力が大きすぎると、輸送時等にフィルム巻回体が動いて、ラップフィルム収納箱の内壁に衝突し、フィルム巻回体に傷が発生することがあった。この傷が起点となって、フィルムを引き出す際に、想定外の位置で裂けることが起こり、取り扱い性が悪くなることがある。
特開2014-125561号公報
特許文献1には、押出機に樹脂を供給する際に真空ホッパーを使用することで押出加工性を良好とすることが開示されている。しかしながら、溶融押し出しにおいて、押出機内に塩化ビニリデン系樹脂がある時間滞留することによる塩化ビニリデン系樹脂の分解等についての解決手段は開示されていない。
また、溶融押し出しにおいて異物が生じた場合であっても、その程度によっては、インフレーション成膜を行う際にパンクが生じず、正常にラップフィルムが製造されることがある。しかしながらこのような場合には、異物に起因する色調変化や、異物を起点とした切断が生じるなど、得られるラップフィルムのカット性の低下が考えられる。また、上記のとおり、ラップフィルムには低摩擦性が求められる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、塩化ビニリデン系樹脂の炭化によるパンク等が抑制され、低摩擦性にも優れるラップフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、所定の塩化ビニリデン系樹脂と、多孔質無機化合物とを併用することにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
塩化ビニリデン繰り返し単位を72〜93質量%含有する塩化ビニリデン系樹脂と、
多孔質無機化合物と、を含有する、
ラップフィルム。
〔2〕
TD方向の引裂強度が、2〜6cNである、
〔1〕に記載のラップフィルム。
〔3〕
MD方向の引張弾性率が、250〜600MPaである、
〔1〕又は〔2〕に記載のラップフィルム。
〔4〕
温度変調型示差走査熱量計にて測定される低温結晶化開始温度が、40〜60℃である、
〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のラップフィルム。
〔5〕
厚みが、6〜18μmである、
〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のラップフィルム。
〔6〕
クエン酸エステル及び二塩基酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含有し、
該化合物の含有量が、前記ラップフィルムの総量に対して、3〜5質量%である、
〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のラップフィルム。
〔7〕
前記多孔質無機化合物が、マグネシウム化合物を含む、
〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のラップフィルム。
〔8〕
前記多孔質無機化合物の含有量が、前記ラップフィルムの総量に対して、0.001〜1.0質量%である、
〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のラップフィルム。
〔9〕
JIS K 7136記載の方法で測定したHAZE値が、1〜30%である、
〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のラップフィルム。
〔10〕
塩化ビニリデン繰り返し単位を72〜93質量%含有する塩化ビニリデン系樹脂と、多孔質無機化合物と、を含有する組成物を溶融押し出しして、フィルム状にする工程と、
得られたフィルムをMD方向及びTD方向に延伸する工程と、を有する、
ラップフィルムの製造方法。
本発明によれば、塩化ビニリデン系樹脂の炭化によるパンク等が抑制され、低摩擦性にも優れるラップフィルムを提供することができる。
本発明の製膜プロセスで使用された装置の概略図である。 本発明のフィルムの利用形態例である。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
なお、本実施形態において、「TD方向」とは、製膜ラインの樹脂の幅方向をいい、ラップフィルムとしたときに、巻回体からラップフィルムを引き出す方向に垂直な方向をいう。また、「MD方向」とは、製膜ラインの樹脂の流れ方向をいい、ラップフィルムとしたときに、巻回体からラップフィルムを引き出す方向をいう。
〔ラップフィルム〕
本実施形態のラップフィルムは、塩化ビニリデン繰り返し単位を72〜93質量%含有する塩化ビニリデン系樹脂と、多孔質無機化合物と、を含有し、必要に応じて、エポキシ化植物油、クエン酸エステル、二塩基酸エステルや、その他の添加剤を含んでいてもよい。
本実施形態においては、所定の塩化ビニリデン系樹脂と多孔質無機化合物を併用することにより、塩化ビニリデン系樹脂の炭化が抑制され、また、ラップフィルムの低摩擦化が達成される、という効果を奏する。この理由は定かではないが、通常、溶融押し出しでは押出機内に塩化ビニリデン系樹脂がある時間滞留するところ、多孔質無機化合物が押出機を掻き出すため、塩化ビニリデン系樹脂の滞留時間が短くなり、塩化ビニリデン系樹脂の炭化が抑制されるものと推察される。また、多孔質無機化合物を含むことにより、ラップフィルム表面に微細な凹凸が生じるため、ラップフィルムの低摩擦化が達成されるものと考えられる。なお、上記理由は推定であり、これに限定されるものではない。以下、本実施形態について、詳細に説明する。
(塩化ビニリデン系樹脂)
塩化ビニリデン系樹脂としては、塩化ビニリデン繰り返し単位を含むものであれば特に限定されず、塩化ビニリデン繰り返し単位と重合可能な単量体繰り返し単位を含む塩化ビニリデン共重合体が挙げられる。
塩化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニル;メチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;メチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート等のメタアクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸;アクリロニトリル;酢酸ビニル等が挙げられる。これら単量体は一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。このなかでも、塩化ビニルがより好ましい。
塩化ビニリデン繰り返し単位の含有量は、塩化ビニリデン系樹脂の総量に対して、72〜93質量%であり、好ましくは81〜90質量%である。塩化ビニリデン繰り返し単位の含有量が72質量%以上であることにより、塩化ビニリデン系樹脂のガラス転移温度が低く、ラップフィルムが軟らかくなる傾向にある。これにより、例えば、冬場等の低温環境下での使用時においてもラップフィルムの裂けを低減できる。一方、塩化ビニリデン繰り返し単位の含有量が93質量%以下であることにより、結晶性の大幅な上昇を抑制し、フィルム延伸時の成形加工性の悪化を抑制できる。さらに、塩化ビニリデン繰り返し単位の含有量が72〜93質量%である場合、塩化ビニリデン系樹脂が炭化しやすく、生産性の低下を引き起こしやすい。そのため、上記のように、多孔質無機化合物を用いる本発明が有用となる。
塩化ビニリデン繰り返し単位の含有量は、特に限定されないが、例えば、高分解のプロトン核磁気共鳴測定装置(400MHz以上)を用いて測定することができる。より具体的には、ラップフィルムの再沈濾過物を真空乾燥し、5質量%を重水素化テトラヒドロフランに溶解させた溶液を、測定雰囲気温度約27℃にてH−NMR測定する。得られたスペクトル中のテトラメチルシランを基準とした特有の化学シフトを用いて塩化ビニリデン繰り返し単位を計算する。例えば、塩化ビニリデンと塩化ビニルの共重合体では、3.50〜4.20ppm、2.80〜3.50ppm、2.00〜2.80ppmのピークを利用して計算する。
ラップフィルムの再沈濾過物を得る方法としては、試料を0.5gをTHF(テトラヒドロフラン)10mlに溶解し、メタノール約30mlを加えて樹脂分を析出した後、遠心分離にて析出物を分離、乾燥する方法があげられる。
また、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体のコモノマー(塩化ビニル)含有量は、共重合体の総量に対して、好ましくは7〜28質量%であり、より好ましくは10〜19質量%である。塩化ビニリデン共重合体のコモノマー含有量が上記範囲内であることにより、低温環境下での使用時においてもラップフィルムの裂けが低減され、フィルム延伸時の成形加工性の悪化がより抑制される傾向にある。
重量平均分子量については、好ましくは80.000〜200,000であり、より好ましくは90,000〜180,000であり、さらに好ましくは100,000〜170,000である。重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であることにより、ラップフィルムの機械強度がより向上する傾向にある。重量平均分子量が上記範囲内である塩化ビニリデン系樹脂は、例えば、塩化ビニリデンモノマーと塩化ビニルモノマーの仕込み比率や、重合開始剤の量、又は重合温度を制御することにより得ることができる。なお、本実施形態において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー法(GPC法)により、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。
塩化ビニリデン系樹脂の含有量は、ラップフィルムの総量に対して、好ましくは89〜99質量%であり、より好ましくは93〜97質量%である。塩化ビニリデン系樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、添加剤等による可塑化効果によってフィルムが伸びやすくなるのを抑制でき、フィルムのカット性が一層高くなる傾向にある。なお、ラップフィルムから各成分の含有量を測定する方法は分析対象物によって異なる。例えば、塩化ビニリデン系樹脂の含有量は、ラップフィルムの再沈濾過物を真空乾燥し、質量測定して得ることができる。
(多孔質無機化合物)
本実施形態のラップフィルムは、多孔質無機化合物を含有する。多孔質無機化合物としては、特に制限されないが、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、シリカ−アルミナ、ゼオライト、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイトなどが挙げられる。このなかでも、マグネシウム化合物が好ましく、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイトがより好ましい。このような多孔質無機化合物を用いることにより、塩化ビニリデン系樹脂の炭化をより一層抑制でき、また、低摩擦化が達成される傾向にある。さらに、マグネシウム化合物を用いることで、ラップフィルムの色調変化が抑制される傾向にある。特に酸化マグネシウムは、低摩擦化と色調変化の抑制の効果が高く、好ましい。
多孔質無機化合物は、500℃で燃焼後も多孔質の維持が可能な無機化合物であればその形状等は特に制限されない。多孔質性の基準としては、BET式比表面積を用いることができる。多孔質無機化合物のBET式比表面積は、好ましくは3m2/g以上であり、より好ましくは10〜100m2/gであり、さらに好ましくは20〜40m2/gである。多孔質無機化合物のBET式比表面積が上記範囲内であることにより、溶融樹脂中の分散性が高くなり、炭化の抑制効果がより向上する傾向にある。BET式比表面積は、実施例に記載の方法により測定することができる。
多孔質無機化合物の平均粒子径は、好ましくは7μm以下であり、より好ましくは4μm以下であり、さらに好ましくは2μm以下である。多孔質無機化合物の平均粒子径が7μm以下であることにより、溶融樹脂中の分散性が高くなり、炭化の抑制効果がより向上し、透明性を表す指標であるHAZEが小さくなる傾向にある。また、多孔質無機化合物の平均粒子径の下限は、特に制限されないが、0.05μm以上であることが好ましい。
多孔質無機化合物の含有量は、ラップフィルムの総量に対して、好ましくは0.001〜1.0質量%であり、より好ましくは0.01〜0.9質量%であり、さらに好ましくは0.1〜0.4質量%である。多孔質無機化合物の含有量が0.001質量%以上であることにより、ラップフィルムの色調変化が抑制され、摩擦性がより低下する傾向にある。また、多孔質無機化合物の含有量が1.0質量%以下であることにより、ラップフィルムの透明性がより向上する傾向にある。
(エポキシ化植物油)
本実施形態のラップフィルムは、エポキシ化植物油を含有してもよい。エポキシ化植物油は、塩化ビニリデン系樹脂の押出加工用安定剤として作用し得る。エポキシ化植物油としては、特に限定されないが、一般的に、食用油脂をエポキシ化して製造されるものが挙げられる。具体的には、エポキシ化植物油は、例えば、エポキシ化大豆油(ESO)、エポキシ化アマニ油が挙げられる。これらのなかでも、エポキシ化大豆油が好ましい。このようなエポキシ化植物油を用いることにより、ラップフィルムの色調変化がより抑制され、化粧箱からのフィルムの引出性もより向上する傾向にある。
本実施形態におけるエポキシ化植物油の含有量は、ラップフィルムの総量に対して、好ましくは0.5〜3質量%であり、より好ましくは1〜2.5質量%であり、さらに好ましくは1〜2質量%である。エポキシ化植物油の含有量が0.5質量%以上であることにより、ラップフィルムの品質変化がより抑制される傾向にある。また、エポキシ化植物油の含有量が3質量%以下であることにより、ラップフィルムの色調変化がより抑制され、ブリードによるべたつきが抑制される傾向にある。なお、ラップフィルムから各成分の含有量を測定する方法は分析対象物によって異なる。例えば、エポキシ化植物油の含有量は、ラップフィルムの再沈濾液をNMRで分析して得ることができる。
具体的には、サンプルを50mg秤量し、重溶媒(溶媒:重水素化THF、内部標準:テレフタル酸ジメチル、容量:0.7ml)に溶かし、400MHzプロトンNMR(積算回数:512回)測定し、8.05〜8.11ppmの積分値に対する2.23〜2.33ppmの積分値の比を積分比とし、絶対検量線法で定量値を計算することで、得ることができる。
積分比 = 積分値(2.23〜2.33ppm)/積分値(8.05〜8.11ppm)
(クエン酸エステル)
本実施形態のラップフィルムは、クエン酸エステルを含有してもよい。クエン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、アセチルクエン酸トリ−n−(2−エチルヘキシル)などがある。これらのなかでも、アセチルクエン酸トリブチルが好ましい。このようなクエン酸エステルを用いることにより、少量でも塩化ビニリデン系樹脂が十分に可塑化され、成形加工性がより向上する傾向にある。
クエン酸エステルの含有量は、ラップフィルムの総量に対して、好ましくは1〜8質量%であり、より好ましくは2〜6質量%であり、さらに好ましくは3〜5質量%である。クエン酸エステルの含有量が上記範囲内であることにより、成形加工性がより向上する傾向にある。なお、ラップフィルムから各成分の含有量を測定する方法は分析対象物によって異なる。クエン酸エステルの含有量は、アセトン等の有機溶媒を用いてラップフィルムから添加剤を抽出し、ガスクロマトグラフィー分析して得ることができる。
(二塩基酸エステル)
本実施形態のラップフィルムは、二塩基酸エステルを含有してもよい。二塩基酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジn−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジオクチル等のアジピン酸エステル;アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸オクチル等のアゼライン酸エステル;セバシン酸ジブチル(DBS)、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等のセバシン酸エステル;フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステルが挙げられる。これらのなかでも、脂肪族二塩基酸エステルが好ましく、セバシン酸ジブチルがより好ましい。このような二塩基酸エステルを用いることにより、少量でも塩化ビニリデン系樹脂が十分に可塑化され、成形加工性がより向上する傾向にある。
二塩基酸エステルの含有量は、ラップフィルムの総量に対して、好ましくは1〜8質量%であり、より好ましくは2〜6質量%であり、さらに好ましくは3〜5質量%である。二塩基酸エステルの含有量が上記範囲内であることにより、成形加工性がより向上する傾向にある。なお、ラップフィルムから各成分の含有量を測定する方法は分析対象物によって異なる。クエン酸エステル及び二塩基酸エステルの含有量は、アセトン等の有機溶媒を用いてラップフィルムから添加剤を抽出し、ガスクロマトグラフィー分析して得ることができる。
クエン酸エステルと二塩基酸エステルの合計含有量は、ラップフィルムの総量に対して、好ましくは1〜8質量%であり、より好ましくは2〜6質量%であり、さらに好ましくは3〜5質量%である。クエン酸エステルと二塩基酸エステルの合計含有量が上記範囲内であることにより、成形加工性がより向上し、エポキシ化植物油を高含有した時のラップフィルムのブリードによる過度なべたつきが抑制される傾向にある。
(その他の添加剤)
本実施形態のラップフィルムは、エポキシ化植物油、クエン酸エステル、及び二塩基酸エステル以外の添加剤を含んでもよい。このような添加剤としては、特に限定されないが、例えば、上記以外の可塑剤、上記以外の安定剤、耐候性向上剤、染料又は顔料等の着色剤、防曇剤、抗菌剤、滑剤、核剤、ポリエステル等のオリゴマー、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)等のポリマー等が挙げられる。
クエン酸エステル及び二塩基酸エステル以外の可塑剤としては、特に限定されないが、具体的には、グリセリン、グリセリンエステル、ワックス、流動パラフィン、及びリン酸エステル等が挙げられる。可塑剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
エポキシ化植物油以外の安定剤としては、特に限定されないが、具体的には、2,5−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4'−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)ブロピオネート、及び4,4'−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)等の酸化防止剤;ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、2−エチル−ヘキシル酸塩、イソデカン酸塩、ネオデカン酸塩、及び安息香酸カルシウム等の熱安定剤が挙げられる。安定剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
耐候性向上剤としては、特に限定されないが、具体的には、エチレン−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾリトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、及び2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。耐候性向上剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
染料又は顔料等の着色剤としては、特に限定されないが、具体的には、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、及びベンガラ等が挙げられる。着色剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
防曇剤としては、特に限定されないが、具体的には、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。防曇剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
抗菌剤としては、特に限定されないが、具体的には、銀系無機抗菌剤等が挙げられる。抗菌剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
滑剤としては、特に限定されないが、具体的には、エチレンビスステロアミド、ブチルステアレート、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル等の脂肪酸炭化水素系滑剤、高級脂肪酸滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、及び脂肪酸エステル滑剤等が挙げられる。滑剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
核剤としては、特に限定されないが、具体的には、リン酸エステル金属塩等が挙げられる。核剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
その他の添加剤の含有量は、ラップフィルムの総量に対して、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。また、その他の添加剤の含有量の下限は、特に限定されないが、ラップフィルムの総量に対して、0質量%以上である。
(ラップフィルムの厚み)
本実施形態のラップフィルムの厚みは、好ましくは6〜18μmであり、より好ましくは9〜12μmである。ラップフィルムの厚みが上記範囲内であることにより、フィルム切れのトラブルが抑制され、カット性がより向上し、密着性もより向上する傾向にある。
より具体的には、厚みが6μm以上であることにより、ラップフィルムのTD方向及びMD方向における引張強度がより向上し、使用時のフィルム切れがより抑制される。また、厚みが6μm以上であることにより、引裂強度の著しい低下が少ない。そのため、巻回体からラップフィルムを引き出す際、及び化粧箱の中に巻き戻ったフィルム端部を摘み出す際において、化粧箱付帯の切断刃でカットされた端部からラップフィルムが裂けるトラブルがより抑制される。
一方、厚みが18μm以下であることにより、化粧箱付帯の切断刃でラップフィルムをカットするのに必要な力を低減することができ、カット性がより向上する。また、厚みが18μm以下であることにより、ラップフィルムが容器形状にフィットしやすく、容器への密着性がより向上する。
(引裂強度)
本実施形態のラップフィルムのTD方向の引裂強度は、好ましくは2〜6cNであり、より好ましくは2.5〜4cNである。TD方向の引裂強度が2cN以上であることにより、特に巻回体からラップフィルムを引き出す際の裂けを低減でき、また、ラップフィルム使用時の意図しない裂けトラブルを抑制できる傾向にある。一方、TD方向の引裂強度が6cN以下であることにより、化粧箱に付帯する鋸刃でフィルムをTD方向にカットする際に裂きやすく、カット性が向上する傾向にある。
本実施形態のラップフィルムのTD方向の引裂強度は、塩化ビニリデン系樹脂の組成、添加剤組成、フィルムの延伸倍率、延伸速度、及びフィルムの厚み等によって調整することができる。特に限定されないが、例えば、TD方向の引裂強度はTD方向の延伸倍率を低くしたり、ラップフィルムを厚くすることによって、向上する傾向にあり、TD方向の延伸倍率を高くしたり、ラップフィルムを薄くすることによって、低下する傾向にある。なお、引裂強度は、実施例に記載の方法によって測定される。
(引張弾性率)
本実施形態のラップフィルムのMD方向の引張弾性率は、好ましくは250〜600MPaであり、より好ましくは350〜550MPaである。MD方向の引張弾性率が250MPa以上であることにより、鋸刃でフィルムをカットするために力を加える際、フィルムのMD方向への延びを抑制でき、鋸刃がフィルムに食い込みやすくでき、カット性が向上する傾向にある。一方、MD方向の引張弾性率が600MPa以下であることにより、フィルムが軟らかく、鋸刃の形状に沿ってフィルムをきれいにカットでき、切断端面に多数の裂け目が発生するのを抑制できる傾向にある。その結果、巻回体からフィルムを引き出す際、及び化粧箱の中に巻き戻ったフィルム端部を摘み出す際、切断端面からフィルムが裂けるトラブルが発生することを抑制できる傾向にある。
本実施形態のラップフィルムのMD方向の引張弾性率は、塩化ビニリデン系樹脂の組成、添加剤組成、フィルムの延伸倍率、及び延伸速度等によって調整できる。特に限定されないが、例えば、MD方向の引張弾性率は、延伸倍率を高くしたり、添加剤量を低減したりすることによって、向上する傾向にある。なお、引張弾性率は、実施例に記載の方法によって測定される。
(低温結晶化開始温度)
本実施形態のラップフィルムにおいては、流通過程や保管時に受ける熱履歴により、ラップフィルムが物理劣化し、それに起因して生じる裂けトラブルを、低温結晶化開始温度により抑制する。低温結晶化開始温度は、ラップフィルム製造後の流通・倉庫保管時に高温下に晒されて形成・成長した微結晶の熱安定性を示す指標であり、低温結晶化開始温度により、分子鎖の再配列の程度、すなわち、ラップフィルムの物理的劣化による裂けトラブルの発生しやすさを評価することができる。
上記観点から、本実施形態のラップフィルムの温度変調型示差走査熱量計(以下、「温度変調型DSC」ともいう)にて測定される低温結晶化開始温度は、好ましくは40〜60℃であり、より好ましくは40〜55℃であり、さらに好ましくは40〜50℃である。低温結晶化開始温度が上記範囲内であることにより、ラップフィルムのカット性を維持しつつ、裂けトラブルを抑制することができる傾向にある。以下、詳細について説明する。
従来のラップフィルムの低温結晶化開始温度は、60℃を超えるものであった。これに対して、本実施形態のラップフィルムの低温結晶化開始温度は60℃以下であり、より低い温度に設定される。低温結晶化開始温度が上記範囲内であることにより、分子鎖の再配列が抑制され、ラップフィルムの裂けトラブルがより抑制される傾向にある。
より具体的には、低温結晶化開始温度の相違に伴い、本実施形態のラップフィルムと従来のラップフィルムとは、熱を受けた場合の挙動が相違する。例えば、従来のラップフィルムでは、流通時及び倉庫保管時に20℃以上の雰囲気下に長時間晒されると、塩化ビニリデン系樹脂の分子鎖が再配列を起こし、微結晶の形成・成長が起こると考えられる。このような分子鎖の再配列は、製造したラップフィルムの分子鎖の配向やフィルムの応力が十分に緩和していないために発生すると推定される。ラップフィルムが高温に晒されるほど、分子鎖の再配列は起こりやすくなるため、フィルムが物理的に劣化し、裂けトラブルを誘発しやすくなると考えられる。
これに対して、本実施形態のラップフィルムでは、製造時に十分に塩化ビニリデン系樹脂の分子鎖の配向やフィルムの応力を緩和させることで、低温結晶化開始温度を60℃以下とする。これにより、本実施形態のラップフィルムでは、流通時及び倉庫保管時に20℃以上に長時間晒されても、分子鎖の再配列が起こりにくく、フィルムの劣化、さらには裂けトラブルが抑制される。その結果、カット性を維持しつつも、裂けトラブルを抑制するという背反する課題を同時に達成することができる。
一方で、本発明者らが検討したところ、ラップフィルム製造後にガラス転移温度以下である−30℃で保管した場合の低温結晶化開始温度は、40℃であった。すなわち、ラップフィルムが製造後に全く熱を受けていないとみなせる場合の低温結晶化開始温度は40℃であった。低温結晶化開始温度がこの温度に近いほど、分子鎖の再配列、さらには、裂けトラブルを抑制できると考えられることから、低温結晶化開始温度の温度範囲の下限は40℃としている。
なお、低温結晶化開始温度を上記範囲に調整する方法は、特に限定されないが、例えば、十分に塩化ビニリデン系樹脂の分子鎖の配向やフィルムの応力を緩和させる方法が挙げられる。より具体的には、ラップフィルムを低温下で所定時間保管する方法が挙げられる。
ここで、「低温結晶化開始温度」とは、温度変調型DSCによる昇温測定で得られる非可逆成分の温度−熱流曲線において、低温結晶化に起因する発熱ピーク(JIS K7121に記載の方法と同様に、昇温測定において低温側のベースラインを高温側に延長した線と、結晶化ピークの低温側の曲線にこう配が最大になる点で引いた接線の交点の温度)をいう。
低温結晶化開始温度の測定方法の一例について説明する。まず、パーキンエルマー社製示差走査熱量測定装置(DSC)(入力補償型ダブルファーネス DSC 8500)を使用し、ステップスキャン測定モードにより、非可逆成分の温度−熱流曲線を得る。この際のステップスキャン測定の条件は、測定温度を0〜180℃、昇温速度を10℃/minとし、昇温ステップ幅を4℃とし、等温時間を1minとする。得られた温度−熱流曲線において、低温結晶化に起因する発熱ピークの補外開始温度を低温結晶化開始温度とする。
示差走査熱量計の昇温測定では、結晶化と結晶融解が競争して起こる。そのため、従来のDSC測定方法では微結晶の形成・成長と融解に由来する熱流が相殺されてしまい、微結晶の熱挙動を検討することは難しく、従来のラップフィルムと本実施形態のラップフィルムを区別することが困難であった。一方、温度変調型DSCを利用した場合、結晶化等の非可逆成分と結晶融解やガラス転移等の可逆成分の熱流に分離することができ、微結晶の熱挙動を評価することが可能である。そのため、本実施形態の低温結晶化開始温度の測定においては、温度変調型DSCを用いる。
〔ラップフィルムの製造方法〕
本実施形態のラップフィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、塩化ビニリデン系樹脂と、多孔質無機化合物とを含む組成物を溶融押し出しして、フィルム状にする工程と、得られたフィルムをMD方向及びTD方向に延伸する工程と、を有する方法が挙げられる。以下、詳説する。
(混合工程)
図1に、ラップフィルムの製造工程の一例の概略図を示す。まず、混合機により、塩化ビニリデン系樹脂と、多孔質無機化合物と、を混合して組成物を得る。この際、必要に応じて各種添加剤を混合してもよい。混合機は、特に限定されないが、例えば、リボンブレンダー等を用いることができる。得られた組成物は、1〜30時間程度熟成させて次の工程に用いることが好ましい。
(溶融押出工程)
次いで、得られた組成物を押出機1により溶融し、ダイ2のダイ口3から管状のフィルムを押し出し、ソック4を形成する。
(冷却工程)
ソック4の内側にソック液5を注入し、ソック4の外側は冷水槽6の冷水に接触させる。これにより、ソック4は、内側と外側の両方から冷却され、ソック4を構成するフィルムは固化する。固化したソック4は、第1ピンチロール7により折り畳まれ、パリソン8を成形する。
(延伸工程)
続いて、パリソン8の内側にエアを注入することにより、パリソン8を開口し、環状のフィルムを形成する。このとき、ソック4の内面に当たる部分に塗布されたソック液5はパリソン8の開口剤としての効果を発揮する。次いで、パリソン8は、開口した状態で、温水により延伸に適した温度まで再加熱される。パリソン8の外側に付着した温水は、第2ピンチロール9にて搾り取られる。
上記のようにして適温まで加熱されたパリソン8の内側にエアを注入してバブル10を成形する。このエアが内側からパリソンを押し広げることで、フィルムが延伸され、延伸フィルムが得られる。主にTD方向のフィルムの延伸は、エアの量により行われ、MD方向のフィルムの延伸は、第2ピンチロール9と第3ピンチロール11等を用いてフィルムの流れ方向に張力を掛けることにより行われる。
第1ピンチロール7から第3ピンチロール11までの工程を延伸工程という。延伸速度を遅くするとパリソン8の延伸性が向上するため、従来のラップフィルムの製造方法においては、MD方向の延伸速度を0.08倍/s以下に調整し、TD方向の延伸速度を3.0倍/s以下に調整していた。これに対して、結晶化開始温度が40〜60℃に制御された本実施形態のラップフィルムの製造方法では、MD方向及びTD方向の延伸倍率と、MD方向及びTD方向の延伸速度を所定の範囲に調整することが好ましい。
具体的には、本実施形態の延伸工程におけるMD方向及びTD方向の延伸倍率は、各々独立して、好ましくは4〜6倍である。ここで、MD方向の延伸倍率は、パリソン8をMD方向に伸ばした延伸比をいい、例えば、図1においては、第1ピンチロール7の回転速度に対する第3ピンチロール11の回転速度の比によって算出することができる。TD方向の延伸倍率は、パリソン8をTD方向に伸ばした延伸比をいい、例えば、図1においては、パリソン8の幅の長さに対するダブルプライフィルム12の幅の長さの比によって算出することができる。MD方向の延伸倍率は、例えば、第1ピンチロール7と第3ピンチロール11の回転速度比により調整することができ、TD方向の延伸倍率は、例えば、パリソン8の延伸温度やバブル10の大きさで調整することができる。
また、本実施形態の延伸工程におけるMD方向の延伸速度は、好ましくは0.09〜0.12倍/sである。MD方向の平均延伸速度は、パリソンが第1ピンチロール7と第3ピンチロール11の間を通過する時間に対するMD方向への延伸倍率をいい、例えば、図1においては、第1ピンチロール7の回転速度、第3ピンチロール11の回転速度、及びパリソン8が第1ピンチロール7と第3ピンチロール11間を通過するのに要する時間によって算出することができる。MD方向の延伸速度は、例えば、第1ピンチロール7や第3ピンチロール11の回転速度、又は、第1ピンチロール7と第3ピンチロール11の間の距離により、調整することができる。
さらに、本実施形態の延伸工程におけるTD方向の延伸速度は、好ましくは3.1〜4.0倍/sである。TD方向の平均延伸速度は、パリソン8がバブル10まで膨らむのに要する時間に対するTD方向への延伸倍率をいい、例えば、図1においては、パリソン8及びバブル10の静止画像を利用して測定した延伸長と第3ピンチロール11の回転速度から算出したTD方向の延伸に要する時間と、TD方向の延伸倍率から算出できる。TD方向の延伸速度は、例えば、第3ピンチロール11の回転速度により調整することができる。
延伸温度は、特に限定されないが、好ましくは30〜45℃である。
上記延伸工程後、延伸フィルムは、第3ピンチロール11で折り畳まれ、ダブルプライフィルム12となる。ダブルプライフィルム12は、巻き取りロール13にて巻き取られる。
(緩和工程)
本実施形態のラップフィルムの製造方法においては、延伸直後のラップフィルムを緩和する緩和工程を有することが好ましい。ラップフィルムの製造方法において比較的一般に行われる緩和方法は、延伸後に赤外ヒーター等の熱を利用してフィルムを緩和させるものである。しかしながら、本実施形態においては、この緩和工程に代えて、第3ピンチロール11より巻き取りロール13の回転速度を遅くすることで、延伸フィルムを緩和させること方法を用いることが好ましい。これは、本実施形態において、従来の熱を利用した緩和方法を利用した場合、熱によりフィルムの裂けの原因である微結晶の形成・成長が起こり、結晶化開始温度が60℃を超える可能性があるためである。
第3ピンチロール11と巻き取りロール13を用いた緩和工程における緩和比率は、好ましくは7〜15%であり、より好ましくは10〜14%である。緩和比率が15%以下であることにより、第3ピンチロール11と巻き取りロール13間でフィルムの弛みの発生により、シワの発生をより抑制できる傾向にある。また、緩和比率が7%以上であることにより、ラップフィルムを十分に緩和させることができ、高温に晒された場合であっても、分子鎖の再配列が発生するのを抑制し、低温結晶化開始温度を60℃以下にすることができる。またこれにより、裂けトラブルを低減できる傾向にある。ここで、「緩和比率」とは、第3ピンチロール11と巻き取りロール13間でダブルプライフィルム12を収縮させた比率をいい、例えば図1の場合、第3ピンチロール11の回転速度に対する巻き取りロール13の比率を利用して算出できる。
また、第3ピンチロール11と巻き取りロール13を用いた緩和工程の雰囲気温度は、好ましくは25〜32℃であり、より好ましくは28〜30℃である。雰囲気温度が上記範囲内であることにより、微結晶の形成・成長が抑制される傾向にある。
(スリット工程)
上記のようにして巻き取られたラップフィルムは、スリットされて、1枚のラップフィルムになるように剥がしながら巻き取られ、一時的に1〜3日間原反の状態で保管される。最終的には原反から紙管に巻き返され、化粧箱に詰められることで、化粧箱に収納されたラップフィルム巻回体が得られる。
(保管工程)
本実施形態のラップフィルムの製造方法においては、ラップフィルムをスリットした後、原反の状態で保管する保管工程を行ってもよい。保管温度は、好ましくは19℃以下であり、より好ましくは5〜19℃であり、さらに好ましくは5〜15℃である。また、保管時間は、好ましくは20〜50時間であり、より好ましくは24〜40時間である。
保管の際の雰囲気温度により、フィルム裂けトラブル増加を誘発する微結晶の形成・成長を抑制することができる。一般に、原反の保管場所は、ラップフィルムの製造工程に隣接していたり、温調管理されていたりしない等のため、比較的高温下であることが多い。
これに対して、本実施形態のラップフィルムの製造方法においては、スリット原反保管時の雰囲気温度を19℃以下とすることにより、分子鎖の再配列によるフィルムの物理劣化を抑制できる傾向にある。これにより、巻回体からラップフィルムを引き出す際や、化粧箱の中に巻き戻ったフィルム端部を摘み出す際において、化粧箱付帯の切断刃でカットした端部からラップフィルムが裂けやすくなるのを抑制できる傾向にある。
また、スリット原反保管時の雰囲気温度が5℃以上であることにより、ラップフィルムを十分に緩和し、その後の流通・保管時に20℃以上に晒された場合、分子鎖の再配列が起こりにくくなる傾向にある。
そのため、スリット原反を上記保管条件ですることが好ましく、これにより、微結晶の形成・成長を抑制しつつ、非晶部の分子鎖を配向緩和させたフィルムが得られる。このように、原反保管時に分子鎖の配向を緩和させることにより、フィルムの流通及び保管時に高温下に晒されても微結晶が形成・成長しにくくなり、裂けトラブルを抑制することができる。
スリット原反は、保管後、特に限定されないが、例えば紙管等に巻き返され、巻回体16として、図2に示すようなフィルム切断刃15を備える化粧箱1収納される。図2に例示するように、ラップフィルム17は、使用時に引き出されて使用される。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた評価方法は、以下の通りである。
[塩化ビニリデン繰り返し単位の含有量]
ラップフィルムの塩化ビニリデン繰り返し単位の比率は、高分解のプロトン核磁気共鳴測定装置を用いて測定した。ラップフィルムの再沈濾過物を真空乾燥し、5質量%を重水素化テトラヒドロフランに溶解させた溶液を、測定雰囲気温度約27℃にてH−NMR測定した。たとえば塩化ビニリデンと塩化ビニルの共重合体に関しては、テトラメチルシランを基準とした共重合体の3.50〜4.20ppm、2.80〜3.50ppm、2.00〜2.80ppmのピークを利用して塩化ビニリデン繰り返し単位の含有量を計算した。
[フィルムの厚み]
ラップフィルムの出荷後の流通、及び家庭での保管を想定し、作製後のラップフィルムを28℃に設定した恒温槽にて1ヶ月間保管した後、ラップフィルムの厚みを測定した。測定にはダイアルゲージ(テクロック社製)を利用し、23℃、50%RHの雰囲気中で厚みの測定を行った。
[引裂強度]
ラップフィルムの引裂強度測定には軽荷重引裂試験機 D型(東洋精機製)を使用し、23℃、50%RHの雰囲気中にて引裂強度の測定を行った。ラップフィルムの出荷後の流通、及び家庭での保管を想定し、作製後のラップフィルムを28℃に設定した恒温槽にて1ヶ月間保管した後、測定を行った。ラップフィルムの引裂強度測定は、ラップフィルム1枚のみで行った。引裂方向のサンプル長さは63.5mmとし、サンプル幅は50.0mmとした。測定の際には、振り子を持ち上げてから止めた後、試験片を注意深くつまみ具に取り付け、スリットを入れる位置がフィルム幅の中央となるように、クランプをしっかりと締め付けた。その後、装置に取り付けられたナイフでフィルムにスリットを入れた後、振り子を注意深く解放し、試験片を引き裂くのに要した力の値を読み取った。引裂線がスリットの延長線より10mm以上それた試験は除外し、代わりに追加の試験片の試験を行った。また、測定結果は小数点第二位の値を四捨五入して切り上げ、整数で示した。
[引張弾性率]
ラップフィルムの引張弾性率測定にはオートグラフAG−IS(島津製作所製)を使用し、23℃、50%RHの雰囲気中にて引張弾性率の測定を行った。ラップフィルムの出荷後の流通、及び家庭での保管を想定し、作製後のラップフィルムを28℃に設定した恒温槽にて1ヶ月間保管した後、測定を行った。5mm/minの引張速度、チャック間距離100mm、フィルム幅10mmの条件で2%伸長時の荷重を測定し、測定サンプルの断面積で割り返してから、50倍にして引張弾性率を測定した。測定の際には、試験機の軸に試験片のMD方向が一致するように、つかみ具に取り付けた。試験片は、滑りを防ぐために、かつ、試験中につかみ部分がずれないように、つかみ具で均等にかつ、つかみ具間の圧力によって、試験片の割れ、及び、圧延が起きないように取り付けた。
[低温結晶化開始温度]
測定サンプルは、ラップフィルムの出荷後の流通、及び家庭での保管を想定し、作製後のラップフィルムを28℃に設定した恒温槽にて1ヶ月間保管したものを使用した。測定には、パーキンエルマー社製示差走査熱量測定装置(DSC)(入力補償型ダブルファーネス DSC 8500)を使用し、ステップスキャン測定モード(サンプル質量:6mg、サンプルパン材質:アルミ製、測定温度:0〜180℃、昇温速度:10℃/min、昇温ステップ幅:4℃、等温時間:1min)を利用した。空のアルミ製サンプルパンについても同様の条件にて測定し、これをブランクとした。ステップスキャン解析ソフト上で、測定サンプルとブランクとの差異を算出し、解析により得られた温度−熱流曲線の非可逆成分において、低温結晶化に起因する発熱が開始する温度を低温結晶化開始温度とした。
[BET式比表面積]
BET式比表面積は、Z 8830:2013 (ISO 9277:2010)に準拠して測定した。
[炭化によるパンク頻度]
押出成膜速度を10kg/hrとして8時間連続運転し、炭化によりインフレーションがパンクした回数を評価した。パンク回数が0回の場合は『◎』、1〜2回の場合は『○』、3回以上の場合は『△』とした。
[擦れ傷:低摩擦性]
ラップフィルムの出荷後の流通、及び家庭での保管を想定し、製造直後のラップフィルム巻回体を28℃に設定した恒温槽にて1ヶ月間保管したものを使用した。その後、流通時の振動を再現するために、振動試験機(アイデックス株式会社製、品番「BF−50UC」)を用いて、容器(化粧箱)内に収容されたラップフィルム巻回体を振動させた。振動試験は下記のとおりに行った。
まず、1つの直方体状の容器(化粧箱内寸;42mm×42mm×約233mm)内に巻回体を1本収容した巻回体収容体60個を、隙間ができないように段ボール箱(内寸28cm×46cm×24cm)に収容し、巻回体の長手方向が振動台に対し垂直になるように、振動台にベルトで固定した。23℃、相対湿度50%RHの雰囲気中で、振動試験機の『輸送包装モード』にて次の条件に設定し、振動試験を行った。(Lo周波数:5Hz、Hi周波数:30Hz、掃引時間30秒、掃引回数40回)
その後、23℃、相対湿度50%RHの雰囲気中で裂けトラブル評価を行った。評価者として、日常、食品包装用ラップフィルムを使用する100人を選出した。評価者は、収容体に収容された幅約23cmの巻回体からフィルムを50cm引き出した後、化粧箱に付帯するブリキ製のフィルム切断刃で切断する一連の作業を10回ずつ実施した。すなわち、100人が10回ずつで計1000回のうち、巻回体からフィルムを引き出す際に、裂けが発生し、円滑にフィルムが引き出せなかった回数から、フィルムの裂けトラブル発生率を導出した。
フィルムの裂けトラブル発生率は、以下の3段階で評価した。すなわち、裂けトラブル発生率が5%未満の場合は、裂けトラブルがほとんどなく、使い勝手に非常に優れるものとして「◎」、裂けトラブル発生率が5%以上10%未満の場合は、裂けトラブルが少なく、使い勝手に優れるものとして「○」、裂けトラブル発生率が10%以上の場合は、裂けトラブルが多く、使い勝手が悪いものとして「△」とした。
[透明度]
フィルムのHAZEはJIS−K−7136記載の方法で、HAZE測定器(日本電色製、品番「NDH−5000」)を用いて測定し、10%未満の場合を◎、10%以上30%未満を○、30%以上を△とした。
[実施例1]
重量平均分子量90,000の塩化ビニリデン系樹脂(塩化ビニリデン繰り返し単位が85質量%、塩化ビニル繰り返し単位が15質量%)93.2質量%、アセチルクエン酸トリブチル5.5質量%、エポキシ化植物油1.1質量%、多孔質無機化合物(酸化マグネシウム、協和化学社製、製品名キョーワマグ(登録商標)MF30、BET式比表面積30m2/g、平均粒径1μm)0.3質量%をリボンブレンダーにて30分間混合した。混合後、24時間以上熟成して組成物を得た。
得られた組成物を溶融押出機に供給して溶融し、押出機の先端に取り付けられた環状ダイから溶融押し出してソックを形成した。この際、環状ダイのスリット出口における溶融樹脂温度は170℃になるように押出機の加熱条件を調節し、環状に10kg/hrの押出速度で押し出した。
これをソック液と冷水槽で冷却した後、パリソンを開口してバブルを形成し、インフレーション延伸を行った。この際、MD方向は平均延伸速度0.11倍/sで4.1倍に延伸し、TD方向は平均延伸速度3.5倍/sで5.6倍に延伸して、筒状フィルム(バブル)を形成した。
得られた筒状フィルムをニップして扁平に折り畳んだ後、ピンチロールと巻き取りロールの速度比の制御によって、MD方向にフィルムを10%緩和させ、折幅280mmの2枚重ねのフィルムを巻取速度18m/minにて巻き取った。このフィルムを、220mmの幅にスリットし、1枚のフィルムに剥がしながら外径92mmの紙管に巻き直した。その後、30時間の間15℃で保管し、外径36mm、長さ230mmの紙管に20m巻き取ることで、厚み11μmのラップフィルムの巻回体を得た。
得られたラップフィルムの物性を前記測定方法によって測定した。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
塩化ビニリデン系樹脂の使用量を92.5質量%とし、多孔質無機化合物(協和化学社製、製品名キョーワマグ(登録商標)MF30)の使用量を1質量%としたこと以外は、実施例1と同様の操作により、ラップフィルムの巻回体を得た。
[実施例3]
塩化ビニリデン系樹脂の使用量を92.5質量%とし、多孔質無機化合物(協和化学社製、製品名キョーワマグ(登録商標)MF30)0.3質量%に代えて、多孔質無機化合物(タルク、日本タルク社製、製品名P−6、BET式比表面積10.5m2/g、平均粒径4μm)を1質量%用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により、ラップフィルムの巻回体を得た。
[実施例4]
多孔質無機化合物(協和化学社製、製品名キョーワマグ(登録商標)MF30)0.3質量%に代えて、多孔質無機化合物(水酸化マグネシウム、協和化学社製、製品名キスマ(登録商標)5、BET式比表面積6m2/g、平均粒径0.8μm)0.3質量%用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により、ラップフィルムの巻回体を得た。
[実施例5]
多孔質無機化合物(協和化学社製、製品名キョーワマグ(登録商標)MF30)0.3質量%に代えて、多孔質無機化合物(ハイドロタルサイト、協和化学社製、製品名アルカマイザー(登録商標)1、BET式比表面積8m2/g、平均粒径0.6μm)0.3質量%用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により、ラップフィルムの巻回体を得た。
[実施例6]
多孔質無機化合物(協和化学社製、製品名キョーワマグ(登録商標)MF30)0.3質量%に代えて、多孔質無機化合物(チタニア、石原産業製、製品名CR−EL、BET式比表面積6.8m2/g、平均粒径0.3μm)0.3質量%用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により、ラップフィルムの巻回体を得た。
[実施例7]
重量平均分子量90,000の塩化ビニリデン系樹脂(塩化ビニリデン繰り返し単位が85質量%、塩化ビニル繰り返し単位が15質量%)93.6質量%、アセチルクエン酸トリブチル5.5質量%、多孔質無機化合物(酸化マグネシウム、協和化学社製、製品名キョーワマグ(登録商標)MF30、BET式比表面積30m2/g、平均粒径1μm)1.0質量%とした以外は、実施例1と同様の操作により、ラップフィルムの巻回体を得た。
[実施例8]
塩化ビニリデン系樹脂の使用量を73.5質量%とし、多孔質無機化合物(協和化学社製、製品名キョーワマグ(登録商標)MF30)の使用量を20質量%としたこと以外は、実施例1と同様の操作により、ラップフィルムの巻回体を得た。
[比較例1]
塩化ビニリデン系樹脂の使用量を93.5質量%とし、多孔質無機化合物(協和化学社製、製品名キョーワマグ(登録商標)MF30)を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の操作により、ラップフィルムの巻回体を得た。
[比較例2]
多孔質無機化合物(協和化学社製、製品名キョーワマグ(登録商標)MF30)0.3質量%に代えて、多孔質ではない無機化合物(酸化マグネシウム、協和化学社製、パイオロキスマ(登録商標)5301、BET式比表面積1.4m2/g、平均粒径12μm)0.3質量%用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により、ラップフィルムの巻回体を得た。
[比較例3]
多孔質無機化合物(協和化学社製、製品名キョーワマグ(登録商標)MF30)0.3質量%に代えて、多孔質ではない無機化合物(シリカ、アドマテックス製、SO−C6、BET式比表面積2.0m2/g、平均粒径2.0μm)0.3質量%用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により、ラップフィルムの巻回体を得た。
Figure 2021038376
本発明のラップフィルムは、食品包装用及び調理用等に用いるラップフィルムとして産業上の利用可能性を有する。
1…押出機、2…ダイ、3…ダイ口、4…ソック(管状の組成物)、5…ソック液(インフレーション成形用剥離剤)、6…冷水槽、7…第1ピンチロール、8…パリソン、9…第2ピンチロール、10…バブル、11…第3ピンチロール、12…ダブルプライフィルム、13…巻き取りロール、14…化粧箱、15…フィルム切断刃、16…巻回体、17…ラップフィルム

Claims (10)

  1. 塩化ビニリデン繰り返し単位を72〜93質量%含有する塩化ビニリデン系樹脂と、
    多孔質無機化合物と、を含有する、
    ラップフィルム。
  2. TD方向の引裂強度が、2〜6cNである、
    請求項1記載のラップフィルム。
  3. MD方向の引張弾性率が、250〜600MPaである、
    請求項1又は2に記載のラップフィルム。
  4. 温度変調型示差走査熱量計にて測定される低温結晶化開始温度が、40〜60℃である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のラップフィルム。
  5. 厚みが、6〜18μmである、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のラップフィルム。
  6. クエン酸エステル及び二塩基酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含有し、
    該化合物の含有量が、前記ラップフィルムの総量に対して、3〜5質量%である、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のラップフィルム。
  7. 前記多孔質無機化合物が、マグネシウム化合物を含む、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のラップフィルム。
  8. 前記多孔質無機化合物の含有量が、前記ラップフィルムの総量に対して、0.001〜1.0質量%である、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載のラップフィルム。
  9. JIS K 7136記載の方法で測定したHAZE値が、1〜30%である、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載のラップフィルム。
  10. 塩化ビニリデン繰り返し単位を72〜93質量%含有する塩化ビニリデン系樹脂と、多孔質無機化合物と、を含有する組成物を溶融押し出しして、フィルム状にする工程と、
    得られたフィルムをMD方向及びTD方向に延伸する工程と、を有する、
    ラップフィルムの製造方法。
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