JP2014122583A - 鞍乗型車両のエアクリーナケース構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内燃機関1とその後方に配置されたエアクリーナケース40とを備え、それらの上方を乗員用シート33で覆った鞍乗型車両2のエアクリーナケース構造において、前記エアクリーナケースの前面には、前記内燃機関に向けて延びるコネクティングチューブ6が設けられ、同エアクリーナケースの左右の一方の側方が排気管37のスペースとなり、同エアクリーナケースの左右の他方に内部のクリーナエレメント9を整備するための開口蓋部47が設けられるとともに、同エアクリーナケースの上部に空気吸入口48が配設され、同エアクリーナケースの後部には、前記内燃機関へ点火エネルギーを供給するバッテリ8を収容するバッテリ収納部43が延設されたことを特徴とする鞍乗型車両のエアクリーナケース構造。
【選択図】図6
Description
特許文献1に示されるものにおいては、車体右側に排気管とマフラーが配置される鞍乗型車両では、エアクリーナのクリーナエレメントの交換等の整備において、排気管の取り回しがエアクリーナケースの蓋部を避ける工夫が必要になり、排気管のレイアウトの最適化と更なる整備性を向上させるエアクリーナケース構造が求められていた。
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲における前後左右上下等の向きは、本実施形態に係る鞍乗型車両のエアクリーナケース構造を備えたエアクリーナを、鞍乗型車両に搭載した状態での車両の向きに従うものとする。本実施形態において鞍乗型車両は自動二輪車である。
また、図中矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
なお、図中に添記した黒小矢印は、本実施形態における本発明に係るブローバイガスの流れを、白抜き小矢印は吸気の流れを、模式的に示すものである。
本実施形態に係る内燃機関1は、そのクランクケース10内の後部に変速機12を一体に備えて、いわゆるパワーユニットを構成しており、そのクランク軸11を、自動二輪車2の車幅方向、すなわち左右方向に配向させて自動二輪車2に搭載された、空冷単気筒の4ストロークサイクル内燃機関である。
また、ヘッドパイプ21から斜め急角度に下方へ左右一対のダウンフレーム23が、側面視でメインフレーム22の急傾斜部22aに略平行に延出している。
メインフレーム22の急傾斜部22aの下部に前端を回動自在に支持されたリヤフォーク28が、後方へ延出し、その後端に後輪29が軸支され、リヤフォーク28とメインフレーム22の急傾斜部22aに設けられたガセット30との間に、リヤクッション31が介装されている。
メインフレーム22の前部には、燃料タンク32が架設され、燃料タンク32の後方に乗員用シート33がシートレール24に支持されて設けられている。
シリンダヘッド14から前方には、その排気ポート17に接続して排気管37が延出し、右下方に屈曲して内燃機関1のシリンダブロック14の右側を後方に延び、後輪29の右側のマフラー38に接続している。
また、排気管37はエアクリーナケース40の右側方を通過するので、エアクリーナケース40の右側面には凹部40aが形成されて、排気管37のためのスペースを供している。
また、エアクリーナケース40は、その前方上部の前方取付けボス部41で右側のシートレール24に取付けられ、その後方でバッテリ収納部43の右側に設けられた右側取付けボス部(本発明における「一対の車体取付けボス部」)42Rと、バッテリ収納部43の左側に設けられた左側取付けボス部(本発明における「一対の車体取付けボス部」)42L(図3参照)で、右、左のバックステー25にそれぞれ取付けられている。
図3において、エアクリーナケース40は、その左側面開口46を覆う開口蓋部47(図5、図6参照)を、取り外して、内部を露出した状態で示される。
開口蓋部47は、左側面開口46を解放してエアクリーナケース40内部のクリーナエレメント9を整備するために設けられている。
また、エアクリーナケース40の上部には、吸入口48が配設されている。
コネクティングチューブ6の吸気通路60の下部には凹部6aが形成され、凹部6aの内部には吸気通路60を画成する仕切り壁61が形成され、仕切り壁61の下方と、後述のエアクリーナケース40の前面開口45にケース内部から当接するエレメント支持板(本発明における「支持板」)7(図5、図9参照)との間に、内燃機関2からのブローバイガスを受け入れるブリーザ戻り室62が形成されている(図8参照)。
ブリーザ戻り室62には、前向きにブローバイガス戻りジョイント62aが設けられてブリーザチューブ63の下流端63bが接続し、その上流端63aはクランクケース10の上部に設けられたL字状ジョイント64に接続して、クランクケース10の内部に連通している。
すなわち、左側面開口46の前縁側の周縁部46aが、開口蓋部47の周縁部に設けられた嵌合溝47aに開口蓋シール47bを挟んで嵌め込まれて固定される。左側面開口46の後縁側においても同様である。
図4に示されるように、内燃機関1とエアクリーナ4との前後中間で車幅方向中央には、リヤクッション31が配設されており、コネクティングチューブ6は、リヤクッション31を避けるように車幅方向左側に迂回して形成され、開口蓋部47はコネクティングチューブ6と同じ車両左側面側に配設されている(図5、図7参照)。
なお、コネクティングチューブ6の嵌合溝66とエアクリーナケース40の内周縁45aとの嵌合部は接着され気密に構成される。
ブリーザ戻り室62には、前向きにブローバイガス戻りジョイント62aが設けられてブリーザチューブ63の下流端63bが接続するが、ブリーザチューブ63の上流端63aは、内燃機関1のクランクケース10上部に設けられたL字状ジョイントに接続して、平面視S字状に屈曲して配管されて、クランクケース10の内部に連通し、内燃機関1からのブローバイガスがブリーザ戻り室62に受け入れられる。
図中、6はコネクティングチューブであり、その周縁のフランジ部65の嵌合溝66(図8参照)に、クリーナケース40の前面開口45の内周縁45a(図4参照)を嵌め込むようにして、エアクリーナケース40に取付けられる。
コネクティングチューブ6の吸気通路60部分とブリーザ戻り室62部分を挿通するように前方からホルダ板55がセットされる。
吸気開口7aには、金網状のエレメントガード74が後方を覆うように設けられている。
エレメント支持板7は、エアクリーナケース40の左側面開口46から、クリーナケース40内に挿入され、締結ボルト71を、嵌合しているコネクティングチューブ6の締結孔65aとエアクリーナケース40の締結孔50aに挿通させ、さらにホルダ板55の締結孔55aを挿通させて前方から締結ナット72(図3、図6参照)を螺合させて、コネクティングチューブ6をエアクリーナケース40に固定する。その際、コネクティングチューブ6とアクリーナケース40の嵌合部49は、接着され気密固定される。
すなわち、コネクティングチューブ6とエアクリーナケース40とエレメント支持板7は、通常、相互に固定状態で用いられる。
エアクリーナケース40の後部にはバッテリ収納部43が一体に形成されている。
また、エアクリーナケース40の左側面は、完全に解放する左側面開口46をなし、開口蓋部47が開口蓋シール47bを介して装着されることで塞がれる。
前部バックル15Aは、ホルダ板55の左縁部に設けられた回動支持部55bで回動可能に支持され、後部バックル51Bは、右バッテリバンドフック44Lの前方延長部44La(図7参照)で回動自在に支持される。
図6中、エアクリーナケース40の上壁には、空気吸入口48の入口ダクト48aが取付けられる。
52はエアクリーナケース40の底部内に連通して設けられたドレン排出管であり、ドレンキャップ52aで通常は塞がれている。
抑え金具93は、エアクリーナケース40右内面に取付けられたケース側フック94と、エレメント支持板7の左縁部に取付けられた支持板側フック95とに両端が係合取付けされる。
その際、前述にように、エレメント支持板7に設けられた脚孔73に、後方から前方に向けてエレメントホルダ91の固定脚91aを挿通させることで、クリーナエレメント9の位置が定まる(図4参照)。
クリーナエレメント9の内部空間90(図5参照)からエレメント支持板7の吸気開口7aのエレメントガード74(図5、図9参照)を前方に通過した吸気は、コネクティングチューブ6の吸気通路60を通過し、気化器36経由、内燃機関1に送られる。
コネクティングチューブ6の吸気通路60とブリーザ戻り室62とを仕切る仕切り壁61は、ブリーザ戻り室62の天井面をなすが、吸気通路60とブリーザ戻り室62とを連通する連通通路67(図11参照)が設けられており、ブリーザ戻り室62から上向きにブローバイガスが吸気通路60に吸入される。吸入されたブローバイガスは、吸気とともに内燃機関1に送られ燃焼処理される。
連通通路67は、上向きに設けられているため、ブローバイガスに混入しているオイル等の液成分を伴い難く、気液分離通路としての役割も奏する。
エアクリーナケース40の下部に流下した液成分は、ドレン排出管52に流入して溜められ、ドレンキャップ52aが外されることで排出される。
図7に示される前部バックル51Aの位置では、ホルダ板55の左縁部に設けられた回動支持部55bで支持された前部バックル51Aが回動して、開口蓋部47の周縁部に車両中心方向、すなわち右方向に圧接して、開口蓋部47を取り外し可能に固定する。
後部バックル51Bも同様に開口蓋部47を取り外し可能に固定する。
コネクティングチューブ6は、側面視で上部と下部の間に後方に凹む凹部6aが形成され、凹部6aを挟んで、その上部内部に気化器36と接続する吸気通路60が形成される。
その後端(上流端)60aはエアクリーナケース40の上部寄りで、その前面開口45とエレメント支持板7の吸気開口7aを介してクリーナエレメント9の内部空間90、すなわちエアクリーナ4のクリーンエリア4aに接続され、前端(下流端)60bは、気化器36との接続部をなし、気化器36に接続される。
ブリーザ戻り室62は前方にブローバイガス戻りジョイント62aを備え、ブリーザチューブ63によってクランクケース10に連通する(図4参照)。
また、仕切り壁61には、吸気通路60とブリーザ戻り室62とを連通する連通通路67が設けられており、ブリーザ戻り室62から上向きにブローバイガスが吸気通路60に吸入される。
吸気通路60とブリーザ戻り室62の周囲はフランジ部65が形成され、その全外周に亘って嵌合溝66が設けられるとともに、複数の、本実施形態では6箇所の締結孔65aが設けられている。
前面開口45に前方から嵌装されたコネクティングチューブ6の吸気通路60とブリーザ戻り室62は、ともに後方に向けエアクリーナケース40内に開口する
また、吸気開口7aには、後方に向けて膨出するように、複数層の金網状のエレメントガード74が後面側で溶接されて設けられており、エレメントガード74は、クリーナエレメント9がエレメント支持板7の後面に圧接されたとき、クリーナエレメント9のエレメント開口9aからその内部空間90内に位置し(図5、図6参照)、クリーナエレメント9を通過した吸気中に異物が混入することを防ぐ。
ブローバイガス通過孔75では、前面側に画成されたブリーザ戻り室62から後面側へ、ブローバイガスが通過し、ブローバイガス戻り孔76では、後面側から前面側に位置する吸気通路60へ、ブローバイガスが通過する。
なお、エレメント支持板7の左縁部(図示左側)には、抑え金具93の支持板側フック95が取付けられている。
エレメント支持板7の後面側において、吸気開口7aの周縁には、複数層の金網状のエレメントガード74が溶接されて設けられている。
また、周囲には前方に向けて溶接固定された6本の締結ボルト71の頭部71bが示される。
すなわち、外周域は、クリーナエレメント9の外側(上流側)であり、エアクリーナケース40内のダーティエリア4a(図6参照)に通じ、内周域は、クリーナエレメント9の内側(下流側)であり、エアクリーナケース40内のクリーンエリア4bに通じるが、グリースが施されたグリース塗布域77によって、ダーティエリア4aからクリーンエリア4bへ吸気が直接流れることが防止される。
一方、ブローバイガス通過孔75の上方にあって、吸気通路60の下部に対応する部分に設けられたブローバイガス戻り孔76も、同じくクリーンエリア4b内にある。
したがって、ブローバイガス通過孔75からエレメント支持板7の後面側に流入したブローバイガスは、ダーティエリア4a内の吸気と混合することなくクリーンエリア4b内において、エレメント支持板7の吸気開口7aからコネクティングチューブ6の吸気通路60へと流通する吸気に吸引され、ブローバイガス戻り孔76から吸気通路60へと流入し、気化器36経由、吸気とともに内燃機関1に送られ燃焼処理される。
図6に黒太矢印で示されるように、エアクリーナケース40の下部へ流下したブローバイガス中の液成分は、ドレン排出管52に流入して溜められ、ドレンキャップ52aが外されることで排出される。
エレメントホルダ91は、籠状の枠体で構成され、その中央において後方に延出する支柱91bと、その周囲を形成する周囲枠91cと、周囲枠91cから前方に向かって突出された固定脚91a(図5参照)を備える。
取り外しは、その逆である。
クリーナエレメント9のエレメント支持板7の平面上の位置は、エレメント支持板7の脚孔73とエレメントホルダ91の固定脚91aによって決まり、前後方向の位置は、エレメント支持板7への圧接方向でエレメントホルダ90の周囲枠91cがクリーナエレメント9の底部材9fを圧縮する程度で決まる。
すなわち、内燃機関1とその後方に配置されたエアクリーナケース40とを備え、それらの上方を乗員用シート33で覆った自動二輪車2のエアクリーナケース構造において、エアクリーナケース40の前面には、内燃機関1に向けて延びるコネクティングチューブ6が設けられ、エアクリーナケース40の右側方が排気管37のスペースとなり、エアクリーナケース40の左方に内部のクリーナエレメント9を整備するための開口蓋部47が設けられ、エアクリーナケース40の後部には、内燃機関1へ点火エネルギーを供給するバッテリ8を収容するバッテリ収納部43が延設されるとともに、エアクリーナケース40の上部に空気吸入口48が配設されている。
例えば鞍乗型車両は、実施形態の自動二輪車に限定されず、小型の三輪、あるいは四輪のバギー車等であってもよく、内燃機関は気筒数を問わない。
また、本発明は、説明の都合上、左右の配置を図示のものに特定して説明記載したが、内燃機関、エアクリーナ等が図示のものと左右反転した配置のものも含む。
Claims (6)
- 内燃機関(1)とその後方に配置されたエアクリーナケース(40)とを備え、それらの上方を乗員用シート(33)で覆った鞍乗型車両(2)のエアクリーナケース構造において、
前記エアクリーナケース(40)の前面には、前記内燃機関(1)に向けて延びるコネクティングチューブ(6)が設けられ、
同エアクリーナケース(40)の左右の一方の側方が排気管(37)のスペースとなり、
同エアクリーナケース(40)の左右の他方に内部のクリーナエレメント(9)を整備するための開口蓋部(47)が設けられるとともに、同エアクリーナケース(40)の上部に空気吸入口(48)が配設され、
同エアクリーナケース(40)の後部には、前記内燃機関(1)へ点火エネルギーを供給するバッテリ(8)を収容するバッテリ収納部(43)が延設されたことを特徴とする鞍乗型車両のエアクリーナケース構造。 - 前記内燃機関(1)とその後方の前記エアクリーナケース(40)との間にはリヤクッション(31)が配置され、前記コネクティングチューブ(6)は、前記リヤクッション(31)を避けるように車幅方向に迂回して形成され、
前記開口蓋部(47)が前記コネクティングチューブ(6)と同じ車両側面側に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両のエアクリーナケース構造。 - 前記コネクティングチューブ(6)の吸気通路(60)は、前記エアクリーナケース(40)の上部寄りに接続され、同コネクティングチューブ(6)の下部に内燃機関(1)からのブローバイガスを受け入れるブリーザ戻り室(62)が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の鞍乗型車両のエアクリーナケース構造。
- 前記エアクリーナケース(40)には、後部の前記バッテリ収納部(43)の左右に一対の車体取付けボス部(42L,42R)が設けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の鞍乗型車両のエアクリーナケース構造。
- 前記内燃機関(1)から延び前記ブリーザ戻り室(62)に接続するブリーザチューブ(63)は、同内燃機関(1)のクランクケース(10)上部にて平面視S字状に屈曲して配管されることを特徴とする請求項3に記載の鞍乗型車両のエアクリーナケース構造。
- 前記ブリーザ戻り室(62)は、前記コネクティングチューブ(6)における凹部(6a)と、前記クリーナエレメント(9)の支持板(7)との間に形成され、前記支持板(7)に設けた気液分離通路(75,76)を介して上方のコネクティングチューブ(6)の吸気通路(60)と連通されたことを特徴とする請求項3または請求項5に記載の鞍乗型車両のエアクリーナケース構造。
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