JP2011046797A - エポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料、および繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料、および繊維強化複合材料の製造方法 Download PDF

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雅幸 三好
Toshiya Kamae
俊也 釜江
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Abstract

【課題】低粘度、高Tg、高弾性率であり、なおかつタフネスに優れるエポキシ樹脂組成物、およびかかる維強化複合材料用エポキシ樹脂を適用することにより優れた熱的特性、圧縮強度、耐衝撃性、耐疲労性、0°方向引張強度を有し、航空機造材などとして最適な繊維強化複合材料を提供すること。
【解決手段】少なくとも構成要素[A]所定の単官能エポキシ樹脂、[B]1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、[C]40℃の温度下において液状である芳香族ジアミン、[D]コアシェルポリマー粒子を含むエポキシ樹脂組成物であって、構成要素[D]がシェル部分にエポキシ基を含み、かつ、体積平均粒子径が50〜300nmの範囲内にあることを特徴とする、エポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材、船舶部材などに好適に用いられる繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として用いられるエポキシ樹脂組成物に関する。より詳しくは、低粘度、高ガラス転移温度(Tg)、高弾性率であり、なおかつ破壊靱性に優れるエポキシ樹脂組成物に関するものである。また本発明は、かかるエポキシ樹脂組成物を用いて製造される繊維強化複合材料、およびかかる繊維強化複合材料の製造方法に関する。
ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの強化繊維と、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂などの熱硬化性樹脂の硬化物からなる繊維強化複合材料は、軽量でありながら、強度、弾性率などの機械特性に優れるため、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材、船舶部材、土木建築材、スポーツ用品などの多くの分野に用いられている。特に、高性能が要求される用途では、連続繊維を用いた繊維強化複合材料が用いられ、強化繊維としては比強度、比弾性率に優れた炭素繊維が、マトリックス樹脂としては炭素繊維との接着性に優れたエポキシ樹脂が多く用いられている。
しかしながら、エポキシ樹脂組成物を硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物は一般に脆いという性質を有しており、繊維強化複合材料の耐衝撃性、耐疲労性を向上する上では、高靱性化することが重要な課題となっている。エポキシ樹脂硬化物を高靭性化する方法としては、エポキシ樹脂組成物にゴムあるいは熱可塑性ポリマーを添加する方法が知られている。ゴムを添加する方法として、例えば、カルボキシル基を末端基とするブタジエン−アクリロニトリル共重合ゴム(CTBN)やニトリルゴムを用いる例が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
しかしながら、この方法はゴムがエポキシ樹脂組成物へ一旦溶解した後、硬化時に相分離するという過程を経るため、エポキシ樹脂組成物の種類や硬化条件の違いにより硬化物のモルホロジーが変化し、狙いの高靱性化効果が得られないという問題、さらにはエポキシ樹脂硬化物中のエポキシ樹脂相にゴム成分が一部溶解するため、エポキシ樹脂硬化物の粘度上昇、Tg低下、弾性率低下を引き起こすなどの問題を有していた。
この問題に対して、エポキシ樹脂に実質的に不溶なポリマー粒子を用いる方法が提案されている。中でも、ポリマーを主成分とする粒子状のコア部分と、コア部分とは異なるポリマーをグラフト重合するなどの方法でコア部分の表面の一部あるいは全体を被覆したコアシェルポリマー粒子を配合する方法が提案されている(例えば、特許文献3、4)。この方法ではエポキシ樹脂組成物の粘度上昇、エポキシ樹脂硬化物のTg低下を抑制できることが知られている。
しかしながら、十分な靱性向上効果を得るためには大量のコアシェルポリマー粒子の配合が必要であり、この結果、エポキシ樹脂硬化物の弾性率が低下し、ひいては繊維強化複合材料の繊維方向の圧縮強度の低下を引き起こすという問題が依然として残されていた。
特公昭61−29613号公報 特公昭62−34251号公報 特開平5−65391号公報 特開2003−277579号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の背景に鑑み、低粘度、高Tg、高弾性率であり、なおかつ破壊靱性に優れるエポキシ樹脂組成物、およびかかるエポキシ樹脂組成物を適用することにより優れた熱的特性、圧縮強度、耐衝撃性、耐疲労性、0°方向引張強度を有し、航空機部材などとして最適な繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]および[D]を含むエポキシ樹脂組成物であって、構成要素[D]がシェル部分にエポキシ基を含み、かつ、体積平均粒子径が50〜300nmの範囲内にあるものである。
[A]次式(I)、(II)のいずれかで表される少なくとも1種以上の単官能エポキシ樹脂
Figure 2011046797
(上記化学式中R〜Rは、それぞれ水素、ハロゲン、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる置換基である。)
Figure 2011046797
[B]1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂
[C]40℃の温度下において液状である芳香族ジアミン
[D]コアシェルポリマー
本発明のエポキシ樹脂組成物の好ましい様態は、構成要素[A]のR〜Rのうち少なくとも1つ以上がブロモ基であり、配合量が全エポキシ樹脂100質量部に対して10〜60質量部である。さらには、構成要素[B]は1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族エポキシ樹脂であり、配合量が全エポキシ樹脂100質量部に対して30〜70質量部であることが好ましい。構成要素[D]のコア部分が、ブタジエンを含むモノマーから重合された共重合体であることが好ましく、この構成要素[D]の配合量が全エポキシ樹脂100質量部に対して1〜12質量部であることが好ましい。構成要素[C]は、ジエチルトルエンジアミンであることが好ましく、さらには、構成要素[C]に含有される芳香族ジアミン化合物100質量部に対して、ジエチルトルエンジアミンが60〜90質量部と、ジアミノジフェニルスルホンが10〜40質量部配合されていることが好ましい。
本発明の繊維強化複合材料の好ましい様態は、少なくとも、前記のエポキシ樹脂組成物の硬化物と、炭素繊維を有してなる繊維基材とで構成されるものである。さらに、炭素繊維を有してなる強化繊維基材が、該炭素繊維のストランドからなる経糸とこれに平行に配列されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸と、これらと直交するように配列されたガラス繊維または化学繊維からなる緯糸からなり、該補助経糸と該緯糸が互いに交差することにより、炭素繊維のストランドが一体に保持されて織物が形成されているノンクリンプ構造の織物であるものである。
また、本発明の繊維強化複合材料の製造方法の好ましい様態は、炭素繊維のストランドからなる経糸とこれに平行に配列されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸と、これらと直交するように配列されたガラス繊維または化学繊維からなる緯糸からなり、該補助経糸と該緯糸が互いに交差することにより、炭素繊維のストランドが一体に保持されて織物が形成されているノンクリンプ構造の織物を型内に配置し、前記のエポキシ樹脂組成物を注入して含浸させた後、加熱硬化させるものである。さらに、前記エポキシ樹脂組成物の注入を、前記型内を真空吸引することにより行うことが好ましい。
本発明によれば、低粘度であり強化繊維への含浸性に優れ、繊維強化複合材料の耐熱性発現に重要なTgに優れ、繊維強化複合材料の耐衝撃性、耐疲労性、0°方向引張強度の発現に必要な破壊靱性に優れたエポキシ樹脂組成物が得られる。そして、少なくとも、かかるエポキシ樹脂組成物の硬化物と炭素繊維とで構成される繊維強化複合材料は、耐熱性、圧縮強度、引張強度、耐衝撃性、耐疲労性に優れるので、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材、船舶部材などに好適に用いることができる。
本発明の炭素繊維複合材料としての一実地形態にかかわるノンクリンプ織物の概略斜視図である。
本発明者らは、低粘度、高Tg、高弾性率であり、なおかつ破壊靱性に優れるエポキシ樹脂組成物について鋭意検討した結果、特定構造を有する1官能エポキシ樹脂、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、40℃の温度下において液状である芳香族ジアミン硬化剤、およびシェル部分にエポキシ基を含み、体積平均粒子径が50〜300nmの範囲内にある特定のコアシェルポリマー粒子を組み合わせた場合、これらの全ての特性を満たすことを見出したのである。なかでも、弾性率と破壊靱性は相反する特性として従来から知られているが、本発明者らは、驚くべきことに本発明の組み合わせにより弾性率、破壊靱性がともに向上することを見出したのである。
本発明において、エポキシ樹脂とは分子内にエポキシ基を有する化合物を指す。また、エポキシ樹脂組成物とはエポキシ樹脂、アミン硬化剤、必要に応じて添加される硬化促進剤を含む未硬化の組成物を指し、エポキシ樹脂硬化物、あるいは硬化物とはエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を指す
本発明の構成要素[A]の上記式(I)で示されるエポキシ樹脂のR〜Rは、それぞれ水素、ハロゲン、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる置換基である。
本発明の構成要素[A]の上記式(I)で表される単官能エポキシ樹脂は、フェノール、またはその置換基誘導体とエピクロロヒドリンとの反応により得られるものである。ここで、R〜Rは、それぞれ水素、ハロゲン、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる置換基である。高Tgの硬化物が得られるという観点からR〜Rが水素、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、高弾性率の硬化物が得られるという観点からR〜Rがフェニル基、ブロモ基であることが好ましい。また、難燃性を付与できるという観点からR〜Rの少なくとも1つがハロゲンであることが好ましい。式(I)の具体例としては、フェニルグリシジルエーテル、メチルフェニルグリシジルエーテル、ジメチルフェニルグリシジルエーテル、トリメチルフェニルグリシジルエーテル、テトラメチルフェニルグリシジルエーテル、エチルフェニルグリシジルエーテル、ジエチルフェニルグリシジルエーテル、トリエチルフェニルグリシジルエーテル、テトラエチルフェニルグリシジルエーテル、イソプロピルフェニルグリシジルエーテル、ジイソプロピルフェニルグリシジルエーテル、トリイソプロピルフェニルグリシジルエーテル、テトライソプロピルフェニルグリシジルエーテル、オルソフェニルフェニールグリシジルエーテル、m−フェニルフェニールグリシジルエーテル、p−フェニルフェニールグリシジルエーテル、p−ターシャルブチルフェニルグリシジルエーテル、o−ターシャルブチルフェニルグリシジルエーテル、m−ターシャルブチルフェニルグリシジルエーテル、クロロフェニルグリシジルエーテル、ジクロロフェニルグリシジルエーテル、トリクロロフェニルグリシジルエーテル、テトラクロロフェニルグリシジルエーテル、ブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、トリブロモフェニルグリシジルエーテルおよびテトラブロモフェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
構成要素[A]の上記式(II)で表される単官能エポキシ樹脂は、フタルイミドとエピクロロヒドリンとの反応により得られるものである。式(II)の具体例としては、グリシジルフタルイミドが挙げられる。
構成要素[A]のR〜Rのうち少なくとも1つ以上がブロモ基であることが好ましく、2つ以上がブロモ基であることがより好ましい。構成要素[A]のR〜Rのうち少なくとも1つ以上がブロモ基である場合、難燃性と弾性率とタフネスに優れるエポキシ樹脂硬化物が得られ、2つ以上がブロモ基である場合、更に難燃性と弾性率とタフネスに優れるエポキシ樹脂硬化物が得られ、ひいては、難燃性、0°圧縮強度、0°引張強度に優れた繊維強化複合材料が得られる。
本発明の構成要素[A]のエポキシ樹脂は、上記式(I)または(II)で表される単官能エポキシ樹脂を少なくとも1種類以上用いる必要があり、さらに2種類以上を用いてもよい。構成要素[A]の単官能エポキシ樹脂として、ジブロモフェニルグリシジルエーテルとグリシジルフタルイミドを組み合わせた場合、弾性率とTgに優れるエポキシ樹脂硬化物が得られる。
構成要素[A]のエポキシ樹脂の配合量は全エポキシ樹脂100質量部に対して10〜60質量部であることが好ましく、15〜50質量部であることがより好ましい。この範囲内において、エポキシ樹脂硬化物のTg、弾性率、タフネスのいずれもが特に優れる。すなわち、配合量を10質量部以上とした場合、さらに弾性率、タフネスに優れる硬化物が得られ、配合量を60質量部以下とした場合、さらにTgに優れるエポキシ樹脂硬化物が得られる。
本発明の構成要素[B]は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂である。本発明のエポキシ樹脂組成物は、高Tgの硬化物を得るため、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する芳香族エポキシ樹脂であることが好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族エポキシ樹脂であることがより好ましい。構成要素[B]を、全エポキシ樹脂100質量部に対して30〜70質量部配合することが好ましく、40〜60質量部配合することがより好ましい。すなわち、配合量を30質量部以上とすることによりエポキシ樹脂硬化物、ひいては該エポキシ樹脂硬化物と強化繊維からなる繊維強化複合材料のTgを高くすることができ、さらに70質量部以下とすることにより、得られるエポキシ樹脂硬化物のタフネスを、さらに高くすることができる。
構成要素[B]の2官能以上のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSグリシジルエーテル、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ヒドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。また、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートが挙げられる。
構成要素[B]の3官能以上の芳香族エポキシ樹脂としては、例えば、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−4−アミノ−3−メチルフェノール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。なかでも、窒素原子を有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂が、得られる硬化物のTg、弾性率、タフネスのバランスに優れているため好ましい。また、Tgの著しい低下をひきおこさない範囲で脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂を配合することができる。
本発明の構成要素[C]は40℃の温度下において液状である芳香族ジアミンである。ここで液状とは40℃、0.1MPaの状態で液体であることを指す。また、芳香族ジアミンとは分子内に2個のアミン性窒素原子を有し、かつ複数の活性水素を有する化合物を意味する。また、ここでいう活性水素とはアミン性窒素原子に結合した水素原子をいう。強化繊維への含浸性を確保するために液状であることが必要であり、高Tgの硬化物を得るためにジアミンであることが必要である。
構成要素[C]の液状芳香族ジアミンとしては、例えば、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、2,4−ジエチル−6−メチル−m−フェニレンジアミン、4,6−ジエチル−2−メチル−m−フェニレンジアミン、4,6−ジエチル−m−フェニレンジアミンなどの液状芳香族ジアミン硬化剤が挙げられる。これらの液状芳香族ジアミンは単体で用いても良いし、複数を混合して用いても良い。また、その他のアミン硬化剤と混合して用いても良い。なかでも、高Tg、高弾性率の硬化物を得るために、ジエチルトルエンジアミンを用いることが好ましい。かかる液状芳香族アミンとしてはジャパンエポキシレジン(株)製の“jERキュア(登録商標)”Wを用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、構成要素[C]以外の固形芳香族アミン化合物を含むこともできる。構成要素[C]以外のアミン硬化剤としては、例えば、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジイソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジイソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4‘−ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族アミン化合物が挙げられる。固形の芳香族ポリアミンとしては3,3’−ジアミノジフェニルスルホンおよび4,4’−ジアミノジフェニルスルホンが耐熱性、弾性率に優れた硬化物が得られ、さらに線膨張係数および吸湿による耐熱性の低下が小さいので好ましく使用できる。一般に、ジアミノジフェニルスルホンは結晶性が強く、液状芳香族ポリアミンと高温で混合して液体としても、冷却過程で結晶として析出しやすいが、ジアミノジフェニルスルホンの2種の異性体と液状芳香族ポリアミンを混合した場合、単一のジアミノジフェニルスルホンと液状芳香族ポリアミンの混合物より遙かに結晶の析出が起こりにくく好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、高Tg、高弾性率の硬化物を得るため、構成要素[C]が含有される芳香族ジアミン化合物100質量部に対して、ジエチルトルエンジアミンが60〜90質量部と、ジアミノジフェニルスルホンが10〜40質量部配合されていることが好ましく、エチルトルエンジアミンが70〜80質量部と、ジアミノジフェニルスルホンが20〜30質量部配合されていることがより好ましい。
ジエチルトルエンジアミンの配合量が60質量部以上であれば、耐熱性、弾性率に優れる硬化物が得られ、さらに配合量が90質量部以下であればタフネスに優れる硬化物を得られるので好ましい。
また、ジアミノジフェニルスルホンの配合量が10質量部以上であれば、耐熱性、弾性率に優れる硬化物が得られ、さらに配合量が40質量部以下であれば結晶の析出を抑制しやすくなり好ましい。
本発明では、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンと4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを組み合わせることにより、硬化剤がより長時間液状を保持するため、RTM法などの繊維強化複合材料の製造方法に好適に用いることができる。3,3’−ジアミノジフェニルスルホンと4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを、結晶の析出を抑制するために併用する場合は、両者の重量比は10:90〜90:10であることが好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、その他の成分として硬化促進剤、可塑剤、染料、顔料、無機充填材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、カップリング剤、界面活性剤などを必要に応じて含むことができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂とアミン硬化剤とを所定の割合で混合することにより硬化が可能となる。エポキシ樹脂とアミン硬化剤の混合比は、用いるエポキシ樹脂、アミン硬化剤の種類により決定される。具体的にはエポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の数と、アミン硬化剤に含まれる活性水素の数の比率を、好ましくは0.7〜1.3、より好ましくは0.8〜1.2となるように混合する。すなわち、かかる比率を0.7〜1.3の範囲とすることで、さらに高Tg、高弾性率の硬化物が得られる。
本発明の構成要素[D]はコアシェルポリマー粒子である。ここでコアシェルポリマー粒子とは架橋ポリマーを主成分とする粒子状のコア部分と、コア部分とは異なるポリマーをグラフト重合するなどの方法でコア表面の一部あるいは全体を被覆した粒子を意味する。
構成要素[D]のコアシェルポリマー粒子のコア部分としては、共役ジエン系モノマー、アクリル酸エステル系モノマー、メタクリル酸エステル系モノマーより選ばれる1種または複数種から重合されたポリマー、またはシリコーン樹脂などを用いることができる。なかでもTgが低く、低温でも靱性向上効果を有するという観点から、共役ジエン系モノマーを含むことが好ましい。共役ジエン系モノマーとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンが挙げられる。なかでもTgが十分に低く、低温でも十分な靱性向上効果を有するという観点から、コア部分がブタジエンを含むモノマーから重合されたポリマーであることが好ましい。
構成要素[D]のコアシェルポリマー粒子のシェル部分にエポキシ基を含むことが必要である。エポキシ樹脂組成物は硬化中に水酸基が生成し極性が変化する。このため、コアシェルポリマー粒子の極性とエポキシ樹脂の極性とに乖離が生じコアシェルポリマー粒子が凝集する結果、十分な靱性向上効果が得られないという問題がある。シェル部分にエポキシ基を含むことにより、硬化中にアミン硬化剤と反応し水酸基を生成し、また最終的には硬化物中に取り込まれるため、良好な分散状態が達成できる。この結果、少量の配合でも十分な靱性向上効果が得られ、Tg、弾性率を維持しつつの靱性向上が可能となる。シェル部分にエポキシ基を導入する方法としては、グリシジル基を含むアクリル酸エステル系モノマー、メタクリル酸エステル系モノマーを含むモノマーをコア表面にグラフト重合するなどの方法が挙げられる。
構成要素[D]のコアシェルポリマー粒子は、体積平均粒子径が50〜300nmの範囲内にあることが必要であり、50〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがより好ましい。なお、体積平均粒子径はナノトラック粒度分布測定装置(日機装(株)製)を用いて測定することができる。あるいは、マイクロトームで作成した硬化物の薄切片をTEM観察し、得られたTEM像から画像処理ソフトを用いて体積平均粒子径を測定することもできる。この場合、少なくとも100個以上の粒子の平均値を用いることが必要である。体積平均粒子径が50nm以上の場合、コアシェルポリマー粒子の比表面積が適度に小さくエネルギー的に有利になるため凝集が起きにくく、靱性向上効果が高い。一方、体積平均粒子径が300nm以下の場合、コアシェルポリマー粒子間の距離が適度に小さくなり、靱性向上効果が高い。コアシェルポリマー粒子による高靱性化の機構は、硬化物のクラック先端付近でコアシェルポリマー粒子がキャビテーション、すなわち空洞化し、まわりの樹脂の塑性変形を誘発しエネルギー吸収することにあるが、粒子間距離が適度に小さいと樹脂の塑性変形が起こりやすくなるためであると考えられる。
構成要素[D]のコアシェルポリマー粒子の製造方法については特に制限はなく、周知の方法で製造されたものを使用できる。通常、コアシェルポリマー粒子は塊状で取り出されたものを粉砕して粉体として取り扱われており、粉体状コアシェルポリマーを再度エポキシ樹脂中に分散させることが多い。しかしながら、この方法では一次粒子の状態で安定に分散させることが難しいという問題がある。これに対して、コアシェルポリマー粒子の製造過程から一度も塊状で取り出すことなく、最終的にはエポキシ樹脂中に一次粒子で分散したマスターバッチの状態で取り扱うことができるものが好ましい。かかるコアシェルポリマー粒子としては、例えば、特開2004−315572号公報に記載の方法で製造することができる。この製造方法では、まず、コアシェルポリマーを乳化重合、分散重合、懸濁重合に代表される水媒体中で重合する方法を用いてコアシェルポリマー粒子が分散した懸濁液を得る。次に、かかる懸濁液に水と部分溶解性を示す有機溶媒、例えばアセトンやメチルエチルケトンなどのエーテル系溶媒を混合後、水溶性電解質、例えば塩化ナトリウムや塩化カリウムを接触させ、有機溶媒層と水層を相分離させ、水層を分離除去して得られたコアシェルポリマー粒子が分散した有機溶媒を得る。その後、エポキシ樹脂を混合した後、有機溶媒を蒸発除去し、コアシェルポリマー粒子がエポキシ樹脂中に1次粒子の状態で分散したマスターバッチを得る。かかる方法で製造されたコアシェルポリマー粒子分散エポキシマスターバッチとしては、(株)カネカから市販されている“カネエース(登録商標)”を用いることができる。
構成要素[D]のコアシェルポリマー粒子の配合量は全エポキシ樹脂100質量部に対して1〜12質量部であることが好ましく、1〜7質量部であることがより好ましく、さらには3〜7質量部であることが好ましい。すなわち、配合量を1質量部以上とした場合、さらに高破壊靱性の硬化物が得られ、配合量を12質量部以下とした場合、さらに高Tg、高弾性率の硬化物が得られる。
本発明において、少なくとも構成要素[A][B]および[D]を含むエポキシ樹脂組成物の主剤は、70℃における粘度が500mPa・s以下であることが好ましく、粘度が400mPa・s以下であることがより好ましい。また、少なくとも構成要素[C]を含むエポキシ樹脂組成物の硬化剤は、70℃における粘度が500mPa・s以下であることが好ましく、粘度が400mPa・s以下であることがより好ましい。
なお、粘度の測定はJIS Z8803(1991)における「円すい−平板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装着したE型粘度計((株)トキメック製、TVE−30H)を使用して、回転速度50回転/分で測定する。70℃における粘度が500mPa・sより高い場合は、容器からの取り出し、計量、硬化剤との混合、あるいは脱気処理などの作業性が悪くなることがある。主剤の70℃における粘度の下限は特に制限なく、粘度が低いほどRTM成形における二液エポキシ樹脂組成物の注入含浸が容易になり好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物の25℃におけるモードI破壊靱性値(GIC)が80J/mであることが好ましく、120J/mであることがより好ましく、さらには150J/mであることが好ましい。なお、GICの測定はエポキシ樹脂組成物を180℃2時間硬化した硬化物を用い、ASTM D5045−99に従い25℃で行う。GICが120J/m以上の場合、さらに耐衝撃性、耐疲労性に優れる繊維強化複合材料が得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物の25℃における曲げ弾性率が2.5〜4.5GPaの範囲にあることが好ましく、3.0〜4.5GPaの範囲にあることがより好ましく、さらには3.5〜4.5GPaの範囲にあることが好ましい。なお、曲げ弾性率の測定はエポキシ樹脂組成物を180℃2時間硬化した硬化物を用い、JIS K7171−1994に従い25℃で行う。曲げ弾性率が2.5GPa以上の場合、さらに高圧縮強度の繊維強化複合材料が得られ、4.5GPa以下の場合、さらに耐衝撃性、耐疲労性に優れる繊維強化複合材料が得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、それと強化繊維を有してなる繊維基材で構成される繊維強化複合材料として好ましく用いられる。
本発明における強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などが挙げられる。なかでも特に軽量でありながら、強度、弾性率などの機械特性に優れる繊維強化複合材料が得られるという観点から炭素繊維が好ましく用いられる。
本発明における炭素繊維としては、アクリル系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が挙げられ、なかでも引張強度の高いアクリル系の炭素繊維が好ましく用いられる。
本発明における炭素繊維としては、軽量でありながら弾性率に優れる繊維強化複合材料が得られるという観点から、引張弾性率が200GPa以上であることが好ましく、250GPa以上であることがより好ましく、さらには280GPa以上であることが好ましい。引張弾性率が200GPa以上とすることにより、さらに高弾性率であり軽量化効果に優れる繊維強化複合材料が得られる。
また、本発明における炭素繊維としては、特許第2955145号の明細書に記載されるような、繊度が3000〜20000デニールで、糸幅が4〜16mm、糸幅/糸厚み比が30以上の扁平糸を用いることが好ましい。かかる扁平糸を用いることにより、炭素繊維ストランドの屈曲が小さな強化繊維基材が得られ、圧縮強度などの機械特性に優れる繊維強化複合材料が得られる。
本発明における強化繊維は、前記強化繊維単独または複数種、さらには他の化学繊維などと組み合わせた強化繊維基材として用いることができる。かかる強化繊維基材としては、少なくとも炭素繊維を有するものであることが好ましい。本発明の強化繊維基材としては、強化繊維がほぼ同方向に引き揃えられたものや、織物、ニット、ブレイド、マットなどを用いることができる。なかでも高繊維体積含有率の繊維強化複合材料が得られるという観点から、ほぼ一方向に引き揃えられた強化繊維をガラス繊維または化学繊維で固定した、いわゆる一方向織物が好ましく用いられる。
本発明における一方向織物としては、例えば、炭素繊維のストランドからなる経糸、それと直交するガラス繊維または化学繊維からなる緯糸で構成され、かかる経糸とかかる緯糸とが互いに交差して平織構造をなしたものが挙げられる。また、図1に示す、炭素繊維のストランドからなる経糸(図1の1)、これに平行に配置されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸(図1の2)、これらと直交するガラス繊維または化学繊維からなる緯糸(図1の3)で構成され、かかる補助経糸とかかる緯糸とが互いに交差することにより炭素繊維のストランドが一体に保持されるノンクリンプ構造の織物が挙げられる。なかでも炭素繊維の直進性が優れ、繊維強化複合材料の圧縮強度が優れるという観点から、ノンクリンプ織物が好ましく用いられる。なかでも、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物とノンクリンプ織物からなる繊維強化複合材料は、炭素繊維の直進性に優れること、エポキシ樹脂組成物の硬化物が高弾性率であることの相乗効果により、繊維強化複合材料の圧縮強度が特に優れる。さらには、耐衝撃性、耐疲労性が特に優れる。
本発明の一方向織物において、補助経糸の繊度は、炭素繊維のストランドからなる経糸の繊度の20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、さらには5%以下であることが好ましい。かかる範囲とすることで、経補助糸が炭素繊維のストランドより変形しやすくなり、炭素繊維ストランドの屈曲が小さな一方向織物が得られ、圧縮強度などの機械特性がさらに優れる繊維強化複合材料が得られる。
また、本発明の一方向織物において、緯糸の繊度は、炭素繊維のストランドからなる経糸の繊度の20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、さらには5%以下であることが好ましい。かかる範囲とすることで、緯糸のまわりで発生する炭素繊維ストランドの屈曲が小さな一方向織物が得られ、圧縮強度などの機械特性がさらに優れる繊維強化複合材料が得られる。
本発明における強化繊維基材には、強化繊維の配向ズレ防止、強化繊維基材同士の仮接着および得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性を向上させるなどの目的のため、バインダーを適宜付着させておくことができる。バインダーの組成に特に制限がなく既存のものが使用できるが、熱可塑性樹脂を主成分としたものが前述した目的に加え、保管時の物性変化が少ないので好ましく用いることができる。
本発明の繊維強化複合材料を航空機用構造部材として用いる場合、優れた耐熱性が要求されるため、バインダーに使用される熱可塑性樹脂としては高いガラス転移温度を有するエンジニアリングプラスチックが好ましい。特に、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミドなどを好適に用いることができる。
熱可塑性樹脂からなるバインダー組成物には、適切な可塑剤成分を配合してバインダーとしてガラス転移温度を適当な範囲、具体的には50〜70℃に調整することが好ましい。ここで可塑剤成分についてはエポキシ樹脂組成物と反応しうる化合物を選ぶことが好ましい。かかる可塑剤成分としては、特にエポキシ樹脂が好ましい。可塑剤成分として用いるエポキシ樹脂は特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ヒドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。また、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートが挙げられる。また、例えば、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−4−アミノ−3−メチルフェノール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。また、例えば、ポリフェノール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸無水物、ポリアクリレート、スルホンアミドなどが挙がられる。
本発明における繊維強化複合材料は、強化繊維の繊維体積含有率が45〜70%の範囲内であることが好ましく、50〜65%の範囲内であることがより好ましく、さらには55〜60%の範囲内であることが好ましい。繊維体積含有率が45%以上の場合、さらに高弾性率であり軽量化効果に優れる繊維強化複合材料が得られ、70%以下の場合、強化繊維同士の擦過による強度低下がなく、さらに引張強度などの力学特性に優れる繊維強化複合材料が得られる。
本発明における繊維強化複合材料の好ましい成形法としては、効率よく繊維強化複合材料が得られるという観点から、液状のエポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸、硬化して繊維強化複合材料を得る方法、例えば、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法、RTM法などが挙げられる。なかでも、複雑形状の繊維強化複合材料を効率よく得られるという観点から、RTM法を用いることが好ましい。ここで、RTM法とは型内に配置した強化繊維基材に液状のエポキシ樹脂組成物を含浸、硬化して繊維強化複合材料を得る方法を意味する。
本発明において、RTM法に用いる型は、剛性材料からなるクローズドモールドを用いてもよく、剛性材料のオープンモールドと可撓性のフィルム(バッグ)を用いることも可能である。後者の場合、強化繊維基材は、剛性材料のオープンモールドと可撓性フィルムの間に設置することができる。剛性材料としては、スチールやアルミニウムなどの金属、繊維強化プラスチック(FRP)、木材、石膏など既存の各種のものが用いられる。可撓性のフィルムの材料には、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などが用いられる。
本発明のRTM法において、剛性材料のクローズドモールドを用いる場合は、加圧して型締めし、繊維強化複合材料エポキシ樹脂組成物を加圧して注入することが通常行われる。このとき、注入口とは別に吸引口を設け、真空ポンプに接続して吸引することも可能である。吸引を行い、特別な加圧手段を用いることなく大気圧のみでエポキシ樹脂組成物を注入することも可能である。この方法は、複数の吸引口を設けることにより大型の部材を製造することができるため、好適に用いることができる。
本発明のRTM法において、剛性材料のオープンモールドと可撓性フィルムを用いる場合は、通常、吸引を行い、特別な加圧手段を用いることなく大気圧のみでエポキシ樹脂を注入する。大気圧のみでの注入で良好な含浸を実現するためには、樹脂拡散媒体を用いることが有効である。さらに、強化繊維からなる繊維基材あるいはプリフォームの設置に先立って、剛性材料の表面にゲルコートを塗布することが好ましく行われる。
なお、型として剛性材料のクローズドモールドを用いる場合、型内とは、当該クローズドモールドで形成されるキャビティー内のことを意味し、剛性材料のオープンモールドと可撓性フィルムを用いる場合、型内とは、当該オープンモールドと可撓性フィルムに囲まれる空間内のことを意味する。
本発明のRTM法において、強化繊維基材にエポキシ樹脂組成物を含浸した後、加熱硬化が行われる。加熱硬化時の型温は、通常、エポキシ樹脂組成物の注入時における型温より高い温度が選ばれる。加熱硬化時の型温は80〜200℃であることが好ましい。加熱硬化の時間は1〜20時間が好ましい。加熱硬化が完了した後、脱型して繊維強化複合材料を取り出す。その後、得られた繊維強化複合材料をより高い温度で加熱して後硬化を行ってもよい。後硬化の温度は150〜200℃が好ましく、時間は1〜4時間が好ましい。
本発明において、RTM法の派生形である、例えば、VaRTM(Vacuum−assisted Resin Transfer Molding)法、SCRIMP(Seeman’s Composite Resin Infusion Molding Process)法、特表2005−527410記載の樹脂供給タンクを大気圧よりも低い圧力まで排気し、循環圧縮を用い、かつ正味の成形圧力を制御することにとよって、樹脂注入プロセス、特にVaRTM法をより適切に制御するCAPRI(Controlled Atmospheric Pressure Resin Infusion)法などを好適に用いることができる。
このようなRTM法により繊維強化複合材料を製造するに際し、強化繊維基材として、上述の一方向織物、さらには、ノンクリンプ構造の織物を用いることが好ましい。ノンクリンプ構造の織物では炭素繊維のストランドからなる経糸(図1の1)と、これに平行に配置されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸(図1の2)との隙間が樹脂流路として機能するため、ノンクリンプ構造の織物を用いることにより、繊維強化複合材料を効率よく得ることができる。また、得られる繊維強化複合材料は、圧縮強度が特に優れ、なおかつ、耐衝撃性、耐疲労性が特に優れる。
さらには、このようなRTM法により繊維強化複合材料を製造するに際し、強化繊維基材として、上述の一方向織物、さらには、ノンクリンプ構造の織物を用い、真空ポンプなどを用いることにより型内を真空吸引することによりエポキシ樹脂組成物を含浸することが好ましい。ノンクリンプ構造の織物では炭素繊維のストランドからなる経糸(図1の1)と、これに平行に配置されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸(図1の2)との隙間が樹脂流路として機能し、型内を真空吸引することにより、大型の繊維強化複合材料を効率よく得ることができる。さらには、本発明のエポキシ樹脂は低粘度であるため、大型の繊維強化複合材料をより効率よく得ることができる。また、得られる繊維強化複合材料は、圧縮強度が特に優れ、なおかつ、耐衝撃性、耐疲労性が特に優れる。本発明の繊維強化複合材料は優れた熱的特性、圧縮強度、耐衝撃性、0°方向引張強度を有するため、胴体、主翼、尾翼、動翼、フェアリング、カウル、ドア、座席、内装材などの航空機部材、モーターケース、主翼などの宇宙機部材、構体、アンテナなどの人工衛星部材、外板、シャシー、空力部材、座席などの自動車部材、構体、座席などの鉄道車両部材、船体、座席などの船舶部材など多くの構造材料に好ましく用いることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。実施例で用いた樹脂原料、エポキシ樹脂組成物の調整法、硬化物の作製法、各特性の測定法を次に示した。
<樹脂原料>
エポキシ樹脂組成物の調整には次の市販品を用いた。
(1)エポキシ樹脂
(a)構成要素[A]のエポキシ樹脂
・BROC(ブロモメチルフェニルグリシジルエーテル、エポキシ当量:360g/mol、日本化薬(株)製)
・“デナコール(登録商標)”EX147(ジブロモフェニルグリシジルエーテル、エポキシ当量:313g/mol、ナガセケムテックス(株)製)
・OPP−G(オルソフェニルフェニールグリシジルエーテル、エポキシ当量:240g/mol、三光(株)製)
・“デナコール(登録商標)”EX731(グリシジルフタルイミド、エポキシ当量:216g/mol、ナガセケムテックス(株)製)。
(b)構成要素[B]のエポキシ樹脂
・“アラルダイト(登録商標)”MY721(N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、エポキシ当量:113g/mol、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
・“jER(登録商標)”630(N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、エポキシ当量:98g/mol、ジャパンエポキシレジン(株)製)。
・“jER(登録商標)”825(ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、エポキシ当量:175g/mol、ジャパンエポキシレジン(株)製)。
(2)アミン硬化剤
(a)構成要素[C]の芳香族ジアミン
・“jERキュア(登録商標)”W(ジエチルトルエンジアミン、活性水素当量:45g/mol、ジャパンエポキシレジン(株)製)
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、活性水素当量:62g/mol、固形(融点:171℃)、小西化学工業(株)製)
・“セイカキュア(登録商標)”S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、活性水素当量:62g/
mol、セイカ(株)製)。
(b)その他のアミン硬化剤
・アニリン(活性水素当量:23g/mol、東京化成工業(株)製)。
(3)コアシェルポリマー粒子
(a)構成要素[D]のコアシェルポリマー粒子
・“カネエース(登録商標)”MX125(ビスフェノールA型エポキシ樹脂:75質量%/コアシェルゴム粒子(体積平均粒子径:100nm、コア成分:ブタジエン−スチレン共重合ポリマー、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25質量%のマスターバッチ、(株)カネカ製)
・“カネエース(登録商標)”MX125大粒径品(ビスフェノールA型エポキシ樹脂:75質量%/コアシェルゴム粒子(体積平均粒子径:250nm、コア成分:ブタジエン−スチレン共重合ポリマー、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25質量%のマスターバッチ、(株)カネカ製)
・“カネエース(登録商標)”MX416(“アラルダイト(登録商標)”MY721:75質量%/コアシェルポリマー(体積平均粒子径:100nm、コア成分:架橋ポリブタジエン、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25質量%のマスターバッチ、(株)カネカ製)
・“スタフィロイド(登録商標)”IM−203(体積平均粒子径:300nm、コア成分:架橋ポリブチルアクリレート、シェル:スチレンを含むモノマーから重合されたポリマーでありエポキシ基を含む。武田薬品工業(株)製)。
(b)その他のコアシェルポリマー粒子
・“パラロイド(登録商標)”EXL−2655(コアシェルポリマー粒子(体積平均粒子径:100nm、コア成分:ブタジエン−スチレン共重合ポリマー、シェル:PMMA/スチレン共重合物、呉羽化学工業(株)製)
・“スタフィロイド(登録商標)”AC−3355(コアシェルポリマー粒子(体積平均粒子径:500nm、コア成分:架橋ポリブチルアクリレート、シェル:架橋ポリスチレン、ガンツ化成(株)製)。
<エポキシ樹脂組成物の調整>
表1〜5に示すエポキシ樹脂組成物を次の手順で調整した。70℃に加熱したエポキシ樹脂を300ml入りのステンレスビーカーに所定量秤量し、均一になるまでスパチュラを用いて撹拌した。コアシェルポリマー粒子を添加する場合は、続いて、コアシェルポリマー粒子を添加し、ホモジナイザーを用いて撹拌し、エポキシ樹脂組成物の主剤を得た。次に、アミン硬化剤を添加し、スパチュラを用いて撹拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。
<エポキシ樹脂組成物の70℃における初期粘度測定>
上記方法で得たエポキシ樹脂組成物の70℃における初期粘度を、JIS Z8803(1991)における「円すい−平板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装着したE型粘度計((株)トキメック製、TVE−30H)を使用して、回転速度50回転/分で測定した。なお、初期粘度はエポキシ樹脂組成物を調整後、70℃で5分間保持した後に測定した。
<エポキシ樹脂硬化物の作製法>
上記方法で得たエポキシ樹脂組成物を厚さ2mm、および6mmの板状キャビティーを備えた型内に注入し、次の条件でオーブン中にて加熱硬化して樹脂硬化板を得た。
(1)30℃から180℃までを速度1.5℃/minで昇温する。
(2)180℃で2時間保持する。
(3)180℃から30℃まで、速度2.5℃/minで降温する。
<エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度(Tg)測定>
上記方法で得た厚さ2mmの樹脂硬化板から、長さ55mm、幅12.7mmの試験片を切り出し、SACMA SRM18R−94に準拠し、DMA法によりTgを測定した。装置はレオメトリックス社製のARESを用いた。昇温速度は5℃/min、測定周波数は1Hzとした。得られた温度−貯蔵弾性率G’曲線におけるガラス状態での接線と転移状態での接線との交点温度値をTgとした。
<エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率測定>
上記方法で得た厚さ2mmの樹脂硬化板から、長さ60mm、幅10mm、の試験片を切り出し、試験速度2.5mm/分、支点間距離32mmで3点曲げ試験を行い、JIS K7171−1994に従い、曲げ弾性率を測定した。測定温度は25℃とした。
<エポキシ樹脂硬化物のモードI破壊靱性値(GIC)測定>
上記の方法で得た厚さ6mmの樹脂硬化板から、ASTM D5045−99に記載の試験片形状に加工を行った後、23℃環境下においてASTM D5045−99に従い測定を行った。なお、ポアソン比としては、0.38を用い、弾性率は上記の曲げ弾性率測定で得られた弾性率を用いた。
<実施例1〜6>
表1に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、いずれも十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、靱性値を測定した。この結果、Tg、弾性率、靱性値のいずれもが高く、優れることがわかった。さらには、実施例5、6と比較して、実施例2、3で弾性率、靱性値が高くより優れることがわかった。
Figure 2011046797
<実施例7〜18>
表1〜3に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、いずれも十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、靱性値を測定した。この結果、Tg、弾性率、靱性値のいずれもが高く、優れることがわかった。なかでも、さらには、実施例7、8、13、14、15、17は、Tg、弾性率、靱性値のいずれもが非常に高く、特に優れることがわかった。
Figure 2011046797
Figure 2011046797
<実施例19〜21>
表3に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、いずれも十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、靱性値を測定した。この結果、Tg、弾性率、靱性値のいずれもが高く、優れることがわかった。
<実施例22、23>
表4に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、いずれも十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、靱性値を測定した。この結果、Tg、弾性率、靱性値のいずれもが高く、優れることがわかった。さらには、実施例8と比較して、実施例22、23で弾性率、靱性値が高くより優れることがわかった。
<実施例24、25>
表4に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、いずれも十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、靱性値を測定した。この結果、Tg、弾性率、靱性値のいずれもが高く、優れることがわかった。さらには、実施例25は、弾性率が非常に高く、特に優れることがわかった。
Figure 2011046797
<比較例1>
表5に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、靱性値を測定した。この結果、弾性率が大幅に低く不十分であることがわかった。ここで用いたエポキシ樹脂組成物は、構成要素[A]を含まないものであった。
<比較例2>
表5に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、靱性値を測定した。この結果、Tg、靱性値が低く不十分であることがわかった。ここで用いたエポキシ樹脂組成物は、構成要素[B]を含まないものであった。
<比較例3>
表5に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、靱性値を測定した。この結果、Tg、靱性値が低く不十分であることがわかった。ここで用いたエポキシ樹脂組成物は、構成要素[C]を含まないものであった。
<比較例4〜8>
表5に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、靱性値を測定した。この結果、靱性値が低く不十分であることがわかった。ここで用いたエポキシ樹脂組成物は、構成要素[D]を含まないものであった。
Figure 2011046797
1:経糸
2:補助経糸
3:緯糸

Claims (15)

  1. 少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]および[D]を含むエポキシ樹脂組成物であって、構成要素[D]がシェル部分にエポキシ基を含み、かつ、体積平均粒子径が50〜300nmの範囲内にあることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
    [A]次式(I)、(II)のいずれかで表される少なくとも1種以上の単官能エポキシ樹脂
    Figure 2011046797
    (上記化学式中R〜Rは、それぞれ水素、ハロゲン、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる置換基である。)
    Figure 2011046797
    [B]1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂
    [C]40℃の温度下において液状である芳香族ジアミン
    [D]コアシェルポリマー
  2. 構成要素[A]のR〜Rのうち少なくとも1つ以上がブロモ基である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 構成要素[B]が、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族エポキシ樹脂である、請求項1または2記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 構成要素[A]の配合量が、全エポキシ樹脂100質量部に対して10〜60質量部である、請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 構成要素[B]の配合量が、全エポキシ樹脂100質量部に対して30〜70質量部である、請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 構成要素[C]がジエチルトルエンジアミンである、請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 構成要素[C]が、含有される芳香族ジアミン化合物100質量部に対して、ジエチルトルエンジアミンが60〜90質量部と、ジアミノジフェニルスルホンが10〜40質量部配合されている、請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. ジアミノジフェニルスルホンが、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンと4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを併用したものである、請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 構成要素[D]のコア部分が、ブタジエンを含むモノマーから重合された共重合体である、請求項1〜8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. 構成要素[D]の配合量が、全エポキシ樹脂100質量部に対して1〜12質量部である、請求項1〜9のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  11. 少なくとも次の構成要素[A]、[B]および[D]を含み、70℃における粘度が500mPa・s以下である主剤と、少なくとも次の構成要素[C]を含み、70℃における粘度が500mPa・s以下である硬化剤を混合する工程を含む、二液型エポキシ樹脂組成物の製造方法。
    [A]次式(I)、(II)のいずれかで表される少なくとも1種以上の単官能エポキシ樹脂
    Figure 2011046797
    (上記化学式中R〜Rは、それぞれ水素、ハロゲン、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる置換基である。)
    Figure 2011046797
    [B]1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂
    [C]40℃の温度下において液状である芳香族ジアミン
    [D]コアシェルポリマー
  12. 少なくとも請求項1〜10のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物、または請求項11に記載の方法で製造された二液型エポキシ樹脂組成物の硬化物と、炭素繊維を有してなる繊維基材で構成される繊維強化複合材料。
  13. 前記炭素繊維を有してなる繊維基材が、炭素繊維束からなる経糸と、これに平行に配列されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸と、これらと直交するように配列されたガラス繊維または化学繊維からなる緯糸からなり、該補助経糸と該緯糸が互いに交差することにより、炭素繊維のストランドが一体に保持されて織物が形成されているノンクリンプ構造の織物である、請求項12に記載の繊維強化複合材料。
  14. 前記炭素繊維のストランドからなる経糸とこれに平行に配列されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸と、これらと直交するように配列されたガラス繊維または化学繊維からなる緯糸からなり、該補助経糸と該緯糸が互いに交差することにより、炭素繊維のストランドが一体に保持されて織物が形成されているノンクリンプ構造の織物を型内に配置し、請求項1〜10のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物、または請求項11に記載の方法で製造された二液型エポキシ樹脂組成物を注入、含浸させた後に加熱硬化させる、繊維強化複合材料の製造方法。
  15. 前記炭素繊維のストランドからなる経糸とこれに平行に配列されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸と、これらと直交するように配列されたガラス繊維または化学繊維からなる緯糸からなり、該補助経糸と該緯糸が互いに交差することにより、炭素繊維のストランドが一体に保持されて織物が形成されているノンクリンプ構造の織物を型内に配置し、該型内を真空吸引することにより、請求項1〜10のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物、または請求項11に記載の方法で製造された二液型エポキシ樹脂組成物を注入、含浸させ、次いで加熱硬化させる、繊維強化複合材料の製造方法。
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