JP6283937B2 - 多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスの製造方法および多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックス複合材料の製造方法 - Google Patents

多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスの製造方法および多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックス複合材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスの製造方法および多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックス複合材料の製造方法
に関する。
リチウム二次電池は、ハイパワーで高容量の二次電池として、携帯電話、パソコン、PDA(個人情報端末)等の可搬型機器類、予備電源、車両用の駆動用電源に多く使用され、今後もその需要が更に高くなると予想されている。
これらの用途では、小型・軽量化あるいは高容量化の要請が強くなっており、それらの要請に応えるため二次電池の各種パーツや材料の高性能化も活発に試みられ、中でも電池の性能を左右するものとして負極活物質の開発が重要度を増している。
上記負極活物質としては、現在、カーボン(黒鉛)系が主流であり、放電容量が350〜360mAh/g程度と黒鉛の理論容量(372mAh/g)に近い値のものまで実用化されているが、黒鉛の理論容量を超えることは不可能である。
一方、金属ケイ素は理論容量が4200mAh/gと桁違いに大きいことから、黒鉛に代わり得る負極活物質として期待されるが、充放電に伴う膨張収縮により負極材が劣化し電池のサイクル寿命が短いという技術課題が存在していた。
そこで、放電容量を高めながら電池のサイクル特性を改善する目的で、ケイ素粉末に黒鉛粉末を混合することが提案されているが(例えば、特許文献1等参照)、非水電解質二次電池用負極活物質として、さらに優れた性能を発揮し得るものが求められるようになっている。
特許第3268770号公報
このような状況下、非水電解質二次電池用負極活物質として、ケイ素化合物であるシリコンオキシカーバイド(SiOC)セラミックスが検討されるようになっているが、放電容量やサイクル特性(サイクル維持率)が低く実用上十分な性能を発揮し得なかったり、原料、触媒または製法が特殊で製造コストが高い等の理由により、実用化が困難であることから、非水電解質二次電池用負極活物質として使用したときに、放電容量、サイクル特性(サイクル維持率)および入力特性(高速充電特性)に優れるシリコンオキシカーバイドセラミックスを簡便に製造する方法が求められるようになっている。
そこで、本発明は、非水電解質二次電池用負極活物質として使用したときに、優れた放電容量およびサイクル特性(サイクル維持率)を発揮するとともに、高い入力特性(高速充電特性)を発揮する多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスまたは多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックス複合材料を簡便かつ低コストに工業的に大量生産し得る方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等が鋭意検討したところ、炭素含有化合物および細孔形成剤を分散した分散液にケイ素含有有機化合物を混合して混合液を調製し、次いで、得られた混合液を20〜200℃の温度条件下で重合処理を行った後、加熱硬化して加熱硬化物を得、得られた加熱硬化物を、200℃を超え800℃以下の温度下で一次焼成し、粉砕、分級して一次焼成粉末を作製し、次いで、前記一次焼成粉末を、800℃を超え1150℃以下の温度条件下で二次焼成して多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスを製造することにより、上記技術課題を解決し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスを製造する方法であって、
(a)炭素含有化合物として二以上のOH基を有するフェノール樹脂と(b)細孔形成剤として分子量が100以上のアルキレングリコール類およびエチレングリコールモノイソプロピルエーテルから選ばれる一種以上とを分散した分散液に、(c)ケイ素含有有機化合物として二以上のアルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物を混合して混合液を調製し、次いで、
得られた混合液を0〜200℃の温度条件下で重合処理を行った後、
得られた生成物を、200℃を超え800℃以下の温度下で一次焼成し、粉砕、分級して一次焼成粉末を作製し、次いで、
前記一次焼成粉末を、800℃を超え1150℃以下の温度条件下で二次焼成する
ことを特徴とする多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスの製造方法
(2)前記混合液が、溶媒として含酸素有機化合物を含む上記(1)に記載の多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスの製造方法
(3)上記(1)または(2)に記載の製造方法により多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスを作製した後、得られた多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスの表面に、炭素被膜を設けることを特徴とする多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックス複合材料の製造方法、
を提供するものである。
なお、以下、多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスを、適宜、多孔質SiOCセラミックスと称し、多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックス複合材料を、適宜、多孔質SiOCセラミックス複合材料と称するものとする。
本発明によれば、非水電解質二次電池用負極活物質として使用したときに、優れた放電容量およびサイクル特性(サイクル維持率)を発揮するとともに、高い入力特性(高速充電特性)を発揮する多孔質SiOCセラミックスまたは多孔質SiOCセラミックス複合材料を簡便かつ低コストに工業的に大量生産し得る方法を提供することができる。
本発明の実施例で作製した電池の構造を説明するための断面図である。
先ず、本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法について説明する。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法は、多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスを製造する方法であって、炭素含有化合物および細孔形成剤を分散した分散液にケイ素含有有機化合物を混合して混合液を調製し、次いで、得られた混合液を20〜200℃の温度条件下で重合処理を行った後、得られた生成物を、200℃を超え800℃以下の温度下で一次焼成し、粉砕、分級して一次焼成粉末を作製し、次いで、前記一次焼成粉末を、800℃を超え1150℃以下の温度条件下で二次焼成することを特徴とするものである。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、炭素含有化合物としては、OH基を有する樹脂等を挙げることができ、OH基を有する樹脂としては、二以上のOH基を有する樹脂であることが好ましく、二以上のOH基を有する樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂またはノボラック型フェノール樹脂等のフェノール樹脂や、フラン樹脂から選ばれる一種以上であることがより好ましく、レゾール型フェノール樹脂またはノボラック型フェノール樹脂等のフェノール樹脂であることがさらに好ましく、ノボラック型フェノール樹脂が特に好ましい。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、炭素含有化合物がOH基を有する樹脂である場合、その重量平均分子量Mwは200〜20000であることが好ましく、500〜15000であることがより好ましく、1000〜3000であることがさらに好ましい。
上記重量平均分子量Mwが200未満である場合、樹脂同士の脱水縮合により生成した水により重合体がシリカ化するため、得られる多孔質SiOCセラミックスを非水電解質二次電池用負極活物質として使用したときに、負極材の放電容量が低下し易くなる。上記重量平均分子量Mwが20000を超える場合、溶媒に溶け難くなり、ケイ素含有有機化合物との重合反応を行い難くなる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、細孔形成剤としては、所望の全細孔容積や平均細孔径等を有するSiOCセラミックスを形成し得るものであって、上記ケイ素含有有機化合物や炭素含有化合物と混合溶液を形成し得るものであれば特に制限されず、具体的には、分子量が100以上のアルキレングリコール類およびエチレングリコールモノイソプロピルエーテルから選ばれる一種以上が好ましく、分子量125以上のアルキレングリコール類およびエチレングリコールモノイソプロピルエーテルから選ばれる一種以上がより好ましく、分子量150以上のアルキレングリコール類およびエチレングリコールモノイソプロピルエーテルから選ばれる一種以上がさらに好ましい。
上記アルキレングリコール類は、分子量が、2000以下であるものが好ましく、1500以下であるものがより好ましく、1000以下であるものがさらに好ましい。
上記アルキレングリコール類としては、ポリアルキレングリコールを挙げることができ、具体的には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のポリエチレングリコールから選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、細孔形成剤の混合割合は、得ようとするSiOCセラミックスに形成する細孔量に応じて適宜選択することができ、炭素含有化合物100質量部に対して、細孔形成剤を10〜1000質量部混合することが好ましく、50〜750質量部混合することがより好ましく、100〜500質量部混合することがさらに好ましい。
細孔形成剤の混合割合が上記範囲内にあることにより、細孔形成剤の余剰を生ずることなく、表面に所望の微細孔を設けてなる多孔質SiOCセラミックスを効率的に作製することができる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、ケイ素含有有機化合物、炭素含有化合物および細孔形成剤が、単に混合することによって相互に分散し得るものである場合には、そのまま混合液として反応に供してもよいが、適宜、これ等の原料を溶解可能な溶媒を用いて混合液を調製してもよい。
上記溶媒としては、特に制限されないが、炭素含有化合物および細孔形成剤を溶解し得るものであることが好ましく、具体的には、含酸素有機化合物および含窒素有機化合物から選ばれる一種以上を挙げることができ、含酸素有機化合物および含窒素有機化合物としては、各種極性溶媒およびジオール類(分子量が100以上のアルキレングリコール類を除く)から選ばれる一種以上を挙げることができる。
上記極性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド 、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
上記ジオール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
なお、本出願書類において、上記溶媒には、上述した細孔形成剤は含まれないものとする。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、上記溶媒の使用量は、炭素含有化合物100質量部に対して、10〜1000質量部が好ましく、50〜750質量部がより好ましく、100〜500質量部がさらに好ましい。上記溶媒の使用量が炭素含有化合物100質量部に対して10質量部を下回る場合には、炭素含有化合物等を溶解し難いために、均一に重合することが困難になる場合がある。上記溶媒の使用量が炭素含有化合物100質量部に対して1000質量部を上回る場合には、余剰な溶媒が多くなりコスト高となる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、炭素含有化合物および細孔形成剤を分散した分散液は、所望量の炭素含有化合物および細孔形成剤を、適宜溶媒の存在下に撹拌混合することにより調製することができ、所望量の炭素含有化合物および細孔形成剤を、適宜溶媒の存在下に撹拌機能付き容器内で撹拌混合することにより調製することが好ましい。上記撹拌機能付き容器としては、撹拌羽を備えたものやポンプにより混合溶液を循環し得るものを挙げることができる。
炭素含有化合物および細孔形成剤を分散した分散液を調製する具体的な方法としては、所望量の細孔形成剤を溶媒中に添加し、撹拌混合した後、さらに炭素含有化合物を添加して撹拌混合する方法を挙げることができる。
この場合、所望量の細孔形成剤を、溶媒を装入した撹拌機能付き容器内に添加し、乾燥窒素ガス雰囲気等の乾燥ガス雰囲気中で、0〜100℃の温度条件下、1分間〜24時間撹拌混合した後、炭素含有化合物を添加して、さらに、乾燥窒素ガス雰囲気等の乾燥ガス雰囲気中で、0〜100℃の温度条件下、1分間〜24時間撹拌混合することにより調製することが好ましい。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、ケイ素含有有機化合物としては、シロキサン(主骨格としてO−Si−O構造を有するケイ素含有有機化合物)を挙げることができ、シロキサンとしては、二以上のアルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物であることが好ましく、二以上のアルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物としては、テトラアルコキシシランのモノマーまたはオリゴマーが好ましく、テトラメトキシシランモノマー、テトラエトキシシランモノマー、テトラメトキシシランオリゴマー、テトラエトキシシランオリゴマーから選ばれる1種以上であることがより好ましい。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、ケイ素含有有機化合物としては、SiO換算量が、28質量%以上であるものが好ましく、30質量%以上であるものがより好ましく、35質量%以上であるものがさらに好ましい。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、ケイ素含有有機化合物の混合割合は特に制限されないが、炭素含有化合物100質量部に対して、ケイ素含有有機化合物を200〜2000質量部混合することが好ましく、ケイ素含有有機化合物を250〜1750質量部混合することがより好ましく、ケイ素含有有機化合物を300〜1500質量部混合することがさらに好ましい。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、ケイ素含有有機化合物の混合割合が上記範囲内にあることにより、得られる多孔質SiOCセラミックスを非水電解質二次電池用負極活物質として使用したときに優れた放電容量および導電性を容易に発揮することができる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、炭素含有化合物、細孔形成剤およびケイ素含有有機化合物を混合する場合、混合雰囲気は、不活性雰囲気が好ましく、不活性雰囲気としては、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の希ガス雰囲気等を挙げることができる。
また、上記混合は、非水雰囲気で行うことがより好ましく、非水雰囲気としては、脱水された窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の希ガス雰囲気等を挙げることができる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、上記混合時や以下の重合操作時に水分が存在すると、ケイ素含有有機化合物のシリカ化が進行し易くなるため、得られた多孔質SiOCセラミックスを非水電解質二次電池用負極活物質として使用したときに、電池容量が低下し易く電池特性が低下し易くなる。
上記混合は、コンデンサーを備えた器具を用いて溶媒を循環しつつ行うこともできる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、ケイ素含有有機化合物は、通常液体状であることから、炭素含有化合物および細孔形成剤を分散した分散液にケイ素含有有機化合物を滴下し、混合することが好ましく、このようにケイ素含有有機化合物を炭素含有化合物および細孔形成剤を分散した分散液に滴下し、混合することにより、ケイ素含有有機化合物を均一に分散することができる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、上記ケイ素含有有機化合物、炭素含有化合物および細孔形成剤の混合は、炭素含有化合物および細孔形成剤を分散した分散液にケイ素含有有機化合物を滴下して混合することが好ましく、この場合、炭素含有化合物および細孔形成剤を分散した分散液を撹拌しつつケイ素含有有機化合物を滴下して混合液を調製することが好ましい。
上記ケイ素含有有機化合物、炭素含有化合物および細孔形成剤の混合は、撹拌装置にて、剪断速度1(1/秒)以上となるように行うことが好ましく、剪断速度10(1/秒)以上となるように行うことがより好ましい。
上記剪断速度で攪拌することにより、より容易に均一混合することができる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法においては、炭素含有化合物および細孔形成剤を分散した分散液にケイ素含有有機化合物を混合して混合液を調製することにより、炭素含有化合物、細孔形成剤およびケイ素含有有機化合物を同時に混合して混合液を調製する場合に比較して、非水電解質二次電池の負極活物質として使用したときに、高い充電放電容量を発揮し得る多孔質SiOCセラミックスを容易に得ることができる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法においては、炭素含有化合物および細孔形成剤を分散した分散液にケイ素含有有機化合物を混合して調製した混合液を、0〜200℃の温度条件下に重合処理を行う。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、重合処理温度は、0〜200℃であり、10〜200℃が好適であり、20〜200℃がより好適である。
上記温度が0℃未満である場合、重合速度が低くなり生成物の歩留まり(収率)が低下し易くなる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法においては、炭素含有化合物および細孔形成剤を分散した分散液にケイ素含有有機化合物を混合して調製した混合液を、当該混合液の沸点をT(℃)としたときに、上記重合処理温度範囲内であって、T−10(℃)からTb(℃)間の温度下で重合処理を行うことが好ましい。
上記重合処理を行う温度は、上記重合処理温度範囲内であって、T−10(℃)から沸点Tb(℃)の間の温度であり、T−7(℃)から沸点Tb(℃)の間の温度であることがより好ましく、T−5(℃)から沸点Tb(℃)の間の温度であることがさらに好ましい。
本発明の多孔質iOCセラミックスの製造方法においては、炭素含有化合物および細孔形成剤を分散した分散液にケイ素含有有機化合物を混合して調製した混合液を、上記温度下に重合処理を行うことにより、炭素含有化合物およびケイ素含有有機化合物を容易に均一重合することができ、その結果、歩留まりの高い重合物を得ることができるとともに、さらに焼成処理することにより充電容量の高い焼成物を得ることができる。
なお、本出願書類において、上記混合液の沸点Tは、熱電対を混合液中に差し込み、常圧で沸騰が観察された温度をデータロガー(graphtec社製、mid:logger,GC220)を用いて測定される値を意味する。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、重合処理時間は、1分間〜240時間が好ましく、2分間〜220時間がより好ましく、3分間〜200時間がさらに好ましく、3分間〜24時間が特に好ましい。
重合処理時間が1時間未満では、得られる重合処理物(シリコンオキシカーバイドセラミックス前駆体)の歩留まり(収率)が低下し易くなり、240時間を超えると製造コストが上昇する。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、上記重合処理は、重合触媒の存在下に行うことが好ましく、上記重合触媒としては、酸触媒または塩基触媒を挙げることができる。
酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸類、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸などの有機モノカルボン酸類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の有機ジカルボン酸類から選ばれる一種以上を挙げることができる。
塩基触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物類、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン等の有機アミン類、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド等の四級アンモニウム塩類から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法においては、操作性、工業的な安定性を考慮すると、酸触媒を用いて酸性条件下で重合反応を行うことが望ましく、中でも酸触媒として、p−トルエンスルホン酸、マロン酸およびフマル酸から選ばれる一種以上を用いて重合反応を行うことが好ましい。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、重合触媒の混合量は、ケイ素含有有機化合物と炭素含有化合物の合計量を100質量部としたときに、0.1〜50質量部であることが好ましく、0.3〜30質量部であることがより好ましく、1〜20質量部であることがさらに好ましい。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、(1)ケイ素含有有機化合物としてテトラエトキシシランオリゴマーを用い、炭素含有化合物としてレゾール型フェノール樹脂を用いた場合、以下のような重合反応が進行すると推定される。なお、この反応の過程では、レゾール型フェノール樹脂同士の重合も並行して進行するものと推定される。
また、本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、(2)ケイ素含有有機化合物としてテトラエトキシシランオリゴマーを用い、炭素含有化合物としてノボラック型フェノール樹脂を用いた場合、以下のような重合反応が進行すると推定される。なお、この反応の過程では、ノボラック型フェノール樹脂同士の重合も並行して進行するものと推定される。
この場合、(1)の重合反応により得られる反応物は、SiO構造当たりの炭素量が多量になるとともに残留するSiO構造を含みやすく、(2)の重合反応により得られる反応物はSiO構造の周囲を、炭素原子を有するベンゼン環で取り囲む構造を形成するため、導電性や分子量に見合ったSiO構造の分散が進みやすくなり、得られるSiOセラミックスを非水二次電池用負極活物質として使用したときに、高容量化し易くなる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法においては、上記重合処理後に加熱硬化して加熱硬化物を得ることが好ましい。
上記加熱硬化は、真空もしくは不活性雰囲気下で行うことが望ましい。
上記加熱硬化は圧力を所定範囲内に制御しつつ行うことが好ましく、加熱硬化時の圧力は、0.01〜600torrが好ましく、0.1〜550torrがより好ましく、1〜500torrがさらに好ましい。
上記加熱硬化は、ろ過処理を施しつつ行うことも望ましい。
加熱硬化処理を、真空雰囲気下でまたはろ過処理を施しつつ行うことにより、重合処理して得られた重合処理物を加熱硬化するとともに、重合反応時に使用した溶媒や、副反応物および未反応原料を除去することができる。
上記加熱硬化は、雰囲気温度を一定温度以上に制御することで行うことができ、加熱硬化時の雰囲気温度は、30〜200℃が好ましく、50〜200℃がより好ましく、70〜200℃がさらに好ましい。雰囲気温度の制御は、適宜加熱等することにより行うことができる。
加熱硬化時間は、0.1〜240時間が好ましく、1〜200時間がより好ましく、3〜150時間がさらに好ましい。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、例えば、上記炭素含有化合物が二以上のOH基を有するフェノール樹脂であり、ケイ素含有有機化合物が二以上のアルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物である場合、炭素含有化合物のOH基とケイ素含有有機化合物のアルコキシド基との交換反応と脱水交換反応が並行して進行すると考えられるが、雰囲気温度等が上記範囲内に制御することにより、炭素含有化合物のOH基とケイ素含有有機化合物のアルコキシド基との交換反応を容易に進行させることができる。
上記加熱温度が30℃未満である場合、加熱硬化を効率的に進行させることが困難となり、また、重合反応時に溶媒を使用した場合には、加熱硬化や溶媒除去に長時間を必要とする。
上記加熱硬化処理により、重合処理物の硬化反応が進行するとともに、真空雰囲気等の減圧雰囲気で処理することにより、重合反応時に使用した溶媒や、副反応物および未反応原料を除去し、さらには細孔形成剤を除去して生成物表面に微細孔を形成することができる。
このように、上記溶媒や、副反応物および未反応原料が除去される過程において、重合物の硬化反応が進行するが、通常は、硬化反応が細孔形成剤の留去より先に進行するため、この時点においては、生成物中に細孔形成剤が残留している。
このため、加熱硬化処理においては、加熱硬化処理が一定程度進行した段階で、加熱温度を細孔形成剤の沸点もしくは分解温度付近の温度(細孔形成剤の沸点もしくは分解温度±10℃以内の温度)に変更することが好ましく、このように加熱温度を変更することにより、生成物中から細孔形成剤を容易に除去して、表面に微細孔を形成することができる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法においては、上記加熱硬化して得られた加熱硬化物を、200℃を超え800℃以下の温度下で一次焼成し、粉砕、分級して一次焼成粉末を作製する。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法においては、上記焼成処理前に適宜予備粉砕処理することが好ましい。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、上記重合処理物の一次焼成処理前に予備粉砕処理する場合、最大粒子径が1000μm以下になるまで粉砕処理することが好ましく、最大粒子径が500μm以下になるまで粉砕処理することがより好ましく、最大粒子径が250μm以下になるまで粉砕処理することがさらに好ましい。
上記粉砕は、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル、ベベルインパクター、ターボミル、ナイフハンマーミル、ロータリーカッターミル、ロールクラッシャー等の公知の機械的粉砕装置から選ばれる粉砕装置を用いて行うことが好ましい。
また、さらに風力式、機械式等の分級機を用いて分級処理を行ってもよい。
なお、本出願書類において、上記最大粒子径は、JIS Z8825−1:2001に準じ、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積基準積算粒度分布における積算粒度で99%の粒子径を意味し、具体的には、測定試料を極小型スパーテル2杯分及び非イオン性界面活性剤(トリトン−X)2滴を水50mlに添加し、3分間超音波分散させたものを測定用試料とし、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所(株)製SALD2000)を用いて測定される体積基準積算粒度分布における積算粒度で99%の粒子径を意味するものとする。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法においては、上記処理により得られた生成物(上記重合処理物または予備粉砕した重合処理物)を、200℃を超え800℃以下の温度下で一次焼成し、粉砕、分級して一次焼成粉末を作製する。
一次焼成処理時の加熱温度は、200℃を超え800℃以下であり、250℃〜750℃がより好ましく、300℃〜700℃がさらに好ましい。また、一次焼成処理時の加熱時間は、0.1〜100時間が好ましく、0.3〜75時間がより好ましく、0.5〜50時間がさらに好ましい。
一次焼成処理時の加熱雰囲気は、不活性雰囲気または真空雰囲気が好ましく、不活性雰囲気としては、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の希ガス雰囲気等を挙げることができる。
一次焼成処理は、トンネル炉、電気(電熱ヒーター)炉、誘導加熱炉、電磁波加熱炉、電気炉・電磁波ハイブリッド炉等の公知の焼成炉を用いて加熱処理することにより行うことができる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法においては、上記一次焼成処理を行うことにより、適度な硬度を有する一次焼成処理物を得ることができ、一次焼成後に行う粉砕物の歩留まりを向上させることができる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法においては、上記一次焼成処理によって得られた一次焼成処理物を粉砕し、分級処理して、一次焼成粉末を作製する。
上記粉砕は、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル、ベベルインパクター、ターボミル、ナイフハンマーミル、ロータリーカッターミル、ロールクラッシャー等の公知の機械的粉砕装置から選ばれる粉砕装置を用いて行うことが好ましい。
また、上記粉砕は、複数の粉砕装置を組み合わせて行ってもよい。
粉砕装置の粉砕条件は、所望特性等を有する粉末が得られるように適宜調整すればよい。
上記粉砕処理後に分級処理するが、分級処理に用いる装置としては、ローター式分級機、振動ふるい、気流式分級機等を挙げることができる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法においては、上記一次焼成処理物を粉砕し、分級処理して得られる一次焼成粉末は、最大粒子径が、50μm以下であるものが好ましく、45μm以下であるものがより好ましく、40μm以下であるものがさらに好ましい。
なお、本出願書類において、一次焼成粉末の最大粒子径は、JIS Z8825−1:2001に準じ、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積基準積算粒度分布における積算粒度で99%の粒子径を意味し、具体的には、測定試料を極小型スパーテル2杯分及び非イオン性界面活性剤(トリトン−X)2滴を水50mlに添加し、3分間超音波分散させたものを測定用試料とし、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所(株)製SALD2000)を用いて測定される体積基準積算粒度分布における積算粒度で99%の粒子径を意味するものとする。
また、上記一次焼成処理物を粉砕し、分級処理して得られる一次焼成粉末は、体積基準積算粒度分布における積算粒度で50%の粒子径D50が、1〜30μmであるものが好ましく、2〜28μmであるものがより好ましく、3〜25μmであるものがさらに好ましく、5〜25μmであるものが一層好ましい。
なお、本出願書類において、上記粒子径D50は、JIS Z8825−1:2001に準じて測定される値を意味し、具体的には、測定試料を極小型スパーテル2杯分、及び非イオン性界面活性剤(トリトン−X)2滴を水50mlに添加し、3分間超音波分散させたものを測定用試料とし、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所(株)製SALD2000)を用いて測定される体積基準積算粒度分布における積算粒度で50%の粒子径を意味するものとする。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法においては、上記一次焼成処理物を粉砕し、分級処理することにより、得られる多孔質SiOCセラミックスのタップ密度、BET比表面積および体積基準積算粒度分布における積算粒度で50%の粒子径D50等を容易に調整することができる。
二次焼成後に粉砕処理しようとした場合、一般に二次焼成物の硬度が高くなるために、上記粉砕処理による調整が困難になる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法においては、上記一次焼成粉末を、800℃を超え1150℃以下の温度条件下で二次焼成する。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、二次焼成は、加熱温度800℃を超え1150℃以下で行い、850〜1150℃で行うことが好ましく、850〜1100℃で行うことがより好ましい。
また、二次焼成処理時の加熱時間は、0.1〜100時間が好ましく、0.3〜75時間がより好ましく、0.5〜50時間がさらに好ましい。
二次焼成時の加熱雰囲気は、不活性雰囲気または真空雰囲気が好ましく、不活性雰囲気としては、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の希ガス雰囲気等を挙げることができる。
なお、上記不活性雰囲気を形成するガスは、水素ガス等の還元性ガスを含んでもよい。
二次焼成処理は、トンネル炉、電気(電熱ヒーター)炉、誘導加熱炉、電磁波加熱炉、電気炉・電磁波ハイブリッド炉等の公知の焼成炉を用いて加熱処理することにより行うことができる。
本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法においては、上記二次焼成処理を行うことにより、得られる多孔質SiOCセラミックスを非水電解質二次電池用負極活物質として使用したときに、優れた初期効率および放電容量を発揮することができる。
本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスは、平均粒子径D50が5〜30μmである場合における1000回タッピングを行った際のタップ密度が、1.10g/cm〜1.50g/cmであるものが好ましく、1.15g/cm〜1.45g/cmであるものがより好ましく、1.20g/cm〜1.40g/cmであるものが特に好ましい。
タップ密度が、1.10g/cm未満であると、体積あたりの電池容量(電極密度)が低下し易くなり、1.50g/cmを超えるとサイクル特性が低下し易くなる。
本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスは、タップ密度が上記範囲内にあるものであることにより、非水電解質二次電池の負極活物質として使用したときに、優れた電池容量を発揮するとともに、優れたサイクル特性を発揮して電池の長寿命化を図ることができる。
上述したように、本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスは、細孔形成剤を除去し、シリコンオキシカーバイドセラミックスの表面に所定の微細孔を形成することによって多孔化してなるものであり、多孔化処理前のシリコンオキシカーバイドセラミックスのタップ密度や、シリコンオキシカーバイドセラミックスの表面に形成する微細孔の直径や数を制御することにより、タップ密度を所望範囲内に容易に制御することができる。
なお、本出願書類において、1000回タッピングを行った際のタップ密度は、JIS Z2512:2012に準じて測定した値を意味し、具体的には、(株)セイシン企業製、タップ密度測定器タップデンサー(KYT−5000k)を用いて1000回タッピングしたときの密度を意味する。
また、平均粒子径D50の測定方法は、後述するとおりである。
本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスは、BET比表面積が0.5m/g〜50m/gであるものが好ましく、0.5m/g〜40m/gであるものがより好ましく、0.5m/g〜15m/gであるものがさらに好ましく、1m/g〜12m/gであるものが特に好ましく、3m/g〜12m/gであるものが一層好ましく、5m/g〜10m/gであるものがより一層好ましい。
BET比表面積が上記範囲の50m/gを超える場合、二次電池の電極作製時に必要となるバインダー量が増加して単位電極体積中の活物質量が少なくなることから、電池容量が低下し易くなるばかりか、比表面積の増大により、粒子の表面活性が高くなり、非水電解質二次電池用負極活物質として使用したときに、電解液の分解等を生じて、クーロン効率やサイクル特性が低下し易くなる。
BET比表面積が上記範囲の0.5m/g未満である場合、非水電解質二次電池用負極活物質として使用したときに所望特性を発揮し難くなる。
上述したように、本発明の多孔質SiOCセラミックスは、シリコンオキシカーバイドセラミックスの表面に所望の微細孔を形成することによって比表面積を増加してなるものであるので、表面に形成する微細孔の直径や数を制御することにより、比表面積を所定範囲内に容易に制御することができる。
なお、本出願書類において、BET比表面積は、JIS Z8830に準じて測定した値を意味し、具体的には、(株)島津製作所製 全自動表面積測定装置、ジェミニVを用い、窒素吸着等温線における、相対圧0.05〜0.2の範囲の6点におけるBET多点法により算出した値を意味する。
本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスは、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.03cm/g〜0.500cm/gであるものが好ましく、0.05cm/g〜0.450cm/gであるものがより好ましく、0.07cm/g〜 0.400cm/gであるものがさらに好ましい。
本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスにおいて、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.500cm/gを超える場合には、タップ密度が小さいものとなり、0.03cm/g未満である場合には、非水電解質二次電池の負極活物質として使用したときに、入力特性(高速充電特性)が低下し易くなる。
なお、本出願書類において、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積は、(株)島津製作所製 全自動表面積測定装置 ジェミニVを用いて測定された、窒素吸着等温線における相対圧0.986における値を意味する。
本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスは、下記式
4V×10/A (α)
(但し、AはBET比表面積(m/g)、Vは窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積(cm/g)である)
により算出される平均細孔径が、20〜300nmであるものが好ましく、25nm〜275nmであるものがより好ましく、30nm〜250nmであるものがさらに好ましく、45nm〜225nmであるものが特に好ましく、60nm〜200nmであるものが一層好ましい。
本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスにおいて、上記式(α)によって算出される平均細孔径が300nmを超える場合には、タップ密度が低下し易くなり、上記式(α)によって算出される平均細孔径が20nm未満である場合には、非水電解質二次電池の負極活物質として使用したときに、入力特性(高速充電特性)が低下し易くなる。
本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスにおいて、上記式(α)によって算出される平均細孔径は、電解液と負極材との接触の度合いを示すものであり、この値が大きいほど電解液との接触が良好となり、リチウムイオン等の電解液成分が負極材粒子内のより深い位置まで到達し得る指標となる。
シリコンオキシカーバイドセラミックスを単に小粒径化するだけでは、リチウムイオン等の電解液成分の到達距離を調整し難く、所望の効果を得難いが、本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスによれば、その表面に所定の平均細孔径を有する微細孔が設けられてなるものであることにより、非水電解質二次電池用負極活物質として、小粒径化することなく、優れた放電容量および高い入力特性(高速充電特性)を発揮することができる。
なお、上記平均細孔径の算出に用いられるBET比表面積Aは、(株)島津製作所製 全自動表面積測定装置、ジェミニVを用いて、JIS Z8830に準じて測定された、窒素吸着等温線における、相対圧0.05〜0.2の範囲の6点におけるBET多点法により算出した値を意味し、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積Vも、(株)島津製作所製 全自動表面積測定装置 ジェミニVを用いて測定された、窒素吸着等温線における相対圧0.986における値を意味する。また、上記平均細孔径は、上記窒素吸着等温線を4回測定して算出したときの算術平均値を意味する。
本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスは、所定のタップ密度を有するとともに、所定のBET比表面積および平均細孔径を有するものであることにより、放電容量、サイクル特性(サイクル維持率)および高い入力特性(高速充電特性)を発揮することができる。
なお、本出願書類において、高速充電特性とは、電池を素早く充電する際に必要となる充電容量の大きさを意味し、高速充電特性に優れるとは、一定時間あたりの充電容量が高く、係る充電容量を維持し得ることを意味する。
本発明の多孔質SiOCセラミックスは、その形態が特に制限されるものではないが、通常、粉末状または粒子状であったり、繊維状、針状であることが好ましい。
本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスは、平均粒子径D50(レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積基準積算粒度分布における積算粒度で50%の粒子径)が、1〜30μmであるものが好ましく、2〜28nmであるものがより好ましく、3〜27μmであるものがさらに好ましく、3〜25μmであるものが特に好ましく、5〜25μmであるものが一層好ましい。
上記平均粒子径D50が30μmを上回る場合、電極密度が上がりにくくなって体積当たりの電池容量の低下を招く場合があり、上記平均粒子径D50が1μmを下回る場合には充放電時に電解液の分解などの副反応が起き易くなる。
なお、本出願書類において、上記平均粒子径D50は、JIS Z8825−1:2001に準じて測定される値を意味し、具体的には、測定試料を極小型スパーテル2杯分、及び非イオン性界面活性剤(トリトン−X)2滴を水50mlに添加し、3分間超音波分散させたものを測定用試料とし、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所(株)製SALD2000)を用いて測定される体積基準積算粒度分布における積算粒度で50%の粒子径を意味する。
本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスは、原子比で、Si原子を、10〜50%含むものであることが好ましく、12〜48%含むものであることがより好ましく、15〜45%含むものであることがさらに好ましく、O原子を、10〜50%含むものであることが好ましく、12〜48%含むものであることがより好ましく、15〜45%含むものであることがさらに好ましく、炭素原子を、20〜70%含むものであることが好ましく、22〜69%含むものであることがより好ましく、25〜65%含むものであることがさらに好ましい。
本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスが、Si原子、O原子および炭素原子を特定割合で含有するものであることにより、優れた放電容量を容易に発揮することができる。
なお、本出願書類において、上記Si原子、O原子、炭素原子の原子比は、Solid state ionics,225 (2012)p.522-526記載の方法により特定される値を意味し、具体的には、カーボンアナライザー(LECO社、C−200)およびN/Oアナライザー(LECO社、TC−436)により、炭素原子および酸素原子量を同定し、残量をSi原子とすることにより算出した値を意味する。
本発明の製造方法によれば、炭素含有化合物、細孔形成剤およびケイ素含有有機化合物を特定の順番で混合し重合処理した上で、焼成処理することから、原料である炭素含有化合物およびケイ素含有有機化合物の溶解性を向上させつつ目的とする多孔質SiOCセラミックスを形成することができ、その結果、得られる多孔質SiOCセラミックは、非水電解質二次電池用負極活物質として使用したときに、優れた放電容量およびサイクル特性(サイクル維持率)を発揮し得ると考えられる。
本発明によれば、非水電解質二次電池用負極活物質として使用したときに、優れた放電容量およびサイクル特性(サイクル維持率)を発揮する多孔質SiOCセラミックスを簡便かつ低コストに工業的に大量生産し得る方法を提供することができる。
本発明の製造方法により多孔質SiOCセラミックスを作成した後、さらに複合材料を作製することもできる。
得られる複合材料としては、1000回タッピングを行った際のタップ密度や、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積や、BET比表面積や、平均粒子径D50等の物性が、上述した、本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスと同様のものであることが好ましい。
上記複合材料としては、本発明の製造方法により得られる多孔質SiOCセラミックスと、導電性炭素材料とを含有するものを挙げることができる。
上記導電性炭素材料としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバ、グラフェン、膨張黒鉛、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボン等の導電性炭素材料から選ばれる一種以上を挙げることができる。
導電性炭素材料の形態も特に制限されないが、粉体や繊維状物であることが好ましく、多孔質SiOCセラミックス中に均一に分散し得るものであることが好ましい。
複合材料が、本発明の製造方法により得られる多孔質SiOCセラミックスと、導電性炭素材料とを含有するものである場合、導電性炭素材料の含有割合は、1質量%〜30質量%であることが好ましく、2質量%〜25質量%がより好ましく、3質量%〜20質量%がさらに好ましい。
上記含有割合が1質量%を下回る場合には導電性炭素材による電気抵抗値の低下効果を発揮し難くなり、30質量%を上回る場合には、非水電解質二次電池用負極活物質として使用したときに電池容量が低いものになる。
本発明の製造方法により得られる多孔質SiOCセラミックスおよび導電性炭素材料を含有する複合材料は、導電性炭素材料を含有することにより、容易に電気抵抗を低減することができる。
本発明の製造方法により得られる多孔質SiOCセラミックスと、導電性炭素材料とを含有する複合材料を製造する方法としては、例えば、上述した本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法において、(1)炭素含有化合物および細孔形成剤を分散した分散液を調製する際に導電性炭素材料を所望量混合するか、(2)炭素含有化合物および細孔形成剤を分散した分散液にケイ素含有有機化合物を混合して混合液を調製する際に所望量混合するか、または(3)炭素含有化合物、細孔形成剤およびケイ素含有有機化合物を含有する混合液中に導電性炭素材料を所望量混合する等の方法で導電性炭素材料を混合する以外は、上述した本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法と同様の方法によって調製することができる。
本発明の製造方法により得られる多孔質SiOCセラミックスを有する多孔質SiOCセラミックス複合材料としては、本発明の製造方法により得られる多孔質SiOCセラミックスの表面に、炭素被膜またはシリコンオキシカーバイドセラミックスを含む炭素被膜が設けられてなるシリコンオキシカーバイドセラミックス複合材料を挙げることができる。
上記炭素被膜またはシリコンオキシカーバイドセラミックスを含む炭素被膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.02〜7μmであることがより好ましく、0.03〜5μmであることがさらに好ましい。
上記厚さが10μmを超える場合には、被覆対象となる多孔質SiOCセラミックス表面の細孔が減少したり、細孔への電解液の侵入が阻害され易くなり、上記厚さが0.01μm未満である場合には、所望の効果を発揮し難くなる。
多孔質SiOCセラミックス複合材料が、本発明の製造方法により得られる多孔質SiOCセラミックスの表面に炭素被膜またはシリコンオキシカーバイドセラミックスを含む炭素被膜をさらに有するものであることにより、多孔質SiOCセラミックスからなる粒子同士の接触電気抵抗を容易に低減することができる。また、非水電解質二次電池用負極活物質として利用したときに、電解液の分解を抑制することができるとともに、内部抵抗の損失を低減することができ、この結果、サイクル維持率を向上させ、出入力特性を向上させることができる。
なお、本出願書類において、上記炭素被膜またはシリコンオキシカーバイドセラミックスを含む炭素被膜の厚さは、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)のEDXマッピングにて50点を測定したときの算術平均値を意味し、具体的には、電解放射形走査電子顕微鏡(JEOL社製FE−SEM(JSM−6340F))を用い、測定用試料をイオンミリング(Gatan社製、model−691)により切断した断面をEDXマッピングにて観察して、炭素被膜または多孔質SiOCを含む炭素被膜を特定し、50点の被膜厚さを測定したときの算術平均値を意味する。
上記炭素被膜が表面に設けられてなる多孔質SiOCセラミックス複合材料を製造する方法としては、本発明の製造方法により多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスを作製した後、得られた多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスの表面に、炭素被膜を設ける方法を挙げることができる。
本出願書類において、上記炭素被膜は、炭素原子を、原子比で25〜100%含む膜状物を意味するものとする。
また、本出願書類において、シリコンオキシカーバイドセラミックスを含む炭素被膜は、被覆対象となる多孔質SiOCセラミックスを構成するシリコンオキシカーバイドセラミックスよりも炭素原子の含有割合が高いものを意味し、炭素原子を、原子比で、25〜100%含むものが好ましく、27〜100%含むものがより好ましく、30〜100%含むものがさらに好ましい。
シリコンオキシカーバイドセラミックスを含む炭素被膜は、Si原子の原子比が、10〜50%であるものが好ましく、12〜45%であるものがより好ましく、15〜40%がさらに好ましい。上記Si原子の原子比が50%を超えると、本発明の多孔質SiOCセラミックス複合材料を非水電解質二次電池の負極活物質として使用したときに、サイクル特性(サイクル維持率)が低下し易くなる。
シリコンオキシカーバイドセラミックスを含む炭素被膜は、O原子の原子比が、
10〜50%であるものが好ましく、12〜45%であるものがより好ましく、15〜40%がさらに好ましい。
なお、本出願書類において、上記Si原子、O原子、炭素原子の原子比は、Solid state ionics,225 (2012)p.522-526記載の方法により特定される値を意味し、具体的には、カーボンアナライザー(LECO社、C−200)およびN/Oアナライザー(LECO社、TC−436)により、炭素原子および酸素原子量を同定し、残量をSi原子とすることにより算出した値を意味する。
上記炭素被膜またはシリコンオキシカーバイドセラミックスを含む炭素被膜が表面に設けられてなる多孔質SiOCセラミックス複合材料を製造する方法としては、上述した方法により製造された本発明の多孔質SiOCセラミックスの表面に、炭素前駆体または炭素前駆体とケイ素含有化合物との混合物であるシリコンオキシカーバイドセラミックス前駆体を被覆し、重合処理した後、粉砕(解砕)する方法(以下、製法(I)と称する)や、炭素前駆体または炭素前駆体とケイ素含有化合物との混合物であるシリコンオキシカーバイドセラミックス前駆体を重合処理した後、本発明の製造方法により作製された多孔質SiOCセラミックスと混合し、次いで粉砕(解砕)する方法(以下、製法(II)と称する)を挙げることができる。
上記炭素前駆体としては、コールタール、コールタールピッチ、石油系ピッチ、フリュードクラッキングボトムオイル(FCC−DO)、エチレンボトムオイル(EHC)等の、石油系、石炭系または合成系のピッチやタール類から選ばれる一種以上を挙げることができ、また、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリ(α−ハロゲン化アクリロニトリル)等のアクリル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂や、糖類等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
上記炭素前駆体としては、ピッチまたはフェノール樹脂がコスト上または電池特性上好適に使用することができる。
また、ケイ素含有有機化合物としては、上述した本発明の多孔質SiOCセラミックスの製造方法で使用するケイ素含有有機化合物と同様のものを挙げることができる。
上記シリコンオキシカーバイドセラミックス前駆体は、上記炭素前駆体およびケイ素含有有機化合物を所望割合となるように混合することにより調製することができる。
上記炭素前駆体またはシリコンオキシカーバイドセラミックス前駆体は、適宜溶媒に溶解した状態で取り扱ってもよい。
上記溶媒としては、上記炭素前駆体またはシリコンオキシカーバイドセラミックス前駆体を溶解し得るものであれば特に制限されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド 、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の極性溶媒、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のジオール類、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のソロセルブ類、アントラセンオイル、クレオソート油およびFCCデカントオイル(FCCDO)から選ばれる一種以上を挙げることができる。
上記溶媒の使用量は、炭素前駆体100質量部に対して、10〜1000質量部であることが好ましく、100〜500質量部であることがより好ましい。
溶媒の使用量が、炭素前駆体100質量部に対して10質量部を下回る場合には、炭素前駆体を溶解し難く均一に重合することが困難な場合があり、炭素前駆体100質量部に対して1000質量部を上回る場合には、余剰な溶媒が多くなり易くなりコスト高となる。
上記溶媒を使用することにより、本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスに対して上記炭素前駆体を均一に被覆し易くなる。
上記シリコンオキシカーバイドセラミックス前駆体は、重合触媒を含有するものであることが好ましい。
重合触媒としては、酸触媒または塩基触媒を挙げることができる。
塩基触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物類、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミンなどの有機アミン類、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド等の四級アンモニウム塩類から選ばれる一種以上を挙げることができる。
酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、ホウ酸などの無機酸類、p − トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸などの有機モノカルボン酸類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの有機ジカルボン酸類から選ばれる一種以上を挙げることができる。
操作性、工業的な安定性を考慮すると、酸触媒を使用して、酸性条件下で反応を行うことが望ましく、中でも酸触媒として、p−トルエンスルホン酸、マロン酸およびフマル酸から選ばれる一種以上を用いることが好ましい。
製法(I)により、本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスの表面に、炭素前駆体またはシリコンオキシカーバイドセラミックス前駆体を被覆し、重合処理する場合、本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスの表面に、上記炭素前駆体またはシリコンオキシカーバイドセラミックス前駆体を被覆する方法としては、本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスと上記炭素前駆体またはシリコンオキシカーバイドセラミックス前駆体とを混合処理する方法を挙げることができ、炭素前駆体またはシリコンオキシカーバイドセラミックス前駆体を被覆し、重合処理する方法としては、加熱条件下または非加熱条件下に上記混合処理を行う方法を挙げることができる。
上記混合処理は、加熱処理可能な公知の混合機により行うことが好ましく、このような混合機としては、内部に撹拌軸を有し該攪拌軸に攪拌翼を取り付けて混合を行うミキサーを挙げることができ、具体的には、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株)製)、ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製、レディゲミキサー((株)マツボー製)、ニーダー、万能混合機等を挙げることができる。
上記混合処理は、剪断速度が、1〜20000(1/秒)になるように行うことが好ましく、2〜17500(1/秒)になるように行うことがより好ましく、3〜15000(1/秒)になるように行うことがさらに好ましい。
加熱条件下または非加熱条件下に上記混合処理することにより重合処理する場合、処理温度は、0〜200℃が好ましく、10〜200℃がより好ましく、20〜200℃がさらに好ましい。上記温度が0℃未満である場合、重合速度が低下し易くなる。
重合時間は0.01〜240時間が望ましく、0.05〜220時間がより望ましく、0.1〜200時間が更に望ましい。
混合処理または重合処理は、不活性雰囲気下で行うが好ましく、不活性雰囲気としては、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の希ガス雰囲気等を挙げることができる。
また、上記混合処理または重合処理は、非水雰囲気で行うことがより好ましく、非水雰囲気としては、脱水された窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の希ガス雰囲気等を挙げることができる。上記混合または重合処理時に水分が存在すると、ケイ素含有有機化合物のシリカ化が進行し易くなるため、得られた多孔質SiOCセラミックス複合体を非水電解質二次電池用負極活物質として使用したときに、電池容量が低下し易く電池特性が低下し易くなる。
上記混合処理によって、本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスの表面に炭素前駆体またはシリコンオキシカーバイドセラミックス前駆体が付着して膜状化するとともに、上記混合処理を炭素前駆体またはシリコンオキシカーバイドセラミックス前駆体が重合反応を開始する温度条件下で行うことにより、本発明の製造方法で得られた多孔質SiOCセラミックスの表面に炭素被膜またはシリコンオキシカーバイドセラミックスを含む炭素被膜を形成することができる。
製法(II)により、上記炭素前駆体またはシリコンオキシカーバイドセラミックス前駆体を重合処理した後、本発明の多孔質SiOCセラミックスと混合する場合、重合処理時の処理温度、処理時間、処理雰囲気の詳細は、上述した製法(I)の場合と同様であり、得られた重合処理物を本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスと混合する場合に使用する混合装置や剪断速度、処理雰囲気の詳細も、上述した製法(I)の場合と同様である。
製法(I)により、本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスの表面に、炭素前駆体またはシリコンオキシカーバイドセラミックス前駆体を被覆し、重合処理した後や、製法(II)により、炭素前駆体またはシリコンオキシカーバイドセラミックス前駆体を重合処理し、本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスと混合した後、真空下、もしくは不活性雰囲気下で加熱することにより、溶媒等を除去することが好ましい。
溶媒等を除去する加熱温度は30〜200℃が好ましく、50〜200℃がより好ましく、70〜200℃がさらに好ましい。上記加熱温度が30℃未満である場合、溶媒等の除去に長時間を必要とする。
上記加熱処理により得られた反応生成物は、さらに窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の希ガス雰囲気等不活性雰囲気中あるいは真空中にて焼成処理することが好ましい。
上記焼成処理時の温度は、800〜1200℃が好ましく、900〜1150℃がより好ましく、1000〜1100℃がさらに好ましい。
また、焼成処理時間は、0.1〜100時間が好ましく、0.3〜75時間がより好ましく、0.5〜50時間がさらに好ましい。
製法(I)または製法(II)においては、上記重合処理後、好ましくは上記焼成処理後に、得られた焼成処理物を最大粒子径50μm以下まで粉砕(解砕)処理することが好ましい。
上記粉砕は、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル、ベベルインパクター、ターボミル、ナイフハンマーミル、ロータリーカッターミル、ロールクラッシャー等の公知の機械的粉砕装置から選ばれる粉砕装置を用いて行うことが好ましい。
上記粉砕は、複数の粉砕装置を組み合わせて行ってもよい。
粉砕装置の粉砕条件は、所望特性等を有する粉末が得られるように適宜調整すればよい。
上記粉砕処理後に必要に応じ分級処理してもよく、分級処理に用いる装置としては、ローター式分級機、振動ふるい、気流式分級機等を挙げることができる。
上記粉砕処理または粉砕後の分級処理により、得られる多孔質SiOCセラミックス複合材料を構成する多孔質SiOCセラミックスのタップ密度、BET比表面積および平均細孔径の低下を抑制し易くなる。
なお、本出願書類において、最大粒子径50μm以下の粉砕物とは、JIS Z8825−1:2001に準じ、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積基準積算粒度分布における積算粒度で99%の粒子径を意味し、具体的には、測定試料を極小型スパーテル2杯分及び非イオン性界面活性剤(トリトン−X)2滴を水50mlに添加し、3分間超音波分散させたものを測定用試料とし、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所(株)製SALD2000)を用いて測定される体積基準積算粒度分布における積算粒度で99%の粒子径が50μm以下であるものを意味するものとする。
また、表面に炭素被膜を有する多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックス複合材料を製造する別法としては、本発明の製造方法で得られる多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスの表面に、上記炭素前駆体を被着し炭素化する方法や、プロパンガス等の炭化水素ガスを用いてCVD法により炭素蒸着する方法を挙げることもできる。
このようにして、表面に所定厚さの炭素被膜またはシリコンオキシカーバイドセラミックスを含む炭素被膜を有する多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックス複合材料を作製することができる。
得られた多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックス複合材料は、多孔質SiOCセラミックスからなる粒子同士の接触電気抵抗を容易に低減して、非水電解質二次電池用負極活物質として好適に使用することができる。
次に、本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスを負極活物質とする非水電解質二次電池について説明する。
本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスは、そのままの形態で非水電解質二次電池の負極活物質として供してもよいし、さらに上述した本発明の製造方法等を施して多孔質SiOC複合材料等の形態とした上で非水電解質二次電池の負極活物質として供してもよい。
非水電解質二次電池としては、非水電解質リチウム電池等を挙げることができる。
非水電解質二次電池の負極電極としては、例えば、負極集電体上に本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックスと、バインダーとを含む膜が形成されてなるものを挙げることができる。
上記バインダーとしては、特に制限されないが、具体的には、フッ素系樹脂(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂から選ばれる一種以上を挙げることができる。
非水電解質二次電池の負極電極が、負極集電体上に本発明の製造方法により得られる多孔質SiOCセラミックスと、バインダーとを含む膜が形成されてなるものである場合、バインダー量は、特に制限されないが、本発明の製造方法により得られる多孔質SiOCセラミックス100質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましく、3〜25質量部であることがより好ましく、5〜20質量部であることがさらに好ましい。
バインダー量が上記範囲外である場合、負極集電体表面上への密着強度が不十分になり易かったり、電極内部抵抗の上昇原因となる絶縁層が形成される場合がある。
負極集電体上に形成される多孔質SiOCセラミックスとバインダーとを含む膜は、任意の添加剤を含有するものであってもよい。
上記添加剤としては、例えば、導電助剤や黒鉛等の負極活物質を挙げることができる。
上記導電助剤としては、カーボンブラック(ケッチェンブラック、アセチレンブラック等)、炭素繊維、カーボンナノチューブ等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
導電助剤の使用割合は特に制限されないが、本発明の製造方法で得られる多孔質SiOCセラミックス100質量部に対して、3〜30質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。
負極集電体上に形成される多孔質SiOCセラミックスとバインダーとを含む膜が導電助剤を含むものであることにより、優れた導電性を発揮するとともに、電極の充放電容量の低下を抑制することができる。
負極集電体上に形成される多孔質SiOCセラミックスとバインダーとを含む膜の膜厚は、例えば、10〜300μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましい。
なお、本出願書類において、上記多孔質SiOCセラミックスとバインダーとを含む膜の膜厚は、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)のEDXマッピングにて50点を測定したときの算術平均値を意味し、具体的には、電解放射形走査電子顕微鏡(JEOL社製FE−SEM(JSM−6340F))を用い、測定用試料をイオンミリング(Gatan社製、model−691)により切断した断面をEDXマッピングにて観察して、上記多孔質SiOCセラミックスとバインダーとを含む膜を特定し、50点の被膜厚さを測定したときの算術平均値を意味する。
負極集電体は、特に限定されるものではなく、具体的には、銅、ニッケルまたはこれ等の合金からなる板状物、メッシュ、箔等が挙げられる。
上記非水電解質二次電池において、負極電極は、例えば、本発明の製造方法により得られる多孔質SiOCセラミックスと、バインダーおよび溶媒とを混合してペースト状物を形成し、得られたペースト状物を、集電体上に圧着しあるいは集電体上に塗布した後、乾燥して電極とする方法等により作製することができる。
バインダーとして、具体的には、上述したものを挙げることができる。また、バインダーの使用量も、上述したバインダーの配合割合と同様である。
バインダーの使用量が上記範囲外である場合、負極集電体表面上への密着強度が不十分になり易く、また、電極内部抵抗の上昇原因となる絶縁層が形成される場合がある。
上記ペースト状物を形成する溶媒としては、通常、バインダーを溶解または分散可能な溶媒が使用され、具体的には、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒を例示することができる。
上記溶媒の使用量は、ペースト状物を形成し得る限り特に制限されず、例えば、本発明の製造方法により得られる多孔質SiOCセラミックスおよびバインダーの合計量100質量部に対し、0.01〜500質量部であることが好ましく、0.01〜400質量部であることがより好ましく、0.01〜300質量部であることがさらに好ましい。
上記ペースト状物には、任意の添加材を配合してもよく、添加剤の具体例や添加剤の配合割合は、上述したとおりである。
上記ペースト状物の調製方法も特に制限されず、例えば、バインダーと溶媒との混合液(または分散液)に本発明の多孔質SiOCセラミックスまたは本発明の製造方法により得られる多孔質SiOCセラミックスを混合する方法等を例示することができる。
負極集電体に塗布するペーストの膜厚は、30〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。
上記ペーストを塗布した後、適宜乾燥処理することが好ましく、係る乾燥手段は特に限定されるものではないが、加熱真空乾燥処理が好ましい。
上記方法により、電極成形体を作製することができる。
本発明の製造方法により得られる多孔質SiOCセラミックスが繊維状である場合には、負極集電体に対して一軸方向に配したり、織物などの構造体の形状に加工した上で金属や導電性高分子等の導電性繊維で束ねたり編み込むことにより、電極成形体を作製してもよい。
上記電極成形体の形成においては、必要に応じて端子を組み合わせてもよい。
上述した方法により得られた電極成形体をそのまま負極電極として電池を組み立ててもよいが、これに先立ってあるいは組み立ての際に活物質であるリチウム金属を電極成形体に担持させた上で、負極電極としてもよい。
リチウム金属を担持することにより、初回充電時の不可逆容量を大幅に低減することができる。
リチウム金属を担持する方法としては、化学的方法、物理的方法、電気科学的方法を挙げることができ、例えば、リチウムイオン含有電解液に電極成形体を浸漬し、対極に金属リチウムを用いて電気含浸する方法、負極電極作製時に金属リチウム粉末を混合する方法、金属リチウムと電極成形体とを電気的に接触させる方法等を挙げることができる。
上記非水電解質二次電池は、上記負極電極とともに、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極電極、電解液、セパレータ、集電体、ガスケット、封口板、ケース等の電池構成要素を有するものを挙げることができ、これ等の電池構成要素は常法により組み立て、製造することができる。
上記非水電解質二次電池において、正極電極としては、特に制限されないが、例えば、正極集電体、正極活物質、導電材等により構成されたものを挙げることができる。
上記正極集電体としては、例えば、アルミニウム等を挙げることができる。
上記正極活物質としては、リチウムイオン等の電解液を吸蔵・脱離が可能なものであれば特に制限されず、例えば、TiS、MoS、NbSe、FeS、VS、VSe等の層状構造を有する金属カルコゲン化物、CoO、Cr、TiO、CuO、V、MoO、V(・P)、MnO(・LiO)、LiCoO、LiNiO、LiMn等の金属酸化物やリン酸鉄系材料等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
上記正極活物質としては、LiCoO、LiNiO、LiMn等のリチウム複合酸化物から選ばれる一種以上が好ましい。
正極活物質に用いられる導電材としては、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、カーボンブラック等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
上記非水電解質二次電池において、電解液としては、特に制限されないが、有機溶媒に電解質を溶解させた溶液を挙げることができる。
上記電解質としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiClF、LiAsF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiCl、LiI等のリチウム塩から選ばれる一種以上を例示することができる。
また、上記有機溶媒としては、例えば、カーボネート類(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン等)、鎖状エーテル類(1,2−ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等)、環状エーテル類(テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン等)、スルホラン類(スルホラン等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ポリオキシアルキレングリコール類(ジエチレングリコール等)等の非プロトン性溶媒から選ばれる一種以上を例示することができる。
電解質濃度は、例えば、電解液1L中に、電解質0.3〜5モル含むものであることが好ましく、0.5〜3モル含むものであることがより好ましく、0.8〜1.5モル含むものであることがさらに好ましい。
上記非水電解質二次電池において、セパレータとしては、特に限定されるものではなく、例えば、多孔質ポリプロピレン製不織布、多孔質ポリエチレン製不織布等のポリオレフィン系の多孔質膜等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
上記非水電解質二次電池は、例えば、積層形、パック形、ボタン形、ガム形、組電池形、角形といった種々の形態を採ることができる。
上記非水電解質二次電池は、本発明の多孔質SiOCセラミックスを含有するものであることから、軽量かつ高容量で高エネルギー密度であるために、ビデオカメラ、パソコン、ワープロ、ラジカセ、携帯電話などの携帯用小型電子機器の電源や補助電源、車両用の駆動電源、及び補助電源として好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
Ar流通下、ノボラック型フェノール樹脂(群栄化学工業(株)製、PSM4261)18.6gを細孔形成剤であるジエチレングリコール(和光純薬工業(wako)(株)製、分子量106)60mlに溶解させ、約130rpmで撹拌しつつ、テトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製、TEOS45)108.6gを滴下した。その後、酸触媒としてp−トルエンスルホン酸(和光純薬工業(wako)(株)製)4.68g加えて重合を開始した。このとき、重合処理に供した溶液の沸点は115℃であった。
25℃/時間の昇温速度で溶液の沸点付近の温度である115℃まで加熱し、その後20時間保持して還流を行った。次いで、200℃の温度まで昇温し、真空中、24時間保持することにより加熱硬化するとともに脱溶媒処理を実施した。
(一次焼成、粉砕、分級、二次焼成)
得られた重合体をAr雰囲気中、600℃で1時間保持することにより、一次焼成を施した。焼成後、カッターミルにて粉砕を行い、270メッシュの篩で分級を行うことにより、最大粒子径が50μm以下になるように分級した。
その後、得られた粉砕、分級処理物をAr雰囲気中、温度1000℃で3時間保持することにより二次焼成を行い、目的とする多孔質SiOCセラミックスの粉末状物を得た。
(粉体特性)
得られた多孔質SiOCセラミックス粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.24g/cm、BET比表面積が10m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.18cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が72nm、平均粒子径D50が15μmであるものであった。結果を表1に示す。
<評価用リチウム二次電池の作製>
(a−1)負極電極の作製
上記多孔質SiOCセラミックス10gに対し、ケッチェンブラック0.71g、バインダーであるポリイミド5.88g、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン6gを加え、計5分間撹拌混合し、負極合材ペースト状物を調製した。
得られた負極合材ペースト状物を厚さ18μmの銅箔(負極集電体)上にドクターブレードで塗布し、真空中で130℃の温度に加熱して溶媒を完全に揮発させることにより、銅箔表面に厚さ約50μmの多孔質SiOCセラミックスおよびバインダーを含む膜が形成された電極シートを得た。
得られた電極シートをローラープレスで圧延し、ポンチで打ち抜いて、2cmの負極電極(作用極)を作製した。
(a−2)正極電極の作製
不活性雰囲気下、リチウム金属箔を、ポンチで打ち抜いた厚さ270μmのニッケルメッシュ(集電体)にめり込ませることにより、正極電極(対極)を作製した。
(b)評価用リチウム二次電池の組み立て
電解液として、1mol/dmのリチウム塩LiPFを溶解したエチレンカーボネート(EC)と、ジエチルカーボネート(DEC)との1:1混合溶液を使用して、不活性雰囲気下、図1に示すように、ケース1中に、上記ニッケルメッシュ(集電体)3にめり込ませた正極電極(対極)4、セパレータ5、上記負極(作用極)8、スペーサー7を積層させた状態で組付け、スプリング6を介して封口蓋(キャップ)2で封止することにより、図1に示す形態を有するボタン型の評価用リチウム二次電池を作製した。
(1st放電容量)
得られた評価用リチウム二次電池において、初期電池測定に関しては、0.405mA、終止電圧5mVで定電流充電を行った後、下限電流0.0405mAとなるまで定電位保持した。次いで、0.405mAにて終止電圧3Vまで定電流放電を行い、1サイクル終了後の放電容量を定格容量(可逆容量(mAh/g))とした。以上の計測を各6個の電池で行い、その算術平均値を1st放電容量とした。結果を表2に示す。
(初期効率)
初期効率は、得られた評価用リチウム二次電池において、1回目の充電容量と放電容量により下記式により求めた。結果を表2に示す。
初期効率(%)=(1回目の放電容量(mAh/g)/1回目の充電容量(mAh/g))×100
(入力特性(充電特性))
0.1C充電容量および1C充電容量を求めることにより入力特性(充電特性)を評価した。
上記評価用リチウム二次電池の初期測定で算出した定格容量を1Cとし、0.1Cで終止電圧5mVもしくは終止時間10時間で定電流充電を行い、0.1C充電容量とした。
次いで、0.1Cにて終止電圧3V、もしくは終止時間10時間で定電流放電を行った。その後、1Cで終止電圧5mVもしくは終止時間1時間で定電流充電を行い1C充電容量とした。
本評価においては、上記評価用リチウム二次電池を4個作製して各々上記した方法により0.1C充電容量および1C充電容量を測定し、その算術平均値を求めた。結果を表2に示す。
(サイクル特性(40回サイクル維持率))
上記評価用リチウム二次電池の初期測定で算出した定格容量を1Cとし、0.1Cで終止電圧5mVまで定電流充電を行った後、下限電流0.01Cとなるまで定電位保持した。次いで、0.1Cにて終止電圧3Vまで定電流放電を行い、40サイクルまで実施し、下記式により40回維持率を算出することによりサイクル特性を評価した。
40回維持率(%)=(40回目の放電容量(mAh/g)/1回目の放電容量(mAh/g))×100
本評価においては、上記評価用リチウム二次電池を4個作製して各々上記した方法により40回維持率を算出し、その算術平均値を求めた。結果を表2に示す。
(実施例2)
細孔形成剤をトリエチレングリコール(和光純薬工業(wako)(株)製、分子量150)60mlに変更した以外は、実施例1と同様に処理することにより、目的とする多孔質SiOCセラミックスの粉末状物を得た。このとき、重合処理に供した溶液の沸点は118℃であった。
得られた多孔質SiOCセラミックス粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.10g/cm、BET比表面積が10m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.14cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が56nm、平均粒子径D50が8μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(実施例3)
細孔形成剤をテトラエチレングリコール(和光純薬工業(wako)(株)製、分子量194)60mlに変更した以外は、実施例1と同様に処理することにより、目的とする多孔質SiOCセラミックスの粉末状物を得た。このとき、重合処理に供した溶液の沸点は125℃であった。
得られた多孔質SiOCセラミックス粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.20g/cm、BET比表面積が8m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.32cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が160nm、平均粒子径D50が10μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(実施例4)
細孔形成剤をジエチレングリコール(和光純薬工業(wako)(株)製、分子量106)30mlおよびテトラエチレングリコール(和光純薬工業(wako)(株)製、分子量194)30mlに変更した以外は、実施例1と同様に処理することにより、目的とする多孔質SiOCセラミックスの粉末状物を得た。このとき、重合処理に供した溶液の沸点は117℃であった。
得られた多孔質SiOCセラミックス粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.25g/cm、BET比表面積が6m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.14cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が93nm、平均粒子径D50が12μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(実施例5)
細孔形成剤をエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(和光純薬工業(wako)(株)製、分子量150)60mlに変更した以外は、実施例1と同様に処理することにより、目的とする多孔質SiOCセラミックスの粉末状物を得た。このとき、重合処理に供した溶液の沸点は103℃であった。
得られた多孔質SiOCセラミックス粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.34g/cm、BET比表面積が7m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.16cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が91nm、平均粒子径D50が12μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(実施例6)
細孔形成剤をポリエチレングリコール600(和光純薬工業(wako)(株)製、分子量600)30mlに変更するとともに、溶媒としてメタノール(和光純薬工業(wako)(株)製)30mlを用い、細孔形成剤と溶媒とを同時に混合したこと以外は、実施例1と同様に処理することにより、目的とする多孔質SiOCセラミックスの粉末状物を得た。このとき、重合処理に供した溶液の沸点は84℃であった。
得られた多孔質SiOCセラミックス粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.15g/cm、BET比表面積が7m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.08cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が46nm、平均粒子径D50が8μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(比較例1)
細孔形成剤を使用する代わりに溶媒としてメタノール(和光純薬工業(wako)(株)製)30m1を使用した以外は、実施例1と同様に処理することにより、目的とするシリコンオキシカーバイドセラミックスの粉末状物を得た。
得られたシリコンオキシカーバイドセラミックス粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.22g/cm、BET比表面積が8m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.02cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が10nm、平均粒子径D50が13μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(比較例2)
細孔形成剤を使用する代わりに溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)(和光純薬工業(wako)(株)製)30m1を使用した以外は、実施例1と同様に処理することにより、目的とするシリコンオキシカーバイドセラミックスの粉末状物を得た。
得られたシリコンオキシカーバイドセラミックス粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.25g/cm、BET比表面積が12m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.02cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が7nm、平均粒子径D50が13μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(比較例3)
細孔形成剤を使用する代わりに溶媒としてテトラヒドロフラン(和光純薬工業(wako)(株)製)30m1を使用したこと以外は、実施例1と同様に処理することにより、目的とするシリコンオキシカーバイドセラミックスの粉末状物を得た。
得られたシリコンオキシカーバイドセラミックス粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.23g/cm、BET比表面積が9m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.02cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が9nm、平均粒子径D50が11μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(比較例4)
細孔形成剤を使用する代わりに溶媒としてエチレングリコール(和光純薬工業(wako)(株)製、分子量62)30m1を使用したこと以外は、実施例1と同様に処理することにより、目的とするシリコンオキシカーバイドセラミックスの粉末状物を得た。
得られたシリコンオキシカーバイドセラミックス粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.24g/cm、BET比表面積が9m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.01cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が4nm、平均粒子径D50が14μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(実施例7)
二次焼成時の温度を900℃に変更した以外は、実施例3と同様に処理することにより、目的とする多孔質SiOCセラミックスの粉末状物を得た。
得られた多孔質SiOCセラミックス粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.21g/cm、BET比表面積が9m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.38cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が169nm、平均粒子径D50が10μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(実施例8)
二次焼成時の温度を1100℃に変更した以外は、実施例3と同様に処理することにより、目的とする多孔質SiOCセラミックスの粉末状物を得た。
得られた多孔質SiOCセラミックス粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.22g/cm、BET比表面積が7m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.11cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が62nm、平均粒子径D50が9μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(比較例5)
二次焼成時の温度を1200℃に変更した以外は、実施例3と同様に処理することにより、目的とする多孔質SiOCセラミックスの粉末状物を得た。
得られた多孔質SiOCセラミックス粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.25g/cm、BET比表面積が6m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.02cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が12nm、平均粒子径D50が12μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(実施例9)
一次焼成時の温度を400℃に変更した以外は、実施例3と同様に処理することにより、目的とする多孔質SiOCセラミックスの粉末状物を得た。
得られた多孔質SiOCセラミックス粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.18g/cm、BET比表面積が6m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.30cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が200nm、平均粒子径D50が8μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(実施例10)
一次焼成時の温度を800℃に変更した以外は、実施例3と同様に処理することにより、目的とする多孔質SiOCセラミックスの粉末状物を得た。
得られた多孔質SiOCセラミックス粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.20g/cm、BET比表面積が8m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.34cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が170nm、平均粒子径D50が14μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(比較例6)
一次焼成時の温度を1000℃に変更した以外は、実施例3と同様に処理することにより、目的とする多孔質SiOCセラミックスの粉末状物を得た。
得られた多孔質SiOCセラミックス粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.23g/cm、BET比表面積が8m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.31cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が155nm、平均粒子径D50が18μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(実施例11)
実施例3と同様に処理することにより、多孔質SiOCセラミックスの粉末状物を得た。
次いで、Ar流通下、4口フラスコ内に、ノボラック型フェノール樹脂(群栄化学工業(株)製、PSM4261)9.3gをメタノール(和光純薬工業(wako)(株)製)25mlに溶解させた。約130rpmで撹拌中、テトラエトキシシラン(多摩化学工業(株)製、TEOS45)0.93gを滴下した。その後、酸触媒としてp−トルエンスルホン酸(wako社製)を0.38g加えて重合を開始し、25℃/時間の昇温速度で溶液の沸点付近の温度である72℃まで加熱し、その後20時間保持して重合を終了した。
得られた重合溶液に上記多孔質SiOCセラミックスの粉末状物100gを投入し、自転・公転ミキサー(THINKY社製あわとり練太郎ARE−310)で2000rpm、5minの条件で粉末物と重合溶液を混合した。
次いで温度200℃で5時間硬化処理を行い、Ar雰囲気中、温度1000℃で3時間保持して焼成処理した。得られた焼成処理物をカッターミルで解砕処理し、270メッシュの篩で篩分けし、最大粒子径が50μm以下になるように分級することにより、多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスの表面に、厚さが0.2μmであるシリコンオキシカーバイドセラミックスを含む炭素被膜が設けられてなる多孔質SiOCセラミックス複合材料の粉末状物を得た。
得られた多孔質SiOCセラミックス複合材料の粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.18g/cm、BET比表面積が8m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.30cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が150nm、平均粒子径D50が12μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、得られた多孔質SiOCセラミックス複合材料を用いて、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(実施例12)
実施例3と同様に処理することにより、多孔質SiOCセラミックスの粉末状物を得た。
次いで、得られた多孔質SiOCセラミックスの粉末100gを、Ar雰囲気中、昇温速度200℃/時間で温度1000℃まで昇温し、雰囲気ガスを体積比でAr:メタン=10:1の混合ガスに切り替え、1時間保持して焼成処理を行った。
得られた焼成処理物をカッターミルで解砕処理し、270メッシュの篩で最大粒子径が50μm以下になるように分級することにより、多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスの表面に、厚さが0.2μmである炭素被膜が設けられてなる多孔質SiOCセラミックス複合材料の粉末状物を得た。
得られた多孔質SiOCセラミックス複合材料の粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.21g/cm、BET比表面積が8m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.29cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が145nm、平均粒子径D50が11μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、得られた多孔質SiOCセラミックス複合材料を用いて、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
(実施例13)
実施例3と同様に処理することにより、多孔質SiOCセラミックスの粉末状物を得た。
次いで、上記多孔質SiOCセラミックスの粉末状物100質量部に対して、エチレンヘビーエンドタール(EHE)(100gあたりの固定炭素量30.0g)20質量部を、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株)製)に装入し、120℃の温度雰囲気下、回転羽根の回転数3000rpmで、10分間攪拌処理して溶融混合することにより、粉末状の溶融混合物を得た。その後、得られた溶融混合物を、Ar雰囲気中、温度1000℃で3時間保持して焼成することにより、多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスの表面に、厚さが0.2μmである炭素被膜が設けられてなる多孔質SiOCセラミックス複合材料の粉末状物を得た。
得られた多孔質SiOCセラミックス複合材料の粉末は、1000回タッピングを行った際のタップ密度が1.28g/cm、BET比表面積が8m/g、窒素吸着等温線の相対圧0.986における全細孔容積が0.31cm/g、式(α)により規定される平均細孔径が155nm、平均粒子径D50が12μmであるものであった。結果を表1に示す。
また、得られた多孔質SiOCセラミックス複合材料を用いて、実施例1と同様にして、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量および40回サイクル維持率を求めた。結果を表2に示す。
なお、EHEの固定炭素量とは、炭素前駆体バインダー量から、水分、揮発分および灰分の合計量を差し引いた値を意味し、本出願書類において、固定炭素量は、JIS K 2425に準拠した方法で測定、算出される値を意味する。
表1より、実施例1〜実施例13において得られた多孔質SiOCセラミックスまたは多孔質SiOCセラミックス複合材料は、表面に平均細孔径が46nm〜200nmの微細孔を有するものであって、全細孔容積が0.08cm/g〜0.38cm/gと大きいにも拘わらず、タップ密度が1.10g/cm〜1.34g/cmと高いものであることが分かる。
また、表2より、実施例1〜実施例13において得られた多孔質SiOCセラミックスまたは多孔質SiOCセラミックス複合材料を用いて作製された評価用リチウム二次電池は、1st放電容量、初期効率、0.1C充電容量、1C充電容量に優れるとともに、40回サイクル維持率に優れるものであることから、非水電解質二次電池用負極活物質として使用したときに、放電容量およびサイクル特性(サイクル維持率)に優れ、高い入力特性(高速充電特性)を発揮するものであることが分かる。
加えて、表2より、実施例11〜実施例13で得られた多孔質SiOCセラミックス複合材料は、実施例3で得られた多孔質SiOCセラミックスに比較して、0.1C充電容量や40回サイクル特性がさらに優れるものであることが分かる。
一方、表1より、比較例1〜比較例4で得られたシリコンオキシカーバイドセラミックスは、表面に形成された微細孔の平均細孔径が4nm〜10nmと小さいものであることが分かる。
このため、表2に示すように、比較例1〜比較例4において得られたシリコンオキシカーバイドセラミックスを用いて作製された評価用リチウム二次電池は、1C充電容量や40回サイクル維持率が低く、実用上十分な性能を発揮し得ないものであることが分かる。
また、表1より、比較例5で得られたシリコンオキシカーバイドセラミックスは、二次焼成時の温度が高いことから、実施例3で得られた多孔質SiOCセラミックスに比較して、平均細孔径が12nmと小さいものであることが分かる。このため、表2に示すように、比較例5で得られたシリコンオキシカーバイドセラミックスは、実施例3で得られた多孔質SiOCセラミックスに比較して、特に1C充電容量に劣り、実用上十分な性能を発揮し得ないものであることが分かる。
また、表1より、比較例6で得られたシリコンオキシカーバイドセラミックスは、一次焼成時の温度が高いことから粒子が硬くなり、実施例3で得られた多孔質SiOCセラミックスに比較して、平均粒子径が18μmと大きいものであることが分かる。このため、表2に示すように、比較例6で得られたシリコンオキシカーバイドセラミックスは、実施例3で得られた多孔質SiOCセラミックスに比較して、特に初期効率に劣り、実用上十分な性能を発揮し得ないものであることが分かる。
本発明によれば、非水電解質二次電池用負極活物質として使用したときに、優れた放電容量およびサイクル特性(サイクル維持率)を発揮するとともに、高い入力特性(高充電特性)を発揮する多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスまたは多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックス複合材料を簡便かつ低コストに工業的に大量生産し得る方法を提供することができる。
1 ケース
2 封口蓋(キャップ)
3 集電体
4 正極電極
5 セパレータ
6 スプリング
7 スペーサー
8 負極電極
9 ガスケット

Claims (3)

  1. 多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスを製造する方法であって、
    (a)炭素含有化合物として二以上のOH基を有するフェノール樹脂と(b)細孔形成剤として分子量が100以上のアルキレングリコール類およびエチレングリコールモノイソプロピルエーテルから選ばれる一種以上とを分散した分散液に、(c)ケイ素含有有機化合物として二以上のアルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物を混合して混合液を調製し、次いで、
    得られた混合液を0〜200℃の温度条件下で重合処理を行った後、
    得られた生成物を、200℃を超え800℃以下の温度下で一次焼成し、粉砕、分級して一次焼成粉末を作製し、次いで、
    前記一次焼成粉末を、800℃を超え1150℃以下の温度条件下で二次焼成することを特徴とする多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスの製造方法
  2. 前記混合液が、溶媒として含酸素有機化合物を含む請求項1に記載の多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスの製造方法
  3. 請求項1または請求項2に記載の製造方法により多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスを作製した後、得られた多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックスの表面に、炭素被膜を設けることを特徴とする多孔質シリコンオキシカーバイドセラミックス複合材料の製造方法。
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