JP2010150311A - エポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料、および繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低粘度、高Tg、高弾性率であり、なおかつ破壊靱性に優れるエポキシ樹脂組成物、およびかかる維強化複合材料用エポキシ樹脂を適用することにより優れた熱的特性、圧縮強度、耐衝撃性、耐疲労性、有孔板引張強度を有し、航空機造材などとして最適な繊維強化複合材料を提供する。
【解決手段】少なくとも構成要素[A]特定の2官能エポキシ樹脂、[B]特定の芳香族ジアミン硬化剤、を含むエポキシ樹脂組成物であって、構成要素[B]の置換基の合計炭素数が6個以上であることを特徴とする、エポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも構成要素[A]特定の2官能エポキシ樹脂、[B]特定の芳香族ジアミン硬化剤、を含むエポキシ樹脂組成物であって、構成要素[B]の置換基の合計炭素数が6個以上であることを特徴とする、エポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材、船舶部材などに好適に用いられる繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として用いられるエポキシ樹脂組成物に関する。より詳しくは、低粘度、高ガラス転移温度(Tg)、高弾性率であり、なおかつ破壊靱性に優れるエポキシ樹脂組成物に関するものである。また本発明は、かかるエポキシ樹脂組成物を用いて製造される繊維強化複合材料、およびかかる繊維強化複合材料の製造方法に関する。
ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの強化繊維と、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂などの熱硬化性樹脂の硬化物からなる繊維強化複合材料は、軽量でありながら、強度、弾性率などの機械特性に優れるため、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材、船舶部材、土木建築材、スポーツ用品などの多くの分野に用いられている。特に、高性能が要求される用途では、連続繊維を用いた繊維強化複合材料が用いられ、強化繊維としては比強度、比弾性率に優れた炭素繊維が、マトリックス樹脂としては炭素繊維との接着性に優れたエポキシ樹脂が多く用いられている。
しかしながら、エポキシ樹脂組成物を硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物は一般に脆いという性質を有しており、繊維強化複合材料の耐衝撃性、耐疲労性を向上する上では、エポキシ樹脂硬化物を高靱性化することが重要な課題となっている。加えて、有孔板引張強度を向上する上では、経口部からのクラック進展を抑制することが必要なことから、ここでも、エポキシ樹脂硬化物を高靱性化することが重要な課題となっている。
エポキシ樹脂硬化物を高靱性化する方法としては、エポキシ樹脂組成物にカルボキシル基を末端基とするブタジエン−アクリロニトリル共重合ゴム(CTBN)やニトリルゴムゴムを添加する方法が知られている(例えば、特許文献1、2)。しかしながら、この方法ではゴムがエポキシ樹脂組成物へ一旦溶解した後、硬化時に相分離するという過程を経るため、エポキシ樹脂組成物の種類や硬化条件の違いにより硬化物のモルホロジーが変化し、狙いの高靱性化効果が得られないという問題、さらにはエポキシ樹脂硬化物中のエポキシ樹脂相にゴム成分が一部溶解するため、エポキシ樹脂組成物の粘度上昇、エポキシ樹脂硬化物のTg低下、弾性率低下を引き起こすなどの問題を有していた。
この問題に対して、エポキシ樹脂組成物にポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミドといった熱可塑性樹脂を添加する方法が検討されている(例えば、特許文献5〜8)。この方法ではTg低下、弾性率低下を抑えながら高靱性化が可能であることが報告されている。しかしながら、この方法ではエポキシ樹脂組成物の粘度が大幅に上昇し強化繊維への含浸性が低下する。この結果、未含浸部が発生し機会特性が低下する、また生産性が低下するという問題が依然として残されていた。
特公昭61−29613号公報
特公昭62−34251号公報
特開平05−65391号公報
特開2003−277579号公報
欧州公開特許第0366979号明細書
欧州公開特許第0496518号明細書
特開平01−320146号公報
特開平05−287091号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の背景に鑑み、低粘度、高Tg、高弾性率であり、なおかつ破壊靱性に優れるエポキシ樹脂組成物、およびかかるエポキシ樹脂組成物を適用することにより優れた熱的特性、圧縮強度、耐衝撃性、耐疲労性、有孔板引張強度を有し、航空機部材などとして最適な繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、少なくとも次の構成要素[A]、[B]を含むエポキシ樹脂組成物であって、構成要素[B]のR18〜R21の合計炭素数が6個以上であることを特徴とするものである。
[A]次式(I)、(II)、(III)のいずれかで示される2官能エポキシ樹脂
[A]次式(I)、(II)、(III)のいずれかで示される2官能エポキシ樹脂
(上記化学式中R1〜R17は、それぞれ水素、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる置換基である。)
[B]次式(IV)で示される芳香族ジアミン硬化剤
[B]次式(IV)で示される芳香族ジアミン硬化剤
(上記化学式中R18〜R21は、それぞれ水素、ハロゲン、炭素数1〜8のアルキル基から選ばれる置換基である。)
本発明のエポキシ樹脂組成物の好ましい様態は、構成要素[A]の配合量が全エポキシ樹脂100質量部に対して15〜60質量部であり、さらには、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂である構成要素[C]を含み、この構成要素[C]の配合量が全エポキシ樹脂100質量部に対して40質量部以上である。
本発明のエポキシ樹脂組成物の好ましい様態は、構成要素[A]の配合量が全エポキシ樹脂100質量部に対して15〜60質量部であり、さらには、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂である構成要素[C]を含み、この構成要素[C]の配合量が全エポキシ樹脂100質量部に対して40質量部以上である。
また、硬化剤が、少なくとも2種類以上の芳香族ジアミン硬化剤を含み、そのうち少なくとも1種類以上が構成要素[B]で示される芳香族ジアミン硬化剤であり、さらには、硬化剤が、25℃で固形の芳香族ジアミン硬化剤と25℃で液状の芳香族ジアミン硬化剤からなることが好ましい。このとき、構成要素[B]のR18〜R21の置換基が、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基のいずれかであることが好ましい。
本発明の繊維強化複合材料の好ましい様態は、少なくとも、前記のエポキシ樹脂組成物の硬化物と、炭素繊維とで構成されるものである。さらに、炭素繊維を有してなる強化繊維基材が、該炭素繊維のストランドからなる経糸とこれに平行に配列されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸と、これらと直交するように配列されたガラス繊維または化学繊維からなる緯糸からなり、該補助経糸と該緯糸が互いに交差することにより、炭素繊維のストランドが一体に保持されて織物が形成されているノンクリンプ構造の織物であるものである。
また、本発明の繊維強化複合材料の製造方法の好ましい様態は、炭素繊維のストランドからなる経糸とこれに平行に配列されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸と、これらと直交するように配列されたガラス繊維または化学繊維からなる緯糸からなり、該補助経糸と該緯糸が互いに交差することにより、炭素繊維のストランドが一体に保持されて織物が形成されているノンクリンプ構造の織物を型内に配置し、前記のエポキシ樹脂組成物を注入して含浸させた後、加熱硬化させるものである。さらに、前記エポキシ樹脂組成物の注入を、前記型内を真空吸引することにより行うことが好ましい。
本発明によれば、低粘度であり強化繊維への含浸性に優れ、繊維強化複合材料の耐熱性発現に重要なTgに優れ、繊維強化複合材料の圧縮強度発現に重要な弾性率に優れ、さらには、耐衝撃性、耐疲労性、有孔板引張強度の発現に必要な破壊靱性に優れたエポキシ樹脂組成物が得られる。そして、少なくとも、かかるエポキシ樹脂組成物の硬化物と炭素繊維とで構成される繊維強化複合材料は、耐熱性、圧縮強度、耐衝撃性、耐疲労性、有孔板引張強度に優れるので、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材、船舶部材などに好適に用いることができる。
本発明者らは、低粘度、高Tg、高弾性率であり、なおかつ破壊靱性に優れるエポキシ樹脂組成物について鋭意検討した結果、特定構造を有する2官能エポキシ樹脂と、特定構造を有する芳香族ジアミン硬化剤とを組み合わせた場合、これらの全ての特性を満たすことを見出したのである。
本発明において、エポキシ樹脂とは分子内にエポキシ基を有する化合物を指す。また、エポキシ樹脂組成物とはエポキシ樹脂、アミン硬化剤、必要に応じて添加される硬化促進剤を含む未硬化の組成物を指し、エポキシ樹脂硬化物、あるいは硬化物とはエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を指す。
本発明の構成要素[A]のエポキシ樹脂は、フェニル基、シクロヘキシル基などの嵩高い基が、分子内に存在する2個のエポキシ基を含む置換基と結びついた特定構造(ペンダントのような構造)の(I)〜(III)で示されるエポキシ樹脂である。
本発明の構成要素[A]の上記式(I)で示されるエポキシ樹脂は、アニリン、またはその置換基誘導体とエピクロロヒドリンとの反応により得られるものである。ここで、R1〜R5は、それぞれ水素、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる置換基である。高Tgの硬化物が得られるという観点からR1〜R5が水素、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。また、難燃性を付与できるという観点からR1〜R5の少なくとも1つがハロゲンであることが好ましい。式(I)で示されるエポキシ樹脂としては、R1〜R5の合計炭素数が2個以下であるものが好ましく用いられ、その具体例としては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、N,N−ジグリシジル−m−トルイジン、N,N−ジグリシジル−p−トルイジン、N,N−ジグリシジル−2,3−キシリジン、N,N−ジグリシジル−2,4−キシリジン、N,N−ジグリシジル−3,4−キシリジンが挙げられる。
構成要素[A]の上記式(II)で示されるエポキシ樹脂は、フタル酸、またはその置換基誘導体とエピクロロヒドリンとの反応により得られるものである。ここで、R6〜R9は、それぞれ水素、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる置換基である。高Tgの硬化物が得られるという観点からR6〜R9が水素、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。また、難燃性を付与できるという観点からR6〜R9の少なくとも1つがハロゲンであることが好ましい。式(II)で示されるエポキシ樹脂としては、R6〜R9の合計炭素数が2個以下であるものが好ましく用いられ、その具体例としては、フタル酸ジグリシジルエステル、3−メチルフタル酸ジグリシジルエステル、4−メチルフタル酸ジグリシジルエステル、3,4−ジメチルフタル酸ジグリシジルエステル、3,5−ジメチルフタル酸ジグリシジルエステル、3,6−ジメチルフタル酸ジグリシジルエステル、4,5−ジメチルフタル酸ジグリシジルエステルが挙げられる。
構成要素[A]の上記式(III)で示されるエポキシ樹脂は、ヘキサヒドロフタル酸、またはその置換基誘導体とエピクロロヒドリンとの反応により得られるものである。ここで、R10〜R17は、それぞれ水素、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる置換基である。高Tgの硬化物が得られるという観点からR10〜R17が水素、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。また、難燃性を付与できるという観点からR10〜R17の少なくとも1つがハロゲンであることが好ましい。式(III)で示されるエポキシ樹脂としては、R10〜R17の合計炭素数が2個以下であるものが好ましく用いられ、その具体例としては、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、3−メチルヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、4−メチルヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、3,4−ジメチルヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、3,5−ジメチルヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、3,6−ジメチルヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、4,5−ジメチルヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルが挙げられる。
構成要素[A]のエポキシ樹脂の配合量は全エポキシ樹脂100質量部に対して15〜60質量部であることが好ましく、15〜50質量部であることがより好ましく、さらには15〜40質量部であることが好ましい。この範囲内において、エポキシ樹脂硬化物のTg、弾性率、破壊靱性のいずれもが特に優れる。すなわち、配合量を15質量部以上とした場合、さらに高弾性率、高靱性の硬化物が得られ、配合量を60質量部以下とした場合、さらに高Tgの硬化物が得られる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、高Tgの硬化物を得るため、構成要素[C]の3官能以上の芳香族エポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂100質量部に対して40質量部以上配合することが好ましく、40〜80質量部配合することがより好ましく、さらには50〜70質量部配合することが好ましい。すなわち、配合量を40質量部以上とした場合、さらに高Tg、高弾性率の硬化物が得られ、配合量を80質量部以下とした場合、さらに高靱性の硬化物が得られる。
構成要素[C]の3官能以上の芳香族エポキシ樹脂としては、例えば、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−4−アミノ−3−メチルフェノール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂が、得られる硬化物のTg、弾性率、破壊靱性のバランスに優れているため好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、構成要素[A]、[C]以外のエポキシ樹脂を含むことができる。本発明に使用されるエポキシ樹脂は、高Tg、高弾性率の硬化物が得られるという観点から、1分子中にエポキシ基を2個以上有していることが好ましい。かかるエポキシ樹脂としては、2官能以上のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ヒドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。また、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートが挙げられる。また、Tgの著しい低下をひきおこさない範囲で脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂を配合することができる。
本発明の構成要素[B]は次式(IV)で示される芳香族ジアミン硬化剤である。ここで化学式中R18〜R21は、それぞれ水素、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる置換基である。さらに、構成要素[B]のR18〜R21の合計炭素数が、6個以上であることが必要であり、8個以上であることがより好ましい。合計炭素数が6個以上である場合、高靱性のエポキシ樹脂硬化物が得られ、ひいては、耐衝撃性、耐疲労性、有孔板引張強度に優れた繊維強化複合材料が得られる。なお、芳香族ジアミン硬化剤とは分子内に芳香環を含み、さらに分子内に2個のアミン性窒素原子を有し、かつ複数の活性水素を有する化合物を意味する。また、ここでいう活性水素とはアミン性窒素原子に結合した水素原子をいう。
構成要素[B]の芳香族ジアミン硬化剤としては、例えば、3,3’−ジイソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジイソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4‘−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
なかでも、構成要素[B]のR18〜R21の置換基が、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基のいずれかであることが好ましい。R18〜R21の置換基が、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である場合、エポキシ樹脂硬化物のTg、弾性率、破壊靱性のいずれもが特に優れる。さらには、固形であっても一旦加温すれば硬化剤が長時間液状を保持するため、エポキシ樹脂組成物を強化繊維基材に注入して含浸させた後、加熱硬化させる、レジン・トランスファー・モールディング(RTM)法などの繊維強化複合材料の製造方法に好適に用いることができる。
本発明において、硬化剤は、少なくとも2種類以上の芳香族ジアミン硬化剤を含んでおり、そのうち少なくとも1種類の芳香族ジアミン硬化剤が構成要素[B]の芳香族ジアミン硬化剤であることが好ましい。2種類以上の芳香族ジアミン硬化剤を組み合わせることにより、硬化剤がより長時間液状を保持するため、RTM法などの繊維強化複合材料の製造方法に好適に用いることができる。さらには、構成要素[B]の芳香族ジアミン硬化剤を少なくとも2種類以上含むことが好ましい。この場合、硬化剤がより長時間液状を保持するため、RTM法などの繊維強化複合材料の製造方法にさらに好適に用いることができ、さらには、より高靱性のエポキシ樹脂硬化物が得られる。
本発明において、硬化剤は、25℃で固形の芳香族ジアミン硬化剤と25℃で液状の芳香族ジアミン硬化剤を含むことが好ましい。この場合、硬化剤がより長時間液状を保持するため、RTM法などの繊維強化複合材料の製造方法に好適に用いることができ、さらには、エポキシ樹脂硬化物のTg、弾性率、破壊靱性のいずれもが特に優れる。
また、本発明において、構成要素[B]のR18、R20が同じ置換基であり、R19、R21の置換基が同じであり、なおかつ、R18、R20とR19、R21の置換基の組合せが異なることが好ましい。この場合、より高Tg、高弾性率のエポキシ樹脂硬化物が得られる。かかる構成要素[B]の芳香族ジアミン硬化剤としては、例えば、3,3’−ジイソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジイソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
また、構成要素[B]の芳香族ジアミン硬化剤の配合量は全硬化剤100質量部に対して20質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることがより好ましい。すなわち、配合量を20質量部以上とした場合、さらに高Tg、高弾性率、高靱性のエポキシ樹脂硬化物が得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、構成要素[B]の芳香族ジアミン硬化剤以外のジアミン硬化剤を含むことができる。かかるジアミン硬化剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン硬化剤や、イソホロンジアミン、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミン、4、4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンなどの脂環式ジアミン硬化剤などが挙げられる。さらには、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジエチルジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(N−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミンなどの芳香族ジアミン硬化剤が挙げられる。これらの液状ジアミン硬化剤は単体で用いても良いし、複数を混合して用いても良い。なかでも、高Tg、高弾性率の硬化物を得るために、芳香族ジアミン硬化剤を用いることが好ましい。
さらには、低粘度であり強化繊維への含浸性が優れることから、次式(V)〜(VII)のいずれかで示される芳香族ジアミン硬化剤、あるいはこれらの混合物を用いることが好ましい。ここで、高Tgの硬化物が得られるという観点からR18〜R21が水素、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。また、難燃性を付与できるという観点からR18〜R21の少なくとも1つがハロゲンであることが好ましい。
(上記化学式中R22〜R25は、それぞれ水素、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基から選ばれる置換基である。)
なかでも、2,4−ジエチル−6−メチル−m−フェニレンジアミン、4,6−ジエチル−2−メチル−m−フェニレンジアミン、4,6−ジエチル−m−フェニレンジアミンなどのジエチルトルエンジアミンを用いることが好ましい。この場合、高Tg、高弾性率のエポキシ樹脂硬化物が得られる。かかる芳香族ジアミン硬化剤としてはジャパンエポキシレジン(株)製の“jERキュア(登録商標)”Wを用いることができる。
なかでも、2,4−ジエチル−6−メチル−m−フェニレンジアミン、4,6−ジエチル−2−メチル−m−フェニレンジアミン、4,6−ジエチル−m−フェニレンジアミンなどのジエチルトルエンジアミンを用いることが好ましい。この場合、高Tg、高弾性率のエポキシ樹脂硬化物が得られる。かかる芳香族ジアミン硬化剤としてはジャパンエポキシレジン(株)製の“jERキュア(登録商標)”Wを用いることができる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、その他の成分として硬化促進剤、可塑剤、染料、顔料、無機充填材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、カップリング剤、界面活性剤などを必要に応じて含むことができる。また、コアシェルポリマー粒子などの高靱性化剤を含むことができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂とアミン硬化剤とを所定の割合で混合することにより硬化が可能となる。エポキシ樹脂とアミン硬化剤の混合比は、用いるエポキシ樹脂、アミン硬化剤の種類により決定される。具体的にはエポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の数と、アミン硬化剤に含まれる活性水素の数の比率を、好ましくは0.7〜1.3、より好ましくは0.8〜1.2となるように混合する。すなわち、かかる比率を0.7〜1.3の範囲とすることで、さらに高Tg、高弾性率の硬化物が得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の70℃における初期粘度は、500mPa・s以下であることが好ましく、300mPa・s以下であることがより好ましく、さらには100mPa・s以下であることが好ましい。なお、粘度の測定はJIS Z8803(1991)における「円すい−平板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装着したE型粘度計((株)トキメック製、TVE−30H)を使用して、回転速度50回転/分で測定する。なお、初期粘度はエポキシ樹脂組成物を調整後、70℃で5分間保持した後に測定するものとする。70℃における初期粘度が500mPa・s以下とすることにより、さらに強化繊維への含浸性が優れ、品位の優れる繊維強化複合材料が得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物の25℃におけるモードI破壊靱性値(GIC)が60J/m2であることが好ましく、80J/m2であることがより好ましく、さらには100J/m2であることが好ましい。なお、GICの測定はエポキシ樹脂組成物を180℃2時間硬化した硬化物を用い、ASTM D5045−99に従い25℃で行う。GICが60J/m2以上の場合、さらに耐衝撃性、耐疲労性、有孔板引張強度に優れる繊維強化複合材料が得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物の25℃における曲げ弾性率が2.6〜4.5GPaの範囲にあることが好ましく、3.0〜4.5GPaの範囲にあることがより好ましく、さらには3.4〜4.5GPaの範囲にあることが好ましい。なお、曲げ弾性率の測定はエポキシ樹脂組成物を180℃2時間硬化した硬化物を用い、JIS K7171−1994に従い25℃で行う。曲げ弾性率が2.6GPa以上の場合、さらに高圧縮強度の繊維強化複合材料が得られ、4.5GPa以下の場合、さらに耐衝撃性、耐疲労性、有孔板引張強度に優れる繊維強化複合材料が得られる。
本発明における強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などが挙げられる。なかでも特に軽量でありながら、強度、弾性率などの機械特性に優れる繊維強化複合材料が得られるという観点から炭素繊維が好ましく用いられる。
本発明における炭素繊維としては、アクリル系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が挙げられ、なかでも引張強度の高いアクリル系の炭素繊維が好ましく用いられる。
本発明における炭素繊維としては、軽量でありながら弾性率に優れる繊維強化複合材料が得られるという観点から、引張弾性率が200以上であることが好ましく、250以上であることがより好ましく、さらには280以上であることが好ましい。引張弾性率が200GPa以上とすることにより、さらに高弾性率であり軽量化効果に優れる繊維強化複合材料が得られる。
また、本発明における炭素繊維としては、特許第2955145号の明細書に記載されるような、繊度が3000〜20000デニールで、糸幅が4〜16mm、糸幅/糸厚み比が30以上の扁平糸を用いることが好ましい。かかる扁平糸を用いることにより、炭素繊維ストランドの屈曲が小さな強化繊維基材が得られ、圧縮強度などの機械特性に優れる繊維強化複合材料が得られる。
本発明における強化繊維は、前記強化繊維単独または複数種、さらには他の化学繊維などと組み合わせた強化繊維基材として用いることができる。かかる強化繊維基材としては、少なくとも炭素繊維を有するものであることが好ましい。本発明の強化繊維基材としては、強化繊維がほぼ同方向に引き揃えられたものや、織物、ニット、ブレイド、マットなどを用いることができる。なかでも高繊維体積含有率の繊維強化複合材料が得られるという観点から、ほぼ一方向に引き揃えられた強化繊維をガラス繊維または化学繊維で固定した、いわゆる一方向織物が好ましく用いられる。
本発明における一方向織物としては、例えば、炭素繊維のストランドからなる経糸、それと直交するガラス繊維または化学繊維からなる緯糸で構成され、かかる経糸とかかる緯糸とが互いに交差して平織構造をなしたものが挙げられる。また、図1に示す、炭素繊維のストランドからなる経糸(図1の1)、これに平行に配置されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸(図1の2)、これらと直交するガラス繊維または化学繊維からなる緯糸(図1の3)で構成され、かかる補助経糸とかかる緯糸とが互いに交差することにより炭素繊維のストランドが一体に保持されるノンクリンプ構造の織物が挙げられる。なかでも炭素繊維の直進性が優れ、繊維強化複合材料の圧縮強度が優れるという観点から、ノンクリンプ織物が好ましく用いられる。なかでも、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物とノンクリンプ織物からなる繊維強化複合材料は、炭素繊維の直進性に優れること、エポキシ樹脂組成物の硬化物が高弾性率であることの相乗効果により、繊維強化複合材料の圧縮強度が特に優れる。さらには、耐衝撃性、耐疲労性、有孔板引張強度が特に優れる。
本発明の一方向織物において、補助経糸の繊度は、炭素繊維のストランドからなる経糸の繊度の20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、さらには5%以下であることが好ましい。かかる範囲とすることで、経補助糸が炭素繊維のストランドより変形しやすくなり、炭素繊維ストランドの屈曲が小さな一方向織物が得られ、圧縮強度などの機械特性がさらに優れる繊維強化複合材料が得られる。
また、本発明の一方向織物において、緯糸の繊度は、炭素繊維のストランドからなる経糸の繊度の20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、さらには5%以下であることが好ましい。かかる範囲とすることで、緯糸のまわりで発生する炭素繊維ストランドの屈曲が小さな一方向織物が得られ、圧縮強度などの機械特性がさらに優れる繊維強化複合材料が得られる。
本発明における強化繊維基材には、強化繊維の配向ズレ防止、強化繊維基材同士の仮接着および得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性を向上させるなどの目的のため、バインダーを適宜付着させておくことができる。バインダーの組成に特に制限がなく既存のものが使用できるが、熱可塑性樹脂を主成分としたものが前述した目的に加え、保管時の物性変化が少ないので好ましく用いることができる。
本発明の繊維強化複合材料を航空機用構造部材として用いる場合、優れた耐熱性が要求されるため、バインダーに使用される熱可塑性樹脂としては高いガラス転移温度を有するエンジニアリングプラスチックが好ましい。特に、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミドなどを好適に用いることができる。
熱可塑性樹脂からなるバインダー組成物には、適切な可塑剤成分を配合してバインダーとしてガラス転移温度を適当な範囲、具体的には50〜70℃に調整することが好ましい。ここで可塑剤成分についてはエポキシ樹脂組成物と反応しうる化合物を選ぶことが好ましい。かかる可塑剤成分としては、特にエポキシ樹脂が好ましい。可塑剤成分として用いるエポキシ樹脂は特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ヒドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。また、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートが挙げられる。また、例えば、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−4−アミノ−3−メチルフェノール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。また、例えば、ポリフェノール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸無水物、ポリアクリレート、スルホンアミドなどが挙がられる。
本発明における繊維強化複合材料は、強化繊維の繊維体積含有率が45〜70%の範囲内であることが好ましく、50〜65%の範囲内であることがより好ましく、さらには55〜60%の範囲内であることが好ましい。繊維体積含有率が45%以上の場合、さらに高弾性率であり軽量化効果に優れる繊維強化複合材料が得られ、70%以下の場合、強化繊維同士の擦過による強度低下がなく、さらに引張強度などの力学特性に優れる繊維強化複合材料が得られる。
本発明における繊維強化複合材料の好ましい成形法としては、効率よく繊維強化複合材料が得られるという観点から、液状のエポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸、硬化して繊維強化複合材料を得る方法、例えば、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法、RTM(Resin Transfer Molding)法などが挙げられる。なかでも、複雑形状の繊維強化複合材料を効率よく得られるという観点から、RTM法を用いることが好ましい。ここで、RTM法とは型内に配置した強化繊維基材に液状のエポキシ樹脂組成物を含浸、硬化して繊維強化複合材料を得る方法を意味する。
本発明において、RTM法に用いる型は、剛性材料からなるクローズドモールドを用いてもよく、剛性材料のオープンモールドと可撓性のフィルム(バッグ)を用いることも可能である。後者の場合、強化繊維基材は、剛性材料のオープンモールドと可撓性フィルムの間に設置することができる。剛性材料としては、スチールやアルミニウムなどの金属、繊維強化プラスチック(FRP)、木材、石膏など既存の各種のものが用いられる。可撓性のフィルムの材料には、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などが用いられる。
本発明のRTM法において、剛性材料のクローズドモールドを用いる場合は、加圧して型締めし、繊維強化複合材料エポキシ樹脂組成物を加圧して注入することが通常行われる。このとき、注入口とは別に吸引口を設け、真空ポンプに接続して吸引することも可能である。吸引を行い、特別な加圧手段を用いることなく大気圧のみでエポキシ樹脂組成物を注入することも可能である。この方法は、複数の吸引口を設けることにより大型の部材を製造することができるため、好適に用いることができる。
本発明のRTM法において、剛性材料のオープンモールドと可撓性フィルムを用いる場合は、通常、吸引を行い、特別な加圧手段を用いることなく大気圧のみでエポキシ樹脂を注入する。大気圧のみでの注入で良好な含浸を実現するためには、樹脂拡散媒体を用いることが有効である。さらに、強化繊維からなる繊維基材あるいはプリフォームの設置に先立って、剛性材料の表面にゲルコートを塗布することが好ましく行われる。
なお、型として剛性材料のクローズドモールドを用いる場合、型内とは、当該クローズドモールドで形成されるキャビティー内のことを意味し、剛性材料のオープンモールドと可撓性フィルムを用いる場合、型内とは、当該オープンモールドと可撓性フィルムに囲まれる空間内のことを意味する。
本発明のRTM法において、強化繊維基材にエポキシ樹脂組成物を含浸した後、加熱硬化が行われる。加熱硬化時の型温は、通常、エポキシ樹脂組成物の注入時における型温より高い温度が選ばれる。加熱硬化時の型温は80〜200℃であることが好ましい。加熱硬化の時間は1〜20時間が好ましい。加熱硬化が完了した後、脱型して繊維強化複合材料を取り出す。その後、得られた繊維強化複合材料をより高い温度で加熱して後硬化を行ってもよい。後硬化の温度は150〜200℃が好ましく、時間は1〜4時間が好ましい。
本発明において、RTM法の派生形である、例えば、VaRTM(Vacuum−assisted Resin Transfer Molding)法、SCRIMP(Seeman’s Composite Resin Infusion Molding Process)法、特表2005−527410記載の樹脂供給タンクを大気圧よりも低い圧力まで排気し、循環圧縮を用い、かつ正味の成形圧力を制御することにとよって、樹脂注入プロセス、特にVaRTM法をより適切に制御するCAPRI(Controlled Atmospheric Pressure Resin Infusion)法などを好適に用いることができる。
このようなRTM法により繊維強化複合材料を製造するに際し、強化繊維基材として、上述の一方向織物、さらには、ノンクリンプ構造の織物を用いることが好ましい。ノンクリンプ構造の織物では炭素繊維のストランドからなる経糸(図1の1)と、これに平行に配置されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸(図1の2)との隙間が樹脂流路として機能するため、ノンクリンプ構造の織物を用いることにより、繊維強化複合材料を効率よく得ることができる。さらには、本発明のエポキシ樹脂は低粘度であるため、繊維強化複合材料をより効率よく得ることができる。また、得られる繊維強化複合材料は、圧縮強度が特に優れ、なおかつ、耐衝撃性、耐疲労性、有孔板引張強度が特に優れる。
さらには、このようなRTM法により繊維強化複合材料を製造するに際し、強化繊維基材として、上述の一方向織物、さらには、ノンクリンプ構造の織物を用い、真空ポンプなどを用いることにより型内を真空吸引することによりエポキシ樹脂組成物を含浸することが好ましい。ノンクリンプ構造の織物では炭素繊維のストランドからなる経糸(図1の1)と、これに平行に配置されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸(図1の2)との隙間が樹脂流路として機能し、型内を真空吸引することにより、大型の繊維強化複合材料を効率よく得ることができる。さらには、本発明のエポキシ樹脂は低粘度であるため、大型の繊維強化複合材料をより効率よく得ることができる。また、得られる繊維強化複合材料は、圧縮強度が特に優れ、なおかつ、耐衝撃性、耐疲労性、有孔板引張強度が特に優れる。 本発明の繊維強化複合材料は優れた熱的特性、圧縮強度、耐衝撃性、有孔板引張強度を有するため、胴体、主翼、尾翼、動翼、フェアリング、カウル、ドア、座席、内装材などの航空機部材、モーターケース、主翼などの宇宙機部材、構体、アンテナなどの人工衛星部材、外板、シャシー、空力部材、座席などの自動車部材、構体、座席などの鉄道車両部材、船体、座席などの船舶部材など多くの構造材料に好ましく用いることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。実施例で用いた樹脂原料、エポキシ樹脂組成物の調整法、硬化物の作製法、各特性の測定法を次に示した。
<樹脂原料>
エポキシ樹脂組成物の調整には次の市販品を用いた。
エポキシ樹脂組成物の調整には次の市販品を用いた。
(1)エポキシ樹脂
(a)構成要素[A]のエポキシ樹脂
・GAN(N,N−ジグリシジルアニリン、エポキシ当量:125g/mol、日本化薬(株)製)
・GOT(N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、エポキシ当量:135g/mol、日本化薬(株)製)
・“デナコール(登録商標)”EX721(フタル酸ジグリシジルエステル、エポキシ当量:154g/mol、ナガセケムテックス(株)製)
・AK601(ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、エポキシ当量:154g/mol、日本化薬(株)製)。
(a)構成要素[A]のエポキシ樹脂
・GAN(N,N−ジグリシジルアニリン、エポキシ当量:125g/mol、日本化薬(株)製)
・GOT(N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、エポキシ当量:135g/mol、日本化薬(株)製)
・“デナコール(登録商標)”EX721(フタル酸ジグリシジルエステル、エポキシ当量:154g/mol、ナガセケムテックス(株)製)
・AK601(ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、エポキシ当量:154g/mol、日本化薬(株)製)。
(b)構成要素[C]のエポキシ樹脂
・“アラルダイト(登録商標)”MY721(N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、エポキシ当量:113g/mol、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
・“jER(登録商標)”630(N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、エポキシ当量:98g/mol、ジャパンエポキシレジン(株)製)。
・“アラルダイト(登録商標)”MY721(N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、エポキシ当量:113g/mol、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
・“jER(登録商標)”630(N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、エポキシ当量:98g/mol、ジャパンエポキシレジン(株)製)。
(c)その他のエポキシ樹脂
・“jER(登録商標)”825(ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、エポキシ当量:175g/mol、ジャパンエポキシレジン(株)製)。
・“jER(登録商標)”825(ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、エポキシ当量:175g/mol、ジャパンエポキシレジン(株)製)。
(2)アミン硬化剤
(a)構成要素[B]の芳香族ジアミン硬化剤
・“ロンザキュア(登録商標)” M−MIPA(3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、活性水素当量:78g/mol、R18〜R21の合計炭素数:8、固形(融点:72℃)、ロンザ社製)
・“ロンザキュア(登録商標)” M−DEA(3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、活性水素当量:78g/mol、R18〜R21の合計炭素数:8、固形(融点:88℃)、ロンザ社製)
・“ロンザキュア(登録商標)”M−DIPA(3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、活性水素当量:93g/mol、R18〜R21の合計炭素数:12、固形(融点:30℃)、ロンザ社製)。
(a)構成要素[B]の芳香族ジアミン硬化剤
・“ロンザキュア(登録商標)” M−MIPA(3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、活性水素当量:78g/mol、R18〜R21の合計炭素数:8、固形(融点:72℃)、ロンザ社製)
・“ロンザキュア(登録商標)” M−DEA(3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、活性水素当量:78g/mol、R18〜R21の合計炭素数:8、固形(融点:88℃)、ロンザ社製)
・“ロンザキュア(登録商標)”M−DIPA(3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、活性水素当量:93g/mol、R18〜R21の合計炭素数:12、固形(融点:30℃)、ロンザ社製)。
(b)その他のジアミン硬化剤
・“jERキュア(登録商標)”W(ジエチルトルエンジアミン[芳香族ジアミン硬化剤]、活性水素当量:45g/mol、ジャパンエポキシレジン(株)製)
・“アンカミン(登録商標)”2049(4、4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)[脂環式ジアミン硬化剤]、活性水素当量:60g/mol、エアープロダクツ社製)
・“カヤハード(登録商標)” A−A(2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン[式(IV)で示される芳香族ジアミン硬化剤で、R18〜R21の合計炭素数が4)、活性水素当量:64g/mol、液状(25℃での粘度:2000〜3000mPa・s)、日本化薬(株)製)。
・“jERキュア(登録商標)”W(ジエチルトルエンジアミン[芳香族ジアミン硬化剤]、活性水素当量:45g/mol、ジャパンエポキシレジン(株)製)
・“アンカミン(登録商標)”2049(4、4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)[脂環式ジアミン硬化剤]、活性水素当量:60g/mol、エアープロダクツ社製)
・“カヤハード(登録商標)” A−A(2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン[式(IV)で示される芳香族ジアミン硬化剤で、R18〜R21の合計炭素数が4)、活性水素当量:64g/mol、液状(25℃での粘度:2000〜3000mPa・s)、日本化薬(株)製)。
<エポキシ樹脂組成物の調整>
表1〜3に示すエポキシ樹脂組成物を次の手順で調整した。70℃に加熱したエポキシ樹脂を300ml入りのステンレスビーカーに所定量秤量し、均一になるまでスパチュラを用いて撹拌して、主剤を得た。ジアミン硬化剤を300ml入りのステンレスビーカーに所定量秤量し、120℃に加熱して、固形物が溶解するまでスパチュラを用いて撹拌し、硬化剤を得た。次に、70℃に加熱した主剤、硬化剤を混合し、均一になるまでスパチュラを用いた撹拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。
表1〜3に示すエポキシ樹脂組成物を次の手順で調整した。70℃に加熱したエポキシ樹脂を300ml入りのステンレスビーカーに所定量秤量し、均一になるまでスパチュラを用いて撹拌して、主剤を得た。ジアミン硬化剤を300ml入りのステンレスビーカーに所定量秤量し、120℃に加熱して、固形物が溶解するまでスパチュラを用いて撹拌し、硬化剤を得た。次に、70℃に加熱した主剤、硬化剤を混合し、均一になるまでスパチュラを用いた撹拌して、エポキシ樹脂組成物を得た。
<硬化剤の液状保持時間測定>
上記方法で得た硬化剤40mlを50ml入りのガラス瓶に秤量し、25℃温度環境下に保管し、所定時間毎に0.3gをサンプリングし、結晶析出の有無を確認した。サンプリングした硬化剤を2枚のガラスプレートに挟み、キーエンス社製のレーザー顕微鏡VK−9510を用い、倍率50倍において結晶析出の有無を確認した。この測定において、結晶が析出するまでの時間を、硬化剤の液状保持時間とした。
上記方法で得た硬化剤40mlを50ml入りのガラス瓶に秤量し、25℃温度環境下に保管し、所定時間毎に0.3gをサンプリングし、結晶析出の有無を確認した。サンプリングした硬化剤を2枚のガラスプレートに挟み、キーエンス社製のレーザー顕微鏡VK−9510を用い、倍率50倍において結晶析出の有無を確認した。この測定において、結晶が析出するまでの時間を、硬化剤の液状保持時間とした。
<エポキシ樹脂組成物の70℃における初期粘度測定>
上記方法で得たエポキシ樹脂組成物の70℃における初期粘度を、JIS Z8803(1991)における「円すい−平板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装着したE型粘度計((株)トキメック製、TVE−30H)を使用して、回転速度50回転/分で測定した。なお、初期粘度はエポキシ樹脂組成物を調整後、70℃で5分間保持した後に測定した。
上記方法で得たエポキシ樹脂組成物の70℃における初期粘度を、JIS Z8803(1991)における「円すい−平板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装着したE型粘度計((株)トキメック製、TVE−30H)を使用して、回転速度50回転/分で測定した。なお、初期粘度はエポキシ樹脂組成物を調整後、70℃で5分間保持した後に測定した。
<エポキシ樹脂硬化物の作製法>
上記方法で得たエポキシ樹脂組成物を厚さ2mm、および6mmの板状キャビティーを備えた型内に注入し、次の条件でオーブン中にて加熱硬化して樹脂硬化板を得た。
(1)30℃から180℃までを速度1.5℃/minで昇温する。
(2)180℃で2時間保持する。
(3)180℃から30℃まで、速度2.5℃/minで降温する。
上記方法で得たエポキシ樹脂組成物を厚さ2mm、および6mmの板状キャビティーを備えた型内に注入し、次の条件でオーブン中にて加熱硬化して樹脂硬化板を得た。
(1)30℃から180℃までを速度1.5℃/minで昇温する。
(2)180℃で2時間保持する。
(3)180℃から30℃まで、速度2.5℃/minで降温する。
<エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度(Tg)測定>
上記方法で得た厚さ2mmの樹脂硬化板から、長さ55mm、幅12.7mmの試験片を切り出し、SACMA SRM18R−94に準拠し、DMA法によりTgを測定した。装置はレオメトリックス社製のARESを用いた。昇温速度は5℃/min、測定周波数は1Hzとした。得られた温度−貯蔵弾性率G’曲線におけるガラス状態での接線と転移状態での接線との交点温度値をTgとした。
上記方法で得た厚さ2mmの樹脂硬化板から、長さ55mm、幅12.7mmの試験片を切り出し、SACMA SRM18R−94に準拠し、DMA法によりTgを測定した。装置はレオメトリックス社製のARESを用いた。昇温速度は5℃/min、測定周波数は1Hzとした。得られた温度−貯蔵弾性率G’曲線におけるガラス状態での接線と転移状態での接線との交点温度値をTgとした。
<エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率測定>
上記方法で得た厚さ2mmの樹脂硬化板から、長さ60mm、幅10mm、の試験片を切り出し、試験速度2.5mm/分、支点間距離32mmで3点曲げ試験を行い、JIS K7171−1994に従い、曲げ弾性率を測定した。測定温度は25℃とした。
上記方法で得た厚さ2mmの樹脂硬化板から、長さ60mm、幅10mm、の試験片を切り出し、試験速度2.5mm/分、支点間距離32mmで3点曲げ試験を行い、JIS K7171−1994に従い、曲げ弾性率を測定した。測定温度は25℃とした。
<エポキシ樹脂硬化物のモードI破壊靱性値(GIC)測定>
上記方法で得た厚さ6mmの樹脂硬化板から、ASTM D5045−99に記載の試験片形状に加工を行った後、ASTM D5045−99に従い測定を行った。測定温度は25℃とした。なお、ポワソン比は0.38とした。
上記方法で得た厚さ6mmの樹脂硬化板から、ASTM D5045−99に記載の試験片形状に加工を行った後、ASTM D5045−99に従い測定を行った。測定温度は25℃とした。なお、ポワソン比は0.38とした。
<炭素繊維を有してなる強化繊維基材1の作製>
実施例16、17、比較例5、6で用いた炭素繊維を有してなる強化繊維基材1は次のように作製した。PAN系の無撚糸である炭素繊維束“トレカ(登録商標)”T800S−24K−10C(東レ(株)製、24000フィラメント)を経糸として1.8本/cmの密度で引き揃えて一方向性シート状強化繊維束群を形成した。緯糸としてガラス繊維ECE225 1/0 1Z(日東紡(株)製)を用い、前記一方向性シート状強化繊維束群に直交する方向に3本/cmの密度で配列し、織機を用いて該経糸と該緯糸が互いに交差するように織り込み、実質的に炭素繊維が一方向に配列された平織組織の織物を作製し、強化繊維基材とした。得られた強化繊維基材の炭素繊維目付は190g/m2であった。さらに、該強化繊維基材にポリエーテルスルホンである“スミカエクセル(登録商標)”5003P(住友化学工業(株)製)60質量部、ビスフェノールFのグリシジルエーテルである“jER(登録商標)”806(ジャパンエポキシレジン(株)製)23.5質量部、ビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂であるNC−3000(日本化薬(株)製)12.5質量部およびトリグリシジルイソシアヌレートであるTEPIC−P(日産化学工業(株)製)4質量部を二軸押出機にて210℃で溶融混練し、得られた樹脂組成物を冷凍粉砕後に分級して、体積平均粒子径100μm、ガラス転移温度73℃のバインダー粒子を得た。得られたバインダー粒子を前記強化繊維基材の片側表面にエンボスロールとドクターブレードにて計量しながら自然落下させ、振動ネットを介して均一分散させながら、バインダー粒子目付が25g/m2となるように散布した。その後、200℃、0.3m/分の条件にて遠赤外線ヒーターを通過させ、バインダー粒子を強化繊維基材の片側全面に融着させてバインダー粒子付きの強化繊維基材1を得た。
実施例16、17、比較例5、6で用いた炭素繊維を有してなる強化繊維基材1は次のように作製した。PAN系の無撚糸である炭素繊維束“トレカ(登録商標)”T800S−24K−10C(東レ(株)製、24000フィラメント)を経糸として1.8本/cmの密度で引き揃えて一方向性シート状強化繊維束群を形成した。緯糸としてガラス繊維ECE225 1/0 1Z(日東紡(株)製)を用い、前記一方向性シート状強化繊維束群に直交する方向に3本/cmの密度で配列し、織機を用いて該経糸と該緯糸が互いに交差するように織り込み、実質的に炭素繊維が一方向に配列された平織組織の織物を作製し、強化繊維基材とした。得られた強化繊維基材の炭素繊維目付は190g/m2であった。さらに、該強化繊維基材にポリエーテルスルホンである“スミカエクセル(登録商標)”5003P(住友化学工業(株)製)60質量部、ビスフェノールFのグリシジルエーテルである“jER(登録商標)”806(ジャパンエポキシレジン(株)製)23.5質量部、ビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂であるNC−3000(日本化薬(株)製)12.5質量部およびトリグリシジルイソシアヌレートであるTEPIC−P(日産化学工業(株)製)4質量部を二軸押出機にて210℃で溶融混練し、得られた樹脂組成物を冷凍粉砕後に分級して、体積平均粒子径100μm、ガラス転移温度73℃のバインダー粒子を得た。得られたバインダー粒子を前記強化繊維基材の片側表面にエンボスロールとドクターブレードにて計量しながら自然落下させ、振動ネットを介して均一分散させながら、バインダー粒子目付が25g/m2となるように散布した。その後、200℃、0.3m/分の条件にて遠赤外線ヒーターを通過させ、バインダー粒子を強化繊維基材の片側全面に融着させてバインダー粒子付きの強化繊維基材1を得た。
<炭素繊維を有してなる強化繊維基材2の作製>
実施例18で用いた炭素繊維を有してなる強化繊維基材2は次のようにして作製した。PAN系の無撚糸である炭素繊維束“トレカ(登録商標)”T800S−24K−10C(東レ(株)製、24000フィラメント)を経糸として1.8本/cmの密度で引き揃え、これに平行、かつ交互に配列された補助経糸としてガラス繊維束ECE225 1/0 1Z(日東紡(株)製、200フィラメント)を1.8本/cmの密度で引き揃えて一方向性シート状強化繊維束群を形成した。緯糸としてポリアミド繊維束(ポリアミド66、7フィラメント)を用い、前記一方向性シート状強化繊維束群に直交する方向に3本/cmの密度で配列し、織機を用いて該補助経糸と該緯糸が互いに交差するように織り込み、実質的に炭素繊維束が一方向に配列されクリンプの無い、図1に示すようなノンクリンプ構造の一方向織物を作製した。得られた強化繊維基材の炭素繊維目付は190g/m2であった。さらに、上記の強化繊維基材1と同様の方法によって、バインダー粒子を強化繊維基材の片側全面に融着させてバインダー粒子付き強化繊維基材2を得た。
実施例18で用いた炭素繊維を有してなる強化繊維基材2は次のようにして作製した。PAN系の無撚糸である炭素繊維束“トレカ(登録商標)”T800S−24K−10C(東レ(株)製、24000フィラメント)を経糸として1.8本/cmの密度で引き揃え、これに平行、かつ交互に配列された補助経糸としてガラス繊維束ECE225 1/0 1Z(日東紡(株)製、200フィラメント)を1.8本/cmの密度で引き揃えて一方向性シート状強化繊維束群を形成した。緯糸としてポリアミド繊維束(ポリアミド66、7フィラメント)を用い、前記一方向性シート状強化繊維束群に直交する方向に3本/cmの密度で配列し、織機を用いて該補助経糸と該緯糸が互いに交差するように織り込み、実質的に炭素繊維束が一方向に配列されクリンプの無い、図1に示すようなノンクリンプ構造の一方向織物を作製した。得られた強化繊維基材の炭素繊維目付は190g/m2であった。さらに、上記の強化繊維基材1と同様の方法によって、バインダー粒子を強化繊維基材の片側全面に融着させてバインダー粒子付き強化繊維基材2を得た。
<ガラス転移温度(Tg)測定、および0°方向圧縮試験用の繊維強化複合材料の作製>
実施例16〜18、および比較例5、6で用いたTg測定用、および0°圧縮試験用の繊維強化複合材料はRTM法で次のようにして作製した。400mm×400mm×1.14mmの板状キャビティーを有する金型に、395mm×395mmに切り出した上記バインダー粒子付き強化繊維基材を、炭素繊維の繊維方向を0°として、同一方向に引き揃えて6枚積層して、プリフォームを作製し、型締めを行った。続いて、金型を70℃の温度に加温した後、予め別途70℃の温度に加温したエポキシ樹脂組成物を、樹脂注入装置を用い、注入圧0.2MPaで型内に注入し、強化繊維基材に含浸させた。含浸後、金型を速度1.5℃/minで130℃の温度まで昇温し、130℃の温度で2時間保持した後、30℃の温度にまで降温し、脱型した。脱型後、次の条件でオーブン中にて後硬化を行い、繊維強化複合材料を得た。
(1)30℃から180℃の温度まで、速度1.5℃/minで昇温する。
(2)180℃の温度で2時間保持する。
(3)180℃から30℃の温度まで、速度2.5℃/minで降温する。
実施例16〜18、および比較例5、6で用いたTg測定用、および0°圧縮試験用の繊維強化複合材料はRTM法で次のようにして作製した。400mm×400mm×1.14mmの板状キャビティーを有する金型に、395mm×395mmに切り出した上記バインダー粒子付き強化繊維基材を、炭素繊維の繊維方向を0°として、同一方向に引き揃えて6枚積層して、プリフォームを作製し、型締めを行った。続いて、金型を70℃の温度に加温した後、予め別途70℃の温度に加温したエポキシ樹脂組成物を、樹脂注入装置を用い、注入圧0.2MPaで型内に注入し、強化繊維基材に含浸させた。含浸後、金型を速度1.5℃/minで130℃の温度まで昇温し、130℃の温度で2時間保持した後、30℃の温度にまで降温し、脱型した。脱型後、次の条件でオーブン中にて後硬化を行い、繊維強化複合材料を得た。
(1)30℃から180℃の温度まで、速度1.5℃/minで昇温する。
(2)180℃の温度で2時間保持する。
(3)180℃から30℃の温度まで、速度2.5℃/minで降温する。
<繊維強化複合材料のTg測定用試験片の作製>
上記方法で得た繊維強化複合材料を用い、90°方向を試験片の長さ方向として、長さ55mm、幅12.7mmの矩形試験片を切り出した。
上記方法で得た繊維強化複合材料を用い、90°方向を試験片の長さ方向として、長さ55mm、幅12.7mmの矩形試験片を切り出した。
<繊維強化複合材料のTg測定>
上記方法で得たTg測定用試験片を用い、SACMA SRM18R−94に準拠し、DMA法によりTgを測定した。装置はレオメトリックス社製のARESを用いた。昇温速度は5℃/min、測定周波数は1Hzとした。得られた温度−貯蔵弾性率G’曲線におけるガラス状態での接線と転移状態での接線との交点温度値をTgとした。
上記方法で得たTg測定用試験片を用い、SACMA SRM18R−94に準拠し、DMA法によりTgを測定した。装置はレオメトリックス社製のARESを用いた。昇温速度は5℃/min、測定周波数は1Hzとした。得られた温度−貯蔵弾性率G’曲線におけるガラス状態での接線と転移状態での接線との交点温度値をTgとした。
<繊維強化複合材料の0°方向圧縮試験片の作製>
上記方法で得られた繊維強化複合材料を用い、SACMA−SRM 1R−94に準拠し、タブを接着した後、0°方向を試験片の長さ方向として、長さ80.0mm、幅15.0mmの矩形試験片を切り出した。
上記方法で得られた繊維強化複合材料を用い、SACMA−SRM 1R−94に準拠し、タブを接着した後、0°方向を試験片の長さ方向として、長さ80.0mm、幅15.0mmの矩形試験片を切り出した。
<繊維強化複合材料の0°方向圧縮試験>
上記方法で得られた0°方向圧縮試験片を用い、23℃環境下においてSACMA−SRM 1R−94に準拠し、試験速度1.0mm/minで圧縮試験を実施した。サンプル数は5個とし、その平均値を用いた。
上記方法で得られた0°方向圧縮試験片を用い、23℃環境下においてSACMA−SRM 1R−94に準拠し、試験速度1.0mm/minで圧縮試験を実施した。サンプル数は5個とし、その平均値を用いた。
<有孔板引張試験用の繊維強化複合材料の作製>
実施例16〜18、および比較例5、6で用いた有孔板引張試験用の繊維強化複合材料はRTM法で次のようにして作製した。400mm×400mm×1.52mmの板状キャビティーを有する金型に、395mm×395mmに切り出した上記バインダー粒子付き強化繊維基材を、炭素繊維の繊維方向を0°として、[+45°/0°/−45°/90°/90°/−45°/0°/+45°]の順番に合計8枚積層して、プリフォームを作製し、型締めを行った。続いて、金型を70℃の温度に加温した後、予め別途70℃の温度に加温したエポキシ樹脂組成物を、樹脂注入装置を用い、注入圧0.2MPaで型内に注入し、強化繊維基材に含浸させた。含浸後、金型を速度1.5℃/minで130℃の温度まで昇温し、130℃の温度で2時間保持した後、30℃の温度にまで降温し、脱型した。脱型後、次の条件でオーブン中にて後硬化を行い、繊維強化複合材料を得た。
(1)30℃から180℃の温度まで、速度1.5℃/minで昇温する。
(2)180℃の温度で2時間保持する。
(3)180℃から30℃の温度まで、速度2.5℃/minで降温する。
実施例16〜18、および比較例5、6で用いた有孔板引張試験用の繊維強化複合材料はRTM法で次のようにして作製した。400mm×400mm×1.52mmの板状キャビティーを有する金型に、395mm×395mmに切り出した上記バインダー粒子付き強化繊維基材を、炭素繊維の繊維方向を0°として、[+45°/0°/−45°/90°/90°/−45°/0°/+45°]の順番に合計8枚積層して、プリフォームを作製し、型締めを行った。続いて、金型を70℃の温度に加温した後、予め別途70℃の温度に加温したエポキシ樹脂組成物を、樹脂注入装置を用い、注入圧0.2MPaで型内に注入し、強化繊維基材に含浸させた。含浸後、金型を速度1.5℃/minで130℃の温度まで昇温し、130℃の温度で2時間保持した後、30℃の温度にまで降温し、脱型した。脱型後、次の条件でオーブン中にて後硬化を行い、繊維強化複合材料を得た。
(1)30℃から180℃の温度まで、速度1.5℃/minで昇温する。
(2)180℃の温度で2時間保持する。
(3)180℃から30℃の温度まで、速度2.5℃/minで降温する。
<繊維強化複合材料の有孔板引張試験片の作製>
上記方法で得られた繊維強化複合材料を用い、ASTM D5766−95に準拠し、0°方向を試験片の長さ方向として、長さ300mm、幅36.0mmの矩形試験片を切り出し、直径6.0mmの孔をドリルとリーマーを用いて有孔加工した。
上記方法で得られた繊維強化複合材料を用い、ASTM D5766−95に準拠し、0°方向を試験片の長さ方向として、長さ300mm、幅36.0mmの矩形試験片を切り出し、直径6.0mmの孔をドリルとリーマーを用いて有孔加工した。
<繊維強化複合材料の有孔板引張試験>
上記方法で得られた有孔板引張試験片を用い、23℃環境下においてASTM D5766−95に準拠し、試験速度1.27mm/minで有孔板引張試験を実施した。サンプル数は5個とし、その平均値を用いた。
上記方法で得られた有孔板引張試験片を用い、23℃環境下においてASTM D5766−95に準拠し、試験速度1.27mm/minで有孔板引張試験を実施した。サンプル数は5個とし、その平均値を用いた。
<実施例1〜8>
表1に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、いずれも十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、モードI破壊靱性値を測定した。この結果、Tg、弾性率、破壊靱性値のいずれもが高く、優れることがわかった。なかでも、実施例2、3、4、5は、Tg、弾性率、破壊靱性値のいずれもが非常に高く、特に優れることがわかった。また、実施例1〜6、および、実施例8の硬化剤の液状保持時間が長いことがわかった。
表1に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、いずれも十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、モードI破壊靱性値を測定した。この結果、Tg、弾性率、破壊靱性値のいずれもが高く、優れることがわかった。なかでも、実施例2、3、4、5は、Tg、弾性率、破壊靱性値のいずれもが非常に高く、特に優れることがわかった。また、実施例1〜6、および、実施例8の硬化剤の液状保持時間が長いことがわかった。
<実施例9〜12>
表2に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、いずれも十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、モードI破壊靱性値を測定した。この結果、Tg、弾性率、破壊靱性値のいずれもが高く、優れることがわかった。実施例1と比較して、実施例9〜12でTg、弾性率が高くより優れることがわかった。また、実施例9〜12の硬化剤の液状保持時間が長いことがわかった。
表2に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、いずれも十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、モードI破壊靱性値を測定した。この結果、Tg、弾性率、破壊靱性値のいずれもが高く、優れることがわかった。実施例1と比較して、実施例9〜12でTg、弾性率が高くより優れることがわかった。また、実施例9〜12の硬化剤の液状保持時間が長いことがわかった。
<実施例13〜15>
表2に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、いずれも十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、モードI破壊靱性値を測定した。この結果、Tg、弾性率、破壊靱性値のいずれもが高く、優れることがわかった。さらには、実施例13〜15は、硬化剤の保存安定性においても、特に優れることがわかった。また、実施例13の硬化剤の液状保持時間が長く、実施例14、15の硬化剤の液状保持時間が極めて長いことがわかった。
表2に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、いずれも十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、モードI破壊靱性値を測定した。この結果、Tg、弾性率、破壊靱性値のいずれもが高く、優れることがわかった。さらには、実施例13〜15は、硬化剤の保存安定性においても、特に優れることがわかった。また、実施例13の硬化剤の液状保持時間が長く、実施例14、15の硬化剤の液状保持時間が極めて長いことがわかった。
<比較例1>
表3に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、モードI破壊靱性値を測定した。この結果、破壊靱性値が大幅に低く不十分であることがわかった。なお、ここで用いた硬化剤は、構成要素[B]とは異なる芳香族ジアミン硬化剤であった。
表3に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、モードI破壊靱性値を測定した。この結果、破壊靱性値が大幅に低く不十分であることがわかった。なお、ここで用いた硬化剤は、構成要素[B]とは異なる芳香族ジアミン硬化剤であった。
<比較例2>
表3に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、モードI破壊靱性値を測定した。この結果、破壊靱性値が低く不十分であることがわかった。ここで用いた硬化剤は、芳香環を含まない脂環式ジアミン硬化剤であった。
表3に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、モードI破壊靱性値を測定した。この結果、破壊靱性値が低く不十分であることがわかった。ここで用いた硬化剤は、芳香環を含まない脂環式ジアミン硬化剤であった。
<比較例3>
表3に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、モードI破壊靱性値を測定した。この結果、弾性率が大幅に低く不十分であることがわかった。ここで用いた硬化剤は、式(I)で示された芳香族ジアミン硬化剤であるが、R18〜R21の合計炭素数が4個のものであった。
表3に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、モードI破壊靱性値を測定した。この結果、弾性率が大幅に低く不十分であることがわかった。ここで用いた硬化剤は、式(I)で示された芳香族ジアミン硬化剤であるが、R18〜R21の合計炭素数が4個のものであった。
<比較例4>
表3に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、モードI破壊靱性値を測定した。この結果、弾性率が大幅に低く不十分であることがわかった。ここで用いたエポキシ樹脂組成物は、構成要素[A]を含まないものであった。
表3に示す樹脂原料を用いてエポキシ樹脂組成物を調整し70℃における初期粘度を測定した。この結果、十分に低粘度であった。次に硬化物を作製し、Tg、曲げ弾性率、モードI破壊靱性値を測定した。この結果、弾性率が大幅に低く不十分であることがわかった。ここで用いたエポキシ樹脂組成物は、構成要素[A]を含まないものであった。
<実施例16、17>
実施例1、10のエポキシ樹脂組成物、上記バインダー粒子付き強化繊維基材1を用い、RTM法で繊維強化複合材料を作製した結果、いずれのエポキシ樹脂組成物を用いた場合においても、炭素繊維の体積含有率が56%である品位の良い成形体が得られた。これらの繊維強化複合材料のTg、0°圧縮強度、有孔板引張強度を測定した結果、いずれも優れることがわかった。なかでも実施例10のエポキシ樹脂組成物を用いた場合、Tg、0°圧縮強度が特にすぐれることがわかった。
実施例1、10のエポキシ樹脂組成物、上記バインダー粒子付き強化繊維基材1を用い、RTM法で繊維強化複合材料を作製した結果、いずれのエポキシ樹脂組成物を用いた場合においても、炭素繊維の体積含有率が56%である品位の良い成形体が得られた。これらの繊維強化複合材料のTg、0°圧縮強度、有孔板引張強度を測定した結果、いずれも優れることがわかった。なかでも実施例10のエポキシ樹脂組成物を用いた場合、Tg、0°圧縮強度が特にすぐれることがわかった。
<実施例18>
実施例10のエポキシ樹脂組成物、上記バインダー粒子付き強化繊維基材2を用い、RTM法で繊維強化複合材料を作製した結果、炭素繊維の体積含有率が56%である品位の良い成形体が得られた。この繊維強化複合材料のTg、0°圧縮強度、有孔板引張強度を測定した結果、いずれもが特に優れることがわかった。
実施例10のエポキシ樹脂組成物、上記バインダー粒子付き強化繊維基材2を用い、RTM法で繊維強化複合材料を作製した結果、炭素繊維の体積含有率が56%である品位の良い成形体が得られた。この繊維強化複合材料のTg、0°圧縮強度、有孔板引張強度を測定した結果、いずれもが特に優れることがわかった。
<比較例5>
比較例3のエポキシ樹脂組成物、上記バインダー粒子付き強化繊維基材1を用い、RTM法で繊維強化複合材料を作製した結果、炭素繊維の体積含有率が56%である品位の良い成形体が得られた。この繊維強化複合材料のTg、0°圧縮強度、有孔板引張強度を測定した結果、0°圧縮強度は優れるものの、Tg、有孔板引張強度が大幅に低く不十分であることがわかった。
比較例3のエポキシ樹脂組成物、上記バインダー粒子付き強化繊維基材1を用い、RTM法で繊維強化複合材料を作製した結果、炭素繊維の体積含有率が56%である品位の良い成形体が得られた。この繊維強化複合材料のTg、0°圧縮強度、有孔板引張強度を測定した結果、0°圧縮強度は優れるものの、Tg、有孔板引張強度が大幅に低く不十分であることがわかった。
<比較例6>
比較例4のエポキシ樹脂組成物、上記バインダー粒子付き強化繊維基材1を用い、RTM法で繊維強化複合材料を作製した結果、炭素繊維の体積含有率が56%である品位の良い成形体が得られた。この繊維強化複合材料のTg、0°圧縮強度、有孔板引張強度を測定した結果、Tg、有孔板引張強度は優れるものの、0°圧縮強度が大幅に低く不十分であることがわかった。
比較例4のエポキシ樹脂組成物、上記バインダー粒子付き強化繊維基材1を用い、RTM法で繊維強化複合材料を作製した結果、炭素繊維の体積含有率が56%である品位の良い成形体が得られた。この繊維強化複合材料のTg、0°圧縮強度、有孔板引張強度を測定した結果、Tg、有孔板引張強度は優れるものの、0°圧縮強度が大幅に低く不十分であることがわかった。
1:経糸
2:補助経糸
3:緯糸
2:補助経糸
3:緯糸
Claims (13)
- 硬化剤として、少なくとも2種類以上の芳香族ジアミン硬化剤を含んでおり、そのうち少なくとも1種類の芳香族ジアミン硬化剤が構成要素[B]で示される芳香族ジアミン硬化剤である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 硬化剤として、構成要素[B]で示される芳香族ジアミン硬化剤を少なくとも2種類以上含む、請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 硬化剤として、25℃で固形の芳香族ジアミン硬化剤と25℃で液状の芳香族ジアミン硬化剤を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 構成要素[B]のR18〜R21がn−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、およびtert−ブチル基から選ばれるいずれかの置換基である、請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 構成要素[A]の配合量が全エポキシ樹脂100質量部に対して15〜60質量部であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- さらに、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂である構成要素[C]を含み、構成要素[C]の配合量が全エポキシ樹脂100質量部に対して40質量部以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 少なくとも、請求項1〜8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物と、炭素繊維を有する強化繊維基材とで構成される繊維強化複合材料。
- 前記炭素繊維を有してなる強化繊維基材が、該炭素繊維のストランドからなる経糸とこれに平行に配列されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸と、これらと直交するように配列されたガラス繊維または化学繊維からなる緯糸からなり、該補助経糸と該緯糸が互いに交差することにより、炭素繊維のストランドが一体に保持されて織物が形成されているノンクリンプ構造の織物である、請求項9に記載の繊維強化複合材料。
- 炭素繊維を有する強化繊維基材を型内に配置し、請求項1〜8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を注入して含浸させた後、加熱硬化させる、繊維強化複合材料の製造方法。
- 前記炭素繊維を有してなる強化繊維基材が、該炭素繊維のストランドからなる経糸とこれに平行に配列されたガラス繊維または化学繊維からなる繊維束の補助経糸と、これらと直交するように配列されたガラス繊維または化学繊維からなる緯糸からなり、該補助経糸と該緯糸が互いに交差することにより、炭素繊維のストランドが一体に保持されて織物が形成されているノンクリンプ構造の織物である、請求項11に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
- 前記エポキシ樹脂組成物の注入を、前記型内を真空吸引することにより行う、請求項12に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
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