JP2019043154A - サンルーフ装置 - Google Patents

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勇貴 小林
Yuki Kobayashi
勇貴 小林
竜登 柳谷
Tatsuto Yanagiya
竜登 柳谷
平田 哲也
Tetsuya Hirata
哲也 平田
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Abstract

【課題】可動パネルを閉塞動作させるときにリンクプレートを効率よく回動させることのできるサンルーフ装置を提供する。【解決手段】サンルーフ装置は、車両のルーフに形成される開口部を開閉する可動パネルと、可動パネルを支持するブラケットと、ブロック340に回動可能に支持されてブラケットを昇降させるとともに第1ピン351を有するリンクプレート350と、車両の上方に向かって斜めに延びた部位を有しており第1ピン351が係合する第1溝部313を備えるリヤシュー310と、リンクプレート350に回動可能に支持されたスライダ360とを備えている。リンクプレート350の回動中心軸R1と第1ピン351の中心軸R2との間の距離を第1距離L1とし、回動中心軸R1とスライダ360の回動中心軸R3との間の距離を第2距離L2としたときに、第1距離L1は第2距離L2以上の長さにされている。【選択図】図6

Description

本発明は、車両のサンルーフ装置に関する。
車両に搭載されるサンルーフ装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
この特許文献1に記載のサンルーフ装置は、車両のルーフに形成される開口部を開閉する可動パネルと、可動パネルを支持するブラケットと、ガイドレールと、ガイドレールに沿って移動するシュー本体と、このシュー本体の移動に伴って回動するリンクプレートとを備えている。そして、シュー本体の移動に伴ってリンクプレートが回動すると、リンクプレートの先端において摺動可能に係合されたブラケットが昇降することにより可動パネルの昇降動作が行われる。
特開2005−162063号公報
ところで、上昇状態になっている可動パネルを車両走行中に下降させることによりルーフの開口部を閉塞する場合には、ルーフの開口部を閉塞する直前において可動パネルの下降を阻害する大きな荷重がかかる。そのため、そうした荷重に対処するべく、可動パネルを下降させるときには、駆動源からリンクプレートに付与される力を十分に利用してリンクプレートを効率よく回動させることが望ましい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、可動パネルを閉塞動作させるときにリンクプレートを効率よく回動させることのできるサンルーフ装置を提供することにある。
上記課題を解決するサンルーフ装置は、車両のルーフに形成される開口部を開閉する可動パネルと、前記可動パネルを支持するブラケットと、前記開口部の車両の幅方向両縁部の各々に設けられたガイドレールと、駆動源から駆動力が伝達されることにより前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動する駆動シューと、前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動するとともに前記駆動シューに対して係脱可能なチェックと、前記チェックと一体になって前記ガイドレールに沿いながら車両前後方向に移動するシュー本体と、前記ガイドレールに固定されるブロックと、前記ブロックに回動可能に支持されて前記ブラケットを昇降させるリンクプレートと、前記リンクプレートに回動可能に支持されて前記ブラケットを車両前後方向に摺動するスライダと、を有している。また、前記リンクプレートは側面から突出したピンを有しており、前記シュー本体は、車両の上方に向かって斜めに延びた部位を有して前記ピンが係合する溝部を備えている。そして、前記ブロックに回動可能に支持された前記リンクプレートの回動中心軸と前記ピンの中心軸との間の距離を第1距離とし、前記回動中心軸と前記リンクプレートに回動可能に支持された前記ブラケットの回動中心軸との間の距離を第2距離としたときに、前記第1距離は前記第2距離以上の長さにされている。
同構成によれば、駆動シューの移動に伴ってシュー本体が移動すると、上記溝部における上記ピンの係合位置が変位することにより、リンクプレートが回動する。こうしたリンクプレートの回動を通じて上記スライダの位置が車両上下方向に変位することにより、ブラケットは昇降されて可動プレートの昇降動作が行われる。このように動作する同構成のサンルーフ装置では、リンクプレートの回動中心軸が支点、上記溝部と上記ピンとの係合部位が力点、スライダの回動中心軸が作用点になっている。
ここで、同構成では、リンクプレートの回動中心軸と上記ピンの中心軸との間の距離を第1距離とし、リンクプレートの回動中心軸と同リンクプレートに回動可能に支持された上記スライダの回動中心軸との間の距離を第2距離としたときに、第1距離の長さは第2距離の長さ以上にされている。つまり、支点と力点との間の距離である第1距離の長さは、支点と作用点との間の距離である第2距離の長さ以上にされており、リンクプレートにおけるレバー比が「1」以上になっている。そのため、力点である上記溝部及び上記ピンの係合部位に働く力よりも、作用点であるスライダの回動中心軸に作用する力の方が大きくなる。従って、第1距離の長さが第2距離の長さよりも短くレバー比が「1」未満になっている場合と比較して、可動プレートを閉じる際にスライダを下降させる力が大きくなるため、可動パネルを閉塞動作させるときにリンクプレートを効率よく回動させることができるようになる。
上記サンルーフ装置において、前記シュー本体に設けられた一対の側壁の間に前記リンクプレートは配置されており、前記側壁に挟まれた前記リンクプレートの両側面には前記ピンがそれぞれ設けられており、前記溝部は、前記シュー本体の前記一対の側壁にそれぞれ設けられていてもよい。
同構成によれば、溝部及びピンを介してリンクプレートの両側面から同リンクプレートを回動させる力が働くようになるため、リンクプレートが回動中心軸に対して傾くようにして回動することが抑えられるようになる。そのため、例えば溝部とピンとの摺動抵抗や、リンクプレートを回動可能に支持する軸部の摺動抵抗などを抑えることができる。
上記サンルーフ装置において、前記ブラケットの上昇が完了した状態において、前記リンクプレートの両側面に設けられた前記ピンの各先端面がそれぞれ対向する前記溝部の部位には、前記先端面に当接する突出部が設けられていてもよい。
同構成によれば、シュー本体に設けられた一対の側壁の各溝部にそれぞれ設けられた突出部が、リンクプレートの両側面にそれぞれ設けられたピンの各先端面に当接することにより、シュー本体に設けられた一対の側壁の間に配置されたリンクプレートとシュー本体との間のがたつきが抑えられる。ここで、同構成ではそうした突出部を、ブラケットの上昇が完了した状態においてリンクプレートのピンの先端面が対向する溝部の部位に設けている。そのため、ブラケットの上昇が完了した状態ではピンの先端面が突出部に当接するものの、ブラケットが下降した状態では突出部にピンの先端面が当接しないようになっている。従って、ブラケットの位置によらずピンの先端面が突出部に対して常に当接する場合と比較して、突出部やピンの先端面におけるへたり、あるいは摩耗等を抑えることができる。
上記サンルーフ装置において、前記ピンを第1ピンとし、前記溝部を第1溝部としたときに、前記リンクプレートは、側面から突出した第2ピンを有しており、前記シュー本体は、車両の上方に向かって斜めに延びた部位を有して前記第2ピンが係合する第2溝部を備えるようにしてもよい。
同構成によれば、シュー本体が移動すると、上記第2溝部における上記第2ピンの係合位置が変位することにより、リンクプレートが回動する。こうしたリンクプレートの回動を通じて上記スライダの位置が車両上下方向に変位することにより、ブラケットは昇降されて可動プレートの昇降動作が行われる。
そこで、上記第1溝部及び上記第1ピンの係合によるリンクプレートの回動途中に、同リンクプレートの回動を、上述した第2溝部及び第2ピンの係合によるリンクプレートの回動に切り換えることにより、単一の溝部及びピンでリンクプレートを回動させる場合と比較して、同じ回動量を確保するために必要な溝部の長さを短くすることができる。そのため、例えば溝部を備えるシュー本体をより小型化することも可能になる。
上記サンルーフ装置において、前記シュー本体に設けられた一対の側壁の間に前記リンクプレートは配置されており、前記側壁に挟まれた前記リンクプレートの両側面には前記第2ピンがそれぞれ設けられており、前記第2溝部は、前記シュー本体の前記一対の側壁にそれぞれ設けられていてもよい。
同構成によれば、第2溝部及び第2ピンを介してリンクプレートの両側面から同リンクプレートを回動させる力が働くようになるため、リンクプレートが回動中心軸に対して傾くようにして回動することが抑えられるようになる。そのため、例えば第2溝部と第2ピンとの摺動抵抗や、リンクプレートを回動可能に支持する軸部の摺動抵抗などを抑えることができる。
上記サンルーフ装置において、前記ブラケットの上昇が完了した状態において、前記リンクプレートの両側面に設けられた前記第2ピンの各先端面がそれぞれ対向する前記第2溝部の部位には、前記先端面に当接する突出部が設けられていてもよい。
同構成によれば、シュー本体に設けられた一対の側壁の各第2溝部にそれぞれ設けられた突出部が、リンクプレートの両側面にそれぞれ設けられた第2ピンの各先端面に当接することにより、シュー本体に設けられた一対の側壁の間に配置されたリンクプレートとシュー本体との間のがたつきが抑えられる。ここで、同構成ではそうした突出部を、ブラケットの上昇が完了した状態においてリンクプレートの第2ピンの先端面が対向する第2溝部の部位に設けている。そのため、ブラケットの上昇が完了した状態では第2ピンの先端面が突出部に当接するものの、ブラケットが下降した状態では突出部に第2ピンの先端面が当接しないようになっている。従って、ブラケットの位置によらず第2ピンの先端面が突出部に対して常に当接する場合と比較して、突出部や第2ピンの先端面におけるへたり、あるいは摩耗等を抑えることができる。
上記サンルーフ装置において、前記ブラケットの上昇が完了した状態にて前記シュー本体と前記ブロックとが車両幅方向においてオーバラップする部位には、前記シュー本体と前記ブロックとを互いに付勢する撓み部が設けられていてもよい。
同構成によれば、シュー本体とブロックとを互いに付勢する撓み部が設けられているため、ガイドレールに固定されたブロックに対するシュー本体のがたつきが抑えられる。ここで、同構成ではそうした撓み部を、ブラケットの上昇が完了した状態においてシュー本体とブロックとが車両幅方向においてオーバラップする部位に設けている。そのため、ブラケットの上昇が完了した状態では上記撓み部が撓むことでシュー本体及びブロックは互いに付勢されるものの、ブラケットが下降した状態では上記撓み部は撓まないようになっている。従って、ブラケットの位置によらず撓み部が常に撓む場合と比較して、撓み部のへたりを抑えることができる。
なお、上述した溝部の突出部や第2溝部の突出部を備えることにより、リンクプレートとシュー本体との間のがたつきは抑えられるが、シュー本体ががたつくとリンクプレートもがたついてしまう。この点、同構成の撓み部も合わせて備えるようにすれば、ブロックと撓み部とによってシュー本体のがたつきが抑えられるため、リンクプレートのがたつきをより確実に抑えることができる。
上記サンルーフ装置によれば、可動パネルを閉塞動作させるときにリンクプレートを効率よく回動させることができる。
サンルーフ装置の一実施形態についてその構造を示す斜視図。 同実施形態のサンルーフ装置の構造を示す平面図。 同実施形態のサンルーフ装置の分解斜視図。 同実施形態のフロント摺動機構の分解斜視図。 同実施形態のリア摺動機構の分解斜視図。 同実施形態において可動パネルが閉塞状態になっているときのリア摺動機構の側面図。 同実施形態においてブラケットの上昇が完了しているときのリア摺動機構の側面図。 (A)及び(B)及び(C)は、同実施形態のサンルーフ装置の動作態様を示す側面図。 同実施形態のフロント摺動機構の動作態様を示す側面図。 同実施形態のフロント摺動機構の動作態様を示す側面図。 同実施形態のフロント摺動機構の動作態様を示す側面図。 図9のA−A線に沿った断面図。 (A)及び(B)及び(C)は、同実施形態のリア摺動機構の動作態様を示す側面図。 図7のB−B線に沿ったリア摺動機構の断面図。 図7のC−C線に沿ったリア摺動機構の断面図。 図7のD−D線に沿ったリア摺動機構の断面図。
以下、サンルーフ装置の一実施形態について説明する。
なお、以下の説明において、車両における「車両上下方向」とは、車両が平地に配置されたときに鉛直方向に沿う方向を示す。また、サンルーフ装置において「車両上下方向(図にDZと記載)」とは、サンルーフ装置が車両に搭載されたときの姿勢を基準姿勢として、その基準姿勢で車両上下方向に沿う方向である。また、サンルーフ装置において「車両前後方向(図にDYと記載)」とは、サンルーフ装置が上記基準姿勢であるときの車両前後方向に沿う方向である。また、サンルーフ装置において「車両幅方向(図にDXと記載)」とは、サンルーフ装置が上記基準姿勢であるときの車両幅方向に沿う方向である。
図1に示すように、自動車などの車両のルーフ10には、略四角形の開口部10aが形成されるとともに、サンルーフ装置11が搭載される。このサンルーフ装置11は、車両前後方向に移動して開口部10aを開閉する、例えばガラス板からなる略四角形の可動パネル12を備えている。
可動パネル12は、その前側部位を支点に後側部位が上昇するチルトアップ動作及び前後方向へのスライド動作可能に取り付けられている。可動パネル12による開口部10aの開閉方法としては、チルトアップ状態のままスライド動作する、いわゆるアウタスライディング式が採用されている。なお、以下の説明では、開口部10aに可動パネル12が嵌まるように移動する動作を「閉塞動作」という。
次に、可動パネル12のチルト動作や開閉動作等を行うサンルーフ装置11の構造について説明する。
図2に示すように、開口部10aの車両の幅方向における両縁部の各々にはガイドレール13が配設されている。各ガイドレール13は、例えばアルミニウム合金の押出材からなり、長手方向に一定断面を有して車両前後方向に延在している。
各ガイドレール13には、車両前側から車両後側に向かって順に、フロント摺動機構200とリア摺動機構300とが配設されている。これらフロント摺動機構200及びリア摺動機構300は、ガイドレール13を車両前後方向に移動可能に案内及び支持されている。
フロント摺動機構200は、駆動源から駆動力が伝達されることによりガイドレール13に沿って車両前後方向に移動するフロント駆動シューを備えている。同様に、リア摺動機構300は、駆動源から駆動力が伝達されることによりガイドレール13に沿って車両前後方向に移動するリア駆動シューを備えている。
フロント摺動機構200及びリア摺動機構300には、車両前後方向に延在する金属製のブラケット100が連係及び支持されている。各ブラケット100には、それらの間に橋渡しされる状態で上記の可動パネル12が支持されている。
各ガイドレール13の前端同士は、車両の幅方向に延在するハウジング14を介して連結されている。
ハウジング14の長手方向における中央部分には、例えば出力ギアを有しており上記駆動源を構成するモータ15が設置されている。このモータ15には、例えば樹脂材からなる略帯状の一対の駆動ベルト16が巻き掛けられている。
一対の駆動ベルト16のそれぞれは、各ガイドレール13に配設されたフロント摺動機構200のフロント駆動シュー及びリア摺動機構300のリア駆動シューに連結されており、フロント駆動シュー及びリア駆動シューは車両前後方向に向かって同時に移動する。
なお、各ガイドレール13に配設されるフロント摺動機構200及びリア摺動機構300及びブラケット100は、車両の前後方向の中心軸CAに対して対象であることを除いて互いに同等の構造を有している。そこで以下では、サンルーフ装置11の構成部材であって、車両後方から見て右側に配置された部材の構造について主に説明するが、左側に配置された部材も同様の構造を有している。
図3に示すように、ガイドレール13の車両前側の端部には、車両後方に向かって斜め上方に延びる傾斜部13Aが設けられている。また、ガイドレール13には、車両幅方向において互いに向かい合うように突出するとともに車両前後方向に延びる板状のレール部13Gが形成されている。
ブラケット100の車両前側の部位であって車両幅方向に対して直交する両側面には、傾斜部13Aに沿って移動する案内部110が突出して固定されている。また、ブラケット100の車両前側の部位であって案内部110よりも車両後方の部位の側面には、車両上下方向に延びる縦長の係合孔120が形成されている。また、ブラケット100の下面には、ブラケット100の長手方向(車両前後方向)に沿って延びており、後述のスライダ360が摺動可能に係合するフランジ部151を有したスライダブラケット150が固定されている。なお、本実施形態では、ブラケット100にスライダブラケット150を固定するようにしているが、ブラケット100にスライダブラケット150を一体形成してもよい。
フロント摺動機構200は、ブラケット100が回動可能に係合するシュー本体を構成するフロントシュー210と、モータ15から駆動力が伝達されることによりガイドレール13に沿って車両前後方向に移動する上記のフロント駆動シュー230とを備えている。また、フロント摺動機構200は、フロントシュー210と一体になってガイドレール13を移動するとともにフロント駆動シュー230に対して係脱可能なフロントチェック220を有している。なお、本実施形態では、フロントシュー210、フロント駆動シュー230、及びフロントチェック220を樹脂材料で形成しているが、他の材料で形成してもよい。
リア摺動機構300は、モータ15から駆動力が伝達されることによりガイドレール13に沿って車両前後方向に移動する上記のリア駆動シュー330と、ガイドレール13に沿って車両前後方向に移動するとともにリア駆動シュー330に対して係脱可能なリアチェック320とを備えている。また、リア摺動機構300は、リアチェック320と一体になってガイドレール13に沿いながら車両前後方向に移動するシュー本体を構成するリアシュー310と、ガイドレール13に固定されるブロック340とを備えている。また、リア摺動機構300は、ブロック340に回動可能に支持されてブラケット100を昇降させるリンクプレート350と、リンクプレート350に回動可能に支持されてブラケット100を車両前後方向に摺動するスライダ360とを有している。なお、本実施形態では、リア駆動シュー330、リアチェック320、リアシュー310、ブロック340、リンクプレート350、及びスライダ360を樹脂材料で形成しているが、他の材料で形成してもよい。
図4を参照してフロント摺動機構200の構造を詳細に説明する。
同図4に示すように、フロントシュー210の車両前側の部位の側面(より詳細には車両幅方向に対して直交する側面)には、上記係合孔120に係合する金属製のピン211が突出して設けられている。このピン211の外周面には、樹脂製のカラー212が設けられている。従って、ピン211はカラー212を介して係合孔120に係合するようになっている。なお、本実施形態では、カラー212の材質がポリアセタール樹脂となっているが、耐摩耗性が高く金属よりも摺動抵抗が低い他の樹脂を使ってもよい。
また、フロントシュー210の側面には、フロントチェック220の車両前側の端部に形成された穴223に挿入される円柱状の軸213が突出して設けられている。フロントチェック220は軸213を中心にして回動するとともに、穴223と軸213との係合を通じてフロントシュー210と一体になってガイドレール13に沿いながら車両前後方向に移動する。また、フロントシュー210の側面には、ガイドレール13のレール部13Gを摺動する摺動部214が設けられている。
フロントチェック220の車両後側の部位であってその上部には、車両前方に向かって開口するフロント係合溝222が設けられている。また、フロントチェック220の車両後側の部位であってその下部には、下方に突出するフロント係止部221が設けられている。なお、フロントチェック220は、適宜の付勢部材(例えばスプリングなど)により下方に向けて付勢されている。
フロント駆動シュー230の側面(より詳細には車両幅方向に対して直交する側面)には、ガイドレール13のレール部13Gを摺動する摺動部231が設けられている。また、フロント駆動シュー230には、上記フロント係合溝222に対して係合及び離脱するフロント係合部232が車両幅方向に突出して設けられている。
次に、図5を参照してリア摺動機構300の構造を詳細に説明する。なお、図5において一点鎖線Mにて囲んだ部分は、リアシュー310が有する一対の側壁319にあって互いに対向する面の構造、つまり側壁319の内側の構造を示す。
図5に示すように、リンクプレート350は略板状であって、車両幅方向に沿ってブロック340に挿入されたリンクピン370によって端部近傍が支持されることにより、ブロック340に対して回動可能に支持されている。なお、可動パネル12が閉塞状態になっているときには、リンクプレート350は車両前方に向かって倒れている。また、リンクピン370の中心軸は、リンクプレート350の回動中心軸R1になっている。
リンクピン370に軸支される端部とは反対の端部近傍におけるリンクプレート350の両側面(より詳細には車両幅方向に対して直交する両側面)には、一対の第1ピン351がそれぞれ突出して同軸上に設けられている。また、リンクプレート350の両側面において第1ピン351よりもリンクピン370に近い位置には、一対の第2ピン352が両側面からそれぞれ突出して同軸上に設けられている。また、リンクプレート350において第1ピン351が設けられた側の端部には、スライダ360を回動可能に支持するスライダピン380が車両幅方向に沿って挿入されている。このスライダピン380の中心軸は、スライダ360の回動中心軸R3となっている。
図6に示すように、リンクプレート350の回動中心軸R1と第1ピン351の中心軸R2との間の距離を第1距離L1とし、回動中心軸R1とスライダ360の回動中心軸R3との間の距離を第2距離L2とする。そして、この第1距離L1は第2距離L2以上の長さとなるように、リンクピン370及び第1ピン351及びスライダピン380の位置は設定されている。
先の図5に示すように、スライダ360は、スライダピン380によって軸支される軸支部362と、この軸支部362に固定されてスライダブラケット150の上記フランジ部151が摺動するスライダ部361とを有している。
ブロック340は、ボルトなどを使ってガイドレール13の底面に固定されており、リンクプレート350を挟む一対の側壁343を有している。各側壁343の外側の面であってその上部には、後述の突出部317が当接することで撓む第1撓み部341がそれぞれ設けられている。この第1撓み部341は、車両前後方向に延びており側壁343の外側に向かって突出するように湾曲している。
また、リンクプレート350に対向する各側壁343の内側の面には、車両上下方向に延びており、ブラケット100の上昇が完了した状態においてリンクプレート350に当接する突出部342が設けられている。この突出部342は、ブラケット100の上昇完了時においてリンクプレート350のがたつきを抑えるために設けられている。
リアシュー310は、車両幅方向に並ぶ一対の側壁319を有しており、これら側壁319の間にリンクプレート350は配置される。各側壁319の車両後側の端部には、車両幅方向に沿って突出しており互いに対向する一対の軸部312が設けられている。
また、リンクプレート350に対向する各側壁319の内側の面には、車両前方に向かって斜め上方に延びた部位を有して上記第1ピン351が係合する第1溝部313が形成されている。この第1溝部313の車両後側の端部は閉塞されており、車両前側の端部は開放されている。
また、各側壁319の内側の面であって第1溝部313の上方の部位には、車両前方に向かって斜め上方に延びた部位を有して上記第2ピン352が係合する第2溝部314が形成されている。この第2溝部314の車両後側の端部は開放されており、車両前側の端部は閉塞されている。
図7や先の図6に示すように、第2溝部314の車両前側の端部近傍であって、ブラケット100の上昇が完了した状態において、上記第2ピン352の先端面が対向する第2溝部314の部位には、第2ピン352の先端面に当接する突出部318が第2溝部314の延びる方向に沿って設けられている。
先の図5に示すように、各側壁319の内側の面であって第1溝部313と第2溝部314との間の部位には、車両前後方向に延びるようにして突出した上記の突出部317が設けられている。また、各側壁319の内側の面であってその下部の車両前側には、ブロック340の側壁343が当接することにより撓む第2撓み部315が設けられており、同じく下部の車両後側にも、ブロック340の側壁343が当接することにより撓む第3撓み部316が設けられている。これら第2撓み部315及び第3撓み部316は、車両前後方向に延びており側壁319の内側の面から突出するように湾曲している。
先の図7に示すように、ブラケット100の上昇が完了した状態において、リアシュー310とブロック340とが車両幅方向においてオーバラップする部位に、ブロック340の上記第1撓み部341及びリアシュー310の上記突出部317は設けられている。また、ブラケット100の上昇が完了した状態において、リアシュー310とブロック340とが車両幅方向においてオーバラップする部位に、上記第2撓み部315及び上記第3撓み部316は設けられている。
先の図5に示すように、リアシュー310の各側壁319には、ガイドレール13のレール部13Gを摺動する摺動部311が設けられている。
リアチェック320は、車両前方に延びる一対のアーム部321を有しており、各アーム部321の車両前側の端部には、リアシュー310の上記軸部312が挿入される孔322が設けられている。リアチェック320は、軸部312を中心にして回動するとともに、孔322と軸部312との係合を通じてリアシュー310と一体になってガイドレール13に沿いながら車両前後方向に移動する。また、ブロック340は、一対のアーム部321の間に配置される。
リアチェック320の車両後側の部位には、車両後方に向かって開口するリア係合溝323が設けられている。また、リアチェック320の車両後側の端部には、車両幅方向に延びておりその両端がレール部13Gの上面を摺動するリア係止部324が設けられている。なお、リアチェック320は、適宜の付勢部材(例えばスプリングなど)により下方に向かって付勢されている。
リア駆動シュー330の側面(より詳細には車両幅方向に直交する側面)には、ガイドレール13のレール部13Gを摺動する摺動部331が設けられている。また、リア駆動シュー330には、上記リア係合溝323に対して係合及び離脱するリア係合部332が車両幅方向に突出して設けられている。
次に、図8を参照してサンルーフ装置11の基本的な動作を説明する。そして、図9〜図12を参照して上記構成を備えるフロント摺動機構200の動作及び作用を詳細に説明するとともに、図13〜図16を参照して上記構成を備えるリア摺動機構300の動作及び作用を詳細に説明する。
図8(A)は、サンルーフ装置11の閉塞状態を示す。この図8(A)に示すように、フロントシュー210及びリアシュー310の双方が可動範囲内における車両前側の端部に位置しているときには、ブラケット100の車両前部及び車両後部はともに最も下降した位置になっており、ブラケット100に支持された可動パネル12(図示略)は閉塞状態になっている。
図8(B)は、サンルーフ装置11のチルトアップ状態を示す。この図8(B)に示すように、モータ15の駆動力が伝達されることにより、リア駆動シュー330が車両後方に移動すると、このリア駆動シュー330の移動に伴ってリアチェック320及びリアシュー310が車両後方に移動する。このようにしてリアシュー310が車両後方に移動すると、リンクプレート350が車両後方に向かって回動することにより、ブラケット100は車両前側の部位を支点にして車両後側の部位が上昇するチルトアップ動作を行う。なお、このチルトアップ動作の過程では、リア駆動シュー330の移動に伴ってフロント駆動シュー230も車両後方に移動するが、フロント駆動シュー230とフロントチェック220との係合は解除された状態になっている。そのため、フロントシュー210は上記閉塞状態の位置から移動することなくその位置は保持されたままになっている。
図8(C)は、サンルーフ装置11のスライド動作状態を示す。この図8(C)に示すように、チルトアップ動作が完了して、リア駆動シュー330とリアチェック320との係合が解除されると、リアチェック320から外れたリア駆動シュー330のみが車両後方に移動する。こうしたリア駆動シュー330の移動によってフロント駆動シュー230が車両後方に移動すると、フロント駆動シュー230とフロントチェック220とが係合してフロントシュー210が車両後方に移動する。こうしたフロントシュー210の移動によって、ブラケット100は車両後方に移動してスライド動作することにより、可動パネル12も車両後方に移動してルーフ10の開口部10aが開口する。
なお、車両後方に移動したフロントシュー210及びリアシュー310が車両前方に移動すると、上記の逆順でサンルーフ装置11は動作する。
次に、フロント摺動機構200の動作及び作用を説明する。
図9に、閉塞状態におけるフロント摺動機構200の状態を示す。
この図9に示すように、閉塞状態では、フロント駆動シュー230のフロント係合部232は、フロントチェック220のフロント係合溝222から外れており、フロント駆動シュー230とフロントチェック220との係合は解除されている。また、閉塞状態では、フロントシュー210のフロント係止部221が、ガイドレール13の底面に設けられた孔13Cに嵌まっているため、車両前後方向へのフロントシュー210の移動が規制されている。
図10に示すように、車両後方へのリア駆動シュー330の移動に伴ってフロント駆動シュー230が車両後方に移動すると、フロント駆動シュー230のフロント係合部232がフロントチェック220のフロント係合溝222に嵌まることにより、フロント駆動シュー230とフロントチェック220とが係合する。
フロント係合部232とフロント係合溝222とが係合すると、フロント係合部232からフロント係合溝222に伝わる付勢力によってフロントチェック220は上方に回動する。フロントチェック220が上方に回動すると、フロントシュー210のフロント係止部221がガイドレール13の孔13Cから外れることにより、フロントシュー210は移動可能な状態になるため、フロント駆動シュー230の移動に伴ってフロントシュー210を含むフロント摺動機構200全体が車両後方に移動する。
フロント摺動機構200が車両後方に移動すると、フロントシュー210に設けられて外周面にカラー212を有するピン211とブラケット100の係合孔120とが係合しているため、これらピン211と係合孔120との係合により、ブラケット100はフロント摺動機構200によって直接車両後方へと移動される。
ブラケット100が車両後方に移動すると、ブラケット100において車両前側に設けられた案内部110がガイドレール13の傾斜部13Aに沿うようにして、車両後方に向かい斜め上方に移動することにより、ブラケット100の車両前部は上昇する。このように本実施形態では、フロント摺動機構200が車両後方に移動するとブラケット100の車両前部は速やかに上昇する。そして、そうしたブラケット100の上昇により、可動パネル12において車両前側の部位が上昇する。
図11に示すように、フロント駆動シュー230の移動に伴ってフロント摺動機構200が車両後方へと更に移動すると、ブラケット100の案内部110とガイドレール13との摺動部位は傾斜部13Aからレール部13Gに移る。このようにして摺動部位が傾斜部13Aからレール部13Gに移ると、ブラケット100の車両前部の上昇は完了して、当該ブラケット100はレール部13Gに沿って車両後方に移動するスライド動作に移行することにより、可動パネル12も車両後方に移動して開口部10aが開口する。
他方、図12に示すように、ブラケット100の係合孔120とフロントシュー210のピン211との係合は、ピン211の外周面に設けられた樹脂製のカラー212を介して行われる。そのため、係合孔120に金属製のピン211を直接係合させる場合と比較して、係合孔120とピン211とが互いに相対移動する際の摺動抵抗が低減される。
なお、車両後方に移動したフロント駆動シュー230が車両前方に移動すると、上記の逆順でフロント摺動機構200は動作する。
次に、リア摺動機構300の動作及び作用を説明する。
図13に、リア摺動機構300の動作態様を示す。なお、図13(A)には、閉塞状態におけるリア摺動機構300の状態を示し、図13(B)には、チルトアップ途中のリア摺動機構300の状態を示す。そして、図13(C)には、ブラケット100の上昇が完了した状態、つまりチルトアップ動作が完了した状態におけるリア摺動機構300の状態を示す。
図13(A)に示すように、閉塞状態では、リア駆動シュー330のリア係合部332がリアチェック320のリア係合溝323に嵌まっており、これによりリア駆動シュー330とリアチェック320とは係合状態になっている。
また、リアチェック320のリア係止部324は、ガイドレール13のレール部13Gに設けられた切り欠き部13Dよりも車両前側の位置で、レール部13Gの上面に接触しており、これによりリアシュー310の車両後方への移動が可能な状態になっている。
また、リンクプレート350は車両前方に向かって倒れており、これによりスライダ360の車両上下方向における位置は最も低い位置になっている。
そして、リンクプレート350の両側面に設けられた各第1ピン351は、フロントシュー210に設けられた各第1溝部313にそれぞれ係合している。閉塞状態では、第1ピン351と第1溝部313との係合位置が、第1溝部313の最下位置である車両後側の先端部近傍の位置になっている。一方、リンクプレート350の両側面に設けられた各第2ピン352は、フロントシュー210に設けられた各第2溝部314に係合しておらず、第2溝部314の車両後側の端部よりも車両後方に位置している。
図13(B)に示すように、車両後方へのリア駆動シュー330の移動に伴ってリアチェック320及びリアシュー310が車両後方に移動すると、リアシュー310に設けられた第1溝部313に沿って第1ピン351が上方に移動し、リンクプレート350はその先端を上方に持ち上げるようにして車両前方から車両後方へと回動する。
そして、第1ピン351が第1溝部313の最上位置である車両前側の開放端部近傍に達すると、第2溝部314の最下位置である車両後側の開放端部から第2ピン352が当該第2溝部314に侵入して同第2溝部314に係合する。
図13(C)に示すように、第2ピン352と第2溝部314とが係合した後に、更にリア駆動シュー330が車両後方に移動すると、第1ピン351は第1溝部313から外れる。他方、第2ピン352と第2溝部314とは係合しているため、リア駆動シュー330の移動に伴ってリアチェック320及びリアシュー310が車両後方に移動すると、リアシュー310の第2溝部314に沿って第2ピン352が上方に移動することにより、車両前方から車両後方へと回動するリンクプレート350の動作が継続される。こうした車両前方から車両後方へのリンクプレート350の回動によって、スライダ360の位置は車両上方へと変位し、これによりスライダ360に対して摺動可能に支持されたブラケット100が上昇することにより、ブラケット100に支持された可動パネル12の車両後側の部位が上昇して、チルトアップ動作が行われる。
また、チルトアップ動作が完了する位置にまでリア駆動シュー330が車両後方に移動すると、リアチェック320のリア係止部324は、レール部13Gの切り欠き部13Dに落ち込んで当該切り欠き部13Dに嵌まることにより、リアチェック320及びリアシュー310の車両前後方向への移動が規制される。このようにしてリアシュー310の車両前後方向への移動が規制されることにより、チルトアップ動作の完了した可動パネル12の状態が保持される。
また、リアチェック320のリア係止部324がレール部13Gの切り欠き部13Dに嵌まることにより、リアチェック320が下方に回動すると、リア駆動シュー330のリア係合部332がリアチェック320のリア係合溝323から外れることにより、リア駆動シュー330とリアチェック320との係合が解除される。リア駆動シュー330とリアチェック320との係合が解除されると、リア駆動シュー330はリア摺動機構300から離れて単独で車両後方へ移動することが可能になり、このようにしてリア駆動シュー330が単独で車両後方へ移動することにより、上述したフロント摺動機構200によるスライド動作が行われる。
なお、車両後方に移動したリア駆動シュー330が車両前方に移動すると、上記の逆順でリア摺動機構300は動作する。
本実施形態のサンルーフ装置11では、上述したように、リア駆動シュー330の移動に伴ってリアシュー310が移動すると、チルトアップ動作の前半やチルトダウン動作の後半では、第1溝部313における第1ピン351の係合位置が変位することによってリンクプレート350は回動する。また、チルトアップ動作の後半やチルトダウン動作の前半では、第2溝部314における第2ピン352の係合位置が変位することにより、リンクプレート350は回動する。こうしたリンクプレート350の回動を通じてスライダ360の位置が車両上下方向に変位することにより、ブラケット100は昇降されて可動パネル12の昇降動作(チルトアップ動作及びチルトダウン動作)が行われる。
このように動作するサンルーフ装置11では、先の図6に示したように、リンクプレート350の回動中心軸R1が支点、第1溝部313と第1ピン351との係合部位が力点、スライダ360の回動中心軸R3が作用点になっている。
ここで、本実施形態では、上述したように、リンクプレート350の回動中心軸R1と第1ピン351の中心軸R2との間の距離を第1距離L1とし、回動中心軸R1とスライダ360の回動中心軸R3との間の距離を第2距離L2としたときに、第1距離L1は第2距離L2以上の長さとなっている。つまり、支点と力点との間の距離である第1距離L1の長さは、支点と作用点との間の距離である第2距離L2の長さ以上にされており、リンクプレート350におけるレバー比は「1」以上になっている。そのため、力点である第1溝部313及び第1ピン351の係合部位に働く力よりも、作用点であるスライダ360の回動中心軸R3に作用する力の方が大きくなる。従って、第1距離L1が第2距離L2よりも短く、レバー比が「1」未満になっている場合と比較して、可動パネル12を閉じる際にスライダ360を下降させる力が大きくなる。
また、本実施形態では、第1溝部313及び第1ピン351の係合によるリンクプレート350の回動途中に、そのリンクプレート350の回動を、上述した第2溝部314及び第2ピン352の係合によるリンクプレート350の回動に切り換えている。そのため、単一の溝部及びピンでリンクプレート350を回動させる場合と比較して、同じ回動量を確保するために必要な溝部の長さを短くすることが可能になる。
また、先の図5、図6、図13等に示したように、リアシュー310に設けられた一対の側壁319の間にリンクプレート350は配置されており、側壁319に挟まれたリンクプレート350の両側面には第1ピン351がそれぞれ設けられている。そして、第1ピン351が係合する第1溝部313をリアシュー310の一対の側壁319にそれぞれ設けている。そのため、リンクプレート350を回動させる力が、第1溝部313及び第1ピン351を介してリンクプレート350の両側面から働くようになる。
同様に、リアシュー310の側壁319に挟まれたリンクプレート350の両側面には第2ピン352がそれぞれ設けられている。そして、第2ピン352が係合する第2溝部314をリアシュー310の一対の側壁319にそれぞれ設けている。そのため、リンクプレート350を回動させる力が、第2溝部314及び第2ピン352を介してリンクプレート350の両側面から働くようになる。
他方、図14に示すように、ブラケット100の上昇が完了した状態では、リアシュー310に設けられた一対の側壁319の各第2溝部314にそれぞれ設けられた突出部318が、リンクプレート350に設けられた第2ピン352の各先端面に当接する。そのため、ブラケット100の上昇が完了した状態において、リンクプレート350とリアシュー310との間のがたつきが抑えられる。
また、図15に示すように、ブラケット100の上昇が完了した状態では、ブロック340の各側壁343に設けられた第1撓み部341と、リアシュー310の側壁319に設けられた各突出部317とがそれぞれ当接するため、リアシュー310とブロック340とは互いに付勢される。従って、ブラケット100の上昇が完了した状態において、ガイドレール13に固定されたブロック340に対するリアシュー310のがたつきが抑えられる。
また、図15に示すように、ブラケット100の上昇が完了した状態では、リアシュー310の各側壁319に設けられた第2撓み部315及び第3撓み部316が、ブロック340の各側壁343にそれぞれ当接するため、リアシュー310及びブロック340は互いに付勢される。従って、これによってもブラケット100の上昇が完了した状態において、ガイドレール13に固定されたブロック340に対するリアシュー310のがたつきが抑えられる。
以上説明した本実施形態のサンルーフ装置11によれば、次の効果を得ることができる。
(1)ガイドレール13を移動する摺動部材が移動してもブラケット100が直ちに移動しないリンク機構などを備えるサンルーフ装置の場合には、ブラケット100に支持された可動パネル12の車両前後方向における開口量が少なくなってしまう。この点、上記実施形態のサンルーフ装置11では、ブラケット100がフロント摺動機構200によって直接移動されるため、フロント摺動機構200の移動(より詳細にはフロントシュー210の移動)が直ちにブラケット100の移動に反映される。従って、ブラケット100に支持された可動パネル12の車両前後方向における開口量を増加させることができるようになる。
(2)また、リンク機構を用いることなく、簡素な構造で可動パネル12の前部を上昇させることができるため、サンルーフ装置の部品点数や重量を削減することができる。
(3)係合孔120は車両上下方向に延びる縦長の形状になっているため、そうした係合孔120を車両上下方向に対して斜めに設ける場合と比較して、ガイドレール13に沿う方向へのフロント摺動機構200の移動がガイドレール13に沿う方向へのブラケット100の移動へと直接変換される。従って、これによってもブラケット100に支持される可動パネル12の車両前後方向における開口量を増加させることができる。
(4)ピン211の外周面に樹脂製のカラー212を設けているため、係合孔120とピン211とが相対移動する際の摺動抵抗を低減することができる。他方、アウトサート成形にて係合孔120の周囲に樹脂を一体成形する場合にも同様に摺動抵抗を低減することは可能ではあるが、上記実施形態によれば、そうした一体成形に要する工数やコスト等を削減することも可能になる。
(5)上記第1距離L1は上記第2距離L2以上の長さになっているため、第1距離L1が第2距離L2よりも短くレバー比が「1」未満になっている場合と比較して、可動パネル12を閉じる際にスライダ360を下降させる力が大きくなる。従って、可動パネル12を閉塞動作させるときにリンクプレート350を効率よく回動させることができるようになる。
(6)第1溝部313及び第1ピン351の係合によるリンクプレート350の回動途中に、そのリンクプレート350の回動を、上述した第2溝部314及び第2ピン352の係合によるリンクプレート350の回動に切り換えている。そのため、単一の溝部及びピンでリンクプレート350を回動させる場合と比較して、同じ回動量を確保するために必要な溝部の長さを短くすることが可能になり、例えば溝部を備えるリアシュー310をより小型化することも可能になる。
(7)リンクプレート350の両側面に第1ピン351をそれぞれ設けるとともに、第1ピン351が係合する第1溝部313をリアシュー310の一対の側壁319にそれぞれ設けている。そのため、第1溝部313及び第1ピン351を介してリンクプレート350の両側面から同リンクプレート350を回動させる力が働くようになるため、リンクプレート350が回動中心軸R1に対して傾くようにして回動することが抑えられるようになる。そのため、例えば第1溝部313と第1ピン351との摺動抵抗や、リンクプレート350を回動可能に支持するリンクピン370の摺動抵抗などを抑えることができる。
(8)リンクプレート350の両側面に第2ピン352をそれぞれ設けるとともに、第2ピン352が係合する第2溝部314をリアシュー310の一対の側壁319にそれぞれ設けている。そのため、第2溝部314及び第2ピン352を介してリンクプレート350の両側面から同リンクプレート350を回動させる力が働くようになるため、リンクプレート350が回動中心軸R1に対して傾くようにして回動することが抑えられるようになる。そのため、例えば第2溝部314と第2ピン352との摺動抵抗や、リンクプレート350を回動可能に支持するリンクピン370の摺動抵抗などを抑えることができる。
(9)第2溝部314のそれぞれに突出部318を設けることにより、リンクプレート350とリアシュー310との間のがたつきを抑えるようにしている。ここで、上記実施形態では、そうした突出部318を、ブラケット100の上昇が完了した状態において、第2ピン352の先端面が対向する第2溝部314の部位に設けている。そのため、ブラケット100の上昇が完了した状態では第2ピン352の先端面が突出部318に当接するものの、ブラケット100が下降した状態では突出部318に第2ピン352の先端面が当接しないようになっている。従って、ブラケット100の位置によらず第2ピン352の先端面が突出部318に対して常に当接する場合と比較して、突出部318や第2ピン352の先端面におけるへたり、あるいは摩耗等を抑えることができる。
(10)第1撓み部341、第2撓み部315、第3撓み部316を備えることにより、ガイドレール13に固定されたブロック340に対するリアシュー310のがたつきを抑えるようにしている。ここで、上記実施形態では、そうした各撓み部341,315,316を、ブラケット100の上昇が完了した状態においてリアシュー310とブロック340とが車両幅方向においてオーバラップする部位に設けている。そのため、ブラケット100の上昇が完了した状態では上記の各撓み部341,315,316が撓むことでリアシュー310及びブロック340は互いに付勢されるものの、ブラケット100が下降した状態では上記の各撓み部341,315,316は撓まないようになっている。従って、ブラケット100の位置によらず各撓み部341,315,316が常に撓む場合と比較して、それら各撓み部341,315,316のへたりを抑えることができる。
なお、上述した突出部318を備えることにより、リンクプレート350とリアシュー310との間のがたつきは抑えられるが、リアシュー310自体ががたつくとリンクプレート350もがたついてしまう。この点、上記実施形態では、各撓み部341,315,316も合わせて備えるようにしているため、ブロック340と各撓み部341,315,316とによってリアシュー310自体のがたつきが抑えられる。そのため、リンクプレート350のがたつきをより確実に抑えることができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・第2ピン352及び第2溝部314を省略して、第1ピン351及び第1溝部313だけでリンクプレート350を回動させるようにしてもよい。なお、この場合には上述した突出部318を、ブラケット100の上昇が完了した状態において、第1ピン351の各先端面がそれぞれ対向する第1溝部313の部位に設けることにより、上記(9)と同様な効果を得ることができる。
・リアシュー310の上記突出部317を省略して、ブロック340の第1撓み部341をリアシュー310の側壁319に直接当接させてもよい。
・上記第1撓み部341をリアシュー310に設けたり、上記第2撓み部315や第3撓み部316をブロック340に設けてもよい。また、各撓み部341,315,316の全てをブロック340に設けてもよい。また、各撓み部341,315,316の全てをリアシュー310に設けてもよい。
・各撓み部341,315,316の配設数は、適宜変更することができる。
・各撓み部341,315,316の全てを省略してもよい。
・上記溝部に設けた上記突出部318を省略してもよい。
・ブロック340の上記突出部342を省略してもよい。
・上記係合孔120をフロントシュー210に設けるとともに、上記ピン211をブラケット100に設けてもよい。
・ピン211に設けたカラー212を省略してもよい。
10…ルーフ、10a…開口部、11…サンルーフ装置、12…可動パネル、13…ガイドレール、13A…傾斜部、13C…孔、13D…切り欠き部、13G…レール部、14…ハウジング、15…モータ、16…駆動ベルト、100…ブラケット、110…案内部、120…係合孔、150…スライダブラケット、151…フランジ部、200…フロント摺動機構、210…フロントシュー、211…ピン、212…カラー、213…軸、214…摺動部、220…フロントチェック、221…フロント係止部、222…フロント係合溝、223…穴、230…フロント駆動シュー、231…摺動部、232…フロント係合部、300…リア摺動機構、310…リアシュー、311…摺動部、312…軸部、313…第1溝部、314…第2溝部、315…第2撓み部、316…第3撓み部、317…突出部、318…突出部、319…側壁、320…リアチェック、321…アーム部、322…孔、323…リア係合溝、324…リア係止部、330…リア駆動シュー、331…摺動部、332…リア係合部、340…ブロック、341…第1撓み部、342…突出部、343…側壁、350…リンクプレート、351…第1ピン、352…第2ピン、360…スライダ、361…スライダ部、362…軸支部、370…リンクピン、380…スライダピン。

Claims (7)

  1. 車両のルーフに形成される開口部を開閉する可動パネルと、
    前記可動パネルを支持するブラケットと、
    前記開口部の車両の幅方向両縁部の各々に設けられたガイドレールと、
    駆動源から駆動力が伝達されることにより前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動する駆動シューと、
    前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動するとともに、前記駆動シューに対して係脱可能なチェックと、
    前記チェックと一体になって前記ガイドレールに沿いながら車両前後方向に移動するシュー本体と、
    前記ガイドレールに固定されるブロックと、
    前記ブロックに回動可能に支持されて前記ブラケットを昇降させるリンクプレートと、
    前記リンクプレートに回動可能に支持されて前記ブラケットを車両前後方向に摺動するスライダと、を有しており、
    前記リンクプレートは、側面から突出したピンを有しており、
    前記シュー本体は、車両の上方に向かって斜めに延びた部位を有して前記ピンが係合する溝部を備えており、
    前記ブロックに回動可能に支持された前記リンクプレートの回動中心軸と前記ピンの中心軸との間の距離を第1距離とし、前記回動中心軸と前記リンクプレートに回動可能に支持された前記スライダの回動中心軸との間の距離を第2距離としたときに、前記第1距離は前記第2距離以上の長さにされている
    サンルーフ装置。
  2. 前記シュー本体に設けられた一対の側壁の間に前記リンクプレートは配置されており、
    前記側壁に挟まれた前記リンクプレートの両側面には前記ピンがそれぞれ設けられており、
    前記溝部は、前記シュー本体の前記一対の側壁にそれぞれ設けられている
    請求項1に記載のサンルーフ装置。
  3. 前記ブラケットの上昇が完了した状態において、前記リンクプレートの両側面に設けられた前記ピンの各先端面がそれぞれ対向する前記溝部の部位には、前記先端面に当接する突出部が設けられている
    請求項2に記載のサンルーフ装置。
  4. 前記ピンを第1ピンとし、前記溝部を第1溝部としたときに、
    前記リンクプレートは、側面から突出した第2ピンを有しており、
    前記シュー本体は、車両の上方に向かって斜めに延びた部位を有して前記第2ピンが係合する第2溝部を備える
    請求項1または2に記載のサンルーフ装置。
  5. 前記シュー本体に設けられた一対の側壁の間に前記リンクプレートは配置されており、
    前記側壁に挟まれた前記リンクプレートの両側面には前記第2ピンがそれぞれ設けられており、
    前記第2溝部は、前記シュー本体の前記一対の側壁にそれぞれ設けられている
    請求項4に記載のサンルーフ装置。
  6. 前記ブラケットの上昇が完了した状態において、前記リンクプレートの両側面に設けられた前記第2ピンの各先端面がそれぞれ対向する前記第2溝部の部位には、前記先端面に当接する突出部が設けられている
    請求項5に記載のサンルーフ装置。
  7. 前記ブラケットの上昇が完了した状態において、前記シュー本体と前記ブロックとが車両幅方向においてオーバラップする部位には、前記シュー本体と前記ブロックとを互いに付勢する撓み部が設けられている
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のサンルーフ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115817134A (zh) * 2023-01-30 2023-03-21 江苏德福来汽车部件有限公司 一种稳定型天窗机械组

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