JP4461876B2 - 車両用サンルーフ装置のデフレクタ - Google Patents

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Description

本発明は、車両用サンルーフ装置のデフレクタに関するものである。
公知のデフレクタとして、後述の特許文献1に記載のものがある。このデフレクタについて、図2を参照して説明する。なお、図2は、デフレクタの後述する格納位置を示す。
デフレクタ10は、車両のルーフ1の開口部1aに設けられている。開口部1aには、車両の前後方向に沿ってスライドするリッド6が取り付けられている。開口部1aはリッド6によって開閉される。デフレクタ10は、例えばウインドスロッブを低減するために開口部1aの風の流れを変化させるものである。
デフレクタ10は、開口部1aの前縁下部に上下回動可能に取り付けられるデフレクタプレート11と、後端部がピン12bを介して開口部1aの側縁部に上下回動可能に取り付けられると共に前縁部がデフレクタプレート11に取り付けられる左右のデフレクタアーム12とからなる。デフレクタプレート11とデフレクタアーム12は、図示しないスプリングによってルーフ1の上方に常時付勢されている。開口部1aが開いている時、スプリングによって付勢されたデフレクタプレート11とデフレクタアーム12はルーフ1の上方に回動しており、デフレクタ10がルーフ1の上方に展開している(展開位置)。
開状態にある開口部1aが閉じられる場合、図示しない駆動機構によってリッド6が車両の前方にスライドする。このリッド6のスライドに伴って、ブラケット7を介してリッド6に設けられたシュー16がデフレクタアーム12のガイド面13に沿って車両の前方に摺動し、デフレクタアーム12が展開位置から下方へと押し下げられるように回動し、デフレクタ10はルーフ1の下方に格納される(格納位置)。
一方、閉状態にある開口部1aが開かれる場合には、リッド6が車両の後方にスライドし、リッド6に設けられたシュー16がデフレクタアーム12のガイド面13に沿って車両の後方に摺動する。このとき、スプリングの付勢力によってデフレクタアーム12が格納位置から上方へと回動し、デフレクタ10はルーフ1の上方に展開する。
デフレクタ10においては、デフレクタアーム12のガイド面13のうち、車両の後方側にあたる所定範囲が、側面視で下方に凹んだ凹曲線をなす形状に形成されている。その結果、シュー16がデフレクタアーム12を押動し始める際にシュー6がデフレクタアーム12に対してなす角度が緩やかになり、デフレクタアーム12がルーフ1の下方に回動し始める際にシュー6に作用する荷重(反力)が軽減される。さらに、開口部1aが閉じられる場合、デフレクタアーム12がシュー16によって押動され始めてからルーフ1の下方に格納されるまでのシュー6の摺動量は、ガイド面13を側面視で直線状に形成する場合と比べて長くなる。その結果、デフレクタアーム12の急激な回動が緩和され、デフレクタ10はスムーズに回動する。
特開2000−190734号公報(第3頁、図2を参照)
ところで、デフレクタアーム12のガイド面13に凹形状の部位(凹状部)が形成されるため、ガイド面13の範囲において、デフレクタアーム12は、高さ方向において所定の厚みを持たなければならない。例えば、デフレクタアーム12の高さ方向の厚みが十分に無いと、デフレクタアーム12がルーフ1の下方に回動し始める際にシュー16に作用する荷重を所望のレベルにまで軽減できるだけの凹状部を確保できない。
このように、デフレクタアーム12のガイド面13に凹状部を形成することは、デフレクタアーム12の仕様(厚み)に関して制約をもたらす。
よって、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、デフレクタアームに凹状部を形成することなく、デフレクタアームがルーフの下方に回動し始める際にシューに作用する荷重を軽減することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明にて講じた技術的手段は、請求項1に記載の様に、車両のルーフの開口部に設けられる第1支持部に回動可能に支持されるデフレクタアームと、前記デフレクタアームに設けられるデフレクタパネルと、前記開口部の開閉にともなって該開口部の前後方向に移動するシューとを備える車両用サンルーフ装置のデフレクタにおいて、前記デフレクタパネルは前記デフレクタアームに支持されると共に、前記第1支持部を中心とした円弧軌跡上で回動し、前記デフレクタアームに回動可能に連結されると共に、前記開口部の前後方向に関して前記第1支持部から後方において該開口部に設けられる第2支持部に相対移動可能に支持されるサブアームをさらに備え、前記シューが前記サブアーム上を摺動することで前記デフレクタアームが回動する構成としたことである。
本発明によれば、開口部の第1支持部において開口部の前後方向に沿って延在する仮想面を基準面と定義する場合、デフレクタアームが回動する間、基準面とサブアームがなす角度は、基準面とデフレクタアームがなす角度よりも常に小さい。本発明では、開口部の前方に移動するシューがサブアーム上を摺動することで、サブアームがルーフの下方に押動され、デフレクタアームがルーフの下方に回動する。したがって、開口部の前方に移動するシューがサブアームを押動する際にサブアームから受ける荷重は、シューがデフレクタアームを押動する際にデフレクタアームから受ける荷重に比べて小さい。つまり、デフレクタアームがルーフの下方に回動し始める際に、シューに作用する荷重を軽減できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を基に説明する。図1は、本発明に係るデフレクタ10の構造を概略的に示す側面図である。デフレクタ10がルーフ1の上方に展開した状態(展開位置)が実線で示され、デフレクタ10がルーフ1の下方に格納された状態(格納位置)が2点鎖線で示されている。なお、同図においては、展開位置にあるデフレクタ10にのみ付番が付されている。
車両のルーフ1には、開口部1aが形成されている。開口部1aの左右方向(すなわち車両の左右方向)の各側縁には、ガイドレール2が設けられている。ガイドレール2は、開口部1aの前後方向(すなわち車両の前後方向)に沿って延在している。
デフレクタ10は、開口部1aが開口している状態で車両が走行する場合に発生するウインドスロッブを低減する。
デフレクタ10は、デフレクタアーム11と、デフレクタパネル12と、サブアーム13と、スライド部材14と、シュー15とを備えている。
デフレクタアーム11は、開口部1aの左右の側縁にそれぞれ配置され(図1においては片側のみ示す)、開口部1aの前後方向に沿って延在している。デフレクタアーム11の後端11aは、開口部1aのガイドレール2に設けられる支持ブラケット2a(第1支持部)にピンP1を介して軸支され、ルーフ1の上方及び下方に回動可能となっている。また、デフレクタアーム11は、図示しないスプリング等によって、ルーフ1の上方に回動するように常時付勢されている。
デフレクタパネル12は、例えば樹脂成形等によって、デフレクタアーム11に一体的に設けられている。デフレクタパネル12としては、デフレクタアーム11とは別体に設けたものを適用してもよい。デフレクタパネル12は、開口部1aの左右方向に沿って、開口部1aの左右の側縁にそれぞれ配置されたデフレクタアーム11間で延在している。
サブアーム13は、各デフレクタアーム11に対応して、開口部1aの左右の側縁にそれぞれ配置され(図1においては片側のみ示す)、開口部1aの前後方向に沿って延在している。サブアーム13の一端側13aは、デフレクタアーム11にピンP2を介して回動可能に連結され、サブアーム13の他端側13bは、開口部1aのガイドレール2に設けられるサブアームホルダ2b(第2支持部)にピンP3を介して回動可能に連結されている。この場合、サブアーム13の他端側13bに設けられるピンP3が、サブアームホルダ2bに設けられる長孔h1に挿通される構造となっている。つまり、サブアーム13の他端側13bは、サブアームホルダ2bに相対移動可能に支持されている。このサブアームホルダ2bは、デフレクタアーム11が軸支される支持ブラケット2aから開口部1aの前後方向に関して後方に距離を隔てて設けられている。なお、サブアーム13の他端側13bとサブアームホルダ2bとの連結構造に関しては、サブアーム13の他端側13bがサブアームホルダ2bに相対移動可能に支持される構造であれば良く、本実施形態のピンP3と長孔h1には限定されない。この場合、例えば、公知のスプライン構造を適用することができる。具体的には、オス型のスプラインをサブアーム13の他端側13bに形成し、このオス型のスプラインが嵌合可能なメス型のスプラインが形成された部材をサブアームホルダ2bに回動可能に連結する。このような構造とすることで、サブアーム13の他端側13bがサブアームホルダ2bに相対移動可能に支持される構造とすることができる。
スライド部材14は、各デフレクタアーム11に対応して、開口部1aの左右の側縁にそれぞれ配置され(図1においては片側のみ示す)、図示しない駆動機構によって、ガイドレール2に沿って開口部1aの前後方向にスライドする。スライド部材14には、シュー15が設けられている。シュー15は、スライド部材14から開口部1aの左右方向に延在するピン形状を呈している。シュー15は、スライド部材14のスライドに伴って開口部1aの前後方向に移動し、デフレクタアーム11ならびにサブアーム13上を摺動する。本発明では、シュー15がサブアーム13上を摺動する場合に、デフレクタアーム11が回動する。つまり、シュー15がサブアーム13上を摺動することで、デフレクタアーム11はルーフ1の上方及び下方に回動する。なお、シュー15の形状としては、本実施形態の様なピン形状に限られるものではなく、サブアーム13上をスムーズに摺動できる形状であれば良い。
また、スライド部材14には、図示しない取り付けブラケットを介してリッド16が連結されている。ガラス材等からなるリッド16は、開口部1aを開閉するものであり、スライド部材14のスライドに伴って、スライド部材14と共にガイドレール2に沿って開口部1aの前後方向にスライドする。つまり、スライド部材14に設けられるシュー15は、開口部1aの開閉にともなって開口部1aの前後方向にスライドするリッド16と共に、開口部1aの前後方向に移動する。
なお、以上の説明においては、デフレクタアーム11、サブアーム13、ならびにシュー15が開口部1aの左右の両側縁にそれぞれ配置される例を示したが、これらの部材が開口部1aの左右の何れか片方の側縁に配置される構造であってもよい。
以下、デフレクタ10が作動する態様について説明する。
開口部1aが閉じた状態にある場合、図1中2点鎖線で示す様に、スライド部材14に設けられるシュー15は、デフレクタアーム11上に位置している。前述した様に、デフレクタアーム11はルーフ1の上方に回動するように常時付勢されているが、シュー15がデフレクタアーム11上に位置しているので、デフレクタアーム11の上方への回動が規制された状態となっている。その結果、デフレクタアーム11、ならびにデフレクタアーム11に連結されるサブアーム13はルーフ1の下方に回動しており、デフレクタ10がルーフ1の下方に格納された状態(格納位置)となっている。
この状態から、図示しない駆動機構によって、スライド部材14がリッド16と共にガイドレール2に沿って図1中実線で示す位置まで開口部1aの後方にスライドすると、開口部1aが開いた状態となる。このスライド部材14がスライドする間、スライド部材14に設けられるシュー15は、図1中2点鎖線で示す位置から実線で示す位置まで、デフレクタアーム11ならびにサブアーム13上を摺動する。前述した様に、デフレクタアーム11は、ルーフ1の上方に回動するように常時付勢されている。したがって、シュー15がサブアーム13上で開口部1aの後方に摺動するにつれて、デフレクタアーム11ならびにサブアーム13は、図1中2点鎖線で示す位置から実線で示す位置までルーフ1の上方に回動する。つまり、シュー15がサブアーム13上を開口部1aの後方に摺動することで、デフレクタアーム11がルーフ1の上方に回動し、デフレクタ10がルーフ1の上方に展開した状態(展開位置)となる。
一方、開口部1aが開いた状態にある場合、図1中実線で示す様に、デフレクタアーム11ならびにサブアーム13は、ルーフ1の上方に回動し、デフレクタ10はルーフ1の上方に展開した状態(展開位置)となっている。このとき、スライド部材14に設けられるシュー15は、サブアーム13上に位置している。
この状態から、スライド部材14がリッド16と共にガイドレール2に沿って図1中2点鎖線で示す位置まで開口部1aの前方にスライドすると、開口部1aが閉じた状態となる。このスライド部材14がスライドする間、スライド部材14に設けられるシュー15は、図1中実線で示す位置から2点鎖線で示す位置まで、サブアーム13ならびにデフレクタアーム1上を摺動する。この場合、シュー15がサブアーム13上を開口部1aの前方に摺動するにつれて、サブアーム13はシュー15によりルーフ1の下方に押動されていき、サブアーム13は図1中2点鎖線で示す位置までルーフ1の下方に回動する。このとき、サブアーム13に回動可能に連結されたデフレクタアーム11も、付勢力に抗して図1中2点鎖線で示す位置までルーフ1の下方に回動する。つまり、シュー15がサブアーム13上を開口部1aの前方に摺動することで、デフレクタアーム11がルーフ1の下方に回動し、デフレクタ10がルーフ1の下方に格納された状態(格納位置)となる。
本発明のデフレクタ10によれば、サブアーム13の一端側13aは、デフレクタアーム11に回動可能に連結され、サブアーム13の他端側13bは、サブアームホルダ2bに相対移動可能に支持されている。サブアームホルダ2bは、デフレクタアーム11が支持される支持ブラケット2aからルーフ1の開口部1aの前後方向に関して後方に設けられている。ここで、開口部1aの前後方向に沿って延在するガイドレール2を基準面と定義すると、デフレクタアーム11が回動する間、基準面とサブアーム13がなす角度は、基準面とデフレクタアーム11がなす角度よりも常に小さい。本発明では、開口部1aの前方に移動するシュー15によって、サブアーム13がルーフ1の下方に押動され、デフレクタアーム11がルーフ1の下方に回動する。したがって、開口部1aの前方に移動するシュー15がサブアーム13を押動する際にサブアーム13から受ける荷重は、シュー15がデフレクタアーム11を押動する際にデフレクタアーム11から受ける荷重に比べて小さい。つまり、シュー15がサブアーム13を押動することでデフレクタアーム11がルーフ1の下方に回動し始める際に、シュー15に作用する荷重を軽減できる。なお、サブアーム13が追加されることで、背景技術の項で述べた様に凹状部をデフレクタアーム11に形成することなく、シュー15に作用する荷重を軽減できる。
さらに、前述した様に、デフレクタアーム11が回動する間、基準面とサブアーム13とがなす角度は、基準面とデフレクタアーム11とがなす角度よりも常に小さい。したがって、デフレクタアーム11が展開位置と格納位置との間で回動する間にシュー15が開口部1aの前後方向に移動する距離を、背景技術の様にシュー15がデフレクタアーム11上を摺動する場合と比べて長くとることができる。したがって、シュー15の移動する速度が一定である場合には、開口部1aの前後方向へのシュー15の移動に対するデフレクタアーム11の回動量が相対的に小さくなる。つまり、デフレクタアーム11の回動速度が減少するので、デフレクタ10の急激な回動が緩和され、デフレクタ10のスムーズな回動を実現できる。
さらに、ルーフ1に対するデフレクタ10の上方への突出量(展開高さ)をより大きくする必要がある場合にも、本発明の如くサブアーム13を追加することによって、デフレクタ10の展開高さの拡大にともなうデフレクタアーム11の回動速度の増加を抑制できる。
本発明のデフレクタの構造を概略的に描いた側面図である。 公知のデフレクタの構造を概略的に描いた側面図である。
符号の説明
1 ルーフ
1a 開口部
2a 支持ブラケット(第1支持部)
2b サブアームホルダ(第2支持部)
10 デフレクタ
11 デフレクタアーム
12 デフレクタパネル
13 サブアーム
15 シュー

Claims (1)

  1. 車両のルーフの開口部に設けられる第1支持部に回動可能に支持されるデフレクタアームと、
    前記デフレクタアームに設けられるデフレクタパネルと、
    前記開口部の開閉にともなって該開口部の前後方向に移動するシューと
    を備える車両用サンルーフ装置のデフレクタにおいて、
    前記デフレクタパネルは前記デフレクタアームに支持されると共に、前記第1支持部を中心とした円弧軌跡上で回動し、
    前記デフレクタアームに回動可能に連結されると共に、前記開口部の前後方向に関して前記第1支持部から後方において該開口部に設けられる第2支持部に相対移動可能に支持されるサブアームをさらに備え、
    前記シューが前記サブアーム上を摺動することで前記デフレクタアームが回動することを特徴とする車両用サンルーフ装置のデフレクタ。
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