JP2013159618A - エポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料およびそれらの製造方法 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料およびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エポキシ樹脂組成物と強化繊維が高い接着性を有しており、耐衝撃性および疲労特性に優れた、航空機一次構造部材などの部材として最適な繊維強化複合材料を提供すること。
【解決手段】所定のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、コアシェルポリマー粒子を所定の範囲にて配合したエポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、強化繊維とエポキシ樹脂組成物の接着性が高く、耐疲労特性に優れていることから、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材および船舶部材などに好適に用いることができる繊維強化複合材料を得ることができ、特にレジン・トランスファー・モールディング成形法に適した、低粘度、高耐熱性、高弾性率であり、強化繊維との接着性が極めて優れたエポキシ樹脂組成物に関するものである。
従来、ガラス繊維、炭素繊維およびアラミド繊維などの強化繊維と、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂およびビスマレイミド樹脂などの熱硬化性樹脂からなる繊維強化複合材料は、軽量でありながら、強度や剛性などの機械物性や耐熱性、さらには耐食性に優れているため、航空機、宇宙機、自動車、鉄道車両、船舶、土木建築およびスポーツ用品などの数多くの分野に応用されてきた。特に、高性能が要求される用途では、連続した強化繊維を用いた繊維強化複合材料が用いられ、強化繊維としては比強度、比弾性率に優れた炭素繊維が、そしてマトリックス樹脂としては熱硬化性樹脂、中でも機械特性、耐熱性および耐薬品性のバランスに優れたエポキシ樹脂が多く用いられている。
炭素繊維を強化繊維とした繊維強化複合材料は、優れた機械特性のため金属に対して軽量化することができる。そのため、近年では航空機部材への適用が進んでいる。
繊維強化複合材料を航空機部材に適用する場合、耐衝撃性や疲労特性、特に加熱成形時に発生する熱応力や熱サイクル試験(環境疲労試験)により発生するクラックの抑制が重要である。耐衝撃性や疲労特性により発生するクラックは、得てして繊維強化複合材料中における強度の一番低い強化繊維とエポキシ樹脂の界面近傍において発生することが多い。そのため、繊維強化複合材料の耐衝撃性および疲労特性を向上させるためには、エポキシ樹脂硬化物を高靭性化すること、および強化繊維とエポキシ樹脂の接着性を高めること、が有効である。
エポキシ樹脂硬化物を高靭性化する方法としては、例えばコアシェルポリマー粒子を配合する方法(特許文献1および2)が提案されている。
しかしながら、エポキシ樹脂硬化物を高靭性化したとしても、得られる繊維強化複合材料において強化繊維とエポキシ樹脂の接着性が悪いと、衝撃や疲労により発生したクラックは強化繊維とエポキシ樹脂の界面を伝播して成長するため、エポキシ樹脂硬化物の靭性を有効に活用できないことが知られている。特許文献1および2は強化繊維とエポキシ樹脂の接着性に関してはなんら検討されていない。
強化繊維とエポキシ樹脂の接着性を評価する方法としては、90度引張強度試験や層内剪断強度試験(ILSS)などがあるが、中でも90度引張強度が純粋に接着性を評価できるので好ましく用いられている。
強化繊維とエポキシ樹脂の接着性を改善する方法としては、例えば特定の熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂に溶解させる方法(特許文献3〜5)や、特殊な骨格を持ったエポキシ樹脂を添加させる方法(特許文献6)が提案されている。
しかしながら、これらの方法ではマトリックス樹脂の粘度を著しく増加させてしまい、繊維強化複合材料の製造方法が、強化繊維に予めマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグを使用する方法に限定されてしまう。
また、強化繊維とエポキシ樹脂の接着性を向上させる別手法として、特定の繰り返し単位数を有するポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを添加する方法(特許文献7)が提案されているが、特定の繰り返し単位数を有するポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを添加すると加熱硬化して得られる硬化物のガラス転移温度が大幅に低下する場合があり、ひいては、得られる繊維強化複合材料の耐熱性が低下する可能性があった。
近年では、繊維強化複合材料を製造するための工程が少なく、オートクレーブのような高価な設備を必要としない低コストの製造方法、例えば、レジン・トランスファー・モールディング法が注目されている。レジン・トランスファー・モールディング法では強化繊維を含む織物に液状マトリックス樹脂を加圧もしくは減圧して注入含浸させるためマトリックス樹脂の粘度には制限があり、上記した接着性向上方法は適用できない。
そのため、粘度を著しく増加させない強化繊維とエポキシ樹脂の接着性向上方法が望まれていた。
特開2009−280669号公報 特開2010−189561号公報 特開昭63−37135号公報 特開昭63−37136号公報 特開昭63−37137号公報 特開平9−100358号公報 特開2010−126702号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、強化繊維とエポキシ樹脂組成物の接着性が高く、耐疲労特性に優れていることから、航空機一次構造などの部材として最適な繊維強化複合材料の製造を可能とする、特にレジン・トランスファー・モールディング成形法に適した、低粘度、高耐熱性、高弾性率であり、強化繊維との接着性が極めて優れたエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]、[D]、[E]および[F]を含むエポキシ樹脂組成物である。
[A]N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリンが、全エポキシ樹脂100質量部中に50〜70質量部、
[B]N,N−(ジグリシジル)アニリンが、全エポキシ樹脂100質量部中に25〜45質量部、
[C]炭素数3〜18の脂肪族ポリオールから導かれ、1分子中にエポキシ基を3個以上有する脂肪族エポキシ樹脂が、全エポキシ樹脂100質量部中に2〜15質量部、
[D]コアシェルポリマー粒子が、全エポキシ樹脂100質量部に対して1〜10質量部、
[E]芳香族アミン化合物が、全エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基数と、該芳香族アミン化合物に含まれる活性水素数の比率が、エポキシ基:活性水素=1:0.7〜1.3の範囲となる質量、
[F]硬化触媒が、全エポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部。
本発明のエポキシ樹脂組成物の好ましい態様によれば、少なくとも構成要素[A]、[B]、[C]および[D]を含む主剤と、少なくとも構成要素[E]、[F]を含む硬化剤から構成され、使用する際に主剤と硬化剤を混合する二液型のエポキシ樹脂組成物であり、該主剤の70℃における粘度が500mPa・s以下、該硬化剤の70℃における粘度が500mPa・s以下であり、該主剤と該硬化剤を混合した組成物の、70℃において、測定開始から5分以内の粘度が500mPa・s以下であり、かつ粘度が1000mPa・sに達する時間が60分以上である。ここで、70℃における該混合物の粘度の測定は、JIS Z8803(2011)における「円すい−板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装備したE型粘度計(東機産業(株)製、TVE−30H)を使用して、回転速度20回転/分にて行われる。
本発明の好ましい繊維強化複合材料は、少なくとも本発明のエポキシ樹脂組成物と炭素繊維で構成されており、さらに好ましい態様によれば、用いられる炭素繊維基材が、該炭素繊維のストランドからなる経糸とこれに平行に配列されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸と、これらと直交するように配列されたガラス繊維または化学繊維からなる緯糸からなり、該補助経糸と該緯糸が互いに交差することにより、炭素繊維ストランドが一体に保持されて織物が形成されているノンクリンプ構造の織物である。
さらに、本発明の繊維強化複合材料の好ましい製造方法は、前記した炭素繊維を含むノンクリンプ構造の織物を型内に配置し、該エポキシ樹脂組成物を注入して含浸させた後、加熱硬化させる、いわゆるレジン・トランスファー・モールディング(RTM)法である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は低粘度であることから、特にレジン・トランスファー・モールディング法に好適に用いることができ、その硬化物は優れた耐熱性、弾性率および靭性を有す。また、本発明のエポキシ樹脂組成物を適用した繊維強化複合材料は、該エポキシ樹脂組成物の硬化物の性状を反映し、優れた耐熱性、靭性を有し、さらに強化繊維との接着性が高いことから、優れた耐疲労特性を有すため、航空・宇宙、自動車、鉄道車両、船舶、土木建築およびスポーツ用品などの数多くの分野に使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも分子内に特定の骨格を有するエポキシ樹脂と液状芳香族ジアミンから構成される。
本発明において、エポキシ樹脂とは1分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を指す。また、エポキシ樹脂組成物とはエポキシ樹脂、エポキシ樹脂を硬化させる成分(一般的には硬化剤、硬化触媒または硬化促進剤という。)および必要に応じて適宜添加される改質剤(可塑剤、染料、有機顔料や無機充填材、高分子化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、カップリング剤、界面活性剤など)を含んだ未硬化状態の混合物を指し、エポキシ樹脂硬化物あるいは硬化物とはエポキシ樹脂組成物を加熱して架橋反応させ、ガラス転移温度が少なくとも50℃以上を有するまで高分子量化した高分子量体を指す。
本発明のエポキシ樹脂組成物の具体的な構成は、少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]、[D]、[E]および[F]を含むことである。
[A]N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリン、
[B]N,N−(ジグリシジル)アニリン、
[C]炭素数3〜18の脂肪族ポリオールから導かれ、1分子中にエポキシ基を3個以上有する脂肪族エポキシ樹脂、
[D]コアシェルポリマー粒子、
[E]芳香族アミン化合物、
[F]硬化触媒。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられる構成要素[A]であるN,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリンは、本発明のエポキシ樹脂組成物を加熱硬化して得られる硬化物の耐熱性を高めるために配合される。
本発明において構成要素[A]の配合量は、全エポキシ樹脂100質量部中に50〜70質量部の範囲であれば、得られる硬化物、ひいては該エポキシ樹脂硬化物と強化繊維からなる繊維強化複合材料の耐熱性を高くし、且つ架橋密度が密になりすぎて靭性が低下することを抑えることができ、より好ましくは55〜65質量部の範囲である。
ここで、「全エポキシ樹脂の合計100質量部中」とは、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる、全エポキシ樹脂の総和を100質量部とした場合を指す。本発明にて使用される各種エポキシ樹脂は、適正配合範囲内において、総和が100質量部を超えない範囲で配合される。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられる構成要素[B]である、N,N−(ジグリシジル)アニリンは本発明のエポキシ樹脂組成物を加熱硬化して得られる硬化物の粘度を下げ、加熱硬化して得られる硬化物の弾性率を高めるために配合される。
本発明において構成要素[B]の配合量は、全エポキシ樹脂100質量部中に25〜45質量部の範囲であれば、得られるエポキシ樹脂組成物の粘度を下げ、加熱硬化して得られる硬化物の弾性率を高め、ひいては該エポキシ樹脂硬化物と強化繊維からなる繊維強化複合材料の圧縮特性を向上することができ、より好ましくは30〜40質量部の範囲である。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられる構成要素[C]である、炭素数3〜18の脂肪族ポリオールから導かれ、1分子中にエポキシ基を3個以上有する脂肪族エポキシ樹脂は本発明のエポキシ樹脂組成物と炭素繊維および少なくとも炭素繊維を含む織物に用いられる材料、具体的にはガラス繊維や化学繊維等との接着性を向上するために配合される。
構成要素[C]としては、例えば、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどを挙げることができ、特に1分子中に存在するグリセロール基の繰り返し単位数nが2または3であるポリグリセロールポリグリシジルエーテルが本発明のエポキシ樹脂組成物と炭素繊維との接着性を高める効果が大きいため好適である。
本発明において構成要素[C]が炭素繊維との接着性を向上させる理由は、炭素繊維、特にエポキシ樹脂との接着性を高めるためにエポキシ樹脂と反応し得る官能基、例えば水酸基やカルボキシル基等を表面処理により導入した炭素繊維の場合、表面エネルギーが極めて高いことから、表面エネルギーの低い成分が近寄りやすくなる。本発明を構成する構成要素の中で表面エネルギーが低い成分が構成要素[C]を含む脂肪族系のエポキシ樹脂である。炭素繊維近傍に近寄った構成要素[C]は炭素繊維表面のエポキシ樹脂と反応し得る官能基および本発明のエポキシ樹脂組成物における他の構成要素成分と反応するが、その際、構成要素[C]は構造の主鎖が炭素数3〜18の脂肪鎖であるため柔軟性を有し、且つ1分子中にエポキシ基を3個以上有するため、反応点が多いため炭素繊維表面と本発明のエポキシ樹脂組成物を強力に連結することができる。ここで、例えば1分子中に存在するグリセロール基の繰り返し単位数nが4以上のポリグリセロールポリグリシジルエーテルの場合、構造の主鎖が炭素数18を越えて分子量が大きくなりすぎ、架橋密度が低くなりすぎて剛性が保てず強度が低下するため好ましくない。
本発明において、構成要素[C]の配合量は、全エポキシ樹脂100質量部中に2〜15質量部の範囲であれば、本発明のエポキシ樹脂組成物を加熱して得られる硬化物の耐熱性の低下を抑えつつ、本発明のエポキシ樹脂組成物と、炭素繊維および少なくとも炭素繊維を含む織物に用いられる材料との接着性を向上でき、ひいては該硬化物と炭素繊維からなる繊維強化複合材料の疲労特性を向上することができ、より好ましくは5〜10質量部の範囲である。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられる構成要素[D]であるコアシェルポリマー粒子とは、架橋されたゴム状ポリマーまたはエラストマーを主成分とする粒子状コア成分の表面にコア成分とは異種のシェル成分ポリマーをグラフト重合することで粒子状コア成分の表面の一部あるいは全体をシェル成分で被覆したものであり、少量添加で硬化物の破壊靭性を大きく向上することが可能である。
コアシェルポリマーを構成するコア成分としては、共役ジエン系モノマー、アクリル酸および/またはメタクリル酸エステル系モノマーより選ばれる1種または複数種から重合されたポリマーまたはシリコーン樹脂などがあるが、特に共役ジエン系モノマーであるブタジエンを重合した架橋ポリブタジエンをコア成分として適用したものが、極低温下における破壊靭性の向上に優れているため好適に用いることができる。
コアシェルポリマーを構成するシェル成分は、前記したコア成分にグラフト重合されており、コア成分を構成するポリマーと化学結合していることが好ましい。かかるシェル成分を構成する成分としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物等から選ばれた1種または複数種から重合された重合体である。
また、該シェル成分には分散状態を安定化させるために、本発明のエポキシ樹脂組成物と反応する官能基が導入されていることが好ましい。かかる官能基としては、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物に適用できるコアシェルポリマーとしては特に制限はなく、周知の方法で製造されたものを使用できる。しかしながら、通常コアシェルポリマーは塊状で取り出されたものを粉砕して粉体として取り扱われており、粉体状コアシェルポリマーを再度エポキシ樹脂中に分散させることが多いが、この方法では、一次粒子の状態で安定に分散させることが難しい。よって、コアシェルポリマーの製造過程から一度も塊状で取り出すことなく、最終的にはエポキシ樹脂中に一次粒子で分散したマスターバッチの状態で取り扱うことができるものが好ましく、例えば、特開2004−315572号公報に記載の方法、すなわち、コアシェルポリマーを乳化重合、分散重合、懸濁重合に代表される水媒体中で重合する方法で重合を行い、コアシェルポリマーが分散した懸濁液を得て、得られた懸濁液に水と部分溶解性を示す有機溶媒、例えばアセトンやメチルエチルケトンなどのエーテル系溶媒を混合後、水溶性電解質、例えば塩化ナトリウムや塩化カリウムを接触させ、有機溶媒層と水層を相分離させ、水層を分離除去して得られたコアシェルポリマー分散有機溶媒に適宜エポキシ樹脂を混合した後、有機溶媒を蒸発除去する方法などが使用できる。該製造方法で製造されたコアシェルポリマー分散エポキシマスターバッチとしては、株式会社カネカ社から市販されている“カネエース”(登録商標)を好適に使用できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物にコアシェルポリマーを適用する場合、コアシェルポリマーは平均粒子径が体積平均粒子径で1〜500nmの範囲であれば、本発明のエポキシ樹脂組成物を炭素繊維あるいは炭素繊維を主成分とする織物に含浸させるときに、炭素繊維あるいは織物に含まれるその他の繊維によりコアシェルポリマー粒子が濾別されず、分散状態が変化しないため好ましく、3〜300nmであればさらに好ましい。なお、体積平均粒子径は、例えば、ナノトラック粒度分布測定装置(日機装(株)製)を用いて測定することができる。
構成要素[D]の配合量は全エポキシ樹脂100質量部に対し、1〜10質量部の範囲であれば、得られるエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなることを抑えながら、熱硬化して得られる硬化物、ひいては、本発明のエポキシ樹脂組成物を適用した繊維強化複合材料の破壊靭性を向上することができ、より好ましくは1〜8質量部の範囲である。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられる構成要素[E]である液状芳香族アミン化合物は、構成要素[A]、[B]および[C]のエポキシ樹脂を架橋して硬化させるための硬化剤である。
構成要素[E]としては、例えばジエチルトルエンジアミン(2,4−ジエチル−6−メチル−m−フェニレンジアミンと4,6−ジエチル−2−メチル−m−フェニレンジアミンを主成分とする混合物)や2,2’−ジエチル−4,4’−メチレンジアニリン、2,2’−イソプロピル−6,6’−ジメチル−4,4’−メチレンジアニリン、2,2’、6,6’テトライソプロピル−4,4’−メチレンジアニリン等のジアミノジフェニルメタンのアルキル基誘導体およびポリオキシテトラメチレンビス(p−アミノベンゾエート)を挙げることができる。中でも、低粘度でガラス転移温度などの硬化物としての物性に優れるジエチルトルエンジアミンが好ましく使用できる。構成要素[E]には前述した粘度を超えない範囲で固形の芳香族アミン化合物を配合することができる。固形の芳香族アミン化合物としては3,3’−ジアミノジフェニルスルホンおよび4,4’−ジアミノジフェニルスルホンが耐熱性、弾性率に優れた硬化物が得られ、さらに線膨張係数および吸湿による耐熱性の低下が小さいので好ましく使用できる。一般に、ジアミノジフェニルスルホンは結晶性が強く、液状芳香族アミン化合物と高温で混合して液体としても、冷却過程で結晶として析出しやすいが、ジアミノジフェニルスルホンの2種の異性体と液状芳香族アミン化合物を混合した場合、単一のジアミノジフェニルスルホンと液状芳香族アミン化合物の混合物より遙かに結晶の析出が起こりにくく好ましい。ジアミノジフェニルスルホンの配合量は、全芳香族アミン100質量部中に10〜40質量部の範囲であれば、前述したような硬化物の効果が得られやすく、より好ましくは、20〜35質量部の範囲である。
3,3’−ジアミノジフェニルスルホンと4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを、結晶の析出を抑制するために併用する場合は、両者の重量比は10:90〜90:10であることが好ましく、両者の比率が近いほど、結晶析出の抑制効果は高くなる。
構成要素[E]は70℃における粘度が500mPa・s以下とすることで、得られるエポキシ樹脂組成物の含浸時における粘度を十分低粘度化することができ、レジン・トランスファー・モールディング法による繊維強化複合材料の成形において、未含浸部のない繊維強化複合材料を得ることができるため好ましく、より好ましい粘度は400mPa・s以下である。また、70℃における粘度の下限は特に制限なく、粘度が低いほどレジン・トランスファー・モールディング成形におけるエポキシ樹脂組成物の注入含浸が容易になり好ましい。
構成要素[E]は70℃における粘度を500mPa・s以下とするためには、前記したように固形の芳香族アミン化合物の配合量を、全芳香族アミン100質量部中に10〜40質量部とすることである。
なお、粘度の測定はJIS Z8803(2011)における「円すい−板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装備したE型粘度計(東機産業(株)製、TVE−30H)を使用して、回転速度20回転/分で測定する。
構成要素[E]の配合量は、全エポキシ樹脂のエポキシ基1個に対し、構成要素[E]中の活性水素が0.7〜1.3個の範囲とすることで、得られるエポキシ樹脂組成物を加熱硬化した硬化物、ひいては、本発明のエポキシ樹脂組成物を適用した繊維強化複合材料の力学物性が高くなるため好ましく、より好ましくは0.8〜1.2個になるように配合することである。ここで、活性水素とは有機化合物において窒素、酸素、硫黄と結合していて、反応性の高い水素原子をいう。
本発明において構成要素[E]に使用される芳香族アミン化合物は、一般的に架橋反応の進行が遅いことが知られている。そこで、本発明における構成要素[E]には反応を促進するため硬化触媒(または、硬化促進剤という。)を添加することができる。硬化触媒を構成要素[E]に添加する場合は、本発明のエポキシ樹脂組成物を使用して繊維強化複合材料を製造する際に、強化繊維束の中にまで硬化促進剤の濃度が均一のまま含浸できるほど形状が小さいことが好ましい。具体的には体積平均粒子径で0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下であり、もっとも好ましくは、本発明における構成要素[E]に用いられる芳香族アミン化合物に固形分が存在しないまで完全に溶解した状態であることである。前記要件を満たすことにより、安定な機械物性を示す繊維強化複合材料を得ることができる。ここで、完全に溶解した状態とは、溶解して固形成分を有せず、濃度分布が無い液状物を形成し、さらには該液状物を25℃で1ヶ月以上静置保管した場合でも結晶が析出しない状態に保たれていることを意味する。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられる構成要素[F]の硬化触媒としては、例えば三級アミン、ルイス酸錯体、オニウム塩、イミダゾールなどの硬化促進剤が挙げられるが、レジン・トランスファー・モールディング法による繊維強化複合材料の成形の場合、樹脂を注入する間の粘度増加を抑えなければならない。t−ブチルカテコールは樹脂注入時の温度(50〜80℃)では反応促進効果は少なく、100℃以上の温度域で促進効果が増加する特徴があるので、構成要素[F]の硬化触媒としてレジン・トランスファー・モールディング法に適している。
本発明において、構成要素[E]に硬化触媒を配合する場合の配合量は全エポキシ樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部の範囲であれば、得られるエポキシ樹脂組成物を使用してレジン・トランスファー・モールディング法にて繊維強化複合材料を製造する場合に、樹脂注入時の粘度増加を抑えつつ、高温時の反応速度を促進できるため好ましく、より好ましくは1〜2.5質量部の範囲である。
本発明のエポキシ樹脂組成物には構成要素[A]、[B]および[C]以外にも、粘度増加および各種物性低下させない範囲で他のエポキシ樹脂を配合することができる。かかるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテルなどのビスフェノール型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルなどの臭素化エポキシ樹脂、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−4−アミノ−3−メチルフェノールなどのアミノフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、エチレングリコールジグリジジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどの脂肪族エポキシ樹脂、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチルなどの脂環式エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル等を1種または複数種を混合して使用することができる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には耐熱性や機械物性に対し著しい低下を及ぼさない範囲で1分子中に1個のエポキシ基しか有していないモノエポキシ化合物などを適宜配合することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、加熱硬化して得られる硬化物、ひいては該硬化物と強化繊維とで構成される繊維強化複合材料の物性を著しく低下させない範囲で可塑剤、染料、有機顔料や無機充填材、高分子化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、カップリング剤、界面活性剤などを適宜配合することもできる。
エポキシ樹脂組成物には一般に、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂を硬化させうる成分である硬化剤を予め配合して提供している一液型のものと、エポキシ樹脂と硬化剤を別々に提供し、使用者が使用直前に両者を混合する二液型のものが存在する。
一液型のエポキシ樹脂組成物の場合、保管中にも硬化反応が進行するため硬化剤成分は反応性の低く、固形状のものを選択する場合が多い。しかしながら、室温中では少しずつ硬化反応が進行するため冷凍保管が必要になり、管理費用が増加する。また、固形状の硬化剤を使用するため、強化繊維に一液型エポキシ樹脂組成物を含浸させるためにはプレスロールを使用して高い圧力で押し込む必要があり製造コストも増加する。
一方、二液型のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂から構成される主剤と硬化剤を別々に保管するため、保管条件に特に制限なく長期保管も可能である。また、主剤および硬化剤とも液状のものとすることで、該主剤と該硬化剤を混合した混合物も低粘度な液状とすることができ、レジン・トランスファー・モールディング法などの簡便な方法強化繊維に含浸、成形まで行うことができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は一液型および二液型に特に限定されるものではないが、前述した利点から二液型が推奨される。
本発明のエポキシ樹脂組成物を二液型とする場合、本発明に使用される構成要素[A]、[B]、[C]および[D]を混合したものを主剤とし、本発明に使用される構成要素[E]および構成要素[F]を混合したものを硬化剤とすることが望ましい。また、前述したその他の成分は主剤成分および硬化剤成分と反応性を示さない限りどちらに配合しても問題ない。主剤および硬化剤のどちらかと反応性を示す場合は、反応性を示さない方に配合することが望ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を二液型とする場合、主剤の粘度は70℃において500mPa・s以下とすることで容器からの取り出し、計量、硬化剤との混合、あるいは脱気処理などの作業性が容易になり、得られるエポキシ樹脂組成物の粘度も下げることができるため好ましく、より好ましくは400mPa・s以下である。なお、粘度の測定はJIS Z8803(2011)における「円すい−板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装備したE型粘度計(東機産業(株)製、TVE−30H)を使用して、回転速度20回転/分で測定する。該主剤の70℃における粘度を500mPa・s以下にするためには、分子量が500以上のエポキシ樹脂を、主剤100質量部中に好ましくは30質量部以上配合せず、コアシェルポリマーのような粒子状添加剤を15質量部以上配合しないことである。主剤の70℃における粘度の下限は特に制限なく、粘度が低いほどレジン・トランスファー・モールディング法におけるエポキシ樹脂組成物の注入含浸が容易になり好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物を二液型とする場合、硬化剤の粘度は70℃において500mPa・s以下とすることで、器からの取り出し、計量、主剤との混合、あるいは脱気処理などの作業性が容易になり、得られるエポキシ樹脂組成物の粘度も下げることができるため好ましく、より好ましくは400mPa・s以下である。なお、粘度の測定は前述した主剤粘度の測定方法と同様である。該硬化剤の70℃における粘度を500mPa・s以下にするためには、前述したように本発明に使用する構成要素[E]において、ジアミノジフェニルスルホンの配合量を全芳香族アミン100質量部中に40質量部以上配合せず、コアシェルポリマーのような粒子状添加剤を15質量部以上配合しないことである。硬化剤の70℃における粘度の下限は特に制限なく、粘度が低いほどレジン・トランスファー・モールディング法におけるエポキシ樹脂組成物の注入含浸が容易になり好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、50〜200℃の範囲の任意温度にて、0.5〜10時間の範囲の任意時間で加熱することで架橋反応を進行させて硬化物を得ることができる。加熱条件は1段階でも良く、複数の加熱条件を組み合わせた多段階条件でも良い。硬化温度が高い方が繊維強化複合材料の耐熱性が高くなるが、成形において型内での加熱温度が高いと、設備・熱源等のコストが高くなり、また型の占有時間が長くなるため経済性が悪くなる。そのため、初期硬化は50〜140℃の範囲の任意温度で行った後、成形物を型から脱型し、オーブンなどの装置を用いて比較的高温で最終硬化を行うことが好ましい。
航空機用の構造部材を想定した場合は、最終硬化条件は、例えば、180℃の温度で1〜10時間硬化の範囲で硬化することにより所望する硬化物を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を180℃の温度下で2時間かけて加熱硬化した硬化物は25℃における乾燥状態の曲げ弾性率が3.0〜3.9GPaの範囲であれば圧縮特性に優れた繊維強化複合材料を得ることができ、構造部材として用いる場合に設計厚みを薄くすることができるため好ましく、より好ましくは3.2〜3.8GPaである。なお、曲げ弾性率の測定はJIS K7171−2008に従い行う。なお、曲げ弾性率が3.9GPaより高すぎると硬化物の脆性が増大し耐衝撃性、耐疲労特性が低下する傾向にある。
本発明のエポキシ樹脂組成物を180℃の温度下で2時間かけて加熱硬化した硬化物のガラス転移温度は150〜196℃の範囲であれば、硬化物が吸水した状態においても高い弾性率を保持することができ、ひいては高温・吸水時圧縮特性の優れた繊維強化複合材料を得ることができるため好ましく、より好ましくは160〜190℃以上である。なお、ガラス転移温度はJIS K7121(1987)に記載のある中間点ガラス転移温度求め方に従い行う。一般的にエポキシ樹脂組成物の硬化物は240℃付近で熱分解を開始するため、230℃以上で力学物性の著しい低下が起こる可能性がある。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いた繊維強化複合材料の製造方法として、例えばハンドレイアップ法、ホットメルト含浸プリプレグ法、ウェット含浸プリプレグ法、フィラメントワインディング法などの方法を用いることは可能であるが、本発明のエポキシ樹脂組成物は、特にレジン・トランスファー・モールディング法を利用した繊維強化複合材料の製造に好適に用いることができる。レジン・トランスファー・モールディング法とは、強化繊維からなる繊維基材あるいはプリフォームを成形型内に設置し、その成形型内に液状のマトリックス樹脂を注入して強化繊維に含浸させ、その後に加熱して該マトリックス樹脂を硬化させて、成形品である繊維強化複合材料を得る方法である。
強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維等が好適に用いることができるが、本発明では特に軽量かつ高性能な繊維強化複合材料が得られる点で、炭素繊維を用いる。
本発明における炭素繊維としては、具体的にはアクリル系、ピッチ系およびレーヨン系等の炭素繊維が挙げられ、特に引張強度の高いアクリル系の炭素繊維が好ましく用いられる。炭素繊維の形態としては、有撚糸、解撚糸および無撚糸等を使用することができるが、繊維強化複合材料の成形性と強度特性のバランスが良いため、解撚糸または無撚糸が好ましく用いられる。
炭素繊維の弾性率は、成形された構造部材の特性と重量との観点から、200GPa〜400GPaの範囲とすることで、構造部材に十分な剛性を付与することができ、ひいては部材の軽量化が可能となるため好ましく、より好ましくは250GPa〜370GPaの範囲である。なお、炭素繊維の弾性率が前記範囲の上限より高くなる場合、般に炭素繊維の強度が低下する傾向がある。ここで、炭素繊維の引張弾性率は、JIS R7601(2006)に従い測定される。
本発明において強化繊維からなる繊維基材は、強化繊維単独または複数種、さらには必要に応じ他の化学繊維などと組み合わせたものから成り、その形態としては、繊維方向がほぼ同方向に引き揃えられたものや、織物、ニット、ブレイドおよびマット等を使用することができるが、特に、高力学物性および強化繊維の体積含有率が高い繊維強化複合材料が得られるという点で、強化繊維が実質的に一方向に配向されており、ガラス繊維または化学繊維で固定されたいわゆる一方向織物が好ましく用いられる。尚、化学繊維とは、人工的に作り出した繊維であり、詳しくは再生繊維、半合成繊維、合成繊維、無機繊維に区分される。再生繊維とは木材パルプやコットンリンターに含まれるセルロースを一度薬品で溶かし、繊維に再生したものであり、例えば、レーヨン、ポリノジック、キュブラなどが用いることができる。半合成繊維とは、セルロースやタンパク質のような天然に得られる材料に化学薬品を作用させたものを原料として製造した繊維であり、例えば、アセテート、トリアセテート、プロミックスなどが用いることができる。合成繊維とは、石油などを原料として化学的に合成して製造されたものであり、例えば、ポリエステル、アクリル、ナイロン(ポリアミド)、ビニロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ビニリデン、ポリウレタンなどが用いることができる。化学繊維の中でも、合成繊維であるナイロン(ポリアミド)はエポキシ樹脂との接着性にも優れるため好適に用いることができる。
一方向織物としては、例えば、炭素繊維からなるストランドを経糸として一方向に互いに平行に配置し、それと直交するガラス繊維または化学繊維からなる緯糸とが、互いに交差して平織組織をなしたものや、炭素繊維のストランドからなる経糸とこれに平行に配列されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸と、これらと直交するように配列されたガラス繊維または化学繊維からなる緯糸からなり、該補助経糸と該緯糸が互いに交差することにより、炭素繊維ストランドが一体に保持されて織物が形成されているノンクリンプ構造の織物等が挙げられる。
平織組織をなした織物の場合、炭素繊維のストランドと緯糸が直交するため、炭素繊維のストランドが屈曲するが、ノンクリンプ構造の織物の場合、直交するのはガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸とガラス繊維または化学繊維からなる緯糸であるため炭素繊維のストランドは屈曲しない。炭素繊維のストランドが屈曲した場合、ストランド内において炭素繊維が占める体積分布のムラが生じ、炭素繊維の単糸同士の接触が発生する可能性がある。炭素繊維の単糸同士の接触が発生した場合、その部分にはエポキシ樹脂組成物が含浸しないため欠陥となり接着性や力学物性を低下させる可能性がある。
よって、炭素繊維のストランドが屈曲しないノンクリンプ構造の織物を繊維基材とし、本願のエポキシ樹脂組成物を組み合わせた場合に接着性の向上効果が最大に発揮されるため特に好ましい。
繊維基材には、強化繊維の配向ズレ防止、繊維基材同士の仮接着および得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性を向上させるなどの目的のため、バインダーを適宜付着させておくことができる。
バインダーの組成に特に制限がなく既存のものが使用できるが、熱可塑性樹脂を主成分としたものが前述した目的に加え、保管時の物性変化が少ないので好ましく用いることができる。
本発明の繊維強化複合材料を航空機用構造部材として用いる場合、優れた耐熱性が要求されるため、バインダーに使用される熱可塑性樹脂としては高いガラス転移温度を有するエンジニアリングプラスチックが好ましい。特に、ポリアミド、グリルアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等は好適に用いることができる。
バインダーは繊維基材の片面または両面に付着されていてもよく、付着量は目付で5〜50g/mの範囲であれば前述した目的を満たすことができ、より好ましくは10〜45g/mである。
本発明において、繊維強化複合材料は、強化繊維の体積含有率が50〜65%の範囲であれば、重量を軽くすることができ、かつ、応力集中の影響などによる物性低下を防ぐことができ、好ましくは53〜60%の範囲である。尚、強化繊維の体積含有率が上記範囲より多いと繊維強化複合材料内部に未含浸部分やボイドのような欠陥部分が発生することが非常に多く、物性低下を起こしてしまうことがある。
本発明における繊維強化複合材料の好ましい成形方法としては、型内に配置した強化繊維基材からなるプリフォームに、本発明のエポキシ樹脂組成物を好適には40〜90℃の範囲での任意温度において注入する。そのため、本発明のエポキシ樹脂組成物は二液型の場合、主剤と硬化剤を混合してから5分以内の粘度は70℃において500mPa・s以下であることが好ましく、より好ましい粘度は400mPa・s以下である。尚、本発明において粘度測定にはJIS Z8803(2011)における「円すい−板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装備したE型粘度計(東機産業(株)製、TVE−30H)を使用して、回転速度50回転/分にて測手下粘度である。混合開始から5分以内の粘度が上記の範囲より高いとエポキシ樹脂組成物の含浸性が不十分になることがある。70℃における粘度の下限は特に制限なく、粘度が低いほどレジン・トランスファー・モールディング法において本発明のエポキシ樹脂組成物の注入含浸が容易になる。
また、注入温度において、本発明のエポキシ樹脂組成物の反応性が高いと、注入過程で粘度が増加してしまい成形が困難になる場合がある。そのため、本発明のエポキシ樹脂組成物の粘度が70℃の温度において1000mPa・sに達する時間が60分以上であることが好ましく、より好ましくは90分以上である。70℃の温度で1000mPa・sに達する時間の上限に制限はなく、時間が長いほど繊維強化複合材料の成形性に優れる。本発明の反応性の制御は、本発明で使用する構成要素[E]の配合量の規定で行っている。
本発明において、レジン・トランスファー・モールディング法に用いられる型は、剛体からなるクローズドモールドを用いてもよく、剛体のオープンモールドと可撓性のフィルム(バッグ)を用いることも可能である。後者の場合、強化繊維からなる繊維基材は、剛体オープンモールドと可撓性フィルムの間に設置することができる。
剛体型の材料としては、スチールやアルミニウム等の金属、繊維強化プラスチック(FRP)、木材および石膏など既存の各種のものが用いられる。可撓性のフィルムの材料には、ナイロン、フッ素樹脂およびシリコーン樹脂等が用いられる。
剛体のクローズドモールドを用いる場合は、加圧して型締めし、本発明のエポキシ樹脂組成物を加圧して注入することが通常行われる。このとき、注入口とは別に吸引口を設け、真空ポンプに接続して吸引することも可能である。吸引を行い、かつ、特別な加圧手段を用いることなく、大気圧のみで本発明のエポキシ樹脂組成物を注入することも可能である。
剛体のオープンモールドと可撓性フィルムを用いる場合は、通常、吸引と大気圧による注入を用いる。大気圧による注入で、良好な含浸を実現するためには、樹脂拡散媒体を用いることが有効である。さらに、強化繊維からなる繊維基材あるいはプリフォームの設置に先立って、剛体型の表面にゲルコートを塗布することも好ましく行われる。
強化繊維からなる繊維基材あるいはプリフォームの設置が完了した後、型締めあるいはバギングが行われ、続いて本発明のエポキシ樹脂組成物の注入が行われた後に、加熱硬化が行われる。加熱硬化時の型の温度は、通常、エポキシ樹脂組成物の注入時における型の温度より高い温度が選ばれる。加熱硬化時の型の温度は、80〜180℃であることが好ましい。加熱硬化の時間は、1〜20時間が好ましい。加熱硬化が完了した後、脱型して繊維強化複合材料を取り出す。その後、得られた繊維強化複合材料を、硬化温度より高い温度で加熱する後硬化を行ってもよい。後硬化の温度は150〜200℃が好ましく、時間は1〜4時間が好ましい。
本発明の繊維強化複合材料は、炭素繊維および繊維基材を構成する材料と本発明のエポキシ樹脂組成物との接着性に優れる。
本発明の繊維強化複合材料を航空機用の構造部材として使用するためには、接着性の指標である90度引張強度が40〜65MPaの範囲であれば、得られるエポキシ樹脂と素繊維および繊維基材を構成する材料との接着性は十分高いレベルであり、ひいては圧縮特性に優れた繊維強化複合材料が得ることができ、より好ましくは45〜60MPaである。なお、繊維強化複合材料の90度引張強度の測定はASTM D3039に従い行う。
本発明のエポキシ樹脂組成物を適用した繊維強化複合材料は強化繊維の体積含有率が高いため軽く、機械物性に優れており、特に強化繊維とマトリックス樹脂の接着性優れていることから、胴体、主翼、尾翼、動翼、フェアリング、カウル、ドア、座席および内装材などの航空機部材、モーターケースおよび主翼などの宇宙機部材、構体およびアンテナなどの人工衛星部材、外板、シャシー、空力部材および座席などの自動車部材、構体および座席などの鉄道車両部材、船体および座席などの船舶部材など多くの構造材料に好適に用いることができる。
以下、実施例によって、本発明のエポキシ樹脂組成物について、さらに具体的に説明する。なお、組成比の単位「部」は、特に注釈のない限り「質量部」を意味する。
<樹脂粘度測定>
実施例で得られたエポキシ樹脂組成物において、該エポキシ樹脂組成物を構成する主剤、硬化剤およびそれらの混合物の各粘度は、JIS Z8803(2011)における「円すい−板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装備したE型粘度計(東機産業(株)製、TVE−30H)を使用して、回転速度20回転/分にて所定温度の粘度を測定した。
混合物の主剤と硬化剤を混合してから5分以内に行ったものを初期粘度とした。
<樹脂硬化物の曲げ弾性率の測定方法>
実施例で得られたエポキシ樹脂組成物を所定の型枠内に注入し、熱風オーブン中で室温から130℃の温度まで1分間に1.5℃ずつ昇温した後、130℃の温度下で2時間保持し、次いで180℃の温度まで1分間に1.5℃ずつ昇温した後、180℃の温度下で2時間保持して2mm厚の樹脂硬化板を作製した。作製した樹脂硬化板から幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、試験速度2.5mm/分、支点間距離32mmで3点曲げ試験を行い、JIS K7171(2008)に従い、曲げ弾性率を測定した。
<樹脂硬化物のガラス転移温度の測定方法>
得られた樹脂硬化板の小片(5〜10mg)をJIS K7121(1987)に従い、DSC法で中間点ガラス転移温度を求めた。測定装置にはPyris1 DSC(Perkin Elmer社製)を用いて窒素ガス雰囲気下において昇温速度40℃/分で測定した。
<炭素繊維からなる繊維基材1の製造>
各実施例で用いた炭素繊維からなる繊維基材1は次のように作製した。PAN系の無撚糸である炭素繊維束“トレカ”(登録商標)T800S−24K−10E(東レ(株)製、24000フィラメント)を経糸として1.8本/cmの密度で引き揃えて一方向性シート状強化繊維束群を形成した。緯糸としてガラス繊維ECE225 1/0 1Z(日東紡(株)製)を用い、前記一方向性シート状強化繊維束群に直交する方向に3本/cmの密度で配列し、織機を用いて該経糸と該緯糸が互いに交差するように織り込み、実質的に炭素繊維が一方向に配列された平織組織の織物を作製し、繊維基材1とした。得られた繊維基材1の炭素繊維目付は190g/mであった。
<炭素繊維からなる繊維基材2の製造>
各実施例で用いた炭素繊維からなる繊維基材2は次のようにして作製した。PAN系の無撚糸である炭素繊維束“トレカ”(登録商標)T800S−24K−10E(東レ(株)製、24000フィラメント)を経糸として1.8本/cmの密度で引き揃え、これに平行、かつ交互に配列された補助経糸としてガラス繊維束ECE225 1/0 1Z(日東紡(株)製、200フィラメント)を1.8本/cmの密度で引き揃えて一方向性シート状強化繊維束群を形成した。緯糸としてポリアミド繊維束(ポリアミド66、7フィラメント)を用い、前記一方向性シート状強化繊維束群に直交する方向に3本/cmの密度で配列し、織機を用いて該補助経糸と該緯糸が互いに交差するように織り込み、実質的に炭素繊維束が一方向に配列されクリンプの無い、一方向性ノンクリンプ織物を作製し、繊維基材2とした。繊維基材2の炭素繊維目付は192g/mであった。
<バインダー付き繊維基材の製造>
ポリエーテルスルホン“スミカエクセル”(登録商標)5003P(住友化学工業(株)製)60部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂“エピコート”(登録商標)(ジャパンエポキシレジン(株)製)23.5部、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂NC−3000(日本化薬(株)製)12.5部およびトリグリシジルイソシアヌレートTEPIC−P(日産化学工業(株)製)4部を二軸押出機にて210℃で溶融混練し、得られた組成物を冷凍粉砕後に分級して、体積平均粒子径100μm、ガラス転移温度73℃のバインダー粒子を得た。なお、体積平均粒子径はJIS K5600−9−3(2006)に従い、レーザー回析・散乱式粒度分布測定器(Partica LA−950V2、(株)堀場製作所製)を用いて測定し、ガラス転移温度は前記した樹脂硬化物のガラス転移温度の測定方法と同様に測定した。
得られたバインダー粒子を前記の繊維基材1および繊維基材2の片側表面にエンボスロールとドクターブレードにて計量しながら自然落下させ、振動ネットを介して均一分散させながら、バインダー目付が約25g/mとなるように散布した。その後、200℃、0.3m/分の条件にて遠赤外線ヒーターを通過させ、バインダーを繊維基材の片側全面に融着させてバインダー付き繊維基材1および2を得た。
<繊維強化複合材料の試験体の製造>
各実施例で使用した繊維強化複合材料は、レジン・トランスファー・モールディング法で作製したものである。前記で得られた繊維基材1および2の炭素繊維の長手方向を0度とし、同配向方向に12枚積層してプリフォームを作製した。得られたプリフォームに、70℃の温度下において各実施例で得られたエポキシ樹脂組成物を注入含浸した後、1分間に1.5℃ずつ130℃の温度まで昇温して130℃の温度下で2時間予備硬化する。予備硬化品を型から取り出した後、熱風オーブン中で1分間に1.5℃ずつ、180℃の温度まで昇温して180℃の温度下で2時間硬化して試験体の繊維強化複合材料とした。
<繊維強化複合材料の90度引張強度の測定>
前記の製造方法で得られた繊維強化複合材料から、試験片の長手方向を炭素繊維配向角90度として縦190mm、横25.4mmの短形試験片を切り出し、ASTM D3039に従い測定した。サンプル数は5とした。
<実施例1>
下記の処方により、エポキシ樹脂組成物を得た。なお、得られたエポキシ樹脂組成物は二液型の形態であり、使用前に主剤と硬化剤を混合して使用した。
「主剤」
・“Araldite”(登録商標)MY721(N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリン、分子量:450、ハンツマン・ジャパン(株)製):40部
・GAN(N,N−(ジグリシジル)アニリン、分子量:205、日本化薬(株)製):28部
・“DENACOL”(登録商標)EX−521(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、n=3、分子量:742、ナガセケムテックス(株)製):2部
・“カネエース”(登録商標)MX416(“Araldite”(登録商標)MY721:75部/コアシェルポリマー粒子(体積平均粒子径:100nm、コア成分:架橋ポリブタジエン(ガラス転移温度:−70℃)、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25部のマスターバッチ):40部
「硬化剤」
・“Aradur”(登録商標)5200(ジエチルトルエンジアミン、ハンツマン・ジャパン(株)製):29.3部
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、小西化学工業(株)製):6.3部
・“セイカキュア”(登録商標)S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、セイカ(株)製):6.3部
・“DIC”(登録商標)TBC(t−ブチルカテコール、DIC(株)製):1.5部
得られたエポキシ樹脂組成物を前記方法にて粘度測定を行った結果、主剤の70℃における粘度は320mPa・s、硬化剤の70℃における粘度は72mPa・sであり、主剤110部に対して硬化剤43.4部混合した混合物の70℃における初期粘度は218mPa・sであり、70℃の温度下で1000mPa・sに達する時間は128分であった。
得られた混合物を用いて、前記方法にて樹脂硬化物を作製し、ガラス転移温度を測定した結果176℃、25℃における曲げ弾性率は3.0GPa、樹脂破壊靱性GIcは142J/mであり、レジン・トランスファー・モールディング成形により作製される繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に適していた。
得られたエポキシ樹脂組成物を前記したバインダーの無い繊維基材1を用いて、前記方法にて繊維強化複合材料を作製し、90度引張強度を測定した結果、43MPaと高い値であり、構造部材に適していた。
<実施例2>
下記の処方により、実施例1と同様に二液型のエポキシ樹脂組成物を得た。
「主剤」
・“Araldite”(登録商標)MY721(N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリン、分子量:450、ハンツマン・ジャパン(株)製):61部
・GAN(N,N−(ジグリシジル)アニリン、分子量:205、日本化薬工業(株)製):28部
・“DENACOL”(登録商標)EX−521(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、n=3、分子量:742、ナガセケムテックス(株)製):2部
・“カネエース”(登録商標)MX416(“Araldite”(登録商標)MY721:75部/コアシェルポリマー粒子(体積平均粒子径:100nm、コア成分:架橋ポリブタジエン(ガラス転移温度:−70℃)、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25部のマスターバッチ):12部
「硬化剤」
・“Aradur”(登録商標)5200(ジエチルトルエンジアミン、ハンツマン・ジャパン(株)製):29.4部
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、小西化学工業(株)製):6.3部
・“セイカキュア”(登録商標)S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、セイカ(株)製):6.3部
・“DIC”(登録商標)TBC(t−ブチルカテコール、DIC(株)製):1.5部
得られたエポキシ樹脂組成物を前記方法にて粘度測定を行った結果、主剤の70℃における粘度は205mPa・s、硬化剤の70℃における粘度は72mPa・sであり、主剤103部に対して硬化剤43.5部混合した混合物の70℃における初期粘度は158mPa・sであり、70℃の温度下で1000mPa・sに達する時間は142分であった。
得られた混合物を用いて、前記方法にて樹脂硬化物を作製し、ガラス転移温度を測定した結果176℃、25℃における曲げ弾性率は3.3GPa、樹脂破壊靱性GIcは121J/mであり、レジン・トランスファー・モールディング成形により作製される繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に適していた。
得られたエポキシ樹脂組成物を前記したバインダーの無い繊維基材1を用いて、前記方法にて繊維強化複合材料を作製し、90度引張強度を測定した結果、42MPaと高い値であり、構造部材に適していた。
<実施例3>
下記の処方により、実施例1と同様に二液型のエポキシ樹脂組成物を得た。
「主剤」
・“Araldite”(登録商標)MY721(N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリン、分子量:450、ハンツマン・ジャパン(株)製):53部
・GAN(N,N−(ジグリシジル)アニリン、分子量:205、日本化薬工業(株)製):28部
・“DENACOL”(登録商標)EX−521(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、n=3、分子量:742、ナガセケムテックス(株)製):10部
・“カネエース”(登録商標)MX416(“Araldite”(登録商標)MY721:75部/コアシェルポリマー粒子(体積平均粒子径:100nm、コア成分:架橋ポリブタジエン(ガラス転移温度:−70℃)、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25部のマスターバッチ):12部
「硬化剤」
・“Aradur”(登録商標)5200(ジエチルトルエンジアミン、ハンツマン・ジャパン(株)製):28.5部
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、小西化学工業(株)製):6.1部
・“セイカキュア”(登録商標)S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、セイカ(株)製):6.1部
・“DIC”(登録商標)TBC(t−ブチルカテコール、DIC(株)製):1.5部
得られたエポキシ樹脂組成物を前記方法にて粘度測定を行った結果、主剤の70℃における粘度は156mPa・s、硬化剤の70℃における粘度は72mPa・sであり、主剤103部に対して硬化剤42.2部混合した混合物の70℃における初期粘度は136mPa・sであり、70℃の温度下で1000mPa・sに達する時間は159分であった。
得られた混合物を用いて、前記方法にて樹脂硬化物を作製し、ガラス転移温度を測定した結果168℃、25℃における曲げ弾性率は3.1GPa、樹脂破壊靱性GIcは125J/mであり、レジン・トランスファー・モールディング成形により作製される繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に適していた。
得られたエポキシ樹脂組成物を前記したバインダーの無い繊維基材1を用いて、前記方法にて繊維強化複合材料を作製し、90度引張強度を測定した結果、49MPaと高い値であり、構造部材に適していた。
<実施例4>
下記の処方により、実施例1と同様に二液型のエポキシ樹脂組成物を得た。
「主剤」
・“Araldite”(登録商標)MY721(N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリン、分子量:450、ハンツマン・ジャパン(株)製):48部
・GAN(N,N−(ジグリシジル)アニリン、分子量:205、日本化薬工業(株)製):28部
・“DENACOL”(登録商標)EX−521(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、n=3、分子量:742、ナガセケムテックス(株)製):15部
・“カネエース”(登録商標)MX416(“Araldite”(登録商標)MY721:75部/コアシェルポリマー粒子(体積平均粒子径:100nm、コア成分:架橋ポリブタジエン(ガラス転移温度:−70℃)、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25部のマスターバッチ):12部
「硬化剤」
・“Aradur”(登録商標)5200(ジエチルトルエンジアミン、ハンツマン・ジャパン(株)製):27.9部
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、小西化学工業(株)製):6.0部
・“セイカキュア”(登録商標)S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、セイカ(株)製):6.0部
・“DIC”(登録商標)TBC(t−ブチルカテコール、DIC(株)製):1.5部
得られたエポキシ樹脂組成物を前記方法にて粘度測定を行った結果、主剤の70℃における粘度は152mPa・s、硬化剤の70℃における粘度は72mPa・sであり、主剤103部に対して硬化剤41.3部混合した混合物の70℃における初期粘度は135mPa・sであり、70℃の温度下で1000mPa・sに達する時間は140分であった。
得られた混合物を用いて、前記方法にて樹脂硬化物を作製し、ガラス転移温度を測定した結果155℃、25℃における曲げ弾性率は3.2GPa、樹脂破壊靱性GIcは153J/mであり、レジン・トランスファー・モールディング成形により作製される繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に適していた。
得られたエポキシ樹脂組成物を前記したバインダーの無い繊維基材1を用いて、前記方法にて繊維強化複合材料を作製し、90度引張強度を測定した結果、55MPaと高い値であり、構造部材に適していた。
<実施例5>
下記の処方により、実施例1と同様に二液型のエポキシ樹脂組成物を得た。
「主剤」
・“Araldite”(登録商標)MY721(N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリン、分子量:450、ハンツマン・ジャパン(株)製):67部
・GAN(N,N−(ジグリシジル)アニリン、分子量:205、日本化薬工業(株)製):28部
・“DENACOL”(登録商標)EX−521(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、n=3、分子量:742、ナガセケムテックス(株)製):2部
・“カネエース”(登録商標)MX416(“Araldite”(登録商標)MY721:75部/コアシェルポリマー粒子(体積平均粒子径:100nm、コア成分:架橋ポリブタジエン(ガラス転移温度:−70℃)、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25部のマスターバッチ):4部
「硬化剤」
・“Aradur”(登録商標)5200(ジエチルトルエンジアミン、ハンツマン・ジャパン(株)製):29.4部
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、小西化学工業(株)製):6.3部
・“セイカキュア”(登録商標)S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、セイカ(株)製):6.3部
・“DIC”(登録商標)TBC(t−ブチルカテコール、DIC(株)製):1.5部
得られたエポキシ樹脂組成物を前記方法にて粘度測定を行った結果、主剤の70℃における粘度は186mPa・s、硬化剤の70℃における粘度は72mPa・sであり、主剤101部に対して硬化剤43.5部混合した混合物の70℃における初期粘度は152mPa・sであり、70℃の温度下で1000mPa・sに達する時間は154分であった。
得られた混合物を用いて、前記方法にて樹脂硬化物を作製し、ガラス転移温度を測定した結果175℃、25℃における曲げ弾性率は3.5GPa、樹脂破壊靱性GIcは101J/mであり、レジン・トランスファー・モールディング成形により作製される繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に適していた。
得られたエポキシ樹脂組成物を前記したバインダーの無い繊維基材1を用いて、前記方法にて繊維強化複合材料を作製し、90度引張強度を測定した結果、42MPaと高い値であり、構造部材に適していた。
<実施例6>
下記の処方により、実施例1と同様に二液型のエポキシ樹脂組成物を得た。
「主剤」
・“Araldite”(登録商標)MY721(N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリン、分子量:450、ハンツマン・ジャパン(株)製):44部
・GAN(N,N−(ジグリシジル)アニリン、分子量:205、日本化薬工業(株)製):45部
・“DENACOL”(登録商標)EX−521(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、n=3、分子量:742、ナガセケムテックス(株)製):2部
・“カネエース”(登録商標)MX416(“Araldite”(登録商標)MY721:75部/コアシェルポリマー粒子(体積平均粒子径:100nm、コア成分:架橋ポリブタジエン(ガラス転移温度:−70℃)、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25部のマスターバッチ):12部
「硬化剤」
・“Aradur”(登録商標)5200(ジエチルトルエンジアミン、ハンツマン・ジャパン(株)製):28.9部
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、小西化学工業(株)製):6.2部
・“セイカキュア”(登録商標)S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、セイカ(株)製):6.2部
・“DIC”(登録商標)TBC(t−ブチルカテコール、DIC(株)製):1.5部
得られたエポキシ樹脂組成物を前記方法にて粘度測定を行った結果、主剤の70℃における粘度は95mPa・s、硬化剤の70℃における粘度は72mPa・sであり、主剤103部に対して硬化剤42.8部混合した混合物の70℃における初期粘度は89mPa・sであり、70℃の温度下で1000mPa・sに達する時間は175分であった。
得られた混合物を用いて、前記方法にて樹脂硬化物を作製し、ガラス転移温度を測定した結果162℃、25℃における曲げ弾性率は3.7GPa、樹脂破壊靱性GIcは105J/mであり、レジン・トランスファー・モールディング成形により作製される繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に適していた。
得られたエポキシ樹脂組成物を前記したバインダーの無い繊維基材1を用いて、前記方法にて繊維強化複合材料を作製し、90度引張強度を測定した結果、43MPaと高い値であり、構造部材に適していた。
<実施例7>
下記の処方により、実施例1と同様に二液型のエポキシ樹脂組成物を得た。
「主剤」
・“Araldite”(登録商標)MY721(N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリン、分子量:450、ハンツマン・ジャパン(株)製):51部
・GAN(N,N−(ジグリシジル)アニリン、分子量:205、日本化薬工業(株)製):30部
・“DENACOL”(登録商標)EX−521(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、n=3、分子量:742、ナガセケムテックス(株)製):10部
・“カネエース”(登録商標)MX416(“Araldite”(登録商標)MY721:75部/コアシェルポリマー粒子(体積平均粒子径:100nm、コア成分:架橋ポリブタジエン(ガラス転移温度:−70℃)、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25部のマスターバッチ):12部
「硬化剤」
・“Aradur”(登録商標)5200(ジエチルトルエンジアミン、ハンツマン・ジャパン(株)製):28.4部
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、小西化学工業(株)製):6.1部
・“セイカキュア”(登録商標)S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、セイカ(株)製):6.1部
・“DIC”(登録商標)TBC(t−ブチルカテコール、DIC(株)製):1.5部
得られたエポキシ樹脂組成物を前記方法にて粘度測定を行った結果、主剤の70℃における粘度は151mPa・s、硬化剤の70℃における粘度は72mPa・sであり、主剤103部に対して硬化剤42.1部混合した混合物の70℃における初期粘度は133mPa・sであり、70℃の温度下で1000mPa・sに達する時間は152分であった。
得られた混合物を用いて、前記方法にて樹脂硬化物を作製し、ガラス転移温度を測定した結果174℃、25℃における曲げ弾性率は3.4GPa、樹脂破壊靱性GIcは124J/mであり、レジン・トランスファー・モールディング成形により作製される繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に適していた。
得られたエポキシ樹脂組成物を前記したバインダーの無い繊維基材1を用いて、前記方法にて繊維強化複合材料を作製し、90度引張強度を測定した結果、52MPaと高い値であり、構造部材に適していた。
<比較例1>
下記の処方により、エポキシ樹脂組成物を得た。なお、得られたエポキシ樹脂組成物は二液型の形態であり、使用前に主剤と硬化剤を混合して使用した。
「主剤」
・“Araldite”(登録商標)MY721(N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリン、分子量:450、ハンツマン・ジャパン(株)製):61部
・GAN(N,N−(ジグリシジル)アニリン、分子量:205、日本化薬工業(株)製):30部
・“カネエース”(登録商標)MX416(“Araldite”(登録商標)MY721:75部/コアシェルポリマー粒子(体積平均粒子径:100nm、コア成分:架橋ポリブタジエン(ガラス転移温度:−70℃)、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25部のマスターバッチ):12部
「硬化剤」
・“Aradur”(登録商標)5200(ジエチルトルエンジアミン、ハンツマン・ジャパン(株)製):29.5部
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、小西化学工業(株)製):6.3部
・“セイカキュア”(登録商標)S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、セイカ(株)製):6.3部
・“DIC”(登録商標)TBC(t−ブチルカテコール、DIC(株)製):1.5部
得られたエポキシ樹脂組成物を前記方法にて粘度測定を行った結果、主剤の70℃における粘度は192mPa・s、硬化剤の70℃における粘度は72Pa・sであり、主剤103部に対して硬化剤43.7部混合した混合物の70℃における初期粘度は159mPa・sであり、70℃の温度下で1000mPa・sに達する時間は150分であった。
得られた混合物を用いて、前記方法にて樹脂硬化物を作製し、樹脂硬化物の物性を測定した結果、ガラス転移温度182℃、25℃における曲げ弾性率は3.8GPa、樹脂破壊靱性GIcは110J/mであり、レジン・トランスファー・モールディング成形により作製される繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に適していた。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記したバインダーの無い繊維基材1を用いて繊維強化複合材料を作製し、90度引張強度を測定した結果、32MPaと低い値であり、構造部材に不適であった。
<比較例2>
下記の処方により、比較例1と同様に二液型のエポキシ樹脂組成物を得た。
「主剤」
・“Araldite”(登録商標)MY721(N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリン、分子量:450、ハンツマン・ジャパン(株)製):61部
・GAN(N,N−(ジグリシジル)アニリン、分子量:205、日本化薬工業(株)製):10部
・“DENACOL”(登録商標)EX−521(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、n=3、分子量:742、ナガセケムテックス(株)製):20部
・“カネエース”(登録商標)MX416(“Araldite”(登録商標)MY721:75部/コアシェルポリマー粒子(体積平均粒子径:100nm、コア成分:架橋ポリブタジエン(ガラス転移温度:−70℃)、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25部のマスターバッチ):12部
「硬化剤」
・“Aradur”(登録商標)5200(ジエチルトルエンジアミン、ハンツマン・ジャパン(株)製):27.9部
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、小西化学工業(株)製):6.0部
・“セイカキュア”(登録商標)S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、セイカ(株)製):6.0部
・“DIC”(登録商標)TBC(t−ブチルカテコール、DIC(株)製):1.5部
得られたエポキシ樹脂組成物を前記方法にて粘度測定を行った結果、主剤の70℃における粘度は205mPa・s、硬化剤の70℃における粘度は72Pa・sであり、主剤103部に対して硬化剤41.3部混合した混合物の70℃における初期粘度は166mPa・sであり、70℃の温度下で1000mPa・sに達する時間は135分であった。
得られた混合物を用いて、前記方法にて樹脂硬化物を作製し、樹脂硬化物の物性を測定した結果、ガラス転移温度144℃、25℃における曲げ弾性率は2.9GPa、樹脂破壊靱性GIcは122J/m、であり、レジン・トランスファー・モールディング成形により作製される繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に不適であった。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記したバインダーの無い繊維基材1を用いて繊維強化複合材料を作製し、90度引張強度を測定した結果、52MPaであった。
<比較例3>
下記の処方により、比較例1と同様に二液型のエポキシ樹脂組成物を得た。
「主剤」
・“Araldite”(登録商標)MY721(N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリン、分子量:450、ハンツマン・ジャパン(株)製):60部
・GAN(N,N−(ジグリシジル)アニリン、分子量:205、日本化薬工業(株)製):30部
・“DENACOL”(登録商標)EX−521(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、n=3、分子量:742、ナガセケムテックス(株)):10部
「硬化剤」
・“Aradur”(登録商標)5200(ジエチルトルエンジアミン、ハンツマン・ジャパン(株)製):28.4部
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、小西化学工業(株)製):6.1部
・“セイカキュア”(登録商標)S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、セイカ(株)製):6.1部
・“DIC”(登録商標)TBC(t−ブチルカテコール、DIC(株)製):1.5部
得られたエポキシ樹脂組成物を前記方法にて粘度測定を行った結果、主剤の70℃における粘度は147mPa・s、硬化剤の70℃における粘度は72Pa・sであり、主剤100部に対して硬化剤42.1部混合した混合物の70℃における初期粘度は124mPa・sであり、70℃の温度下で1000mPa・sに達する時間は163分であった。
得られた混合物を用いて、前記方法にて樹脂硬化物を作製し、樹脂硬化物の物性を測定した結果、ガラス転移温度172℃、25℃における曲げ弾性率は3.5GPa、樹脂破壊靱性GIcは62J/mであり、レジン・トランスファー・モールディング成形により作製される繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に不適であった。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記したバインダーの無い繊維基材1を用いて繊維強化複合材料を作製し、90度引張強度を測定した結果、50MPaであった。
<比較例4>
下記の処方により、比較例1と同様に二液型のエポキシ樹脂組成物を得た。
「主剤」
・“Araldite”(登録商標)MY721(N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリン、分子量:450、ハンツマン・ジャパン(株)製):15部
・GAN(N,N−(ジグリシジル)アニリン、分子量:205、日本化薬工業(株)製):30部
・“DENACOL”(登録商標)EX−521(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、n=3、分子量:742、ナガセケムテックス(株)製):10部
・“カネエース”(登録商標)MX416(“Araldite”(登録商標)MY721:75部/コアシェルポリマー粒子(体積平均粒子径:100nm、コア成分:架橋ポリブタジエン(ガラス転移温度:−70℃)、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25部のマスターバッチ):60部
「硬化剤」
・“Aradur”(登録商標)5200(ジエチルトルエンジアミン、ハンツマン・ジャパン(株)製):28.4部
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、小西化学工業(株)製):6.1部
・“セイカキュア”(登録商標)S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、セイカ(株)製):6.1部
・“DIC”(登録商標)TBC(t−ブチルカテコール、DIC(株)製):1.5部
得られたエポキシ樹脂組成物を前記方法にて粘度測定を行った結果、主剤の70℃における粘度は355mPa・s、硬化剤の70℃における粘度は72Pa・sであり、主剤115部に対して硬化剤42.0部混合した混合物の70℃における初期粘度は238mPa・sであり、70℃の温度下で1000mPa・sに達する時間は115分であった。
得られた混合物を用いて、前記方法にて樹脂硬化物を作製し、樹脂硬化物の物性を測定した結果、ガラス転移温度175℃、25℃における曲げ弾性率は2.6GPa、樹脂破壊靱性GIcは230J/mであり、レジン・トランスファー・モールディング成形により作製される繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に不適であった。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記したバインダーの無い繊維基材1を用いて繊維強化複合材料を作製し、90度引張強度を測定した結果、52MPaであった。
<比較例5>
下記の処方により、比較例1と同様に二液型のエポキシ樹脂組成物を得た。
「主剤」
・“Araldite”(登録商標)MY721(N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリン、分子量:450、ハンツマン・ジャパン(株)製):26部
・GAN(N,N−(ジグリシジル)アニリン、分子量:205、日本化薬工業(株)製):55部
・“DENACOL”(登録商標)EX−521(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、n=3、分子量:742、ナガセケムテックス(株)製):10部
・“カネエース”(登録商標)MX416(“Araldite”(登録商標)MY721:75部/コアシェルポリマー粒子(体積平均粒子径:100nm、コア成分:架橋ポリブタジエン(ガラス転移温度:−70℃)、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25部のマスターバッチ):12部
「硬化剤」
・“Aradur”(登録商標)5200(ジエチルトルエンジアミン、ハンツマン・ジャパン(株)製):27.7部
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、小西化学工業(株)製):5.9部
・“セイカキュア”(登録商標)S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、セイカ(株)製):5.9部
・“DIC”(登録商標)TBC(t−ブチルカテコール、DIC(株)製):1.5部
得られたエポキシ樹脂組成物を前記方法にて粘度測定を行った結果、主剤の70℃における粘度は76mPa・s、硬化剤の70℃における粘度は72Pa・sであり、主剤103部に対して硬化剤41.0部混合した混合物の70℃における初期粘度は70mPa・sであり、70℃の温度下で1000mPa・sに達する時間は188分であった。
得られた混合物を用いて、前記方法にて樹脂硬化物を作製し、樹脂硬化物の物性を測定した結果、ガラス転移温度145℃、25℃における曲げ弾性率は3.7GPa、樹脂破壊靱性GIcは100J/mであり、レジン・トランスファー・モールディング成形により作製される繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に不適であった。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、前記したバインダーの無い繊維基材1を用いて繊維強化複合材料を作製し、90度引張強度を測定した結果、52MPaであった。
以上の実施例および比較例について、実験条件および特性測定結果を表1にまとめた。
Figure 2013159618

Claims (10)

  1. 少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]、[D]、[E]および[F]を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
    [A]N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリンが、全エポキシ樹脂100質量部中に50〜70質量部、
    [B]N,N−(ジグリシジル)アニリンが、全エポキシ樹脂100質量部中に25〜45質量部、
    [C]炭素数3〜18の脂肪族ポリオールから導かれ、1分子中にエポキシ基を3個以上有する脂肪族エポキシ樹脂が、全エポキシ樹脂100質量部中に2〜15質量部、
    [D]コアシェルポリマー粒子が、全エポキシ樹脂100質量部に対して1〜10質量部、
    [E]芳香族アミン化合物が、全エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基数と、該芳香族アミン化合物に含まれる活性水素数の比率が、エポキシ基:活性水素=1:0.7〜1.3の範囲となる質量、
    [F]硬化触媒が、全エポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部。
  2. 構成要素[C]が1分子中に存在するグリセロール基の繰り返し単位数nが2または3であるポリグリセロールポリグリシジルエーテルである、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 構成要素[E]の70℃の温度における粘度が500mPa・s以下である、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 構成要素[E]である芳香族ジアミン組成物には、少なくともジエチルトルエンジアミン(2,4−ジエチル−6−メチル−m−フェニレンジアミンと4,6−ジエチル−2−メチル−m−フェニレンジアミンを主成分とする混合物)が60〜80質量%含まれていることを特徴とする請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 構成要素[E]である芳香族ジアミン組成物には、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンが10〜20質量%、および4,4’−ジアミノジフェニルスルホンが10〜20質量%含まれることを特徴とする、請求項3または4に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 構成要素[F]に配合される硬化促進剤がt−ブチルカテコールである、請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 70℃において、測定開始から5分以内の粘度が500mPa・s以下であり、かつ粘度が1000mPa・sに達する時間が60分以上である、請求項1〜6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]および[D]を含み、70℃における粘度が500mPa・s以下である主剤と、少なくとも次の構成要素[E]および[F]を含み、70℃における粘度が500mPa・s以下である硬化剤を混合する工程を含む、二液型エポキシ樹脂組成物の製造方法。
    [A]N,N,N’,N’−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4’−メチレンジアニリンが、全エポキシ樹脂100質量部中に50〜70質量部、
    [B]N,N−(ジグリシジル)アニリンが、全エポキシ樹脂100質量部中に25〜45質量部、
    [C]炭素数3〜18の脂肪族ポリオールから導かれ、1分子中にエポキシ基を3個以上有する脂肪族エポキシ樹脂が、全エポキシ樹脂100質量部中に2〜15質量部、
    [D]コアシェルポリマー粒子が、全エポキシ樹脂100質量部に対して1〜10質量部、
    [E]芳香族アミン化合物が、全エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基数と、該芳香族アミン化合物に含まれる活性水素数の比率が、エポキシ基:活性水素=1:0.7〜1.3の範囲となる質量、
    [F]硬化触媒が、全エポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部。
  9. 少なくとも請求項1〜7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物、または請求項8に記載の方法で製造された二液型エポキシ樹脂組成物の硬化物と炭素繊維から構成される繊維強化複合材料。
  10. 前記炭素繊維を主成分とする織物を型内に配置し、請求項1〜7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物、または請求項8に記載の方法で製造された二液型エポキシ樹脂組成物を注入して含浸させた後、加熱硬化させる、繊維強化複合材料の製造方法。
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