JP2015110749A - 繊維強化複合材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】
強化繊維と接着性化合物、熱可塑性樹脂を用いた強化繊維複合材料において、耐衝撃特性に優れた繊維強化複合材料を提供する。
【解決手段】
強化繊維(A)と接着性化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)を含有し、かつ、前記接着性化合物(B)が特定の構造を1分子内に2個以上有する化合物であり、熱可塑性樹脂(C)が主鎖の繰返し単位構造中に炭素以外の元素を含む熱可塑性樹脂であり、接着性化合物(B)の存在比Rbが1.2未満である繊維強化複合材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた耐衝撃特性を有する繊維強化複合材料に関する。
繊維強化複合材料(FRP)は、軽量で優れた力学特性を有しており、電気・電子機器用途、土木・建築用途、機械・機構部品用途、ロボット用途、二輪車・自動車用途、宇宙・航空用途などに広く用いられている。これらのFRPに用いられる強化繊維には、アルミニウム繊維やステンレス繊維などの金属繊維、アラミド繊維やPBO繊維などの有機繊維、およびシリコンカーバイド繊維などの無機繊維や炭素繊維などが使用されているが、比強度、比剛性にとりわけ優れ、抜群の軽量性が得られる観点から炭素繊維が好適に用いられる。
ここで、炭素繊維強化複合材料(CFRP)などFRPの代表的な形態として、プリプレグ、またはプリプレグを積層して得られるプリフォームをプレス成形(加圧力の下で脱泡し賦形する成形方法)した成形品が挙げられる。このプリプレグは、連続した強化繊維を一方向に配列させるか、織物加工させるかをした強化繊維基材に、樹脂を含浸して製造する方法が一般的であるが不連続な強化繊維も使用される。
連続した強化繊維を用いたプリプレグを成形した成形品は優れた力学特性が得られる反面、強化繊維が連続体のまま使用されるために、複雑な形状を成形するには不向きであり、かつプリプレグの積層角度による特性への影響が大きいため、積層工程の経済的負担から、使用用途が制限されている。
一方で、不連続な強化繊維を用いたシートモールディングコンパウンド(SMC)や、ガラスマット基材(GMT)は、プレス成形に適した材料であるが、比強度、比剛性などの力学特性が低いこと、プリプレグのような薄肉の成形品への対応が困難であること、また成形時に樹脂が大きく流動するため等方的な力学特性が得られず、かつ特性のバラツキが大きいことなどの課題から、使用用途が制限されている。
また、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性が繊維強化複合材料の引張強度や衝撃強度などの力学特性に影響することから、強化繊維とマトリックス樹脂の界面設計は、繊維強化複合材料を開発する上では極めて重要な課題である。
特許文献1には、カルボジイミド試薬が表面に付着した炭素繊維が提案されており、マトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂に対する接着性に優れ、曲げ強度が向上する記載があるが、強化繊維とマトリックス樹脂の界面強度制御の点ではさらなる改良が可能であり、とりわけさらなる衝撃強度向上が望まれる。
また、特許文献2にも、分子内に2個以上のカルボジイミド結合を有する有機化合物を含む炭素繊維用表面改質剤および当該改質剤で改質された炭素繊維に関する技術が開示されているが、同様に強化繊維とマトリックス樹脂の界面強度制御の点で課題が残り、成形品のさらなる衝撃強度向上が望まれる。
さらに特許文献3にも、ポリアリーレンスルファイド樹脂に脂肪族ポリカルボジイミド系樹脂と無機充填剤として繊維の樹脂組成物が開示されているが、これも成形品の衝撃強度が不十分であり、さらなる向上が望まれる。
特開平5−106163号公報 特開平5−311069号公報 特開2005−239917号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点を改善し、耐衝撃特性に優れた繊維強化複合材料を提供することを課題とする。
発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、強化繊維界面に接着性化合物を非局在化させることで強化繊維周辺の接着性化合物の存在比を制御し、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃特性が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
かかる問題点を解決するための本発明の繊維強化複合材料は、次の構成からなる。すなわち、
強化繊維(A)、接着性化合物(B)および熱可塑性樹脂(C)を含有し、かつ、前記接着性化合物(B)がカルボジイミド構造、ウレア構造およびウレタン構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を1分子内に2個以上有する化合物であり、熱可塑性樹脂(C)が主鎖の繰返し単位構造中に炭素以外の元素を含む熱可塑性樹脂であり、式(1)で示される接着性化合物(B)の存在比Rbが1.2未満である、繊維強化複合材料。
Rb=R(≦500nm)/R(>500nm)・・・式(1)
R(≦500nm):強化繊維(A)周辺500nm以内の接着性化合物(B)の存在量
R(>500nm):強化繊維(A)周辺500nmより外側の接着性化合物(B)の存在量
本発明の繊維強化複合材料は、強化繊維とマトリックス樹脂の界面強度を制御し、衝撃強度(すなわち耐衝撃特性)を飛躍的に向上させることが可能である。
本発明の繊維強化複合材料における強化繊維(A)の単糸の軸心方向に直交する断面の一例を示す模式図である。
本発明者らは、繊維強化複合材料における接着性化合物の局所的な存在量を追求した結果、繊維強化複合材料内の特定の領域における接着性化合物の存在量が、繊維強化複合材料の耐衝撃特性に影響することを明らかにし、本発明の繊維強化複合材料に到達したものである。
本発明の繊維強化複合材料は、強化繊維(A)、接着性化合物(B)および熱可塑性樹脂(C)を成分として含んでいる。まず各成分について説明する。
本発明の繊維強化複合材料で用いられる強化繊維(A)は、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、金属繊維、天然繊維、鉱物繊維などが使用でき、これらは1種または2種以上を併用してもよい。中でも、比強度、比剛性が高く軽量化効果の観点から、PAN系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が好ましく用いられる。また、得られる成形品の経済性を高める観点から、ガラス繊維が好ましく用いることができ、とりわけ力学特性と経済性のバランスから炭素繊維とガラス繊維を併用することが好ましい。さらに、得られる成形品の衝撃吸収性や賦形性を高める観点から、アラミド繊維が好ましく用いることができ、とりわけ力学特性と衝撃吸収性のバランスから炭素繊維とアラミド繊維を併用することが好ましい。また、得られる成形品の導電性を高める観点から、ニッケルや銅やイッテルビウムなどの金属を被覆した強化繊維を用いることもできる。
炭素繊維としては、X線光電子分光法(XPS)により測定される繊維表面の酸素(O)と炭素(C)の原子数の比である表面酸素濃度比(O/C)が、0.05〜0.50であるものが好ましく、より好ましくは0.05〜0.40であり、さらに好ましくは0.05〜0.30である。表面酸素濃度比(O/C)が高いほど、炭素繊維表面の官能基量が多く、炭素繊維とサイジング剤との接着性を高めることができ、表面酸素濃度比(O/C)が低いほど、炭素繊維表面の官能基量が少なく、炭素繊維とサイジング剤との接着性を低くすることができ、また表面酸素濃度比(O/C)が高すぎると、炭素繊維表面の結晶構造の破壊が懸念されるため、表面酸素濃度比(O/C)が上記好ましい範囲内で、耐衝撃特性にとりわけ優れた繊維強化複合材料を得ることが出来る。
炭素繊維の表面酸素濃度比(O/C)は、X線光電子分光法により、次の手順に従って求められる。まず、溶剤でサイジング剤などを除去した炭素繊維をカットして銅製の試料支持台上に拡げて並べた後、光電子脱出角度を90゜とし、X線源としてMgKα1、2を用い、試料チャンバー中を1×10−8Torrに保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正としてC1Sの主ピークの運動エネルギー値(K.E.)を969eVに合わせる。C1Sピーク面積は、K.E.として958〜972eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。O1Sピーク面積は、K.E.として714〜726eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。ここで表面酸素濃度比(O/C)とは、上記O1Sピーク面積とC1Sピーク面積の比から、装置固有の感度補正値を用いて原子数比として算出する。
表面酸素濃度比(O/C)を制御する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、電解酸化処理、薬液酸化処理および気相酸化処理などの手法を取ることができ、中でも電解酸化処理が好ましい。
また、強化繊維(A)の平均繊維径は、特に限定されないが、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃特性と表面外観の観点から、1〜20μmの範囲内であることが好ましく、3〜15μmの範囲内であることがより好ましい。
強化繊維(A)は、取り扱い性の面から、複数本の単糸を束ねた強化繊維束として用いても良い。強化繊維束を構成する単糸数としては、取り扱い性の面から100本以上、350,000本以下が好ましく、1,000本以上、250,000本以下がより好ましく、10,000本以上、100,000本以下がさらに好ましい。強化繊維束を構成する単糸数をこのような範囲とすることで、本発明の繊維強化複合材料が経済性良く得られる。
強化繊維の数平均繊維長としては、0.1mm〜50mmであることが好ましい。繊維強化複合材料の成形性の観点から0.1mm〜20mmであることがさらに好ましい。
数平均繊維長の測定方法としては、例えば、溶解法、あるいは焼き飛ばし法により、繊維強化複合材料に含まれる樹脂成分を除去し、残った強化繊維を濾別した後、顕微鏡観察により測定する方法や、溶融法で繊維強化複合材料を薄く引き伸ばして強化繊維を透過観察して測定する方法がある。測定は強化繊維を無作為に400本選び出し、その長さを1μm単位まで光学顕微鏡にて測定し、ΣLi/400(Li:測定した繊維長(i=1,2,3,・・・,400)により数平均繊維長を算出する。なお、繊維強化複合材料から焼き飛ばし法や溶解法で強化繊維を摘出する方法、および溶融法で成形品を薄く引き伸ばして強化繊維を透過観察する方法は、得られる結果に特別な差異を生じることはない。
繊維強化複合材料における強化繊維(A)の集束性をより高めるために、強化繊維(A)には、カルボキシル基、水酸基、アミノ基およびエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を1分子中に2個以上有する化合物(以下、化合物(D)と略記)が付着していることが好ましい。前記官能基は1分子中に2種類以上が混在しても良く、1種類の官能基を1分子中に2個以上有する化合物を2種類以上併用しても良い。化合物(D)は、脂肪族化合物であることが好ましい。化合物(D)を脂肪族化合物とすることで、強化繊維(A)を柔軟な状態で集束性を高めることができ、強化繊維(A)の取り扱い性を向上できるため好ましい。
化合物(D)の具体例としては、多官能エポキシ樹脂、アクリル酸系ポリマー、多価アルコール、ポリエチレンイミンなどが挙げられ、とりわけ強化繊維(A)の表面官能基との反応性が高い多官能エポキシ樹脂が好ましい。
多官能エポキシ樹脂としては、3官能以上の脂肪族エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、脂肪族カルボジイミド化合物との親和性の観点から3官能以上の脂肪族エポキシ樹脂が好ましい。なお、3官能以上の脂肪族エポキシ樹脂とは、1分子中にエポキシ基を3個以上有する脂肪族エポキシ樹脂を意味する。
3官能以上の脂肪族エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、アラビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルなどの脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。これら脂肪族エポキシ樹脂の中でも、反応性の高いエポキシ基を1分子中に多く含み、かつ水溶性が高く、強化繊維(A)への塗布が容易なことから、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルが本発明では好ましく用いられる。
本発明におけるアクリル酸系ポリマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸およびマレイン酸の重合体であって、1分子中にカルボキシル基を3個以上含有するポリマーの総称である。具体的には、ポリアクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体、アクリル酸とマレイン酸との共重合体、あるいはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。さらに、アクリル酸系ポリマーは、前記官能基の数が1分子中に3個以上となる限り、カルボキシル基をアルカリで部分的に中和した(即ち、カルボン酸塩とした)ものであっても良い。前記アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウムなどが挙げられる。アクリル酸系ポリマーとしては、カルボキシル基を1分子中により多く含むポリアクリル酸が好ましく用いられる。
本発明における多価アルコールの具体例としては、ポリビニルアルコール、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、ソルビトール、アラビトール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。多価アルコールとしては、水酸基を1分子中により多く含むポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
本発明におけるポリエチレンイミンとしては、エチレンイミンを開環重合して得られる、1級、2級、3級アミノ基による分岐構造を有するポリアミンである。ポリエチレンイミンとしては、アミノ基を1分子中により多く含むポリエチレンイミンが好ましく用いられる。
化合物(D)は、その質量平均分子量を1分子中の前記官能基の数(カルボキシル基、水酸基、アミノ基およびエポキシ基の総数)で除した値が40〜150であることが好ましい。かかる範囲とすることで、強化繊維(A)の表面官能基との反応点の密度をより均一とすることができ、得られる強化繊維の取り扱い性をより高めることができる。
本発明の繊維強化複合材料において、化合物(D)を用いる場合、その含有量は、強化繊維の取り扱い性を効率的に向上させるために、強化繊維(A)100質量部に対して0.01〜5質量部とすることが好ましく、0.1〜2質量部とすることがより好ましい。
化合物(D)を強化繊維(A)に付着する方法は、例えば強化繊維(A)のサイジング剤として付着する方法が例示できる。上記サイジング剤を強化繊維(A)に付与する手段としては、例えばローラーを介して強化繊維(A)をサイジング剤に浸漬させる方法、サイジング剤を霧状にして強化繊維(A)に吹き付ける方法などが挙げられる。この際、強化繊維(A)に対するサイジング剤の付着量がより均一となるように、サイジング剤を溶媒で希釈したり、付与する際の温度、糸条張力などをコントロールすることが好ましい。サイジング剤を希釈する溶媒は、水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン、トルエンなどが挙げられるが、取扱いが容易で防災の観点から水が好ましい。かかる溶媒は、サイジング剤を強化繊維(A)に付与した後は加熱により蒸発させて除去される。また、水に不溶、もしくは難溶の化合物をサイジング剤として用いる場合には、乳化剤または界面活性剤を添加し、水分散して用いることが好ましい。乳化剤または界面活性剤としては、アニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤などを用いることができる。これらの中でも相互作用の小さいノニオン系乳化剤を用いることがサイジング剤の効果を阻害しにくく好ましい。
本発明の繊維強化複合材料で用いられる接着性化合物(B)は、カルボジイミド構造、ウレア構造およびウレタン構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を1分子内に2個以上有する化合物であることが必要であり、中でも、熱可塑性樹脂(C)の強度および靭性を向上させる観点からポリカルボジイミドが好ましく用いられる。
ポリカルボジイミドとしては、脂肪族ポリカルボジイミド、芳香族ポリカルボジイミドが挙げられ、熱可塑性樹脂との反応性の観点から脂肪族ポリカルボジイミドが好ましく用いられる。
脂肪族ポリカルボジイミドとは、一般式 −N=C=N−R− (式中、R はシクロヘキシレンなどの脂環式化合物の2価の有機基、またはメチレン、エチレン、プロピレン、メチルエチレンなどの脂肪族化合物の2価の有機基を示す)で表される繰り返し単位を主要構成単位とする、好ましくは当該繰り返し単位を70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上含有するホモポリマーまたはコポリマーである。
ウレア構造を有する接着性化合物(B)としては、ジイソシアネートを、複数のアミノ基を含む化合物(例えば、ヒドラジン、ジヒドラジドなど)を含むジアミンと反応させる事により得られたものを使用できる。別法として、複数のウレア構造を有する接着性化合物(B)であるポリウレアは、イソシアネートを水と反応させて不安定なカルバミン酸を形成する事により合成し得る。カルバミン酸は分解して二酸化炭素を発生し、直ちに過剰のイソシアネートと反応してウレア架橋を形成するアミノ基を形成する。または、カルボジイミド構造を有する化合物を水で処理して、カルボジイミドをウレアへと反応させることでも得られる。
ウレタン構造を有する接着性化合物(B)としては、ビスクロロホルメートをジアミンと反応させる事により得られたものを使用できる。別法として、複数のウレタン構造を有する接着性化合物(B)であるポリウレタンは、ジイソシアネートをマクログリコールなどのジオール、ポリオール、またはマクログリコールと単鎖グリコール延長剤の組合せと反応させる事により合成し得る。
接着性化合物(B)は、その質量平均分子量が、好ましくは500〜10,000であり、より好ましくは1,000〜5,000である。接着性化合物(B)の質量平均分子量がこの範囲にあると、接着性化合物(B)が成形などの加熱溶融時に比較的流動しやすく、熱可塑性樹脂(C)と効率的に混合して熱可塑性樹脂(C)の強度および靭性を高めることができるため、強化繊維(A)周辺に局在化しにくくなり、本発明の効果である衝撃強度の向上が達成できていると推定する。なお、接着性化合物(B)の質量平均分子量はSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)などの分析方法によって求めることができる。
本発明の繊維強化複合材料で用いられる熱可塑性樹脂(C)は、極性を高めて接着性化合物(B)との親和性を大きくする観点から、主鎖の繰返し単位構造中に炭素以外の元素を含むことが必要であり、強化繊維(A)との界面接着性や繊維強化複合材料の成形性の観点から、より具体的にはポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリーレンスルフィド、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンおよびポリエーテルエーテルケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂(C)は、接着性化合物(B)との接着性の観点からカルボキシル基、水酸基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を分子中に少なくとも1個有することが好ましい。
熱可塑性樹脂(C)は、その質量平均分子量が、好ましくは10,000〜80,000であり、より好ましくは10,000〜60,000であり、さらに好ましくは10,000〜40,000である。質量平均分子量の小さい熱可塑性樹脂(C)ほど溶融粘度が低く、得られる繊維強化複合材料が成形加工性に優れる為好ましい。
また、本発明の繊維強化複合材料は、質量平均分子量の小さい熱可塑性樹脂(C)でも、得られる繊維強化複合材料の衝撃強度が向上する傾向がある。この原因は、熱可塑性樹脂(C)が有する官能基が接着性化合物(B)の官能基と化学反応しており、質量平均分子量の小さい熱可塑性樹脂(C)ほど末端に存在する官能基が相対的に増加し、接着性化合物(B)との反応点が増加するため、熱可塑性樹脂(C)の強度および靭性を効率的に向上できているためであると推測される。この効果は、熱可塑性樹脂(C)として、単体では靭性が低いポリアリーレンスルフィド、特にポリフェニレンスルフィドを用いた場合においてとりわけ顕著である。これらの理由から、本発明の繊維強化複合材料において、熱可塑性樹脂(C)の質量平均分子量を10,000〜40,000の範囲とすることが、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃特性と成型加工性とを両立できる為とりわけ好ましい。
なお、熱可塑性樹脂(C)の質量平均分子量はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定することができる。SECでは、熱可塑性樹脂(C)の質量平均分子量は、ポリスチレン換算の質量平均分子量として算出される。
本発明の繊維強化複合材料には、本発明の効果を損なわない範囲で、エラストマーあるいはゴム成分などの耐衝撃性向上剤、他の充填材や添加剤が含有されても良い。添加剤の例としては、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、あるいは制泡剤が挙げられる。
本発明の繊維強化複合材料において、接着性化合物(B)は、熱可塑性樹脂(C)100質量部に対して0.1〜10質量部含有されていることが好ましく、0.1〜5質量部含有されていることがさらに好ましい。接着性化合物(B)の含有量が、この範囲にあると、熱可塑性樹脂(C)との親和性を高めるのに十分な量であり、かつ熱可塑性樹脂(C)への配合が適量でありコスト面への影響も軽微な量であり、繊維強化複合材料の耐衝撃特性を効率的に向上させることができるため好ましい。接着性化合物(B)の含有量が、0.1質量部未満では、接着性化合物(B)の量が十分でなく、得られる繊維強化複合材料の衝撃強度の向上効果が小さい場合がある。また、接着性化合物(B)の含有量が、10質量部を越えると、接着性化合物(B)が多すぎる為に、得られる繊維強化複合材料の衝撃強度の向上効果が小さい場合がある。
本発明の繊維強化複合材料において、強化繊維(A)は、熱可塑性樹脂(C)100質量部に対して10〜300質量部含有されていることが好ましく、10〜200質量部含有されていることがさらに好ましく、20〜100質量部含有されていることがより好ましく、20〜50質量部含有されていることがさらに好ましい。強化繊維(A)の含有量が、10質量部未満では、強化繊維(A)の量が十分でなく、得られる繊維強化複合材料の衝撃強度の向上効果が小さい場合がある。強化繊維(A)の含有量が、300質量部を越えると、強化繊維(A)を熱可塑性樹脂(C)と接着性化合物(B)を含むマトリックス樹脂に複合化させる難易度があがり、結果的に得られる繊維強化複合材料の衝撃強度の向上効果が小さい場合がある。
本発明の繊維強化複合材料において、式(1)で示される接着性化合物(B)の存在比Rbが1.2未満である必要があり、強化繊維(A)と接着性化合物(B)の界面接着の観点から存在比Rbが1.0未満であることが好ましい。
Rb=R(≦500nm)/R(>500nm)・・・式(1)
R(≦500nm):強化繊維(A)周辺500nm以内の接着性化合物(B)の存在量
R(>500nm):強化繊維(A)周辺500nmより外側の接着性化合物(B)の存在量
存在比Rbは、1.2以上となると、強化繊維(A)と接着性化合物(B)の界面接着が強固になりすぎるため、繊維強化複合材料の耐衝撃特性は、特に界面接着が強力なため強化繊維(A)が熱可塑性樹脂(C)から引き抜けることが出来ずに、繊維強化複合材料へ衝撃が加わった際にエネルギー吸収を効率的におこなえず、衝撃強度が悪くなっていると推定する。
また、熱可塑性樹脂(C)の耐熱性や弾性率などの特性を生かした上で、繊維強化複合材料の耐衝撃特性を効率的に向上させる観点から、存在比Rbは、0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがさらに好ましく、0.5以上であることがより好ましい。
存在比Rbは、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、X線光電子分光法(XPS)、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)などを使用することによって、接着性化合物(B)に含まれる特徴的な元素(窒素原子、酸素原子など)や分子、結合状態を強化繊維(A)近傍についてR(≦500nm)およびR(>500nm)を測定して、比をとることで算出できる。また、存在比をマッピングすることでそれぞれの場所における存在量を知ることもできる。
図1は、本発明の繊維強化複合材料について、含まれる強化繊維(A)の単糸の軸心方向に直交する断面で観察した例を模式的に表したものである。強化繊維(A)(図1における強化繊維単糸1)の断面の外周で、接着性化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)を含むマトリックス樹脂において、強化繊維(A)周辺500nm以内の領域2は、接着性化合物(B)の存在量が、強化繊維(A)周辺500nmより外側の領域3の1.2倍より少なく制御されて構成される。また、図1における強化繊維(A)周辺500nmより外側の領域3は、前記領域2に比べ接着性化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)を含むマトリックス樹脂の内接着性化合物(B)の割合が多いことが好ましい。ここで、強化繊維(A)周辺500nmとは、強化繊維(A)の接線から垂直に直線を引いた長さ(図1における強化繊維(A)からの長さ4)が500nmであることを示す。上記エネルギー分散型X線分光法(EDX)、X線光電子分光法(XPS)、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)などの測定をより正確に実施するためには、例えば、繊維強化複合材料を、強化繊維(A)の単糸の軸心方向に直交する断面から傾斜角度をつけて作製した断面を測定することで、測定部位面積を大きく確保することができる。
本発明の繊維強化複合材料を得る為の1例として、押出機を用いて溶融混練を行う方法が例示できる。押出機としては、単軸押出機や二軸押出機が例示でき、中でも混練性に優れる二軸押出機を好ましく用いることができる。二軸押出機としては、スクリュー長さLとスクリュー直径Dの比L/Dが20〜100であるものが例示できる。さらに、二軸押出機のスクリューは、フルフライトやニーディングディスクなどの長さや形状的特長が異なるスクリューセグメントが組み合わされて構成されるが、混練性と反応性の向上の点から、1個以上のニーディングディスクを含むことが好ましい。溶融混練条件として、溶融混練の際のシリンダー温度は、混練性と反応性の向上の点から250〜400℃が好ましく、280〜350℃がより好ましく、280〜310℃がさらに好ましい。シリンダー温度をかかる範囲とすることで、シリンダー内で接着性化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)の官能基同士の反応が進行し、得られる繊維強化複合材料の衝撃強度が向上する。
前記押出機を用いて本発明の繊維強化複合材料を得る為の第1の方法としては、強化繊維(A)と接着性化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)とを溶融混練する方法が挙げられる。より好ましくは、強化繊維(A)の投入を出来るだけ遅らせて溶融混練する方法が例示できる。強化繊維(A)の投入を遅らせることで、接着性化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)とを効率的に混合でき、熱可塑性樹脂(C)の強度および靭性を優先的に向上させることができ、かつ強化繊維(A)の周辺に接着性化合物(B)を局在化しにくくできるため好ましい。強化繊維(A)の投入を出来るだけ遅らせて溶融混練する方法としては、あらかじめ、熱可塑性樹脂(C)と接着性化合物(B)を溶融混練した樹脂ペレットを作製し、次いで前記樹脂ペレットと強化繊維(A)を複合化させる方法が例示できる。前記樹脂ペレットと強化繊維(A)を複合化させる方法としては、前記樹脂ペレットを押出機にメインフィードし、強化繊維(A)をサイドフィードすることで溶融混練する方法、または、強化繊維(A)と熱可塑性樹脂(C)を溶融混練した繊維強化樹脂ペレットを作製し、前記樹脂ペレットと前記繊維強化樹脂ペレットを複合化する方法が例示できる。前記樹脂ペレットと前記繊維強化樹脂ペレットをドライブレンドし、射出成形機のシリンダー内で溶融混練する方法は、存在比Rbを制御した繊維強化複合材料が生産性良く製造できる観点から、とりわけ好ましい。
また、押出機のシリンダー温度を低くすることで、溶融時に接着性化合物(B)を流動しにくくして、強化繊維(A)の周辺に接着性化合物(B)が局在化することを抑制することも可能である。この方法では、強化繊維(A)がランダムに分散した溶融混練物が得られ、この溶融混練物をペレットとすることで射出成形などに好適に用いられる。
射出成形によって成形する場合、複雑形状の成形品を生産性良く製造できる。また、射出成形の際にもシリンダー温度を低くすることで、溶融時に接着性化合物(B)を流動しにくくして、強化繊維(A)の周辺に接着性化合物(B)が局在化することを抑制することも可能である。
前記押出機を用いて本発明の繊維強化複合材料を得る為の第2の方法としては、接着性化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)を、予め溶融混練した樹脂組成物を、強化繊維(A)を用いた繊維基材と複合化させる方法が挙げられる。この場合、接着性化合物(B)と熱可塑性樹脂(C)とを効率的に混合でき、熱可塑性樹脂(C)の強度および靭性を優先的に向上させることができ、かつ強化繊維(A)の周辺に接着性化合物(B)を局在化しにくくできる。前記繊維基材の形状としては、例えば連続した強化繊維を一方向に配列させてシート状とした一方向配列基材、織物(クロス)、不織布、マット、編み物、組み紐、ヤーン、トウ、などが挙げられる。前記複合化の形態としては、含浸、被覆、積層などが挙げられるが、ボイドなどが少なく、力学特性が安定した繊維強化複合材料が得られる為に、前記樹脂組成物を前記繊維基材に含浸させたものが好ましい。このような繊維強化複合材料は、プレス成形、スタンピング成形、オートクレーブ成形、フィラメントワインディング成形、トランスファー成形によって成形でき、細かくした基材であれば射出成形によっても成形できる。中でも、成形品の生産性と力学特性のバランスから、プレス成形、スタンピング成形および射出成形が好ましく用いられる。
本発明の繊維強化複合材料は、電子機器筐体として好適であり、コンピューター、テレビ、カメラ、オーディオプレイヤーなどに好適に使用される。
本発明の繊維強化複合材料は、電気電子部品用途に好適であり、コネクター、LEDランプ、ソケット、光ピックアップ、端子板、プリント基板、スピーカー、小型モーター、磁気ヘッド、パワーモジュール、発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーターなどに好適に使用される。
本発明の繊維強化複合材料は、自動車用部品や車両関連部品などに好適であり、安全ベルト部品、インストルメントパネル、コンソールボックス、ピラー、ルーフレール、フェンダー、バンパー、ドアパネル、ルーフパネル、フードパネル、トランクリッド、ドアミラーステー、スポイラー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、ガーニッシュ、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、ウィンドウォッシャーノズル、ワイパー、バッテリー周辺部品、ワイヤーハーネスコネクター、ランプハウジング、ランプリフレクター、ランプソケットなどに好適に使用される。
本発明の繊維強化複合材料は、建材として好適であり、土木建築物の壁、屋根、天井材関連部品、窓材関連部品、断熱材関連部品、床材関連部品、免震制振部材関連部品、ライフライン関連部品などに好適に使用される。
本発明の繊維強化複合材料は、スポーツ用品として好適であり、ゴルフクラブのシャフト、ゴルフボールなどのゴルフ関連用品、テニスラケットやバトミントンラケットなどのスポーツラケット関連用品、アメリカンフットボールや野球、ソフトボールなどのマスク、ヘルメット、胸当て、肘当て、膝当てなどのスポーツ用身体保護用品、釣り竿、リール、ルアーなどの釣り具関連用品、スキー、スノーボードなどのウィンタースポーツ関連用品などに好適に使用される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
まず、本発明に使用した評価方法を下記する。
(1)繊維強化複合材料中に含まれる強化繊維(A)の数平均繊維長
繊維強化複合材料の一部を切り出し、熱可塑性樹脂(C)の融点+30℃の温度、軟化温度+150℃、ガラス転移温度+150℃のいずれかの条件(熱可塑性樹脂(C)がポリフェニレンスルフィドであれば310℃、ポリカーボネートであれば300℃)で加熱プレスし、30μm厚のフィルムを得た。得られたフィルムを光学顕微鏡にて150倍に拡大観察し、フィルム内で分散した強化繊維を観察した。その長さを1μm単位まで測定して、次式により数平均繊維長(Ln)を求めた。
数平均繊維長(Ln)=(ΣLi)/Ntotal
Li:測定した繊維長さ(i=1、2、3、・・・、n)
Ntotal:繊維長さを測定した総本数
(2)繊維強化複合材料の接着性化合物(B)の存在比Rb
熱可塑性樹脂(C)がポリフェニレンスルフィドの場合、次の手順に従って求めた。まず、エネルギー分散型X線分光法(EDX)を用いて、R(≦500nm)とR(>500nm)の各領域についてC(炭素原子)/S(硫黄原子)の比を評価した。C/Sは、集束イオンビーム(FIB)装置を用いて、FIBマイクロサンプリング法により、繊維強化複合材料から観察用試験片を作製した。次に下記装置、条件によって所定の範囲の炭素原子数および硫黄原子数を検出し、得られた硫黄原子数を炭素原子数で除することで、その範囲の硫黄濃度比C/Sとした。この方法によって、測定場所でポリアリーレンスルフィドのC/SよりもS(硫黄原子)が多いか少ないかを判断することができ、ポリアリーレンスルフィド以外の化合物、すなわち接着性化合物(B)が多いか少ないかを知ることができることから、接着性化合物(B)の測定場所における存在量を間接的に知ることができることになり、各C/Sを式(1)に代入し繊維強化複合材料の接着性化合物(B)の存在比Rbを求めた。
R(≦500nm)=C(≦500)/S(≦500):強化繊維(A)周辺500nm以内の接着性化合物(B)の存在量
R(>500nm)=C(>500)/S(>500):強化繊維(A)周辺500nmより外側の接着性化合物(B)の存在量
Rb=R(≦500nm)/R(>500nm)・・・式(1)
装置:原子分解能分析電子顕微鏡(STEM); JEM−ARM200F(JEOL製)
エネルギー分散型X線分析装置 ; JED−2300(JEOL製)
測定条件:加速電圧; 200kV
beam spot size; 0.2nmφ
熱可塑性樹脂(C)がポリカーボネートの場合は、S(硫黄原子)の代わりにO(酸素原子)を対象として上記と同様の評価をおこなって、Rbを測定した。
(3)繊維強化複合材料のノッチ付きIzod衝撃試験
ASTM D256のA法に準拠し、厚さ1/8インチ(3.175mm)のノッチ付試験片を用いてIzod衝撃試験を行った。
次に、本発明の実施例および比較例に用いた材料について説明する。
実施例または比較例のいずれかで用いた強化繊維(A)は、以下の通りである。
(強化繊維−1)ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体を用いて、紡糸、焼成処理、および表面酸化処理を行うことによって、総単糸数12,000本の連続した炭素繊維ストランドを得た。この炭素繊維の特性は次に示す通りであった。
引張強度:4,900MPa
引張弾性率:240GPa
引張伸度:2%
比重:1.8
単糸直径:7μm
表面酸素濃度比[O/C]:0.12
(強化繊維−2)ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体を用いて、紡糸、焼成処理、および表面酸化処理を行うことによって、総単糸数12,000本の連続した炭素繊維ストランドを得た。この炭素繊維の特性は次に示す通りであった。
引張強度:4,900MPa
引張弾性率:230GPa
引張伸度:2%
比重:1.8
単糸直径:7μm
表面酸素濃度比[O/C]:0.06
(強化繊維−3)E−Glass製、総単糸数1,600本の連続したガラス繊維ストランド
この強化繊維の特性は次に示す通りであった。
引張強度:3,400MPa
引張弾性率:72GPa
引張伸度:3%
比重:2.6
単糸直径:13μm
実施例または比較例のいずれかで用いた接着性化合物(B)は、以下の通りである。
(接着性化合物−1)脂肪族ポリカルボジイミド“カルボジライト(登録商標)”HMV−8CA(日清紡ケミカル社製)」(カルボジイミド基当量278、質量平均分子量3,000)
(接着性化合物−2)芳香族ポリカルボジイミド“スタバクゾール(登録商標)”P(ラインケミー社製)」(質量平均分子量4,000)
(接着性化合物−3)芳香族ポリカルボジイミド“スタバクゾール(登録商標)”P400(ラインケミー社製)」(質量平均分子量20,000)
(接着性化合物−4)N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(和光純薬工業社製)(カルボジイミド基当量206、質量平均分子量206)
実施例または比較例のいずれかで用いた熱可塑性樹脂(C)は、以下の通りである。
(熱可塑性樹脂−1)融点285℃、質量平均分子量30,000、酸末端品、クロロホルム抽出量0.5質量%のポリフェニレンスルフィド
(熱可塑性樹脂−2)融点285℃、質量平均分子量45,000、酸末端品、クロロホルム抽出量0.5質量%のポリフェニレンスルフィド
(熱可塑性樹脂−3)ポリカーボネート“ユーピロン(登録商標)”H−4000(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)(ガラス転移温度145℃、質量平均分子量34,500)
実施例または比較例のいずれかにおいてサイジング剤として用いた化合物(D)は、以下の通りである。
(SZ−1)グリセロールトリグリシジルエーテル(和光純薬工業社製)
質量平均分子量:260
1分子当たりのエポキシ基数:3
質量平均分子量を1分子当たりのカルボキシル基、アミノ基、水酸基、エポキシ基、水酸基の総数で除した値:87。
(SZ−2)ビスフェノールAジグリシジルエーテル(SIGMA−ALDRICH社製)
質量平均分子量:340
1分子当たりのエポキシ基数:2
質量平均分子量を1分子当たりのカルボキシル基、アミノ基、水酸基、エポキシ基、水酸基の総数で除した値:170。
(SZ−3)(3−グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシラン(SIGMA−ALDRICH社製)
質量平均分子量:278
1分子当たりのエポキシ基数:1
質量平均分子量を1分子当たりのカルボキシル基、アミノ基、水酸基、エポキシ基、水酸基の総数で除した値:278。
(SZ−4)攪拌機、温度計、冷却コンデンサーを備えた300mlセパラブルフラスコ中に、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)80モル部と2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−TDI)20モル部の混合物(商品名:TDI 80、三井東圧化学(株)製)22.4g(0.128モル)、フェニルイソシアネート(PhI)2.20g(0.0756モル、TDI100モル部に対し14モル部)、乾燥トルエン110mlを窒素雰囲気中に装入し、撹拌しながら均一に溶解した。次に、重合溶媒と同じ溶媒1mlに希釈した3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド触媒0.0913g(0.000475モル、0.37%/TDI)を添加し、撹拌しながら内温を110℃まで昇温した。昇温とともに二酸化炭素の発生が多くなり、内温が80℃をこえたあたりから特に激しく二酸化炭素の発生が観察された。内温が110℃に達してから3.5時間重合させた。重合終了後、室温まで冷却し、透明なカルボジイミド共重合体(15質量%、ポリスチレン換算質量平均分子量3,000)を得た。この溶液をさらにトルエンで10質量%まで希釈し、SZ−4を得た。(特許文献2(特開平5−311069号公報)の実施例1に記載のサイジング剤と同一のサイジング剤)。
(実施例1)
表1に示す強化繊維(A)、接着性化合物(B)、熱可塑性樹脂(C)を用いて、以下の手順により繊維強化複合材料を得た。
強化繊維(A)の繊維束を連続的に引き取り、サイジング剤(SZ−1)を2質量%含む水系のサイジング母液に浸漬し、次いで230℃で加熱乾燥することで、サイジング剤(SZ−1)で表面処理をした強化繊維(A)を得た。乾燥後のサイジング剤(SZ−1)の付着量は、強化繊維(A)100質量部に対して1質量部であった。さらにサイジング剤(SZ−1)で表面処理をした強化繊維(A)を6mmの長さに切断することでチョップドストランドとした。
二軸押出機(JSW社 TEX−30α、L/D=31.5)を使用し、接着性化合物(B)および熱可塑性樹脂(C)をメインフィードし、シリンダー温度290℃、スクリュー回転数150rpm、吐出量10kg/時で溶融混練をおこない、吐出物を引き取りながら水冷バスで冷却することでガットとし、前記ガットを5mmの長さに切断することでペレットとした。得られたペレットをメインフィード、前記チョップドストランドをサイドフィードして各成分の溶融混練を行った。溶融混練はシリンダー温度280℃、スクリュー回転数150rpm、吐出量10kg/時で行い、吐出物を引き取りながら水冷バスで冷却することでガットとし、前記ガットを5mmの長さに切断することでペレットとした。
射出成形機(JSW社 J150EII−P)を使用し、前記ペレットの射出成形を行うことで各種評価用の試験片を作製した。射出成形は、シリンダー温度310℃、金型温度150℃で行った。
得られた試験片は、150℃で2時間アニール処理した後に、空冷して各試験に供し、繊維強化複合材料中に含まれる強化繊維(A)の数平均繊維長、繊維強化複合材料の接着性化合物(B)の存在比Rb、繊維強化複合材料のノッチ付きIzod衝撃試験によるノッチ付きIzod衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2〜9)
強化繊維(A)、接着性化合物(B)、熱可塑性樹脂(C)を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして各種評価用の試験片を作製した。作製した試験片を用いて、繊維強化複合材料中に含まれる強化繊維(A)の数平均繊維長、繊維強化複合材料の接着性化合物(B)の存在比Rb、および繊維強化複合材料のノッチ付きIzod衝撃試験によるノッチ付きIzod衝撃強度を測定した。得られた結果を表1にまとめて示す。
(実施例10)
表1に示す強化繊維(A)、接着性化合物(B)、熱可塑性樹脂(C)を用いて、以下の手順により繊維強化複合材料を得た。
強化繊維(A)の繊維束を連続的に引き取り、サイジング剤(SZ−1)を2質量%含む水系のサイジング母液に浸漬し、次いで230℃で加熱乾燥することで、サイジング剤(SZ−1)で表面処理をした強化繊維(A)を得た。乾燥後のサイジング剤(SZ−1)の付着量は、強化繊維(A)100質量部に対して1質量部であった。さらにサイジング剤(SZ−1)で表面処理をした強化繊維(A)を6mmの長さに切断することでチョップドストランドとした。
二軸押出機(JSW社 TEX−30α、L/D=31.5)を使用し、熱可塑性樹脂(C)および接着性化合物(B)をメインフィードし、シリンダー温度290℃、スクリュー回転数150rpm、吐出量10kg/時で溶融混練をおこない、吐出物を引き取りながら水冷バスで冷却することでガットとし、前記ガットを5mmの長さに切断することで樹脂ペレットとした。この際、熱可塑性樹脂(C)50質量部に対して、接着性化合物(B)が5質量部となるように押出機への投入量を調節した。
二軸押出機(JSW社 TEX−30α、L/D=31.5)を使用し、熱可塑性樹脂(C)をメインフィードし、強化繊維(A)をサイドフィードし、シリンダー温度290℃、スクリュー回転数150rpm、吐出量10kg/時で溶融混練をおこない、吐出物を引き取りながら水冷バスで冷却することでガットとし、前記ガットを5mmの長さに切断することで繊維強化樹脂ペレットとした。この際、熱可塑性樹脂(C)50質量部に対して、強化繊維(A)が25質量部となるように押出機への投入量を調節した。
射出成形機(JSW社 J150EII−P)を使用し、前記樹脂ペレット100質量部に対して前記繊維強化樹脂ペレットが100質量部となるように混合したドライブレンドの射出成形を行うことで各種評価用の試験片を作製した。射出成形は、シリンダー温度310℃、金型温度150℃で行った。
得られた試験片は、150℃で2時間アニール処理した後に、空冷して各試験に供し、繊維強化複合材料中に含まれる強化繊維(A)の数平均繊維長、繊維強化複合材料の接着性化合物(B)の存在比Rb、繊維強化複合材料のノッチ付きIzod衝撃試験によるノッチ付きIzod衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
表2に示す強化繊維(A)、接着性化合物(B)、熱可塑性樹脂(C)を用いて、以下の手順により繊維強化複合材料を得た。
強化繊維(A)の繊維束を連続的に引き取り、サイジング剤(SZ−1)を2質量%含む水系のサイジング母液に浸漬し、次いで230℃で加熱乾燥することで、サイジング剤(SZ−1)で表面処理をした強化繊維(A)を得た。乾燥後のサイジング剤(SZ−1)の付着量は、強化繊維(A)100質量部に対して1質量部であった。さらにサイジング剤(SZ−1)で表面処理をした強化繊維(A)を6mmの長さに切断することでチョップドストランドとした。
二軸押出機(JSW社 TEX−30α、L/D=31.5)を使用し、接着性化合物(B)および熱可塑性樹脂(C)をメインフィード、前記チョップドストランドをサイドフィードして各成分の溶融混練を行った。溶融混練はシリンダー温度290℃、スクリュー回転数150rpm、吐出量10kg/時で行い、吐出物を引き取りながら水冷バスで冷却することでガットとし、前記ガットを5mmの長さに切断することでペレットとした。
射出成形機(JSW社 J150EII−P)を使用し、前記ペレットの射出成形を行うことで各種評価用の試験片を作製した。射出成形は、シリンダー温度320℃、金型温度150℃で行った。
得られた試験片は、150℃で2時間アニール処理した後に、空冷して各試験に供し、繊維強化複合材料中に含まれる強化繊維(A)の数平均繊維長、繊維強化複合材料の接着性化合物(B)の存在比Rb、および繊維強化複合材料のノッチ付きIzod衝撃試験によるノッチ付きIzod衝撃強度を測定した。結果を表2に示す。
(比較例2)
強化繊維(A)、接着性化合物(B)、熱可塑性樹脂(C)を表2に示すように変更したこと以外は、比較例1と同様にして各種評価用の試験片を作製した。作製した試験片を用いて、繊維強化複合材料中に含まれる強化繊維(A)の数平均繊維長、繊維強化複合材料の接着性化合物(B)の存在比Rb、および繊維強化複合材料のノッチ付きIzod衝撃試験によるノッチ付きIzod衝撃強度を測定した。得られた結果を表2に示す。
(比較例3)
接着性化合物(B)を用いずに、溶融混練を行った以外は、実施例1と同様にして各種評価用の試験片を作製した。作製した試験片を用いて、繊維強化複合材料中に含まれる強化繊維(A)の数平均繊維長、繊維強化複合材料の接着性化合物(B)の存在比Rb、および繊維強化複合材料のノッチ付きIzod衝撃試験によるノッチ付きIzod衝撃強度を測定した。得られた結果を表2に示す。
(比較例4)
表2に示す強化繊維(A)、熱可塑性樹脂(C)を用いて、以下の手順により繊維強化複合材料を得た。
強化繊維(A)の繊維束を連続的に引き取り、サイジング剤(SZ−1)を2質量%含む水系のサイジング母液に浸漬し、次いで230℃で加熱乾燥することで、サイジング剤(SZ−1)で表面処理をした強化繊維(A)を得た。乾燥後のサイジング剤(SZ−1)の付着量は、強化繊維(A)100質量部に対して1質量部であった。さらにサイジング剤(SZ−1)で表面処理をした強化繊維(A)を6mmの長さに切断することでチョップドストランドとした。
二軸押出機(JSW社 TEX−30α、L/D=31.5)を使用し、熱可塑性樹脂(C)をメインフィードし、シリンダー温度290℃、スクリュー回転数150rpm、吐出量10kg/時で溶融混練をおこない、吐出物を引き取りながら水冷バスで冷却することでガットとし、前記ガットを5mmの長さに切断することで樹脂ペレットとした。
二軸押出機(JSW社 TEX−30α、L/D=31.5)を使用し、熱可塑性樹脂(C)をメインフィードし、強化繊維(A)をサイドフィードし、シリンダー温度290℃、スクリュー回転数150rpm、吐出量10kg/時で溶融混練をおこない、吐出物を引き取りながら水冷バスで冷却することでガットとし、前記ガットを5mmの長さに切断することで繊維強化樹脂ペレットとした。この際、熱可塑性樹脂(C)50質量部に対して、強化繊維(A)が25質量部となるように押出機への投入量を調節した。
射出成形機(JSW社 J150EII−P)を使用し、前記樹脂ペレット100質量部に対して前記繊維強化樹脂ペレットが100質量部となるように混合したドライブレンドの射出成形を行うことで各種評価用の試験片を作製した。射出成形は、シリンダー温度310℃、金型温度150℃で行った。
得られた試験片は、150℃で2時間アニール処理した後に、空冷して各試験に供し、繊維強化複合材料中に含まれる強化繊維(A)の数平均繊維長、繊維強化複合材料の接着性化合物(B)の存在比Rb、繊維強化複合材料のノッチ付きIzod衝撃試験によるノッチ付きIzod衝撃強度を測定した。結果を表2に示す。
実施例1〜10と比較例1〜4との対比により、本発明の繊維強化複合材料は、接着性化合物(B)を含み、かつ接着性化合物(B)の存在比Rbを1.2未満に制御することで、繊維強化複合材料の耐衝撃特性に優れることが分かる。
実施例1〜4、6〜8および10と実施例5、9および比較例1〜4との対比により、本発明の繊維強化複合材料は、強化繊維(A)に炭素繊維を用いて、接着性化合物(B)の存在比Rbを1以下とすることで、繊維強化複合材料の耐衝撃特性に特に優れることが分かる。
実施例1と比較例2の対比および実施例10と比較例4の対比により、熱可塑性樹脂(C)と接着性化合物(B)を溶融混練した樹脂ペレットを作製し、次いで前記樹脂ペレットと強化繊維(A)を複合化させることで、接着性化合物(B)の存在比Rbの制御が容易となり、繊維強化複合材料の耐衝撃特性に優れることが分かる。とりわけ、熱可塑性樹脂(C)と接着性化合物(B)を溶融混練した樹脂ペレット、および強化繊維(A)と熱可塑性樹脂(C)を溶融混練した繊維強化樹脂ペレットをドライブレンドし、射出成形することで、接着性化合物(B)の存在比Rbの制御が容易となり、繊維強化複合材料の耐衝撃特性に優れることが分かる。
本発明の繊維強化複合材料は、従来品に比べ、耐衝撃特性を向上させることが可能である。このため、本発明の繊維強化複合材料は、電子機器筐体、電気電子部品用途、自動車用部品や車両関連部品、建材、スポーツ用品などに好適に使用することができる。
1 強化繊維単糸
2 強化繊維(A)周辺500nm以内の領域
3 強化繊維(A)周辺500nmより外側の領域
4 強化繊維(A)からの長さ

Claims (12)

  1. 強化繊維(A)、接着性化合物(B)および熱可塑性樹脂(C)を含有し、かつ、前記接着性化合物(B)がカルボジイミド構造、ウレア構造およびウレタン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を1分子内に2個以上有する化合物であり、熱可塑性樹脂(C)が主鎖の繰返し単位構造中に炭素以外の元素を含む熱可塑性樹脂であり、式(1)で示される接着性化合物(B)の存在比Rbが1.2未満である、繊維強化複合材料。
    Rb=R(≦500nm)/R(>500nm)・・・式(1)
    R(≦500nm):強化繊維(A)周辺500nm以内の接着性化合物(B)の存在量
    R(>500nm):強化繊維(A)周辺500nmより外側の接着性化合物(B)の存在量
  2. 前記存在比Rbが1.0未満である、請求項1に記載の繊維強化複合材料。
  3. 前記接着性化合物(B)は、その質量平均分子量が500〜10,000である、請求項1または2に記載の繊維強化複合材料。
  4. 前記接着性化合物(B)が、ポリカルボジイミドである、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化複合材料。
  5. 前記接着性化合物(B)が脂肪族ポリカルボジイミドである、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化複合材料。
  6. 前記熱可塑性樹脂(C)がポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリーレンスルフィド、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンおよびポリエーテルエーテルケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化複合材料。
  7. 前記熱可塑性樹脂(C)がカルボキシル基、水酸基およびアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を分子中に少なくとも1個有する熱可塑性樹脂である、請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化複合材料。
  8. 前記熱可塑性樹脂(C)は、その質量平均分子量が10,000〜80,000である、請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物。
  9. 前記強化繊維(A)が、カルボキシル基、水酸基、アミノ基およびエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を1分子内に2個以上有する化合物が付着した強化繊維である、請求項1〜8のいずれかに記載の繊維強化複合材料。
  10. 前記強化繊維(A)の数平均繊維長が0.1〜50mmである、請求項1〜9のいずれかに記載の繊維強化複合材料。
  11. 前記強化繊維(A)が炭素繊維である、請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化複合材料。
  12. 前記炭素繊維は、X線光電子分光法(XPS)で測定される表面酸素濃度比O/Cが0.05〜0.50である、請求項11に記載の繊維強化複合材料。
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