JP2012082394A - 炭素繊維織物プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い面方向の導電性を有し、熱サイクルによる疲労耐性に優れ、なおかつ高い引張強度を発現する繊維強化複合材料、ならびにそれを得るために好適なプリプレグを提供すること。
【解決手段】少なくとも以下の[A]、[B]、[C]を含んで構成されており、[B]が[A]の片面または両面に配置されてなる、または[B2]が[A]の炭素繊維束の側面に配置された形態を有するプリプレグ。
[A]2軸以上の炭素繊維織物
[B][B1]金属線からなるメッシュまたは不織布、および[B2]金属線から選ばれる少なくとも1種[C]少なくとも以下の[C1]、[C2]、[C3]を含む熱硬化性樹脂組成物
[C1]熱硬化性樹脂
[C2]コアシェルゴム粒子
[C3]前記[C1]熱硬化性樹脂に可溶な熱可塑性樹脂
【選択図】なし

Description

本発明は、航空宇宙用途、自動車用途、船舶用途、およびスポーツ・一般産業用途に好適に用いられる繊維強化複合材料およびこれを得るためのプリプレグに関するものである。より詳しくは、安定した導電性を示す繊維強化複合材料であって、かつ優れた環境疲労特性を有する、特に2軸以上の織物基材を用いたプリプレグならびに繊維強化複合材料に関するものである。
ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの強化繊維と、マトリックス樹脂からなる繊維強化複合材料は、競合する金属などに比べて軽量でありながら、強度、弾性率などの機械特性に優れるため、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材、船舶部材、土木建築材、スポーツ用品などの多くの分野に用いられている。特に高性能が要求される用途においては、強化繊維としては比強度、比弾性率に優れた炭素繊維が多く用いられている。また、マトリックス樹脂としては不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられることが多く、中でも炭素繊維との接着性に優れたエポキシ樹脂が多く用いられている。また、高性能が要求される用途では、連続繊維を用いた繊維強化複合材料が用いられ、構造体を作成する中間基材として、強化繊維と未硬化の熱硬化性樹脂を組み合わせたプリプレグが広く利用されている。
航空機や自動車などの輸送機用途や、風車等の大型の構造材用途は、炭素繊維強化複合材料の比強度、比弾性率の高さが効果的に発揮される用途の1つである。これらの用途においては、温度変化、風雨、落雷などの苛酷な自然環境による損傷、劣化への対策が重要と考えられ、いろいろな方法が考えられてきている。
炭素繊維強化複合材料は、炭素繊維を絶縁性が一般に高いマトリックス樹脂と組み合わせて用いているため、電気伝導性は金属材料に比べて低く、落雷によって大きな電流が発生した場合に電流を瞬時に拡散できない。したがって、炭素繊維強化複合材料を用いた構造材においては、従来の金属材料を用いた場合に比べ、落雷を受けた際に構造材への損傷が大きくなる可能性がある。また、航空機などに用いた場合は、落雷によって燃料に引火したり、内部の電子機器に悪影響が及んだりする可能性がある。この様な問題を解決するために、強化繊維と金属メッシュを組み合わせたプリプレグ(例えば特許文献1)や、金属線の編み込まれた炭素繊維織物をマトリックス樹脂と組み合わせたプリプレグを用いた繊維強化複合材料で構造体を作成する方法(例えば特許文献2)が知られている。
一方、温度変化においては、例えば民間航空機においては、上空での飛行中と地上滞在時で大きく異なる温度環境にさらされる。すなわち、上空では約−50℃の極低温下であるが、地上滞在時は地域により70℃以上まで達する。離着陸を繰り返すたびに、航空機はこのような極低温と高温への昇降温に繰り返しさらされる。この様な環境において、炭素繊維をマトリックス樹脂と組み合わせた複合材料では、炭素繊維の線膨張係数が非常に小さいため炭素繊維とマトリックス樹脂間には大きな線膨張係数差が存在し、温度変化による膨張・収縮によってマトリックス樹脂にひずみ、すなわち熱ひずみが加わる。熱ひずみによって、繊維強化複合材料中の樹脂部分に数十〜数百μm程度の微小なクラック(マイクロクラック)が発生する場合がある。高温から低温までの温度変化(以下熱サイクルと表すこともある)による負荷が繰り返しさらされると、前記のようなマイクロクラックが発生しやすい(例えば非特許文献1)。マイクロクラックが発生した状態でさらに環境疲労が加わると、マイクロクラックはより大きなクラックに成長し、そのクラックによって繊維強化複合材料の機械物性が低下する可能性がある。
前述のような落雷耐性を持たせるために金属線と炭素繊維およびマトリックス樹脂を組み合わせた複合材料においては、金属は炭素繊維ともマトリックス樹脂とも線膨張係数が異なるため、熱サイクルの負荷による熱ひずみの影響は、金属線を含有しない系に比べて一層複雑となり、マイクロクラックの発生の可能性は一層大きくなると考えられる。また、金属とマトリックス樹脂の接着不良や、金属線の腐食に伴っての接着の悪化等に起因して、金属線界面からのマイクロクラックの発生する場合もある。
繊維強化複合材料中のマトリックス樹脂のみが集中する領域(以下、樹脂リッチ部と記述することもある)においては、線膨張係数の差が顕著になるため、環境疲労の負荷によってマイクロクラックがより発生しやすい(特許文献3、非特許文献1)。構造材を成形する際に、ドレープ性など成形のしやすさや、表面の異方性の低減、また、外観の美しさ等の観点から、2方向以上に炭素繊維束(糸条)が配列された炭素繊維織物のプリプレグが使用されることがある。このような炭素繊維織物基材においては縦糸と横糸の交差のため、一方向に炭素繊維が配列された場合に比べクリンプ(繊維が波状になっていること)が圧倒的に大きく、その結果、2軸以上の織物基材をプリプレグとして積層成形した複合材料には、樹脂リッチ部が多くなる。すなわち、織物基材を使用した炭素繊維強化複合材料は、一方向基材を使用したものよりも熱サイクルによってマイクロクラックが発生しやすい。さらに繊維径の異なる金属線などを含む場合は、樹脂リッチ部分がより多くなることがあり、マイクロクラックがより発生しやすくなると考えられる。すなわち、このような織物基材、金属線などを含む基材を用いた炭素繊維強化複合材料の環境に対する耐久性を高めることが重要な課題である。
前述のような金属線入りの炭素繊維強化複合材料は、しばしば金属線を含有しない繊維強化複合材料と組み合わせて構造体が作製される。例えば構造体の表層などの、構造体の一部にのみ金属線を含有する炭素繊維強化複合材料が用いられることがある。構造体全体の環境に対する耐久性を高めるためには、どの部分からもマイクロクラックが発生しないことが重要である。
熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる樹脂硬化物は、一般に熱可塑性の樹脂に比べて脆いため、これをマトリックス樹脂として繊維強化複合材料に用いた場合、内在する熱ひずみによってマイクロクラックが発生しやすい。熱硬化性樹脂を用いた繊維強化複合材料において、熱ひずみに対する抗力をもたせる、すなわち熱サイクルの負荷によるマイクロクラックの発生を抑制し、また発生したクラックの進展を抑制するためには、熱硬化性樹脂を高伸度、高靱性化することが重要な課題となっている。また、構造部材に用いられる場合は、使用時における荷重に耐えるため繊維強化複合材料の引張強度や圧縮強度等の機械特性の向上が重要視されており、マイクロクラック耐性と高強度特性を兼ね備える材料が求められている。
マトリックス樹脂、特にエポキシ樹脂硬化物を高靭性化する方法としては、エポキシ樹脂組成物にゴムを添加する方法が知られている。ゴムを添加する方法として、例えば、反応性を有するカルボキシル基を末端基とするブタジエン−アクリロニトリル共重合ゴム(CTBN)やニトリルゴムを用いる方法が提案されている(例えば特許文献4、5)。しかしながら、この方法はゴムがエポキシ樹脂組成物へ一旦溶解した後、硬化時に相分離するという過程を経るため、エポキシ樹脂組成物の種類や硬化条件の違いにより硬化物のモルホロジーが変化し、狙いの高靱性化効果が得られないという問題、さらにはエポキシ樹脂硬化物中のエポキシ樹脂相にゴム成分が一部溶解するため、エポキシ樹脂組成物の粘度上昇、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性(ガラス転移温度(Tg))低下、弾性率低下を引き起こすなどの問題があり、成形条件の設定や配合量に関する設計自由度が低いということがあった。また、これらの配合量や成形条件によっては、繊維強化複合材料の引張強度、圧縮強度等の機械特性を低下させることもあり、樹脂の高靭性化と繊維強化複合材料の機械特性の維持・向上を両立させることが求められてきた。
この問題に対して、エポキシ樹脂組成物の粘度上昇やエポキシ樹脂硬化物のTg低下を抑制するため、エポキシ樹脂に実質的に不溶なコアシェルポリマー粒子を用い、レジン・トランスファー・モールディング(RTM)法で成形して得られる繊維強化複合材料において圧縮強度等の力学特性とマイクロクラック耐性を両立する方法が提示されている(例えば特許文献3、6)。しかしながら、これらの技術はRTM成形用途であり、樹脂の粘弾性において制限を受けることになる。また、金属等の導電性を有するワイヤー等を含有する場合の解決法については提示されていない。
特開2006−219078号公報 特開2009−513438号公報 特開2010−59300号公報 特公昭61−29613号公報 特公昭62−34251号公報 特開2009−280669号公報
Journal of Advanced Materials(ジャーナル・オブ・アドバンスト・マテリアルズ)、26(4)、p48−62(1995)
本発明の目的は、2軸以上の炭素繊維織物と、金属線からなるメッシュ、不織布、または金属線、およびマトリックス樹脂からなり、高い面方向の導電性を有し、熱サイクルによる疲労耐性に優れ、なおかつ高い引張強度を発現する繊維強化複合材料、ならびにそれを得るために好適なプリプレグを提供することにある。
本発明は、本発明は、上記目的を達成するために次の構成を有するものである。すなわち、少なくとも以下の[A]、[B]、[C]を含んで構成されており、[B]が[A]の片面または両面に配置されてなるプリプレグ。
[A]2軸以上の炭素繊維織物
[B][B1]金属線からなるメッシュまたは不織布、および[B2]金属線から選ばれる少なくとも1種[C]少なくとも以下の[C1]、[C2]、[C3]を含む熱硬化性樹脂組成物
[C1]熱硬化性樹脂
[C2]コアシェルゴム粒子
[C3]前記[C1]熱硬化性樹脂に可溶な熱可塑性樹脂
または、少なくとも以下の[A]、[B2]、[C]を含んで構成されており、[B2]が[A]の炭素繊維束の側面に配置された形態を有するプリプレグ。
[A]2軸以上の炭素繊維織物
[B2]金属線
[C]少なくとも以下の[C1]、[C2]、[C3]を含む熱硬化性樹脂組成物
[C1]熱硬化性樹脂
[C2]コアシェルゴム粒子
[C3]前記[C1]熱硬化性樹脂に可溶な熱可塑性樹脂
および、前記のプリプレグを硬化させてなる炭素繊維強化複合材料である。
本発明のプリプレグおよび炭素繊維強化複合材料を構成する、前記[A]2軸以上の炭素繊維織物の好ましい態様は、[A]に用いられる炭素繊維が、ストランド引張試験において引張弾性率が270GPa以上である。また、好ましくは[A]が、該織物のたて方向およびよこ方向の二方向に炭素繊維束(糸条)が配列されてなるものである。
また、本発明のプリプレグおよび炭素繊維強化複合材料の好ましい態様は、前記[B1]金属線からなるメッシュまたは不織布を構成する金属線、または前記[B2]金属線の直径が50から200μmであるものである。また、本発明のプリプレグにおける前記[B]、すなわち[B1]金属線からなるメッシュまたは不織布、または[B2]金属線が、前記[A]2軸以上の炭素繊維織物100質量部に対し、5〜40質量部含まれていることが好ましい。
本発明のプリプレグおよび炭素繊維強化複合材料を構成する、前記[C]熱硬化性樹脂組成物の好ましい態様は、[C]を硬化させて得られる樹脂硬化物の弾性率が、2.5〜4.5GPaである。また、好ましくは[C]を硬化させて得られる樹脂硬化物のK1cが0.65〜1.5MPa・m1/2であるものである。また、[C]における[C1]熱硬化性樹脂成分がエポキシ樹脂を含有することが好ましく、より好ましくは、3官能以上のエポキシ樹脂を含有することである。
本発明によれば、面方向の導電性に加えて熱サイクルによる疲労耐性に優れ、かつ高い引張強度を発現する繊維強化複合材料、ならびにそれを得るために好適な2軸以上の炭素繊維織物プリプレグを得ることができる。また、本発明のプリプレグは取扱い性に優れる。かかるプリプレグを硬化させてなる繊維強化複合材料は、面方向の導電性が必要な構造に好適に用いることができる。加えて熱疲労に対し高い耐性を有し、かつ高い剛性、高い引張強度を発現するので、航空機、宇宙用途、自動車、船舶、風車等の構造材として好適に用いることができる。
[B]が[A]の片面に配置された状態の例を示す模式図である。 [B]が[A]の片面に配置された状態の別の例を示す模式図である。 [B]が[A]の両面に配置された状態の例を示す模式図である。 [B2]が[A]の炭素繊維束の側面に配置された形態を示す模式図である。
以下、本発明のプリプレグおよび繊維強化複合材料について詳細に説明する。
本発明のプリプレグにおける構成要素[A]は、2軸以上の炭素繊維織物であり、プリプレグを硬化させてなる繊維強化複合材料の強度を発現する上で必須である。2軸以上の炭素繊維織物とは、2方向以上に炭素繊維束(糸条)が配列されてなる織物である。炭素繊維束が2方向以上に配列されていることは、硬化させた繊維強化複合材料の異方性を低減するために、またプリプレグのドレープ性を高めて構造材の成型を容易にするためにも必要な要件である。炭素繊維束が2方向以上に配列されていることで、1方向材に比べてより少ない積層枚数で等方的な積層板を成型することができる。
本発明のプリプレグを硬化させてなる繊維強化複合材料がより高い剛性および引張強度を発現するために、[A]を構成する炭素繊維が、JIS R 7601(1986)に記載の方法によるストランド引張試験において引張弾性率が270GPa以上であることが好ましい。引張弾性率が270GPaより低いと、繊維強化複合材料としたときに十分な剛性および引張強度を発現できない場合がある。また、引張弾性率は400GPa以下であることがより好ましい。引張弾性率が400GPaを超えると炭素繊維の引張伸度が低下する傾向にあり、繊維強化複合材料としたときに十分な引張強度を発現できない場合がある。強度の観点からは、高い剛性および機械強度を有する複合材料が得られることから、前記のストランド引張試験におけるストランド引張強度が4.4〜6.5GPaの炭素繊維が好ましく用いられる。
ドレープ性の観点から、たて方向とよこ方向の2方向に炭素繊維が配列している2軸の織物が好ましい。より好ましくは、平織、綾織、繻子織の中から選ばれた織構造である。特に、平織は表裏の区別がなく用いることができるので、取扱いが容易である。綾織、繻子織は、繊維の交絡点を減らすことにより、マイクロクラックの発生しやすい樹脂リッチ部を減らすことができるため好ましい。
織物のカバーファクターとは、織物プリプレグとしたときに織糸の占める面積がプリプレグ全体の面積を占める割合のことを意味するが、このカバーファクターが小さいと、積層して硬化させたときにマイクロクラックの発生しやすい樹脂リッチ部が大きくなりやすい。また、カバーファクターが小さい場合、成形温度における樹脂の流動性によっては樹脂も繊維も存在しないボイドになってしまい、得られる繊維強化複合材料の剛性・強度を低下させることがある。また、カバーファクターが十分であることによって、樹脂をプリプレグ表面に保ちやすくなり、プリプレグのタックの経時変化を小さくすることが可能となる。以上を解決するために、[A]炭素繊維織物のカバーファクターの範囲は、90〜100%であることが好ましい。
[A]2軸以上の炭素繊維織物を構成する炭素繊維束は、プリプレグ作製時および成形時の樹脂含浸性や、プリプレグを硬化して得られる繊維強化複合材料の表面平滑性や強度の観点から、1つの繊維束のフィラメント数が2500〜30000本の範囲にあるものが好ましい。フィラメント数が少なすぎるとプリプレグの製造時に繊維が蛇行しやすく、結果、そのプリプレグを用いた繊維強化複合材料の強度低下につながることがある。
[A]2軸以上の炭素繊維織物の単位面積当たりの重量(織物目付)は、用途に応じて適宜選択されるが、プリプレグ製造時および硬化成形時の樹脂の含浸性や、製造時の織物の取扱い性、製造したプリプレグの取扱い性、ドレープ性の観点から、100〜320g/mの範囲のものが好ましく用いられる。ただし用途に応じてはこの限りではない。
本発明のプリプレグにおける構成要素[B]、すなわち[B1]金属線からなるメッシュまたは不織布、または[B2]金属線は、プリプレグを積層、硬化させて得られる繊維強化複合材料の面方向の電気伝導性を向上させるために必須の成分である。ここで、面方向の電気伝導性とは、炭素繊維織物の面に平行な方向の電気伝導性を指す。落雷等により繊維強化複合材料に電流が流れた場合に、その電流が金属線からなるメッシュや金属線を優先的に流れ、炭素繊維強化複合材料の面に沿って広い面積にわたって電流が拡散し、部材の別の場所へ電気を逃がしたり、大気中に放電したりすることで構造の損傷や燃料への引火等を防ぐことができる。
電流を効率的に拡散させる観点から、構成要素[B]、すなわち[B1]または[B2]の金属線の材質は、その電気抵抗率が炭素繊維より小さいことが好ましく、より好ましくは2分の1以下の材料である。なお、電気抵抗率は、例えば以下のように測定できる。金属線(メッシュや不織布の場合はそれを構成する金属線)や、炭素繊維の単糸または繊維束を5〜20個取り出し試験片とする。市販の抵抗計を用いて体積固有の電気抵抗値を測定し、試験片の長さと断面積を用いて電気抵抗率を算出する。用いた試験片の平均値を求め、その電気抵抗率とする。炭素繊維の電気抵抗率は、単糸を用いて測定してもよいし、繊維束の形態で評価してもよい。繊維束の形態で評価した場合は、試験片の長さと単糸の断面積、繊維束に含まれる単糸の本数を用いて固有の電気抵抗率を求めることができる。なお、より正確な電気抵抗値を評価するには四端子法により測定することが好ましいが、材料間の差を比較できれば、より簡便な二端子法で測定することもできる。取り出す短繊維の長さは、用いる抵抗計の測定範囲で測定可能な抵抗値が得られる長さが必要だが、評価の簡便性から1〜10cm程度で評価する。不織布やメッシュではより短い長さで評価することもできる。逆に言えば、試験片の長さに応じて適切な測定範囲の抵抗計を使用すればよい。市販されている四端子法による高性能な電気抵抗計としては、(株)三菱化学アナリテック製の、ロレスタGP MCP−T610型抵抗率計などがある。
炭素繊維を含む炭素材料の電気抵抗率は、金属と比べて構造の欠陥や含有する不純物に依存して変化する。炭素繊維の長軸方向やグラファイトの面方向の電気抵抗率は一般的には1×10−5〜1×10−3Ω・mの範囲であり、[B]の材質はこの範囲より抵抗値が小さいことが好ましい。
このような特徴を有する[B]、すなわち[B1]または[B2]の金属線の材質は、具体例としては金、銀、銅、青銅、黄銅、アルミニウム、ニッケル、スチール、ステンレススチール等が挙げられる。類似の電気的および熱的特徴を有する他の金属材料を用いることもできる。また、これらの材料から選ばれる複数の材料を組み合わせて使用することもできる。電気的および熱的特性に加え、価格、密度、比強度および比剛性、耐腐食性、熱膨張係数等の特性を考慮し、繊維強化複合材料の用途に応じて適当な材質を選ぶことができる。アルミニウムまたは他の類似の材料は、その密度が比較的小さく、導電性、熱特性に優れる。ステンレススチール等は、耐腐食性の改善のために用いることができる。銅および銅合金は、導電性と耐腐食性に優れ、かつ価格とのバランスがよく、好ましく用いられる。
前記[B1]金属線からなるメッシュまたは不織布を構成する金属線、または前記[B2]金属線の直径は、50から200μmであることが好ましい。直径が200μmを超えると、プリプレグに占める[B]の重量分率および体積分率が増加し、金属に代えて繊維強化複合材料を用いる上で十分な軽量化の効果が得られないだけでなく、炭素繊維で強化されていない部分が増加することで十分な強度、剛性を発現しなくなる可能性がある。また、直径が200μmを超える場合は樹脂リッチ部が増加してマイクロクラックがより発生しやすくなる可能性もある。50μm以上の導電性ワイヤーを用いた場合は、導電性ワイヤーがプリプレグの製造中に切れること抑制でき、取扱い性が向上するので好ましい。また、断面積が大きくなることで大きな電流を瞬時に拡散しやすくなる。[B1]導電性を有するメッシュまたは不織布を構成する導電性ワイヤー、または前記[B2]導電性を有するワイヤーの直径は、より好ましくは、70〜150μmの範囲であるが、用途や組み合わせる[A]炭素繊維織物の炭素繊維束の繊度(単位長さ当たりの炭素繊維束の重量)や織物目付等に応じて適宜設定することができる。
本発明のプリプレグにおける前記[B]、すなわち[B1]金属線からなるメッシュまたは不織布、または[B2]金属線が、前記[A]2軸以上の炭素繊維織物100質量部に対し、5〜40質量部含まれていることが好ましい。[B]が5質量部以上であることで、十分な電流拡散効果を得ることができる。40質量部より多い場合、プリプレグに占める[B]の重量分率および体積分率が増加し、金属に代えて繊維強化複合材料を用いる上で十分な軽量化の効果が得られない場合があり、また、炭素繊維で強化されていない部分が増加することで十分な強度・剛性を発現しなくなる可能性もある。
本発明は、[A]2軸以上の炭素繊維織物の片面または両面、ないし側面に[B]、すなわち[B1]金属線からなるメッシュまたは不織布、または[B2]金属線を配置させてプリプレグを作成する。[B]が[A]の片面に配置された構造としては、[A]2軸以上の炭素繊維織物の層の片側に[B]が配置された構造(図1)、[A]炭素繊維織物の層で[B]を挟んだ構造(図2)があげられる。[B]が[A]の両面に配置された構造としては、[B]で[A]炭素繊維織物の層を挟んだ構造(図3)があげられる。また、図4に示すように、[B2]金属線が、実質的に[A]を構成する炭素繊維束の真横に配置された構造をとっていても、本発明では同様に好ましく用いられる。このような構造を有する[A]と[B2]からなる基材として、例えば、特開2006−265769号公報に記載されているものを用いることができる。なお、図1〜4は、前述したそれぞれの配置について、面方向に垂直な断面が取りうる形態を3種または2種例示した模式図である。
なお、図1(a)〜(d)に示した形態は模式的なものであり、実際の構成においては[B]を構成する金属線は[A]炭素繊維織物に完全に接していても、部分的に接していても、接していなくてもよい。また、[B]を構成する金属線の断面は真円状に記載したが、本発明の効果を妨げなければ、真円以外の断面形状を有していてもよい。また、プリプレグの状態では、必ずしも[A]を構成する炭素繊維や[B]の間で生じる空間がマトリックス樹脂で埋められていなくてもよいが、硬化成形した繊維強化複合材料においては、十分な強度、環境疲労特性が発現するためには、[A]を構成する炭素繊維や[B]の間で生じる空間がマトリックス樹脂で十分に埋められていることが必要である。
本発明のプリプレグにおける構成要素[C]熱硬化性樹脂組成物は、繊維強化複合材料のマトリックス樹脂となる成分であり、またプリプレグを用いて構造体を成形する際に取扱い性、作業性を向上させるために必須の成分である。本発明のプリプレグにおける[C]は、少なくとも[C1]熱硬化性樹脂、[C2]コアシェルゴム粒子、[C3]前記[C1]熱硬化性樹脂に可溶な熱可塑性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物である。
[C3]が[C1]熱硬化性樹脂に可溶であることは、得られる炭素繊維強化複合材料の機械特性、マイクロクラック耐性、さらには耐溶剤性を向上させるために重要である。ここで説明される「[C1]熱硬化性樹脂に可溶」とは、[C3]熱可塑性樹脂を[C1]熱硬化性樹脂に混合したものを加熱、または加熱撹拌することによって、均一相をなす温度領域が存在することを指す。ここで、「均一相をなす」とは、少なくとも目視で分離のない状態が得られることを指す。ある温度領域で均一相をなすのであれば、その温度領域以外、例えば室温で分離が起こっても構わない。また、[C3]が[C1]に可溶であることは、次の方法でも評価することができる。すなわち、[C3]の粉末を[C1]または[C1]の主となる成分に混合し、[C3]の融点より低い温度で数時間、例えば2時間等温保持したときの粘度の変化を評価したときに実質的に粘度の変化が見られる場合、[C3]が[C1]に可溶であると判断してよい。このように[C3]が[C1]に可溶な性質を有していれば、樹脂を硬化させる過程で[C3]が相分離を起こしても構わないが、硬化させて得られる樹脂硬化物および炭素繊維複合材料の耐溶剤性を高める観点からは、硬化過程で相分離をしないことがより好ましい。また、得られる炭素繊維強化複合材料の機械特性、耐溶剤性等を向上させる観点から、[C3]をあらかじめ[C1]に溶解させて配合することがより好ましい。溶解させて混合することで、熱硬化性樹脂組成物中に均一に分散しやすくなる。
本発明のプリプレグにおける[C]に含まれる[C1]熱硬化性樹脂は、熱または光や電子線などの外部からのエネルギーにより硬化して、少なくとも部分的に三次元硬化物を形成する樹脂であれば特に限定されない。好ましい熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアネート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。中でも、低硬化収縮性、および樹脂硬化物の耐熱性、耐薬品性、機械特性および炭素繊維との接着性等の観点から、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
本発明において、エポキシ樹脂とは、分子中に一つ以上のエポキシ基を有する化合物である。分子中のエポキシ基が1個の場合1官能、2個の場合2官能、というように、分子中のエポキシ基の数がN個のエポキシ樹脂をN官能のエポキシ樹脂と呼ぶ。本発明におけるエポキシ樹脂としては、1官能以上であればよいが、耐熱性と弾性率を向上させる観点から、[C1]に含まれるエポキシ樹脂としては3官能以上のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
3官能以上のエポキシ樹脂において、官能基数は好ましくは3〜7であり、より好ましくは3〜5である。[C1]に含まれるエポキシ樹脂の官能基数がかかる好ましい範囲であれば、本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化させた後の樹脂硬化物の靭性の面から好ましい。
3官能以上のエポキシ樹脂としては、グリシジルアミン型エポキシ樹脂およびグリシジルエーテル型エポキシ樹脂から選択することが好ましい。3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン型、ジアミノジフェニルスルホン型、アミノフェノール型、メタキシレンジアミン型、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン型、イソシアヌレート型等のエポキシ樹脂が挙げられる。中でも、取り扱い性と、耐熱性や弾性率等の機械物性のバランスが良いことから、ジアミノジフェニルメタン型とアミノフェノール型のエポキシ樹脂が特に好ましく用いられる。
また、3官能以上のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、フェノールアラルキル型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、およびテトラフェニロールエタン型等のエポキシ樹脂、およびビナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。
上記以外のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビスアリールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、およびグリシジルアニリン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
グリシジルアニリン型エポキシ樹脂を配合することで、樹脂の粘弾性、流動性をコントロールし、また樹脂硬化物の弾性率や、繊維強化複合材料の引張強度など、機械特性を向上させる効果が得られる。グリシジルアニリン型エポキシ樹脂とは、ジグリシジルアニリン、モノグリシジルアニリン、およびそれらのベンゼン環の2、3、4、5、6位から選ばれる1つ以上の炭素に置換基を持つ誘導体群が挙げられる。置換基としては、アルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、メトキシ基などのアルキルエーテル基、フェノキシ基などのアリールエーテル基などが挙げられる。
1官能のエポキシ樹脂を上記の3官能以上のエポキシ樹脂、2官能のエポキシ樹脂と組み合わせて用いることにより、樹脂の粘弾性流動性や、樹脂硬化物の弾性率や靭性など機械特性のバランスに優れた樹脂組成物が得られる。1官能のエポキシ樹脂としては、グリシジルフタルイミド、グリシジルカルバゾール、フェニルグリシジルエーテル、フェニルフェニルグリシジルエーテル、ナフチルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
メタ位やオルト位が置換された芳香環を骨格に有するエポキシ樹脂を配合することで、樹脂硬化物の弾性率や、繊維強化複合材料の引張強度など、機械特性を向上させる効果が得られる。このようなメタ位やオルト位が置換された芳香環を骨格に有するエポキシ樹脂としては、m(メタ)−アミノフェノール型エポキシ樹脂や、2,2’型、2,4’型の結合を含むビスフェノールF型エポキシ樹脂等が挙げられる。
少なくとも1種の3官能以上のエポキシ樹脂と少なくとも1種の2官能のエポキシ樹脂とを配合することにより、樹脂の流動性と硬化後の耐熱性を兼ね備えることができる。また、樹脂硬化物の弾性率や、繊維強化複合材料に用いた場合の引張強度など、機械特性にも優れた樹脂組成物を得ることができる。
また、グリシジルアミン型エポキシ樹脂とグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を組み合わることにより、耐熱性および耐水性とプロセス性の両立が可能になる。また、常温で液状のエポキシ樹脂を少なくとも1種と、常温で固形状のエポキシ樹脂を少なくとも1種を配合することにより、プリプレグのタック性とドレープ性を適切にすることができる。
強化繊維との接着性と機械物性のバランスから、[C1]は少なくとも1種のグリシジルアミン型エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびレゾルシノール型エポキシ樹脂は、低粘度であるために、プリプレグの製造におけるプロセス性、プリプレグ取扱い性を適切にするため、他のエポキシ樹脂と組み合わせて使うことが好ましい。
また、固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂および固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂は、液状のビスフェノールA型およびビスフェノールF型エポキシ樹脂に比較し架橋密度の低い構造を与えるため耐熱性は低くなるが、より靭性の高い構造が得られるため、グリシジルアミン型エポキシ樹脂や液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂や液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂と組み合わせて好ましく用いられる。
ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂は、低吸水率かつ高耐熱性の硬化樹脂を与える。また、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂およびジフェニルフルオレン型エポキシ樹脂も、低吸水率の硬化樹脂を与えるため好適に用いられる。ウレタン変性エポキシ樹脂およびイソシアネート変性エポキシ樹脂は、破壊靱性と伸度の高い硬化樹脂を与える。
以下に、[C1]熱硬化性樹脂に含むことのできるエポキシ樹脂の市販品の例を挙げる。
ジアミノジフェニルメタン型のエポキシ樹脂の市販品としては、ELM434(住友化学(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY720、“アラルダイト(登録商標)”MY721、“アラルダイト(登録商標)”MY9512、“アラルダイト(登録商標)”MY9663(以上ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、および“エポトート(登録商標)”YH―434(東都化成(株)製)などが挙げられる。
メタキシレンジアミン型のエポキシ樹脂の市販品としては、TETRAD−X(三菱ガス化学(株)製)が挙げられる。
1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン型のエポキシ樹脂の市販品としては、TETRAD−C(三菱ガス化学(株)製)が挙げられる。
イソシアヌレート型のエポキシ樹脂の市販品としては、TEPIC−P(日産化学工業(株)製)が挙げられる。
アミノフェノール型のエポキシ樹脂の市販品としては、ELM120やELM100(以上、住友化学(株)製)、“jER(登録商標)”630(三菱化学(株)製)、および“アラルダイト(登録商標)”MY0600、“アラルダイト(登録商標)”MY0610“アラルダイト(登録商標)”MY0510(以上ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)などが挙げられる。
トリスヒドロキシフェニルメタン型のエポキシ樹脂の市販品としては、Tactix742(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)が挙げられる。
テトラフェニロールエタン型のエポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”1031S(三菱化学(株)製)が挙げられる。
ビナフタレン骨格を有する多官能エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”HP4700(DIC(株)製)などが挙げられる。
ナフタレン骨格を含有する多官能エポキシ樹脂の市販品としては、NC−7300(日本化薬(株)製)、“エポトート(登録商標)”ESN−175、“エポトート(登録商標)”ESN−375(以上東都化成(株)製)なども挙げられる。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”HP7200(DIC(株)製)などが挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、DEN431やDEN438(以上、ダウケミカル社製)および“jER(登録商標)”152(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
オルソクレゾールノボラック型のエポキシ樹脂の市販品としては、EOCN−1020(日本化薬(株)製)や“エピクロン(登録商標)”N−660(DIC(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“EPON(登録商標)”825(三菱化学(株)製)、“jER(登録商標)”828(三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”850(DIC(株)製)、“エポトート(登録商標)”YD―128(東都化成(株)製)、およびDER―331やDER−332(以上、ダウケミカル社製)などが挙げられる。
固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”1001、“jER(登録商標)”1002、“jER(登録商標)”1003、“jER(登録商標)”1004AF“jER(登録商標)”1055、“jER(登録商標)”1007、“jER(登録商標)”1009および“jER(登録商標)”1010(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”806、“jER(登録商標)”807および“jER(登録商標)”1750(以上、三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”830(DIC(株)製)および“エポトート(登録商標)”YD―170(東都化成(株)製)などが挙げられる。
固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”4002、 “jER(登録商標)”4004P、“jER(登録商標)”4005P、“jER(登録商標)”4007Pおよび“jER(登録商標)”4010P(以上、三菱化学(株)製)、“エポトート(登録商標)”YDF2001(東都化成(株)製)などが挙げられる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール(登録商標)”EX−201(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
ビフェニル型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”YX4000および“jER(登録商標)”YL6677(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。
ウレタン変性エポキシ樹脂の市販品としては、AER4152(旭化成エポキシ(株)製)などが挙げられる。
ヒダントイン型のエポキシ樹脂の市販品としては、AY238(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)が挙げられる。
ビスアリールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂の市販品としては、オグソールPG、オグソールPG−100、オグソールEG(以上、大阪ガスケミカル(株)製)等が挙げられる。
グリシジルアニリン型のエポキシ樹脂の市販品としては、GANやGOT(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
1官能のエポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール (登録商標) ”Ex−731(グリシジルフタルイミド)、“デナコール(登録商標)”Ex−141(フェニルグリシジルエーテル)、“デナコール(登録商標)”Ex−146(p−ターシャリブチルフェニルグリシジルエーテル)、“デナコール(登録商標)”Ex−147(ジブロモフェニルグリシジルエーテル)(以上、ナガセケムテックス(株)製)、およびOPP−G(o−フェニルフェニルグリシジルエーテル、三光(株)製)などが挙げられる。
本発明で用いられるエポキシ樹脂としては、前記以外にも、前述のエポキシ樹脂とその他の熱硬化性樹脂の共重合体、変性体およびこれらの2種類以上をブレンドした樹脂組成物なども用いることができる。
エポキシ樹脂と共重合させて用いられる上記の熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂およびポリイミド樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂と共重合させて用いられる上記の熱硬化性樹脂は、1種を用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂やエポキシ樹脂と熱硬化性樹脂を共重合させたもの、またエポキシ樹脂の変性体は、単独で用いてもよいし2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。複数のエポキシ樹脂を組み合わせて用いることで前述のとおり多様な特性を追加することができる。
本発明のプリプレグにおける構成要素[C]の熱硬化性樹脂組成物において、[C2]コアシェルゴム粒子は炭素繊維強化複合材料のマイクロクラック耐性を向上させるために必須の成分である。構成要素[C]の熱硬化性樹脂組成物に[C2]コアシェルゴム粒子を配合することは、2軸以上の織物プリプレグを経由する炭素繊維強化複合材料の機械特性(引張強度)の向上にも効果的である。ここでコアシェルゴム粒子とは、架橋ゴム等のポリマーを主成分とする粒子状のコア部分と、コア部分とは異なるポリマーをグラフト重合するなどの方法でコア表面の一部あるいは全体を被覆した粒子を意味する。
前記コアシェルゴム粒子のコア部分としては、共役ジエン系モノマー、アクリル酸エステル系モノマー、メタクリル酸エステル系モノマーより選ばれる1種または複数種から重合されたポリマー、またはシリコーン樹脂などを用いることができる。具体的には、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンが挙げることができ、これらを単独でもしくは複数種用いて構成される架橋したポリマーであることが好ましい。特に得られる重合体の性質が良好であり、重合が容易であることから、かかる共役ジエン系モノマーとしてブタジエンを用いること、すなわち、コア成分としてブタジエンを含むモノマーから重合されたポリマーであることが好ましい。本発明における炭素繊維強化複合材料の環境疲労特性すなわちマイクロクラック耐性を効果的に発現させるためには、[C]熱硬化性樹脂組成物に配合するコアシェルゴム粒子のコア部分のガラス転移温度Tgが−50℃以下であることがより好ましい。
コアシェルゴム粒子を構成するシェル成分は、前記したコア成分にグラフト重合されており、コア成分を構成するポリマー粒子と化学結合していることが好ましい。かかるシェル成分を構成する成分としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物等から選ばれた1種または複数種から重合された重合体である。また、該シェル成分には分散状態を安定化させるために、本発明の[C]熱硬化性樹脂組成物に含まれる成分、すなわち[C1]熱硬化性樹脂またはその硬化剤成分と反応する官能基が導入されていることが好ましい。このような官能基が導入されている場合、熱硬化性樹脂との親和性が向上し、また最終的には熱硬化性樹脂組成物と反応して硬化物に取り込まれることが可能であるため、良好な分散性が達成できる。この結果、少量の配合でも十分な靱性向上効果が得られ、Tg弾性率を維持しつつの靱性向上が可能となる。かかる官能基としては、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基が挙げられる。このような官能基をシェル部分に導入する方法としては、このような官能基を含むアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類等の一種類または複数の成分を、モノマーの一部成分としてコア表面にグラフト重合するなどの方法が挙げられる。
構成要素[C]に含まれる[C2]コアシェルゴム粒子は、体積平均粒子径が1000nmの範囲内にあることが好ましい。特に50〜300nmであることが好ましく、50〜150nmであることがより好ましい。なお、体積平均粒子径はナノトラック粒度分布測定装置(日機装(株)製、動的光散乱法)を用いて測定することができる。あるいは、マイクロトームで作成した硬化物の薄切片をTEM観察し、得られたTEM像から画像処理ソフトを用いて体積平均粒子径を測定することもできる。この場合、少なくとも100個以上の粒子の平均値を用いることが必要である。体積平均粒子径が50nm以上の場合、コアシェルゴム粒子の比表面積が適度に小さくエネルギー的に有利になるため凝集が起きにくく、靱性向上効果が高い。一方、体積平均粒子径が300nm以下の場合、コアシェルゴム粒子間の距離が適度に小さくなり、靱性向上効果が高い。
構成要素[C]に含まれる[C2]コアシェルゴム粒子の製造方法については特に制限はなく、周知の方法で製造されたものを使用できる。コアシェルゴム粒子の市販品としては、例えば、ブタジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合物からなる“パラロイド(登録商標)”EXL−2655(Rohm&Haas社製)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体からなる“スタフィロイド (登録商標)”AC−3355、TR−2122(ガンツ化成(株)製)、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合物からなる“パラロイド(PARALOID)(登録商標)”EXL−2611、EXL−3387(Rohm&Haas社製)等を使用することができる。また、スタフィロイドIM−601、IM−602(以上ガンツ化成(株)製)等の、ガラス転移温度が室温以上のガラス状ポリマーのコア層をTgの低いゴム状ポリマーの中間層で被い、さらにその周りをシェル層で被った、3層構造を有するコアシェルゴム粒子も使用することができる。通常、これらのコアシェルゴム粒子は塊状で取り出されたものを粉砕して粉体として取り扱われており、粉体状コアシェルゴムを再度熱硬化性樹脂組成物中に分散させることが多い。しかしながら、この方法では粒子を凝集のない状態、すなわち一次粒子の状態で安定に分散させることが難しいという問題がある。この問題に対して、コアシェルゴム粒子の製造過程から一度も塊状で取り出すことなく、最終的には熱硬化性樹脂の一成分、例えばエポキシ樹脂中に一次粒子で分散したマスターバッチの状態で取り扱うことができるものを用いることで、好ましい分散状態を得ることができる。このようなマスターバッチの状態で取り扱えるコアシェルゴム粒子としては、例えば、特開2004−315572号公報に記載の方法で製造することができる。この製造方法では、まず、コアシェルゴムを乳化重合、分散重合、懸濁重合に代表される水媒体中で重合する方法を用いてコアシェルゴム粒子が分散した懸濁液を得る。次に、かかる懸濁液に水と部分溶解性を示す有機溶媒、例えばアセトンやメチルエチルケトンなどのケトン系溶媒や、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒を混合後、水溶性電解質、例えば塩化ナトリウムや塩化カリウムを接触させ、有機溶媒層と水層を相分離させ、水層を分離除去して得られたコアシェルゴム粒子が分散した有機溶媒を得る。その後、エポキシ樹脂を混合した後、有機溶媒を蒸発除去し、コアシェルゴム粒子がエポキシ樹脂中に一次粒子の状態で分散したマスターバッチを得る。かかる方法で製造されたコアシェルゴム粒子分散エポキシマスターバッチとしては、(株)カネカから市販されている“カネエース(登録商標)”を用いることができる。
構成要素[C]中の[C2]コアシェルゴム粒子の含有割合(質量部)は、[C]全熱硬化性樹脂組成物100質量部のうち、1〜12質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。含有量を1質量部以上とした場合、さらに高破壊靱性の硬化物が得られ、含有量を12質量部以下とした場合、さらに高弾性率の硬化物が得られる。[C]熱硬化性樹脂組成物中の[C2]コアシェルゴム粒子の分散性という観点では、含有量10質量部以下が好ましい。
[C]中に[C2]コアシェルゴム粒子を混合する方法としては、一般に用いられる分散方法を用いることが出来る。例えば三本ロール、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、ホモジナイザー、自転・公転ミキサーなどを用いる方法があげられる。また、前述のコアシェルゴム粒子分散エポキシマスターバッチを混合する方法も好ましく用いることが出来る。ただし、一次粒子の状態で分散していても、必要以上の加熱や粘度の低下によって再凝集が起こることがある。したがって、コアシェルゴム粒子の分散・配合、および分散後に他成分と混合・混練する場合は、コアシェルゴム粒子の再凝集が起こらない温度・粘度の範囲で行うことが好ましい。具体的には、組成物により異なるが、例えば、150℃以上の温度で混練した場合、組成物の粘度が下がり凝集が起こる可能性があるので、それより低い温度で混練することが好ましい。ただし、硬化プロセス中で150℃以上に達する場合については、昇温時にゲル化が伴って再凝集が妨げられるから、150℃を超えることが出来る。
本発明のプリプレグにおける[C]熱硬化性樹脂組成物は、炭素繊維強化複合材料マイクロクラック耐性をより高め、かつ機械特性、特に引張強度を向上させるため、[C3]前記[C1]熱硬化性樹脂に可溶な熱可塑性樹脂を含むことが必須である。前述の通り、[C3]が[C1]熱硬化性樹脂に可溶であることは、得られる炭素繊維強化複合材料の機械特性、マイクロクラック耐性、さらには耐溶剤性を向上させるために重要である。熱硬化性樹脂に可溶な熱可塑性樹脂を配合することで、プリプレグにおけるマトリックス樹脂の粘弾性をコントロールし、プリプレグの取扱い性を向上させる効果もある。
このような熱可塑性樹脂としては、一般に、主鎖に、炭素−炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、チオエーテル結合、スルホン結合およびカルボニル結合からなる群から選ばれた結合を有する熱可塑性樹脂であることが好ましいが、部分的に架橋構造を有していても差し支えない。また、これらの熱可塑性樹脂は、結晶性を有していても非晶性であってもよい。より具体的には、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリビニルホルマール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリエーテルニトリルおよびポリベンズイミダゾール等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
樹脂硬化物の耐熱性や靱性、および未硬化の樹脂の粘度制御の面から、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミドが好ましく用いられる。ポリエーテルスルホンの市販品としては、“スミカエクセル(登録商標)”PES3600P、PES5003P、PES5200P、PES7600P(以上、住友化学(株)製)、“Ultrason(登録商標)”E2020P、E6020P(以上 BASFplastics製)などが挙げられる。ポリエーテルイミドの市販品としては、“Ultem(登録商標)”1000、“Ultem(登録商標)”1010、“Ultem(登録商標)”1040(以上、SABICイノベーティブプラスチックス(株)製)などが挙げられる。
これらの[C3]熱可塑性樹脂成分を[C]熱硬化性樹脂組成物に配合する方法としては、例えば、熱硬化性樹脂組成物の硬化時に[C1]に溶解するように微細な粉末として混合することも可能であるが、樹脂硬化物または繊維強化複合材料としたときの耐溶剤性をより高める観点から、前述の通り、[C1]熱硬化性樹脂成分に溶解させて配合することが好ましい。溶解させて混合することによって、熱硬化性樹脂組成物中に熱可塑性樹脂が均一に分布しやすくなり、硬化させて得られる樹脂硬化物中の耐溶剤性の向上や、得られる炭素繊維強化複合材料の引張強度特性に効果を発現する。[C3]を[C1]に溶解させる方法としては、混合物を加熱撹拌する方法の他、熱可塑性樹脂をアセトン、メチルエチルケトン、トルエン等の熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の両方と親和性のある溶媒、すなわち共通溶媒に溶解し、それを[C1]の熱硬化性樹脂に混合して均一としたのちに加熱、減圧等の方法を用いて溶媒を留去する方法などが挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、本発明で用いられる熱硬化性樹脂との親和性の観点から、[C1]熱硬化性樹脂またはその硬化剤成分と反応し得る官能基を末端または分子鎖中に有することが好ましい。[C1]熱硬化性樹脂またはその硬化剤成分と反応し得る官能基を有することで、硬化中に分離、析出して不均一となることを防ぎやすくなり、前述の通り、耐溶剤性をより高めることができる。
本発明の[C]熱硬化性樹脂組成物中の[C3]熱可塑性樹脂の含有割合(質量部)は、[C]熱硬化性樹脂組成物の合計100質量部のうち、好ましくは熱可塑性樹脂の含有割合が2〜40質量部であり、より好ましくは2〜25質量部の範囲である。[C3]熱可塑性樹脂の含有量が多すぎる場合、樹脂組成物の粘度が上昇し、樹脂組成物およびプリプレグの製造プロセス性や取り扱い性を損ねることがあったり、[C2]コアシェルゴム粒子が[C]熱硬化性樹脂組成物中に良好に分散せず、マイクロクラックを十分に抑制できない場合がある。[C2]コアシェルゴム粒子が[C]熱硬化性樹脂組成物中に、さらに良好に分散させるためには、[C3]熱可塑性樹脂の含有割合(質量部)は、[C]熱硬化性樹脂組成物の合計100質量部のうち、好ましくは熱可塑性樹脂の含有割合が2〜15質量部であり、より好ましくは2〜8質量部の範囲である。[C2]コアシェルゴム粒子が[C]熱硬化性樹脂組成物中に、さらに良好に分散すると、[C3]熱可塑性樹脂の含有割合が少量でありながら、高いマイクロクラック耐性を発現することができる。
本発明の[C]熱硬化性樹脂組成物中の[C2]コアシェルゴム粒子の含有割合(質量部)と[C3]熱可塑性樹脂の含有割合(質量部)との比は、[C]熱硬化性樹脂組成物中の[C2]コアシェルゴム粒子の分散性という観点から、好ましくは0.2:1〜5:1の範囲であり、さらに好ましくは0.3:1〜5:1の範囲であり、特に好ましくは1:1〜5:1の範囲である。[C2]コアシェルゴム粒子の含有割合と[C3]熱可塑性樹脂の含有割合との比を上記範囲に制御することで、[C]熱硬化性樹脂組成物中の[C3]熱可塑性樹脂の含有割合と[C2]コアシェルゴム粒子の含有割合が適正化され、[C2]コアシェルゴム粒子の分散性をより向上させることができる。特に、[C]熱硬化性樹脂組成物100質量部のうち[C2]コアシェルゴム粒子の含有割合が1〜10質量部の範囲、かつ、[C3]熱可塑性樹脂の含有割合(質量部)が2〜8質量部の範囲の中で、上記含有割合の比とすることが、よりいっそう分散性の観点から好ましい。結果、得られる繊維強化複合材料は、高いマイクロクラック耐性と高い引張強度の発現を高度に両立することが可能となる。
本発明のプリプレグにおける[C]熱硬化性樹脂組成物は、含有する[C1]熱硬化性樹脂を熱または光や電子線などの外部からのエネルギーによって硬化させるために、硬化剤成分または硬化触媒成分を含むことができる。使用する熱硬化性樹脂の種類や用途、使用環境に応じて、熱硬化性樹脂の種類と硬化剤または硬化触媒を適宜選択することができるが、前述の通り、低硬化収縮性、硬化物の耐熱性、耐薬品性、機械特性および炭素繊維との接着性の観点から、[C1]熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂が好ましく用いられ、したがって、硬化剤成分としてはエポキシ樹脂硬化剤またはエポキシ樹脂の硬化触媒が好ましく用いられる。
本発明において用いられるエポキシ樹脂硬化剤は、前記のエポキシ樹脂の硬化剤であり、エポキシ基と反応し得る活性基を有する化合物である。エポキシ樹脂硬化剤は樹脂組成物を硬化させた際に架橋密度を適切にし、十分な剛性と耐熱性を与える。硬化剤としては、エポキシ基との反応性を有する官能基を有するものであれば特に限定されないが、より具体的には、例えば、ジシアンジアミド、芳香族ポリアミン、アミノ安息香酸エステル類、各種酸無水物、フェノール化合物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリフェノール化合物、イミダゾール誘導体、脂肪族アミン、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリメルカプタンおよび三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体などが挙げられる。
エポキシ樹脂硬化剤が芳香族ポリアミン芳香族ポリアミンである場合、耐熱性の良好なエポキシ樹脂硬化物が得られるので好ましい。また、エポキシ樹脂硬化剤が酸無水物である場合、アミン化合物硬化に比べ吸水率の低い硬化物を与えるので、これも好ましい。
芳香族ポリアミンの具体例としては、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミンやそれらの各種誘導体および位置異性体が挙げられる。芳香族ポリアミン硬化剤の市販品としては、例えば、“セイカキュア(登録商標)”S(和歌山精化工業(株)製)、MDA−220(三井化学(株)製)、“jERキュア(登録商標)”W(三菱化学(株)製)、3,3’−DAS(三井化学(株)製)、“Lonza Cure(登録商標)”M−DIPA(Lonza(株)製)、および“Lonza Cure(登録商標)”M−MIPA(Lonza(株)製)などが挙げられる。
酸無水物硬化剤の具体例としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルジヒドロ無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、シクロペンタンテトラカルボン酸ジアンヒドリド、無水ナジック酸、メチル無水ナジック酸、ビシクロ(2.2.2)オクト−7−2,3,5,6−テトラカルボン酸ジアンヒドリドなどが挙げられる。メチルテトラヒドロ無水フタル酸の市販品としては、“リカシッド(登録商標)”MT500(新日本理化(株)製)があげられる。ヘキサヒドロ無水フタル酸の市販品としては、“リカシッド(登録商標)”HH(新日本理化(株)製),HHPA(丸善石油化学(株)製)が挙げられる。メチルヘキサヒドロ無水フタル酸の市販品としては、“EPICLON(登録商標)” B−570、“EPICLON(登録商標)” B−650(以上DIC(株)製)などが挙げられる。ヘキサヒドロ無水フタル酸とメチルヘキサヒドロフタル酸の混合物の市販品としては、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸:ヘキサヒドロ無水フタル酸=70:30で配合された“リカシッド(登録商標)”MH700(新日本理化(株)製)が挙げられる。無水メチルナジック酸の市販品としては、“カヤハード(登録商標)”MCD (日本化薬(株)製)が挙げられる。トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸の市販品としては、“jERキュア(登録商標)”YH−306(三菱化学(株)製)が挙げられる。
本発明で用いられるエポキシ樹脂硬化剤としては、前記以外にも、これらの硬化剤を潜在化したもの、例えば、アミンアダクトやマイクロカプセル化したものを用いることもできる。このような潜在化させた硬化剤を使用した場合、プリプレグの保存安定性、特にタック性やドレープ性が室温放置しても変化しにくいので、例えば長期の積層時間を有する大型の構造体の製造にも適したものが得られる。
これらのエポキシ樹脂硬化剤およびそれらを潜在化した硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。前記のポリアミンや酸無水物等と共に、前記のポリアミンのアミノ基を一部アルキル化またはアリール化した2級アミンや、ジフェニルフェニレンジアミンのような2級アミン、また、アニリン誘導体やアミノビフェニル、アミノアントラキノン、フェニルフェノール等の各種の環構造を有するアミノ化合物、フェノール類を組み合わせて用いることによって、繊維強化複合材料の引張強度等の機械特性や、樹脂硬化物の弾性率、靭性を効果的に向上できることがある。また、用途、目的に応じて、硬化触媒となる化合物を組み合わせて用いてもよい。
樹脂硬化物および繊維強化複合材料としたときに良好な耐熱性、機械特性を発現させるために、融点が50℃以上の、常温で固体の芳香族アミン化合物を硬化剤成分として含むことが好ましい。中でも、ジアミノジフェニルスルホンの各種誘導体、ジアミノジフェニルメタンの各種誘導体が好ましく用いられる。融点が50℃以上の固体の芳香族アミン化合物を用いる場合、微粉末で用いることが好ましく、形状は球状、不定形でも問題はないが、その平均粒径が0.5〜100μmであることが好ましい。0.5μm以下であると、粉末をエポキシ樹脂に混練した際にエポキシ樹脂に溶解し、硬化プロセスの前に徐々に反応が進むことで最終的な複合材料における物性を低下させることがある。また、室温での保管や積層中にも反応が進行してプリプレグのタックやドレープ性を損なうことがある。一方で、100μm以上であると、硬化プロセスで加温しても溶け残ることがあり、その部分が複合材料中の欠陥になることがある。
本発明のプリプレグにおける[C]熱硬化性樹脂組成物は、硬化させて得られる樹脂硬化物の弾性率が2.5〜4.5GPaであることが好ましい。より好ましくは、2.9GPa〜4.5GPaである。弾性率が2.5GPaより小さい場合は、繊維強化複合材料の圧縮強度が低下することがある。曲げ弾性率が4.5GPaを超える場合は繊維強化複合材料としたときに温度変化によって発生する残留熱応力が大きくなり、炭素繊維とマトリックス樹脂の界面剥離が発生し、結果としてマイクロクラックを十分に抑制できない場合がある。
また、マトリックス樹脂には、熱サイクルによる熱ひずみや界面剥離などを起点とするマイクロクラックを抑制し、かつマイクロクラックが発生した場合にその進展を防ぐため、その破壊靭性値が高いことが求められる。具体的には、硬化させて得られる樹脂硬化物の開口モードでの応力拡大係数K1cが0.65〜1.5MPa・m1/2であることが好ましい。K1cが0.65MPa・m1/2を下回る場合、熱サイクルによるマイクロクラックの発生を十分に抑えることができない場合がある。また、1.5MPa・m1/2を超える場合は、弾性率の低下を伴うことがある。
なお、本発明において熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂硬化物とは、硬化温度120〜200℃の範囲において、硬化時間1〜12時間の範囲で硬化させたものであると良い。硬化時の樹脂の温度がこの温度範囲に収まるよう、昇温時間や除熱の方法を適切に設定して硬化させることが必要となる。なお、得られた硬化物の硬化度が80%を超えていることが望ましい。ここで、硬化度とは、硬化物および未硬化の樹脂組成物の発熱量を、不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/分にて、示差走査熱量分析で評価し、100℃〜300℃に現れるピークの面積を樹脂組成物のそれぞれの硬化発熱量として算出し、{(未硬化樹脂組成物の発熱量)―(硬化物の発熱量)}/(未硬化樹脂組成物の発熱量)×100%の式にしたがって計算される値である。硬化度が80%を超えている場合の樹脂硬化物の発熱量としては、未硬化の樹脂の発熱量によって異なるが、3官能以上のアミン型エポキシ樹脂を含有する場合、硬化物の発熱量(残存発熱量と表現することもある)が70J/g以下であることが目安となる。
また、本発明のプリプレグにおける[C]熱硬化性樹脂組成物には、未硬化樹脂の粘弾性や樹脂硬化物の靱性などを改良するため、前述のコアシェルゴム粒子や熱可塑性樹脂以外にも、本発明の効果を妨げない範囲で各種の改質剤を添加することができる。具体的には、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子等の有機粒子を配合することができる。
熱可塑性樹脂粒子としては、ポリアミド粒子やポリイミド粒子が好ましく用いられる。ポリアミド粒子の市販品として、“アミラン(登録商標)”SP−500、SP−10、TR−1、TR−2、842P−48、842P−80(以上東レ(株)製)、“オルガソール(登録商標)”1002D、2001UD,2001EXD、2002D、3202D,3501D,3502D、(以上アルケマ社製)等を使用することができる。粒子の形状は、用途や目的に応じて、真球状、不定形など適当な形態を用いることができる。また、これらの熱可塑性樹脂粒子の中には、硬化の過程でマトリックス樹脂成分に溶解しないことで、より高い改質効果を発現するものがある。硬化の過程で溶解しないことは、硬化時の樹脂の流動性を保ち含浸性を向上させることにも効果的である。
本発明では、熱可塑性樹脂粒子等の有機粒子は、得られる樹脂硬化物の弾性率と靱性を両立させる点から、全エポキシ樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜30質量部配合することが好ましく、より好ましくは1〜15質量部配合することができる。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、カップリング剤や、熱硬化性樹脂粒子、あるいはシリカゲル、カーボンブラック、クレイ、カーボンナノチューブ、金属粉体といった無機粒子、無機フィラー等を配合することができる。
本発明に用いられる[C]熱硬化性樹脂組成物の製造方法としては、コアシェルゴム粒子、熱可塑性樹脂粒子等の粒子成分およびエポキシ樹脂の硬化剤・硬化触媒以外の構成成分を140〜170℃程度の温度で加熱混練して熱可塑性樹脂を溶解させ均一にしたのち、次いで110℃以下まで冷却してコアシェルゴム粒子もしくはコアシェルゴム粒子が均一に分散したマスターバッチを加えて均一に加熱混練し、次いで80℃程度の温度まで冷却した後に、熱可塑性樹脂粒子等の粒子成分や、硬化剤または硬化触媒成分を加えて混練することが好ましい。コアシェルゴム粒子の分散・配合、および分散後に硬化剤等の他成分と混合・混練する場合は、コアシェルゴム粒子の再凝集が起こらない温度・粘度の範囲で行うことが好ましい。具体的には組成物により異なるが、例えば、150℃以上の温度で混練した場合、組成物の粘度が下がり凝集が起こる可能性があるので、それより低い温度で混練することが好ましいが、硬化プロセス中で150℃以上に達する場合については、昇温時にゲル化が伴って再凝集が妨げられるから、この限りではない。また、[C3]熱可塑性樹脂を[C1]に溶解させる方法としては、前記のように加熱溶解させる方法の他にも、熱可塑性樹脂をアセトン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶媒に溶解したものを[C1]の熱硬化性樹脂に混合して均一としたのちに溶媒を留去する方法なども用いることが出来る。ただし、各成分の配合方法は特にこれらの方法に限定されるものではない。
本発明に用いられる[C]熱硬化性樹脂組成物の混練方法は、一般的に熱硬化性樹脂組成物の調製に使用されるどのような方法でもよい。例えば、ニーダーやプラネタリーミキサー、三本ロールなどが用いられる。
[A]2軸以上の炭素繊維織物と[B][B1]金属線からなるメッシュまたは不織布、または[B2]金属線を、[C]熱硬化性樹脂組成物と組み合わせて本発明のプリプレグを製造する方法としては、[A]と[B]をあらかじめ重ねて組み合わせた基材に[C]を含浸させる方法のほか、[A]に[C]の熱硬化性樹脂組成物を含浸させたものに[B]を貼り付ける方法や、[A]に[C]の熱硬化性樹脂組成物を含浸させたもので[B]を挟み、加圧・加温して製造する方法等を用いることができる。また、[B]にあらかじめ[C]の熱硬化性樹脂組成物を含浸させてシート状にしたものを[A]の炭素繊維織物に貼り付ける方法等も用いることができる。ドラムワインディング法などを用いて、[B]に適当な張力をかけながら、[A]や[A]に[C]を含浸させたもの、または[C]をフィルム状にしたものに貼り付けることで、[B][B1]金属線からなるメッシュまたは不織布、または[B2]金属線に蛇行や配列の乱れのないものを得ることができ、特に[B]として[B2]導電性を有するワイヤーを用いる場合に有効である。
[A]2軸以上の炭素繊維織物と[B2]金属線を[C]コアシェルゴム粒子を含有する熱硬化性樹脂組成物と組み合わせて、本発明の[B2]が[A]の炭素繊維束の側面に配置された形態を有するプリプレグを製造する方法としては、[A]2軸以上の炭素繊維織物と[B2]金属線を組み合わせた基材(例えば特開2006−265769に記載の基材)にエポキシ樹脂を含浸させる方法等を用いることができる。
本発明のプリプレグにおいて、[A]2軸以上の炭素繊維織物や[B][B1]金属線からなるメッシュまたは不織布、または[B2]金属線、また、[A]と[B]からなる基材に、[C]の熱硬化性樹脂組成物を含浸させる方法としては、[C]をメチルエチルケトンやメタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し、強化繊維基材に含浸させるウェット法と、[C]を加熱により低粘度化し、強化繊維基材に含浸させるホットメルト法等を好適に用いることができる。
ウェット法は、強化繊維を熱硬化性樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発せしめ、プリプレグを得る方法である。
ホットメルト法は、加熱により低粘度化した熱硬化性樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法、または熱硬化性樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングした樹脂フィルムを作製しておき、次に強化繊維の両側または片側からその樹脂フィルムを重ね、加熱加圧することにより熱硬化性樹脂組成物を転写含浸せしめ、プリプレグを得る方法である。このホットメルト法では、プリプレグ中に残留する溶媒が実質的に皆無となるため、好ましい方法である。樹脂のフィルムを作製する温度としては、樹脂の粘弾性によるが、室温〜100℃程度の温度が好適である。このフィルムを作製する温度において、樹脂の粘度の変化が小さいことが安定した厚みのフィルムを作製する観点から好ましい。例えば、動的粘弾性装置を用いてフィルムを作製する温度で2時間定温測定をした複素粘弾性率η*の変化が、変化しないか、増粘しても2倍以下であることが好ましい。逆に言えば増粘しても2倍以下となる温度でフィルムを作製するべきである。
樹脂フィルムの目付けとしては、目的とする用途により異なるが、15〜200g/mである。フィルムの目付けが15g/m未満であると、技術的に安定した目付けを得ることが困難である。また、200g/m以上であると、加圧加熱して転写含浸する際に、強化繊維からはみ出すことがあり、安定したものが作れなくなる場合がある。
また、本発明のプリプレグは、[A]2軸以上の炭素繊維織物や[B][B1]金属線からなるメッシュまたは不織布、または[B2]金属線、もしくは[A]2軸以上の炭素繊維織物と[B2]金属線からなる基材に、[C]熱硬化性樹脂組成物が完全に含浸していても、含浸していない部分を有してもよい(以下、部分含浸と記述することもある)。含浸していない部分を有することで、成形時のボイドの抑制に効果的となる場合がある。
また、本発明の繊維強化複合材料は、このような方法により製造された単独または複数のプリプレグを積層後、得られた積層体に熱および圧力を付与しながらエポキシ樹脂を加熱硬化させる方法等により製造することができる。
熱および圧力を付与する方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法および内圧成形法等が使用される。特に航空機部材の成形にはオートクレーブ成形法、スポーツ用品の成形には、ラッピングテープ法と内圧成形法が好ましく用いられる。
本発明のプリプレグを、オートクレーブを用いて成形する場合の条件は、プリプレグの粘弾性や積層枚数、大きさ等、また硬化後の繊維強化複合材料のTgに応じて適宜設定されるが、絶対圧で圧力0.1〜1MPa、硬化温度120〜200℃の範囲が好ましく用いられる。特に圧力0.3〜0.7MPa、硬化温度170〜190℃の範囲がより好ましく用いられる。室温から硬化温度まで温度を上げる際には、硬化温度まで一定の昇温速度で上げても良いし、途中の温度で一定時間保持し、その後、硬化温度まで上げても良い(以下、このような段階的な昇温方法による硬化成形法をステップキュアと記述することもある)。大型の構造体を成形する場合、一定の速度で昇温設定しても大型のオートクレーブ内では昇温ムラが発生したり、また、昇温時に構造体内部に蓄熱して過熱による硬化物の予期せぬ物性の変化や暴走反応が起こったり、また樹脂の流動時間が構造体の大きさに対して不十分となって樹脂の繊維への含浸不良が発生したりする可能性がある。このような問題点を解決するため、前述のようなステップキュアが効果的に用いられることがある。樹脂の繊維への含浸性を向上させるために、前述のような部分含浸したプリプレグを用いることも出来る。成形時の圧力が低すぎる場合、成形後の繊維強化複合材料にボイドが多数発生し、マイクロクラックの起点となる可能性があるので、用いるプリプレグに応じて適切な条件を設定することが好ましい。また、オートクレーブ成形に用いる資材は、適用する成形条件に耐えられる資材を適切に選択する必要がある。
ラッピングテープ法は、マンドレル等の芯金にプリプレグを捲回して、繊維強化複合材料製の管状体を成形する方法であり、ゴルフシャフトや釣り竿等の棒状体を作製する際に好適な方法である。より具体的には、マンドレルにプリプレグを捲回し、プリプレグの固定および圧力付与のため、プリプレグの外側に熱可塑性樹脂フィルムからなるラッピングテープを捲回し、オーブン中でエポキシ樹脂を加熱硬化させた後、芯金を抜き去って管状体を得る方法である。
また、内圧成形法は、熱可塑性樹脂製のチューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォームを金型中にセットし、次いでその内圧付与体に高圧の気体を導入して圧力を付与すると同時に金型を加熱せしめ、管状体を成形する方法である。この内圧成形法は、ゴルフシャフト、バット、およびテニスやバトミントン等のラケットのような複雑な形状物を成形する際に、特に好ましく用いられる。
本発明の炭素繊維強化複合材料は、面に直交する方向で切った断面に[B]の金属線からなるメッシュ、不織布、または金属線が現れる。本発明の炭素繊維強化複合材料を[B]の金属線からなるメッシュ、不織布、または金属線が端面に現れるように加工し、その端面を金属部材や導電性ペースト、金属ファスナー等と接触させることにより、炭素繊維強化複合材料に電流が発生した場合に効率よく系外に拡散させることが出来る。本発明の炭素繊維強化複合材料を、例えば航空機の胴体や翼、自動車の車体等の表面に用い、端面を金属ファスナーや金属板等と接触させた場合、落雷などによって流れる電流は構造体の表層を通って接する金属部分から構造体外に拡散されるので、航空機胴体内の客室や翼内の燃料、また自動車の車内に電流が流れることを防ぐことが出来る。
本発明の繊維強化複合材料は、航空機構造部材、風車の羽根、自動車外板、ICトレイやノートパソコンの筐体(ハウジング)などのコンピュータ用途、建築材料、さらにはゴルフシャフトやテニスラケットなどスポーツ用途に好ましく用いることができる。輸送機や屋外の構造材等の、落雷や温度変化等の自然環境にさらされる用途において特に好ましく用いることができる。
以下、実施例によって、本発明のプリプレグと繊維強化複合材料について、より具体的に説明する。実施例で用いた樹脂原料、プリプレグおよび繊維強化複合材料の作製方法、樹脂硬化物の弾性率および破壊靭性評価方法(K1c評価方法)、繊維強化複合材料の引張強度および圧縮強度の評価方法、マイクロクラック耐性の評価方法を、次に示す。実施例の各種評価およびプリプレグの作製環境は、特に断りのない限り、温度25℃±2℃、相対湿度50%の雰囲気で行ったものである。
(1)実施例に用いた[A]炭素繊維織物、[B]金属線からなるメッシュ、および[C]熱硬化性樹脂の原料
<炭素繊維織物>([A])
次の炭素繊維を縦糸と横糸の両方に用い、炭素繊維目付(1平方メートルあたりの重量)が196±5g/mの平織としたもの。
東レ(株)製ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維: 6,000フィラメント、繊度223tex、引張強度5.5GPa、引張弾性率294GPa。
<金属線からなるメッシュ>([B])
次の金属線を、目付が28g/mの格子状に配置したもの。
三重線工業(株)製リン青銅線、規格JIS H−3270、線径0.1mm。
<エポキシ樹脂>([C1]熱硬化性樹脂)
・ELM434(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、エポキシ当量:120、住友化学(株)製)(3官能以上のエポキシ樹脂)
・“アラルダイト(登録商標)”MY721(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、エポキシ当量:113、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社(以下ハンツマン社と記す)製)
・“アラルダイト(登録商標)”MY0600(トリグリシジル−m−アミノフェノール、エポキシ当量:118、ハンツマン社製)(3官能以上のエポキシ樹脂)
・“エピクロン(登録商標)”830(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:172、DIC(株)製)
・GAN(N,N−ジグリシジルアニリン、エポキシ当量:125、日本化薬(株)製)
・GOT(N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、エポキシ当量:135、日本化薬(株)製)
・OPP−G(o−フェニルフェニルグリシジルエーテル、エポキシ当量:226、三光(株)製)。
<コアシェルゴム粒子>([C2]が[C1]の一部の成分に分散したマスターバッチ)
・“カネエース(登録商標)”MX416(ハンツマン社製テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(“アラルダイト(登録商標)”MY721):75質量%/コアシェルゴム粒子(体積平均粒子径:100nm、コア部分:架橋ポリブタジエン[Tg:−70℃]、シェル部分:メタクリル酸メチル/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合ポリマー):25質量%のマスターバッチ、エポキシ当量:150、(株)カネカ製)
・“カネエース(登録商標)”MX136(ハンツマン社製ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“アラルダイト(登録商標)”GY285):75質量%/コアシェルゴム粒子(体積平均粒子径:100nm、コア部分:架橋ポリブタジエン[Tg:−70℃]、シェル部分:メタクリル酸メチル/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合ポリマー):25質量%のマスターバッチ、エポキシ当量:220、(株)カネカ製)。
<反応性の末端を有する固形ゴム>([C1]の一部の成分に分散したマスターバッチ)
・“HyPox(登録商標)”RA95(ビスフェノールA型エポキシ樹脂:93〜95質量%/エラストマー変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(カルボキシル末端アクリロニトリルブタジエン共重合体とビスフェノールA型エポキシ樹脂の付加物):5〜7質量%のマスターバッチ、エポキシ当量:202、CVC Thermoset Specialties社製)。
<熱硬化性樹脂に可溶な熱可塑性樹脂>([C3])
・“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P(ポリエーテルスルホン、住友化学(株)製)
・“Ultem(登録商標)”1010(ポリエーテルイミド、SABICイノベーティブプラスチックス(株)製))
<硬化剤>
・“セイカキュア(登録商標)”−S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、融点177℃、和歌山精化工業(株)製)
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、融点172℃、三井化学ファイン(株)製)。
<熱可塑性樹脂粒子>
・“アミラン(登録商標)”SP−500(ナイロン12を主体とするポリアミド微粒子、東レ(株)製)、平均粒子径5μm。
・“オルガソール(登録商標)”1002DNAT1(ナイロン6微粒子、アルケマ社製)、平均粒子径20μm
・粒子A(エムザベルケ(株)社製“グリルアミド(登録商標)”TR―55を原料として作製した、平均粒子径18.0μmの粒子)
(粒子Aの製造方法)
4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタンを必須構成成分として含有するポリアミド(エムザベルケ(株)製“グリルアミド(登録商標)”TR−55)94重量部、エポキシ樹脂(三菱化学(株)製“jER(登録商標)”828)4重量部および硬化剤(富士化成工業(株)製“トーマイド(登録商標)”#296)2重量部を、クロロホルム300重量部とメタノール100重量部の混合溶媒中に添加して均一溶液を得た。次に該溶液を塗装用のスプレーガンを用いて霧状にして、よく撹拌した3000重量部のn−ヘキサンの液面に向かって吹き付けて溶質を析出させた。析出した固体を濾別し、n−ヘキサンでよく洗浄した後、100℃24時間の真空乾燥を行い、さらにふるいを用いて粒子径の小さい成分と大きい成分をそれぞれ取り除き、比較的粒子径分布の揃った透明ポリアミドの粒子を得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて、観察したところ、平均粒子径 18.0μmのポリアミド微粒子であった。
・粒子B(“トロガミド(登録商標)”CX7323を原料として作製した、平均粒子径13μmの粒子)
(粒子Bの製造方法:国際公開2009/142231号パンフレットを参考とした。)
1000mlの耐圧ガラスオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)ハイパーグラスターTEM−V1000N)の中に、ポリマーAとしてポリアミド(重量平均分子量 17,000、デグザ社製 “TROGAMID(登録商標)”CX7323)を35g、有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン 287g、ポリマーBとしてポリビニルアルコール 28g(日本合成化学工業(株)製 “ゴーセノール(登録商標)”GM−14 重量平均分子量 29,000、酢酸ナトリウム含量0.23質量%、SP値32.8(J/cm1/2)を加え、99体積%以上の窒素置換を行った後、180℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで2時間攪拌を行った。その後、貧溶媒として350gのイオン交換水を、送液ポンプを経由して、2.92g/分のスピードで滴下した。約200gのイオン交換水を加えた時点で、系が白色に変化した。全量の水を入れ終わった後、攪拌したまま降温させ、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水 700gを加えてリスラリー洗浄し、濾別したものを、80℃ 10時間真空乾燥を行い、灰色に着色した固体を34g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、平均粒子径 13μmのポリアミド微粒子であった。
・粒子C(“グリルアミド(登録商標)”TR90を原料として作製した、平均粒子径15.3μmの粒子)
(粒子Cの製造方法:国際公開2009/142231号パンフレットを参考とした。)
100mlの4口フラスコの中に、ポリマーAとして非晶ポリアミド(重量平均分子量 12,300、エムザベルケ社製 “グリルアミド(登録商標)” TR90)2.1g、有機溶媒としてギ酸(和光純薬工業(株)製)25.8g、ポリマーBとしてポリビニルアルコール2.1g(日本合成化学工業(株) “ゴーセノール(登録商標)”GM−14 重量平均分子量 22,000、SP値32.8(J/cm1/2)を加え、80℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで攪拌を行った。系の温度を40℃に下げた後に、900rpmで攪拌をしながら、貧溶媒として60gのイオン交換水を、送液ポンプを経由し、0.05g/分のスピードで滴下を開始した。徐々に滴下速度を上げながら滴下し、全量を90分かけて滴下した。10gのイオン交換水を入れた時に系が白色に変化した。半分量のイオン交換水を滴下した時点で系の温度を60℃まで昇温させ、引き続き、残りのイオン交換水を入れ、全量滴下した後に、引き続き30分間攪拌した。室温に戻した懸濁液を、ろ過し、イオン交換水50gで洗浄し、80℃ 10時間真空乾燥を行い、白色固体を2.0g得た。得られた粉体を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、平均粒子径 15.3μmのポリアミド微粒子であった。
樹脂粒子の平均粒子径は、写真から任意の100個の粒子直径を測長し、その算術平均を求めることにより算出した。ここでいう平均粒子径は、数平均粒子径を指す。樹脂粒子の個々の粒子径は、走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製走査型電子顕微鏡JSM−6301NF)にて、微粒子を1000倍で観察し、測長した。尚、粒子が真円でない場合は、長径をその粒子径として測定した。
なお、本実施例で用いた熱可塑性樹脂PES5003Pが[C1]熱硬化性樹脂に可溶であることは、以下のように判定した。すなわち、前記ELM434([C1]の1つ)100質量部と前記PES5003P 5質量部を混合したものについて、動的粘弾性測定装置(TAインスツルメンツ社製ARES)を用い、直径40mmのパラレルプレートを使用し、周波数0.5Hz、パラレルプレート間1mmの条件で100℃2時間の粘度変化を測定した。このとき、2時間で粘度が40%増加した。ELM434のみの100℃2時間の粘度変化を同様に測定すると5%以下の粘度変化であった。これらの結果から、PES5003Pを混合したものが100℃2時間で実質的に粘度が変化、すなわちPES5003Pが熱硬化性樹脂ELM434に可溶な性質を持つと判定した。なお、ポリエーテルスルホンの融点は約400℃、ガラス転移温度は約190℃である。同様に、ポリエーテルイミドについても熱硬化性樹脂ELM434に可溶な性質を持つと判定した。なお、ポリエーテルイミドのガラス転移温度は、約215℃である。また、後述する樹脂組成物の調製過程でも均一に溶解することを確認した。
(2)熱硬化性樹脂組成物の調製
[実施例1〜20]
エポキシ樹脂、熱硬化性樹脂に可溶な熱可塑性樹脂を150℃で加熱混合し均一に溶解させた後、110℃まで冷却し、コアシェルゴム粒子のマスターバッチを加えて混練した。これを80℃以下に冷却した後、熱可塑性樹脂粒子を加えて混練し、次いで硬化剤を加え混練して、表1、2に示す組成のエポキシ樹脂組成物を調製した。なお、表1、2中の樹脂組成の値は、質量部を示す。
[比較例1]
エポキシ樹脂を110℃で均一に混練した後、コアシェルゴム粒子のマスターバッチを加えて混練した。これを80℃以下に冷却した後、次いで硬化剤を加え混練して、表3に示す組成のエポキシ樹脂組成物を調製した。なお、表3中の樹脂組成の値は、質量部を示す。
[比較例2〜4]
エポキシ樹脂、熱硬化性樹脂に可溶な熱可塑性樹脂(比較例2,3)、HyPox RA95(比較例4)を150℃で加熱混合し均一に溶解させた後、80℃以下に冷却し、有機粒子を加えて混練し(比較例2,3)、次いで硬化剤を加え混練して、表3に示す組成のエポキシ樹脂組成物を調製した。なお、表3中の樹脂組成の値は、質量部を示す。
(3)樹脂硬化物の曲げ弾性率測定方法
(2)の方法で調整した樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中で180℃の温度で2時間硬化させ、厚さ2mmの樹脂硬化物を得た。これから幅10mm、長さ55mmの試験片を切り出し、インストロン万能試験機を用い、スパン長を32mm、クロスヘッドスピードを2.5mm/分とし、JIS K7171(1999)に従って3点曲げを実施し、曲げ弾性率を得た。サンプル数n=5とし、その平均値で比較した。
(4)樹脂硬化物の破壊靭性試験(K1c評価)方法
(2)の方法で調整した樹脂組成物を真空中で脱泡した後、6mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み6mmになるように設定したモールド中で180℃の温度で2時間硬化させ、厚さ6mmの樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物を12.7×150mmでカットし、試験片を得た。インストロン万能試験機を用い、ASTM D5045に従って試験片を加工・実験をおこなった。試験片への初期の与亀裂の導入は、液体窒素温度まで冷やした剃刀の刃を試験片にあてハンマーで剃刀に衝撃を加えることで行った。ここでいう樹脂硬化物の破壊靱性とは、変形モード1(開口型)の臨界応力強度により評価するものである。
(5)プリプレグの作成方法
(2)の方法で調整した樹脂組成物をナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。[A]炭素繊維織物の片面に[B]導電性を有するメッシュを配置して組み合わせ、その両面から樹脂フィルムを重ねて加熱加圧により樹脂を含浸させ、[A]と[B]と熱硬化性樹脂組成物からなるプリプレグを作製した。同様に、[A]炭素繊維織物の両面から樹脂フィルムを重ねて加熱加圧により樹脂を含浸させ、[A]と熱硬化性樹脂組成物からなるプリプレグを作製した。これらのプリプレグの樹脂含有量は、[A]炭素繊維織物とマトリックス樹脂である熱硬化性樹脂組成物の重量の合計を100質量%としたときに、マトリックス樹脂の質量分率が40質量%となるように作成した。
(6)繊維強化複合材料の縦糸方向の圧縮強度試験
(5)の方法で作成したプリプレグを150×150mmの大きさにカットして、縦糸方向に14層積層した。これを真空バッグし、オートクレーブを用いて温度180℃、圧力0.61Paで2時間硬化させ試験用材料を得た。同様にしてつくった繊維強化複合材料([B]の導電性メッシュは含有しないもの)を45×150mmの大きさに4枚カットしタブを作成した、このタブを130℃硬化用の接着フィルムを用いて、片面に2枚ずつ両側で同じ位置にタブ間が4.77mmになるように試験用材料に張り合わせ、温度130℃、圧力3気圧で1時間加熱し接着フィルムを硬化させた。この試験用材料をJIS K7076(1991)に従い切断し、試験片を作成した。インストロン万能試験機を用いてクロスヘッドスピード1.27mm/分で試験片の縦糸方向の圧縮強度を測定した。
(7)繊維強化複合材料の縦糸方向の引張強度試験
(5)の方法で作成したプリプレグを所定の大きさにカットし、縦糸方向に14枚積層した後、真空バッグをおこない、オートクレーブを用いて、温度180℃、圧力6気圧で2時間硬化させ、繊維強化複合材料を得た。この一方向強化材を幅25.4mm、長さ230mmでカットし、中央が12.7mmのダンベル形状に加工し、試験片を得た。インストロン万能試験機を用いて、クロスヘッドスピード1.27mm/分で試験片の縦糸方向の引張強度を測定した。
(8)繊維強化複合材料のマイクロクラック耐性の評価方法
(5)の方法で作成したプリプレグを所定の大きさにカットし、炭素繊維織物の縦糸方向を0°と規定し、[±45/0/±45/90°]を基本として2回繰り返したものを対称に積層した(計16枚積層)。これを真空バッグし、オートクレーブを用いて温度180℃、圧力6気圧で2時間硬化させ繊維強化複合材料の板を得た。
得られた繊維強化複合材料の板を、75mm×50mmの寸法にダイヤモンドカッターで切断し、試験片を得た。試験片を市販の恒温恒湿槽と環境試験機を用いて以下a、b、cの手順に示すような環境条件にさらした。
a.市販の恒温恒湿槽を用い49℃、相対湿度95%の環境に12時間暴露する。
b.暴露後に、市販の環境試験機に移し、まず−54℃の環境下に1時間暴露する。その後71℃まで10℃±2℃/分の昇温速度で71℃まで昇温させる。昇温後71℃で5分±1分保持した後、10℃±2℃/分で−54℃まで降温させ、−54℃で5分±1分保持する。この−54℃から71℃まで昇温しまた−54℃まで降温させるサイクルを1サイクルと定義し、このサイクルを200回繰り返す。
c.上記の恒温恒湿槽での環境暴露および環境試験機でのサイクルをあわせて1ブロックと定義し、5ブロック繰り返す。
上記の環境暴露を行った試験片の縦方向の中央から±10mmの領域から幅25mmを切り出し、切り出し面を観察面として研磨し、市販の顕微鏡を用いて200倍の倍率で観察面を観察し、発生しているクラックの数を計測した。
上記の試験片の切り出しは、ダイヤモンドカッターを用いて、毎分23cmの速度で行った(なお、毎分50cm以上の速度で加工を実施した場合に、試験片とダイヤモンドカッターとの間に大きな摩擦振動が発生し、試験片が摩擦負荷によってクラックが発生することがあるので、ここでは毎分23cmの速度を採用した)。
実施例1〜20は、炭素繊維織物のみおよび導電性を有するメッシュを含む繊維強化複合材料のいずれにおいても良好なマイクロクラック耐性を有した。また、優れた圧縮強度、引張強度を発現した。
一方、比較例1は、熱硬化性樹脂に可溶な熱可塑性樹脂を含有していない例であり、炭素繊維のみの繊維強化複合材料では良好なマイクロクラック耐性を示したが、導電性を有するメッシュを含む繊維強化複合材料においてはややマイクロクラック耐性に劣った。また、圧縮強度は良好であったが、引張強度に劣った。
比較例2,3は、コアシェルゴム粒子を含有しない系であり、マイクロクラック耐性に劣った。加えて、繊維強化複合材料の機械特性(引張強度)も十分に発現しなかった。
比較例4は、コアシェルゴム粒子の変わりに固形ゴム成分を配合した系である。マイクロクラック耐性はコアシェルゴム粒子を配合した実施例と同様に良好に発現したが、樹脂硬化物の曲げ弾性率がやや低く、また繊維強化複合材料の機械特性(引張強度)を十分に発現しなかった。
(a)[B1]金属線からなるメッシュ、不織布を構成する金属線、または[B2]金属線(繊維の長手方向を模式的に表したもの)
(b)[B1]金属線からなるメッシュ、不織布を構成する金属線、または[B2]金属線(繊維断面を模式的に表したもの)
(c)[A]炭素繊維織物の層
(d)[A]炭素繊維織物を構成する炭素繊維束

Claims (19)

  1. 少なくとも以下の[A]、[B]、[C]を含んで構成されており、[B]が[A]の片面または両面に配置されてなるプリプレグ。
    [A]2軸以上の炭素繊維織物
    [B][B1]金属線からなるメッシュまたは不織布、および[B2]金属線から選ばれる少なくとも1種[C]少なくとも以下の[C1]、[C2]、[C3]を含む熱硬化性樹脂組成物
    [C1]熱硬化性樹脂
    [C2]コアシェルゴム粒子
    [C3]前記[C1]熱硬化性樹脂に可溶な熱可塑性樹脂
  2. 少なくとも以下の[A]、[B2]、[C]を含んで構成されており、[B2]が[A]の炭素繊維束の側面に配置された形態を有するプリプレグ。
    [A]2軸以上の炭素繊維織物
    [B2]金属線
    [C]少なくとも以下の[C1]、[C2]、[C3]を含む熱硬化性樹脂組成物
    [C1]熱硬化性樹脂
    [C2]コアシェルゴム粒子
    [C3]前記[C1]熱硬化性樹脂に可溶な熱可塑性樹脂
  3. 前記[A]2軸以上の炭素繊維織物に用いられる炭素繊維が、ストランド引張試験において引張弾性率が270GPa以上である炭素繊維である、請求項1または2に記載のプリプレグ。
  4. 前記[A]2軸以上の炭素繊維織物が、該織物のたて方向およびよこ方向の2方向に炭素繊維束(糸条)が配列されたものである、請求項1から3のいずれかに記載のプリプレグ。
  5. 前記[A]2軸以上の炭素繊維織物が、平織、綾織、繻子織のいずれかから選ばれた形態である、請求項1から4のいずれかに記載のプリプレグ。
  6. 前記[A]2軸以上の炭素繊維織物のカバーファクターが90〜100%の範囲である、請求項1から5のいずれかに記載のプリプレグ。
  7. 前記[B1]金属線からなるメッシュまたは不織布を構成する金属線、または[B2]金属線の直径が50から200μmである、請求項1から6のいずれかに記載のプリプレグ。
  8. [B1]金属線からなるメッシュまたは不織布、または[B2]金属線が、前記[A]2軸以上の炭素繊維織物100質量部に対し、5〜40質量部含まれている、請求項1から7のいずれかに記載のプリプレグ。
  9. 前記[C]熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂硬化物の弾性率が、2.5〜4.5GPaである、請求項1から8のいずれかに記載のプリプレグ。
  10. 前記[C]熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂硬化物のK1cが0.65〜1.5MPa・m1/2である、請求項1から9のいずれかに記載のプリプレグ。
  11. 前記[C]熱硬化性樹脂組成物における[C1]熱硬化性樹脂が、少なくとも1種のエポキシ樹脂を含む、請求項1から10のいずれかに記載のプリプレグ。
  12. 前記[C]熱硬化性樹脂組成物における[C1]熱硬化性樹脂が、少なくとも1種の3官能以上のエポキシ樹脂を含む、請求項11に記載のプリプレグ。
  13. 前記[C]熱硬化性樹脂組成物が、融点50℃以上の芳香族アミン硬化剤を含む、請求項1から12のいずれかに記載のプリプレグ。
  14. 前記[C]熱硬化性樹脂組成物100質量部中に、[C3]熱可塑性樹脂が2〜25質量部含まれている、請求項1から13のいずれかに記載のプリプレグ。
  15. 前記[C]熱硬化性樹脂組成物100質量部中に、[C2]コアシェルゴム粒子が1〜12質量部含まれている、請求項1から14のいずれかに記載のプリプレグ。
  16. [C2]コアシェルゴム粒子の含有割合(質量部)と[C3]熱可塑性樹脂の含有割合(質量部)との比が、0.2:1〜5:1の範囲である、請求項1から15のいずれかに記載のプリプレグ。
  17. 前記[C]熱硬化性樹脂組成物100質量部中に、[C2]コアシェルゴム粒子の配合割合が1〜10質量部、[C3]熱可塑性樹脂の配合割合が2〜8質量部含まれており、かつ、[C2]コアシェルゴム粒子の含有割合(質量部)と[C3]熱可塑性樹脂の含有割合(質量部)との比が、0.2:1〜5:1の範囲である、請求項1から16のいずれかに記載のプリプレグ。
  18. 請求項1から17のいずれかに記載のプリプレグを硬化させてなる繊維強化複合材料。
  19. 少なくとも前記[A]、[B]、[C]を用いて得られるプリプレグの製造方法であって、前記[C3]を[C1]に溶解させる工程を含む、請求項1から17のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
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