JP2013258621A - 印刷制御装置、および、コンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 複数種類のドットを用いて生成される印刷画像の画質を向上する。
【解決手段】 誤差拡散部は、階調値に応じた第1種の乱数範囲から、補正乱数値を取得する乱数取得部と、注目画素の階調値に対して補正乱数値を用いた第2補正を含む補正を行う補正部と、複数の閾値を用いてドット値を決定部と、を備え、第1種の乱数範囲は、第1の範囲内の階調値に対して第2補正を実行した場合に、第2補正後の階調値が第2閾値より大きくなるように設定された乱数値を含む。第1の範囲は、第1の階調値より大きく、かつ、第2閾値未満の範囲であり、第1の階調値は、第1閾値より大きく、かつ、第2の閾値未満の値である。
【選択図】 図5
Description
本発明は、印刷のための画像処理に関し、特に、誤差拡散処理に関する。
印刷ヘッドから用紙上にインクを吐出することによってドット(印刷画素)を形成して画像を印刷するインクジェット式の印刷装置において、複数種類のドット(例えば、濃ドットと淡ドット、大ドットと小ドット)を用いて印刷することが行われている。この印刷において、複数種類のドットの比率を最適化して画質の向上を図る技術が求められている。例えば、特許文献1には、階調値に応じて、ドットの種類ごとに定められたドット記録率と、閾値との比較結果を用いて、ドットの形成状態を表すドットデータを生成する技術が開示されている。
本発明の主な利点は、上記技術とは異なる手法を用いて、複数種類のドットを用いて生成される印刷画像の画質を向上する技術を提供することである。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]印刷材を用いて印刷媒体上にドットを形成する印刷実行部のための印刷制御装置であって、画像データを取得する画像データ取得部と、複数の階調値で構成された画像データを、前記ドットの形成状態を表す複数のドット値で構成されたドットデータに変換する誤差拡散処理を実行する誤差拡散部であって、注目画素に対する前記誤差拡散処理は、前記注目画素の前記階調値と分配誤差とに応じて、前記注目画素の前記ドット値を決定し、前記分配誤差は、前記ドット値が決定済みである決定済画素に対する前記誤差拡散処理で生じた誤差の中から前記注目画素に分配される誤差であり、前記ドット値は、第1種のドットを形成することを表す第1の値と、前記第1種のドットよりドット径が大きい第2種のドットを形成することを表す第2の値と、を含む複数種類の値のいずれかに決定される、前記誤差拡散部と、前記ドットデータを含む印刷データを前記印刷実行部に供給する供給部と、を備え、前記誤差拡散部は、前記注目画素の前記階調値が第1の範囲内に含まれる第1の場合に、前記注目画素の前記階調値に応じて設定された第1種の乱数範囲から、補正乱数値を取得する乱数取得部と、前記注目画素の前記階調値に対して補正処理を実行して補正済階調値を生成する補正部であって、前記補正処理は、前記分配誤差を用いた第1補正を含み、前記第1の場合には、前記補正乱数値を用いた第2補正を、さらに含む、前記補正部と、前記注目画素の前記補正済階調値が、第1の閾値より大きいことを含む第1の条件が満たされた場合に、前記注目画素の前記ドット値を前記第1の値に決定し、前記注目画素の前記補正済階調値が、第2の閾値より大きいことを含む第2の条件が満たされた場合に、前記注目画素の前記ドット値を前記第2の値に決定する決定部であって、前記第2の閾値は、前記第1の閾値より大きい、前記決定部と、を備え、前記第1種の乱数範囲は、前記第1の範囲内の前記階調値に対して前記第2補正を実行した場合に、前記第2補正後の前記階調値が前記第2の閾値より大きくなるように設定された乱数値を含み、前記第1の範囲は、第1の階調値より大きく、かつ、前記第2の閾値未満の範囲であり、前記第1の階調値は、前記第1の閾値より大きく、かつ、前記第2の閾値未満の値である、印刷制御装置。
上記構成によれば、注目画素の階調値が第1の範囲内に含まれる場合に、階調値に対して補正乱数値を用いた補正を行った場合に、補正後の階調値が第2の閾値より大きくなり得るように補正乱数値が取得され、階調値に当該補正が行われる。この結果、注目画素の階調値が第2の閾値未満であっても、注目画素の階調値が第1の範囲内に含まれる場合には、第2種のドットの形成が促進される。この結果、第1種のドットと、第2種のドットと、の形成比率を適正に制御して、印刷画質を向上することができる。
[適用例2]印刷材を用いて印刷媒体上にドットを形成する印刷実行部のための印刷制御装置であって、画像データを取得する画像データ取得部と、複数の階調値で構成された画像データを、前記ドットの形成状態を表す複数のドット値で構成されたドットデータに変換する誤差拡散処理を実行する誤差拡散部であって、注目画素に対する前記誤差拡散処理は、前記注目画素の前記階調値と分配誤差とに応じて、前記注目画素の前記ドット値を決定し、前記分配誤差は、前記ドット値が決定済みである決定済画素に対する前記誤差拡散処理で生じた誤差の中から前記注目画素に分配される誤差であり、前記ドット値は、第1種のドットを形成することを表す第1の値と、前記第1種のドットよりドット径が大きい第2種のドットを形成することを表す第2の値と、前記第2種のドットよりドット径が大きい第3種のドットを形成することを表す第3の値と、を含む複数種類の値のいずれかに決定される、前記誤差拡散部と、前記ドットデータを含む印刷データを前記印刷実行部に供給する供給部と、を備え、前記誤差拡散部は、前記注目画素の前記階調値が、少なくとも第1の階調値以上かつ第2の階調値以下の階調値範囲内に含まれる場合に、前記階調値範囲内の前記階調値に応じて設定された乱数範囲から補正乱数値を取得する乱数取得部と、前記注目画素の前記階調値に対して補正処理を実行して補正済階調値を生成する補正部であって、前記補正処理は、前記分配誤差を用いた第1補正を含み、前記補正乱数値が取得された場合には、前記補正乱数値を用いた第2補正を、さらに含む、前記補正部と、前記注目画素の前記補正済階調値が、第1の閾値より大きいことを含む第1の条件が満たされた場合に、前記注目画素の前記ドット値を前記第1の値に決定し、前記注目画素の前記補正済階調値が、第2の閾値より大きいことを含む第2の条件が満たされた場合に、前記注目画素の前記ドット値を前記第2の値に決定し、前記注目画素の前記補正済階調値が、第3の閾値より大きいことを含む第3の条件が満たされた場合に、前記注目画素の前記ドット値を前記第3の値に決定する決定部であって、前記第2の閾値は、前記第1の閾値より大きく、前記第3の閾値は、前記第2の閾値より大きい、前記決定部と、を備え、前記第1の階調値は、前記第1の閾値より大きく、かつ、前記第2の閾値未満の値であり、前記第2の階調値は、前記第2の閾値より大きく、かつ、前記第3の閾値未満の値であり、前記乱数範囲の上限および下限のうちの一方の値は、前記階調値範囲内の前記階調値の変化に対して直線的に変化するように設定され、前記第1の階調値に対して設定される前記乱数範囲の前記一方の値は、第1の特定値であり、前記第2の階調値に対して設定される前記最大乱数値は、第2の特定値であり、前記第1の特定値は、前記補正乱数値として前記第1の特定値を用いて、前記第1の階調値に対して前記第2補正を実行した場合に、前記第2補正後の前記第1の階調値が前記第2の閾値とほぼ等しくなるように設定され、前記第2の特定値は、前記補正乱数値として前記第2の特定値を用いて、前記第1の階調値に対して前記第2補正を実行した場合に、前記第2補正後の前記第2の階調値が前記第3の閾値とほぼ等しくなるように設定されていることを特徴とする、印刷制御装置。
上記構成によれば、階調値の変化に対して、乱数値の大きさが急激に変化することを抑制することができる。この結果、印刷画像における階調の連続性を担保することによって、画質を向上することができる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、上記印刷データ生成装置と上記印刷実行部とを備える印刷装置、印刷データの生成方法、これら装置の機能または上記方法を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
A.第1実施例:
A−1:印刷装置600の構成
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、本発明の一実施例としての印刷装置600のブロック図である。この印刷装置600は、制御装置200と、印刷実行部300と、を含む。
A−1:印刷装置600の構成
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、本発明の一実施例としての印刷装置600のブロック図である。この印刷装置600は、制御装置200と、印刷実行部300と、を含む。
制御装置200は、印刷装置600の動作を制御するコンピュータである。制御装置200は、CPU210と、EEPROM等の不揮発性メモリ230と、CPU210が処理データを格納するバッファ領域(後述する誤差バッファEB(図3)など)を提供するDRAM等の揮発性メモリ240と、液晶ディスプレイ等の表示部250と、タッチパネル等の操作部260と、外部装置との通信のためのインタフェースである通信部270と、を備える。
不揮発性メモリ230は、プログラム232と、乱数範囲データ234と、を格納している。CPU210は、プログラム232を実行することによって、印刷制御部100の機能を含む種々の機能を実現する。印刷制御部100は、印刷対象画像を表す画像データを利用して、印刷実行部300に印刷を実行させる。対象画像データは、例えば、外部装置(例えば、パーソナルコンピュータなどの計算機、あるいは、USBメモリなどの記憶装置)から印刷装置600に供給された画像データである。乱数範囲データ234は、誤差拡散処理において参照されるデータである(後述)。乱数範囲データ234は、プログラム232に組み込まれていても良い。
本実施例では、印刷制御部100は、印刷対象画像を表す画像データ(対象画像データ)を取得する画像データ取得部110と、ハーフトーン処理として誤差拡散処理を実行する誤差拡散部120と、誤差拡散処理によって生成されたドットデータを含む印刷データを印刷実行部300に供給する印刷データ供給部130と、を備える。誤差拡散部120は、注目画素の階調値に応じた補正乱数値を取得する乱数取得部122と、注目画素の階調値を分配誤差や補正乱数値に応じて補正する補正部124と、ドット形成条件に従って、注目画素のドット値を決定する決定部126と、を備える。これらの各機能部が実行する処理については、さらに、後述する。
印刷実行部300は、制御回路310と、印刷ヘッド350と、主走査部340と、副走査部360と、を備える。
副走査部360は、搬送モータ、および、各種の搬送ローラ(図示省略)を備え、制御回路310の制御に従って、印刷媒体(例えば、A3、A4サイズの用紙)を、副走査方向に搬送する副走査を実行する。
主走査部340は、主走査モータ、および、印刷ヘッド350を主走査方向にスライド可能に支持する支持軸(図示省略)を備え、制御回路310の制御に従って印刷ヘッド350を、副走査方向と直交する主走査方向に往復移動させる主走査を実行する。
印刷ヘッド350は、印刷に用いられる複数のインク(例えば、4色(CMYK)のインク)にそれぞれ対応する複数のノズル列(例えば、4列)を備えている(図示省略)。各ノズル列は、対応するインクを吐出して印刷媒体上にドットを形成する複数(例えば、200個)のノズルをそれぞれ有している。各ノズルには、それぞれ駆動素子としてのピエゾ素子(図示せず)が設けられており、ピエゾ素子を駆動する電圧を変化させることによって、ドット径の異なる複数種類のドットを形成することができる。本実施例の印刷ヘッド350の各ノズルは、小ドットと、小ドットよりドット径が大きい中ドットと、中ドットよりドット径が大きい大ドットと、を形成することができる。
制御回路310は、制御装置200からの供給される印刷データに従って主走査部340と、印刷ヘッド350と、副走査部360と、を制御して印刷を実行する。
A−2:印刷処理の概要:
図2は、印刷装置600(図1)によって実行される印刷処理のフローチャートである。印刷制御部100は、ユーザの指示(例えば、ユーザによる操作部260の操作や、通信部270に接続されたユーザのコンピュータ(図示せず)からの印刷ジョブ)に応じて、印刷処理を開始する。
図2は、印刷装置600(図1)によって実行される印刷処理のフローチャートである。印刷制御部100は、ユーザの指示(例えば、ユーザによる操作部260の操作や、通信部270に接続されたユーザのコンピュータ(図示せず)からの印刷ジョブ)に応じて、印刷処理を開始する。
ステップS10では、画像データ取得部110は、印刷対象の対象画像データを、取得する。対象画像データは、例えば、受信された印刷ジョブから取得されても良く、不揮発性メモリ230に格納された画像データの中から取得されても良い。対象画像データは、例えば、ページ記述言語で記述された画像データや、JPEG形式で圧縮された画像データである。
ステップS20では、画像データ取得部110は、対象データに対してラスタライズ処理を実行して、RGB画像データに変換する。RGB画像データを構成する画素データは、例えば、赤(R)と緑(G)と青(B)の3つの色成分の階調値(例えば、0〜255の256階調)で画素の色を表すデータ(RGB値)である。
ステップS30では、画像データ取得部110は、RGB画像データに対して色変換処理を実行して、CMYK画像データに変換する。CMYK画像データを構成する画素データは、インクの色に対応する4つの色成分(C、M、Y、K)の階調値で構成画素の色を表すデータ(CMYK値)である。色変換処理は、RGB値とCMYK値とを対応付けるルックアップテーブルを用いて行われる。CMYK値の各階調値の階調数は、本実施例では、0〜1023の1024階調であり、ドットの形成状態の種類数(本実施例では、大ドット、中ドット、小ドット、ドット無しの4種類)よりも多い。なお、CMYK値の階調数は、他の階調数、例えば、0〜255の256階調であっても良い。なお、色変換処理の後に、キャリブレーション処理やインク量調整処理などの色補正処理が実行されても良い。キャリブレーション処理は、CMYK値の変化に対して、実際に印刷媒体に印刷される色の濃度がリニアに変化するように、CMYK値を補正する処理である。インク量調整処理は、印刷に要するインク量が基準量以下になるように、各CMYK値を補正する処理である。
ステップS40では、誤差拡散部120は、CMYK画像データに対してハーフトーン処理を実行して、ドットデータに変換する。ハーフトーン処理は、CMYK画像データを構成するCMYK値に含まれる各階調値を、画素ごとのドットの形成状態を表すドット値に変換する処理である。ハーフトーン処理は、誤差マトリクスを利用した誤差拡散処理を用いて実行される。この誤差拡散処理については、後述する。
ステップS50では、印刷制御部100は、ドットデータから印刷データを生成する。印刷データは、印刷実行部300によって解釈可能なデータ形式で表されたデータである。印刷制御部100は、例えば、印刷に用いられる順にドットデータを並べ代えるとともに、各種のプリンタ制御コードや、データ識別コードを付加して印刷データを生成する。
ステップS60では、印刷データ供給部130は、印刷実行部300に対して印刷データを供給する。印刷実行部300は、受信した印刷データに従って、画像を印刷する。
A−3:誤差拡散処理
A−3−1:処理フロー
本実施例におけるハーフトーン処理である誤差拡散処理について説明する。図3は、誤差拡散処理の概略図である。図4は、誤差拡散処理のフローチャートである。誤差拡散処理(図3、4)は、CMYK画像データを構成するCMYK値の成分ごとに実行される。そして、1つの成分(例えば、C成分)の誤差拡散処理は、画素ごとに実行される。例えば、CMYK画像データは、複数の画素が、縦方向と横方向にマトリクス状に並んで配置された画像を表している。誤差拡散部120は、横方向に沿って1画素ずつ誤差拡散処理を実行することによって、横方向に延びる1つの画素ラインの誤差拡散処理を実行する。1つの画素ラインの誤差拡散処理が完了すると、誤差拡散部120は、縦方向に隣接する別の画素ラインの誤差拡散処理を実行する。このように、誤差拡散処理は、CMYK画像データに含まれる複数の画素ラインを、縦方向に並んだ順に1ラインずつ処理対象にして、実行される。また、画素の処理順は、他の順であって良い。
A−3−1:処理フロー
本実施例におけるハーフトーン処理である誤差拡散処理について説明する。図3は、誤差拡散処理の概略図である。図4は、誤差拡散処理のフローチャートである。誤差拡散処理(図3、4)は、CMYK画像データを構成するCMYK値の成分ごとに実行される。そして、1つの成分(例えば、C成分)の誤差拡散処理は、画素ごとに実行される。例えば、CMYK画像データは、複数の画素が、縦方向と横方向にマトリクス状に並んで配置された画像を表している。誤差拡散部120は、横方向に沿って1画素ずつ誤差拡散処理を実行することによって、横方向に延びる1つの画素ラインの誤差拡散処理を実行する。1つの画素ラインの誤差拡散処理が完了すると、誤差拡散部120は、縦方向に隣接する別の画素ラインの誤差拡散処理を実行する。このように、誤差拡散処理は、CMYK画像データに含まれる複数の画素ラインを、縦方向に並んだ順に1ラインずつ処理対象にして、実行される。また、画素の処理順は、他の順であって良い。
この誤差拡散処理によって、処理対象の画素(注目画素)のドット値が、ドットを形成しないこと(ドット無し)を表すドット無値「0」と、小ドットを形成することを表す小ドット値「1」と、中ドットを形成することを表す中ドット値「2」と、大ドットを形成することを表す大ドット値「3」と、のいずれかに、決定される。
注目画素に対する誤差拡散処理が開始されると、誤差拡散部120の補正部124は、誤差マトリクスMTを用いて、誤差バッファEBに格納された誤差を収集して、注目画素に対する分配誤差値Etを取得する(ステップS402)。誤差バッファEBには、後述するように、誤差拡散処理が終了した画素、すなわち、ドット値が決定済みの決定済画素ごとに、決定済画素に対する誤差拡散処理で生じた誤差値Eaが格納されている。誤差マトリクスMTは、注目画素の周辺の所定の相対位置に配置された画素に、割り当てられた分配比を規定している。図3の誤差マトリクスMTでは、記号「+」が注目画素を表し、周辺の画素に分配比a〜mが割り当てられている。分配比a〜mの合計は1である。補正部124は、誤差マトリクスMTに従って、周辺の各画素の誤差値Eaに、対応する分配比を乗じた値の合計値を、注目画素の分配誤差値Etとして算出する。
ステップS404では、誤差拡散部120の乱数取得部122は、注目画素の階調値(入力値)Vinに応じて補正乱数値RVを取得する。図5は、階調値と、乱数上限値RTとの関係を示すグラフである。図5に示すように、乱数上限値RTは、階調値に応じて規定されており(乱数上限値RT≧0)、当該乱数上限値RTは、乱数範囲データ234(図1)に記録されている。乱数上限値RTは、補正乱数値RVが取得される範囲(乱数範囲)の上限値である。乱数下限値RU(図示せず)は、乱数範囲の下限値であり、本実施例では、乱数上限値RTに(−1)を乗じた値である。例えば、注目画素の階調値Vinに対して設定されている乱数上限値RTを、乱数上限値RT(Vin)とする。注目画素の階調値Vinに対する補正乱数値RV(Vin)の乱数範囲は、−RT(Vin)≦RV(Vin)≦+RT(Vin)である。補正乱数値RV(Vin)として、上記乱数範囲に含まれる整数の中から、1つの値が均等な確率で取得される。以上の説明から解るように、図5に示すように設定された乱数上限値RTによって、乱数範囲が規定される。また、補正乱数値RVの中央値は、0であるので、補正乱数値RVの平均値(期待値)は0である。乱数上限値RTについては、さらに、後述する。
ステップS406では、補正部124は、注目画素の階調値Vinに分配誤差値Etと、補正乱数値RVと、を加算することによって、補正済階調値Vaを算出する。すなわち、補正済階調値Vaは、以下の式で表される。
補正済階調値Va=階調値Vin+分配誤差値Et+補正乱数値RV
=誤差加算階調値Vc+補正乱数値RV
誤差加算階調値Vcは、階調値Vinと分配誤差値Etとの和である(Vc=Vin+Et)。ここで、上述した補正乱数値RVの平均値が0にされていることによって、印刷画像において表現される色が、補正乱数値RVの影響によって、対象画像データの色とは異なる色になることを抑制することができる。注目画素の階調値Vinに分配誤差値Etを加算することを、分配誤差値Etを用いた第1補正とも呼び、注目画素の階調値Vinに補正乱数値RVを加算することを、補正乱数値RVを用いた第2補正とも呼ぶ。
補正済階調値Va=階調値Vin+分配誤差値Et+補正乱数値RV
=誤差加算階調値Vc+補正乱数値RV
誤差加算階調値Vcは、階調値Vinと分配誤差値Etとの和である(Vc=Vin+Et)。ここで、上述した補正乱数値RVの平均値が0にされていることによって、印刷画像において表現される色が、補正乱数値RVの影響によって、対象画像データの色とは異なる色になることを抑制することができる。注目画素の階調値Vinに分配誤差値Etを加算することを、分配誤差値Etを用いた第1補正とも呼び、注目画素の階調値Vinに補正乱数値RVを加算することを、補正乱数値RVを用いた第2補正とも呼ぶ。
ステップS408では、決定部126は、補正済階調値Vaが、大ドット閾値TH3より大きいか否かを判定する。補正済階調値Vaが大ドット閾値TH3より大きい場合には(ステップS408:YES)、決定部126は、大ドット値を出力する、すなわち、注目画素のドット値を、大ドット値に決定する(ステップS410)。
補正済階調値Vaが大ドット閾値TH3以下である場合には(ステップS408:NO)、決定部126は、補正済階調値Vaが、中ドット閾値TH2より大きいか否かを判定する(ステップS412)。補正済階調値Vaが中ドット閾値TH2より大きい場合には(ステップS412:YES)、決定部126は、中ドット値を出力する、すなわち、注目画素のドット値を、中ドット値に決定する(ステップS414)。
補正済階調値Vaが中ドット閾値TH2以下である場合(ステップS412:NO)には、決定部126は、補正済階調値Vaが、小ドット閾値TH1より大きいか否かを判定する(ステップS416)。補正済階調値Vaが小ドット閾値TH1より大きい場合には(ステップS416:YES)、決定部126は、小ドット値を出力する、すなわち、注目画素のドット値を、小ドット値に決定する(ステップS418)。
補正済階調値Vaが小ドット閾値TH1以下である場合(ステップS416:NO)には、決定部126は、注目画素のドット値を、ドットが形成されないこと(ドット無し)を表す値に決定する(ステップS420)。
以上から解るように、注目画素のドット値が大ドット値に決定される条件、すなわち、中ドットが形成されるための中ドット形成条件は、補正済階調値Vaが、大ドット閾値TH3より大きいことである。また、中ドットが形成されるための中ドット形成条件は、補正済階調値Vaが、中ドット閾値TH2より大きく、かつ、大ドット閾値TH3以下であることである。小ドットが形成されるための小ドット形成条件は、補正済階調値Vaが、小ドット閾値TH1より大きく、かつ、中ドット閾値TH2以下であることである。なお、本実施例では、小ドット閾値TH1、中ドット閾値TH2、大ドット閾値TH3は、それぞれ、0、200、600である。
ステップS422では、誤差拡散部120は、決定されたドット値Dout(図3)を、対応するドット濃度値Drに変換する。ドット濃度値Drは、決定されたドット値Doutが取り得る4値に、それぞれ対応付けられている。このドット濃度値Drは、4種類のドットの形成状態によって表現される濃度を、CMYK値に相当する階調値で表した値である。本実施例では、以下のようにドット濃度値Drが設定されている。
A)大ドット:ドット濃度値Dr=1536
B)中ドット:ドット濃度値Dr=600
C)小ドット:ドット濃度値Dr=200
D)ドット無し:ドット濃度値Dr=0
ドット濃度値Drは、例えば、相対値テーブルDTに記述され、プログラム232に組み込まれている。
A)大ドット:ドット濃度値Dr=1536
B)中ドット:ドット濃度値Dr=600
C)小ドット:ドット濃度値Dr=200
D)ドット無し:ドット濃度値Dr=0
ドット濃度値Drは、例えば、相対値テーブルDTに記述され、プログラム232に組み込まれている。
ステップS424では、誤差拡散部120は、誤差値Eaを、以下の式を用いて算出する。
誤差値Ea=誤差加算階調値Vc−ドット濃度値Dr
=補正済階調値Va−補正乱数値RV−ドット濃度値Dr
誤差値Eaは、注目画素について決定されたドット値に対応するドット濃度値Drと、注目画素における上述した誤差加算階調値Vcと、の間に生じた誤差と言うことができる。誤差加算階調値Vcは、補正済階調値Vaから補正乱数値RVを差し引いた値と言うことができる。差拡散部120は、誤差値Eaを、誤差バッファEBに格納する。誤差バッファEBには、誤差拡散処理によってドット値が決定された決定済画素ごとに、このステップS424で算出された誤差値Eaが記録される。上述したステップS402において取得される分配誤差値Etは、誤差バッファEBに記録された誤差値Ea、すなわち、決定済画素において生じた誤差値Eaのうち、誤差マトリクスMTを用いて注目画素に分配された誤差である。
誤差値Ea=誤差加算階調値Vc−ドット濃度値Dr
=補正済階調値Va−補正乱数値RV−ドット濃度値Dr
誤差値Eaは、注目画素について決定されたドット値に対応するドット濃度値Drと、注目画素における上述した誤差加算階調値Vcと、の間に生じた誤差と言うことができる。誤差加算階調値Vcは、補正済階調値Vaから補正乱数値RVを差し引いた値と言うことができる。差拡散部120は、誤差値Eaを、誤差バッファEBに格納する。誤差バッファEBには、誤差拡散処理によってドット値が決定された決定済画素ごとに、このステップS424で算出された誤差値Eaが記録される。上述したステップS402において取得される分配誤差値Etは、誤差バッファEBに記録された誤差値Ea、すなわち、決定済画素において生じた誤差値Eaのうち、誤差マトリクスMTを用いて注目画素に分配された誤差である。
以上説明した誤差拡散処理によって、画素ごとのドット値で構成されたドットデータが、インク色ごとに、生成される。
A−3−2:乱数上限値RT
上述した乱数上限値RTについて、さらに、説明する。乱数上限値RTは、分配誤差値Etを考慮しない場合に、以下に説明する複数の条件A〜Fを満たすように、設定される。条件Aは、注目画素の階調値Vinが、0<Vin<Vmの範囲(階調値範囲Aとよぶ。)内にある場合に、注目画素のドット値が、中ドット値に決定されないこと、である。換言すれば、条件Aは、階調値範囲A内の階調値Vinと、乱数上限値RT(Vin)との和(Vin+RT(Vin))が、中ドット閾値TH2以下であること、である。乱数上限値RTが、図5に示す第1の破線Lmより下側の領域Bm(図5:階調値範囲A内のハッチング領域)内に設定される場合に、条件Aは満たされる。したがって、本実施例の乱数上限値RTは、図5のグラフにおいて乱数上限値RTを示す実線が、領域Bm内を通るように、設定されることが好ましい。
上述した乱数上限値RTについて、さらに、説明する。乱数上限値RTは、分配誤差値Etを考慮しない場合に、以下に説明する複数の条件A〜Fを満たすように、設定される。条件Aは、注目画素の階調値Vinが、0<Vin<Vmの範囲(階調値範囲Aとよぶ。)内にある場合に、注目画素のドット値が、中ドット値に決定されないこと、である。換言すれば、条件Aは、階調値範囲A内の階調値Vinと、乱数上限値RT(Vin)との和(Vin+RT(Vin))が、中ドット閾値TH2以下であること、である。乱数上限値RTが、図5に示す第1の破線Lmより下側の領域Bm(図5:階調値範囲A内のハッチング領域)内に設定される場合に、条件Aは満たされる。したがって、本実施例の乱数上限値RTは、図5のグラフにおいて乱数上限値RTを示す実線が、領域Bm内を通るように、設定されることが好ましい。
条件Bは、注目画素の階調値Vinが、Vm<Vin<TH2の範囲(階調値範囲Bとよぶ。)内にある場合に、注目画素のドット値が、中ドット値に決定される可能性があること、である。換言すれば、条件Bは、階調値範囲B内の階調値Vinと、乱数上限値RT(Vin)との和が、中ドット閾値TH2より大きいこと、である。乱数上限値RTが、図5に示す第1の破線Lmより上側の領域Am(図5:階調値範囲B内のハッチング領域)内に設定される場合に、条件Bは満たされる。したがって、本実施例の乱数上限値RTは、図5のグラフにおいて乱数上限値RTを示す実線が、領域Am内を通るように、設定されることが好ましい。
条件Cは、注目画素の階調値Vinが、TH2<Vin<Vnの範囲(階調値範囲Cとよぶ。)内にある場合に、注目画素のドット値が、大ドット値に決定されないこと、である。換言すれば、条件Cは、階調値範囲C内の階調値Vinと、乱数上限値RT(Vin)との和が、大ドット閾値TH3より小さいこと、である。乱数上限値RTが、図5に示す第2の破線Lnより下側の領域Bn(図5:階調値範囲C内のハッチング領域)内に設定される場合に、条件Cは満たされる。したがって、本実施例の乱数上限値RTは、図5のグラフにおいて乱数上限値RTを示す実線が、領域Bn内を通るように、設定されることが好ましい。
条件Dは、注目画素の階調値Vinが、Vn<Vin<TH3の範囲(階調値範囲Dとよぶ。)内にある場合に、注目画素のドット値が、大ドット値に決定される可能性があること、である。換言すれば、条件Dは、階調値範囲D内の階調値Vinと、乱数上限値RT(Vin)との和が、大ドット閾値TH3より大きいこと、である。乱数上限値RTが、図5に示す第2の破線Lnより上側の領域An(図5:階調値範囲D内のハッチング領域)内に設定される場合に、条件Dは満たされる。したがって、本実施例の乱数上限値RTは、図5のグラフにおいて乱数上限値RTを示す実線が、領域An内を通るように、設定されることが好ましい。
条件Eは、注目画素の階調値Vinが、Vo<Vin<Vmaxの範囲(階調値範囲Eとよぶ。)内にある場合に、注目画素のドット値が、小ドット値に決定される可能性がある、ことである。換言すれば、条件Eは、階調値範囲E内の階調値Vinと、乱数上限値RT(Vin)との差分(Vin−RT(Vin))が、中ドット閾値TH2以下であること、である。Vmaxは、最大階調値(本実施例では、1023)である。乱数上限値RTが、図5に示す第3の破線Loより上側の領域Ao(図5:階調値範囲E内のハッチング領域)内(破線Lo上の値を含む)に設定される場合に、条件Eは満たされる。したがって、本実施例の乱数上限値RTは、図5のグラフにおいて乱数上限値RTを示す実線が、領域Ao内を通るように、設定されることが好ましい。
条件Fは、注目画素の階調値が0である場合に、注目画素のドット値は、「ドット無し」を表す値に決定されること、である。この結果、ドットが形成されるべきではない画像、すなわち、最小階調値0の画素で構成された画像を印刷した場合に、補正乱数値RVの影響によってドットが形成されてしまうことを抑制して、最小階調値0の画素で構成された画像の再現性を担保することができる。乱数上限値RTが、最小階調値0に対して、0に設定される場合には、条件Fは満たされる。
なお、本実施例では、階調値Vmは、50、階調値Vnは、300、階調値Voは、680に設定されている。
以上説明した条件Aから条件Fまでの6つの条件を全て満たすように、本実施例では、乱数上限値RTは、図5のグラフにおいて、第1特徴点P1と第2特徴点P2との間、および、第2特徴点P2と第3特徴点P3との間、第3特徴点P3と第4特徴点P4との間、第4特徴点P4と第5特徴点P5との間を、それぞれ直線で結んだ線上の値に設定されている。したがって、本実施例の乱数上限値RTは、乱数上限値RTの設定範囲内(本実施例では、全範囲(0≦Vin≦Vmax)において、階調値が大きくなるほど、大きくなるように、設定される。すなわち、乱数上限値RTは、階調値が増加するに連れて、連続的に、単調増加するように設定される。また、乱数上限値RTは、各階調値範囲A〜Eのそれぞれにおいて、階調値が増加するに連れて、直線的に変化するように設定される。この結果、階調値の変化に対して、乱数値の大きさが急激に変化することを抑制することができる。したがって、印刷画像において、階調の連続性を担保することができる。
第1特徴点P1は、最低階調値0に対して、乱数上限値RTが0となる点である。第2特徴点P2は、階調値Vmに対する乱数上限値RT(Vm)を規定する点であって、かつ、第1の破線Lm上の点である。したがって、階調値Vmに対して、第2特徴点P2に対応する乱数上限値RT(Vm)を加算した場合に、加算後の階調値(Vm+RT(Vm))が、中ドット閾値TH2に等しくなる。
第3特徴点P3は、階調値Vnに対する乱数上限値RT(Vn)を規定する点であって、かつ、第2の破線Ln上の点である。したがって、階調値Vnに対して、第3特徴点P3に対応する乱数上限値RT(Vn)を加算した場合に、加算後の階調値(Vn+RT(Vn))が、大ドット閾値TH3に等しくなる。
第4特徴点P4は、階調値Voに対する乱数上限値RT(Vo)を規定する点であって、かつ、第3の破線Lo上の点である。したがって、階調値Voに対して、第4特徴点P4に対応する乱数上限値RT(Vo)によって規定される乱数下限値RU(すなわち、−RT(Vo))を加算した場合に、加算後の階調値(Vo−RT(Vo))が、中ドット閾値TH2に等しくなる。
第5特徴点P5は、最大階調値Vmaxに対する乱数上限値RT(Vmax)を規定する点であって、かつ、第3の破線Lo上の点である。したがって、最大階調値(Vmax)に対して、第5特徴点P5に対応する乱数上限値RT(Vmax)によって規定される乱数下限値RU(すなわち、−RT(Vmax))を加算した場合に、加算後の階調値(Vmax−RT(Vmax))が、中ドット閾値TH2に等しくなる。
さらに、詳しく説明する。階調値範囲A内の乱数上限値RTは、当該範囲内の階調値の変化に対して直線的に変化するように、より具体的には、図5に示すグラフにおいて、第1特徴点P1と、第2特徴点P2と、を結ぶ直線上の値に、設定されている。この結果、階調値範囲A内の乱数上限値RTは、領域Bmを通り、条件Aが満たされる。また、最低階調値0に対する乱数上限値RTが0にされる(第1特徴点P1)ことで、条件Fが満たされる。
階調値範囲B内、および、階調値範囲C内の乱数上限値RTは、当該範囲内の階調値の変化に対して直線的に変化するように、より具体的には、図5に示すグラフにおいて、第2特徴点P2と、第3特徴点P3と、を結ぶ直線上の値に、設定されている。この結果、階調値範囲B内の乱数上限値RTは、領域Amを通り、条件Bが満たされる。また、階調値範囲C内の乱数上限値RTは、領域Bnを通り、条件Cが満たされる。
階調値範囲Dを含むVn<V<Voの範囲内の乱数上限値RTは、当該範囲内の階調値の変化に対して直線的に変化するように、より具体的には、図5に示すグラフにおいて、第3特徴点P3と、第4特徴点P4と、を結ぶ直線上の値に、設定されている。この結果、階調値範囲D内の乱数上限値RTは、領域Anを通り、条件Dが満たされる。
階調値範囲E内の乱数上限値RTは、当該範囲内の階調値の変化に対して直線的に変化するように、より具体的には、図5に示すグラフにおいて、第4特徴点P4と、第5特徴点P5と、を結ぶ直線上の値に、設定されている。この結果、階調値範囲E内の乱数上限値RTは、領域Aoを通り、条件Eが満たされる。
図6を参照しながら、本実施例の誤差拡散処理のドット形成比率について説明する。図6は、実施例および比較例のドット形成率を示す図である。図6には、0≦V≦1023の範囲内の階調値Vに対するドット形成率が図示されている。各階調値Vのドット形成率は、当該階調値Vの画素で構成された均一画像に対して、誤差拡散処理を実行して得られるドットデータに占める大ドット値、中ドット値、小ドット値のそれぞれの比率である。図6(A)は、実施例のドット形成率を示し、図6(B)は、比較例のドット形成率を示す。比較例の誤差拡散処理は、補正乱数値RVを用いた階調値Vinの補正を行っていない。
先ず、図6(B)を参照して、比較例の誤差拡散処理、すなわち、許容確率を用いたドット形成の制限を行わない場合のドット形成率について説明する。小ドット閾値TH1≦V≦TH2(200)の範囲内の階調値Vでは、中ドットおよび大ドットは形成されず、小ドットだけが形成される。そして、この範囲内では、階調値の増加に対して、小ドット形成率SDb(図6(B))は、直線的に増加し、中ドット閾値TH2に相当する階調値で、100%になる。すなわち、小ドットが全ての画素に形成される状態になる。そして、中ドット閾値TH2≦V≦TH3(600)の範囲内の階調値Vでは、小ドットと中ドットの2種類のドットが形成され、大ドットは形成されない。そして、この範囲内では、階調値の増加に対して、小ドット形成率SDbが100%から0%まで直線的に減少し、中ドット形成率MDbが0%から100%まで直線的に増加する。そして、大ドット閾値TH3に相当する階調値で、中ドット形成率MDbは、100%になり、小ドット形成率SDbは、0%になる。すなわち、中ドットが全ての画素に形成される状態になる。大ドット閾値TH3≦V≦Vmaxの範囲内の階調値Vでは、中ドットと大ドットの2種類のドットが形成され、小ドットは形成されない。そして、この範囲では、階調値Vの増加に対して、中ドット形成率MDbが100%から約55%%まで直線的に減少し、大ドット形成率LDbが0%から約45%まで直線的に増加する。ここで、最大階調値Vmaxで、大ドット形成率LDbが100%にならないのは、大ドットのドット濃度値Drが、上述のように1023より大きい値である1536に設定されているからである。本実施例では、比較的高解像度(例えば、縦1200dpi×横1200dpi)での印刷が想定されているために、大ドット形成率LDbが100%になると、単位面積辺りのインク量が基準を超えてしまう(インクがあふれる)おそれがある。
比較例の場合には、印刷画像が規則的になりやすい場合がある。例えば、階調値Vが中ドット閾値TH2と等しい場合には、全ての画素に小ドットが形成され、階調値Vが大ドット閾値TH3と等しい場合には、全ての画素に中ドットが形成されることになり、印刷画像の規則性が高くなる。また、その他の階調値であっても、形成されるドットの種類数が比較的少ない(最大2種類)ため、印刷画像の規則性が十分に低いとは言えない。このように、印刷画像の規則性が比較的高い場合には、クロストークや制御誤差などの要因でドットの大きさや形成位置にばらつきが生じた場合に、ばらつきに起因する画質の変化(ムラ、バンディングなど)が目立ちやすい傾向にある。クロストークとは、1つのノズルにおけるインクの吐出に伴う動作・変化(インク流路内の圧力変動、ピエゾ素子の駆動による衝撃波など)が、他のノズルにおけるインクの吐出に影響を与えることである。
次に、図6(A)を参照して、本実施例の誤差拡散処理のドット形成率について説明する。小ドット形成率SD1は、階調値0から階調値約230まで直線的に増加する。小ドット形成率SD1は、階調値約230で最大となり、階調値約230から最大階調値Vmaxまで、連続的に減少する。減少の程度は、階調値が大きくなるに連れて緩やかになり、小ドット形成率SD1は、最大階調値Vmaxにおいても、約10%に維持される。
中ドット形成率MD1は、階調値0から階調値約180までは、実質的に0であるが、中ドット閾値TH2(200)より小さい階調値約180から実質的に増加し始める(点SP1)。中ドット形成率MD1は、階調値約180から緩やかに増加し始め、階調値約260から約550まで直線的に増加する。中ドット形成率MD1は、階調値約600で最大となり、階調値約600から最大階調値Vmaxまで、緩やかに減少する。中ドット形成率MD1は、最大階調値Vmaxにおいても、約45%に維持される。
大ドット形成率LD1は、階調値0から階調値約350までは実質的に0であるが、階調値約350から実質的に増加し始める(点SP2)。大ドット形成率LD1は、階調値約350から緩やかに増加し始め、階調値約600から最大階調値Vmaxまで直線的に増加する。
以上の説明から解るように、本実施例では、比較例と異なり、実質的に小ドットのみが形成される階調値Vの範囲は、0<V≦約180の範囲だけである。本実施例では、比較例と異なり、1種類のドットが全ての画素に形成されることはない。また、本実施例では、比較例と異なり、階調値約350≦V≦1023までの比較的広い範囲で、大、中、小の3種類のドットが実質的に形成される。したがって、本実施例では、比較例と比較して、印刷画像の規則性が低くなる。この結果、本実施例の印刷画像は、ドットの大きさや形成位置にばらつきが生じた場合に、ばらつきに起因する画質の変化が、比較例の印刷画像と比較して目立ちにくい。したがって、印刷画像の画質が向上する。
さらに、詳しく説明する。本実施例では、階調値範囲B(Vm<Vin<TH2)内の階調値に対する乱数上限値RTは、上述した条件Bが満たされるように、設定されている。したがって、階調値範囲B内の階調値に対する乱数上限値RTによって規定される乱数範囲は、階調値Vinに対して第2補正(具体的には、補正乱数値RVを加算すること)を行った場合に、第2補正後の階調値Vinが中ドット閾値TH2より大きくなる乱数値を含む。したがって、注目画素の階調値Vinが、階調値範囲Bに含まれる場合には、第2補正後の階調値Vinが中ドット閾値TH2より大きくなる可能性があるように、補正乱数値RVが取得される。この結果、階調値Vinが、中ドット閾値TH2未満であっても、階調値範囲Bに含まれる場合には、中ドットの形成が促進される。階調値範囲B(Vm<Vin<TH2)の下限値であるVmから、必ずしも実施的に中ドットの形成が始まるとは限らないが(本実施例では、約180から実施的に中ドットの形成が認められている(図6(A))、乱数上限値RTの値や、階調値Vmの値を調整することで、比較的容易に所望の階調値から中ドットの形成を開始させることができる。したがって、小ドットと中ドットとの形成比率を適正に制御して、印刷画質を向上することができる。条件Bが満たされるように設定された乱数上限値RTによって規定される乱数範囲、言い換えれば、第2補正後の階調値Vinが中ドット閾値TH2より大きくなる乱数値を含む乱数範囲を、第1種の乱数範囲とも呼ぶ。
さらに、本実施例では、階調値範囲A(0<Vin<Vm)内の階調値に対する乱数上限値RTは、上述した条件Aが満たされるように設定されている。したがって、階調値範囲A内の階調値に対する乱数上限値RTによって規定される乱数範囲は、階調値Vinに対して第2補正を行った場合に、第2補正後の階調値Vinが中ドット閾値TH2より大きくなる乱数値を含まない。したがって、注目画素の階調値Vinが、階調値範囲Aに含まれる場合に、第2補正後の階調値Vinが中ドット閾値TH2より大きくならないように、補正乱数値RVが取得される。この結果、注目画素の階調値Vinが、階調値範囲Aに含まれる場合には、注目画素の階調値が階調値範囲Bに含まれる場合と比較して、中ドットの形成は促進されない。この結果、中ドットの形成が促進される範囲(例えば、階調値範囲B)と、促進されない範囲(例えば、階調値範囲A)とを、容易に設定することができる。この結果、階調値に応じて、小ドットと、中ドットと、の形成比率をより適切に制御して、印刷画質を向上することができる。以上の説明から解るように、条件Aが満たされるように設定された乱数上限値RTによって規定される乱数範囲、言い換えれば、第2補正後の階調値Vinが中ドット閾値TH2より大きくなる乱数値を含まない乱数範囲は、上述した第1種の乱数範囲とは異なる乱数範囲である。
また、上記実施例では、図5において乱数上限値RTを表す実線が第2特徴点P2を通るように設定されている。すなわち、階調値Vmに設定された乱数上限値RT、すなわち、階調値Vmに設定された乱数範囲の上限値は、階調値Vmに対して当該上限値を用いた第2補正を実行した場合に、第2補正後の階調値Vmが中ドット閾値TH2と等しくなるように設定されている。したがって、階調値Vmから中ドットが形成され得るように、適切な乱数範囲を設定することができる。
さらに、本実施例では、階調値範囲D(Vn<Vin<TH3)内の階調値に対する乱数上限値RTは、上述した条件Dが満たされるように、設定されている。したがって、階調値範囲D内の階調値に対する乱数上限値RTによって規定される乱数範囲は、階調値Vinに対して第2補正を行った場合に、第2補正後の階調値Vinが大ドット閾値TH3より大きくなる乱数値を含む。したがって、注目画素の階調値Vinが、階調値範囲Dに含まれる場合には、第2補正後の階調値Vinが大ドット閾値TH3より大きくなる可能性があるように、補正乱数値RVが取得される。この結果、階調値Vinが、大ドット閾値TH3未満であっても、階調値範囲Dに含まれる場合には、大ドットの形成が促進される。階調値範囲Dの下限値であるVnから、必ずしも実施的に大ドットの形成が始まるとは限らないが(本実施例では、約350から実質的に大ドットの形成が認められている(図6(A))、乱数上限値RTの値や、階調値Vmの値を調整することで、比較的容易に所望の階調値から大ドットの形成を開始させることができる。したがって、小ドットと中ドットと大ドットとの形成比率を適正に制御して、印刷画質を向上することができる。条件Dが満たされるように設定された乱数上限値RTによって規定される乱数範囲、言い換えれば、第2補正後の階調値Vinが大ドット閾値TH3より大きくなる乱数値を含む乱数範囲を、第2種の乱数範囲とも呼ぶ。
さらに、本実施例では、階調値範囲C(TH2<Vin<Vn)内の階調値に対する乱数上限値RTは、上述した条件Cが満たされるように設定されている。したがって、階調値範囲C内の階調値に対する乱数上限値RTによって規定される乱数範囲は、階調値Vinに対して第2補正を行った場合に、第2補正後の階調値Vinが大ドット閾値TH3より大きくなる乱数値を含まない。したがって、注目画素の階調値Vinが、階調値範囲Cに含まれる場合に、第2補正後の階調値Vinが大ドット閾値TH3より大きくならないように、補正乱数値RVが取得される。この結果、注目画素の階調値Vinが、階調値範囲Cに含まれる場合には、注目画素の階調値が階調値範囲Dに含まれる場合と比較して、大ドットの形成は促進されない。この結果、大ドットの形成が促進される範囲(例えば、階調値範囲D)と、促進されない範囲(例えば、階調値範囲C)とを、容易に設定することができる。この結果、階調値に応じて、小ドットと中ドットと大ドットとの形成比率をより適切に制御して、印刷画質を向上することができる。以上の説明から解るように、条件Cが満たされるように設定された乱数上限値RTによって規定される乱数範囲、言い換えれば、第2補正後の階調値Vinが大ドット閾値TH3より大きくなる乱数値を含まない乱数範囲は、上述した第2種の乱数範囲とは異なる乱数範囲である。
また、本実施例では、図5において乱数上限値RTを表す実線が第3特徴点P3を通るように設定されている。すなわち、階調値Vnに設定された乱数上限値RT、すなわち、階調値Vnに設定された乱数範囲の上限値は、階調値Vnに対して当該上限値を用いた第2補正を実行した場合に、第2補正後の階調値Vnが大ドット閾値TH3と等しくなる値に設定されている。したがって、階調値Vnから大ドットが形成され得るように、適切な乱数範囲を設定することができる。
さらに、本実施例では、階調値範囲E(Vo<Vin<Vmax)内の階調値に対する乱数上限値RTは、上述した条件Eが満たされるように、設定されている。したがって、階調値範囲E内の階調値に対する乱数上限値RTによって規定される乱数範囲は、階調値Vinに対して第2補正を行った場合に、第2補正後の階調値Vinが中ドット閾値TH2以下になる乱数値を含む。したがって、注目画素の階調値Vinが、階調値範囲Eに含まれる場合には、第2補正後の階調値Vinが中ドット閾値TH2以下になる可能性があるように、補正乱数値RVが取得される。この結果、階調値Vinが、大ドット閾値TH3より大きい場合であっても、階調値範囲Eに含まれる場合には、小ドットの形成が促進される。したがって、階調値範囲Eにおいて、小ドットの形成比率を増加させて、印刷画質を向上することができる。条件Eが満たされるように設定された乱数上限値RTによって規定される乱数範囲、言い換えれば、第2補正後の階調値Vinが中ドット閾値TH2より小さくなる乱数値を含む乱数範囲を、第3種の乱数範囲とも呼ぶ。
また、本実施例では、図5において乱数上限値RTを表す実線が第4特徴点P4を通るように設定されている。すなわち、階調値Voに設定された乱数上限値RTに負の符号を付した値(−RT(Vo))、すなわち、階調値Voに設定された乱数下限値RUは、階調値Voに対して乱数下限値RUを用いた第2補正を実行した場合に、第2補正後の階調値Voが中ドット閾値TH2と等しくなる値に設定されている。したがって、階調値Voから小ドットが促進されるように、適切な乱数範囲を設定することができる。
また、本実施例では、最小階調値0に対する乱数上限値RTは0に設定されている。これは、乱数取得部122は、前記注目画素の階調値が最小階調値0である場合には、補正乱数値RVを取得しないことと等しい。したがって、印刷画像における最小階調値の再現性を保証して、印刷画質を向上することができる。
なお、上記実施例では、1つの注目画素につき、1つの補正乱数値RVを取得して、階調値Vinを補正乱数値RVを用いて補正することによって、3種類のドットの形成比率を制御しているので、比較的誤差拡散処理の処理負荷を抑制することができる。例えば、3種類のドットの形成比率を制御するために、対象画像データの各画素の階調値を、3つに分割して、3種類のドットにそれぞれ割り当てる技術が考えられる。この場合には、例えば、画素ごとに分割された3つの階調値を用いて、3種類のドットに対してそれぞれ独立した誤差拡散処理を行うことが考えられる。このような複雑な技術と比較して、本実施例では、処理負荷を低減できるので、計算時間の低減、必要なリソース(必要なCPUの能力、必要なメモリ量など)を低減することができる。
以上の説明から解るように、階調値Vmは、第1の階調値の例であり、階調値Vnは、第2の階調値の例であり、階調値Voは、第3の階調値の例である。階調値範囲B(Vm<Vin<TH2の範囲)は、第1の範囲の例であり、階調値範囲A(0<Vin<Vmの範囲)は、第2の範囲の例であり、階調値範囲D(Vn<Vin<TH3)は、第3の範囲の例であり、階調値範囲E(Vo<Vin<Vmax)は、第4の範囲の例である。
B.変形例:
(1)上記実施例では、階調値Vinに対する補正乱数値RVを用いた第2補正は、階調値Vinに対して、補正乱数値RVを加算することである。これに代えて、第2補正は、補正乱数値RVを用いた他の演算であっても良く、具体的には、階調値Vinから、補正乱数値RVを減算することであっても良い。例えば、「乱数範囲が、第2補正後の階調値Vinが中ドット閾値TH2より大きくなる乱数値を含むか否か」は、第2補正が、実施例のように「加算」である場合には、「階調値Vinと、乱数範囲の上限値と、の和が、中ドット閾値TH2より大きいか否か」を意味し、第2補正が、「減算」である場合には、「階調値Vinと、乱数範囲の下限値と、の差が、中ドット閾値TH2より大きいか否か」を意味する。
(1)上記実施例では、階調値Vinに対する補正乱数値RVを用いた第2補正は、階調値Vinに対して、補正乱数値RVを加算することである。これに代えて、第2補正は、補正乱数値RVを用いた他の演算であっても良く、具体的には、階調値Vinから、補正乱数値RVを減算することであっても良い。例えば、「乱数範囲が、第2補正後の階調値Vinが中ドット閾値TH2より大きくなる乱数値を含むか否か」は、第2補正が、実施例のように「加算」である場合には、「階調値Vinと、乱数範囲の上限値と、の和が、中ドット閾値TH2より大きいか否か」を意味し、第2補正が、「減算」である場合には、「階調値Vinと、乱数範囲の下限値と、の差が、中ドット閾値TH2より大きいか否か」を意味する。
(2)上記実施例では、3種類のドットが用いられているが、2種類のドット径のドット、例えば、小ドットと大ドットとが用いられても良い。この場合には、例えば、大ドットを形成するか否かの閾値THaより小さい階調値の範囲に対して、当該範囲内の階調値Vinに加算した場合に、加算後の階調値Vinが、閾値THaより大きくなるような乱数を含む乱数範囲を、設定することが好ましい。こうすれば、当該範囲において、大ドットの形成を促進することができる。
(3)上記実施例の階調値範囲Bに対して設定されている第1種の乱数範囲は、第2補正後の階調値Vinが中ドット閾値TH2より大きくなる乱数値を含むように設定されている。これに代えて、第1種の乱数範囲は、第2補正後の階調値Vinが大ドット閾値TH3より大きくなる乱数値を含むように設定されていてもよい。この場合には、階調値範囲Bにおいて、中ドットの形成に加えて、大ドットの形成を促進することができる。
(4)上記実施例では、階調値Vm、Vn、Voは、それぞれ、50、300、680に設定されているが、これらの値に限られない。具体的には、階調値Vmは、小ドット閾値TH1より大きく、かつ、中ドット閾値TH2未満の任意の値であっても良く、階調値Vnは、中ドット閾値TH2より大きく、かつ、大ドット閾値TH3未満の任意の値であっても良く、階調値Voは、大ドット閾値TH3より大きく、かつ、最大階調値Vmax未満の任意の値であっても良い。
(5)大ドットのドット濃度値Drが、最大階調値Vmaxと等しい場合等、最大階調値Vmaxを有する均一画像は、全ての画素に大ドットが形成されることが好ましい場合がある。このような場合には、最大階調値Vmaxに対して設定される乱数上限値RTは0であることが好ましい。こうすれば、補正乱数値RVの影響によって最大階調値Vmaxの画像の再現性が低下することを抑制することができる。
(6)実施例の説明から解るように、第2特徴点P2は、対応する乱数上限値RT(Vm)を用いて、対応する階調値Vmに対して第2補正を実行した場合に、第2補正後の階調値(Vm+RT(Vm))が、中ドット閾値TH2に等しくなるように設定されている。このように、上記実施例における特徴点P2、P3、P4、P5は、対応する乱数上限値または乱数下限値と、対応する階調値とを用いた所定の演算結果が、特定の閾値と等しくなるように設定されていると言うことができる。これらの特徴点によって、各階調値に対する乱数上限値RTが規定される。ここで、これらの特徴点は、所定の演算結果が、特定の閾値と完全に等しくなるように設定される必要はなく、特定の閾値とほぼ等しくなるように設定されていれば良い。言い換えれば、これらの特徴点は、演算結果と特定の閾値との差分が、特定値以下になるように設定されていることが好ましく、より具体的には、当該差分が、階調値の階調数(本実施例では、1024階調)の5%以下になるように設定されていることが好ましく、3%以下になるように設定されていることがさらに好ましい。
(7)上記実施例では、乱数上限値RTは、階調値範囲A〜Eにおいて、それぞれ対応する条件A〜Eを満たすように設定されているが、階調値範囲A〜Eのうちの一部の範囲において、条件A〜Eのうちの対応する条件を満たすように設定されていてもよい。例えば、階調値範囲B(Vm<Vin<TH2)において、条件B(階調値Vinと、乱数上限値RT(Vin)との和が、中ドット閾値TH2より大きいこと)だけが満たされ、他の階調値範囲では、対応する条件を満たさないように、乱数上限値RTが設定されても良い。この場合には、少なくとも階調値範囲Bにおいて、中ドットの形成を促進することができる。
(8)上記実施例では、階調値Vinが階調値範囲A内にある場合には、補正部124は、第1種の乱数範囲とは異なる乱数範囲から取得された補正乱数値RVを用いて第2補正を実行している。これに代えて、階調値Vinが階調値範囲A内にある場合には、補正乱数値RVの取得、および、第2補正が実行されなくても良い。一般的に言えば、補正部124は、第1種の乱数範囲から取得された補正乱数値RVを用いた第2補正を含まない補正処理を、階調値Vinに対して実行することが好ましい。
(9)上記実施例では、図5のグラフに示すように、乱数上限値RTは、階調値の増加に対して直線的、かつ、連続的、かつ、単調に増加するように、変化するように、設定されている。これに代えて、乱数上限値RTは、階調値の増加に対して、曲線を描くように変化する部分を含んでも良い。また、乱数上限値RTは、特定の階調値の前後で非連続に変化する部分、例えば、階調値の増加に対して、階段状に変化する部分を含んでも良い。また、乱数上限値RTは、階調値の変化に対して、一定値となる部分を含んでも良い。ただし、乱数上限値RTは、階調値の増加に対する変化の態様に拘わらず、階調値範囲Aにおいては、領域Bmを通ることが好ましく、階調値範囲Bにおいては、領域Amを通ることが好ましい(図5)。同様に、乱数上限値RTは、階調値範囲C、D、Eにおいて、対応する領域Bn、An、Aoを通ることが好ましい。
(10)上記実施例において、印刷制御部100の機能は、印刷装置600内の制御装置200によって実現されているが、印刷装置600に接続されたパーソナルコンピュータなどの計算機によって実現されても良い。この場合には、例えば、印刷制御部100の機能は、パーソナルコンピュータにおいて動作するプリンタドライバの機能として実現されても良い。印刷制御部100の機能は、ネットワークを介して互いに通信可能な複数のコンピュータ(例えば、クラウドサーバ)によって実現されても良い。この場合には、複数のコンピュータの全体が、印刷制御装置に対応する。
(11)上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしても良く、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしても良い。
また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリーカードやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含んでいる。
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
100...印刷制御部、110...画像データ取得部、120...誤差拡散部、122...乱数取得部、124...補正部、126...決定部、130...印刷データ供給部、200...制御装置、210...CPU、230...不揮発性メモリ、232...プログラム、234...乱数範囲データ、240...揮発性メモリ、250...表示部、260...操作部、270...通信部、300...印刷実行部、310...制御回路、340...主走査部、350...印刷ヘッド、360...副走査部、600...印刷装置
Claims (11)
- 印刷材を用いて印刷媒体上にドットを形成する印刷実行部のための印刷制御装置であって、
画像データを取得する画像データ取得部と、
複数の階調値で構成された画像データを、前記ドットの形成状態を表す複数のドット値で構成されたドットデータに変換する誤差拡散処理を実行する誤差拡散部であって、注目画素に対する前記誤差拡散処理は、前記注目画素の前記階調値と分配誤差とに応じて、前記注目画素の前記ドット値を決定し、前記分配誤差は、前記ドット値が決定済みである決定済画素に対する前記誤差拡散処理で生じた誤差の中から前記注目画素に分配される誤差であり、前記ドット値は、第1種のドットを形成することを表す第1の値と、前記第1種のドットよりドット径が大きい第2種のドットを形成することを表す第2の値と、を含む複数種類の値のいずれかに決定される、前記誤差拡散部と、
前記ドットデータを含む印刷データを前記印刷実行部に供給する供給部と、
を備え、
前記誤差拡散部は、
前記注目画素の前記階調値が第1の範囲内に含まれる第1の場合に、前記注目画素の前記階調値に応じて設定された第1種の乱数範囲から、補正乱数値を取得する乱数取得部と、
前記注目画素の前記階調値に対して補正処理を実行して補正済階調値を生成する補正部であって、前記補正処理は、前記分配誤差を用いた第1補正を含み、前記第1の場合には、前記補正乱数値を用いた第2補正を、さらに含む、前記補正部と、
前記注目画素の前記補正済階調値が、第1の閾値より大きいことを含む第1の条件が満たされた場合に、前記注目画素の前記ドット値を前記第1の値に決定し、前記注目画素の前記補正済階調値が、第2の閾値より大きいことを含む第2の条件が満たされた場合に、前記注目画素の前記ドット値を前記第2の値に決定する決定部であって、前記第2の閾値は、前記第1の閾値より大きい、前記決定部と、
を備え、
前記第1種の乱数範囲は、前記第1の範囲内の前記階調値に対して前記第2補正を実行した場合に、前記第2補正後の前記階調値が前記第2の閾値より大きくなるように設定された乱数値を含み、
前記第1の範囲は、第1の階調値以上、かつ、前記第2の閾値未満の範囲であり、
前記第1の階調値は、前記第1の閾値より大きく、かつ、前記第2の閾値未満の値である、印刷制御装置。 - 請求項1に記載の印刷制御装置であって、
前記補正部は、前記注目画素の前記階調値が第2の範囲内に含まれる第2の場合には、前記第1種の乱数範囲から取得された前記補正乱数値を用いた前記第2補正を含まない前記補正処理を実行し、
前記第2の範囲は、前記第1の閾値以上、かつ、第1の階調値未満の範囲である、印刷制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載の印刷制御装置であって、
前記第1の階調値に設定された前記第1種の乱数範囲の上限値および下限値のうちの一方の値は、前記第1の階調値に対して前記第2補正を実行した場合に、前記第2補正後の前記第1の階調値が前記第2の閾値とほぼ等しくなるように設定された乱数値であることを特徴とする、印刷制御装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記複数種類の前記ドット値は、第3種のドットを形成することを表す第3の値を含み、
前記第3種のドットのドット径は、前記第2種のドットのドット径より大きく、
前記乱数取得部は、さらに、前記注目画素の前記階調値が第3の範囲内に含まれる第3の場合に、前記注目画素の前記階調値に応じて設定された第2種の乱数範囲から、前記補正乱数値を取得し、
前記補正部は、前記第3の場合には、前記第2補正を含む前記補正処理を実行し、
前記決定部は、前記注目画素の前記補正済階調値が、前記第2の閾値より大きい第3の閾値より大きいことを含む第3の条件が満たされた場合に、前記注目画素の前記ドット値を前記第3の値に決定し、
前記第2種の乱数範囲は、前記第3の範囲内の前記階調値に対して前記第2補正を実行した場合に、前記第2補正後の前記階調値が前記第3の閾値より大きくなるように設定された乱数値を含み、
前記第3の範囲は、第2の階調値以上、かつ、第3の閾値未満の範囲であり、
前記第2の階調値は、前記第2の閾値より大きく、かつ、前記第3の閾値未満の値である、印刷制御装置。 - 請求項4に記載の印刷制御装置であって、
前記第2の階調値に設定された前記第2種の乱数範囲の上限値および下限値のうちの一方の値は、前記第2の階調値に対して前記第2補正を実行した場合に、前記第2補正後の前記第2の階調値が前記第3の閾値とほぼ等しくなるように設定された乱数値であることを特徴とする、印刷制御装置。 - 請求項4または請求項5に記載の印刷制御装置であって、
前記乱数取得部は、さらに、前記注目画素の前記階調値が第4の範囲内に含まれる第4の場合に、前記注目画素の前記階調値に応じて設定された第3種の乱数範囲から、前記補正乱数値を取得し、
前記補正部は、前記第4の場合には、前記第2補正を含む前記補正処理を実行し、
前記第3種の乱数範囲は、前記第4の範囲内の前記階調値に対して前記第2補正を実行した場合に、前記第2補正後の前記階調値が前記第2の閾値以下になるように設定された乱数値を含み、
前記第4の範囲は、第3の階調値より大きい範囲であり、
前記第3の階調値は、前記第3の閾値より大きい値である、印刷制御装置。 - 請求項6に記載の印刷制御装置であって、
前記第3の階調値に設定された前記第3種の乱数範囲の上限値および下限値のうちの一方の値は、前記第3の階調値に対して前記第2補正を実行した場合に、前記第2補正後の前記第3の階調値が前記第2の閾値とほぼ等しくなるように設定された乱数値であることを特徴とする、印刷制御装置。 - 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記乱数取得部は、前記注目画素の前記階調値が、前記第1の範囲を含む所定の取得範囲内に含まれる場合に、前記補正乱数値を取得し、
前記補正乱数値が取り得る範囲の上限および下限のうちの一方の値は、前記所定の取得範囲内において、前記注目画素の前記階調値が大きくなるほど、大きくなるように、設定されていることを特徴とする、印刷制御装置。 - 印刷材を用いて印刷媒体上にドットを形成する印刷実行部のための印刷制御装置であって、
画像データを取得する画像データ取得部と、
複数の階調値で構成された画像データを、前記ドットの形成状態を表す複数のドット値で構成されたドットデータに変換する誤差拡散処理を実行する誤差拡散部であって、注目画素に対する前記誤差拡散処理は、前記注目画素の前記階調値と分配誤差とに応じて、前記注目画素の前記ドット値を決定し、前記分配誤差は、前記ドット値が決定済みである決定済画素に対する前記誤差拡散処理で生じた誤差の中から前記注目画素に分配される誤差であり、前記ドット値は、第1種のドットを形成することを表す第1の値と、前記第1種のドットよりドット径が大きい第2種のドットを形成することを表す第2の値と、前記第2種のドットよりドット径が大きい第3種のドットを形成することを表す第3の値と、を含む複数種類の値のいずれかに決定される、前記誤差拡散部と、
前記ドットデータを含む印刷データを前記印刷実行部に供給する供給部と、
を備え、
前記誤差拡散部は、
前記注目画素の前記階調値が、少なくとも第1の階調値以上かつ第2の階調値以下の階調値範囲内に含まれる場合に、前記階調値範囲内の前記階調値に応じて設定された乱数範囲から補正乱数値を取得する乱数取得部と、
前記注目画素の前記階調値に対して補正処理を実行して補正済階調値を生成する補正部であって、前記補正処理は、前記分配誤差を用いた第1補正を含み、前記補正乱数値が取得された場合には、前記補正乱数値を用いた第2補正を、さらに含む、前記補正部と、
前記注目画素の前記補正済階調値が、第1の閾値より大きいことを含む第1の条件が満たされた場合に、前記注目画素の前記ドット値を前記第1の値に決定し、前記注目画素の前記補正済階調値が、第2の閾値より大きいことを含む第2の条件が満たされた場合に、前記注目画素の前記ドット値を前記第2の値に決定し、前記注目画素の前記補正済階調値が、第3の閾値より大きいことを含む第3の条件が満たされた場合に、前記注目画素の前記ドット値を前記第3の値に決定する決定部であって、前記第2の閾値は、前記第1の閾値より大きく、前記第3の閾値は、前記第2の閾値より大きい、前記決定部と、
を備え、
前記第1の階調値は、前記第1の閾値より大きく、かつ、前記第2の閾値未満の値であり、
前記第2の階調値は、前記第2の閾値より大きく、かつ、前記第3の閾値未満の値であり、
前記乱数範囲の上限および下限のうちの一方の値は、前記階調値範囲内の前記階調値の変化に対して直線的に変化するように設定され、前記第1の階調値に対して設定される前記乱数範囲の前記一方の値は、第1の特定値であり、前記第2の階調値に対して設定される前記最大乱数値は、第2の特定値であり、
前記第1の特定値は、前記補正乱数値として前記第1の特定値を用いて、前記第1の階調値に対して前記第2補正を実行した場合に、前記第2補正後の前記第1の階調値が前記第2の閾値とほぼ等しくなるように設定され、
前記第2の特定値は、前記補正乱数値として前記第2の特定値を用いて、前記第1の階調値に対して前記第2補正を実行した場合に、前記第2補正後の前記第2の階調値が前記第3の閾値とほぼ等しくなるように設定されていることを特徴とする、印刷制御装置。 - 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載印刷材を用いて印刷媒体上にドットを形成する印刷実行部のための印刷制御装置であって、
前記乱数取得部は、前記注目画素の前記階調値が取り得る値の最小値である場合には、前記補正乱数値を取得しない、印刷制御装置。 - 印刷材を用いて印刷媒体上にドットを形成する印刷実行部を制御するコンピュータプログラムであって、
画像データを取得する画像データ取得機能と、
複数の階調値で構成された画像データを、前記ドットの形成状態を表す複数のドット値で構成されたドットデータに変換する誤差拡散処理を実行する誤差拡散機能であって、注目画素に対する前記誤差拡散処理は、前記注目画素の前記階調値と分配誤差とに応じて、前記注目画素の前記ドット値を決定し、前記分配誤差は、前記ドット値が決定済みである決定済画素に対する前記誤差拡散処理で生じた誤差の中から前記注目画素に分配される誤差であり、前記ドット値は、第1種のドットを形成することを表す第1の値と、前記第1種のドットよりドット径が大きい第2種のドットを形成することを表す第2の値と、を含む複数種類の値のいずれかに決定される、前記誤差拡散機能と、
前記ドットデータを含む印刷データを前記印刷実行部に供給する供給機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記誤差拡散機能は、
前記注目画素の前記階調値が第1の範囲内に含まれる第1の場合に、前記注目画素の前記階調値に応じて設定された第1種の乱数範囲から、補正乱数値を取得する乱数取得機能と、
前記注目画素の前記階調値に対して補正処理を実行して補正済階調値を生成する補正機能であって、前記補正処理は、前記分配誤差を用いた第1補正を含み、前記第1の場合には、前記補正乱数値を用いた第2補正を、さらに含む、前記補正機能と、
前記注目画素の前記補正済階調値が、第1の閾値より大きいことを含む第1の条件が満たされた場合に、前記注目画素の前記ドット値を前記第1の値に決定し、前記注目画素の前記補正済階調値が、第2の閾値より大きいことを含む第2の条件が満たされた場合に、前記注目画素の前記ドット値を前記第2の値に決定する決定機能であって、前記第2の閾値は、前記第1の閾値より大きい、前記決定機能と、
を備え、
前記第1種の乱数範囲は、前記第1の範囲内の前記階調値に対して前記第2補正を実行した場合に、前記第2補正後の前記階調値が前記第2の閾値より大きくなるように設定された乱数値を含み、
前記第1の範囲は、第1の階調値以上、かつ、前記第2の閾値未満の範囲であり、
前記第1の階調値は、前記第1の閾値より大きく、かつ、前記第2の閾値未満の値である、コンピュータプログラム。
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