JP2014107013A - ケイ素含有複合材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄電デバイス、特にリチウム又はリチウムイオン二次電池の電極に好適な複合材料、該複合材料からなる電極活物質、該活物質を用いてなる電極、および該電極を備える蓄電デバイスを提供すること。
【解決手段】Li−O−Si結合を有する組成式LiaSiOb(式中0<a<4、0<b<4)で表される化合物のマトリックス中に、炭素微粉末および金属ケイ素微粉末が分散されている複合材料を電極活物質として使用する。
【選択図】なし
【解決手段】Li−O−Si結合を有する組成式LiaSiOb(式中0<a<4、0<b<4)で表される化合物のマトリックス中に、炭素微粉末および金属ケイ素微粉末が分散されている複合材料を電極活物質として使用する。
【選択図】なし
Description
本発明は、ケイ素含有複合材料、当該複合材料からなる電極活物質、該活物質を含む電極、および該電極を備える蓄電デバイスに関する。
リチウムイオン二次電池の負極材料として、ケイ素ポリマーを熱分解して得られたケイ素含有炭素材料を使用することが数多く報告されている。例えば、特開平10−74506号公報、特開平10−275617号公報、および、特開2004−273377号公報には、シロキサンポリマーを熱分解し、その後、リチウムを導入してリチウム又はリチウムイオン二次電池用電極とすることにより、大容量の電池を得ることが記載されている。しかし、このようなケイ素含有炭素材料を含む電極を備えるリチウムイオン二次電池は、可逆容量は高いものの、初期充放電効率が低く、充放電サイクル特性等の点で実用上の性能が不足している。
一方で、ケイ素又はスズを用いた負極活物質のサイクル特性を改善するための研究が盛んに行われている。例えば、特開平11−96993号公報には、黒鉛、ケイ素、スズ系酸化物等の負極活物質の表面にリチウムを含む無機固体電解質をコーティングすることにより、初期の不可逆容量を低減させることが記載されている。また、特開2006−179305号公報には、ケイ素又はスズを含む負極活物質を有する負極の表面にLiF+とLi2OH+を含む層を形成することにより、電解液の分解反応を抑制してサイクル特性を向上させることが記載されている。しかし、上記Li含有被膜を形成するためには、気相成長法やフッ素含有化合物を添加した電解液を用いる電気化学的手法が必要である。
特開2007−66726号公報には、ケイ素やケイ素合金を含む活物質粉末とバインダーと酸化リチウムを含む合剤層を集電体上に配置して熱処理することにより、高温貯蔵時のガス発生を抑制するとともに、充放電サイクル特性を高めることが記載されている。しかし、酸化リチウムを使用する場合には、負極作成時に加熱処理を行わなければ電池のサイクル寿命が低下するという問題がある。特開2005−310759号公報には、ケイ素含有炭素系複合材料中に金属ケイ素微粉末が分散した複合材料が記載されている。
本発明の目的は、蓄電デバイス、特にリチウム又はリチウムイオン二次電池の電極に好適な複合材料、当該複合材料からなる電極活物質、該活物質を用いてなる電極、および該電極を備える蓄電デバイスを提供することにある。
本発明の目的は、Li−O−Si結合を有する組成式LiaSiOb(式中0<a<4、0<b<4)で表される化合物のマトリックス中に、炭素微粉末と、金属ケイ素微粉末、ケイ素合金微粉末、SiOx(0<x<2)で表わされる酸化ケイ素微粉末およびスズ微粉末からなる群から選択される微粉末とが分散されている複合材料によって達成される。
前記炭素微粉末は、グラフェン構造を含む炭素同素体であることが好ましい。
前記複合材料は、SiO2をさらに含んでもよい。
前記複合材料の表面を炭素で被覆してもよい。
本発明の複合材料は、リチウム化合物と、金属ケイ素微粉末、ケイ素合金微粉末、SiOx(0<x<2)で表わされる酸化ケイ素微粉末およびスズ微粉末からなる群から選択される微粉末と、(A)架橋性基含有有機化合物と、(B)前記架橋性基含有有機化合物を架橋可能な含ケイ素化合物とを混合して混合物を得る工程と、前記混合物の(A)成分と(B)成分を架橋反応させて硬化物を得る工程と、前記硬化物を、不活性ガス又は真空中、300〜1500℃で熱処理する工程と、によって得ることができる。
本発明の複合材料は、また、リチウム化合物と、金属ケイ素微粉末、ケイ素合金微粉末、SiOx(0<x<2)で表わされる酸化ケイ素微粉末およびスズ微粉末からなる群から選択される微粉末と、オルガノポリシロキサンとを混合して混合物を得る工程と、前記混合物を、不活性ガス又は真空中、300〜1500℃で熱処理する工程と、によっても得ることができる。
前記(A)成分および前記オルガノポリシロキサンは、芳香族基を有することが好ましい。
前記リチウム化合物としては、リチウム酸化物、リチウムの水酸化物、リチウムの窒化物、リチウムのアルコキシド、カルボン酸リチウム塩、アセチルアセトンリチウム塩、エチルアセトキシ酢酸リチウム塩、リチウムの炭酸塩、リチウムの硝酸塩及びこれらの混合物が例示される。
前記混合工程において、グラフェン構造を有する炭素同素体である炭素微粉末をさらに添加することができる。
本発明の電極活物質は上記複合材料からなる。前記電極活物質は、平均粒子径が1〜50μmの粒子であることが好ましい。
本発明の電極は、上記電極活物質を含む。前記電極は蓄電デバイス、特にリチウム又はリチウムイオン二次電池に好適に使用することができる。
本発明の複合材料は、高い放電容量、優れた充放電効率および容量維持率を有し、蓄電デバイス、特にリチウム又はリチウムイオン二次電池の電極に好適である。また、本発明の複合材料は、廉価な原料を用いて、簡易な製造プロセスで製造可能である。
本発明の電極活物質は、蓄電デバイス、特にリチウム又はリチウムイオン二次電池の電極に好適である。そして、本発明の電極は、電池に高い放電容量、優れた充放電効率および容量維持率を付与できる。これにより、本発明の蓄電デバイスは、高い放電容量、優れた充放電効率および容量維持率を有することができる。
(複合材料)
本発明の一態様によれば、本発明の複合材料は、リチウム化合物と、金属ケイ素微粉末、ケイ素合金微粉末、SiOx(0<x<2)で表わされる酸化ケイ素微粉末およびスズ微粉末からなる群から選択される微粉末と、(A)架橋性基含有有機化合物と、(B)前記架橋性基含有有機化合物を架橋可能な含ケイ素化合物とを混合して混合物を得る工程と、前記混合物を架橋反応させて硬化物を得る工程と、前記硬化物を熱処理(焼成)する工程とを含む製造方法により得ることができる。
本発明の一態様によれば、本発明の複合材料は、リチウム化合物と、金属ケイ素微粉末、ケイ素合金微粉末、SiOx(0<x<2)で表わされる酸化ケイ素微粉末およびスズ微粉末からなる群から選択される微粉末と、(A)架橋性基含有有機化合物と、(B)前記架橋性基含有有機化合物を架橋可能な含ケイ素化合物とを混合して混合物を得る工程と、前記混合物を架橋反応させて硬化物を得る工程と、前記硬化物を熱処理(焼成)する工程とを含む製造方法により得ることができる。
リチウム化合物としては、例えばリチウム酸化物、リチウムの水酸化物、リチウムの窒化物、リチウムのアルコキシド、酢酸塩、ジュウ酸塩などのカルボン酸リチウム塩、アセチルアセトンリチウム塩、エチルアセトキシ酢酸リチウム塩、リチウムのアミン塩、リチウムの炭酸塩、リチウムの硝酸塩、ハロゲン化リチウム、RnSi(OLi)4−n(Rはアルキル基、オルガノシロキシ基、nは1〜3の数)、Li錯体化合物又は、これらの混合物が挙げられる。好ましくは、有機酸のリチウム塩である。
金属ケイ素微粉末は、半導体用高純度金属ケイ素、化学用ケイ素金属を粉砕して得た粉末、上記のケイ素金属を急冷法で粉砕したケイ素金属粉末、シランガスの熱分解から得られたアモルファスケイ素金属粉末、クロロシランガスの還元により調製した金属ケイ素微粉末等を使用することができる。
前記ケイ素合金微粉末としては、ケイ素と、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、マンガン、マグネシウムとの合金が例示され、より具体的には、SiAl,SiMn,SiNi,SiTi,SiMg,SiGe,Al−Si−Mg,Al−Si−Mn,Al−Si−Zn,Al−Si−Cu,Ni−Si−Al,Au1−xSix,CaSi,CaBaSi,Fe−Si−Wが例示される。
前記酸化ケイ素微粉末とは、二酸化ケイ素(SiO2)と金属ケイ素(Si)とを原料として得られる非晶質のケイ素酸化物の総称であり、一般式SiOx(0<x<2)で表わされる酸化ケイ素微粉末、より好ましくは、一般式SiOx(1≦x<1.6)で表される酸化珪素粉末が例示される。
スズ微粉末としては、スズ金属微粉末またはスズ合金微粉末が例示される。スズ合金としては、スズとマグネシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅との合金が例示され、より具体的には、MgSn、TiSn、CrSn、MnSn、FeSn、CoSn、NiSn、CuSn、Cu−Sn−In、Cu−Sn−P、Co−Cu−Sn、Co−Mn−Sn、Co−Ni−Sn、Cr−Cu−Sn、Cu−Mg−Sn、Cu−Mn−Sn、Cu−Ni−Sn、Mg−Ni−Sn、Mn−Ni−Snが例示される。
前記混合工程において、さらに炭素微粉末を加えてもよい。前記炭素微粉末は、sp2炭素を含むもので、グラフェン構造を有する炭素同素体であることが好ましい。グラフェン構造を有する炭素同素体としては、繊維状または薄片状の炭素同素体が好ましく、黒鉛、グラフェン、カーボンナノファイバ、カーボンナノチューブ、および炭素繊維が例示される。
前記グラフェンとしては、グラファイトから機械的に剥離させたもの、グラファイトから化学法などにより作製したもの、CVD法で合成したものなどが使用できる。具体的には、単層グラフェン、多層グラフェン、ナノリボングラフェンが例示される。グラフェンの厚さは0.3nm〜20nmが好ましい。また、グラフェンの長辺の長さは10nm〜50μmが好ましく、100nm〜5μmがより好ましく、500nm〜5μmがさらに好ましい。
カーボンナノファイバとは、繊維状の炭素材料を意味し、カーボンナノチューブとは中空で繊維状の炭素材料を意味する。繊維状炭素同素体の繊維長は、10nm〜100μmが好ましく、100nm〜10μmがより好ましく、500nm〜5μmがさらに好ましい。
前記カーボンナノファイバの繊維径は1nm〜100nmが好ましい。カーボンナノファイバのグラフェン層の配向構造は特に限定されず、プレート状構造、ヘリンボーン構造、カップスタック型構造、リボン型構造が例示される。
前記カーボンナノチューブの繊維径は1nm〜20nmが好ましく、一方の端部が閉じられた円錐状を呈するカーボンナノホーンであってもよい。グラフェン面は単層、二層、三層以上の多層であってもよい。
前記カーボンナノチューブの繊維径は1nm〜20nmが好ましく、一方の端部が閉じられた円錐状を呈するカーボンナノホーンであってもよい。グラフェン面は単層、二層、三層以上の多層であってもよい。
前記(A)成分中の架橋性基は、架橋可能な基であれば特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族不飽和基、エポキシ基含有有機基、アクリル基含有有機基、メタクリル基含有有機基、アミノ基含有有機基、メルカプト基含有有機基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシ基又はハロゲン化アルキル基が挙げられる。
脂肪族不飽和基として、具体的には、C2〜C12アルケニル基またはC2〜C12アルキニル基が好ましく、特に、C2〜C6アルケニル基が好ましい。C2〜C6アルケニル基として、具体的には、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基が例示され、ビニル基が好ましい。C2〜C12アルキニル基としては、アセチル基、プロピニル基、ペンチニル基が例示される。
エポキシ基含有有機基として、具体的には、グリシジル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基等のグリシドキシアルキル基;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−プロピル基等のエポキシシクロヘキシルアルキル基;4−オキシラニルブチル基、8−オキシラニルオクチル基等のオキシラニルアルキル基が例示され、好ましくは、グリシドキシアルキル基であり、特に好ましくは、3−グリシドキシプロピル基である。
アクリル基含有有機基又はメタクリル基含有有機基として、具体的には、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基、4−アクリロキシブチル基、4−メタクリロキシブチル基が例示され、好ましくは、3−メタクリロキシプロピル基である。
また、アミノ基含有有機基として、具体的には、具体的には、3−アミノプロピル基、4−アミノブチル基、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基が例示され、好ましくは、3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基である。
メルカプト基含有有機基として、具体的には、3−メルカプトプロピル基、4−メルカプトブチル基が例示される。
アルコキシ基として、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基が例示され、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基である。
ヒドロキシアルキル基又はヒドロキシアリール基として、具体的には、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシフェニル基、プロピルフェノール基が例示される。
ハロゲン化アルキル基として、具体的には、3−クロロプロピル基が例示される。
(A)成分中の架橋性基は、架橋性基の化学当量(g/eq)が、1,000以下となる量が好ましく、5〜600の範囲となる量がより好ましく、さらに、10〜300の範囲となる量であることが好ましい。ここで、架橋性基の化学当量は、滴定等で測定された架橋性基1当量あたりの(A)成分の質量である。例えば、具体的には、架橋性基がエポキシ基である場合は、エポキシ当量、架橋性基がアミンである場合はアミン当量、架橋性基が水酸基である場合は水酸基当量、架橋性基がビニル基である場合はビニル基当量と呼ばれる。
前記(A)成分は、ケイ素原子を含まなくてもよく、又は、ケイ素原子を含んでもよい。
ケイ素原子を含まない前記(A)成分としては、グラフェン構造の形成が容易である等、熱による炭化効率がよい点から、分子中に少なくとも1個の芳香族環を有する有機化合物が好ましい。
このような(A)成分として、具体的には、分子鎖末端および/又は分子鎖側鎖に架橋性基を有する、ケイ素原子を含まない脂肪族炭化水素化合物;分子鎖末端および/又は分子鎖側鎖に架橋性基を有し、分子鎖中に窒素原子、酸素原子、ホウ素原子等の炭素原子以外のヘテロ原子を有する、ケイ素原子を含まない脂肪族炭化水素化合物;分子中に架橋性基を有する、ケイ素原子を含まない芳香族炭化水素化合物;分子中に架橋性基を有し、更に窒素原子、酸素原子、ホウ素原子等の炭素原子以外のヘテロ原子を有する、ケイ素原子を含まない脂環状化合物が例示される。
前記脂肪族炭化水素化合物として、具体的には、下記一般式で表される化合物が例示される。
R1−(CH2)m−R1
CH3−(CH2)m−(CHR1)n−CH3
CH3−(CH2CHR1)n−CH3
CH3−(CH2)m−(CH=CH)n−CH3
CH3−(CH2)m−(C≡C)n−CH3
R1−O(CH2CH2O)m(CH2CH2CH2O)n−R1
R1−(CH2)m−R1
CH3−(CH2)m−(CHR1)n−CH3
CH3−(CH2CHR1)n−CH3
CH3−(CH2)m−(CH=CH)n−CH3
CH3−(CH2)m−(C≡C)n−CH3
R1−O(CH2CH2O)m(CH2CH2CH2O)n−R1
また、芳香族炭化水素化合物としては、具体的には、一般式:
(R1)xR2
が挙げられる。式中、R1は架橋性基であり、前記と同様の基が例示される。また、式中、xは1以上の整数である。また、式中、R2はx価の芳香族基を示す。すなわち、式中、xが1である場合、R2は1価の芳香族基を示し、具体的には、下記の基が例示される。
(R1)xR2
が挙げられる。式中、R1は架橋性基であり、前記と同様の基が例示される。また、式中、xは1以上の整数である。また、式中、R2はx価の芳香族基を示す。すなわち、式中、xが1である場合、R2は1価の芳香族基を示し、具体的には、下記の基が例示される。
このような芳香族炭化水素化合物として、具体的には、α−若しくはβ−メチルスチレン、α−若しくはβ−エチルスチレン、メトキシスチレン、フェニルスチレン、クロロスチレン、o−、m−若しくはp−メチルスチレン、エチルスチレン、メチルシリルスチレン、ヒドロキシスチレン、シアノスチレン、ニトロスチレン、アミノスチレン、カルボキシスチレン、はスルホキシスチレン、スチレンスルホン酸ソーダ、ビニルピリジン、ビニルチオフェン、ビニルピロリドン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルビフェニルが例示される。
また、式中、xが2の場合、R2は2価の芳香族基を示し、具体的には、下記の基が例示される。
このような芳香族炭化水素化合物として、具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ビニルベンジルクロライド、ジビニルピリンジン、ジビニルチオフェン、ジビニルピロリドン、ジビニルナフタレン、ジビニルキシレン、ジビニルエチルベンゼン、ジビニルアントラセンが例示される。得られる硬化物の熱分解特性が優れることから、芳香族炭化水素化合物はジビニルベンゼンが好ましい。
また、式中、xが3の場合、R2は3価の芳香族基を示し、このような芳香族炭化水素化合物として、具体的には、トリビニルベンゼン、トリビニルナフタレンが例示される。
ケイ素原子を含む前記(A)成分としては、架橋性基を有する限り、特に限定されるものではない。このようなケイ素原子を含む前記(A)成分としては、例えば、シロキサン、シラン、シラザン、カルボシラン又はこれらの混合物が挙げられ、具体的には、Si−O−Si結合を有するモノマー、オリゴマー又はポリマー等のシロキサン類;シラン、Si−Si結合を有するモノマー、オリゴマー又はポリマー等のシラン類;Si−(CH2)n−Si結合、Si−(C6H4)n−Si結合又はSi−(CH2CH2C6H4CH2CH2)n−Si結合を有するモノマー、オリゴマー又はポリマー等のカルボシロキサン類;Si−N−Si結合を有するモノマー、オリゴマー又はポリマー等のシラザン類;Si−O−Si結合、Si−Si結合、Si−(CH2)n−Si結合、Si−(C6H4)n−Si結合、およびSi−N−Si結合からなる少なくとも2種の結合を有する含ケイ素共重合体化合物;およびこれらの混合物が例示される。なお、式中、nは1以上の整数である。
前記(A)成分のシロキサンとしては、例えば、平均単位式:
(R3 3SiO1/2)a(R3 2SiO2/2)b(R3SiO3/2)c(SiO4/2)d
(式中、R3は、それぞれ独立して、上記架橋性基、炭素数1〜20の1価の置換若しくは非置換の飽和脂肪族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基、アルコキシ基、水素原子又はハロゲン原子を示し;a、b、cおよびdは、それぞれ、0以上、1以下、且つ、a+b+c+d=1を満たす数であり、但し、a、bおよびcが共に0となることはなく、一分子中のR3の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、は上記架橋性基である)で表されるものを使用することができる。
(R3 3SiO1/2)a(R3 2SiO2/2)b(R3SiO3/2)c(SiO4/2)d
(式中、R3は、それぞれ独立して、上記架橋性基、炭素数1〜20の1価の置換若しくは非置換の飽和脂肪族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基、アルコキシ基、水素原子又はハロゲン原子を示し;a、b、cおよびdは、それぞれ、0以上、1以下、且つ、a+b+c+d=1を満たす数であり、但し、a、bおよびcが共に0となることはなく、一分子中のR3の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、は上記架橋性基である)で表されるものを使用することができる。
前記飽和脂肪族炭化水素基としてはアルキル基が好ましく、また、前記芳香族炭化水素基としてはアリール基およびアラルキル基が好ましい。
アルキル基としては、C1−C12アルキル基が好ましく、C1−C6アルキル基がより好ましい。アルキル基は、直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基、シクロアルキル基、又は、シクロアルキレン基(直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは、メチレン基、エチレン基等のC1−C6アルキレン基)と炭素環(好ましくはC3−C8環)との組み合わせからなるアルキル基)のいずれかであることが好ましい。
直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状C1−C6アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられるが特にメチル基が好ましい。
シクロアルキル基としては、C4−C6アルキル基が好ましく、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられるが、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基が好ましい。
アリール基としては、C6−C12アリール基が好ましく、フェニル基、ナフチル基、トリル基が挙げられる。
アラルキル基としては、C7−C12アラルキル基が好ましい。C7−C12アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。
前記脂肪族飽和炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等のC1−C6アルコキシ基;アミノ基;アミド基;ニトロ基;エポキシ基等が挙げられる。置換基は炭化水素鎖、飽和環および芳香環のいずれの部位にも結合することができる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。
前記(A)成分のシランとしては、例えば、平均単位式:
R3 4Si
又は、平均単位式:
(R3 3Si)a(R3 2Si)b(R3Si)c(Si)d
(式中、R3、a、b、cおよびdは、前記と同じである)で表されるものを使用することができる。
R3 4Si
又は、平均単位式:
(R3 3Si)a(R3 2Si)b(R3Si)c(Si)d
(式中、R3、a、b、cおよびdは、前記と同じである)で表されるものを使用することができる。
前記(A)成分のカルボシランとしては、例えば、平均単位式:
(R3 3SiR4)a(R3 2SiR4 2)b(R3SiR4 3)c(SiR4 4)d
(式中、R3、a、b、c、およびdは、前記と同じであり、R4は置換又は非置換のアルキレン基又はアリーレン基である)で表されるものを使用することができる。ここで、アルキレン基は、例えば、式:−(CH2)n−で表され、また、アリーレン基は、例えば、式:−(C6H4)n−で表される。なお、式中、nは前記と同様ある。また、アルキレン基又はアリーレン基の置換基としては、R3と同様の基が挙げられる。
(R3 3SiR4)a(R3 2SiR4 2)b(R3SiR4 3)c(SiR4 4)d
(式中、R3、a、b、c、およびdは、前記と同じであり、R4は置換又は非置換のアルキレン基又はアリーレン基である)で表されるものを使用することができる。ここで、アルキレン基は、例えば、式:−(CH2)n−で表され、また、アリーレン基は、例えば、式:−(C6H4)n−で表される。なお、式中、nは前記と同様ある。また、アルキレン基又はアリーレン基の置換基としては、R3と同様の基が挙げられる。
前記(A)成分のシラザンとしては、直鎖状ポリシラザン;環状ポリシラザン;分岐鎖状ポリシラザン;等が挙げられる。
シロキサン、シラン、カルボシランおよびシラザンの形状は、特に限定されず、固体状、液体状、ペースト状等であることができるが、取り扱い性等の点で固体状であることが好ましい。
これらのケイ素系高分子化合物のうち、ケイ素含有量が著しく低くないこと、十分な化学的安定性があり、常温、空気中での扱いが容易なこと、原料価格並びに製造プロセスコストが低く、十分な経済性を有する等の工業的利点を考慮すると、Si−O−Si結合を有する単位よりなるシロキサン類が好ましく、特にポリシロキサンがより好ましい。
前記(A)成分は、前記有機化合物の1種、或いは、2種以上の混合物でもよく、更に、その他の成分として、アクリロニトリル等の含窒素モノマーを含んでいてもよい。この場合、含窒素モノマーの含有量は50重量%以下であることが好ましく、特に、10〜50重量%の範囲内であることが好ましい。
前記(B)成分は、前記(A)成分を架橋可能な含ケイ素化合物である。このような(B)成分として、例えば、シロキサン、シラン、シラザン、カルボシラン又はこれらの混合物が挙げられ、具体的には、Si−O−Si結合を有するモノマー、オリゴマー又はポリマー等のシロキサン類;シラン、Si−Si結合を有するモノマー、オリゴマー又はポリマー等のシラン類;Si−(CH2)n−Si結合、Si−(C6H4)n−Si或いはSi−(CH2CH2C6H4CH2CH2)n−Si結合を有するモノマー、オリゴマー又はポリマー等のカルボシラン類;Si−N−Si結合を有するモノマー、オリゴマー又はポリマー等のシラザン類;Si−O−Si結合、Si−Si結合、Si−(CH2)n−Si結合、Si−(C6H4)n−Si結合、およびSi−N−Si結合からなる少なくとも2種の結合を有する含ケイ素共重合体化合物;およびこれらの混合物が例示される。なお、式中、nは前記と同じである。(B)成分はケイ素原子結合水素原子を有することが好ましい。
前記(B)成分のこのシロキサン類は、例えば、平均単位式:
(R5 3SiO1/2)a(R5 2SiO2/2)b(R5SiO3/2)c(SiO4/2)d
(式中、R5は、それぞれ独立して、一価炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子、エポキシ基含有有機基、アクリル基含有有機基、メタクリル基含有有機基、アミノ基含有有機基、メルカプト基含有有機基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基又はヒドロキシ基であり、一分子中のR5の少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個は、アルケニル基、水素原子、ハロゲン原子、エポキシ基含有有機基、アクリル基含有有機基、メタクリル基含有有機基、アミノ基含有有機基、メルカプト基含有有機基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基又はヒドロキシ基であり;a、b、cおよびdは、前記と同じである)で表される。
(R5 3SiO1/2)a(R5 2SiO2/2)b(R5SiO3/2)c(SiO4/2)d
(式中、R5は、それぞれ独立して、一価炭化水素基、水素原子、ハロゲン原子、エポキシ基含有有機基、アクリル基含有有機基、メタクリル基含有有機基、アミノ基含有有機基、メルカプト基含有有機基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基又はヒドロキシ基であり、一分子中のR5の少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個は、アルケニル基、水素原子、ハロゲン原子、エポキシ基含有有機基、アクリル基含有有機基、メタクリル基含有有機基、アミノ基含有有機基、メルカプト基含有有機基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基又はヒドロキシ基であり;a、b、cおよびdは、前記と同じである)で表される。
R5の一価炭化水素基として、具体的には、置換又は非置換の不飽和脂肪族炭化水素基、飽和脂肪族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基が例示される。これらの一価炭化水素基は置換基を有していてもよい。当該置換基として、具体的には、前記R3の飽和脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基の置換基と同様の基が挙げられる。
R5の不飽和脂肪族炭化水素基、飽和脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基として、具体的には、(A)成分の架橋性基である不飽和脂肪族炭化水素基、前記R3の飽和脂肪族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基と同様の基が挙げられる。
また、R5のハロゲン原子、エポキシ基含有有機基、アクリル基含有有機基、メタクリル基含有有機基、アミノ基含有有機基、メルカプト基含有有機基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基又はヒドロキシアリール基として、具体的には、前記(A)成分の架橋性基と同様の基が挙げられる。
ポリシロキサンのシロキサン結合構造単位の好ましい繰り返し数は、2〜10,000の範囲内が好ましく、更には、2〜1,000の範囲内が好ましく、特には、2〜500の範囲内が好ましい。
また、シラン類は、例えば、一般式:
R5 4Si
又は、平均単位式:
(R5 3Si)a(R5 2Si)b(R5Si)c(Si)d
(式中、R5、a、b、cおよびdは、前記と同じである)で表される。
R5 4Si
又は、平均単位式:
(R5 3Si)a(R5 2Si)b(R5Si)c(Si)d
(式中、R5、a、b、cおよびdは、前記と同じである)で表される。
ポリシランのシラン結合構造単位の好ましい繰り返し数は、2〜10,000の範囲内が好ましくは、更には、2〜1,000の範囲内が好ましく、特には、2〜500の範囲内が好ましい。
その他のシラン類としては、一般式:
(R6 2HSi)eR7
(式中、R6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の一価炭化水素基であり;eは2以上の整数であり;R7はe価有機基である)で表される含ケイ素化合物が例示される。式中、R6の一価炭化水素基としては、前記R5の一価炭化水素基と同様の基が例示される。eは2以上の整数であり、好ましくは、2〜6の整数である。また、R7はe価有機基であり、eが2の場合には、R7は二価有機基であり、具体的には、アルキレン基、アルケニレン基、アルキレンオキシアルキレン基、アリーレン基、アリーレンオキシアリーレン基、アリーレンアルキレンアリーレン基が例示され、更に具体的には、下記の基が例示される。−CH2CH2−,−CH2CH2CH2−,−CH2CH(CH3)−,−CH=CH−,−C≡C−,−CH2CH2OCH2CH2−,−CH2CH2CH2OCH2CH2−,
(R6 2HSi)eR7
(式中、R6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の一価炭化水素基であり;eは2以上の整数であり;R7はe価有機基である)で表される含ケイ素化合物が例示される。式中、R6の一価炭化水素基としては、前記R5の一価炭化水素基と同様の基が例示される。eは2以上の整数であり、好ましくは、2〜6の整数である。また、R7はe価有機基であり、eが2の場合には、R7は二価有機基であり、具体的には、アルキレン基、アルケニレン基、アルキレンオキシアルキレン基、アリーレン基、アリーレンオキシアリーレン基、アリーレンアルキレンアリーレン基が例示され、更に具体的には、下記の基が例示される。−CH2CH2−,−CH2CH2CH2−,−CH2CH(CH3)−,−CH=CH−,−C≡C−,−CH2CH2OCH2CH2−,−CH2CH2CH2OCH2CH2−,
カルボシラン類としては、例えば、平均単位式:
(R5 3SiR8)a(R5 2SiR8 2)b(R5SiR8 3)c(SiR8 4)d
(式中、R5、a、b、cおよびdは、前記と同じであり;R8はアルキレン基又はアリーレン基である)で表される。R8のアルキレン基は、例えば、式:−(CH2)n−で表され、また、R8のアリーレン基は、例えば、式:−(C6H4)n−で表される。なお、式中、nは前記と同じである。
(R5 3SiR8)a(R5 2SiR8 2)b(R5SiR8 3)c(SiR8 4)d
(式中、R5、a、b、cおよびdは、前記と同じであり;R8はアルキレン基又はアリーレン基である)で表される。R8のアルキレン基は、例えば、式:−(CH2)n−で表され、また、R8のアリーレン基は、例えば、式:−(C6H4)n−で表される。なお、式中、nは前記と同じである。
ポリカルボシランのカルボシラン結合構造単位の好ましい繰り返し数は、それぞれ、2〜10,000の範囲内が好ましく、更には、2〜1,000の範囲内が好ましく、特には、2〜500の範囲内が好ましい。
また、シラザン類としては、直鎖状ポリシラザン;環状ポリシラザン;分岐鎖状ポリシラザン;等が挙げられる。ポリシラザンのシラザン結合構造単位の好ましい繰り返し数は、それぞれ、2〜10,000の範囲が好ましく、更には、2〜1,000の範囲内が好ましく、特には、2〜500の範囲内が好ましい。
(B)成分としては、Si−O−Si結合を有する単位よりなるシロキサン類が好ましく、特にポリシロキサンがより好ましい。
前記(A)成分と(B)成分の架橋反応として、具体的には、ヒドロシリル化反応、マイケル付加反応、ディールズ・アルダー反応等の付加反応;脱アルコール、脱水素、脱水、脱アミン等の縮合反応;エポキシ開環、エステル開環等の開環反応;パーオキサイド、UV等のラジカル反応が例示される。特に、(A)成分が脂肪族不飽和基を有し、(B)成分がケイ素原子結合水素原子を有する場合、ヒドロシリル化反応用触媒の存在下、ヒドロシリル化反応することができる。
ヒドロシリル化反応用触媒として、具体的には、白金微粉末、白金黒、白金坦持シリカ微粉末、白金坦持活性炭、塩化白金酸、四塩化白金、塩化白金酸のアルコール溶液、白金とオレフィンの錯体、白金とアルケニルシロキサンの錯体が例示される。この含有量は特に限定されないが、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、この触媒中の金属原子が質量(重量)単位で0.1〜1,000ppmの範囲内となる量であることが好ましく、特には、1〜500ppmの範囲内となる量であることが好ましい。
また、(A)成分が脂肪族不飽和基を有し、(B)成分がケイ素原子結合水素原子を有する場合、また、(A)成分がケイ素原子結合水素原子を有し、(B)成分が脂肪族不飽和基を有する場合、各成分の使用量は特に限定されないが、(A)成分又は(B)成分中の脂肪族不飽和基1モルに対して、(B)成分又は(A)成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜50モルの範囲内となる量であり、好ましくは、0.1〜30モルの範囲内となる量であり、特に好ましくは、0.1〜10モルの範囲内となる量である。これは、ケイ素原子結合水素原子の量が、前記範囲の下限未満であると、得られる硬化物を焼成した場合の炭化収率が減少する傾向があり、一方、前記範囲を超えると、得られる硬化物を焼成して得られるケイ素含有複合材料の電極活物質としての性能が低下する傾向があるからである。
また、(A)成分が脂肪族不飽和基を有し、(B)成分が脂肪族不飽和基、アクリル基、メタクリル基又はケイ素原子結合水素原子を有する場合、並びに、(B)成分が脂肪族不飽和基を有し、(A)成分が脂肪族不飽和基、アクリル基、メタクリル基又はケイ素原子結合水素原子を有する場合は、ラジカル開始剤により、熱および/又は光によりラジカル反応することもできる。
このラジカル開始剤として、具体的には、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物、或いは有機アゾ化合物が例示される。
このラジカル開始剤の含有量は特に限定されないが、(A)成分と(B)成分の合計量に対して0.1〜10重量%の範囲内となる量であることが好ましく、特には、0.5〜5重量%の範囲内となる量であることが好ましい。
また、(A)成分が脂肪族不飽和基を有し、(B)成分が脂肪族不飽和基、アクリル基、メタクリル基、或いはケイ素原子結合水素原子を有する場合、並びに、(B)成分が脂肪族不飽和基を有し、(A)成分が脂肪族不飽和基、アクリル基、メタクリル基又はケイ素原子結合水素原子を有する場合、各成分の使用量は特に限定されないが、一方の成分中の脂肪族不飽和基1モルに対して、他方の成分中の脂肪族不飽和基、アクリル基、メタクリル基或いはケイ素原子結合水素原子が0.1〜50モルの範囲内となる量であり、好ましくは、0.1〜30モルの範囲内となる量であり、特に好ましくは、0.1〜10モルの範囲内となる量である。これは、脂肪族不飽和基、アクリル基、メタクリル基、或いはケイ素原子結合水素原子の量が、前記範囲の下限未満であると、得られる硬化物を焼成した場合の炭化収率が減少する傾向があり、一方、前記範囲を超えると、得られる硬化物を焼成して得られるケイ素含有複合材料の電極活物質としての性能が低下する傾向があるからである。
(A)成分と(B)成分を架橋反応させて、リチウム化合物、金属ケイ素微粉末、(A)成分および(B)成分を含む混合物の硬化物を形成する場合、例えば、下記I又はIIの方法で製造し、次いで、熱処理(焼成)の工程に移ることができる。
I:リチウム化合物、金属ケイ素微粉末、(A)成分および(B)成分を混合した後、300℃以下、特に60〜300℃の温度でプレキュアする。得られた硬化物をそのまま次の焼成工程に用いてもよく、平均粒子径が0.1〜30μm、より好ましくは1〜20μmの粒度に粉砕した後次の焼成工程に用いてもよい。
II:硬化物を球状の粒子として形成する場合は、例えば、リチウム化合物、金属ケイ素微粉末、(A)成分および(B)成分を含む架橋性組成物を熱風中に噴霧し架橋反応するか、又は当該架橋性組成物と非相溶性の媒体中に乳化又は分散して架橋反応することが好ましい。
I:リチウム化合物、金属ケイ素微粉末、(A)成分および(B)成分を混合した後、300℃以下、特に60〜300℃の温度でプレキュアする。得られた硬化物をそのまま次の焼成工程に用いてもよく、平均粒子径が0.1〜30μm、より好ましくは1〜20μmの粒度に粉砕した後次の焼成工程に用いてもよい。
II:硬化物を球状の粒子として形成する場合は、例えば、リチウム化合物、金属ケイ素微粉末、(A)成分および(B)成分を含む架橋性組成物を熱風中に噴霧し架橋反応するか、又は当該架橋性組成物と非相溶性の媒体中に乳化又は分散して架橋反応することが好ましい。
(A)成分又は(B)成分の一方が脂肪族不飽和基を有し、他方がケイ素原子結合水素原子を有する場合、リチウム化合物、金属ケイ素微粉末、前記(A)成分および(B)成分とヒドロシリル化反応用触媒を混合した架橋性組成物を熱風中に微粉末状に噴霧して、ヒドロシリル化反応により架橋し、微粉末状の硬化物粉末を得ることができる。
一方、リチウム化合物、金属ケイ素微粉末、前記(A)成分および(B)成分とヒドロシリル化反応用触媒を混合した架橋性組成物を、乳化剤の水溶液中に添加し、攪拌により乳化して架橋性組成物の微粉末を形成し、次いでヒドロシリル化反応により架橋し、微粉末状の硬化物粉末を形成することもできる。
この乳化剤は特に限定されないが、具体的には、イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の混合物が例示される。特に、架橋性組成物と水を混合することにより製造される水中油型エマルジョンの均一分散性および安定性が良好であることから、1種類以上のイオン性界面活性剤と1種類以上のノニオン性界面活性剤の混合物を用いることが好ましい。
また、乳化剤と併用してシリカ(コロイダルシリカ)、酸化チタン等金属酸化物を使用し、硬化物粉末の表面にシリカを保持した状態で炭素化することにより、炭素表面に安定な皮膜を形成し、炭化収率を上げること又は炭素材の放置時に生じる表面酸化を抑制することができる。
硬化物粉末の粒子径は特に限定されないが、焼成により、電極活物質として好適な平均粒子径1〜20μmのケイ素含有複合材料を形成することから、その好ましい平均粒子径は5〜30μmの範囲内であることが好ましく、特に、5〜20μmの範囲内であることが好ましい。
このようにして得られた硬化物粉末の架橋を更に促進し、焼成による炭化収率を向上できることから、空気中、150〜300℃で更に熱処理することが好ましい。
本発明の一態様によれば、本発明の複合材料は、リチウム化合物と、金属ケイ素微粉末、イ素合金微粉末、SiOx(0<x<2)で表わされる酸化ケイ素微粉末およびスズ微粉末からなる群から選択される微粉末と、オルガノポリシロキサンとを混合して混合物を得る工程と、前記混合物を熱処理(焼成)する工程とを含む製造方法により得ることもできる。
前記オルガノポリシロキサンとしては、例えば単位式(RSiO3/2)で表される三官能性シロキサン単位(以下、T単位)と、必要に応じて単位式(R2SiO2/2)で表される二官能性シロキサン単位(以下、D単位)、および単位式(R3SiO1/2)で表される一官能性シロキサン単位(以下、M単位)からなるT型、DT型もしくはMDT型シリコーンレジン、単位式(SiO4/2)で表される四官能性シロキサン単位(以下、Q単位)とM単位からなるMQレジンが例示される。上記式中、Rは同種または異種の一価炭化水素基である。一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリクロロプロピル基、ノナフルオロブチルエチル基等の置換アルキル基が例示される。特に、アリール基であることが好ましい。
シリコーンレジンは常温で固体状であっても液体状であってもよく、固体状である場合は融点を有していてもよい。取扱作業性と分散性から固体粉状であることが好ましく、このようなシリコーンレジン粉末としては、例えばトレフィルRシリーズ(東レ・ダウコーニング社製)が入手可能である。
前記焼成の条件は特には限定されるものではないが、不活性ガス又は真空中、300〜1500℃で焼成することが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンが例示される。なお、この不活性ガス中に、水素ガス等の還元性ガスを含んでもよい。焼成温度としては、500℃から1000℃の範囲がより好ましい。焼成時間も特に限定されるものではないが、例えば、10分〜10時間、好ましくは30分〜3時間の範囲とすることができる。
焼成は、固定床又は流動床方式の炭化炉で行うことができ、所定温度へ昇温できる機能を有する炉であれば、炭化炉の加熱方式および種類は特に限定されない。炭化炉として、具体的には、リードハンマー炉、トンネル炉、単独炉、オキシノン炉、ロータリーキルンが例示される。
このようにして得られた本発明のケイ素含有複合材料は、Li−O−Si結合を有する、組成式LiaSiOb(式中、0<a<4、0<b<4)で表される化合物のマトリックス中に、炭素微粉末および金属ケイ素微粉末が分散されている。LiaSiOb化合物は、リチウム化合物を配合することにより、焼成時にケイ素含有化合物のSi−C結合が切断されることにより形成されるものと考えられる。このような構造は、X線回折分析、7Li MAS NMR、29Si MAS NMR、13C MAS NMR、およびSEM観察により確認することができる。なお、複合材料中の金属ケイ素微粉末の比率が高い場合には、LiaSiOb化合物および炭素微粉末によって金属ケイ素微粉末表面が被覆された形態をとり得る。
前記炭素微粉末は、sp2炭素を含むものであり、好ましくはグラフェン構造を有する炭素同素体微粉末である。このような炭素微粉末は、焼成工程において、ケイ素含有化合物の芳香環を有する成分が炭化して形成されたものや、混合工程において別途添加された炭素微粉末に由来するものである。芳香環由来の炭素微粉末は、ケイ素含有化合物が芳香環を有する場合、焼成時にケイ素含有化合物のSi−C結合が切断され、切断された芳香環を有する成分が炭化することにより形成される。
ケイ素含有複合材料は、SiO2をさらに含んでもよい。このようなSiO2は、原料として使用するケイ素含有化合物の種類によって、焼成段階で生じる場合がある。例えば、オルガノポリシロキサンとして、単位式(RSiO3/2)で表される三官能性シロキサン単位を含むものを使用する場合に生じることがある。生成するSiO2のLiaSiObに対する重量比率は最大1:1である。
本発明のケイ素含有複合材料の表面に、炭素による表面被覆処理をさらに実施してもよい。
ケイ素含有複合材料の炭素表面被覆方法は任意である。例えば、非酸化性雰囲気下で800℃以上の温度でケイ素含有複合材料表面に蒸着炭素源由来の炭素皮膜を熱化学蒸着処理してもよい。また、熱により炭化する有機材料とケイ素含有複合材料とを混合し更に焼成することで、熱により炭化する有機材料に由来する炭素相で覆われたケイ素含有複合材料を得ることもできる。
ケイ素含有複合材料の炭素表面被覆方法は任意である。例えば、非酸化性雰囲気下で800℃以上の温度でケイ素含有複合材料表面に蒸着炭素源由来の炭素皮膜を熱化学蒸着処理してもよい。また、熱により炭化する有機材料とケイ素含有複合材料とを混合し更に焼成することで、熱により炭化する有機材料に由来する炭素相で覆われたケイ素含有複合材料を得ることもできる。
ケイ素含有複合材料表面に炭素による被覆をおこなう場合、炭素の被覆量は、ケイ素含有複合材料中1〜50重量%であることが好ましく、5〜30重量%であることがより好ましく、5〜20重量%であることが更に好ましい。電極活物質としてケイ素含有複合材料のみを使用する場合でも好適な導電性を有し、電極の充放電容量の低下を抑制できるからである。
本発明のケイ素含有複合材料は、平均粒子径が5nm〜50μmの粒子の形態であることができる。平均粒子径は10nm〜40μmであることが好ましく、100nm〜30μmであることがより好ましく、1μm〜20μmであることが更により好ましい。
本発明のケイ素含有複合材料は電極活物質として使用することができる。本発明の電極活物質は粒子の形態であることができ、その場合の平均粒子径は1〜50μmであることが好ましく、1〜40μmであることがより好ましく、1〜20μmであることが更により好ましい。
本発明のケイ素含有複合材料からなる電極活物質は、高い放電容量、優れた充放電効率および容量維持率を有する電極を簡易な製造プロセスで製造可能とすることができる。したがって、この電極活物質は非水電解質二次電池の電極用活物質として好適に使用することができる。特に、この電極活物質はリチウム又はリチウムイオン二次電池の電極の活物質として好適である。
(電極)
本発明の電極は、前記の電極活物質を含有することを特徴とし、電極の形状および調製方法は特に限定されるものでない。本発明の電極を調製する方法として、具体的には、ケイ素含有複合材料をバインダーと混合して電極を作製する方法;ケイ素含有複合材料をバインダーおよび溶媒と混合し、得られたペーストを、集電体上に圧着し、或いは集電体上に塗布し、その後に乾燥して電極とする等の方法により電極を作製する方法が例示される。また、集電体に塗布したペーストの膜厚は、例えば、30〜500μm、好ましくは50〜300μm程度である。なお、塗布後の乾燥の手段は特に限定されるものではないが、加熱真空乾燥処理が好ましい。乾燥処理後の集電体上の電極材料の膜厚は、例えば、10〜300μm、好ましくは20〜200μm程度である。なお、ケイ素含有複合材料が繊維状の場合には、一軸方向に配したり、織物等の構造体の形にし、金属や導電性高分子等の導電性繊維で束ねたり編み込むことにより、電極を作製することができる。電極の形成においては、必要に応じて端子を組み合わせてもよい。
本発明の電極は、前記の電極活物質を含有することを特徴とし、電極の形状および調製方法は特に限定されるものでない。本発明の電極を調製する方法として、具体的には、ケイ素含有複合材料をバインダーと混合して電極を作製する方法;ケイ素含有複合材料をバインダーおよび溶媒と混合し、得られたペーストを、集電体上に圧着し、或いは集電体上に塗布し、その後に乾燥して電極とする等の方法により電極を作製する方法が例示される。また、集電体に塗布したペーストの膜厚は、例えば、30〜500μm、好ましくは50〜300μm程度である。なお、塗布後の乾燥の手段は特に限定されるものではないが、加熱真空乾燥処理が好ましい。乾燥処理後の集電体上の電極材料の膜厚は、例えば、10〜300μm、好ましくは20〜200μm程度である。なお、ケイ素含有複合材料が繊維状の場合には、一軸方向に配したり、織物等の構造体の形にし、金属や導電性高分子等の導電性繊維で束ねたり編み込むことにより、電極を作製することができる。電極の形成においては、必要に応じて端子を組み合わせてもよい。
集電体は、特に限定されるものではなく、具体的には、銅、ニッケル、又はそれらの合金等の金属のメッシュ、箔が例示される。
バインダーとして、具体的には、フッ素系樹脂(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、シリコーン樹脂およびそれらの混合物が例示される。バインダーの使用量は、特に限定されるものではなく、その下限値は、ケイ素含有複合材料100質量(重量)部に対して、5〜30質量(重量)部の範囲内であり、好ましくは5〜20質量(重量)部の範囲内である。バインダーの使用量が前記範囲を外れると、例えば、集電体表面上へのケイ素含有複合材料の密着強度が不十分になり、また、電極内部抵抗上昇の原因となる絶縁層が形成されるおそれがある。ペーストの調製方法は、特に制限されず、例えば、バインダーと有機溶媒との混合液(又は分散液)にケイ素含有複合材料を混合する方法等を例示することができる。
溶媒としては、通常、バインダーを溶解又は分散可能な溶媒が使用され、具体的には、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒と水系のバインダーの場合には水を例示することができる。溶媒の使用量は、ペースト状となる限り特に制限されず、例えば、ケイ素含有複合材料100質量(重量)部に対して、通常、0.01〜500質量(重量)部の範囲内、好ましくは0.01〜400質量(重量)部の範囲内で、更に好ましくは0.01〜300質量(重量)部の範囲内である。
なお、本発明の電極には任意の添加材を配合してもよい。例えば、導電助剤を加えて電極を製造してもよい。導電助剤の使用割合は特に制限されないが、ケイ素含有複合材料100質量(重量)部に対して、2〜60質量(重量)部の範囲内であり、好ましくは5〜40質量(重量)部の範囲内であり、更に好ましくは5〜20質量(重量)部の範囲内である。導電性に優れ、電極の充放電容量の低下を抑制できるからである。
導電助剤としては、カーボンブラック(ケッチェンブラック、アセチレンブラック等)、炭素繊維、カーボンナノファイバ、カーボンナノチューブ、グラフェン等が例示できる。導電助剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、導電助剤は、例えば、ケイ素含有複合材料、バインダーおよび溶媒を含むペーストに混合することができる。
また、本発明の電極にはその他任意の添加材として、黒鉛等の電極活物質を配合してもよい。
(蓄電デバイス)
本発明の蓄電デバイスは、前記の電極を備えたことを特徴とする。このような蓄電デバイスとしては、リチウム一次電池、リチウム二次電池、リチウムイオン二次電池、キャパシタ、ハイブリッドキャパシタ(レドックスキャパシタ)、有機ラジカル電池、デュアルカーボン電池が例示され、特にリチウム又はリチウムイオン二次電池が好ましい。リチウムイオン二次電池は、例えば、前記電極からなる負極、リチウムを吸蔵・放出可能な正極、電解液、セパレータ、集電体、ガスケット、封口板、ケース等の電池構成要素を用い、常法により製造することができる。リチウム二次電池は、例えば、前記電極からなる正極、金属リチウムからなる負極、電解液、セパレータ、集電体、ガスケット、封口板、ケース等の電池構成要素を用い、常法により製造することができる。
本発明の蓄電デバイスは、前記の電極を備えたことを特徴とする。このような蓄電デバイスとしては、リチウム一次電池、リチウム二次電池、リチウムイオン二次電池、キャパシタ、ハイブリッドキャパシタ(レドックスキャパシタ)、有機ラジカル電池、デュアルカーボン電池が例示され、特にリチウム又はリチウムイオン二次電池が好ましい。リチウムイオン二次電池は、例えば、前記電極からなる負極、リチウムを吸蔵・放出可能な正極、電解液、セパレータ、集電体、ガスケット、封口板、ケース等の電池構成要素を用い、常法により製造することができる。リチウム二次電池は、例えば、前記電極からなる正極、金属リチウムからなる負極、電解液、セパレータ、集電体、ガスケット、封口板、ケース等の電池構成要素を用い、常法により製造することができる。
本発明の電池の好ましい態様であるリチウム又はリチウムイオン二次電池を図1および図2により詳細に説明する。
図1は、本発明の電池の一例であるリチウムイオン二次電池であるボタン形電池の概略分解断面図である。
図1に示すリチウムイオン二次電池は、上面開口有底円筒形状のケース1、ケース1の外周と略同等のサイズの内周を有する両端開口円筒形状のガスケット2、ワッシャー3、SUS板4、集電体5、本発明のケイ素含有複合材料を電極活物質として含む負極6、セパレータ7、正極8、集電体9、および、封口板10からなる。
図1に示すリチウムイオン二次電池のケース1内には、ケース1の内周よりも若干小さいサイズの略リング状であるワッシャー3が収容されており、ワッシャー3の上にケース1の内周よりも若干小さいサイズの略円盤状であるSUS板4が載置されている。SUS板4の上には、共にケース1の内周よりも若干小さいサイズの略円盤状である集電体5および負極6が配設される。負極6の上には、ケース1の内周と略同等のサイズの一枚の円盤状部材としてのセパレータ7が載置され、セパレータ7には電解液が含浸されている。なお、セパレータ7は2枚以上の円盤状部材から構成されていてもよい。セパレータ7上には負極6と略同等のサイズの正極8および集電体5と略同等のサイズの集電体9が配設される。集電体5は銅、ニッケル等の金属からなる箔、メッシュ等で構成されており、集電体9はアルミニウム等の金属からなる箔、メッシュ等で構成されており、それぞれ、負極6および正極8に密着して一体化している。
図1に示すリチウムイオン二次電池では、ケース1の壁面にガスケット2が嵌合されており、ガスケット2よりも若干大きいサイズの内周面を有する下面開口有底円筒形状の封口板10の当該内周面がガスケット2の外周面に更に嵌合されている。これにより、ケース1と封口板10はガスケット2によって絶縁され、ケース1、ガスケット2、ワッシャー3、SUS板4、集電体5、負極6、セパレータ7、正極8、集電体9および封口板10の軸線が一致したボタン形電池が形成される。
図1に示すリチウムイオン二次電池における正極8は、特に限定されるものではなく、例えば、正極活物質、導電助材およびバインダー等で構成することができる。正極活物質としては、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等の金属酸化物、LiFePO4、Li2FeSiO4等のポリアニオン型酸化物、スピネル型LiMn2O4等を挙げることができる。正極活物質は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。導電助材およびバインダーとしては上記と同様のものが例示される。
図2は実施例で作製した本発明の電池の一例であるリチウム二次電池であるボタン形電池の概略分解断面図である。
図2に示すリチウム二次電池は、上面開口有底円筒形状のケース1、ケース1の外周と略同等のサイズの内周を有する両端開口円筒形状のガスケット2、ワッシャー3、SUS板4、金属リチウムからなる負極6、セパレータ7、本発明のケイ素含有複合材料を電極活物質として含む正極8、集電体9’、および、封口板10からなる。
図2に示すリチウム二次電池のケース1内には、ケース1の内周よりも若干小さいサイズの略リング状であるワッシャー3が収容されており、ワッシャー3の上にケース1の内周よりも若干小さいサイズの略円盤状であるSUS板4が載置されている。SUS板4の上には、ケース1の内周よりも若干小さいサイズの略円盤状である負極6が配設される。負極6の上には、ケース1の内周と略同等のサイズの一枚の円盤状部材としてのセパレータ7が載置され、セパレータ7には電解液が含浸されている。なお、セパレータ7は2枚以上の円盤状部材から構成されていてもよい。セパレータ7上には負極6と略同等のサイズの正極8および集電体9’が配設される。集電体9’は銅、ニッケル等の金属からなる箔、メッシュ等で構成されており、正極8に密着して一体化している。
図2に示すリチウム二次電池では、ケース1の壁面にガスケット2が嵌合されており、ガスケット2よりも若干大きいサイズの内周面を有する下面開口有底円筒形状の封口板10の当該内周面がガスケット2の外周面に更に嵌合されている。これにより、ケース1と封口板10はガスケット2によって絶縁され、ケース1、ガスケット2、ワッシャー3、SUS板4、負極6、セパレータ7、正極8、集電体9’および封口板10の軸線が一致したボタン形電池が形成される。
図1および図2に示すリチウム又はリチウムイオン二次電池に含まれる電解液は、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。例えば、電解液として、有機溶媒に電解質を溶解させた溶液を用いることにより、非水系リチウム又はリチウムイオン二次電池を製造することができる。電解質としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiClF4、LiAsF6、LiSbF6、LiAlO4、LiAlCl4、LiCl、LiI等のリチウム塩を例示することができる。有機溶媒としては、例えば、カーボネート類(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート等)、ラクトン類(γ一ブチロラクトン等)、鎖状エーテル類(1,2−ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等)、環状エーテル類(テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン等)、スルホラン類(スルホラン等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ポリオキシアルキレングリコール類(ジエチレングリコール等)等の非プロトン性溶媒を例示することができる。有機溶媒は、単独で用いてもよく二種以上の混合溶媒として用いてもよい。電解質濃度は、例えば、電解液1Lに対して、電解質0.3〜5モル、好ましくは0.5〜3モル、更に好ましくは0.8〜1.5モル程度である。
上記電解液中に必要に応じて各種添加剤を加えることが好ましい。例えば、炭酸フルオロメチルメチル、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4、5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどのハロゲン化炭酸エステル;ビニルカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、4−ビニルエチレンカーボネートなどのカーボネート;トリス(2−フルオロエチル)フォスフェイト、トリス(2,2,2トリフルオロエチル)フォスフェイトなどのトリフルオロフォスフェイト;シロキサン変性エーテルが例示される。これらの添加剤は、電解液の分解反応を抑制、電解液の難燃性の向上、電池のサイクル寿命向上などを目的として配合される。これらの添加剤の電解液中の濃度は0.1〜50重量%の範囲であることが好ましい。
図1および図2に示すリチウム又はリチウムイオン二次電池におけるセパレータ4、12は、特に限定されるものではなく、公知のセパレータ、例えば、多孔質ポリプロピレン製不織布、多孔質ポリエチレン製不織布等のポリオレフィン系の多孔質膜等を使用することができる。
本発明の蓄電デバイスは、図1、図2に示した例に限定されるものではなく、例えば、積層形、パック形、ボタン形、ガム形、組電池形、角形といった様々な形態のものに適用可能である。本発明の蓄電デバイス、特に、リチウム又はリチウムイオン二次電池は、軽量且つ高容量で高エネルギー密度の特徴を利用して、ビデオカメラ、パソコン、ワープロ、ラジカセ、携帯電話等の携帯用小型電子機器の電源、ハイブリット自動車や電気自動車の電源、電力貯蔵用電源として使用されることが好ましい。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例におけるX線回折、透過型電子顕微鏡、X線光電子分光法、および電池特性の評価は以下のとおりに実施された。
[X線回折]
装置:(株)リガク製RINT2000
X線発生装置:ターゲットCu
管電圧:40kV
管電流:40mA
2θ=10−90
発散スリット:2/3°
発散縦:10mm
散乱スリット:2/3°
受光スリット:0.3mm
[走査型電子顕微鏡]
装置:日本電子(株)製JSM−5800LV
[エネルギー分散型X線分析]
装置:日本電子(株)製JED−2100
[X線光電子分光法]
装置:島津製作所製ESCA−3400
X線源:MgKα
[MAS NMR]
装置:JEOL ECA500
測定方法:定量性を確保するため29Si DDMASと13C DDMAS法を用い、7Li Single Pulse Decoupling法を用いた。
装置:(株)リガク製RINT2000
X線発生装置:ターゲットCu
管電圧:40kV
管電流:40mA
2θ=10−90
発散スリット:2/3°
発散縦:10mm
散乱スリット:2/3°
受光スリット:0.3mm
[走査型電子顕微鏡]
装置:日本電子(株)製JSM−5800LV
[エネルギー分散型X線分析]
装置:日本電子(株)製JED−2100
[X線光電子分光法]
装置:島津製作所製ESCA−3400
X線源:MgKα
[MAS NMR]
装置:JEOL ECA500
測定方法:定量性を確保するため29Si DDMASと13C DDMAS法を用い、7Li Single Pulse Decoupling法を用いた。
[電池特性]
本発明の複合材料を用いたリチウムイオン二次電池の充放電特性を北斗電工製HJR−110mSM6を用いて次のようにして測定した。
一回目の充電・放電ともに測定、複合材料1g質量あたり、複合材料の理論容量である2000mAh/gに対して20分の1となるような0.05C(100mAh/g)の定電流で行った。また、1回目の充電は電池電圧が0Vまで低下した時点で終了し初回充電容量(mAh/g)を求めた。一回目の放電は電池電圧が1.5Vに到達した時点で終了し、初回放電容量(mAh/g)を求めた。充放電の切り替え時には、30分間、開回路で放置した。2回目以降、充電は0.1Cで定電流で行い、電池電圧が0Vに達した時点で終了し、充電容量を求めた。また、放電は0.1Cで電池電圧が1.5Vに達した時点で終了し、放電容量を求めた。なお、サイクル特性についても同様な条件で行った。初回充放電効率(CE%)は、第1サイクル目における、充電容量に対する放電容量の百分率(%)とし、サイクル試験後の容量維持率は2サイクル目の放電容量に対する所定サイクル後の放電容量の百分率(%)とした。
初回充放電効率(%)=
1サイクル目のリチウム脱離容量/1サイクル目のリチウム挿入容量×100
2サイクル目のリチウム脱離容量(放電容量)を可逆容量とし、サイクル試験後の容量維持率はそのリチウム脱離容量に対するサイクル後のリチウム脱離容量で表示した。
本発明の複合材料を用いたリチウムイオン二次電池の充放電特性を北斗電工製HJR−110mSM6を用いて次のようにして測定した。
一回目の充電・放電ともに測定、複合材料1g質量あたり、複合材料の理論容量である2000mAh/gに対して20分の1となるような0.05C(100mAh/g)の定電流で行った。また、1回目の充電は電池電圧が0Vまで低下した時点で終了し初回充電容量(mAh/g)を求めた。一回目の放電は電池電圧が1.5Vに到達した時点で終了し、初回放電容量(mAh/g)を求めた。充放電の切り替え時には、30分間、開回路で放置した。2回目以降、充電は0.1Cで定電流で行い、電池電圧が0Vに達した時点で終了し、充電容量を求めた。また、放電は0.1Cで電池電圧が1.5Vに達した時点で終了し、放電容量を求めた。なお、サイクル特性についても同様な条件で行った。初回充放電効率(CE%)は、第1サイクル目における、充電容量に対する放電容量の百分率(%)とし、サイクル試験後の容量維持率は2サイクル目の放電容量に対する所定サイクル後の放電容量の百分率(%)とした。
初回充放電効率(%)=
1サイクル目のリチウム脱離容量/1サイクル目のリチウム挿入容量×100
2サイクル目のリチウム脱離容量(放電容量)を可逆容量とし、サイクル試験後の容量維持率はそのリチウム脱離容量に対するサイクル後のリチウム脱離容量で表示した。
[実施例1]
(複合材料の調製)
シリコン金属粉末(ダウ・コーニング・コーポレーション製金属シリコン(半導体用高純度金属シリコン,9.99999以上%、平均粒子径、1μm)2.5gと新日鉄化学工業株式会社製のDVB570(ジビニルベンゼンとビニルエチルベンゼンが主成分であり、主成分中のジビニルベンゼンの含有率60質量%)1.59gに、粘度20mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.58質量%)0.951g(前記DVB570中のビニル基1モルに対して本ポリシロキサン中のケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)と酢酸リチウム0.26gを均一に混合した。その後、120℃でプレキュアした。得られた塊状物を蓋付のアルミナ製容器に入れ、雰囲気コントロール可能な温度プログラム付マッフル炉中で窒素雰囲気下にて、600℃で2時間保持した後、さらに1,000℃で1時間保持するという温度条件で焼成を行った。冷却後、焼成物をボールミルで粉砕し、平均粒径約10μmの複合材料を得た。
(複合材料の調製)
シリコン金属粉末(ダウ・コーニング・コーポレーション製金属シリコン(半導体用高純度金属シリコン,9.99999以上%、平均粒子径、1μm)2.5gと新日鉄化学工業株式会社製のDVB570(ジビニルベンゼンとビニルエチルベンゼンが主成分であり、主成分中のジビニルベンゼンの含有率60質量%)1.59gに、粘度20mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.58質量%)0.951g(前記DVB570中のビニル基1モルに対して本ポリシロキサン中のケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)と酢酸リチウム0.26gを均一に混合した。その後、120℃でプレキュアした。得られた塊状物を蓋付のアルミナ製容器に入れ、雰囲気コントロール可能な温度プログラム付マッフル炉中で窒素雰囲気下にて、600℃で2時間保持した後、さらに1,000℃で1時間保持するという温度条件で焼成を行った。冷却後、焼成物をボールミルで粉砕し、平均粒径約10μmの複合材料を得た。
この微粉末のX線回折(CuKα)により、金属ケイ素の回折パタン(2θが28.4、47.3、65.1、69.1、76.4、88.0、95.0)以外に2θが18°−19°、21.8−26.9°、33°−38°、51.6°−59°、72.8付近にLi−O−Si構造に由来する特有な回折ピークが観測された。また、7Li MASNMRでは3.32ppmに、Li−O−Si由来のピークが観測され、29Si MAS NMRでは−95ppmにLi−O−Si由来のピークが観測され、13C MAS NMRでは124ppmにsp2炭素に由来するピークが観測された。SEM観測より、金属ケイ素微粉末と炭素微粉末がLiaSiOb化合物のマトリックスに分散していることを確認した。
(電極の作製)
前記で調製した複合材料65質量部に対して人造黒鉛微粉末(平均粒子径D50=5μm)20質量部を加え、混合物を作製した。この混合物にアセチレンブラック5.0質量部、ポリイミド10.0質量部を加え、デンタルミキサーで25分混合した。その後、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを混合してスラリー状にし、ドクターブレード法により、銅箔ロール上に厚み約100μmとなるように塗布した。次に、100℃で1時間乾燥を行った後、ローラープレスにより電極を加圧成形した後、さらに300℃で4時間真空加熱を行い、厚み約15μmの電極を作製した。
前記で調製した複合材料65質量部に対して人造黒鉛微粉末(平均粒子径D50=5μm)20質量部を加え、混合物を作製した。この混合物にアセチレンブラック5.0質量部、ポリイミド10.0質量部を加え、デンタルミキサーで25分混合した。その後、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを混合してスラリー状にし、ドクターブレード法により、銅箔ロール上に厚み約100μmとなるように塗布した。次に、100℃で1時間乾燥を行った後、ローラープレスにより電極を加圧成形した後、さらに300℃で4時間真空加熱を行い、厚み約15μmの電極を作製した。
(二次電池の作製および評価)
得られた電極の充放電特性を評価するために、対極にリチウム箔を使用し、非水電解質として4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとエチルメチルカーボネート(EMC)の3/7(体積比)混合液に六フッ化リンリチウムを1モル/Lの濃度で溶解した非水電解質溶液を用い、セパレータとして厚さ30μmのポリエチレン製微多孔質フィルムを用いた評価用リチウムイオン二次電池を作製した。表1に実施例1の電池の特性を示す。
得られた電極の充放電特性を評価するために、対極にリチウム箔を使用し、非水電解質として4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとエチルメチルカーボネート(EMC)の3/7(体積比)混合液に六フッ化リンリチウムを1モル/Lの濃度で溶解した非水電解質溶液を用い、セパレータとして厚さ30μmのポリエチレン製微多孔質フィルムを用いた評価用リチウムイオン二次電池を作製した。表1に実施例1の電池の特性を示す。
[実施例2]
(複合材料の調製)
窒素雰囲気下で、化学用シリコン金属粉末(ダウ・コーニング・コーポレーション製、平均粒子径、<1μm)金属ケイ素微粉末2.4g、Li3N 0.14g、ジフェニルビス(ジメチルビニルシロキシ)シラン4.2g(14.06質量%ビニル基含有)、粘度20mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.58質量%)1.4g(前記ジフェニルビス(ジメチルビニルシロキシ)シラン中のビニル基1モルに対して本ポリシロキサン中のケイ素原子結合水素原子が1モルとなる量)、白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体白金触媒を白金金属として10ppmとなる量、および、トルエン5mlを添加し、デンタルミキサーで均一に混合した。その後、窒素雰囲気下150℃にてこの組成物を硬化させることで硬化物を調製した。SSA−Sグレードのアルミナ製ボートに、前記硬化物3.0gを投入し、ボートを脱脂炉内へ設置した。その後、脱脂炉内を減圧に10分間維持した後、高純度窒素(99.99%)にて常圧へ戻した。この操作を計1回繰り返した。その後、高純度窒素を2L/分の流量で供給しつつ、2℃/分の割合で昇温し、600℃で2時間焼成した。得られた焼成物をボールミルで粉砕し、300メッシュで分級を行った。SSA−Sグレードのアルミナ製ボートに、粉砕分級後得られた焼成物2.2gを投入し、ボートをマッフル炉内へ設置した。マッフル炉内を減圧に60分間維持した後、高純度窒素(99.99%)にて常圧へ戻した。この操作を計1回繰り返した。その後、高純度アルゴンを100mL/分の流量で供給しつつ、5℃/分の割合で昇温し、1000℃で1時間焼成することで黒色の複合材料を得た。十分冷却後、焼成物をボールミルで粉砕し、平均粒径約10μmの複合材料を得た。
(複合材料の調製)
窒素雰囲気下で、化学用シリコン金属粉末(ダウ・コーニング・コーポレーション製、平均粒子径、<1μm)金属ケイ素微粉末2.4g、Li3N 0.14g、ジフェニルビス(ジメチルビニルシロキシ)シラン4.2g(14.06質量%ビニル基含有)、粘度20mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.58質量%)1.4g(前記ジフェニルビス(ジメチルビニルシロキシ)シラン中のビニル基1モルに対して本ポリシロキサン中のケイ素原子結合水素原子が1モルとなる量)、白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体白金触媒を白金金属として10ppmとなる量、および、トルエン5mlを添加し、デンタルミキサーで均一に混合した。その後、窒素雰囲気下150℃にてこの組成物を硬化させることで硬化物を調製した。SSA−Sグレードのアルミナ製ボートに、前記硬化物3.0gを投入し、ボートを脱脂炉内へ設置した。その後、脱脂炉内を減圧に10分間維持した後、高純度窒素(99.99%)にて常圧へ戻した。この操作を計1回繰り返した。その後、高純度窒素を2L/分の流量で供給しつつ、2℃/分の割合で昇温し、600℃で2時間焼成した。得られた焼成物をボールミルで粉砕し、300メッシュで分級を行った。SSA−Sグレードのアルミナ製ボートに、粉砕分級後得られた焼成物2.2gを投入し、ボートをマッフル炉内へ設置した。マッフル炉内を減圧に60分間維持した後、高純度窒素(99.99%)にて常圧へ戻した。この操作を計1回繰り返した。その後、高純度アルゴンを100mL/分の流量で供給しつつ、5℃/分の割合で昇温し、1000℃で1時間焼成することで黒色の複合材料を得た。十分冷却後、焼成物をボールミルで粉砕し、平均粒径約10μmの複合材料を得た。
この微粉末のX線回折(CuKα)により、金属ケイ素の回折パタン(2θが28.4、47.3、65.1、69.1、76.4、88.0、95.0)以外に2θが18°−19°、21.8−26.9°、33°−38°、51.6°−59°、72.8付近にLi−O−Si構造に由来する特有な回折ピークが観測された。また、7Li MASNMRでは3.32ppmに、Li−O−Si由来のピークが観測され、29Si MAS NMRでは−95ppmにLi−O−Si由来のピークが観測され、13C MAS NMRでは125ppmにsp2炭素に由来するピークが観測された。SEM観測より、金属ケイ素微粉末と炭素微粉末がLiaSiOb化合物(式中0<a<4、0<b<4)のマトリックスに分散していることを確認した。
(電極の作製)
実施例1と同様に行い、電極を作製した。
実施例1と同様に行い、電極を作製した。
(二次電池の作製及び評価)
実施例1と同様に評価を行い、表2に実施例2の電池の特性を示す。
実施例1と同様に評価を行い、表2に実施例2の電池の特性を示す。
[実施例3]
(複合材料の調製)
窒素雰囲気下で、2.5gの化学用シリコン金属粉末(ダウ・コーニング・コーポレーション製、平均粒子径サイズ、<1μm)にLiCO3(ケイ素金属に対し5重量%)、新日鉄化学工業株式会社製のDVB570(ジビニルベンゼンとビニルエチルベンゼンが主成分であり、主成分中のジビニルベンゼンの含有率60質量%)1.549gに、粘度20mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.58質量%)0.951g(前記DVB570中のビニル基1モルに対して本ポリシロキサン中のケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)、白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体白金触媒を白金金属として10ppmとなる量、および、トルエン5mlを添加し、デンタルミキサーで混合した。その後、120℃でプレキュアした。その塊状のまま、蓋付のアルミナ製容器に入れて、雰囲気コントロール可能な温度プログラム付マッフル炉で窒素雰囲気下にて、600℃で2時間保持した後、さらに1,000℃で1時間保持するという温度条件で焼成を行った。十分冷却後、粉砕機(ボールミル)で粉砕し、平均粒径約10μmの複合材料を得た。
(複合材料の調製)
窒素雰囲気下で、2.5gの化学用シリコン金属粉末(ダウ・コーニング・コーポレーション製、平均粒子径サイズ、<1μm)にLiCO3(ケイ素金属に対し5重量%)、新日鉄化学工業株式会社製のDVB570(ジビニルベンゼンとビニルエチルベンゼンが主成分であり、主成分中のジビニルベンゼンの含有率60質量%)1.549gに、粘度20mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.58質量%)0.951g(前記DVB570中のビニル基1モルに対して本ポリシロキサン中のケイ素原子結合水素原子が1.5モルとなる量)、白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体白金触媒を白金金属として10ppmとなる量、および、トルエン5mlを添加し、デンタルミキサーで混合した。その後、120℃でプレキュアした。その塊状のまま、蓋付のアルミナ製容器に入れて、雰囲気コントロール可能な温度プログラム付マッフル炉で窒素雰囲気下にて、600℃で2時間保持した後、さらに1,000℃で1時間保持するという温度条件で焼成を行った。十分冷却後、粉砕機(ボールミル)で粉砕し、平均粒径約10μmの複合材料を得た。
この微粉末のX線回折(CuKα)により、ケイ素金属の回折パタン以外に2θが16°−18°、22−23°、28−29°、34°付近にLi−O−Si構造に由来する特有な回折ピークが観測された。また、7Li MASNMRでは3.32ppmに、SiOLi由来のピークが観測され、29Si MAS NMRでは−95ppmにLi−O−Si由来のピークと−111ppmにSiO2由来のピークが観測され、13C MAS NMRでは125ppmにsp2炭素に由来するピークが観測された。SEM観測より、金属ケイ素微粉末と炭素微粉末がLiaSiOb化合物(式中0<a<4、0<b<4)のマトリックスに分散していることを確認した。
(電極の作製)
実施例1と同様に行い、電極を作製した。
実施例1と同様に行い、電極を作製した。
(二次電池の作製及び評価)
実施例1と同様に評価を行い、表1に実施例3の電池の特性を示す。
実施例1と同様に評価を行い、表1に実施例3の電池の特性を示す。
[実施例4]
(複合材料の調製)
フェニルシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング社製、商品名0217フレークレジン:平均単位式(C 6 H 5 SiO 3/2 )で表わされるオルガノポリシロキサン)2.67gをトルエン4gに溶解させ、酢酸リチウム0.87gを加え、デンタルミキサーで10分混合し、さらに金属ケイ素微粉末(Aldrich社製、平均粒子径100nm)2.5gを上記の混合溶物に添加し、窒素雰囲気下で25分間混合した後、100℃で加熱乾燥し、さらに600℃で2時間保持した後、さらに1000で1時間熱処理を行い、黒色の複合材料を得た。十分冷却後、焼成物をボールミルで粉砕し、平均粒径約10μmの複合材料を得た。
(複合材料の調製)
フェニルシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング社製、商品名0217フレークレジン:平均単位式(C 6 H 5 SiO 3/2 )で表わされるオルガノポリシロキサン)2.67gをトルエン4gに溶解させ、酢酸リチウム0.87gを加え、デンタルミキサーで10分混合し、さらに金属ケイ素微粉末(Aldrich社製、平均粒子径100nm)2.5gを上記の混合溶物に添加し、窒素雰囲気下で25分間混合した後、100℃で加熱乾燥し、さらに600℃で2時間保持した後、さらに1000で1時間熱処理を行い、黒色の複合材料を得た。十分冷却後、焼成物をボールミルで粉砕し、平均粒径約10μmの複合材料を得た。
この微粉末のX線回折(CuKα)により、金属ケイ素の回折パタン(2θが28.4、47.3、65.1、69.1、76.4、88.0、95.0)以外に2、θが18°−19°、26°−27°、33°−34°、38°−39°付近にLi−O−Si構造に由来する特有な回折ピーク、および、2θが20.8°、22.3°、26.6°付近にSiO2に由来する特有な回折ピークが観測された。また、7Li MASNMRでは3.32ppmに、Li−O−Si由来のピークが観測され、29Si MAS NMRでは−96ppmと−111ppmにLi−O−Si由来のピーク、SiO2由来のピークが観測された。また、7Li MAS NMRでは3.32ppmに、Li−O−Si由来のピークが観測され、29Si MAS NMRでは−95ppmにLi−O−Si由来のピークが観測され、13C MAS NMRでは124ppmにsp2炭素に由来するピークが観測された。SEM観測より、金属ケイ素微粉末と炭素微粉末がLiaSiOb化合物(式中0<a<4、0<b<4)のマトリックスに分散していることを確認した。
(電極の作製)
実施例1と同様に行い、電極を作製した。
実施例1と同様に行い、電極を作製した。
(二次電池の作製及び評価)
実施例1と同様に評価を行い、表1に実施例4の電池の特性を示した。
実施例1と同様に評価を行い、表1に実施例4の電池の特性を示した。
[実施例5]
(複合材料の調製)
フェニルシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング社製、商品名0217フレークレジン:平均単位式(C 6 H 5 SiO 3/2 )で表わされるオルガノポリシロキサン)1.0gをトルエン3gに溶解し、酢酸リチウム0.546gを加え、デンタルミキサーで10分混合し、さらに金属ケイ素微粉末(Aldrich社製、平均粒子径100nm)2.5gを上記の混合溶物に添加した後、窒素雰囲気下で25分間混合した後、100℃で加熱乾燥し、さらに600℃で2時間、1000で1時間熱処理を行い、黒褐色の複合材料を得た(実施例4と同じく分析を行い、組成を確認した)。十分冷却後、焼成物をボールミルで粉砕し、平均粒径約10μmの複合材料を得た。
(複合材料の調製)
フェニルシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング社製、商品名0217フレークレジン:平均単位式(C 6 H 5 SiO 3/2 )で表わされるオルガノポリシロキサン)1.0gをトルエン3gに溶解し、酢酸リチウム0.546gを加え、デンタルミキサーで10分混合し、さらに金属ケイ素微粉末(Aldrich社製、平均粒子径100nm)2.5gを上記の混合溶物に添加した後、窒素雰囲気下で25分間混合した後、100℃で加熱乾燥し、さらに600℃で2時間、1000で1時間熱処理を行い、黒褐色の複合材料を得た(実施例4と同じく分析を行い、組成を確認した)。十分冷却後、焼成物をボールミルで粉砕し、平均粒径約10μmの複合材料を得た。
(電極の作製)
上記で得られたケイ素含有複合材料45質量部に対して人造黒鉛微粉末(平均粒子径D50=5μm)40質量部を加え、混合物を作製した。この混合物にアセチレンブラック5.0質量部、ポリイミド10.0質量部を加え、デンタルミキサーでさらに25分混合した。その後、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを混合してスラリー状にし、ドクターブレード法により、銅箔ロール上に厚み約100μmで塗布した。次に、100℃で1時間乾燥を行った後、さらに300℃で4時間真空加熱を行い、ローラープレスにより電極を加圧成形し、厚み約15μmの電極を作製した。
上記で得られたケイ素含有複合材料45質量部に対して人造黒鉛微粉末(平均粒子径D50=5μm)40質量部を加え、混合物を作製した。この混合物にアセチレンブラック5.0質量部、ポリイミド10.0質量部を加え、デンタルミキサーでさらに25分混合した。その後、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを混合してスラリー状にし、ドクターブレード法により、銅箔ロール上に厚み約100μmで塗布した。次に、100℃で1時間乾燥を行った後、さらに300℃で4時間真空加熱を行い、ローラープレスにより電極を加圧成形し、厚み約15μmの電極を作製した。
(二次電池の作製及び評価)
実施例1と同様に評価を行い、表1に実施例5の電池の特性を示した。
実施例1と同様に評価を行い、表1に実施例5の電池の特性を示した。
[実施例6]
窒素雰囲気下で、2.5gの化学用シリコン金属粉末(ダウ・コーニング・コーポレーション製、平均粒子径、<1μm)とグラフェン(厚さ6nm平均直径5μm)1.25gをトルエン10mlに添加し、遊星ボールミルで6時間処理した。ここに酢酸リチウム0.26g、新日鉄化学工業株式会社製のDVB570(ジビニルベンゼンとビニルエチルベンゼンが主成分であり、主成分中のジビニルベンゼンの含有率60質量%)1.549g、粘度20mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.58質量%)0.951g(前記DVB570中のビニル基1モルに対して本ポリシロキサン中のケイ素原子結合水素原子が1モルとなる量)。白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体白金触媒を白金金属として10ppmとなる量を均一に混合した。得られた混合物を乾燥後、窒素雰囲気下で脱溶剤後、120℃でプレキュアした。得られた塊状物を蓋付のアルミナ製容器に入れて、雰囲気コントロール可能な温度プログラム付マッフル炉で窒素雰囲気下にて、600℃で2時間保持した後、さらに1000℃で1時間保持するという温度条件で焼成を行った。十分冷却後、焼成物をボールミルで粉砕し、平均粒径約10μmの複合材料を得た。
窒素雰囲気下で、2.5gの化学用シリコン金属粉末(ダウ・コーニング・コーポレーション製、平均粒子径、<1μm)とグラフェン(厚さ6nm平均直径5μm)1.25gをトルエン10mlに添加し、遊星ボールミルで6時間処理した。ここに酢酸リチウム0.26g、新日鉄化学工業株式会社製のDVB570(ジビニルベンゼンとビニルエチルベンゼンが主成分であり、主成分中のジビニルベンゼンの含有率60質量%)1.549g、粘度20mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.58質量%)0.951g(前記DVB570中のビニル基1モルに対して本ポリシロキサン中のケイ素原子結合水素原子が1モルとなる量)。白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体白金触媒を白金金属として10ppmとなる量を均一に混合した。得られた混合物を乾燥後、窒素雰囲気下で脱溶剤後、120℃でプレキュアした。得られた塊状物を蓋付のアルミナ製容器に入れて、雰囲気コントロール可能な温度プログラム付マッフル炉で窒素雰囲気下にて、600℃で2時間保持した後、さらに1000℃で1時間保持するという温度条件で焼成を行った。十分冷却後、焼成物をボールミルで粉砕し、平均粒径約10μmの複合材料を得た。
この微粉末のX線回折(CuKα)により、ケイ素金属の回折パタンとグラフェンの回折パタン(2θが26.5°、44.6°、54.6°)以外に、2θが18°−19°、21.8−26.9°、33°−38°、51.6°−59°、72.8付近にLi−O−Si構造に由来する特有な回折ピークが観測された。また、7Li MASNMRでは3.32ppmに、Li−O−Si由来のピークが観測され、29Si MAS NMRでは−95ppmにLi−O−Si由来のピークが観測され、13C MAS NMRでは124ppmにsp2炭素に由来するピークが観測された。SEM観測より、金属ケイ素微粉末とグラフェンがLiaSiOb化合物(式中0<a<4、0<b<4)のマトリックスに分散していることを確認した。
(電極の作製)
実施例1と同様に行い、電極を作製した。
実施例1と同様に行い、電極を作製した。
(二次電池の作製及び評価)
実施例1と同様に評価を行い、表2に実施例6の電池の特性を示した。
実施例1と同様に評価を行い、表2に実施例6の電池の特性を示した。
[実施例7]
(炭素被覆複合材料の調製)
実施例6で得た複合材料粉末を、バッチ式ロータリーキルン(内径約φ30mm×60mm)を用いて、メタン−アルゴン混合ガス通気下で1,000℃、1時間の条件で熱CVD処理を行った。得られたCVD処理炭素被覆複合材料粉末の表面被覆炭素量は、炭素被覆複合材料の全重量に対して10重量%であった。
(炭素被覆複合材料の調製)
実施例6で得た複合材料粉末を、バッチ式ロータリーキルン(内径約φ30mm×60mm)を用いて、メタン−アルゴン混合ガス通気下で1,000℃、1時間の条件で熱CVD処理を行った。得られたCVD処理炭素被覆複合材料粉末の表面被覆炭素量は、炭素被覆複合材料の全重量に対して10重量%であった。
(電極の作製)
実施例1と同様に行い、電極を作製した。
実施例1と同様に行い、電極を作製した。
(二次電池の作製及び評価)
実施例6と同様に評価を行い、表2に実施例7の電池の特性を示した。
実施例6と同様に評価を行い、表2に実施例7の電池の特性を示した。
[比較例1]
リチウム化合物を含まない以外、実施例1と同様にして複合材料を調製した。その後、実施例1と同様にして、電極の作製および二次電池の作製および評価を行った。表1に比較例1の電池の特性を示した。
リチウム化合物を含まない以外、実施例1と同様にして複合材料を調製した。その後、実施例1と同様にして、電極の作製および二次電池の作製および評価を行った。表1に比較例1の電池の特性を示した。
[比較例2]
シリコン金属粉末(ダウ・コーニング・コーポレーション製金属シリコン(半導体用高純度金属シリコン,9.99999以上%、平均粒子径、1μm)2.5gと酢酸リチウム0.26gを混合し、蓋付のアルミナ製容器に入れて、雰囲気コントロール可能な温度プログラム付マッフル炉で窒素雰囲気下にて、600℃で2時間保持した後、さらに1,000℃で1時間保持するという温度条件で焼成を行った。十分冷却後、クリアランスを20μmに設定した粉砕機(ボールミル)で粉砕し、平均粒径約10μmの複合材料を得た。
その後、実施例1と同様にして、電極の作製および二次電池の作製および評価を行った。表1に比較例2の電池の特性を示した。
シリコン金属粉末(ダウ・コーニング・コーポレーション製金属シリコン(半導体用高純度金属シリコン,9.99999以上%、平均粒子径、1μm)2.5gと酢酸リチウム0.26gを混合し、蓋付のアルミナ製容器に入れて、雰囲気コントロール可能な温度プログラム付マッフル炉で窒素雰囲気下にて、600℃で2時間保持した後、さらに1,000℃で1時間保持するという温度条件で焼成を行った。十分冷却後、クリアランスを20μmに設定した粉砕機(ボールミル)で粉砕し、平均粒径約10μmの複合材料を得た。
その後、実施例1と同様にして、電極の作製および二次電池の作製および評価を行った。表1に比較例2の電池の特性を示した。
[比較例3]
窒素雰囲気下で、2.5gの化学用シリコン金属粉末(ダウ・コーニング・コーポレーション製、平均粒子径サイズ、<1μm)とグラフェン(厚さ6nm平均直径5μm)1.25gをトルエン10mlに添加し、遊星ボールミルで6時間処理して得られたシリコンとグラフェンの混合粉末に、メタンを用いて熱CVD処理を行い、炭素被覆ケイ素粉末の全重量に対して炭素を約10重量%の量で含む炭素被覆ケイ素粉末を得た。その後、実施例7と同様にして、電極の作製および二次電池の作製および評価を行った。表2に比較例3の電池の特性を示した。
窒素雰囲気下で、2.5gの化学用シリコン金属粉末(ダウ・コーニング・コーポレーション製、平均粒子径サイズ、<1μm)とグラフェン(厚さ6nm平均直径5μm)1.25gをトルエン10mlに添加し、遊星ボールミルで6時間処理して得られたシリコンとグラフェンの混合粉末に、メタンを用いて熱CVD処理を行い、炭素被覆ケイ素粉末の全重量に対して炭素を約10重量%の量で含む炭素被覆ケイ素粉末を得た。その後、実施例7と同様にして、電極の作製および二次電池の作製および評価を行った。表2に比較例3の電池の特性を示した。
本発明の電極活物質は、高い放電容量、優れた充放電効率および容量維持率を有し、蓄電デバイス、特にリチウム又はリチウムイオン二次電池の電極に好適である。また、本発明の電極活物質は、廉価な原料を用いて、簡易な製造プロセスで製造可能である。そして、本発明の電極は、電池に高い放電容量、優れた充放電効率および容量維持率を付与できる。したがって、本発明の蓄電デバイスは、高い放電容量、優れた充放電効率および容量維持率を有することができる。
1:ケース、2:ガスケット、3:ワッシャー、4:SUS板、5:集電体、6:負極、7:セパレータ、8:正極、9、9’:集電体、10:封口板
Claims (15)
- Li−O−Si結合を有する組成式LiaSiOb(式中0<a<4、0<b<4)で表される化合物のマトリックス中に、炭素微粉末と、金属ケイ素微粉末、ケイ素合金微粉末、SiOx(0<x<2)で表わされる酸化ケイ素微粉末およびスズ微粉末からなる群から選択される微粉末とが分散されている複合材料。
- 前記炭素微粉末が、グラフェン構造を含む炭素同素体である、請求項1に記載の複合材料。
- SiO2をさらに含む、請求項1または2に記載の複合材料。
- 表面に炭素が被覆されてなる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合材料。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複合材料からなる電極活物質。
- 平均粒子径が1〜50μmの粒子である、請求項5に記載の電極活物質。
- 請求項6に記載の電極活物質を含む電極。
- 請求項7に記載の電極を備える蓄電デバイス。
- リチウム又はリチウムイオン二次電池である、請求項8に記載の蓄電デバイス。
- リチウム化合物と、金属ケイ素微粉末、ケイ素合金微粉末、SiOx(0<x<2)で表わされる酸化ケイ素微粉末およびスズ微粉末からなる群から選択される微粉末と、(A)架橋性基含有有機化合物と、(B)前記架橋性基含有有機化合物を架橋可能な含ケイ素化合物とを混合して混合物を得る工程と、
前記混合物の(A)成分と(B)成分を架橋反応させて硬化物を得る工程と、
前記硬化物を、不活性ガス又は真空中、300〜1500℃で熱処理する工程と、
を含む、複合材料の製造方法。 - リチウム化合物と、金属ケイ素微粉末、ケイ素合金微粉末、SiOx(0<x<2)で表わされる酸化ケイ素微粉末およびスズ微粉末からなる群から選択される微粉末と、オルガノポリシロキサンとを混合して混合物を得る工程と、
前記混合物を、不活性ガス又は真空中、300〜1500℃で焼成する熱処理する工程と、
を含む、複合材料の製造方法。 - 前記(A)成分が芳香族基を有する、請求項10に記載の製造方法。
- 前記オルガノポリシロキサンが芳香族基を有する、請求項11に記載の製造方法。
- 前記リチウム化合物が、リチウム酸化物、リチウムの水酸化物、リチウムの窒化物、リチウムのアルコキシド、カルボン酸リチウム塩、アセチルアセトンリチウム塩、エチルアセトキシ酢酸リチウム塩、リチウムの炭酸塩、リチウムの硝酸塩又はこれらの混合物である、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記混合物を得る工程において、グラフェン構造を含む炭素同素体である炭素微粉末をさらに添加する、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の製造方法。
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