JP7428562B2 - 繊維強化樹脂組成物およびそれを含む成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化樹脂組成物およびそれを含む成形体に関する。
熱可塑性樹脂に各種強化繊維を分散させた繊維強化樹脂は、強度や剛性、耐衝撃性、耐熱性が高く、様々な用途に用いられている。特許文献1には、ポリプロピレンと、ポリアミドまたはポリフェニレンスルフィドと、アミノシラン処理したガラス繊維とを特定の比率で組み合わせて含む繊維強化樹脂組成物が、高い熱変形温度を示すことが開示されている。
特開2003-231758号公報
長時間に亘って大きな力が加わる材料用途では、繊維強化樹脂組成物には、長時間使用しても材料が変形しない特性が求められる。しかしながら、特許文献1の繊維強化樹脂組成物では、高荷重下における熱変形温度は充分高いわけではない。また、特許文献1には、繊維強化樹脂組成物に変性ポリプロピレン樹脂のような相溶化剤を添加すると、熱変形温度が改善されないおそれがあると記載されている。しかしながら、相溶化剤を添加しない場合は、長期物性(例えば耐引張クリープ性)が劣ることがある。
本発明の課題は、高荷重下における耐熱変形性に優れ、相溶化剤を含みながら耐熱変形性と耐引張クリープ性とのバランスに優れた樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく検討した結果、以下に記載の繊維強化樹脂組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下の[1]~[8]に関する。
[1]ポリオレフィン樹脂(A)と、ポリアミド樹脂(B1)およびポリエステル樹脂(B2)から選ばれる少なくとも1種の樹脂(B)と、強化繊維がウレタン系集束剤により表面処理された繊維(C)と、変性ポリオレフィン樹脂(D)とを含有する繊維強化樹脂組成物であり、前記樹脂(A)、前記樹脂(B)および前記繊維(C)の含有量の合計100質量部中、前記樹脂(A)の含有量が5~60質量部であり、前記樹脂(B)の含有量が5~60質量部であり、前記繊維(C)の含有量が10~70質量部であり、前記樹脂(A)、前記樹脂(B)および前記繊維(C)の含有量の合計100質量部に対して、前記変性ポリオレフィン樹脂(D)の含有量が0.05~0.95質量部である、繊維強化樹脂組成物。
[2]前記樹脂(B)が前記ポリアミド樹脂(B1)である、前記[1]に記載の繊維強化樹脂組成物。
[3]前記ポリアミド樹脂(B1)がポリアミド6である、前記[1]または[2]に記載の繊維強化樹脂組成物。
[4]前記樹脂(A)および前記樹脂(B)の含有量の合計100質量部中、前記樹脂(B)の含有量が8~92質量部である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物。
[5]前記樹脂(A)がポリプロピレンである、前記[1]~[4]のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物。
[6]前記強化繊維がガラス繊維および炭素繊維から選ばれる少なくとも1種である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物。
[7]前記[1]~[6]のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物を含む成形体。
[8]自動車部品である、前記[7]に記載の成形体。
本発明によれば、高荷重下における耐熱変形性に優れ、相溶化剤を含みながら耐熱変形性と耐引張クリープ性とのバランスに優れた樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[繊維強化樹脂組成物]
本実施形態の繊維強化樹脂組成物(以下「組成物(I)」ともいう)は、
ポリオレフィン樹脂(A)と、
ポリアミド樹脂(B1)およびポリエステル樹脂(B2)から選ばれる少なくとも1種の樹脂(B)と、
強化繊維がウレタン系集束剤により表面処理された繊維(C)と、
変性ポリオレフィン樹脂(D)と
を含有する。
<ポリオレフィン樹脂(A)>
ポリオレフィン樹脂(A)(以下「樹脂(A)」ともいう)としては、例えば、α-オレフィン、環状オレフィン、非共役ジエン、芳香族オレフィン等のオレフィンの重合体であり、α-オレフィンを主成分とする重合体が好ましい。α-オレフィンを主成分とする重合体とは、重合体中のα-オレフィン由来の構成単位の含有量が、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上であることを意味する。上記構成単位の含有量は、例えば13C-NMR法により測定することができる。
α-オレフィンとしては、例えば、炭素数2~20のα-オレフィン、好ましくは炭素数2~10のα-オレフィン、より好ましくは炭素数2~8のα-オレフィンが挙げられる。具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンが挙げられる。α-オレフィンは1種または2種以上用いることができる。
ポリオレフィン樹脂(A)としては、エチレン単独重合体、エチレンとその他のα-オレフィンとの共重合体等のポリエチレン;プロピレン単独重合体、プロピレンとその他のα-オレフィンとの共重合体等のポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましく、プロピレン単独重合体が特に好ましい。ポリエチレン中のエチレン由来の構成単位の含有量は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。ポリプロピレン中のプロピレン由来の構成単位の含有量は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
ポリオレフィン樹脂(A)としては、ポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレンの示差走査熱量計(昇温速度:10℃/min)により測定される融点は、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下である。
ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレート(MFR;JIS K7210準拠、2.16kg荷重)は、好ましくは0.01g/10min以上、より好ましくは0.1g/10min以上、さらに好ましくは1g/10min以上、よりさらに好ましくは10g/10min以上であり、好ましくは500g/10min以下、より好ましくは300g/10min以下、さらに好ましくは100g/10min以下である。MFRの測定温度は重合体種により異なり、例えばポリプロピレンの場合は通常は230℃であり、ポリエチレンの場合は通常は190℃である。
樹脂(A)は1種または2種以上用いることができる。すなわち、樹脂(A)は、上記オレフィン重合体を1種用いてもよく、上記オレフィン重合体の2種以上の混合物であってもよい。
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、ポリアミド樹脂(B1)およびポリエステル樹脂(B2)から選ばれる少なくとも1種の樹脂であり、ポリアミド樹脂(B1)が好ましい。樹脂(B)は、組成物(I)を含む成形体の耐熱性、長期耐久性、機械物性を向上させる成分である。
≪ポリアミド樹脂(B1)≫
ポリアミド樹脂(B1)としては、例えば、アミノ基およびカルボキシ基を有する化合物ならびにその脱水縮合物から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸系単量体の重合体、ジアミンとジカルボン酸との共重合体、上記アミノ酸系単量体とジアミンとジカルボン酸との共重合体が挙げられる。
上記アミノ酸系単量体としては、例えば、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸、アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等のアミノ酸;ε-カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ω-ラウリルラクタム等のラクタムが挙げられる。上記アミノ酸系単量体は1種または2種以上用いることができる。
ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,13-ジアミノトリデカン、1,14-ジアミノテトラデカン、1,15-ジアミノペンタデカン、1,16-ジアミノヘキサデカン、1,17-ジアミノヘプタデカン、1,18-ジアミノオクタデカン、1,19-ジアミノノナデカン、1,20-ジアミノエイコサン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン(2M-5)、2-メチル-1,8-ジアミノオクタン(2M-8)等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン等の脂環式ジアミン;キシリレンジアミン(p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン等)等の芳香族ジアミンが挙げられる。ジアミンは1種または2種以上用いることができる。
ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸は1種または2種以上用いることができる。
ポリアミド樹脂(B1)としては、具体的には、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド614、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T、ポリアミドM5T、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド10T、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T/66、ポリアミド6T/6I、ポリアミド6T/6I/66、ポリアミド6T/2M-5T、ポリアミド9T/2M-8Tが挙げられる。これらの中でも、ポリアミド6、ポリアミド66が好ましく、ポリアミド6がより好ましい。
ポリアミド樹脂(B1)のMFR(JIS K7210準拠、2.16kg荷重)は、好ましくは1g/10min以上、より好ましくは5g/10min以上、さらに好ましくは10g/10min以上、よりさらに好ましくは20g/10min以上であり、好ましくは500g/10min以下、より好ましくは300g/10min以下、さらに好ましくは100g/10min以下である。MFRの測定温度は重合体種により異なり、例えばポリアミド6の場合は通常は230℃であり、ポリアミド66の場合は通常は270℃である。
ポリアミド樹脂(B1)の示差走査熱量計(昇温速度:10℃/min)により測定される融点は、好ましくは200℃以上、より好ましくは210℃以上、さらに好ましくは220℃以上であり、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは270℃以下である。
ポリアミド樹脂(B1)は1種または2種以上用いることができる。
≪ポリエステル樹脂(B2)≫
ポリエステル樹脂(B2)は、ポリカルボン酸およびその無水物から選ばれる少なくとも1種と、ポリオールとの共重合体で、かつ末端を含む分子骨格中に親水基を有する樹脂であり、公知の方法により製造できる。親水基としては、例えば、ポリアルキレンオキサイド基、スルホン酸塩、カルボキシ基、これらの中和塩が挙げられる。
ポリカルボン酸およびその無水物としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3官能以上のポリカルボン酸およびこれらの無水物が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸およびその無水物としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸が挙げられる。
スルホン酸塩含有芳香族ジカルボン酸としては、例えば、スルホテレフタル酸塩、5-スルホイソフタル酸塩、5-スルホオルトフタル酸塩が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸および脂環式ジカルボン酸ならびにこれらの無水物としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸が挙げられる。
3官能以上のポリカルボン酸およびその無水物としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸が挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、ジオール、3官能以上のポリオールが挙げられる。ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。3官能以上のポリオールとしては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
ポリエステル樹脂(B2)は、ヒドロキシ基およびカルボキシ基を有する化合物ならびにその脱水縮合物から選ばれる少なくとも1種の単量体の重合体であってもよい。ヒドロキシ基およびカルボキシ基を有する化合物としては、例えば、乳酸が挙げられる。
ポリエステル樹脂(B2)としては、具体的には、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸が挙げられる。
ポリエステル樹脂(B2)のMFR(JIS K7210準拠、2.16kg荷重)は、好ましくは0.1g/10min以上、より好ましくは1g/10min以上、さらに好ましくは10g/10min以上であり、好ましくは500g/10min以下、より好ましくは300g/10min以下、さらに好ましくは100g/10min以下である。MFRの測定温度は重合体種により異なり、例えばポリブチレンテレフタレートの場合は通常は230℃であり、ポリエチレンテレフタレートの場合は通常は270℃である。
ポリエステル樹脂(B2)の示差走査熱量計(昇温速度:10℃/min)により測定される融点は、好ましくは200℃以上、より好ましくは210℃以上であり、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下である。
ポリエステル樹脂(B2)は1種または2種以上用いることができる。
<繊維(C)>
組成物(I)は、強化繊維をウレタン系集束剤(ウレタン系表面処理剤)により表面処理して得られる繊維(C)を含有する。
強化繊維としては、有機繊維および無機繊維のどちらを用いてもよい。例えば、ガラス繊維;炭素繊維;アルミニウム繊維、アルミニウム合金繊維、銅繊維、黄銅繊維、鋼繊維、ステンレス鋼繊維、チタン繊維などの金属繊維;綿繊維、絹繊維、木質繊維、セルロース繊維などの天然繊維;炭化ケイ素繊維、チッ化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維などのセラミック繊維;全芳香族ポリアミド(アラミド)、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリカーボネート、全芳香族ポリアゾメチン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリ(パラ-フェニレンベンゾビスチアゾール)、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリアリレート、フッ素系ポリマーなどの合成樹脂からなる合成繊維が挙げられる。これらの中では、ガラス繊維、炭素繊維が好ましく、ガラス繊維がより好ましい。
強化繊維は、短繊維であってもよく、長繊維であってもよい。短繊維は、チョップドファイバー(カットファイバー)状短繊維でも、フィブリルを有するパルプ状短繊維でもよい。また、強化繊維は、単繊維であってもよく、単繊維を複数本撚り合わせたものであってもよい。
強化繊維の平均繊維長は、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.1mm以上、さらに好ましくは1mm以上であり、好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下、さらに好ましくは30mm以下である。このような態様であると、強化繊維による機械的物性の補強効果が充分発現される傾向にあり、また、組成物中の強化繊維の分散性、よって外観が良好となる傾向にある。強化繊維の繊維数全体に対して、繊維長が0.1mm未満である繊維数の割合は、好ましくは18%以下である。
強化繊維の平均繊維径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上であり、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。このような態様であると、成形時に強化繊維が破損し難くなり、また、得られる成形体の衝撃強度が高くなる傾向にあり、また、成形体の外観が良好となり、成形体の剛性、耐熱性などの機械的物性に充分な補強効果が得られる傾向にある。
平均繊維長および平均繊維径は、例えば、光学顕微鏡により強化繊維の写真撮影を行い、得られた写真において無作為に選んだ100個の強化繊維の長さまたは径を測定し、それぞれを算術平均することにより求めることができる。
ガラス繊維としては、例えば、Aガラス、Cガラス、Dガラス、Eガラス、Sガラスなどのガラス組成からなる繊維が挙げられ、特に、Eガラス(無アルカリガラス)のガラス組成からなる繊維が好ましい。
ガラス繊維は、単繊維であってもよく、単繊維を複数本撚り合わせたものであってもよい。ガラス繊維の形態は、例えば、単繊維や複数本撚り合わせたものを連続的に巻き取った「ガラスロービング」、長さ1~10mmに切りそろえた「チョップドストランド」、長さ10~500μm程度に粉砕した「ミルドファイバー」などのいずれであってもよい。
炭素繊維としては、公知の種々の炭素繊維を使用することができ、例えば、ポリアクリルニトリル系、レーヨン系、ピッチ系、ポリビニルアルコール系、再生セルロース系、メゾフェーズピッチから製造されたピッチ系等の炭素繊維が挙げられる。炭素繊維は汎用繊維でよく、高強度繊維でもよい。また、炭素繊維は、長繊維、短繊維、リサイクル繊維であってもよい。
強化繊維がウレタン系集束剤により表面処理された繊維(C)を用いることで、樹脂(B)と繊維(C)との界面を安定化でき、したがって、繊維強化樹脂組成物を含む成形体の高い耐熱性を保ちつつ、長期物性である耐引張クリープ性を向上させることができる。例えば強化繊維が酸変性ポリプロピレン系集束剤により表面処理された繊維を用いた場合は、ポリオレフィン樹脂(A)と繊維(C)との界面が安定化され、耐熱性が低い傾向にある。
ウレタン系集束剤は、例えば、高分子ポリオールと、有機ジイソシアネートと、必要により鎖伸長剤および/または架橋剤とから誘導されるウレタン樹脂を含む。
高分子ポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリネオペンチルテレフタレートジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール等のポリエステルポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノール類の炭素数2~4のアルキレンオキシド付加物等のポリエーテルポリオールが挙げられる。高分子ポリオールは1種または2種以上用いることができる。
有機ジイソシアネートとしては、例えば、2,4’-又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,3-又は1,4-フェニレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。有機ジイソシアネートは1種または2種以上用いることができる。
鎖伸長剤および架橋剤としては、例えば、数平均分子量が60~500の活性水素含有化合物、例えば多価アルコール、多価フェノール類、ポリアミンが挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,2-ビス(4,4'-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α-メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース、ショ糖等の4~8価のアルコールが挙げられる。多価フェノール類としては、例えば、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン等の多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類が挙げられる。ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;イソホロンジアミン、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環族ポリアミン;4,4'-ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン;キシリレンジアミン等の芳香環含有脂肪族ポリアミン;ヒドラジンおよびその誘導体が挙げられる。鎖伸長剤および架橋剤はそれぞれ1種または2種以上用いることができる。
ウレタン系集束剤は、必要に応じて、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、ボラン系カップリング剤、硬化触媒、潤滑剤、充填剤、チキソ付与剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、発泡剤、pH調整剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、分散安定剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、耐熱性付与剤、無機充填剤、有機充填剤、可塑剤、補強剤、抗菌剤、防カビ剤、防錆剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、顔料、染料、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、結晶水含有化合物、難燃剤、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤、顔料分散剤、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤などから選ばれる少なくとも1種の成分を含んでいてもよい。
ウレタン系集束剤におけるウレタン樹脂の含有量は0.5~5.0質量%であることが好ましい。ウレタン樹脂の含有量が0.5質量%以上であると、ウレタン樹脂が強化繊維全体を充分に被覆することができ、所望の効果が得られる傾向にある。一方、ウレタン樹脂の含有量が5.0質量%以下であると、成形時に分解ガスが発生するおそれが小さい。
ウレタン系集束剤で使用可能な溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトンが挙げられる。ウレタン系集束剤は、上記ウレタン樹脂および上記溶媒を含む溶液またはエマルションであってもよい。
ウレタン系集束剤を用いた強化繊維の表面処理方法としては、例えば、ウレタン系集束剤をアプリケーター等で強化繊維の表面に塗布する方法、ウレタン系集束剤に強化繊維を浸漬する方法、ウレタン系集束剤を霧状にして強化繊維に吹き付ける方法、ウレタン系集束剤の付着したローラに強化繊維を接する方法が挙げられる。また、上記表面処理方法は、バッチ式および連続式のいずれでもよい。
繊維(C)におけるウレタン系集束剤の質量割合、すなわち強熱減量は、0.1~1.5質量%であることが好ましい。ウレタン系集束剤の質量割合(強熱減量)は、例えば、アプリケーターなどによってウレタン系集束剤を強化繊維に塗布し、乾燥させることにより完全に揮発性物質を揮発させて得られた繊維について測定される。強化繊維表面に塗布されたウレタン系集束剤の強熱減量が0.1質量%以上である場合には、上述した樹脂(B)と繊維(C)との界面を安定化でき、耐熱性を発現できるため好ましい。一方、強化繊維表面に塗布されたウレタン系集束剤の強熱減量が1.5質量%以下である場合には、耐熱性などの物性向上が認められるため好ましい。
繊維(C)におけるウレタン系集束剤の強熱減量は、JIS R 3420(2006)7.3.2に従い測定した値である。
表面処理後の強化繊維は所定本数に集束され、巻き取った後、必要に応じて切断および/または粉砕し、チョップドストランド、ミルドファイバー、ヤーン、ロービング等に加工してもよい。
繊維(C)は1種または2種以上用いることができる。
<変性ポリオレフィン樹脂(D)>
変性ポリオレフィン樹脂(D)は、ポリオレフィン樹脂(A)と樹脂(B)との相互作用性を向上させ(例えば樹脂(A)と樹脂(B)との相溶化剤として作用し)、組成物(I)を含む成形体の耐熱変形性および耐引張クリープ性を向上させる成分である。
変性ポリオレフィン樹脂(D)は、例えば、ポリオレフィン樹脂(D1)を、不飽和カルボン酸およびその誘導体から選ばれる少なくとも1種の成分(D2)で変性して得られる樹脂である。
ポリオレフィン樹脂(D1)としては、例えば、<ポリオレフィン樹脂(A)>の項目に記載したポリオレフィン樹脂を用いることができ、ポリプロピレンが好ましい。ポリオレフィン樹脂(D1)は1種または2種以上用いることができる。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ソルビン酸、アンゲリカ酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、テトラヒドロフタル酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸が挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば、不飽和カルボン酸の、酸無水物、酸ハライド、エステル、アミド、イミド、金属塩が挙げられ、具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物、塩化マレニル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル、アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウムが挙げられる。これらの中でも、不飽和ジカルボン酸およびその誘導体が好ましく、不飽和ジカルボン酸およびその無水物がより好ましく、マレイン酸、無水マレイン酸がさらに好ましい。成分(D2)は1種または2種以上用いることができる。
上記変性の方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、ポリオレフィン樹脂(D1)に成分(D2)をグラフトさせる方法が挙げられる。具体的には、グラフト主鎖となるポリオレフィン樹脂(D1)に、ラジカル重合開始剤の存在下、成分(D2)をグラフトさせる。
グラフト方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、溶液法、溶融混練法が挙げられる。例えば、ポリオレフィン樹脂(D1)を溶媒に懸濁させ、あるいは溶解させて、通常、80~200℃の温度で、成分(D2)およびラジカル重合開始剤を添加混合してグラフト重合させる方法;ポリオレフィン樹脂(D1)の融点以上、例えば、180~300℃の温度で溶融混練下に成分(D2)およびラジカル重合開始剤を接触させる方法が挙げられる。
溶液法で用いられる上記溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶媒;トリクロロエチレン、パークロロエチレン、ジクロロエチレン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素系溶媒;エタノール、イソプロパノール等の脂肪族アルコール系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒が挙げられる。溶媒は1種または2種以上用いることができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m-トリオイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、(2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ラウロイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシアセテート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシフェニルアセテート、t-ブチルパーオキシ-s-オクテート、t-ブチルパーオキシピバレート、クミルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシエチルアセテートが挙げられる。アゾ化合物としては、例えば、アゾイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートが挙げられる。ラジカル重合開始剤は1種または2種以上用いることができる。
変性ポリオレフィン樹脂(D)は、例えば、オレフィンと成分(D2)とを共重合することによっても得ることができる。オレフィンとしては、上述のポリオレフィン樹脂(D1)を形成する場合のオレフィンを用いることができる。上記共重合の方法としては、例えば、従来公知のラジカル共重合法を用いることができる。
変性ポリオレフィン樹脂(D)中の成分(D2)由来の構造の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。上記含有量は、例えばマレイン酸変性ポリオレフィン樹脂である場合は、当該樹脂の赤外吸収スペクトルを測定し、1670~1810cm-1のピーク面積に基づき別途作成した検量線から決定することができる。マレイン酸以外の成分(D2)を用いる場合も、上記含有量は赤外吸収分光法等により決定することができる。
変性ポリオレフィン樹脂(D)としては、変性ポリプロピレンおよび変性ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種の樹脂が好ましく、マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリエチレンおよび無水マレイン酸変性ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種の樹脂がより好ましく、マレイン酸変性ポリプロピレンおよび無水マレイン酸変性ポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種の樹脂がさらに好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂(D)は1種または2種以上用いることができる。
<他の成分>
組成物(I)は、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、ポリオレフィン樹脂(A)、樹脂(B)および変性ポリオレフィン樹脂(D)以外の他の熱可塑性樹脂、難燃剤、難燃助剤、充填剤、着色剤、抗菌剤、帯電防止剤が挙げられる。これらは1種または2種以上用いることができる。
他の熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン共重合体(SEPS)等のスチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤(例:ハロゲン化芳香族化合物)、リン系難燃剤(例:窒素含有リン酸塩化合物、リン酸エステル)、窒素系難燃剤(例:グアニジン、トリアジン、メラミンおよびこれらの誘導体)、無機系難燃剤(例:金属水酸化物)、ホウ素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、硫黄系難燃剤、赤リン系難燃剤が挙げられる。
難燃助剤としては、例えば、各種アンチモン化合物、亜鉛を含む金属化合物、ビスマスを含む金属化合物、水酸化マグネシウム、粘土質珪酸塩が挙げられる。
充填剤としては、例えば、ガラス成分(例:ガラスビーズ、ガラスフレーク)、シリカ、黒鉛、珪酸化合物(例:珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー)、金属酸化物(例:酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、アルミナ)、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等の金属の炭酸塩および硫酸塩が挙げられる。
着色剤としては、例えば、顔料、染料が挙げられる。
<各成分の含有量>
組成物(I)を用いることで、高荷重下における高い耐熱変形性を保ちつつ、耐引張クリープ性、曲げ弾性率および曲げ強度に優れる成形体を製造することができる。
組成物(I)中の各成分の好ましい含有量は、以下のとおりである。
樹脂(A)、樹脂(B)および繊維(C)の含有量の合計100質量部中、樹脂(A)の含有量は、5質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上であり;60質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは33質量部以下、とりわけ好ましくは27質量部以下である。樹脂(A)の含有量が5~60質量部であると、コスト、比重に優れる。
樹脂(A)、樹脂(B)および繊維(C)の含有量の合計100質量部中、樹脂(B)の含有量は、5質量部以上、好ましくは10質量部以上であり;60質量部以下、好ましくは50質量部以下である。樹脂(B)の含有量が5~60質量部であると、得られる成形体は耐熱性、耐引張クリープ性に優れる。
樹脂(A)、樹脂(B)および繊維(C)の含有量の合計100質量部中、繊維(C)の含有量は、10質量部以上、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは35質量部以上であり;70質量部以下、好ましくは60質量部以下である。繊維(C)の含有量が10~70質量部であると、得られる成形体は曲げ弾性率、曲げ強度に優れる。
樹脂(A)、樹脂(B)および繊維(C)の含有量の合計100質量部に対して、変性ポリオレフィン樹脂(D)の含有量は、0.05質量部以上、好ましくは0.1質量部以上であり;0.95質量部以下、好ましくは0.7質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。変性ポリオレフィン樹脂(D)の含有量が0.05~0.95質量部である場合は、含有量がこの範囲外である場合に比べて、成形体の高荷重下における高い耐熱変形性が維持され、かつ、成形体の耐引張クリープ性が向上する。
樹脂(A)および樹脂(B)の含有量の合計100質量部中、樹脂(B)の含有量は、好ましくは8質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは33質量部以上、よりさらに好ましくは45質量部以上、特に好ましくは55質量部以上であり;好ましくは92質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは75質量部以下である。樹脂(A)および樹脂(B)の合計に対する樹脂(B)の含有量が8~92質量部であると、得られる成形体は耐熱性および耐引張クリープ性に優れる。
組成物(I)全体100質量%中、樹脂(A)、樹脂(B)、繊維(C)および変性ポリオレフィン樹脂(D)の合計含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
<繊維強化樹脂組成物の製造方法>
組成物(I)は、上述した各成分を溶融混練して製造することができる。溶融混練温度は、含有成分の樹脂(例:樹脂(A)、樹脂(B)、樹脂(D))が溶融する温度より例えば5~100℃高い温度であり、好ましくは含有成分の樹脂のうち最も高い融点を有する樹脂の当該融点より10~60℃高い温度である。また、溶融混練処理時間は、例えば30秒以上15分以下、好ましくは1~10分である。
組成物(I)は、短繊維強化樹脂ペレットでも長繊維強化樹脂ペレットでもよい。
組成物(I)が短繊維強化樹脂ペレットである場合は、押出機等に上記した各成分をロールミル、バンバリーミキサー、ニーダー等でよく溶融混練分散して製造できる。タンブラー式ブレンダー、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー等でドライブレンドし、一軸押出機、二軸押出機等で溶融混練してペレット状の成形材料としてもよい。この方法では、繊維(C)は、押出機のトップ又はサイドの何れから投入してもよい。また、この方法では、繊維(C)以外の各成分の全部又は一部を別途溶融混練した後、繊維(C)と溶融混練してもよい。
組成物(I)が長繊維強化樹脂ペレットである場合は、引き抜き法等の公知の方法で製造することができる。上記した各成分の一部を別途溶融混練した後、残りの成分を加えて溶融混練してもよい。例えば、ガラス繊維ロービングを含浸ダイスに導き、フィラメント間に溶融樹脂を均一に含浸させた後、必要長さに切断することによってペレタイズすることが可能である。
[成形体]
組成物(I)は、通常の射出成形、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、成形体に加工することが可能である。射出成形の場合、例えば、上述の短繊維強化樹脂ペレットまたは長繊維強化樹脂ペレットを用いて射出成形を行うことができる。その場合、短繊維強化樹脂ペレットまたは長繊維強化樹脂ペレットを射出成形機のホッパーからフィードする際に、その他の樹脂、例えば<ポリオレフィン樹脂(A)>の項目に記載したポリオレフィン樹脂をさらに加えることもできる。また、短繊維強化樹脂ペレットまたは長繊維強化樹脂ペレットを射出成形機のベンド口等からサイドフィードし、ホッパーからはその他の樹脂、例えば<ポリオレフィン樹脂(A)>の項目に記載したポリオレフィン樹脂をフィードして射出成形機内で混合し、成形することもできる。
また、短繊維強化樹脂ペレットおよび長繊維強化樹脂ペレットを経ることなく、ポリオレフィン樹脂(A)、樹脂(B)、繊維(C)および変性ポリオレフィン樹脂(D)を射出成形機内にて溶融混練して成形を行うこともできる。その場合、繊維(C)は射出成形機のホッパーからフィードしてもよく、ベント口等からサイドフィードしてもよい。
本実施形態の成形体は、組成物(I)を含む。例えば、本実施形態の成形体は、その全体が組成物(I)から形成されていてもよく、組成物(I)から形成された部分を含んでいてもよい。
上記成形体は、日用品およびレクリエーション用途などの家庭用品から一般産業用途、工業用品に至る、広い用途で用いられる。例えば、家電材料部品、通信機器部品、電気部品、電子部品、自動車部品、自動車以外の車両の部品、船舶、航空機材料、機械機構部品、建材関連部材、土木部材、農業資材、電動工具部品、食品容器、フィルム、シート、繊維が挙げられる。
自動車部品としては、耐熱性の向上が見られるためパワートレイン部品、耐引張クリープ性が向上するため機構部品、曲げ特性の改良が見られるため外板部品など種々の部位に展開できるが、その他の部位にも適用可能である。具体的に部品名を挙げると、インテークマニホールド、オイルパン、シリンダーヘッド、シリンダーヘッドカバー、エンジンカバー、シュラウド、ミラーブラケット、内装コンソール、サンルーフ、サンルーフフレーム、フロントドア、バックドア、スライドドア、フロントエンドモジュール、ドアモジュール、フェンダー、ホイルキャップ、ガソリンタンク、ベルト、天井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレイ、サンバイザー、ホイルカバー、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、電線被服材、電気絶縁材、上張り材、床材、隅壁、デッキパネル、カバー類、合板、天井板、仕切り板、側壁、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、防音板、断熱板が挙げられる。
家電材料部品、通信機器部品、電気部品、電子部品としては、例えば、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、小型情報端末機(PDA)、ヘッドホンステレオ、携帯電話、電話機、ファクシミリ、複写機、電子式金銭登録機(ECR)、電卓、電子手帳、電子辞書、カード、ホルダー、文具等の事務・OA機器;洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、炬燵などの家電機器;TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレイヤー、スピーカー、液晶ディスプレイなどのAV機器;コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計が挙げられる。
日用品としては、例えば、合板、合繊板、バケツ、容器、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、自転車、楽器などの生活・スポーツ用品が挙げられる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下の説明において、「部」は「質量部」を表す。
[実施例1]
ポリオレフィン樹脂(A)としてポリプロピレン[PP、プライムポリマー社製、品番「J137G」、融点160℃、MFR(230℃、2.16kg荷重)=30g/10min]21部と、ポリアミド樹脂(B1)としてポリアミド6[PA6、宇部興産社製、品番「1013B」、融点225℃、MFR(230℃、2.16kg荷重)=40g/10min]39部と、変性ポリオレフィン樹脂(D)としてマレイン酸変性ポリプロピレン[変性PP、三井化学社製、品番「AT2606」、マレイン酸由来の構造の含有量0.3質量%]0.1部とをドライブレンドにより予め混合し、二軸溶融混練押出機(日本製鋼所社製「TEX25αIII-52.CW-4V」、スクリュー径26mm、L/D=53)のホッパーに供給した。一方で、繊維(C)としてウレタン系表面処理剤により表面処理されたガラス繊維チョップドストランド(GF1、長さ4mm、フィラメント直径13μm)40部を、二軸溶融混練押出機のサイドより供給した。温度250℃で加熱溶融混練を行い、繊維強化樹脂組成物を調製した。ここで、ガラス繊維を二軸溶融混練押出機のサイドより供給したのは、溶融混練によるガラス繊維の破砕を防ぎ、繊維長を出来るだけ長く保つためである。
上記により得られた繊維強化樹脂組成物を射出成形機(東芝機械社製、「EC75XIII」)を用いて、設定温度250℃、金型温度60℃の射出条件により射出成形し、上記繊維強化樹脂組成物からなる、評価試験用短冊試験片(長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm)と評価試験用ダンベル型試験片(JIS K7139(ISO 3167)に準拠)とを作製した。
[実施例2~10、比較例1~12]
配合組成を表1~表3に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様の条件にて、繊維強化樹脂組成物および試験片を作製した。表1~表3において各成分の数値は質量部基準であり、GF2は酸変性PP表面処理剤により表面処理されたガラス繊維チョップドストランド(長さ4mm、フィラメント直径13μm)、CFはウレタン系表面処理剤により表面処理された炭素繊維チョップドストランド(長さ4mm、フィラメント直径7μm)である。
<熱変形温度の評価>
評価試験用短冊試験片(長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm)を用いて、ISO 751-1(0.45MPa荷重および1.8MPa荷重)に準拠して、東洋精機製作所社製「自動HDT試験機」により熱変形温度の測定を行った。
<曲げ試験の評価>
曲げ試験は、評価試験用短冊試験片(長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm)を用いてISO 178に準拠して実施し、応力-歪み曲線における曲げ弾性率FM(MPa)と曲げ強度FS(MPa)を求めた。
<引張クリープ歪みの評価>
引張クリープ歪みの測定は、試験片としてJIS K7139の上記評価試験用ダンベル型試験片を用い、初期応力5.0MPa、試験温度80℃、試験時間100時間の条件で実施した。
Figure 0007428562000001
Figure 0007428562000002
Figure 0007428562000003

Claims (8)

  1. ポリオレフィン樹脂(A)と、
    ポリアミド樹脂(B1)およびポリエステル樹脂(B2)から選ばれる少なくとも1種の樹脂(B)と、
    強化繊維がウレタン系集束剤により表面処理された繊維(C)と、
    変性ポリオレフィン樹脂(D)と
    を含有する繊維強化樹脂組成物であり、
    前記樹脂(A)、前記樹脂(B)および前記繊維(C)の含有量の合計100質量部中、前記樹脂(A)の含有量が5~60質量部であり、前記樹脂(B)の含有量が5~60質量部であり、前記繊維(C)の含有量が10~70質量部であり、
    前記樹脂(A)、前記樹脂(B)および前記繊維(C)の含有量の合計100質量部に対して、前記変性ポリオレフィン樹脂(D)の含有量が0.05~0.95質量部である、
    繊維強化樹脂組成物。
  2. 前記樹脂(B)が前記ポリアミド樹脂(B1)である、請求項1に記載の繊維強化樹脂組成物。
  3. 前記ポリアミド樹脂(B1)がポリアミド6である、請求項1または2に記載の繊維強化樹脂組成物。
  4. 前記樹脂(A)および前記樹脂(B)の含有量の合計100質量部中、前記樹脂(B)の含有量が8~92質量部である、請求項1~3のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂組成物。
  5. 前記樹脂(A)がポリプロピレンである、請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂組成物。
  6. 前記強化繊維がガラス繊維および炭素繊維から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~5のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂組成物を含む成形体。
  8. 自動車部品である、請求項7に記載の成形体。
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