JP2013226076A - セイボリーエキスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 芳しい香味や有用な生理活性機能など植物体のセイボリーに含まれる優れた特徴を維持しつつ、苦味や枯れ草様の雑味といった不快な味・臭いを選択的に除去して、広範な飲食品に容易に使用可能な、香味・呈味が改善されたセイボリーエキスを提供することである。
【解決手段】 セイボリーの植物体からセイボリーエキスを製造するに際し、
(1)セイボリー植物体を水蒸気蒸留して得られる、カルバクロールを一成分として含むセイボリーの揮発性香気成分を含有する凝縮液を回収する工程1;
(2)工程1で香気成分を回収した後のセイボリー植物体残渣を水性溶媒で抽出処理して、ロスマリン酸を一成分として含む抽出液を回収する工程2;
(3)工程1で回収された凝縮液と工程2で回収された抽出液を混合する工程3;
(4)工程3で混合されたエキスにエタノール水溶液を添加し、冷却後、固液分離を行うことで、エタノール可溶成分のみを得る工程4;
を含むことを特徴とするセイボリーエキスの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、セイボリーの香味特徴や生理活性機能を残したまま、食品への加工適性を向上させたセイボリーエキスの製造方法及び該製造方法により製造されたセイボリーエキスに関する。すなわち、本発明は、良好な風味と優れた機能を併せ持ち、各種飲食品用として最適なセイボリーエキスの製造方法に関する。
薬効を有するハーブとして長年使用されてきたシソ科植物のセイボリーは、優れた生理活性機能を有するうえ、一部の食材との料理適性に優れるなどの特徴も有するが、苦味、枯れ草様の雑味も多く含むため、様々な加工食品に汎用的に使われることはなかった。
薬草として見たセイボリーは、消化促進、精神衰弱、喘息、気管支炎、口内炎、歯痛など様々な生理的効果があるといわれている。セイボリーに多く含まれるポリフェノールの一種のロスマリン酸や精油成分のカルバクロールはともに優れた抗酸化作用を有している。
特に、ロスマリン酸は、抗酸化作用以外に、抗炎症作用、発がん抑制作用、アレルギー緩和作用などが報告されている(非特許文献1)。さらに、最近、セイボリーに冷え症改善効果のあることも報告されている(非特許文献2)。
そこで、セイボリーの有用な生理活性機能を生かして、様々な飲食品にセイボリーを添加して飲食品の機能性を高め、優れた薬効成分を摂取することが提案されている。
しかし、セイボリーには独特な強い芳香と刺激的な辛味があるうえ、後味として若干の樹脂臭と、ほろ苦み、枯れ草臭などのオフフレーバーがある。そのため、どのような食品にも使えるものではなく、ハーブティーや肉料理や卵料理の臭い消し、豆料理の香味付けに使われるにすぎず、適用が制限されていた。
一方、食品フレーバー分野において、原料が持つ良好な香りや風味を高力価で抽出し、高品質なエキス又はフレーバーを得る種々の方法が開発されている(例えば、特許文献1)。しかし、こうした従来の方法は、香味成分の選択性がないため、素材に含まれる雑味及び好ましくない成分までも(たとえば、液色や沈殿など)抽出してしまうという問題点を残している。
また、ショウガが本来持つ刺激性を緩和する目的で、ジンジャーオレオレジン中の粘性成分や着色成分を選択的に除去するなどして、刺激性物質などの不要成分のみを除外し刺激性を改善する試みもなされている(例えば、特許文献2)。
しかし、植物素材に含まれる雑味や好ましくない成分やその含有量は、植物素材ごとに異なっており、好ましくない成分を選択的に除去するためには、植物素材ごとに異なる改善方法を取らなければならなかった。
従って、従来の方法をセイボリーに適用しても、セイボリーの好ましい香味特徴や生理活性機能を残しつつ不要成分のみ除外することは困難であった。
特開平11−189539号公報 特開2007−55929号公報
「スパイス・ハーブの機能と最新応用技術」、株式会社シーエムシー出版、2011年1月26日発行、第61〜65頁 Hideki Masuda et al., "Effects of Winter Savory (Satureja Montana L.) on Peripheral Body Temperature of People Who Experience a Feeling of Cold (Hie-sho)", Food Sci. Technol.Res., 17(5), 429-436, 2011
本発明の目的は、芳しい香味や有用な生理活性機能など植物体のセイボリーに含まれる優れた特徴を維持しつつ、苦味や枯れ草様の雑味といった不快な味・臭いを選択的に除去して、広範な飲食品に容易に使用可能な、香味・呈味が改善されたセイボリーエキスを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。
セイボリーの香味を特徴づける主要な芳香成分であるカルバクロールと、セイボリーの機能性を特徴づける主要な抗酸化成分であるロスマリン酸の濃度を指標に、それぞれの濃度を最適化することで、香味が改善されたセイボリーエキスを製造できることがわかった。
芳香主要成分である揮発性の高いカルバクロールを含む画分は、セイボリーを水蒸気蒸留することで得られる。一方、抗酸化主要成分であり非揮発性のロスマリン酸を含む画分は、水蒸気蒸留した後のセイボリー残渣をさらに熱水抽出することで得られる。
そこで、セイボリーの香味を分析したところ、セイボリーの後味として感じる若干の樹脂臭、ほろ苦み、枯れ草臭は、ロスマリン酸を含む画分に存在することがわかり、さらに、詳細に検討したところ、上記の樹脂臭、ほろ苦み、枯れ草臭の原因物質(以下「夾雑物」ということがある)は、上記画分の中でも、特に75%エタノール水溶液に不溶である画分に多く含まれることがわかった(後述の「試験例1」参照)。
以上の詳細な検討から、セイボリーのオフフレーバーである夾雑物を多く含む画分を特定することができた。
上記の知見に基づき、セイボリーに含まれる不快な味と臭い成分を選択的に除去可能となり、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)セイボリー植物体を水蒸気蒸留して得られる、カルバクロールを一成分として含むセイボリー揮発性香気成分を含有する凝縮液を回収する工程1;
(2)工程1で香気成分を回収した後のセイボリー植物体残渣を水性溶媒で抽出処理して、ロスマリン酸を一成分として含む抽出液を回収する工程2;
(3)a)工程1の凝縮液にエタノール水溶液を添加し、冷却後、固液分離を行うことで、エタノール可溶成分aを得る段階aと、
b)工程2の抽出液にエタノール水溶液を添加し、冷却後、固液分離を行うことで、エタノール可溶成分bを得る段階bを含む工程3;
(4)工程3で得られたエタノール可溶成分aとエタノール可溶成分bを混合する工程4;
を含むことを特徴とするセイボリーエキスの製造方法である(製法1)。
また、本発明は、上記工程3と工程4を、以下の工程3と工程4で置き換えたセイボリーエキスの製造方法である(製法2)。
(3)工程1で回収された凝縮液と工程2で回収された抽出液を混合する工程3;
(4)工程3で混合されたエキスにエタノール水溶液を添加し、冷却後、固液分離を行うことで、エタノール可溶成分のみを得る工程4
さらに、セイボリーの夾雑物がロスマリン酸を含む画分にあることから、この夾雑物を除去するタイミングを、種々調整しても同じ効果を達成することができる。
すなわち、本発明は、上記工程3と工程4を、以下の工程3と工程4で置き換えたセイボリーエキスの製造方法である(製法3)。
(3)工程2の抽出液にエタノール水溶液を添加し、冷却後、固液分離を行うことで、エタノール可溶成分を得る工程3;
(4)工程1で得られた凝縮液と工程3で得られたエタノール可溶成分を混合する工程4
また、本発明は、上記工程3と工程4を、以下の工程3と工程4で置き換えたセイボリーエキスの製造方法である(製法4)。
(3)工程1の凝縮液または工程2の抽出液のいずれかにエタノール水溶液を添加する工程3;
(4)工程3のエタノール水溶液と、エタノール水溶液を添加しなかった工程1の凝集液又は工程2の抽出液を混合し、それを冷却し、固液分離を行うことで、エタノール可溶成分を含む工程4
さらに、本発明は、上記の製造方法により得られたセイボリーエキスであって、それに含まれるカルバクロールとロスマリン酸の割合が質量比で100:1〜0.4:1に調整されていることを特徴とするセイボリーエキスである。
また本発明は、上記セイボリーエキスが添加された飲食品であり、さらにロスマリン酸の濃度が0.0046%以下に調整されていることを特徴とする飲食品である。
本発明の製造方法は、水蒸気蒸留により得られた凝縮液から、エタノール不溶性の画分を分別し、セイボリーの芳香主要成分であるカルバクロールを多く含む画分を回収している。従って、製造されるセイボリーエキスは芳香に富んだ香味を有する。
また、本発明の製造方法は、水蒸気蒸留後の残渣を水性溶媒で抽出して主要な生理活性物質であるロスマリン酸を多く含む画分を回収している。従って、製造されるセイボリーエキスは生理活性機能が高く有用である。
そして、本発明の製造方法は、オフフレーバーの夾雑物を含むエタノール不溶性の画分を分離して苦味や枯れ草様の雑味を取り除いているので、香味・呈味が改善され広範な飲食品に使用可能である。
従って、オフフレーバーが少なく、カルバクロールとロスマリン酸の含有量を最大化したセイボリーエキスを製造することが可能となった。さらに、望むべき嗜好に合わせてカルバクロールを含む画分とロスマリン酸を含む画分とをブレンドすることでき、微妙な香味のバリエーションを調製することもできるという利点も有する。
以下に、本発明を実施の形態に即して詳細に説明する。
〔1〕原材料
本発明のセイボリーエキスの原材料であるセイボリー(Savory)は、地中海地方を原産地とするシソ科に属する植物で、高さ10〜50cmになる一年生草本のサマーセイボリー(Saturqa hortensis L.)と宿根草のウインターセイボリー (S.montana L.) がある。
サマーセイボリーは、葉が群生して繁茂するのでキダチハッカとも呼ばれ、生産量も多く、セイボリーといえば通常サマーセイボリーを指す。サマーセイボリーの生産地は、フランス、スぺイン、モロッコなどを中心にカナダ、ドイツ、イギリスなどでも産する。米国でもカリフォルニア州を中心に栽培されている。
一方、ウインターセイボリーはユーゴスラビア、スぺインなどを中心にドイツ、ハンガリー、旧ソ連、イタリアなどで産する。
サマーセイボリー及びウインターセイボリーの精油の特有成分はともにカルバクロール(carvacro1)であり、その他にチモール(thymol)、p−サイメン(p−cymene)、γ−テルピネン(γ−terpinene)などで、香気に大差はないが一般的に香気評価はサマーセイボリーの方が高いと言われている。
セイボリーフレーバーは、ソース、調味料、缶詰製品、ピクルス、食酢、食肉加工などの調合香料のフレーバー素材として使用されるほかシーズニングの風味付け変調剤として使用されている。これらに添加する場合、その他に使用されている調合香料或いは添加剤、原料などに対して嗜好性を阻害しないような使い方をすることが肝要であるとされている。
本発明においては、サマーセイボリー及びウインターセイボリーのいずれも原材料として使用できる。サマーセイボリーは7〜8月頃の蕾のついた時期の葉の多い穂先の乾燥物が好適であり、一方、ウインターセイボリーは開花期の全草が好適である。
〔2〕セイボリーエキスの製造方法
(1)工程1
工程1は、セイボリー植物体の乾燥物を水蒸気蒸留して、カルバクロールを一成分とするセイボリーの揮発性香気成分を含有する凝縮液を回収する工程である。
水蒸気蒸留法は、原料に水蒸気を通気し、水蒸気に伴われて留出してくる香気成分を水蒸気とともに凝縮させる方法であり、原料の嗜好飲料用原料の種類等に応じて、加圧水蒸気蒸留、常圧水蒸気蒸留、減圧水蒸気蒸留のいずれかの蒸留手段を採用することができる。
具体的には、例えば、原料のセイボリーの乾燥物を仕込んだ水蒸気蒸留釜の底部から水蒸気を吹き込み、上部の留出側に接続した冷却器で留出蒸気を冷却することにより、凝縮物として揮発性香気成分を含有する留出液を捕集することができる。
必要に応じて、この香気捕集装置の先に冷媒を用いたコールドトラップを接続することにより、より低沸点の揮発性香気成分をも確実に捕集することができる。本発明において、常圧又は減圧状態で、60〜100℃の蒸気を蒸留装置に導入することが好ましい。
なお、水蒸気蒸留によってセイボリーに含まれるオイル(精油成分)も留出するので、回収される凝縮液は油層部と水層部に分離する。カルバクロールは水に微溶であり大部分が油層中に存在するので、この段階で油層部のみ分離して次工程に付す方が効率的であるが、本発明では水層部が混ざっていても支障は生じない。
また、水蒸気蒸留の際に、窒素ガスなどの不活性ガス及び/又はビタミンCなどの抗酸化剤の存在下で蒸留することにより香気成分の加熱による劣化を効果的に防止することができるので好適である。水蒸気蒸留では、各成分は沸点よりかなり低温度で留出でき、低沸点成分の蒸発を促進し、高温における変質を防ぐというメリットがある。従って、セイボリー中の香気を低沸点成分はもちろんのこと、高沸点の香気成分までも、温度による変質の影響を受けず、効率よく採取することができる。
セイボリーに含まれる主要な芳香成分であるカルバクロールの分子量は150.21、沸点は236〜237℃であり、水蒸気蒸留によってセイボリーに含まれるカルバクロールを効率的に取り出すことができる。
本発明においては、通常の水蒸気蒸留機を用い、常圧で100℃の水蒸気を好ましくは蒸気の空間速度(SV)130〜610h-1、特に好ましくは190〜410h-1で蒸留機に導入して蒸留を行い、次いで、凝縮器で5〜20℃に冷却して凝縮液を得ることが好適である。
なお、通常の水蒸気蒸留機に代えて、水蒸気蒸留装置の改良型である気液向流接触装置、特にスピニングコーンカラム(SCC)抽出装置(回転円錐型向流接触装置)を使用することもできる。
気液向流接触抽出法はそれ自体既知の各種の方法で実施することができ、例えば、特公平7−22646号公報に記載の装置を用いて抽出する方法を採用することができる。
この装置を用いて香気を回収する手段を具体的に説明すると、回転円錐と固定円錐が交互に組み合わせられた構造を有する気液向流接触抽出装置の回転円錐上に、液状またはペースト状の原料を上部から流下させると共に、下部から蒸気を上昇させ、該原料に本来的に存在している香気成分を回収する方法を例示することができる。この気液向流接触抽出装置の操作条件としては、該装置の処理能力、原料の種類および濃度、香気の強度その他によって任意に選択することができる。
(2)工程2
工程2は、工程1で香気成分を回収した後のセイボリーの植物体残渣を水性溶媒、好ましくは水で抽出処理して、ロスマリン酸を一成分として含む抽出液を得る工程である。
用いる水性溶媒の量は特に限定されるものではないが、通常はセイボリーの乾燥体1質量部に対して好ましくは0.3〜3質量部、特に好ましくは0.5〜2質量部で用いられる。溶媒量が植物の乾燥体1質量部に対して0.3質量部未満の場合は、溶媒の種類によっては抽出が十分でない場合があり、一方、溶媒量が3質量部を超える場合は経済的に有利でない場合がある。
抽出方法としては、セイボリー植物体残渣をそのまま又はその粉砕物を水に浸漬する方法、加温下(常温〜100℃の範囲)で攪拌する方法等によって得ることができる。好ましくは50〜95℃の温度で、特に好ましく80〜95℃の熱水で抽出操作を行い、例えば、セイボリーの植物体残渣に95℃の熱水を30〜60分間かけて散布し抽出液を得る方法が挙げられる。
セイボリーに含まれる主要な生理活性成分(薬効成分)であるロスマリン酸(rosmarinic acid)の分子量は360.31、融点は171〜175℃である。従って、水蒸気蒸留によってはカルバクロール等の香気成分とともに留出せず、本工程の熱水抽出操作によって取り出すことができる。
得られた抽出液は、そのまま次の工程に用いることができるが、その前に珪藻土等を用いて抽出液を清澄化しておくことが好ましい。
(3)工程3
工程3は段階aと段階bを含み、段階aは工程1で得られた凝縮液にエタノール水溶液を添加してエタノール不溶成分を析出させ、冷却して固液分離を行うことで、エタノール可溶成分aを回収する段階である。
一方、段階bは工程2で得られた抽出液にエタノール水溶液を添加してエタノール不溶成分を析出させ、冷却して固液分離を行うことで、エタノール可溶成分bを回収する段階である。なお、段階aと段階bの実施順序は問わず、いずれか一方を先に行い他方を後から行っても良いし、また同時に行っても良い。
段階aと段階bに用いるエタノール水溶液は、エタノール濃度が好ましくは50〜90%(w/w)、特に好ましくは70〜80%(w/w)のものである。
なお、添加するエタノール水溶液の濃度は、段階aと段階bで同一であっても相違しても良い。
セイボリーの後味として感じる若干の樹脂臭、ほろ苦み、枯れ草臭の原因物質である夾雑物の多くは高分子量の多糖類と推測され水に溶解するが、エタノールには溶解しない。そこで高純度のエタノール水溶液を添加することによって、既に溶けていた夾雑物は次第に析出して沈殿する。
こうした夾雑物の析出・沈殿は、より低温下で起こりやすいので、好ましくは−15〜0℃、特に好ましくは−10〜−5℃に冷却して、固液分離手段、例えば濾過や遠心分離を行ってエタノール可溶成分のみを効率的且つ高純度で分離することができる。
段階aで得られたエタノール可溶成分aにはカルバクロールを始めとするセイボリーのアロマ(芳香成分)が豊富に含まれているが、夾雑物は除去されている。一方、段階bで得られたエタノール可溶成分bにはロスマリン酸が豊富に含まれるが、同様に夾雑物が除去されている。
(4)工程4
工程4は、工程3で得られたエタノール可溶成分aとエタノール可溶成分bを混合して目的物のセイボリーエキスを得る工程である。両成分ともエタノール水溶液の状態であるので、通常の撹拌操作で容易に均一状態に混合することが可能である。
所望の嗜好に合わせてカルバクロールを含む画分(エタノール可溶成分a)とロスマリン酸を含む画分(エタノール可溶成分b)を任意の割合でブレンドすることができる。
しかしながら、ロスマリン酸の量が多い場合は、苦渋味やフェニル様、ビニル様の不快な臭みが強くなるので、香味的な許容性を考慮すれば、セイボリーエキス中で、カルバクロールとロスマリン酸の割合が質量比で、好ましくは100:1〜0.4:1、特に好ましくは50:1〜2:1に調整されるように混合することが望ましい。
(5)製法2によるセイボリーエキスの製造方法
別の態様の製造方法として、上記工程1と2に続く工程3で、工程1で回収された凝縮液と工程2で回収された抽出液を混合し、次いで工程4で、工程3で混合されたエキスにエタノール水溶液を添加し、冷却後、固液分離を行うことで、エタノール可溶成分のみを回収する製法2がある。
すなわち、製法2は、以下の通りである。
「セイボリーの植物体からセイボリーエキスを製造するに際し、
(1)セイボリー植物体を水蒸気蒸留して得られる、カルバクロールを一成分として含むセイボリーの揮発性香気成分を含有する凝縮液を回収する工程1;
(2)工程1で香気成分を回収した後のセイボリー植物体残渣を水性溶媒で抽出処理して、ロスマリン酸を一成分として含む抽出液を回収する工程2;
(3)工程1で回収された凝縮液と工程2で回収された抽出液を混合する工程3;
(4)工程3で混合されたエキスにエタノール水溶液を添加し、冷却後、固液分離を行うことで、エタノール可溶成分のみを得る工程4;
を含むことを特徴とするセイボリーエキスの製造方法。」
製法2による製造方法は、前述の方法に比べて、製造工程を簡略化でき、製造コスト(特にエタノール使用量)を低減化できるので工業的に有利である。
工程1で回収された凝縮液と工程2で回収された抽出液はいずれも水を溶媒とするものであるので、製法2の工程3では、通常の撹拌操作で容易に均一状態に混合することが可能である。
製法2の工程4におけるエタノール水溶液の添加量や濃度、冷却温度、固液分離手段は前述の方法と同様である。
〔3〕セイボリーエキスの適用対象
上記の製造方法によって得られるセイボリーエキスは、オフフレーバーの苦味や枯れ草様の雑味を除去され、香味や呈味が改善されているので、種々の飲食品に幅広く使用することができる。
例えば、キャンディー、チョコレート、チューインガム、ゼリー、ベーカリー、スナック菓子等の菓子類;炭酸飲料、果実飲料、乳性飲料、野菜ジュース、スポーツ飲料、嗜好飲料、保健・栄養ドリンク、アルコール性飲料等の飲料;アイスクリーム、アイスキャンディー、シャーベット等の冷菓;プリン、ヨーグルト、ゼリー、ババロア、ムース等のデザート;マーガリン、コーヒーホワイトナー、チーズフード、ドレッシングオイル等の酪農・油脂製品;粉末スープ、レトルトパウチスープ、缶詰スープ等のスープ;ソース、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料;ハム、ソーセージ、ハンバーグ、食肉缶詰等の食肉加工品;魚肉ハム、魚肉ソーセージ、水産練り製品、水産缶詰等の水産加工品;麺、植物蛋白加工品、ジャム・ペースト、デザートソース、漬物、農産缶詰、果汁・果肉加工品、穀物加工品等の農産加工品;惣菜、レトルト食品、冷凍食品等の調理食品;などを挙げることができる。
セイボリーエキスの飲食品への添加量は、飲食品自体が有する香味の種類や強弱並びにセイボリーエキス添加の目的に応じて適宜設定することができる。しかしながら、ロスマリン酸の量が多い場合は、苦渋味やフェニル様、ビニル様の不快な臭みが強くなる。従って、香味的な許容性を考慮すれば、飲食品中でロスマリン酸濃度が好ましくは0.0046%以下、特に好ましくは0.00005〜0.001%に調整されるようにセイボリーエキスを飲食品に添加することが望ましい。
なお、セイボリーエキスの飲食品への添加時期は、飲食品の製造工程の各段階において適宜添加可能であり、特に限定されるものではない。
次に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
本実施例において、カルバクロール及びロスマリン酸の定量分析、並びに乾燥固形量の測定は以下の方法で行った。
〔カルバクロールの分析〕
カルバクロール濃度の測定は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)により行った。
測定条件は、下記のとおりである。
測定機器:HP5890シリーズII(ヒューレットパッカード社製)
測定部:HP−5972(ヒューレットパッカード社製)
キャリアーガス:He(1.0ml/min)
インジェクション:250℃、split ratio 1:50
カラムオーブン温度:60℃―210℃ (40min) 昇温3℃/min.
カラム:DB−1(60m×0.25mm i.d. film thickness of 0.25μm)(J&W Scientific社製)
サンプル量:1μL
〔ロスマリン酸の分析〕
ロスマリン酸の分析は、各試料を0.45μmのメンブランフィルター(DISMIC−13HP、東洋濾紙社製)でろ過したのち、HPLCにより行った。
測定条件は、下記のとおりである。
測定機器:アジレント1100シリーズHPLCシステム(アジレント社製)
測定部:ダイオードアレイ
測定波長:280nm
カラム:Capcell Pak C18 MG カラム(250mm×4.6mm i.d. μm)(資生堂社製)
カラムオーブン温度:40℃
移動相:100% solvent A(10%アセトニトリル、pH2.5)から100% solvent B(アセトニトリル)のリニアグラジエント
流速:1ml/min
サンプル量:20μL
〔乾燥固形量〕
乾燥固形量の測定は、サンプル約4gを海砂約20gに混ぜ、105℃オーブンで2時間加熱し、デシケーターで30分程度放冷後、重量を測定することで、乾燥固形量を求めた。
〔実施例1〕(本発明の製造方法(製法1)によるセイボリーエキスの製造)
(1)水蒸気蒸留
ウインターセイボリーの乾燥葉を水蒸気蒸留機に2.0kg仕込んだ。常圧にて、原料の下部から蒸気(100℃)を空間速度(SV)200h-1で導入し、原料を通過した抽出水蒸気をコンデンサー(5℃)で冷却し、凝集液を回収し、オイル部のみを分離し、さらに95%濃度のエタノール水溶液を加え冷却濾過(−5℃)を行うことで、セイボリーアロマ16gを得た。
(2)熱水抽出
上記工程(1)における水蒸気蒸留後のウインターセイボリー植物体残渣に、95℃の熱水2000gを散布し、1000gの抽出液を得た。得られた抽出液を5℃に冷却した後、珪藻土で濾過し、清澄な抽出液を900gを得た。
この抽出液に95%濃度のエタノール水溶液を加え、冷却濾過(−5℃)を行うことで、セイボリードリップ1200gを得た。
(3)混合
上記セイボリーアロマ2.8gに対し、セイボリードリップをそれぞれ0.28g、0.56g、5.6g、28.0g添加して混合し、4種類のセイボリーエキスを製造した(後述の「試験例2」の試料2〜5)。
〔比較例1〕(従来の製造方法によるセイボリーエキスの製造)
ウインターセイボリーの乾燥葉10gに、熱水(85℃)1000gを加え、常時撹拌を行いながら、10分間抽出を行った。抽出後、濾紙(No.5277)で固液分離を行い、冷却し、セイボリー熱水抽出物(800g)を得た。
〔試験例1〕(高濃度エタノール添加と冷却濾過による夾雑物除去効果の確認)
実施例1の工程(2)における水蒸気蒸留残渣からの熱水抽出液を正確に5倍に濃縮したのち、さらに、4倍量の95%濃度のエタノール水溶液を添加し(この時点で最初の抽出液と同じ濃度になっている)、一定時間放置後、冷却濾過を行い、セイボリードリップを得た。
上記抽出液とセイボリードリップを、それぞれイオン交換水に0.5%になるように添加し、香味評価を行った。(表1)
また、香味評価のほかに、HPLC分析によるロスマリン酸の分析、乾燥固形濃度、目視による色調の変化を比較した。
〔官能評価の採点方法〕
香り、呈味、苦味、清涼感、枯草様、スパイシー感について、絶対評価にて7段階で評
価した。
1点:非常に弱い
2点:弱い
3点:やや弱い
4点:普通
5点:やや強い
6点:強い
7点:非常に強い
Figure 2013226076
エタノール添加後に冷却濾過(−5℃)することで、セイボリードリップは抽出液に比べ、乾燥固形濃度が44%減少した。とくに、セイボリーでネガティブな印象を与える枯れ草様の香味、苦味が著しく減少しており、すっきりした香味が得られた。あわせて、色調が褐色から無色透明になった。
一方、セイボリーの香味的特徴の一つである清涼感や、抗酸化力のあるロスマリン酸は、この操作で影響を受けないことから、エタノール添加による不溶物の除去は、セイボリーの香味改善に有効であることが分かった。
〔試験例2〕(セイボリーエキスの官能評価)
カルバクロールの濃度が0.0021%、ロスマリン酸の濃度をそれぞれ指定の濃度になるように、実施例1で得られたセイボリーアロマとセイボリードリップを配合したセイボリーエキス試料を調製した。なお、表2の試料6は比較例1の熱水抽出物である。
Figure 2013226076
〔評価方法〕
調製した試料1〜6について、熟練したパネル5名により、官能評価を行った。
〔採点方法〕
香り、呈味、苦味、清涼感、枯草様、スパイシー感を指標とし、絶対評価にて7段階で評価した。
1点:非常に弱い
2点:弱い
3点:やや弱い
4点:普通
5点:やや強い
6点:強い
7点:非常に強い
総合評価は、香料として飲食品に添加した場合に、飲食品本来の特徴(色調、香り、呈味など)を損なわず、香料適性がある場合には○を、その食品の特徴を著しく損ない、香料適性がない場合には、×を記載した。結果を表3に示す。
官能検査の結果から、香味的な許容性を考慮すれば、セイボリーエキス中でのカルバクロールとロスマリン酸の割合が質量比で100:1〜0.4:1であること、並びにロスマリン酸濃度が0.0046%以下であることが望ましい。
Figure 2013226076
〔実施例2〕(本発明の製造方法(製法2)によるセイボリーエキスの製造)
実施例1の水蒸気蒸留の凝縮液と、水蒸気蒸溜後の植物体残渣の熱水抽出液とを混合した後、これに95%濃度のエタノール水溶液を添加し、エタノール終濃度を75%にした。
それを−5℃まで冷却した後、3時間放置した後、濾過を行い、得られた清澄な濾液をセイボリーエキスAとした。すなわち、セイボリーエキスAは、実施例1における水蒸気蒸留の凝集液と水蒸気蒸溜残渣の熱水抽出液を先に混合した後、その混合物からエタノール不溶画分を分離・除去して得られるセイボリーエキスである。
得られたセイボリーエキスAと、実施例1で得られたセイボリーエキス(つまりエタノール不溶画分を除去したセイボリーアロマ及びセイボリードリップを混合して製造したセイボリーエキス)の香味変化を検討した。
セイボリーエキスA中のカルバクロール及びロスマリン酸の含有量を測定したところ、下記の結果になった。
Figure 2013226076
上記のセイボリーエキスAのカルバクロール濃度を0.0021%になるように水で希釈したところ、ロスマリン酸濃度は0.000097%と前記「試験例2」の試料3と同じ濃度になった。
また、試験例2と同じ方法で官能評価を行っても、試料3との香味的な差はなかった。
従って、水蒸気蒸留凝縮液および蒸留残渣の熱水抽出液からエタノール不要画分を除去する工程は、それぞれを混合する前後でおこなっても、香味、カルバクロール濃度、ロスマリン酸濃度が変わらないことがわかった。
〔試験例3〕
次に、カルバクロール濃度が等しくなるように、セイボリーエキスAとセイボリー熱水抽出物(比較例1)をそれぞれ配合した飲料サンプル1、同2を調製し、セイボリーエキスAとセイボリー熱水抽出物の酸性(pH3)溶液中での保存安定性を比較した。下記表5のように配合し、70℃で10分間の殺菌を行った。
Figure 2013226076
上記試験例3で製造した飲料サンプル1と2を、冷蔵(6℃)、常温(20℃)、加温(50℃)状態で2週間保管し、外観の変化を確認した。
結果を表6に示す。実施例2で得られたセイボリーエキスAは、比較例1で得られた熱水抽出物に比べて酸性水溶液中での液色の変化、沈殿の発生がなく、飲料適性のあることが分かった。
Figure 2013226076
〔試験例4〕
次に、カルバクロール濃度が等しくなるように、セイボリーエキスAとセイボリー熱水抽出物(比較例1)をそれぞれ配合した飲料サンプル3と4を調製し、セイボリーエキスAとセイボリー熱水抽出物の弱酸性(pH6)溶液中での保存安定性を比較した。下記表7のように配合し、121℃で10分間の殺菌を行った。
Figure 2013226076
上記試験例4で製造した飲料サンプル3と4を、冷蔵(6℃)、常温(20℃)、加温(50℃)状態で2週間保管し、外観の変化を確認した。
結果を表8に示す。実施例2で得られたセイボリーエキスAは、比較例1で得られたセイボリー熱水抽出物に比べて弱酸性水溶液中での液色の変化、沈殿の発生がなく、飲料適性のあることが分かった。
Figure 2013226076
次に、カルバクロール濃度が等しくなるように、実施例2のセイボリーエキスAと比較例1のセイボリー熱水抽出物をそれぞれ配合した種々の飲食品を試作して、飲食品の官能評価を行った。評価の際の採点方法は、いずれも以下の通りである。
〔採点方法〕
熟練したパネル4名により、以下の通り官能評価を行った。
香り、苦味、枯れ草様、スパイシー感を指標とし、絶対評価にて以下の7段階で評価し、4名の平均点を出した。
1点:非常に弱い
2点:弱い
3点:やや弱い
4点:普通
5点:やや強い
6点:強い
7点:非常に強い
〔実施例3、比較例2〕(コーラ風炭酸飲料)
下記表9のように配合し、2.8kg/cm2(20℃)になるように、炭酸ガス圧を調整し、70℃で10分間の殺菌を行って、コーラ風炭酸飲料を製造した。
Figure 2013226076
実施例3と比較例2で製造したコーラ風炭酸飲料について、官能評価を行った。結果を表10に示す。
Figure 2013226076
〔実施例4、比較例3〕(サイダー風炭酸飲料)
表11のように配合し、2.8kg/cm2(20℃)になるように、炭酸ガス圧を調整し、70℃で10分間の殺菌を行って、サイダー風炭酸飲料を製造した。
Figure 2013226076
実施例4と比較例3で製造したサイダー風炭酸飲料について、官能評価を行った。結果を表12に示す。
Figure 2013226076
〔実施例5、比較例4〕(レモン風味果汁飲料)
表13のように配合し、70℃で10分間の殺菌を行って、レモン風味果汁飲料を製造した。
Figure 2013226076
実施例5と比較例4で製造したレモン風味果汁飲料について、官能評価を行った。結果を表14に示す。
Figure 2013226076
〔実施例6、比較例5〕(乳性飲料)
表15のように配合し、70℃で10分間の殺菌を行って、乳性飲料を製造した。
Figure 2013226076
実施例6と比較例5で製造した乳性飲料について、官能評価を行った。結果を表16に示す。
Figure 2013226076
〔実施例7、比較例6〕(スポーツドリンク風清涼飲料)
表17のように配合し、70℃で10分間の殺菌を行って、スポーツドリンク風清涼飲料を製造した。
Figure 2013226076
実施例7と比較例6で製造したスポーツドリンク風清涼飲料について、官能評価を行った。結果を表18に示す。
Figure 2013226076
〔実施例8、比較例7〕(ミルクティー)
表19のように配合し、123℃で20分間の殺菌を行って、ミルクティーを製造した。
Figure 2013226076
実施例8と比較例7で製造したミルクティーについて、官能評価を行った。結果を表20に示す。
Figure 2013226076
(ぶどう風味ゼリードリンク)
〔実施例9、比較例8〕
表21のように配合し、85℃で20分間の殺菌を行ってぶどう風味ゼリードリンクを製造した。
Figure 2013226076
実施例9と比較例8で製造したぶどう風味ゼリードリンクについて官能評価を行った。結果を表22に示す。
Figure 2013226076
〔実施例10、比較例9〕(レモン風味酎ハイ)
表23のように配合し、1.9kg/cm2(20℃)になるように、炭酸ガス圧を調整し、60℃で10分間の殺菌を行ってレモン風味酎ハイを製造した。
Figure 2013226076
実施例10と比較例9で製造したレモン風味酎ハイについて官能評価を行った。結果を表24に示す。
Figure 2013226076
〔実施例11、比較例10〕(コンソメスープ)
表25のように配合し、123℃で20分間の殺菌を行ってコンソメスープを製造した。
Figure 2013226076
実施例11と比較例10で製造したコンソメスープについて官能評価を行った。結果を表26に示す。
Figure 2013226076
〔実施例12、比較例11〕(栄養ドリンク)
表27のように配合し、123℃で20分間の殺菌を行って栄養ドリンクを製造した。
Figure 2013226076
実施例12と比較例11で製造した栄養ドリンクについて官能評価を行った。結果を表28に示す。
Figure 2013226076
〔実施例13、比較例12〕(キャンディー)
最初に、グラニュー糖、水飴、水および熱水抽出物を表29の配合で混合し、155℃まで煮詰めた。いったん、130℃まで冷却したのち、ベニバナ色素を混合し、更に120℃以下まで冷却してクエン酸、セイボリーエキスA、セイボリー熱水抽出物を添加し成型してキャンディーを製造した。
Figure 2013226076
実施例13と比較例12で製造したキャンディーについて官能評価を行った。結果を表30に示す。
Figure 2013226076
〔実施例14〕(チューイングガム)
ガムベース50gにハーブ香料0.5gとセイボリーエキスAを0.005gとなるように添加した後ニーダーを使用して練り、成型後、チューイングガムを完成させた。
こうして得られたチューイングガムの風味は、習熟したパネル4人による評価の結果、異味異臭を感じさせることのない良好なものであった。
〔実施例15〕(錠菓)
乳糖53gと還元麦芽糖水飴40gを混合し、水10gを結合剤として加え流動層造粒し、成形した顆粒にショ糖脂肪酸エステル2.7g、香料0.1g、セイボリーエキスAを0.001g加えて混合し、打錠して錠菓を得た。
こうして得られた錠菓の風味は、習熟したパネル4人による評価の結果、異味異臭を感じさせることのない良好なものであった。

Claims (7)

  1. セイボリーの植物体からセイボリーエキスを製造するに際し、
    (1)セイボリー植物体を水蒸気蒸留して得られる、カルバクロールを一成分として含むセイボリー揮発性香気成分を含有する凝縮液を回収する工程1;
    (2)工程1で香気成分を回収した後のセイボリー植物体残渣を水性溶媒で抽出処理して、ロスマリン酸を一成分として含む抽出液を回収する工程2;
    (3)a)工程1の凝縮液にエタノール水溶液を添加し、冷却後、固液分離を行うことで、エタノール可溶成分aを得る段階aと、
    b)工程2の抽出液にエタノール水溶液を添加し、冷却後、固液分離を行うことで、エタノール可溶成分bを得る段階bを含む工程3;
    (4)工程3で得られたエタノール可溶成分aとエタノール可溶成分bを混合する工程4;
    を含むことを特徴とするセイボリーエキスの製造方法。
  2. セイボリーの植物体からセイボリーエキスを製造するに際し、
    (1)セイボリー植物体を水蒸気蒸留して得られる、カルバクロールを一成分として含むセイボリーの揮発性香気成分を含有する凝縮液を回収する工程1;
    (2)工程1で香気成分を回収した後のセイボリー植物体残渣を水性溶媒で抽出処理して、ロスマリン酸を一成分として含む抽出液を回収する工程2;
    (3)工程1で回収された凝縮液と工程2で回収された抽出液を混合する工程3;
    (4)工程3で混合されたエキスにエタノール水溶液を添加し、冷却後、固液分離を行うことで、エタノール可溶成分のみを得る工程4;
    を含むことを特徴とするセイボリーエキスの製造方法。
  3. セイボリーの植物体からセイボリーエキスを製造するに際し、
    (1)セイボリー植物体を水蒸気蒸留して得られる、カルバクロールを一成分として含むセイボリー揮発性香気成分を含有する凝縮液を回収する工程1;
    (2)工程1で香気成分を回収した後のセイボリー植物体残渣を水性溶媒で抽出処理して、ロスマリン酸を一成分として含む抽出液を回収する工程2;
    (3)工程2の抽出液にエタノール水溶液を添加し、冷却後、固液分離を行うことで、エタノール可溶成分を得る工程3;
    (4)工程1で得られた凝縮液と工程3で得られたエタノール可溶成分を混合する工程4;
    を含むことを特徴とするセイボリーエキスの製造方法。
  4. セイボリーの植物体からセイボリーエキスを製造するに際し、
    (1)セイボリー植物体を水蒸気蒸留して得られる、カルバクロールを一成分として含むセイボリー揮発性香気成分を含有する凝縮液を回収する工程1;
    (2)工程1で香気成分を回収した後のセイボリー植物体残渣を水性溶媒で抽出処理して、ロスマリン酸を一成分として含む抽出液を回収する工程2;
    (3)工程1の凝縮液または工程2の抽出液のいずれかにエタノール水溶液を添加する工程3;
    (4)工程3のエタノール水溶液と、エタノール水溶液を添加しなかった工程1の凝集液又は工程2の抽出液を混合し、それを冷却し、固液分離を行うことで、エタノール可溶成分を含む工程4;
    を含むことを特徴とするセイボリーエキスの製造方法。
  5. 請求項1から4に記載された製造方法により得られたセイボリーエキスであって、それに含まれるカルバクロールとロスマリン酸の割合が質量比で100:1〜0.4:1に調整されていることを特徴とするセイボリーエキス。
  6. 請求項5のセイボリーエキスが添加された飲食品。
  7. ロスマリン酸濃度が0.0046%以下に調整されていることを特徴とする請求項6の飲食品。
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