JP2014151777A - 車両用サンルーフ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】チルトアップ状態のまま開作動する可動パネルの開口量をより増加することができる車両用サンルーフ装置を提供する。
【解決手段】チェック機構の回転チェック30は、係合溝33を有して可動パネルの車両幅方向縁部に回動自在に連結され、駆動シュー40の車両前方への移動に伴い全閉状態にある可動パネルがチルトアップ状態に移行する際に可動パネルの移動を係止する回動位置にあり、チルトアップ状態において、駆動シュー40が更に車両前方に移動した後に車両後方に移動する際に係合溝33が係合突部43に押圧されることに伴う回動で可動パネルの移動係止を解除する回動位置に移動する。チルトアップ状態において、駆動シュー40の更なる車両前方への移動により係合突部43にて回転チェック30を押圧することで、その後に駆動シュー40が車両後方に移動する際に可動パネルが一体で移動するように係合突部43及び回転チェック30が係合される。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用サンルーフ装置に関するものである。
従来、車両用サンルーフ装置としては、例えば特許文献1に記載されたもの(いわゆる、アウタスライドサンルーフ)が知られている。この装置において、可動パネルを支持するリンク機構は、第1のシューの摺動動作により揺動動作するリヤリフトリンクと、第2のシューの摺動動作により揺動動作するフロントリフトリンクと、リヤリフトリンク及び第2のシューを連結しリヤリフトリンクの揺動動作により第2のシューを摺動動作させるコネクティングロッドとを備える。そして、第1のシューを摺動動作させると、リヤリフトリンクが揺動動作して可動パネルの後端を持ち上げ、その過程で、リヤリフトリンクの揺動動作がコネクティングロッドを介して第2のシューに伝わる。これに伴う第2のシューの摺動動作によって、フロントリフトリンクを揺動動作させ、可動パネルの前端を持ち上げる。以上により、可動パネルがチルトアップする。
この後、第1のシュー及び第2のシューを摺動させることで、可動パネルがチルトアップしたままアウタースライドして、ルーフパネルに形成された開口部を開状態とする。この場合、リヤリフトリンク及び第1のシューの間に設定された係合構造の作用によりリヤリフトリンクを揺動動作させることから、当該係合構造の設定によって、可動パネルのチルトアップ動作をゆっくりとした動作で行い得るとしている。
特開2000−108676号公報 特許第4109583号公報
ところで、特許文献1の車両用サンルーフ装置では、全閉状態から全開状態に至るまでに要する第1のシュー等の移動量(作動ストローク)が、全閉状態〜チルトアップ状態〜全開状態の移動量となる。このため、全閉状態からチルトアップ状態に移行するまでの第1のシュー等の移動量(以下、「チルト作動ストローク」ともいう)を増加すると、全開状態に移行するまでの該第1のシュー等の移動量、即ち可動パネルの開口量の確保が困難となる。
一方、チルト作動ストロークは、可動パネルが昇降する高負荷状態の区間に相当することから、より長く確保することが好ましい。仮に、チルト作動ストロークを減少すると、単位作動ストローク当たりの負荷が増大して、その分、第1のシュー等を駆動する電気的駆動源(モータなど)の大型化を余儀なくされる。
なお、特許文献2に記載された車両用サンルーフ装置(アウタスライドサンルーフ)では、シューの摺動するガイドレールが前部フレーム(ハウジング)を貫通するようにガイドレールを前方に突出させることが提案されている。これにより、例えば可動パネルの開口量を増加させ、あるいは可動パネルの開口量を損なうことなく該可動パネルの支持スパンを拡大させることができるとしている。
しかしながら、前部フレームにガイドレールを貫通させることによる可動パネルの開口量の増加等の効果は僅かであり、該開口量の確保が依然として困難である。
本発明の目的は、チルトアップ状態のまま開作動する可動パネルの開口量をより増加することができる車両用サンルーフ装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両の屋根部に形成された開口部を開閉する可動パネルと、前記開口部の車両幅方向縁部に設けられ、車両前後方向に延在するガイドレールと、前記可動パネルの車両幅方向縁部に連係されて、前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動自在に設けられ、電気的駆動源により移動駆動される摺動部材と、前記可動パネルの全閉状態において、前記摺動部材が車両前方に移動する際に前記可動パネルの移動を係止して該可動パネルの前側部位を支点に後側部位を上昇させてチルトアップ状態に移行させ、該チルトアップ状態において、前記摺動部材が更に車両前方に移動した後に車両後方に移動する際に前記チルトアップ状態を保持させて前記可動パネルの移動係止を解除するチェック機構と、前記摺動部材及び前記可動パネルの車両幅方向縁部の一方に支持される第1部材と、前記摺動部材及び前記可動パネルの車両幅方向縁部の他方に支持される第2部材とを有し、前記チルトアップ状態において、前記摺動部材の更なる車両前方への移動により前記第1部材及び前記第2部材の一方にて前記第1部材及び前記第2部材の他方を押圧することで、その後に前記摺動部材が車両後方に移動する際に前記可動パネルが一体で移動するように前記第1部材及び前記第2部材を係合させる係脱切替機構とを備え、前記チェック機構は、係合溝及び係合突部の一方を有して前記可動パネルの車両幅方向縁部に回動自在に連結され、前記可動パネルが前記全閉状態から前記チルトアップ状態に移行する際に前記可動パネルの移動を係止する回動位置にあり、前記チルトアップ状態において、前記摺動部材が更に車両前方に移動した後に車両後方に移動する際に該当の前記係合溝及び前記係合突部の一方が前記係合溝及び前記係合突部の他方に押圧されることに伴う回動で前記可動パネルの移動係止を解除する回動位置に移動する回転チェックを備えたことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用サンルーフ装置において、前記チェック機構は、係合凹部を有して前記ガイドレールに設けられたチェックブロックを備え、前記回転チェックは、前記係合溝を有して前記可動パネルの開閉作動の方向に交差する方向に延びる軸線周りに回動自在であるとともに前記係合凹部に係入する側に回動付勢され、前記全閉状態において前記係合凹部に係入する状態で回動係止されて前記摺動部材が車両前方に移動する際に前記可動パネルの移動を係止し、前記チルトアップ状態において前記摺動部材が更に車両前方に移動した際に該摺動部材に設けられた前記係合突部に前記係合溝が押圧されて前記係合凹部から外れるように回動案内されて前記可動パネルの移動係止を解除することを要旨とする。
上記各構成によれば、前記チルトアップ状態において、前記摺動部材が更に車両前方に移動した後に車両後方に移動すると、前記チェック機構により、前記チルトアップ状態が保持されて前記可動パネルの移動係止が解除される。すなわち、前記チルトアップ状態において、前記摺動部材が更に車両前方に移動した後に車両後方に移動する際に、前記可動パネルの移動を係止する回動位置にあった前記回転チェックが、それに設けられた前記係合溝及び前記係合突部の一方が前記係合溝及び前記係合突部の他方に押圧されることに伴う回動で前記可動パネルの移動係止を解除する回動位置に移動する。一方、前記係脱切替機構の前記第1部材及び前記第2部材のいずれか一方が前記第1部材及び前記第2部材のいずれか他方を押圧することで、その後に前記摺動部材が車両後方に移動する際に前記可動パネルが一体で移動するように前記第1部材及び前記第2部材が係合される。従って、前記可動パネルは、前記摺動部材と一体で車両後方に移動することで、前記チルトアップ状態のまま開放される。この場合、前記可動パネルの全開状態を規定する前記摺動部材等の最大の移動量は、前記可動パネルを前記チルトアップ状態にする際の逆方向(車両前方)の前記摺動部材の移動量に制約されることはない。従って、前記可動パネルの全開状態を規定する前記摺動部材等の最大の移動量、即ち前記可動パネルの開口量を増加することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両用サンルーフ装置において、前記第1部材は、車両幅方向に突設された前記係合突部であり、前記第2部材は、前記係合突部から離れる車両幅方向に付勢されて車両幅方向に延びる軸線周りに回動自在な前記回転チェックであって、前記チルトアップ状態において、前記摺動部材が更に車両前方に移動した後に車両後方に移動する際に前記係合突部に押圧されつつ案内部材により前記係合突部に近付く車両幅方向に案内されることで前記係合突部が挿入される挿入凹部を有する前記回転チェックであることを要旨とする。
同構成によれば、前記チルトアップ状態において、前記摺動部材が更に車両前方に移動した後に車両後方に移動する際に、前記回転チェック(第2部材)は、前記係合突部(第1部材)に押圧されつつ前記案内部材により前記係合突部に近付く車両幅方向に案内されることで、前記挿入凹部に前記係合突部が挿入される。これにより、前記回転チェック(第2部材)及び前記係合突部(第1部材)の前後方向の相対移動が規制される。そして、その後に前記摺動部材が車両後方に移動する際に前記可動パネルが一体で移動するように前記回転チェック(第2部材)及び前記係合突部(第1部材)が係合される。このように、前記チェック機構を構成する部材(回転チェック)を利用して前記係脱切替機構を構成することで、部品点数を削減することができる。
また、前記摺動部材及び前記回転チェックは、前記挿入凹部に前記係合突部が挿入される状態では、前記案内部材により車両幅方向に近付いた状態に案内・保持される。従って、例えば前記可動パネルの全開状態において、前記摺動部材及び前記回転チェックの車両幅方向の位置ずれを抑制することができ、ひいては前記回転チェックを支持する前記可動パネルの車両幅方向のがたつきを抑制することができる。
本発明は、チルトアップ状態のまま開作動する可動パネルの開口量をより増加できる効果がある。
(a)(b)は、本発明の一実施形態を模式的に示す側面図及び平面図であって、回転チェックの移動不能状態を示す側面図及び平面図。 同実施形態を模式的に示す側面図であって、係合突部が車両前方に移動する際の回転チェックとの接触状態を示す側面図。 (a)(b)は、同実施形態を模式的に示す側面図及び平面図であって、係合突部が車両前方に移動する際の回転チェックとの連結状態を示す側面図及び平面図。 (a)(b)は、同実施形態を模式的に示す側面図及び平面図であって、係合突部が車両後方に移動する際の回転チェックとの連結状態を示す側面図及び平面図。 同実施形態を模式的に示す側面図であって、係合突部が車両後方に移動する際の回転チェックとの連結状態を示す側面図。 (a)(b)は、同実施形態を模式的に示す側面図及び平面図であって、チェックブロックの後方で係合突部が車両前後方向に移動する際の回転チェックとの連結状態を示す側面図及び平面図。 同実施形態を模式的に示す側面図であって、回転チェックが移動不能状態となる直前の状態を示す側面図。 同実施形態を模式的に示す側面図であって、回転チェックが移動不能状態となる直後の状態を示す側面図。 (a)は、回転チェックを示す側面図であり、(b)は、(a)のA−A線に沿った断面図。 ルーフを斜め上方から見た斜視図。
本発明の一実施形態について説明する。なお、以下では、車両前後方向を「前後方向」といい、車両前方及び後方をそれぞれ「前方」及び「後方」といい、車両高さ方向上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。
図10に示すように、自動車などの車両の屋根部としてのルーフ10には、開口部としての略四角形のルーフ開口部10aが形成されるとともに、例えばガラス板からなる略四角形の可動パネル12を支持するサンルーフ装置11が搭載される。
可動パネル12は、その前側部位を支点に後側部位が上昇するチルトアップ作動及び前後方向へのスライド作動可能に取り付けられている。可動パネル12によるルーフ開口部10aの開閉作動においては、チルトアップ状態のままスライド作動する、いわゆるアウタースライディング式が採用されている。
次に、可動パネル12の開閉作動等に係るサンルーフ装置11の構造について説明する。なお、サンルーフ装置11は、基本的に可動パネル12の開閉作動に係る構造をルーフ開口部10aの車両幅方向両側に対で備えており、以下では車両幅方向片側の当該構造のみについて説明する。
ルーフ開口部10aの車両幅方向縁部には、図1(a)(b)に示すように、例えばアルミニウム合金の押出材からなる断面略一定のガイドレール14が前後方向に延設されている。このガイドレール14は、前後方向に延在する略長尺状の底壁部14aを有するとともに、該底壁部14aの車両幅方向一側端から上方に立設された略長尺状の縦壁部14bを有する。また、ガイドレール14は、縦壁部14bの上端及び車両高さ方向中間部から車両幅方向において底壁部14a側(図1(a)において紙面に直交する手前側)に該底壁部14aと略平行にフランジ壁部14c,14dをそれぞれ延出する。そして、ガイドレール14は、フランジ壁部14dを挟んでその下方及び上方に、車両幅方向に開口する断面略U字状の第1レール部14e及び第2レール部14fをそれぞれ形成する。なお、図1(b)に示すように、ガイドレール14には、底壁部14aの車両幅方向他側端から上方に略リブ状の規制壁部14gが立設されている。この規制壁部14gの突出長は、底壁部14a及びフランジ壁部14d間の車両高さ方向の距離よりも短く設定されている。
底壁部14aの前端部には、車両幅方向において規制壁部14g寄りに略四角形の切り欠き14hが形成されるとともに、該切り欠き14hには、例えば樹脂材からなるチェックブロック15が嵌着されている。このチェックブロック15は、基本的に底壁部14aと面一になるように広がる底壁部16を有するとともに、規制壁部14gの上端と面一になるように該規制壁部14gに連続してその後方に延びる略リブ状のブロック側規制壁部17を有する。
底壁部16の前後方向中間部には、下方に凹む断面略台形状の係合凹部16aが形成されている。そして、底壁部16は、その後端から係合凹部16aの後端に向かって車両幅方向に徐々に拡幅するとともに、該係合凹部16aの後端よりも前方で拡幅された略一定幅を有する。また、ブロック側規制壁部17は、底壁部16にならって、その後端から係合凹部16aの後端に向かって車両幅方向に縦壁部14bとの離隔距離が徐々に拡大されるように傾斜するとともに、該係合凹部16aの後端よりも前方で拡大された略一定の縦壁部14bとの離隔距離を有する。
ガイドレール14の第1レール部14eには、フロントシュー20が前後方向に移動自在に支持されている。すなわち、フロントシュー20は、車両幅方向に延在する略柱状のシュー部21を有しており、該シュー部21において第1レール部14eに前後方向に移動自在に装着されている。また、フロントシュー20は、シュー部21から後方に延出するアーム部22を有する。このアーム部22の前後方向中間部には、車両幅方向に開口する略円筒状の軸受部23が突設されている。
なお、フロントシュー20には、可動パネル12の前側部位の車両幅方向縁部が適宜のブラケット(図示略)を介して回動自在に連結されている。可動パネル12は、フロントシュー20との連結部位を支点に車両幅方向に延びる軸線周りに回動することで前述のチルトアップ作動等をするとともに、フロントシュー20が前後方向に移動することで前述のスライド作動をする。
フロントシュー20には、車両幅方向に延びる軸線周りに回転チェック30が回動自在に連結されている。すなわち、回転チェック30の前端部には、フロントシュー20に対向する車両幅方向に略円柱状の支持ピン31が突設されており、回転チェック30は、支持ピン31が軸受部23に挿入・軸支されることでシュー部21に回動自在に連結される。なお、回転チェック30は、支持ピン31が軸受部23に車両幅方向に移動自在に挿入されることでシュー部21に対する当該方向への移動が許容されている。
図1(a)に示すように、回転チェック30は、フロントシュー20に一方の端末の係止されたコイルスプリング35の他方の端末が係止されることで、フロントシュー20から車両幅方向に離れる側に付勢されている。これにより、回転チェック30は、チェックブロック15のブロック側規制壁部17に当接する車両幅方向の位置と、ガイドレール14の規制壁部14gに当接する車両幅方向の位置との間を当該方向に移動する。従って、回転チェック30は、基本的にブロック側規制壁部17(チェックブロック15)の位置にあるときにフロントシュー20から離れる車両幅方向の位置にあり、規制壁部14gの位置にあるときにフロントシュー20に近付く車両幅方向の位置にある。
回転チェック30の後端部には、主として下方に拡幅される頭部32が形成されるとともに、該頭部32のフロントシュー20に対向する端面から車両幅方向に凹む略鉤爪状の係合溝33が形成されている。この係合溝33は、上方に開口して前方に延びる第1溝部33aを有するとともに、該第1溝部33aの前端に連通して下向き斜め前方に延びる第2溝部33bを有し、更に該第2溝部33bの下端に連通して後方に延びる第3溝部33cを有する。第3溝部33cの後端は閉塞されている。
回転チェック30は、前記コイルスプリング35により図示時計回転方向に、即ち頭部32がチェックブロック15の底壁部16又はガイドレール14の底壁部14aに当接する側に回動付勢されている。そして、例えばコイルスプリング35に回動付勢される回転チェック30の頭部32が係合凹部16aに嵌入するとき、回転チェック30に連結されたフロントシュー20は、可動パネル12と共にガイドレール14に対する前後方向の移動が規制される。回転チェック30は、チェックブロック15と共にチェック機構を構成する。このとき、回転チェック30は、車両幅方向においてチェックブロック15のブロック側規制壁部17に当接する位置、即ちフロントシュー20から相対的に離れる位置にある。以下、フロントシュー20を移動係止するときの回転チェック30の回動位置を「係止位置」ともいう。
また、図3(a)又は図6(a)に示すように、コイルスプリング35に回動付勢される回転チェック30の頭部32がチェックブロック15の係合凹部16aから外れる底壁部16又はガイドレール14の底壁部14aに当接するとき、回転チェック30に連結されたフロントシュー20は、可動パネル12と共にガイドレール14に対する前後方向の移動係止が解除される。以下、フロントシュー20を移動係止を解除するときの回転チェック30の回動位置を「解除位置」ともいう。
なお、図9(a)(b)に併せ示すように、回転チェック30には、第3溝部33cの後端に、車両幅方向に開口する略円形の挿入凹部34が形成されている。
図1(a)に示すように、ガイドレール14の第2レール部14fには、フロントシュー20よりも後方で摺動部材としての駆動シュー40が前後方向に移動自在に支持されている。すなわち、駆動シュー40は、前後方向に延在するシュー部41を有しており、該シュー部41において第2レール部14fに前後方向に移動自在に装着されている。なお、駆動シュー40は、例えば電動モータなどの電気的駆動源(図示略)に駆動連結されており、ガイドレール14に沿って前後方向に移動駆動される。
また、駆動シュー40は、シュー部41の前後方向中央部からフランジ壁部14dの先端を迂回して下方に延出する取付片42を有する。この取付片42には、車両幅方向に略ピン状の係合突部43が突設されている。取付片42は、車両幅方向においてフロントシュー20及び回転チェック30間に配置されている。そして、係合突部43は、ガイドレール14に沿う前後方向の移動軌跡が、係止位置にある回転チェック30の第1溝部33aを通過するように配置されている。あるいは、図3(a)又は図6(a)に示すように、係合突部43は、ガイドレール14に沿う前後方向の移動軌跡が、解除位置にある回転チェック30の第3溝部33cを通過するように配置されている。
なお、駆動シュー40には、フロントシュー20の後方で可動パネル12の車両幅方向縁部が適宜のブラケット(図示略)を介して連係されている。そして、例えば可動パネル12が全閉状態にあるとき、可動パネル12に対して前方に移動すると、該可動パネル12側との連係位置を上昇させる。このような連係は、例えば可動パネル12側及び駆動シュー40の一方に形成した長孔又は長溝状のカム凹部と、該カム凹部に係入可能に可動パネル12側及び駆動シュー40の他方に突設したカムピンとの組み合わせによる周知の構造で実現される。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図1(a)(b)に示すように、まず、可動パネル12が全閉状態にあるものとして説明する。このとき、コイルスプリング35に回動付勢される回転チェック30は、その頭部32がチェックブロック15の係合凹部16aに嵌入する係止位置にあり、回転チェック30に連結されたフロントシュー20は、可動パネル12と共にガイドレール14に対する前後方向の移動が規制されている。一方、駆動シュー40は、フロントシュー20の後方に離れて配置されており、可動パネル12側との連係位置を相対的に下降させている。そして、回転チェック30の第1溝部33aは、係合突部43のガイドレール14に沿う前後方向の移動軌跡に臨んで後方に開口している。
この状態で、駆動シュー40がガイドレール14に沿って前方に移動すると、駆動シュー40は、回転チェック30に近付きつつ該回転チェック30により前後方向の移動の規制された可動パネル12に対して前方に移動することになる。これにより、可動パネル12は、駆動シュー40との連係位置が上昇することで、フロントシュー20との連結位置を中心に上昇する側に回動したチルトアップ状態となる。そして、可動パネル12のチルトアップ状態への移行を経て駆動シュー40が前方に更に移動すると、図2に示すように、係合突部43が係合溝33の第1溝部33aに進入してその前端(第2溝部33bの上端)に当接する。
この状態で、駆動シュー40がガイドレール14に沿って前方に更に移動すると、係合突部43に係合溝33の押圧される回転チェック30は、第2溝部33bの傾斜で受ける係合突部43の押圧力で、コイルスプリング35の付勢力に抗して図2において反時計回転方向に回動する。これにより、回転チェック30は、その頭部32がチェックブロック15の係合凹部16aから外れて係合突部43(駆動シュー40)と共に前方への移動が可能となる。そして、駆動シュー40が前方に更に移動すると、図3(a)(b)に示すように、係合突部43に係合溝33(第2溝部33b)の押圧される回転チェック30は、フロントシュー20及び可動パネル12と共に前方に移動する。このとき、係合凹部16aを乗り越えた回転チェック30の頭部32は、コイルスプリング35に付勢されて底壁部16に当接しており、係合溝33内の係合突部43は第2溝部33bの下端(第3溝部33cの前端)に当接する。
駆動シュー40の停止後、該駆動シュー40が反転して後方に移動すると、図4(a)(b)に示すように、係合突部43は第3溝部33cを空走しつつその後端に当接する。このとき、回転チェック30は、第3溝部33cに係合突部43が収まることで車両高さ方向への移動、即ち支持ピン31周りの回動が規制される。なお、係合突部43が第3溝部33cを空走する期間は、回転チェック30等を残置したまま駆動シュー40が後方に移動する。ただし、このときの駆動シュー40の移動量は僅少であり、可動パネル12はチルトアップ状態を保持することになる。
この状態で、駆動シュー40がガイドレール14に沿って後方に更に移動すると、図5に示すように、第3溝部33cに収まる係合突部43により回動規制された回転チェック30は、係合突部43に押圧されることで、頭部32を係合凹部16aに嵌入させることなくこれを通過して、フロントシュー20と一体で後方に移動する。このとき、駆動シュー40及び回転チェック30(フロントシュー20等)の前後方向の距離が一定に保たれることで、可動パネル12はチルトアップ状態を保持する。
この状態で、駆動シュー40がガイドレール14に沿って後方に更に移動すると、図6(a)(b)に示すように、係合突部43に押圧される回転チェック30は、チェックブロック15を通過してその後方のガイドレール14(底壁部14a)に到達する。このときも、駆動シュー40及び回転チェック30(フロントシュー20等)との前後方向の距離が一定に保たれることで、可動パネル12はチルトアップ状態を保持したまま後方への移動、即ち開作動を開始する。
加えて、回転チェック30は、チェックブロック15を通過する際にブロック側規制壁部17の傾斜する後端部に案内されることで、コイルスプリング35の付勢力に抗してフロントシュー20(及び駆動シュー40)に近付く車両幅方向に移動する。また、チェックブロック15を通過した回転チェック30は、ガイドレール14の規制壁部14gに当接されることで、フロントシュー20(及び駆動シュー40)に近付く車両幅方向の位置を保持する。このとき、第3溝部33cの後端(挿入凹部34)に位置する係合突部43は、回転チェック30の車両幅方向への移動に伴って挿入凹部34に挿入される。これにより、回転チェック30は、駆動シュー40に対する前後方向の移動も規制される。回転チェック30は、係合突部43と共に係脱切替機構を構成する。
つまり、駆動シュー40と共に回転チェック30がチェックブロック15の後方を前後方向に移動する際には、駆動シュー40の移動方向に関わらず該駆動シュー40及び回転チェック30(フロントシュー20等)の前後方向の距離が常時一定に保たれる。これにより、例えば駆動シュー40がガイドレール14に沿って後方に移動する際には、可動パネル12はチルトアップ状態を保持したまま後方に移動、即ち開作動をする。そして、可動パネル12は、その開作動に伴い全開状態に移行する。反対に、駆動シュー40がガイドレール14に沿って前方に移動する際には、可動パネル12はチルトアップ状態を保持したまま前方に移動、即ち閉作動をする。
可動パネル12の全開状態等で、回転チェック30が駆動シュー40と共にガイドレール14に沿って前方に移動しチェックブロック15に到達すると、コイルスプリング35により車両幅方向に付勢される回転チェック30は、ブロック側規制壁部17に規制される範囲でフロントシュー20(及び駆動シュー40)から離れる車両幅方向に移動する。このとき、挿入凹部34に挿入された係合突部43は、回転チェック30の車両幅方向への移動に伴って挿入凹部34から外れる。これにより、係合突部43(駆動シュー40)は、回転チェック30に対して前方に移動可能となる。同時に、回転チェック30は、その頭部32がチェックブロック15の係合凹部16a上に配置される。ただし、この段階では、係合突部43は、第3溝部33cの後端に位置しており、回転チェック30は、前述の態様で車両高さ方向への移動、即ち支持ピン31周りの回動が規制されたままである。
この状態で、駆動シュー40が前方に更に移動すると、図7に示すように、係合突部43は第3溝部33cを空走しつつその前端(第2溝部33bの下端)に当接する。この段階でも、回転チェック30は、傾斜する第2溝部33bの下端に係合突部43が位置することで、依然として支持ピン31周りの回動が規制されたままである。
駆動シュー40の停止後、該駆動シュー40が反転して後方に移動すると、図8に示すように、コイルスプリング35に回動付勢される回転チェック30は、第2溝部33bに沿って係合突部43を外しつつ支持ピン31周りに図示時計回転方向に回動して、その頭部32をチェックブロック15の係合凹部16aに嵌入する。これにより、回転チェック30は、フロントシュー20(及び可動パネル12)と共にガイドレール14に対する前後方向の移動が規制される。同時に、回転チェック30の第1溝部33aは、係合突部43のガイドレール14に沿う後方を開放する。
この状態で、駆動シュー40がガイドレール14に沿って後方に更に移動すると、駆動シュー40は、回転チェック30から離れつつ該回転チェック30により前後方向の移動の規制された可動パネル12に対して後方に移動する。これにより、可動パネル12は、駆動シュー40との連係位置が下降することで、フロントシュー20との連結位置を中心に下降する側に回動するチルトダウン作動をする。そして、可動パネル12の全閉状態への移行(復帰)に伴い駆動シュー40が停止する。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、可動パネル12のチルトアップ状態において、駆動シュー40が更に前方に移動した後に後方に移動すると、回転チェック30等により、チルトアップ状態が保持されて可動パネル12の移動係止が解除される。すなわち、チルトアップ状態において、駆動シュー40が更に前方に移動した後に後方に移動する際に、係止位置にあった回転チェック30が、係合溝33が係合突部43に押圧されることに伴う回動で解除位置に移動する。一方、係合突部43が回転チェック30(係合溝33)を押圧することで、その後に駆動シュー40が後方に移動する際に可動パネル12が一体で移動するように係合突部43及び回転チェック30が係合される。従って、可動パネル12は、駆動シュー40と一体で後方に移動することで、チルトアップ状態のまま開放される。この場合、可動パネル12の全開状態を規定する駆動シュー40等の最大の移動量は、可動パネル12を前記チルトアップ状態にする際の逆方向(前方)の駆動シュー40の移動量に制約されることはない。従って、可動パネル12の全開状態を規定する駆動シュー40等の最大の移動量、即ち可動パネル12の開口量を増加することができる。
(2)本実施形態では、チルトアップ状態において、駆動シュー40が更に前方に移動した後に後方に移動する際に、回転チェック30は、係合突部43に押圧されつつブロック側規制壁部17により係合突部43に近付く車両幅方向に案内されることで、挿入凹部34に係合突部43が挿入される。これにより、回転チェック30及び係合突部43の前後方向の相対移動が規制される。そして、その後に駆動シュー40が後方に移動する際に可動パネル12が一体で移動するように回転チェック30及び係合突部43が係合される。このように、チェック機構を構成する部材(回転チェック30)を利用して係脱切替機構を構成することで、部品点数を削減することができる。
また、駆動シュー40及び回転チェック30は、挿入凹部34に係合突部43が挿入される状態では、ブロック側規制壁部17及び規制壁部14gにより車両幅方向に近付いた状態に案内・保持される。従って、例えば可動パネル12の全開状態において、駆動シュー40及び回転チェック30の車両幅方向及び車両前後方向の位置ずれを抑制することができ、ひいては回転チェック30を支持する可動パネル12の車両幅方向及び車両前後方向のがたつきを抑制することができる。
(3)本実施形態では、可動パネル12の動作制御に係る回転チェック30の動作方向を、支持ピン31周りの回動方向及び軸線方向(車両幅方向)の二方向に設定するのみで、レバー状の簡易な構造のまま二つの機能(チェック機構、係脱切替機構)を付与することができる。
(4)本実施形態では、部品点数の削減に伴う構造の簡素化により、各機構の省スペース化を図ることができ、あるいは作動信頼性を向上させることができる。また、部品点数の削減によりコストを低減することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態においては、コイルスプリング35により、回転チェック30を支持ピン31周りに回動付勢させるとともに、回転チェック30を車両幅方向に付勢させた。これに対し、回転チェック30を支持ピン31周りに回動付勢する付勢部材と、回転チェック30を車両幅方向に付勢する付勢部材とを個別に設けてもよい。
・前記実施形態において、チェックブロック15は、ガイドレール14と別体であってもよいし、例えばアウトサート成形などでガイドレール14に一体に設けてもよい。
・前記実施形態において、回転チェック30は、チェックブロック15(係合凹部16a)との係合によって可動パネル12の前後方向の移動を規制したが、例えばガイドレール14の形状(切り欠き等)を利用して可動パネル12の前後方向の移動を規制してもよい。
・前記実施形態において、回転チェック30は、可動パネル12の開閉作動の方向に交差する方向に延びる軸線周りに回動自在であれば、その回動方向は任意である。
・前記実施形態においては、チェック機構として機能する回転チェック30に、係脱切替機構としての機能を付与した。これに対し、回転チェック30とは独立の係脱切替機構を別設してもよい。この場合、係脱切替機構の配置・構造等については任意である。
・本実施形態では、回転チェック30に係合溝33が形成され、駆動シュー40に係合突部43が突設されているがこれに限定されず、回転チェック30に係合突部が突設され、駆動シュー40に係合溝が形成されてもよい。
10…ルーフ(屋根部)、10a…ルーフ開口部(開口部)、12…可動パネル、14…ガイドレール、14g…規制壁部(案内部材)、15…チェックブロック(チェック機構)、16a…係合凹部、17…ブロック側規制壁部(案内部材)、30…回転チェック(チェック機構、第2部材、係脱切替機構)、33…係合溝、34…挿入凹部、35…コイルスプリング、40…駆動シュー(摺動部材)、43…係合突部(第1部材、係脱切替機構)。

Claims (3)

  1. 車両の屋根部に形成された開口部を開閉する可動パネルと、
    前記開口部の車両幅方向縁部に設けられ、車両前後方向に延在するガイドレールと、
    前記可動パネルの車両幅方向縁部に連係されて、前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動自在に設けられ、電気的駆動源により移動駆動される摺動部材と、
    前記可動パネルの全閉状態において、前記摺動部材が車両前方に移動する際に前記可動パネルの移動を係止して該可動パネルの前側部位を支点に後側部位を上昇させてチルトアップ状態に移行させ、該チルトアップ状態において、前記摺動部材が更に車両前方に移動した後に車両後方に移動する際に前記チルトアップ状態を保持させて前記可動パネルの移動係止を解除するチェック機構と、
    前記摺動部材及び前記可動パネルの車両幅方向縁部の一方に支持される第1部材と、前記摺動部材及び前記可動パネルの車両幅方向縁部の他方に支持される第2部材とを有し、前記チルトアップ状態において、前記摺動部材の更なる車両前方への移動により前記第1部材及び前記第2部材の一方にて前記第1部材及び前記第2部材の他方を押圧することで、その後に前記摺動部材が車両後方に移動する際に前記可動パネルが一体で移動するように前記第1部材及び前記第2部材を係合させる係脱切替機構とを備え、
    前記チェック機構は、
    係合溝及び係合突部の一方を有して前記可動パネルの車両幅方向縁部に回動自在に連結され、前記可動パネルが前記全閉状態から前記チルトアップ状態に移行する際に前記可動パネルの移動を係止する回動位置にあり、前記チルトアップ状態において、前記摺動部材が更に車両前方に移動した後に車両後方に移動する際に該当の前記係合溝及び前記係合突部の一方が前記係合溝及び前記係合突部の他方に押圧されることに伴う回動で前記可動パネルの移動係止を解除する回動位置に移動する回転チェックを備えたことを特徴とする車両用サンルーフ装置。
  2. 請求項1に記載の車両用サンルーフ装置において、
    前記チェック機構は、
    係合凹部を有して前記ガイドレールに設けられたチェックブロックを備え、
    前記回転チェックは、前記係合溝を有して前記可動パネルの開閉作動の方向に交差する方向に延びる軸線周りに回動自在であるとともに前記係合凹部に係入する側に回動付勢され、前記全閉状態において前記係合凹部に係入する状態で回動係止されて前記摺動部材が車両前方に移動する際に前記可動パネルの移動を係止し、前記チルトアップ状態において前記摺動部材が更に車両前方に移動した際に該摺動部材に設けられた前記係合突部に前記係合溝が押圧されて前記係合凹部から外れるように回動案内されて前記可動パネルの移動係止を解除することを特徴とする車両用サンルーフ装置。
  3. 請求項2に記載の車両用サンルーフ装置において、
    前記第1部材は、車両幅方向に突設された前記係合突部であり、
    前記第2部材は、前記係合突部から離れる車両幅方向に付勢されて車両幅方向に延びる軸線周りに回動自在な前記回転チェックであって、前記チルトアップ状態において、前記摺動部材が更に車両前方に移動した後に車両後方に移動する際に前記係合突部に押圧されつつ案内部材により前記係合突部に近付く車両幅方向に案内されることで前記係合突部が挿入される挿入凹部を有する前記回転チェックであることを特徴とする車両用サンルーフ装置。
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