JP2018027999A - フィラー強化樹脂用助剤、フィラー強化ポリプロピレン樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

フィラー強化樹脂用助剤、フィラー強化ポリプロピレン樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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綾平 志賀
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Abstract

【課題】フィラー含有ポリオレフィン組成物において、フィラーの補強性や分散性を向上させ、この組成物を成形した際に耐衝撃性や曲げ強度などの機械物性に優れた成形品を得ることを可能とするフィラー強化樹脂用助剤、該助剤を含有するフィラー含有樹脂組成物およびその成形品を提供すること。
【解決手段】本発明のフィラー強化樹脂用助剤(D)は、ウレア変性ポリオレフィンからなり、該ウレア変性ポリオレフィン100グラムにおけるウレア基の含量が1〜200mmolであることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なフィラー強化樹脂用助剤、フィラー強化樹脂組成物およびその成形品に関する。より詳しくは、本発明は、カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂とカルボジイミド基含有化合物とを反応させて得られるカルボジイミド変性ポリオレフィンのカルボジイミド基がウレア基に変換されたウレア変性ポリオレフィンからなるフィラー強化樹脂用助剤、該助剤を含むフィラー強化樹脂組成物および該組成物を成形してなる優れた機械物性を有する成形品に関する。
ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンは、種々の方法により成形され、多方面の用途に供されている。しかしながら、ポリオレフィン、特にポリプロピレンは、用途によって、耐熱性、剛性および強度が十分でない場合があり、その場合、例えばタルクやガラスファイバーなどのフィラーで補強される。しかしながら、フィラーの分散が不十分だったり、フィラーとポリプロピレンとの接着性が低いことなどにより、フィラーの補強効果が十分でない場合が多い。そのため、溶融コンパウンドの際に各種シランカップリング剤やチタネート系カップリング剤を添加したり、高級脂肪酸などでフィラーの表面を処理したりする場合もあるが、その効果は十分であるとはいえない。
特に無機フィラーとしてガラス繊維やマイカを用いる場合、特許文献1に報告されているように、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等を添加してポリプロピレンとフィラーとの界面接着性を向上させることにより、組成物の機械物性を改良できることが知られている。
また、炭素繊維をより分散させて補強効果を向上させようとする試みがなされている。例えば、特許文献2では、サイジング剤で処理した炭素繊維を無水マレイン酸変性ポリプロピレンで処理した炭素繊維樹脂組成物を開示している。しかしながら、含浸性は向上しているものの、強度は相変わらず不足していた。その改善策として、無水マレイン酸変性ポリプロピレンに代えて、アミノ基又はエポキシ基で変性したポリオレフィン樹脂を含有する組成物を用いることが試みられている(例えば、特許文献3、特許文献4)が、実用強度としては未だ不十分である。
特開平4−198243号公報 特開2003−277525号公報 特開2005−213478号公報 特開2005−213479号公報
本発明の課題は、フィラー含有ポリオレフィン組成物において、フィラーの補強性や分散性を向上させ、この組成物を成形した際に耐衝撃性や曲げ強度などの機械物性に優れた成形品を得ることを可能とするフィラー強化樹脂用助剤、該助剤を含有するフィラー含有樹脂組成物およびその成形品を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂と、カルボジイミド基含有化合物とを反応させて得られるカルボジイミド変性ポリオレフィンのカルボジイミド基がウレア基に変換されたウレア変性ポリオレフィンが、フィラー強化樹脂組成物におけるフィラーの補強性や分散性を向上させることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の態様例を以下に示す。
本発明のフィラー強化樹脂用助剤(D)は、ウレア変性ポリオレフィンからなり、該ウレア変性ポリオレフィン100グラムにおけるウレア基の含量が1〜200mmolであることを特徴とする。
前記フィラー強化樹脂用助剤(D)の製造方法は、カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)と、カルボジイミド基含有化合物(B)とを反応させてカルボジイミド変性ポリオレフィン(C)を得る工程、および、該カルボジイミド変性ポリオレフィン(C)を熱水処理することにより、カルボジイミド基がウレア基に変換されたウレア変性ポリオレフィンを得る工程を含むことを特徴とする。
また、本発明のフィラー強化樹脂組成物(H)は、前記フィラー強化樹脂用助剤(D)0.01〜50重量部、未変性ポリオレフィン系樹脂(E)20〜99重量部、および、フィラー(G)1〜80重量部(ただし、成分(E)および(G)の合計を100重量部とする。)を含有することを特徴とする。
また、本発明の成形品(I)は、前記フィラー強化樹脂組成物(H)を成形してなる。
本発明のフィラー強化樹脂用助剤(D)は、フィラー強化樹脂組成物においてフィラーの補強性や分散性を向上させることができる。このフィラー強化樹脂組成物を成形した場合、耐衝撃性や曲げ強度などの物性に優れた成形品を得ることができ、自動車部品等、特に剛性、耐衝撃性および耐久性等が要求される部品等に好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフィラー強化樹脂用助剤(D)は、ウレア変性ポリオレフィンからなり、該ウレア変性ポリオレフィン100グラムにおけるウレア基の含量が1〜200mmolであり、カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)と、カルボジイミド基含有化合物(B)とを反応させてカルボジイミド変性ポリオレフィン(C)を得る工程、および、該カルボジイミド変性ポリオレフィン(C)を熱水処理することにより、カルボジイミド基がウレア基に変換されたウレア変性ポリオレフィンを得る工程を含む方法により製造することができる。
以下、各成分について説明する。
[ポリオレフィン系樹脂(A)]
本発明に用いられるカルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)は、ポリオレフィンに、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(a)を導入することにより得ることができる。
前記化合物(a)としては、カルボジイミド基との反応性を有する活性水素を持つ基を有する化合物が挙げられ、具体的には、カルボン酸、アミン、アルコール、チオール等に由来する基を有する化合物である。これらの中では、カルボン酸に由来する基を持つ化合物が好適に用いられ、中でも不飽和カルボン酸および/またはその誘導体が特に好ましい。また、活性水素を持つ基を有する化合物以外でも、水などにより容易に活性水素を有する基に変換される基を有する化合物も好ましく使用することができ、具体的にはエポキシ基、グリシジル基を有する化合物が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸および/またはその誘導体としては、カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物、無水カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物およびその誘導体を挙げることができ、不飽和基としては、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基などを挙げることができる。具体的な化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸、またはこれらの酸無水物あるいはこれらの誘導体(例えば酸ハライド、アミド、イミド、エステルなど)が挙げられる。前記酸無水物および誘導体の具体例としては、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸アミノエチルおよびメタクリル酸アミノプロピルなどを挙げることができる。
これらの中では、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸アミノプロピルが好ましく、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物などのジカルボン酸無水物が特に好ましい。
本発明において、前記化合物(a)は、1種単独で使用しても、2種以上を使用してもよい。
前記ポリオレフィン系樹脂(A)中の前記化合物(a)の含有量は、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.1〜3.0重量%、さらに好ましくは0.1〜2.0重量%である。前記化合物(a)の含有量が上記範囲を超えて過剰となると、カルボジイミド基含有化合物(B)と架橋して、フィラー強化樹脂用助剤(D)を製造することが困難となる場合がある。また上記範囲を下回ると、フィラー強化樹脂用助剤(D)の製造は可能であるものの、フィラー強化樹脂用助剤(D)の骨格となるカルボジイミド基含有化合物(B)とポリオレフィン系樹脂(A)との結合部分が少なくなるため、フィラー強化樹脂組成物におけるフィラーの補強性や分散性を十分に向上させることができない。
架橋を防止するためには、前記ポリオレフィン系樹脂(A)の数平均分子量が低いほど、また、(前記化合物(a)のモル数)/(ポリオレフィン共重合体(A)分子鎖のモル数)のモル比が小さいことが好ましい。これは即ち、前記ポリオレフィン系樹脂(A)の分子鎖上に前記化合物(a)が複数でなく、単数に近い状態で存在している場合には、カルボジイミド基含有化合物(B)のカルボジイミド基(N=C=N)が前記化合物(a)と反応する際、架橋またはゲル化することなく結合できることを意味している。
本発明では、前記ポリオレフィン系樹脂(A)の数平均分子量(Mn)と、前記化合物(a)の含有量とを制御することにより、フィラー強化樹脂用助剤(D)の製造において架橋が起こり、製造安定性が低下することなく、また、フィラー強化樹脂用助剤(D)を用いてフィラー強化樹脂組成物とした場合にフィラーの補強性や分散性を十分に向上させることができる。即ち、本発明においては、前記ポリオレフィン系樹脂(A)は、下記式(1)を満足していることが好ましい。
0.1<Mn/{(100−M)*f/M}<6 (1)
式(1)中、fは、前記化合物(a)の分子量(g/mol)であり、Mは、前記ポリオレフィン系樹脂(A)中の前記化合物(a)の含有量(wt%)であり、Mnは、前記ポリオレフィン系樹脂(A)の数平均分子量である。
また、架橋させないという製造安定性の観点から、前記ポリオレフィン系樹脂(A)は、下記式(2)を満足することがより好ましく、下記式(3)を満足することが特に好ましい。
0.3<Mn/{(100−M)*f/M}<4 (2)
0.5<Mn/{(100−M)*f/M}<2.5 (3)
前記ポリオレフィン系樹脂(A)の数平均分子量(Mn)と前記化合物(a)の分子量および含有量との関係が上記条件を満たすと、フィラー強化樹脂用助剤(D)を製造する際、架橋することなく安定して製造することが可能となる。
尚、数平均分子量は、GPC法、光散乱法、低角度光散乱光度法、蒸気圧浸透圧法、膜浸透圧法など高分子の一般的な分子量測定法にて求めることが可能である。
前記ポリオレフィン系樹脂(A)のASTM D1238による荷重2.16kg、190℃または230℃におけるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.01〜500g/10分、より好ましくは0.05〜300g/10分である。上記範囲にあると、フィラーの補強性や分散性の向上効果に優れたフィラー強化樹脂用助剤(D)が得られる。
また、前記ポリオレフィン系樹脂(A)の密度は、好ましくは0.8〜1.1g/cm3、より好ましくは0.8〜1.05g/cm3、更に好ましくは0.8〜1.0g/cm3である。
前記化合物(a)をポリオレフィンに導入する方法としては、周知の方法を採用することが可能であるが、例えば、ポリオレフィン主鎖に前記化合物(a)をグラフト共重合する方法や、オレフィンと前記化合物(a)をラジカル共重合する方法等を例示することができる。以下、グラフト共重合する場合とラジカル共重合する場合とに分けて、具体的に説明する。
<グラフト共重合>
前記ポリオレフィン系樹脂(A)は、ポリオレフィン主鎖に対し、前記化合物(a)をグラフト共重合することによって得ることが可能である。
(ポリオレフィン主鎖)
ポリオレフィン主鎖として用いられるポリオレフィンは、好ましくは炭素数2〜20の脂肪族α−オレフィン、環状オレフィン、非共役ジエン、芳香族オレフィンを主成分とする重合体であり、より好ましくは炭素数2〜10のα−オレフィン、更に好ましくは2〜8のα−オレフィンを主成分とする重合体である。これらのオレフィンは、1種単独でも2種以上使用してもよく、コモノマーとなるオレフィンの含有量は、好ましくは50モル%以下であり、より好ましくは40モル%以下、更に好ましくは30モル%以下である。本発明においては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、テトラシクロドデセン、ノルボルネン、スチレンの単独重合体または共重合体を好ましく用いることができる。
グラフト変性に用いるポリオレフィンの密度は、好ましくは0.8〜1.1g/cm3、より好ましくは0.8〜1.05g/cm3、更に好ましくは0.8〜1.0g/cm3であり、ASTM D1238による190℃または230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.01〜500g/10分、より好ましくは0.05〜300g/10分、さらに好ましくは0.1〜100g/10分である。密度およびMFRがこの範囲にあれば、変性後のグラフト共重合体の密度およびMFRも同程度となることからハンドリングしやすい。
また、グラフト変性に用いられるポリオレフィンの結晶化度は、好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上である。結晶化度がこの範囲にあれば、変性後のグラフト共重合体のハンドリングに優れる。
グラフト変性に用いられるポリオレフィンのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)は、好ましくは5,000〜500,000、さらに好ましくは10,000〜100,000である。数平均分子量(Mn)がこの範囲にあれば、ハンドリングに優れる。なお、数平均分子量(Mn)は、エチレン系ポリオレフィンにおいては、コモノマー量が10モル%以下であればポリエチレン換算、10モル%以上であればエチレン−プロピレン換算(エチレン含量70モル%を基準)で求めることが可能である。また、数平均分子量は、プロピレン系ポリオレフィンにおいては、コモノマー量が10モル%以下であればポリプロピレン換算、10モル%以上であればプロピレン−エチレン換算(プロピレン含量70モル%を基準)で求めることが可能である。
上記のようなポリオレフィンの製造は、従来から公知のいずれの方法によっても行うことができ、例えば、チタン系触媒、バナジウム系触媒、メタロセン触媒などを用いて重合することができる。また、グラフト変性に用いられるポリオレフィンは、樹脂およびエラストマーのいずれの形態でもよく、アイソタクチック構造、シンジオタクチック構造の両者ともに使用可能であり、立体規則性についても特段の制限はなく、市販の樹脂をそのまま利用することも可能である。
(グラフト重合方法)
前記ポリオレフィン系樹脂(A)をグラフト共重合により得る場合には、ラジカル開始剤の存在下、上記のグラフト主鎖となるポリオレフィンに、前記化合物(a)および必要に応じてその他のエチレン性不飽和単量体等をグラフト共重合する。
前記化合物(a)をポリオレフィン主鎖にグラフトさせる方法については特に限定されず、溶液法や溶融混練法などの従来公知のグラフト重合法を採用することができる。
なお、グラフト重合により前記ポリオレフィン系樹脂(A)を得る際に、グラフト主鎖となるポリオレフィンとして、線状低密度ポリエチレンのようなエチレン含有量の多い樹脂を用いる場合、エチレン−ブテン共重合体のようなα−オレフィン共重合量の多い樹脂を用いる場合と比較すると、製造時に架橋しやすい傾向がある。そのため、エチレン含有量の多い樹脂をグラフト主鎖として用いて、かつ架橋を抑制して製造するためには、前記化合物(a)が前記ポリオレフィン系樹脂(A)の分子鎖上に単数に近い数で存在するように調整することが好ましい。
また、グラフト主鎖となるポリオレフィンが、ポリプロピレンのような熱分解により低分子量化しやすい樹脂である場合、架橋による高粘度化の現象は起こりにくい。そのため、熱分解しやすい樹脂をグラフト主鎖として用いると、前記化合物(a)が前記ポリオレフィン系樹脂(A)の分子鎖上に複数であっても、高粘度化せずにフィラー強化樹脂用助剤(D)を製造できることがある。
<ラジカル共重合>
前記ポリオレフィン系樹脂(A)は、オレフィンと前記化合物(a)をラジカル共重合することによっても得ることが可能である。オレフィンとしては、上述のグラフト主鎖となるポリオレフィンを形成する場合のオレフィンと同一のものを採用することが可能であり、また、前記化合物(a)も上述の通りである。
オレフィンと前記化合物(a)を共重合させる方法については特に限定されず、従来公知のラジカル共重合法を採用することができる。
[カルボジイミド基含有化合物(B)]
本発明に用いられるカルボジイミド基含有化合物(B)は、好ましくは、下記一般式(4)で示される繰り返し単位を有するポリカルボジイミドである。
−N=C=N−R1− (4)
式(4)中、R1は2価の有機基、好ましくは炭素数2〜40の2価の有機基を示す。
ポリカルボジイミドの合成法は特に限定されるものではないが、例えば有機ポリイソシアネートを、イソシアネート基のカルボジイミド化反応を促進する触媒の存在下で反応させることにより、ポリカルボジイミドを合成することができる。
より具体的には、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどの有機ジイソシアネートを縮合触媒の存在下、無溶媒又は不活性溶媒中で、脱炭酸縮合反応を行なうことにより製造することができる。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート等が、単独又は複数混合して用いられる。脱炭酸縮合反応において、触媒、反応温度、末端封止剤等を選択することによってポリカルボジイミドの重合度を調節することができる。重合度としては、好ましくは2〜40、より好ましくは4〜20のものが用いられる。末端封止剤としては、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等のモノイソシアネート、メタノール、エタノール、ジエチルアミン、シクロヘキシルアミン、コハク酸、安息香酸、エチルメルカプタンなど活性水素化合物が使用できる。縮合触媒としては、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ナトリウム、カルシウム等のアルコラート、フォスホレンオキシド等の有機リン化合物が使用できる。
前記カルボジイミド基含有化合物(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は、好ましくは400〜500,000、より好ましくは1,000〜10,000、更に好ましくは1,000〜8,000である。数平均分子量(Mn)がこの範囲にあると、熱水処理後に得られるフィラー強化樹脂用助剤(D)のフィラー補強性や分散性向上効果が優れるため好ましい。
前記カルボジイミド基含有化合物(B)は、ポリカルボジイミド中にモノカルボジイミドを含んでもよく、単独又は複数の化合物を混合して使用することも可能である。
なお、市販のカルボジイミド基含有化合物をそのまま使用することも可能である。市販のカルボジイミド基含有化合物としては、日清紡績株式会社製「カルボジライト(商標登録)HMV−8CA」、「カルボジライト(商標登録)HMV−15CA」および「カルボジライト(商標登録)LA1」などが挙げられる。
カルボジイミド基含有化合物(B)および得られたカルボジイミド変性ポリオレフィンにおけるカルボジイミド基含有量は、IRや滴定法等により測定でき、カルボジイミド当量として把握することが可能である。IRでは2130〜2140cm-1にピークを観察することが可能である。
[カルボジイミド変性ポリオレフィン(C)]
本発明に用いられるカルボジイミド変性ポリオレフィン(C)は、前記ポリオレフィン系樹脂(A)と前記カルボジイミド基含有化合物(B)とを反応させることにより得られる。なお、前記反応は、未変性ポリオレフィン樹脂(E)の存在下で行ってもよい。具体的には、溶融変性などのように溶融混練することにより得ることが可能であるが、この方法に限定されるものではない。
以下に、溶融混練する場合の例を示す。前記ポリオレフィン系樹脂(A)と前記カルボジイミド基含有化合物(B)とを溶融混練する場合の混練方法については、特に限定はされないが、前記ポリオレフィン系樹脂(A)と前記カルボジイミド基含有化合物(B)を同時に、または逐次的に、たとえばヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラーブレンダー、リボンブレンダーなどに装入して混練した後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融混練することによって得られる。これらのうちでも、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混練性能に優れた装置を使用すると、各成分がより均一に分散および反応された重合体組成物を得ることができるため好ましい。
前記ポリオレフィン系樹脂(A)と前記カルボジイミド基含有化合物(B)の供給方法としては、予めすべての成分を混合した後にホッパーから供給する方法、一部の成分をホッパーから供給し、ホッパー部付近から押出機先端の間の任意の部分に設置した供給口よりその他の成分を供給する方法のいずれの方法を取ることも可能である。
上記溶融混練は、混合する各成分の融点のうち、最も高い融点以上の温度、好ましくは150〜300℃、より好ましくは200〜280℃、更に好ましくは230〜270℃の範囲の温度で行うことができる。
カルボジイミド変性ポリオレフィン(C)は190℃または230℃での流動性に優れるものである。カルボジイミド変性ポリオレフィン(C)の190℃または230℃、2.16Kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.01〜400g/10分、より好ましくは0.1〜300g/10分、更に好ましくは1〜200g/10分の範囲である。このような範囲にあると、熱水処理後のフィラー強化樹脂用助剤(D)のフィラー補強性や分散性が優れ、好ましい。
カルボジイミド変性ポリオレフィン(C)を製造するにあたり、前記ポリオレフィン系樹脂(A)中の前記化合物(a)と、前記カルボジイミド基含有化合物(B)とのモル比[(a)のモル数:(B)のモル数]は、好ましくは1:0.2〜1.6、より好ましくは1:0.3〜1.3、さらに好ましくは1:0.4〜1.1である。このような配合比にすることで、(a)と(B)の反応効率が高く、かつ流動性にも優れるフィラー強化樹脂用助剤(D)が得られる点で好ましい。
また、カルボジイミド基含有化合物(B)の配合量は、前記ポリオレフィン系樹脂(A)と前記カルボジイミド基含有化合物(B)を反応させたカルボジイミド変性ポリオレフィン(C)100グラムに対し、カルボジイミド基の含量が通常1〜200mmol、好ましくは5〜150mmol、更に好ましくは10〜100mmolである。カルボジイミド基含量が少なすぎると、熱水処理後のフィラー強化樹脂用助剤(D)がフィラー補強性や分散性を発現できず、また、多すぎると成形加工性が低下したり、フィラー補強性や分散性の向上効果がそれほど上がらず経済的でなくなる。
さらに、カルボジイミド変性ポリオレフィン(C)では、前記ポリオレフィン系樹脂(A)中のカルボジイミド基と反応する基と、カルボジイミド基含有化合物(B)中のカルボジイミド基との反応の制御が重要である。前記反応の進行度合いは、例えば、以下の方法により調査することが可能である。
前記ポリオレフィン系樹脂(A)、および、前記ポリオレフィン系樹脂(A)と前記カルボジイミド基含有化合物(B)とを反応させたカルボジイミド変性ポリオレフィン(C)の熱プレスシートをそれぞれ作成した後に、赤外吸収分析装置を用いて赤外線吸収チャートを測定する。得られたチャートから、前記ポリオレフィン系樹脂(A)および前記カルボジイミド変性ポリオレフィン(C)中の前記化合物(a)のピーク強度に起因する吸収帯(無水マレイン酸を用いた場合は、1790cm-1)の吸光度の、カルボジイミド基含有化合物(B)との反応前後の吸光度を比較して、下記式を用いて反応率を計算できる。
反応率(%)= X/Y×100
X=カルボジイミド基と反応する基の強度の差(反応前(A)−反応後(C))
Y=反応前(A)のカルボジイミド基と反応する基の強度
カルボジイミド変性ポリオレフィン(C)について上記方法で求めた反応率は、好ましくは40〜100%、より好ましくは60〜100%、更に好ましくは80〜100%の範囲にある。
また、カルボジイミド変性ポリオレフィン(C)は、上記のようにカルボジイミド基含有化合物(B)のカルボジイミド基(N=C=N)が前記ポリオレフィン系樹脂(A)中の化合物(a)部位と反応することで製造されるが、反応の過程である程度のカルボジイミド基が消費され、ポリオレフィンと同一分子鎖としてつながっているカルボジイミド基の残基が、熱水処理後にウレア基へと変わることでフィラーと相互作用し、補強性や分散性に寄与する。このカルボジイミド残基量は、IR測定で2130〜2140cm-1にあるN=C=N基の収縮振動に起因するものでピ−クの大きさとして捉えることが可能である。
カルボジイミド変性ポリオレフィン(C)を調製する際に、2種以上のポリオレフィン系樹脂(A)を用いてもよく、また、2種以上のカルボジイミド基含有化合物(B)を用いてもよい。
また、カルボジイミド変性ポリオレフィン(C)には、本発明の目的を損なわない範囲で、公知のプロセス安定剤、耐熱安定剤、耐熱老化剤、フィラー等を添加することも可能である。
[フィラー強化樹脂用助剤(D)]
本発明のフィラー強化樹脂用助剤(D)は、前記カルボジイミド変性ポリオレフィン(C)を熱水処理し、カルボジイミド基をウレア基へと変換することで得られるウレア変性ポリオレフィンからなる。熱水処理方法としては、例えばカルボジイミド変性ポリオレフィン(C)を85℃の熱水中で216時間吸水させる方法があるが、この方法に限定されるものではない。
本発明のフィラー強化樹脂用助剤(D)は190℃または230℃での流動性に優れるものである。本発明のフィラー強化樹脂用助剤(D)の190℃または230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.01〜400g/10分、より好ましくは0.02〜300g/10分、更に好ましくは0.03〜200g/10分の範囲である。このような範囲にあると、フィラーの補強性や分散性に優れ、好ましい。
本発明のフィラー強化樹脂用助剤(D)は、前記ウレア変性ポリオレフィン100グラムにおけるウレア基の含量が1〜200mmol、好ましくは5〜150mmol、更に好ましくは10〜100mmolであり、フィラーの補強性や分散性に優れる。また、ウレア基が連続していると少量でもフィラーとの相互作用が強く好ましい。ウレア基含量が少なすぎるとフィラー補強性や分散性を発現できず、また、多すぎると成形加工性が低下したり、フィラー補強性や分散性の向上効果がそれほど上がらず経済的でなくなる。
カルボジイミド基からウレア基への変換率は、例えば、以下の方法により調査することが可能である。
カルボジイミド変性ポリオレフィン(C)とフィラー強化樹脂用助剤(D)の熱プレスシートをそれぞれ作成した後に、赤外吸収分析装置を用いて赤外線吸収チャートを測定する。得られたチャートから、カルボジイミド変性ポリオレフィン(C)およびフィラー強化樹脂用助剤(D)中のカルボジイミドのピークに起因する吸収帯(2130〜2140cm-1)の吸光度を比較して、下記式を用いて変換率を計算できる。
反応率(%)= P/Q×100
P=カルボジイミド基の強度の差(熱水処理前(C)−熱水処理後(D))
Q=熱水処理前(C)のカルボジイミド基の強度
フィラー強化樹脂用助剤(D)について上記方法で求めた変換率は、好ましくは40〜100%、より好ましくは60〜100%、更に好ましくは80〜100%の範囲にある。
また、ウレア残基量は、IR測定で1500〜1700cm-1にあるC=O基の収縮振動に起因するものでピークの大きさとして捉えることが可能である。
[未変性ポリオレフィン系樹脂(E)]
本発明に用いられる未変性ポリオレフィン系樹脂(E)は、上記(A)のポリオレフィン主鎖の項に記載したものと同様のものが例示される。また、用途、目的、フィラーの種類により選定できる。例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン・極性基含有ビニル共重合体、ポリブテン−1、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、エチレン−テトラシクロドデセン共重合体などの環状ポリオレフィンなどが挙げられる。また、それらに第3成分として、例えば、5−エチリデンノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ペンタジエンなどの非共役ジエンを用いたエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)やエチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体ゴムなども好適に用いられる。これらは単一または数種類複合して使用することができる。
この中でも、100℃に近い高温での使用や、ガソリンやオイルなど、ポリオレフィンを膨潤させるような物質に直接接触するような用途の場合には、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなど融点や結晶性が高いポリオレフィンを使用することが望ましい。その中でも特にポリプロピレンが好ましい。
上記のようなポリオレフィン系樹脂の製造は、従来から公知のいずれの方法によっても行うことができ、例えば、チタン系触媒、バナジウム系触媒、メタロセン触媒などを用いて重合することができる。
また、樹脂およびエラストマーのいずれの形態でもよく、アイソタクチック構造、シンジオタクチック構造の両者ともに使用可能であり、立体規則性についても特段の制限はない。市販の樹脂をそのまま利用することも可能である。
未変性ポリオレフィン系樹脂(E)は、本発明の目的を損なわない範囲で、混合できる他の樹脂もしくは重合体を配合することができる。
配合する他の樹脂もしくは重合体としては、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリスチレン、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、エチレン・α−オレフィン共重合ゴム、共役ジエン系ゴム、スチレン系ゴム、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は1種または2種以上を含有させることができ、好ましくはスチレン系ゴムであり、具体的にはスチレン・ブタジエン・スチレン系のSBSラバー、スチレン・ブタジエン・ブチレン・スチレン系のSBBSラバー、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン系のSEBSラバーなどが挙げられる。
前記未変性ポリオレフィン系樹脂(E)は、フィラー強化樹脂用助剤(D)と混合して用いてもよく、また、フィラー強化樹脂用助剤(D)とフィラー(G)を混練した後に混合してもよい。
[フィラー(G)]
本発明で用いられるフィラーとしては、無機フィラーおよび有機フィラーが挙げられる。
無機フィラーとしては、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、ボロン繊維、炭素繊維、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、アルミニウム粉、硫化モリブデンなどが挙げられる。さらには、上記に例示したような無機フィラーに対し、有機物を化学的に結合させたものも挙げられる。
有機フィラーとしては、全芳香族ポリアミド繊維、脂肪族ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、セルロース繊維などの繊維や、液晶ポリエステル、ポリアミドなどの微分散体などが挙げられる。さらには植物を繊維状もしくは粉体状に分解処理したものも挙げられる。
また、樹脂の強化に効果的なフィラーとして炭素繊維が挙げられる。炭素繊維としては従来公知の種々の炭素繊維を使用することができる。具体的には、ポリアクリルニトリル系、レーヨン系、ピッチ系、ポリビニルアルコール系、再生セルロース、メゾフェーズピッチから製造されたピッチ系等の炭素繊維が挙げられる。
炭素繊維の繊維径は、好ましくは3〜30μmであり、さらに好ましくは4〜10μmである。繊維径が過小であると、繊維が破損しやすいため、強化繊維束の生産性が低下することがある。また、ペレットを連続製造するときに、繊維を多数本束ねなければならなくなり、繊維束をつなぐ煩雑な手間が必要となり、生産性が低下するため好ましくない。また、ペレット長が決まっている場合は繊維径が過大であると、繊維のアスペクト比が低下することとなり、補強効果が充分発揮されなくなることがあることから好ましくない。炭素繊維のアスペクト比は5〜6000が好ましい。アスペクト比が過小であると強度が低下し、大きすぎると成形性が低下する恐れがある。炭素繊維のアスペクト比は、平均繊維径と平均繊維長から、平均繊維長/平均繊維径によって求めることができる。
炭素繊維の原料としては、連続状繊維束が用いられ、その平均繊維径は好ましくは3〜30μm、より好ましくは4〜10μmであり、フィラメント集束本数は好ましくは500〜24,000本、より好ましくは6,000〜15,000本である。
他に、炭素繊維として、チョップドストランドを用いることもできる。このチョップドストランドの長さは、好ましくは1〜20mm、繊維の径は、好ましくは3〜30μm程度、より好ましくは4〜10μmのものである。
本発明の組成物を構成する炭素繊維の繊維長は、好ましくは0.05〜200mm 、より好ましくは0.2〜50mm、さらに好ましくは4〜20mmである。
平均アスペクト比(繊維長/繊維径)は、好ましくは5〜6000、より好ましくは30〜3000、さらに好ましくは100〜2000である。
炭素繊維は、互いにほぼ同じ長さ、好ましくは2〜200mm、より好ましくは4〜20mmの長さで平行に配列していることが望ましい。
炭素繊維の表面は、酸化エッチングや被覆等で表面処理を行ったものが好ましい。酸化エッチング処理としては、空気酸化処理、酸素処理、酸化性ガスによる処理、オゾンによる処理、コロナ処理、火炎処理、(大気圧)プラズマ処理、酸化性液体(硝酸、次亜塩素酸アルカリ金属塩の水溶液、重クロム酸カリウム− 硫酸、過マンガン酸カリウム−硫酸) 等が挙げられる。炭素繊維を被覆する物質としては、炭素、炭化珪素、二酸化珪素、珪素、プラズマモノマー、フェロセン、三塩化鉄等が挙げられる。
本発明に係るフィラー(G)は、2種以上のフィラーを使用してもよい。
[フィラー強化樹脂組成物(H)]
本発明のフィラー強化樹脂組成物(H)は、フィラー強化樹脂用助剤(D)ポリオレフィン系樹脂(E)、およびフィラー(G)を含有してなる組成物である。前記フィラー強化樹脂組成物(H)は、溶融混練することにより得ることが可能であるが、この方法に限定されるものではない。以下に、溶融混練する場合の例を示す。
前記フィラー強化樹脂組成物(H)は、フィラー強化樹脂用助剤(D)、ポリオレフィン系樹脂(E)およびフィラー(G)を同時に、または逐次的に、たとえばヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラーブレンダー、リボンブレンダーなどに装入して混練した後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融混練することによって得られる。これらのうちでも、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混練性能に優れた装置を使用すると、各成分がより均一に分散された重合体組成物を得ることができるため好ましい。
フィラー強化樹脂用助剤(D)、ポリオレフィン系樹脂(E)およびフィラー(G)の供給方法としては、予めすべての成分を混合した後にホッパーから供給する方法、一部の成分をホッパーから供給し、ホッパー部付近から押出機先端の間の任意の部分に設置した供給口よりその他の成分を供給する方法のいずれの方法を取ることも可能である。
上記溶融混練は、混合する各成分の融点のうち、最も高い融点以上の温度、好ましくは150〜300℃、より好ましくは200〜280℃の範囲の温度で行うことができる。
その他の方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
1)前記ポリオレフィン樹脂(A)の主鎖としてポリプロピレンを用いて得られたフィラー強化樹脂用助剤(D1)をあらかじめフィラーに含浸処理、あるいはフィラー表面にコーティング処理した後に、この(D1)を用いて処理されたフィラーと、未変性ポリオレフィン系樹脂(E)としてポリプロピレン(E1)とを混練してもよい。なお、含浸処理、あるいは表面にコーティング処理する方法としては、溶融したフィラー強化樹脂用助剤(D1)をフィラー表面に被覆する、あるいは良溶媒(例:キシレン)に溶かしたフィラー強化樹脂用助剤(D1)溶液にフィラーを浸し、フィラー表面をコーティングするなどの方法が挙げられる。
2)あらかじめ前記ポリプロピレン(E1)とフィラー強化樹脂用助剤(D1)とを混練した組成物を製造し、この組成物を溶融してフィラーに被覆し、フィラー強化樹脂としてもよい。
本発明のフィラー強化樹脂組成物(H)は、フィラー強化樹脂用助剤(D)を、通常0.01〜50重量部、好ましくは0.05〜30重量部、更に好ましくは0.1〜20重量部、ポリオレフィン系樹脂(E)を、通常20〜99重量部、好ましくは30〜95重量部、更に好ましくは50〜90重量部、フィラー(G)を、通常1〜80重量部、好ましくは5〜70重量部、更に好ましくは10〜50重量部、それぞれ含有してなる組成物である(ただし、成分(E)および(G)の合計を100重量部とする)。
本発明のフィラー強化樹脂組成物(H)は、前記化合物(a)の含量が、好ましくは0.00001〜4.0重量%、より好ましくは0.00005〜3.0重量%、さらに好ましくは0.0001〜2.0重量%である。この場合、カルボジイミド基の含量は、フィラー強化樹脂組成物(H)100グラムに対して、好ましくは0.0001〜80mmol、より好ましくは0.0005〜60mmol、さらに好ましくは0.001〜40mmolであり、熱水処理後のウレア基の含量は、フィラー強化樹脂組成物(H)100グラムに対して、好ましくは0.0001〜80mmol、より好ましくは0.0005〜60mmol、さらに好ましくは0.001〜40mmolである。
また、本発明のフィラー強化樹脂組成物(H)における樹脂組成中の前記化合物(a)の含量は、好ましくは0.00001〜7.0重量%、より好ましくは0.00005〜5.0重量%、さらに好ましくは0.0001〜3.0重量%である。この場合、カルボジイミド基の含量は、フィラー強化樹脂組成物(H)における樹脂組成100グラムに対して、好ましくは0.0001〜140mmol、より好ましくは0.0005〜100mmol、さらに好ましくは0.001〜60mmolであり、熱水処理後のウレア基の含量は、フィラー強化樹脂組成物(H)における樹脂組成100グラムに対して、好ましくは0.0001〜140mmol、より好ましくは0.0005〜100mmol、さらに好ましくは0.001〜60mmolである。なお、フィラー強化樹脂組成物(H)における樹脂組成は、樹脂組成成分を溶解させて分離することで回収できる。
このような方法で得られたフィラー強化樹脂組成物(H)は、フィラーがポリオレフィン系樹脂中に非常に良好に分散しており、かつポリオレフィン系樹脂とフィラーとの界面の接着性に優れ、耐衝撃性、剛性、耐熱性などの機械物性バランスに優れる。
例えば、フィラー(G)が炭素繊維の場合、その割合が1重量部未満では、炭素繊維による樹脂の強化効果が現れず、80重量部を超えると、靱性が失われる場合がある。
また、フィラー(G)が炭素繊維の場合、炭素繊維強化エンジニアリングプラスチック並みの強度でありながら、軽量化が可能な複合材料を得ることができ、且つ成形時の流動性が良く、製品の薄肉化などに適するなどの利点がある。
本発明に係るフィラー強化樹脂組成物(H)は、2種以上のフィラー強化樹脂用助剤(D)を含んでいてもよく、2種以上のポリオレフィン系樹脂(E)を含んでいてもよく、さらに2種以上のフィラー(G)を含んでもよい。
また、本発明のフィラー強化樹脂組成物(H)には、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の軟化剤、粘着付与剤、老化防止剤、加工助剤、密着性付与剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、難燃剤、ブルーミング防止剤等を添加することも可能である。
[成形品(I)]
本発明の成形品(I)は、フィラー強化樹脂組成物(H)をそのまま、あるいは希釈材とドライブレンドして成形することで得られる。成形方法は公知のあらゆる方法が可能である。具体的には射出成形、ブロー成形、プレス成形、カレンダー成形、押出成形、スタンピングモールド成形等で製造することができる。押出成形では、シートまたはフィルム(未延伸)、パイプ、チューブ、電線などを成形することができる。特に射出成形法、プレス成形法が好ましい。
延伸フィルムは、上記のような押出シートまたは押出フィルム(未延伸)を、たとえばテンター法(縦横延伸、横縦延伸)、同時二軸延伸法または一軸延伸法で延伸することにより製造することができる。
フィラメントは、例えば溶融した組成物を、紡糸口金を通して押出すことにより製造することができる。
射出成形体は、従来公知の射出成形装置を用いて公知の条件を採用して、組成物を種々の形状に射出成形して製造することができる。
ブロー成形体は、従来公知のブロー成形装置を用いて公知の条件を採用して製造することができる。
プレス成形体としてはモールドスタンピング成形体が挙げられる。
成形後に残存するフィラーは、フィラー強化樹脂組成物(H)および成形品(I)を製造する過程で、その形状が保たれていることが好ましい。例えば炭素繊維の場合、成形後の重量平均繊維長は、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.1mm以上、さらに好ましくは1mm以上であれば、剛性、耐衝撃性および耐久性等の向上効果が得られる。
このような方法により得られる成形体は、家庭用品から工業用品に至る広い用途で用いられる。このような方法により得られる成形体としては、電気部品、電子部品、自動車用部品、機械機構部品、食品容器、フィルム、シート、繊維などが挙げられ、より具体的には、例えば、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、ファクシミリ、複写機、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子手帳、電子辞書、カード、ホルダー、文具等の事務・OA機器;洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、炬燵などの家電機器;TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレイヤー、スピーカー、液晶ディスプレイなどのAV機器;コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計などの電気・電子部品および通信機器などが挙げられる。
また、座席(詰物、表地など)、ベルト、天井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレイ、カーペット、マット、サンバイザー、ホイルカバー、タイヤ、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、吊り手、吊り手帯、電線被服材、電気絶縁材、塗料、コーティング材、上張り材、床材、隅壁、デッキパネル、カバー類、合板、天井板、仕切り板、側壁、カーペット、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、防音板、断熱板、窓材などの自動車、車両、船舶、航空機および建築用材料;衣類、カーテン、シーツ、合板、合繊板、絨毯、玄関マット、シート、バケツ、ホース、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、楽器などの生活・スポーツ用品などが挙げられる。
さらには、シャンプーや洗剤などのボトル、食用油、醤油などの調味料ボトル、ミネラルウォーターやジュースなどの飲料用ボトル、弁当箱、茶碗蒸し用椀などの耐熱食品用容器、皿、箸などの食器類、その他各種食品容器や、包装フィルム、包装袋などが挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例になんら制約されるものではない。
[各種測定方法]
本実施例等においては、以下の方法に従って測定を実施した。
<メルトフローレート(MFR)>
ASTM D1238に従い、2.16荷重の下、190℃または230℃にて測定を実施した。
<数平均分子量(Mn)>
数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。Waters社製ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC−2000型を用い、以下のようにして測定した。分離カラムは、TSKgel GMH6−HTを2本およびTSKgel GMH6−HTLを2本使用し、カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は15mg/10mLとし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106については東ソー社製を用い、1000≦Mw≦4×106についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。無水マレイン酸変性ポリプロピレンにおいては、ポリプロピレン換算により求めた。
<引張強度>
ASTM D256に従い、厚さ1/8インチの射出成形試験片(ダンベル試験片)を用いて、23℃雰囲気下で測定した。
<曲げ強度>
長さ2.5インチ、幅1/2インチ、厚さ1/8インチの射出成形試験片を用いて、スパン48mm、圧縮速度5mm/分、23℃雰囲気下で3点曲げ試験を行って測定した。
<アイゾット衝撃強度(IZOD)>
ASTM D256に従い、厚さ1/8インチの射出成形試験片(加工ノッチ)を用いて、23℃雰囲気下で測定した。
[各種成分]
実施例及び比較例において使用したポリオレフィンおよび炭素繊維を以下のとおりである。
<ポリオレフィン>
PP−1:ポリプロピレン(ランダムPP、MFR(230℃)7g/10分)
PP−2:ポリプロピレン(ホモPP、MFR(230℃)15g/10分)
<炭素繊維>
CF1:PAN系チョップドファイバー(繊維長6mm、繊維径6μm、東邦テナックス社製、商品名「HT C205 6MM」)
[実施例1]
<カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂の製造>
ポリプロピレン(PP−1)100重量部に、無水マレイン酸(和光純薬社製。以下「MAH」と称する。)1重量部、および2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(日本油脂社製、商品名「パーヘキシン25B」)0.25重量部を混合し、二軸混練機(日本製鋼所製「TEX−30」、L/D=40、真空ベント使用)を用いてシリンダー温度220℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量80g/分にて押し出し、マレイン酸変性ポリプロピレン(以下「MAH−PP1」と称する。)を得た。得られたMAH−PP1をキシレンに溶解させた後、アセトンに再沈させて精製した。精製後のMAH−PP1について、無水マレイン酸のグラフト量をIRにて測定したところ0.7重量%であった。また、数平均分子量(Mn)は28,000であった。
得られたMAH−PP1について、Mn/{(100−M)*f/M}の値は2.0であった(式中、fは無水マレイン酸の分子量98(g/mol)、Mは無水マレイン酸の含有量0.7(wt%)、MnはMAH−PP1の数平均分子量28,000である。)。
<フィラー強化樹脂用助剤組成物の製造>
上記で製造したMAH−PP1を100重量部と、カルボジイミド基含有化合物(日清紡社製、商品名「カルボジライトHMV−8CA」、カルボジイミド基当量278、分子量2500)を8.8重量部(MAH/カルボジイミド基=7.1/31.7mol/mol)とを混合し、二軸混練機(日本製鋼所製「TEX−30」、L/D=40、真空ベント使用)を用いて、シリンダー温度250℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量80g/分にて押し出し、カルボジイミド変性ポリプロピレン組成物(以下「CDI−PP1」と称する。)を得た。得られたCDI−PP1は、MFR(230℃、2.16kg荷重)は130g/10分であった。尚、IR分析によれば、マレイン酸ピークが消失していたことから反応率は100%であり、カルボジイミド基含有量は28mmol/100g(仕込み量より計算)であった。
CDI−PP1を85℃の熱水に9日間浸漬し、ウレア変性ポリプロピレン組成物からなるフィラー強化樹脂用助剤組成物(以下「UREA−PP1」と称する。)を得た。得られたUREA−PP1のMFR(230℃、2.16kg荷重)は10g/10分であった。尚、IR分析によれば、カルボジイミド基ピークが完全に消失していたことから、ウレア基含有量は28mmol/100g(仕込み量より計算)であった。
<フィラー強化樹脂組成物の製造>
上記で製造したUREA−PP1を0.5重量部と、ポリプロピレン(PP−2)を90重量部と、炭素繊維(CF1)を10重量部とを混合し、二軸混練機(テクノベル社製「KZW−15」、L/D=30)を用いて、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量30g/分にて押し出し、フィラー強化樹脂組成物を得た。フィラー強化樹脂組成物を製造するための配合処方を表1に示す。
<フィラー強化樹脂組成物を成形してなる成形品の製造>
上記で製造したフィラー強化樹脂組成物を射出成形機(日精樹脂工業株式会社製「PS20E5ASE」)を用いて、シリンダー温度230℃、金型温度40℃にて射出成形し、成形品の引張強度、曲げ強度およびIZODを測定した。結果を表1に示す。
[実施例2および3]
実施例1のフィラー強化樹脂組成物の製造において、UREA−PP1の配合量を1重量部あるいは5重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフィラー強化樹脂組成物の製造を行い、射出成形および成形品の物性測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
MAH−PP1を1重量部と、PP−2を90重量部と、CF1を10重量部とを混合し、二軸混練機を用いてシリンダー温度230℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量30g/分にて押し出し、フィラー強化樹脂組成物を得た。
得られたフィラー強化樹脂組成物を、射出成形機を用いてシリンダー温度230℃、金型温度40℃にて射出成形し、成形品の引張強度、曲げ強度およびIZODを測定した。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1のマレイン酸変性ポリプロピレンの製造において、MAHの配合量を0.05重量部、パーヘキシン25Bの配合量を0.02重量部に変更し、二軸混練機のシリンダー温度を260℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてマレイン酸変性ポリプロピレン組成物(以下「MAH−PP2」と称する。)を得た。得られたMAH−PP2の無水マレイン酸のグラフト量をIRにて測定したところ0.03重量%であった。また、数平均分子量(Mn)は29,000であった。
また、MAH−PP2について、Mn/{(100−M)*f/M}の値は0.09であった(式中、fは無水マレイン酸の分子量98(g/mol)、Mは無水マレイン酸の含有量0.03(wt%)、MnはMAH−PP2の数平均分子量29,000である。)。
実施例1と同様にして、上記で製造したMAH−PP2を100重量部と、カルボジイミド基含有化合物を0.25重量部(MAH/カルボジイミド基=0.31/0.90mol/mol)とを混合し、二軸混練機を用いて押し出し、カルボジイミド変性ポリプロピレン組成物(以下「CDI−PP2」と称する。)を得た。
CDI−PP2を85℃の熱水に9日間浸漬し、ウレア変性ポリプロピレン組成物からなるフィラー強化樹脂用助剤組成物(以下「UREA−PP2」と称する。)を得た。得られたUREA−PP2のウレア基含有量は0.79mmol/100g(仕込み量より計算)であった。
実施例2のフィラー強化樹脂組成物の製造において、フィラー強化樹脂用助剤組成物としてUREA−PP1の代わりにUREA−PP2を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、フィラー強化樹脂組成物の製造を行い、射出成形および成形品の物性測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
PP−2を100重量部と、MAHを30重量部と、ジクミルパーオキサイド(日本油脂社製、商品名「パークミルD」)を5重量部とを混合し、トルエン溶液中にて5時間の反応を行い、マレイン酸変性ポリプロピレン組成物(以下「MAH−PP3」と称する。)を得た。得られたMAH−PP3の無水マレイン酸のグラフト量をIRにて測定したところ5.0重量%であった。また、数平均分子量(Mn)は18,000であった。
得られたMAH−PP3について、Mn/{(100−M)*f/M}の値は10であった(式中、fは無水マレイン酸の分子量98(g/mol)、Mは無水マレイン酸の含有量5.0(wt%)、MnはMAH−PP3の数平均分子量18,000である。)。
上記で製造したMAH−PP3を100重量部と、カルボジイミド基含有化合物を200重量部(MAH/カルボジイミド基=50.9/719mol/mol)とを混合し、二軸混練機を用いて押し出し、カルボジイミド変性ポリプロピレン組成物(以下「CDI−PP3」と称する。)を得た。押し出した樹脂の様子は、ややゲル化を伴っていた。
CDI−PP3を85℃の熱水に9日間浸漬し、ウレア変性ポリプロピレン組成物からなるフィラー強化樹脂用助剤(以下「UREA−PP3」と称する。)を得た。得られたUREA−PP3のウレア基含有量は210mmol/100g(仕込み量より計算)であった。
実施例2のフィラー強化樹脂組成物の製造において、フィラー強化樹脂用助剤組成物としてUREA−PP1の代わりにUREA−PP3を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、フィラー強化樹脂組成物の製造を行い、射出成形および成形品の物性測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2018027999
表1の結果から、UREA−PP1を用いた実施例では、MAH−PP1を用いた比較例1よりも、引張強度、曲げ強度およびIZODが向上したことがわかる。これは、ウレア基が炭素繊維の表面官能基と反応し、炭素繊維とポリプロピレンとの間で強い結合を形成したためと考えられる。
比較例2では、用いたUREA−PP2の原料であるMAH−PP2のMn/{(100−M)*f/M}の値が0.09と低かったことから、UREA−PP2のウレア基含有量が0.79mmol/100gと低くなったため、引張強度、曲げ強度およびIZODが実施例よりも劣る結果となったと考えられる。
比較例3では、用いたUREA−PP3の原料であるMAH−PP3のMn/{(100−M)*f/M}の値が10と高かったことから、ゲル化をできるだけ抑制するためにカルボジイミド基含有化合物を調整してUREA−PP3を製造したが、ややゲル化を伴うなど製造困難であった。このようにして得られたUREA−PP3を用いた比較例3は、引張強度、曲げ強度およびIZODが実施例よりも劣る結果であった。

Claims (9)

  1. ウレア変性ポリオレフィンからなり、該ウレア変性ポリオレフィン100グラムにおけるウレア基の含量が1〜200mmolであることを特徴とするフィラー強化樹脂用助剤(D)。
  2. 請求項1に記載のフィラー強化樹脂用助剤(D)の製造方法であって、
    カルボジイミド基と反応する基を有するポリオレフィン系樹脂(A)と、カルボジイミド基含有化合物(B)とを反応させてカルボジイミド変性ポリオレフィン(C)を得る工程、および、
    該カルボジイミド変性ポリオレフィン(C)を熱水処理することにより、カルボジイミド基がウレア基に変換されたウレア変性ポリオレフィンを得る工程
    を含むことを特徴とするフィラー強化樹脂用助剤(D)の製造方法。
  3. 前記ポリオレフィン系樹脂(A)が、ポリオレフィンに、カルボジイミド基と反応する基を有する化合物(a)を導入することにより得られ、かつ、下記式(1)を満たす重合体であることを特徴とする請求項2に記載のフィラー強化樹脂用助剤(D)の製造方法。
    0.1<Mn/{(100−M)*f/M}<6 (1)
    (式中、fは、前記化合物(a)の分子量(g/mol)であり、
    Mは、前記ポリオレフィン系樹脂(A)中の前記化合物(a)の含有量(wt%)であり、
    Mnは、前記ポリオレフィン系樹脂(A)の数平均分子量である。)
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂(A)が、マレイン酸基を有するポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項2または3に記載のフィラー強化樹脂用助剤(D)の製造方法。
  5. 請求項1に記載のフィラー強化樹脂用助剤(D)0.01〜50重量部、
    未変性ポリオレフィン系樹脂(E)20〜99重量部、および、
    フィラー(G)1〜80重量部(ただし、成分(E)および(G)の合計を100重量部とする。)を含有することを特徴とするフィラー強化樹脂組成物(H)。
  6. 前記未変性ポリオレフィン系樹脂(E)がポリプロピレン樹脂(E1)であることを特徴とする請求項5に記載のフィラー強化樹脂組成物(H)。
  7. 前記フィラー(G)が炭素繊維であることを特徴とする請求項5または6に記載のフィラー強化樹脂組成物(H)。
  8. 前記フィラー強化樹脂組成物(H)中の樹脂成分に含まれるウレア基の含量が、該樹脂成分100グラムに対して0.0001〜140mmolであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のフィラー強化樹脂組成物(H)
  9. 請求項5〜8のいずれか1項に記載のフィラー強化樹脂組成物(H)を成形してなる成形品(I)。
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