JP2013166921A - 繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カルボジイミド変性ポリオレフィン(a)、ポリプロピレン系樹脂(b)及び強化繊維(c)を含有してなる繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物であって、繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含量が、マトリックス樹脂成分100gに対し、0.0005〜140mmolであり、かつ前記強化繊維が多官能化合物(s)によりサイジング処理されていることを特徴とする繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
(1)カルボジイミド変性ポリオレフィン(a)、ポリプロピレン系樹脂(b)および強化繊維(c)を含有してなる繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物であって、繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物中のマトリックス樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量が、該樹脂成分100gに対し、0.0005〜140mmolであり、かつ前記強化繊維(c)が多官能化合物(s)によりサイジング処理されていることを特徴とする繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
(2)カルボジイミド変性ポリオレフィン(a)、ポリプロピレン系樹脂(b)および強化繊維(c)を含有してなる繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物であって、(a)を0.01〜50質量部、(b)を20〜99質量部、(c)を1〜80質量部(ただし、(b)と(c)の合計を100質量部とする)含有し、かつ前記強化繊維(c)が多官能化合物(s)によりサイジング処理されていることを特徴とする繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
カルボジイミド変性ポリオレフィン(a)は、カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)と、カルボジイミド基含有化合物(B)とを反応させることにより得られる。具体的には、両者を溶融混練するなどの方法が挙げられる。
反応率(%) = X/Y × 100
X=反応前(A)のカルボジイミド基と反応する基の吸光度−反応後(a)のカルボジイミド基と反応する基の吸光度
Y=反応前(A)のカルボジイミド基と反応する基の吸光度
カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)は、ポリオレフィンに、カルボジイミド基と反応する化合物を導入することにより得ることができる。
カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)は、ポリオレフィン主鎖に対し、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物をグラフト共重合することによって得ることが可能である。
カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)は、オレフィンとカルボジイミド基と反応する化合物をラジカル共重合することによっても得ることが可能である。オレフィンとしては、上述のグラフト主鎖となるポリオレフィンを形成する場合のオレフィンと同一のものを採用することが可能である。また、カルボジイミド基と反応する化合物も上述の通りである。
0.1<Mn/{(100−M)×f/M}<6 (1)
(式中、
f :カルボジイミド基と反応する基を有する化合物の分子量(g/mol)
M :カルボジイミド基と反応する基を有する化合物の含有量(wt%)
Mn:カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)の数平均分子量
である。)
足する範囲であり、最も好ましくは式(3)を満足する範囲である。
0.3<Mn/{(100−M)×f/M}<4 (2)
0.5<Mn/{(100−M)×f/M}<2.5 (3)
カルボジイミド基含有化合物(B)は、好ましくは下記一般式(4)で示される繰り返し単位を有するポリカルボジイミドである。
−N=C=N−R1− (4)
〔式中、R1は2価の有機基を示す〕
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(b)は、いわゆる、未変性のポリプロピレン系樹脂であり、プロピレンの単独重合体またはプロピレンとα−オレフィン、共役ジエンおよび非共役ジエンなどから選ばれる少なくとも1種との共重合体が挙げられる。
本発明に用いられる強化繊維(c)としては、特に限定されないが、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、金属繊維などの高強度、高弾性率繊維が使用できる。これらは1種または2種以上を併用してもよい。中でも、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などの炭素繊維を用いるのが好ましい。得られる成形品の強度と弾性率とのバランスの観点から、PAN系炭素繊維がさらに好ましい。また、導電性を付与する目的では、ニッケルや銅やイッテルビウムなどの金属を被覆した強化繊維を用いることもできる。
多官能化合物(s)としては、特に限定されないが、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシ基等の官能基を1分子中に2個以上有する化合物が使用できる。これらは1種または2種以上を併用してもよい。官能基が1分子中に2個未満である化合物を用いた場合、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性および耐水劣化性が低くなる。
したがって、官能基の数は、1分子中に2個以上であることが必須であり、さらに好ましくは、3個以上である。すなわち、多官能化合物としては、3官能以上の官能基を有する化合物を用いるのが良い。
まず、参考例、実施例及び比較例において用いる各種特性の測定方法について説明する。
<メルトフローレート(MFR)>
ASTM D1238に従い、2.16kg荷重の下、230℃にて測定を実施した。
数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。測定装置としてWaters社製ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC−2000型を用い、以下のようにして測定した。分離カラムは、TSKgel GMH6−HTを2本およびTSKgel GMH6−HTLを2本使用し、カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mmであり、カラム温度は140℃とした。移動相としては、酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025質量%を添加したo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業)を用い、1.0ml/分で移動させた。試料濃度は15mg/10mLとし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。分子量は標準ポリスチレン換算にて算出した。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106については東ソー社製を用い、1000≦Mw≦4×106についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。
カルボジイミド基含有量は、試料を250℃、3分で熱プレスしてシ−トを作製した後に、赤外分光光度計(日本分光製、FT‐IR 410型)を用いて、透過法で該シ−トの赤外吸収スペクトルを測定し、下記の検量線に代入して求めた。測定条件は、分解能を2cm−1、積算回数を32回とした。
<炭素繊維のストランド引張強度および引張弾性率の測定>
炭素繊維束に下記組成の樹脂を含浸させ、130℃の温度で35分間硬化させた後、JIS R7601(1986年)に基づいて引張試験を行った。6本のストランドについて測定し、平均値でストランド引張強度と引張弾性率を求めた。
[樹脂組成](かっこ内は、メーカー等)
・3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(ERL−4221、ユニオンカーバイド社製)・・・・・・・・・100質量部
・3フッ化ホウ素モノエチルアミン(ステラケミファ(株)製)・・・・・3質量部
・アセトン(和光純薬工業(株)製)・・・・・・・・・・・・・・・・・4質量部
炭素繊維の表面酸素濃度比は、X線光電子分光法により、次の手順にしたがって求めた。まず、炭素繊維束を20mmにカットして、銅製の試料支持台に拡げて並べた後、試料チャンバー中を1×108Torrに保った。X線源としてA1Kα1、2を用い、測定した。測定時の帯電に伴うピークの補正値としてC1sの主ピークの運動エネルギー値(K.E.)を1202eVに合わせた。C1sピーク面積をK.E.として1191〜1205eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。O1sピーク面積をK.E.として947〜959eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。O1sピーク面積とC1sピーク面積の比から装置固有の感度補正値を用いて原子数比としてO/Cを算出した。X線光電子分光法装置として、国際電気社製モデルES−200を用い、感度補正値を1.74とした。
<成形品の曲げ試験>
ASTM D790(1997)に準拠し、3点曲げ試験冶具(圧子10mm、支点10mm)を用いて支持スパンを100mmに設定し、クロスヘッド速度5.3mm/分の試験条件にて曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。試験機として、“インストロン”(登録商標)万能試験機4201型(インストロン社製)を用いた。試験片は、温度23℃、50%RHに調整された恒温恒湿室に24時間放置後に特性評価試験に供した。
n=6個の成形品について測定し、平均値で曲げ強度を求めた。
A:150MPa以上
B:130MPa以上150MPa未満
C:100MPa以上130MPa未満
D:100MPa未満。
モールドノッチ付きアイゾット衝撃試験用の試験片(厚み3.2mm)を用意し、減圧乾燥器にて、乾燥し、乾燥質量W1(g)を測定した。
(吸水率)=(W2−W1)/W1×100
吸水率は10個の試験片について測定し、その平均値を求めた。
ASTM D256(1993)に準拠し、モールドノッチ付きアイゾット衝撃試験を行った。厚み3.2mmの試験片を用い、アイゾット衝撃強度(J/m)を測定した。
試験片としては、上記<成形品の熱水浸漬および吸水率の測定>に記載の方法に従って調整した乾燥サンプルおよび吸水サンプルを用い、それぞれ個の試験片について測定し、その平均値を算出した。
A:210J/m以上
B:180J/m以上210J/m未満
C:150J/m以上180J/m未満
D:150J/m未満。
(強度保持率)=(吸水サンプルの衝撃強度)/(乾燥サンプルの衝撃強度)×100
A:90%以上
B:70%以上90%未満
C:50%以上70%未満
D:50%未満。
上記吸水サンプルについて、アイゾッド衝撃試験後の破断サンプルの破断面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察し、強化繊維表面に樹脂成分の付着があるか否かを、任意の強化繊維を5本選択し、目視判定にておこなった。また判定は以下の基準でおこなった。
A:強化繊維表面のほぼ全ての領域(90%以上)に樹脂の付着が認められる
B:強化繊維表面の50%以上90%未満の領域に樹脂の付着が認められる
C:強化繊維表面に樹脂の付着が認められるのが50%未満である。
参考例、実施例及び比較例において使用した原料を以下に示す。尚、特に断らない限りはいずれも市販品を使用した。
PP1 :ポリプロピレン(ランダムPP)
(商品名F327、プライムポリマー社製、MFR(230℃)7g/10分)
PP2 :ポリプロピレン(ブロックPP)
(商品名J707G、プライムポリマー社製、MFR(230℃)30g/10分)
PP3 :ポリプロピレン(ホモPP)
(商品名J106G、プライムポリマー社製、MFR(230℃)15g/10分)
(s)−1 :グリセロールトリグリシジルエーテル(官能基:エポキシ基、官能基数3)
(s)−2 :ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ基、官能基数2)
(ジャパンエポキシレジン(株)製 jER828)
(s)−3 :酸変性ポリプロピレン(カルボキシル基、官能基数5)
(丸芳化学(株)製 酸変性ポリプロピレンエマルション)
(s)−4 :ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(エポキシ基、官能基数5)
(ナガセケムテックス(株)製 “デナコール”(登録商標)EX−521)
(s)−5 :アミノエチル化アクリルポリマー(アミノ基、官能基数75)
((株)日本触媒製 “ポリメント”(登録商標)SK−1000)
(s)−6 :ポリビニルアルコール(ヒドロキシル基、官能基数500)
(和光純薬工業(株)製 ポリビニルアルコールMw22,000)
(s)−7 :ポリエチレンイミン(アミノ基、官能基数28)
(シグマ・アルドリッチ社製 ポリエチレンイミンMn1,200)
(s)´−1 :ポリブテン(官能基なし、官能基数0)
(日油(株)製 “エマウェット”(登録商標)200E)
使用した炭素繊維は、後に示す参考例7−9に従い調整した。ガラス繊維は、
GF−1 :ガラス繊維(日東紡績製240TEX、総単糸数 1600本)
を使用した。
・参考例1
PP1(プライムポリマー社製、F327)100質量部に、無水マレイン酸(和光純薬社製、以下、MAHと略記)1質量部、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(日本油脂社製、商品名パーヘキシン(登録商標)25B)0.25質量部を混合し、二軸混練機(日本製鋼所製、TEX−30、L/D=40、真空ベント使用)を用いて、シリンダー温度220℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量80g/分にて押し出し、マレイン酸変性ポリプロピレン(以下、MAH−PP1と略記)を得た。得られたMAH−PP1をキシレンに溶解し、次いで得られたキシレン溶液をアセトンに注ぐことで、MAH−PP1を再沈させて精製した。無水マレイン酸のグラフト量をIRにて測定したところ0.7質量%であった。数平均分子量(Mn)はGPCにて測定したところ、Mn28,000であった。
式中、
f :無水マレイン酸の分子量98(g/mol)
M :無水マレイン酸の含有量0.7(wt%)
Mn:MAH−PP1の数平均分子量28,000
である。
参考例1におけるマレイン酸変性ポリプロピレンの製造において、MAHを0.05質量部、パーヘキシン25Bを0.02質量部とし、二軸混練機のシリンダー温度を260℃としたほかは参考例1と同様にしてマレイン酸変性ポリプロピレン(以下、MAH−PP2と略記)を得た。得られたMAH−PP2の無水マレイン酸のグラフト量をIRにて測定したところ0.03質量%であった。数平均分子量(Mn)はGPCにて測定したところ、Mn29,000であった。
式中、
f :無水マレイン酸の分子量98(g/mol)
M :無水マレイン酸の含有量0.03(wt%)
Mn:MAH−PP2の数平均分子量29,000
である。
PP3(プライムポリマー社製、J106G)を100質量部、MAH 30質量部、ジクミルパーオキサイド(日本油脂社製、商品名パークミル(登録商標)D)5質量部を混合し、トルエン溶液中にて5時間の反応をおこない、マレイン酸変性ポリプロピレン(以下、MAH−PP3と略記)を得た。得られたMAH−PP3の無水マレイン酸のグラフト量をIRにて測定したところ5.0質量%であった。数平均分子量(Mn)はGPCにて測定したところ、Mn18,000であった。MAH−PP3について、Mn/{(100−M)×f/M}の値は、10である。
式中、
f :無水マレイン酸の分子量98(g/mol)
M :無水マレイン酸の含有量5.0(wt%)
Mn:MAH−PP2の数平均分子量18,000
である。
・参考例4
参考例1で製造したMAH−PP1を100質量部およびカルボジイミド基含有化合物(日清紡社製、商品名カルボジライト(登録商標)HMV−8CA、カルボジイミド基当量278、数平均分子量2500)を8.8質量部混合し、二軸混練機(日本製鋼所製、TEX−30、L/D=40、真空ベント使用)を用いてシリンダー温度250℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量80g/分にて押し出し、カルボジイミド変性ポリプロピレン(以下、CDI−PP1と略記)を得た。得られたCDI−PP1のMFR(230℃、2.16kg荷重)は130g/10分であった。IR分析によれば、マレイン酸ピークが消失していたことから反応率は100%であり、カルボジイミド基含有量は27mmol/100gであった。
参考例4と同様に、参考例2で製造したMAH−PP2を100質量部およびカルボジイミド基含有化合物を0.25質量部混合し、二軸混練機を用いて押し出し、カルボジイミド変性ポリプロピレン(以下、CDI−PP2と略記)を得た。得られたCDI−PP2は、カルボジイミド基含有量が0.09mmol/100gであった。
参考例4と同様に、参考例3で製造したMAH−PP3を100質量部およびカルボジイミド基含有化合物を150質量部混合し、二軸混練機を用いて押し出し、カルボジイミド変性ポリプロピレン(以下、CDI−PP3と略記)を得た。押し出した樹脂の様子は、ややゲル化を伴っていた。得られたCDI−PP3は、カルボジイミド基含有量が220mmol/100gであった。
・参考例7
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体を用いて、紡糸、焼成処理および表面酸化処理を行なうことによって、総単糸数12,000本の連続炭素繊維(以下、CF−1と略記)を得た。この連続炭素繊維の特性は次に示す通りであった。
単繊維径:7μm
単位長さ当たりの質量:0.8g/m
比重:1.8
表面酸素濃度比 [O/C]:0.06
ストランド引張強度:4900MPa
引張弾性率:230GPa。
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体を用いて、紡糸、焼成処理および表面酸化処理を行なうことによって、総単糸数12,000本の連続炭素繊維(以下、CF−2と略記)を得た。この連続炭素繊維の特性は次に示す通りであった。
単繊維径:7μm
単位長さ当たりの質量:0.8g/m
比重:1.8
表面酸素濃度比 [O/C]:0.12
ストランド引張強度:4900MPa
引張弾性率:230GPa。
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体を用いて、紡糸、焼成処理および表面酸化処理を行ない、総単糸数12,000本の連続炭素繊維(以下、CF−3と略記)を得た。この連続炭素繊維の特性は次に示す通りであった。
単繊維径:7μm
単位長さ当たりの質量:0.8g/m
比重:1.8
表面酸素濃度比 [O/C]:0.03
ストランド引張強度:4900MPa
引張弾性率:230GPa。
・参考例10
サイジング剤を2質量%になるように水に溶解、または分散させたサイジング剤母液を調製し、参考例7〜9で調製した強化繊維に、浸漬法によりサイジング剤を付与し、230℃で乾燥を行った。付着量は1.0質量%であった。
・実施例1
多官能化合物として、(s)−1(グリセロールトリグリシジルエーテル)を用い、参考例7に従い得られたCF−1に、参考例10に従い、サイジング処理をした。得られた連続炭素繊維束を、カートリッジカッターにて長さ6.4mmにカットした。次に日本製鋼所(株)TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)を使用し、(a)成分として参考例1および参考例4に従い調製したCDI−PP1を3質量部および(b)成分としてPP2を80質量部混合し、メインホッパーから供給した。次いで、その下流のサイドホッパーから、(c)成分として、前記のカットした炭素繊維束を質量フィーダーにより20質量部となるように調整しながら供給し、バレル温度220℃、回転数150rpmで十分混練し、さらに下流の真空ベントより脱気を行った。溶融樹脂をダイス口(直径5mm)から吐出し、得られたストランドを冷却後、カッターで切断してペレット状とした。
多官能化合物として(s)−1の代わりに(s)−2(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてペレットを得、成形評価を行なった。ペレット中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量(計算値)および特性評価結果を表1に記載した。
多官能化合物として(s)−1の代わりに(s)−3(酸変性ポリプロピレン)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてペレットを得、成形評価を行なった。ペレット中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量(計算値)および特性評価結果を表1に記載した。
多官能化合物として(s)−1の代わりに(s)−4(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてペレットを得、成形評価を行なった。ペレット中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量(計算値)および特性評価結果を表1に記載した。
多官能化合物として(s)−1の代わりに(s)−5(アミノエチル化アクリルポリマー)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてペレットを得、成形評価を行なった。ペレット中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量(計算値)および特性評価結果を表1に記載した。
多官能化合物として(s)−1の代わりに(s)−6(ポリビニルアルコール)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてペレットを得、成形評価を行なった。ペレット中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量(計算値)および特性評価結果を表1に記載した。
多官能化合物として(s)−1の代わりに(s)−7(ポリエチレンイミン)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてペレットを得、成形評価を行なった。ペレット中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量(計算値)および特性評価結果を表1に記載した。
多官能化合物として、(s)−1(グリセロールトリグリシジルエーテル)を用い、参考例8に従い得られたCF−2に、参考例10に従い、サイジング処理をした。得られた連続炭素繊維束を、カートリッジカッターにて長さ6.4mmにカットした。次に日本製鋼所(株)TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)を使用し、(a)成分として参考例1および参考例4に従い調製したCDI−PP1を3質量部および(b)成分としてPP2を80質量部混合し、メインホッパーから供給した。次いで、その下流のサイドホッパーから、(c)成分として、前記のカットした炭素繊維束を質量フィーダーにより20質量部となるように調整しながら供給し、バレル温度220℃、回転数150rpmで十分混練し、さらに下流の真空ベントより脱気を行った。溶融樹脂をダイス口(直径5mm)から吐出し、得られたストランドを冷却後、カッターで切断してペレット状とした。
多官能化合物として(s)−1の代わりに(s)−2(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)を用いたこと以外は、実施例8と同様にしてペレットを得、成形評価を行なった。ペレット中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量(計算値)および特性評価結果を表1に記載した。
多官能化合物として(s)−1の代わりに(s)−3(酸変性ポリプロピレン)を用いたこと以外は、実施例8と同様にしてペレットを得、成形評価を行なった。ペレット中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量(計算値)および特性評価結果を表1に記載した。
多官能化合物として(s)−1の代わりに(s)−4(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル)を用いたこと以外は、実施例8と同様にしてペレットを得、成形評価を行なった。ペレット中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量(計算値)および特性評価結果を表1に記載した。
(a)成分としてCDI−PP1を順番にそれぞれ5質量部、10質量部、20質量部、40質量部に変更して用いたこと以外は、実施例1と同様にしてペレットを得、成形評価を行なった。ペレット中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量(計算値)および特性評価結果を表2に記載した。
多官能化合物として、(s)−1(グリセロールトリグリシジルエーテル)を用い、参考例9に従い得られたCF−3に、参考例10に従い、サイジング処理をした。得られた連続炭素繊維束を、カートリッジカッターにて長さ6.4mmにカットした。次に日本製鋼所(株)TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)を使用し、(a)成分として参考例1および参考例4に従い調製したCDI−PP1を3質量部、(b)成分としてPP2を80質量部混合し、メインホッパーから供給した。次いで、その下流のサイドホッパーから、(c)成分として、前記のカットした炭素繊維束を質量フィーダーにより20質量部となるように調整しながら供給し、バレル温度220℃、回転数150rpmで十分混練し、さらに下流の真空ベントより脱気を行った。溶融樹脂をダイス口(直径5mm)から吐出し、得られたストランドを冷却後、カッターで切断してペレット状とした。
(a)成分としてCDI−PP1の代わりに、参考例2および参考例5に従い調製したCDI−PP2を3質量部に変更して用いたこと以外は、実施例1と同様にしてペレットを得、成形評価を行なった。ペレット中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含量(計算値)および特性評価結果はまとめて表2に記載した。
(a)成分としてCDI−PP1の代わりに、参考例3および参考例6に従い調製したCDI−PP3を3質量部に変更して用いたこと以外は、実施例1と同様にしてペレットを得、成形評価を行なった。ペレット中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量(計算値)および特性評価結果を表2に記載した。
多官能化合物として、(s)−1(グリセロールトリグリシジルエーテル)を用い、GF−1 (ガラス繊維:日東紡績製240TEX、総単糸数 1600本)に参考例10に従い、サイジング処理をした。得られた連続ガラス繊維束を、カートリッジカッターにて長さ6.4mmにカットした。次に日本製鋼所(株)TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)を使用し、(a)成分として参考例1および参考例4に従い調整したCDI−PP1を10質量部、(b)成分としてPP2を80質量部混合し、メインホッパーから供給した。次いで、その下流のサイドホッパーから、(c)成分として、前記のカットしたガラス繊維束を質量フィーダーにより20質量部となるように調整しながら供給し、バレル温度220℃、回転数150rpmで十分混練し、さらに下流の真空ベントより脱気を行った。溶融樹脂をダイス口(直径5mm)から吐出し、得られたストランドを冷却後、カッターで切断してペレット状とした。
参考例7で得られたCF−1に、サイジング剤を付着させずにそのまま使用した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得、成形評価を行なった。ペレット中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量(計算値)および特性評価結果を表3に記載した。
多官能化合物(s)−1の代わりに、サイジング剤として官能基を有さない(s)´−1(ポリブテン)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてペレットを得、成形評価を行なった。ペレット中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含量(計算値)および特性評価結果はまとめて表3に記載した。
(a)成分としてCDI−PP1を10質量部に変更したこと以外は、比較例2と同様にしてペレットを得、成形評価を行なった。ペレット中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量(計算値)および特性評価結果を表3に記載した。
(a)成分CDI−PP1の代わりに、参考例1に従い調製したMAH−PP1を3質量部あるいは10質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてペレットを得、成形評価を行なった。ペレット中の樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量(計算値)および特性評価結果を表3に記載した。
ポリカルボジイミド変性ポリプロピレンを用い、サイジング剤として多官能化合物を用いた実施例1〜実施例7においては、力学特性に優れ、かつ吸水時でも衝撃強度の低下が少なく、耐水劣化性を有する成形品を得ることができた。
成分(a)であるカルボジイミド変性ポリプロピレンの含有量は、成分(b)と成分(c)の合計100質量部に対して、3〜10質量部の範囲において、多いほど力学特性に優れる傾向があった。10〜40質量部の範囲においては、力学特性は10質量部で極大値を取り、その後減少する傾向にあった。これは、成形品の繊維含有率の低下の影響であると考えられる。一方、耐水劣化性は、多官能化合物を用いた実施例においてはカルボジイミド基含有ポリプロピレンの質量部が多いほど吸水時の力学特性に優れる傾向があったが、官能基を有さないサイジング剤を用いた比較例2および比較例3においては、いずれも、吸水時に大幅に衝撃強度が低下し、耐水劣化性を有する成形品は得られなかった。
用いる炭素繊維の表面酸素濃度比O/Cは、0.01〜0.12の範囲において、高いほど、得られた成形品が力学特性および耐水劣化性に優れる傾向があった。
実施例17について、CDI−PP2は、その原料であるMAH−PP2のMn/{(100−M)×f/M}の値が、0.09と低いために、カルボジイミド基含有量が0.09mmol/100gと低かった。実施例1と比較すると得られた成形品の力学特性には若干劣っていたが、吸水時の衝撃強度低下は少なく、耐水劣化性を有していた。
実施例18について、CDI−PP3は、その原料であるMAH−PP3のMn/{(100−M)×f/M}の値が、10と高く、ゲル化をできるだけ抑制するためにカルボジイミド基含有化合物量を調整して製造したが、ややゲル化を伴うなど製造困難であった。また、実施例1と比較すると得られた成形品の力学特性には若干劣っていたが、吸水時の衝撃強度低下はほとんどなく、優れた耐水劣化性を有していた。
サイジング剤として多官能化合物を用いたが、ポリカルボジイミド変性ポリプロピレンを用いず、代わりにマレイン酸変性ポリプロピレンを用いた比較例4および比較例5においては、曲げ強度、乾燥時の衝撃強度などの力学特性に優れた成形品を得ることができるものの、吸水時に大幅に衝撃強度が低下し、耐水劣化性を有する成形品は得られなかった。
Claims (12)
- カルボジイミド変性ポリオレフィン(a)、ポリプロピレン系樹脂(b)および強化繊維(c)を含有してなる繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物であって、繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物中のマトリックス樹脂成分に含まれるカルボジイミド基の含有量が、マトリックス樹脂成分100gに対し、0.0005〜140mmolであり、かつ前記強化繊維(c)が多官能化合物(s)によりサイジング処理されていることを特徴とする繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
- カルボジイミド変性ポリオレフィン(a)、ポリプロピレン系樹脂(b)および強化繊維(c)を含有してなる繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物であって、(a)を0.01〜50質量部、(b)を20〜99質量部、(c)を1〜80質量部(ただし、(b)と(c)の合計を100質量部とする)含有し、かつ前記強化繊維(c)が多官能化合物(s)によりサイジング処理されていることを特徴とする繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記カルボジイミド変性ポリオレフィン(a)が、該変性ポリオレフィン100グラムに含まれるカルボジイミド基の含有量が1〜200mmolである、請求項2に記載の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記カルボジイミド変性ポリオレフィン(a)は、カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)と、カルボジイミド基含有化合物(B)を反応させて得られるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィン系樹脂(A)は、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物をポリオレフィンに導入したものであって、ポリオレフィン系樹脂(A)が下記式(1)を満たす重合体である、請求項4に記載の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
0.1<Mn/{(100−M)×f/M}<6 (1)
(式中、
f :カルボジイミド基と反応する基を有する化合物の分子量(g/mol)
M :カルボジイミド基と反応する基を有する化合物の含有量(wt%)
Mn:カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)の数平均分子量
である。) - 前記ポリオレフィン系樹脂(A)が、無水マレイン酸基を有するポリオレフィン系樹脂である、請求項4または5に記載の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 強化繊維(c)が炭素繊維である、請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記多官能化合物(s)が、3官能以上の官能基を有する化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記多官能化合物(s)における官能基が、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基およびヒドロキシル基から選択される少なくとも1種である、請求項1〜8のいずれかに記載の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記多官能化合物(s)が、脂肪族エポキシ樹脂である、請求項1〜9のいずれかに記載の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記多官能化合物(s)が、ポリエチレンイミンである、請求項1〜9のいずれかに記載の繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物。
- 前記炭素繊維のX線光電子分光法で測定される表面酸素濃度比O/Cが0.05〜0.5である、請求項7に記載の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物。
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