JP2009227907A - エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた繊維強化複合材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】低粘度であるために含浸性に優れ、かつ硬化物が高い破壊靭性値と曲げ弾性率とを有するエポキシ樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、エポキシ当量200g/eq以下のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリンおよび/またはジグリシジルオルソトルイジン、25℃で液状の芳香族ポリアミン、粒径が0.1μm以下のコアシェルゴムを含み、70℃での粘度が1〜120mPa・sであって、該エポキシ樹脂組成物を、130℃で2時間加熱した後に180℃で2時間加熱して硬化させた厚さ6mmの硬化物の破壊靭性値が150J/m以上であるエポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維強化複合材料に好適に用いられるエポキシ樹脂組成物、およびそれを用いて得られる繊維強化複合材料に関する。
強化繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化複合材料(以下、FRPと略すことがある)は、強化繊維とマトリックス樹脂の利点を活かした材料設計ができるため、航空宇宙分野をはじめ、スポーツ分野、自動車分野、一般産業分野等に広く用途が拡大されている。
強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ボロン繊維等が用いられる。マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも用いられるが、強化繊維への含浸が容易な熱硬化性樹脂が用いられることが多い。かかる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂等が用いられる。そして、FRPの製造には、プリプレグ法、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法、RTM(Resin Transfer Molding)法等の方法が適用される。
この中でも、型内に配置した強化繊維基材に液状の熱硬化性樹脂組成物を注入し、加熱硬化する方法であるRTM法は、複雑な形状を有するFRPを成形できるという大きな利点を有する。
RTM法に適用可能であり、低粘度と硬化物の高い曲げ弾性率とを有するエポキシ樹脂組成物として、室温で液体であるエポキシ樹脂、室温で液体である芳香族ジアミン、ジアミノジフェニルスルホンからなるエポキシ樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、このエポキシ樹脂組成物を硬化させた硬化物の破壊靭性値は低く、特に高い破壊靭性値が要求される航空機用途のマトリックス樹脂としては不十分であった。
また、ゴム成分を配合することによって高い破壊靭性値を有し、かつ低粘度であるエポキシ樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2)。しかしながら、十分に高い破壊靭性値を得るためにゴム成分を配合した場合、マトリックス樹脂の曲げ弾性率が低下し、ひいてはFRPの圧縮強度が低下する問題があった。
従って、従来の技術では低粘度かつ高弾性率であるが破壊靭性値が小さいエポキシ樹脂組成物、もしくは破壊靭性値は大きいものの曲げ弾性率が小さいエポキシ樹脂組成物のいずれかしか知られていなかった。
国際公開第03/40206号パンフレット 国際公開第01/42330号パンフレット
以上のような現状を鑑み、本発明の課題は、低粘度であるために含浸性に優れ、かつ硬化物が高い破壊靭性値と曲げ弾性率とを有するエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
すなわち、本発明は、少なくとも下記構成要素(A)〜(E)を含み、70℃での粘度が1〜120mPa・sであって、該エポキシ樹脂組成物を、130℃で2時間加熱した後に180℃で2時間加熱して硬化させた厚さ6mmの硬化物の破壊靭性値が150J/m以上であるエポキシ樹脂組成物である。
構成要素(A):3官能以上の芳香族エポキシ樹脂
構成要素(B):エポキシ当量200g/eq以下のビスフェノールF型エポキシ樹脂
構成要素(C):ジグリシジルアニリンおよび/またはジグリシジルオルソトルイジン
構成要素(D):25℃で液状の芳香族ポリアミン
構成要素(E):明細書中に定義された方法で測定された粒径が0.1μm以下のコアシェルゴム。
また、本発明は、該エポキシ樹脂組成物を用いて得られた繊維強化複合材料である。
本発明のエポキシ樹脂組成物によれば、RTM法に適した低粘度を保ちつつ、かつその硬化物が高い破壊靭性値と曲げ弾性率を有するので、当該エポキシ樹脂組成物と強化繊維を用いて得られる繊維強化複合材料は、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材および船舶部材などの構造部材に好適に使用することができる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態について説明する。なお、本発明において、「エポキシ樹脂」とは1分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を言う。また、ポリマー化ないしは硬化反応に必要な要素が混合されたものを「エポキシ樹脂組成物」、ポリマー化ないしは硬化反応がなされたものを「エポキシ樹脂硬化物」(以下、単に「樹脂硬化物」、「硬化物」、もしくは「エポキシ樹脂組成物の硬化物」と称することもある。)と定義する。また、「ポリアミン」とは、分子内に複数のアミン性窒素原子を有し、かつ複数の活性水素を有する化合物を意味する。また、「活性水素」とは、アミン性窒素原子に結合した水素原子をいう。
本発明における構成要素(A)は3官能以上の芳香族エポキシ樹脂である。3官能以上の芳香族エポキシ樹脂は、硬化物の架橋密度を向上させ、高いガラス転移温度と弾性率を有する硬化物を得ることができる。
構成要素(A)の好ましい配合量は、全エポキシ樹脂中の30〜70質量%、より好ましくは40〜60質量%である。構成要素(A)の配合量がこの範囲内であると、エポキシ樹脂硬化物、ひいてはFRPが高いガラス転移温度と弾性率を有し、特に航空機用途のマトリックス樹脂として十分な特性を有するためである。構成要素(A)の配合量が全エポキシ樹脂中の30質量%未満であると、ガラス転移温度が低下することがある。一方、構成要素(A)の配合量が全エポキシ樹脂中の70質量%を越えると、エポキシ樹脂組成物の粘度が増大して強化繊維への含浸性が低下することや、樹脂硬化物の破壊靭性値が低下することがある。
3官能以上の芳香族エポキシ樹脂(構成要素(A))の例としては、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノクレゾール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン等が挙げられる。
本発明における構成要素(B)は、エポキシ当量200g/eq以下のビスフェノールF型エポキシ樹脂である。エポキシ当量が200g/eq以下であるビスフェノールF型エポキシ樹脂は低粘度であるため、エポキシ樹脂組成物としての粘度を低減し、強化繊維への含浸性が優れる。また、得られる硬化物の曲げ弾性率を向上することができる。
構成要素(B)の好ましい配合量は、全エポキシ樹脂中の10〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%である。構成要素(B)の配合量がこの範囲内であるとエポキシ樹脂組成物が低粘度となり、また得られる樹脂硬化物の曲げ弾性率を向上することができる。構成要素(B)の配合量が全エポキシ樹脂中の10質量%未満であると、エポキシ樹脂組成物が高粘度であり、樹脂硬化物の曲げ弾性率が低下することがある。一方、構成要素(B)の配合量が50質量%を越えると樹脂硬化物のガラス転移温度が低下することがある。
本発明における構成要素(C)は、ジグリシジルアニリンおよび/またはジグリシジルオルソトルイジンである。ジグリシジルアニリンおよびジグリシジルオルソトルイジンは2官能エポキシ樹脂であるが、それ自体の粘度が低いものの、得られる樹脂硬化物のガラス転移温度や曲げ弾性率が高いという特徴を有する。したがって、ジグリシジルアニリンおよび/またはジグリシジルオルソトルイジンをエポキシ樹脂組成物の構成要素とすることにより、樹脂組成物が低粘度でありながら、硬化物が高いガラス転移温度と曲げ弾性率を有することができる。構成要素(C)の好ましい配合量は、全エポキシ樹脂中の10〜40質量%、より好ましくは20〜30質量%である。
本発明における構成要素(D)は室温、すなわち25℃で液状の芳香族ポリアミンである。室温で液状の芳香族ポリアミンをエポキシ樹脂組成物の構成要素とすることにより、樹脂組成物の粘度が低くなり、含浸性に優位となるばかりでなく、樹脂硬化物が高いガラス転移温度と曲げ弾性率となる。室温で液状の芳香族ポリアミンの例としては、ジエチルトルエンジアミン(2,4−ジエチル−6−メチル−m−フェニレンジアミンと4,6−ジエチル−2−メチル−m−フェニレンジアミンを主成分とする混合物)、ビス(メチルチオ)トルエンジアミン、2,2’−ジイソプロピル−6,6’−ジメチル−4,4’−メチレンジアニリン、2,2’,6,6’−テトライソプロピル−4,4’−メチレンジアニリン、2,2’−ジエチル−4,4’−メチレンジアニリン、ポリオキシテトラメチレンビス(p−アミノベンゾエート)を挙げることができる。これらのうちでは、低粘度でガラス転移温度などの硬化物の物性も優れる、ジエチルトルエンジアミンが最も好ましい。なお、室温で液状であるとは、その温度を室温、すなわち25℃に保持したとき、外部から力が加わると流動する状態を有することを意味する。
なお、本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる構成要素(D)は、室温で液体である単一成分を用いても、混合物を用いてもよい。混合物の成分には室温で固体の芳香族ポリアミンを含んでも良いが、混合物が室温、すなわち25℃で液体である必要がある。
本発明における構成要素(E)は粒径が0.1μm以下のコアシェルゴムである。なお、コアシェルゴムの粒径は次のようにして測定する。エポキシ樹脂組成物を130℃×2時間+180℃×2h加熱硬化して、厚み2mmの樹脂硬化物を得る。次いで、得られた硬化物の一部を切り出し、酸化オスミウムでコアシェルゴムを染色処理した後に薄片を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて倍率4万倍にて観察を行い、任意に選んだ10個のコアシェルゴムの直径を平均する。粒径が0.1μm以下のコアシェルゴムの具体例としてはカネエースMX−416(カネカ製)が挙げられる。かかるコアシェルゴムをエポキシ樹脂組成物の構成要素とすることにより、樹脂硬化物の高い破壊靭性値と曲げ弾性率とを両立することができる。一方、粒径が0.1μmよりも大きいと、コアシェルゴムの配合量を増やすに伴って樹脂硬化物の曲げ弾性率が低下することがある。
本発明において、構成要素(E)の配合量は全エポキシ樹脂100質量%に対し、5〜10質量%であることが好ましい。構成要素(E)の配合量がこの範囲内であると、エポキシ樹脂組成物が低粘度であり、かつ得られる樹脂硬化物が高い曲げ弾性率と破壊靭性値とを両立することができる。なお、構成要素(E)の配合量が5質量%未満であると十分な破壊靭性値が得られないことがあり、一方、10質量%を越えると、エポキシ樹脂組成物の粘度が増加して、強化繊維への含浸性に劣るばかりでなく、得られる樹脂硬化物の曲げ弾性率が低下することがある。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、コアシェルゴムを配合する方法としては、コアシェルゴム単体で市販されているものをエポキシ樹脂に混合することもできるが、予めエポキシ樹脂中にコアシェルゴム粒子が分散された状態で市販されているものを用いる方が、コアシェルゴムの凝集を防ぐことができるため好ましい。
本発明において、エポキシ樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率は3.1GPa以上であることが好ましく、より好ましくは3.3GPa以上である。曲げ弾性率がこの要件を満たすとFRPの圧縮強度を高くすることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、70℃での粘度が1〜120mPa・s以下である必要がある。粘度がこの範囲内であると強化繊維への含浸が容易となり、大型の部材が未含浸部なく成形できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を、130℃で2時間加熱した後に180℃で2時間加熱して得られた厚さ6mmの硬化物の破壊靭性値は150J/m以上である必要がある。かかる硬化物の破壊靭性値が150J/mであると、FRPの曲げ疲労特性や冷湿熱特性に優れる。なお、樹脂硬化物の破壊靭性値はASTM D5045−99に準拠して求める。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、比較的低い温度、具体的には100℃〜140℃から選ばれる温度でプリキュアできる性質を有することが好ましい。しかし、さらに短時間あるいは低温のプリキュア条件を適用しようとすると、何らかの硬化促進剤の配合が必要になる。
ポリアミンを硬化剤とするエポキシ樹脂組成物の硬化促進剤には酸型と塩基型があるが、芳香族ポリアミンを硬化剤とする場合は、イミダゾール誘導体や尿素誘導体などの塩基型促進剤は有効ではなく、酸型の硬化促進剤が有効である。
硬化促進剤は、プリキュア時間の短縮あるいは、プリキュア温度の低下の効果を有するだけでは不十分であり、注入温度における十分なポットライフ、具体的には短時間で粘度上昇やゲル化が起こらないことも同時に満たす必要がある。
具体的には、本発明のエポキシ樹脂組成物が硬化促進剤を含む場合、70℃での1時間放置したときの粘度が初期粘度の4倍以下であることが好ましく、130℃で2時間硬化して得られる硬化物のガラス転移温度が120℃以上であることが好ましい。
このような目的に適した酸型の硬化促進剤としては、強酸アルキルエステル、オニウム塩、ルイス酸アミン錯体、ポリフェノールを挙ることができる。
好ましい強酸アルキルエステルとしては、p-トルエンスルホン酸メチル、p-トルエンスルホン酸プロピルを挙げることができる。好ましいオニウム塩としては、p-アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、p−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、p−アセトキシフェニルジベンジルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェートを挙げることができる。好ましいルイス酸アミン錯体としてはBFピペリジン錯体を挙げることができる。好ましいポリフェノールとしては、カテコールの置換基誘導体、具体的には4-tert-ブチルカテコールや没食子酸プロピルを挙げることができる。
次に、本発明に係るエポキシ樹脂組成物と強化繊維とを用いて得られる、本発明の繊維強化複合材料の一例について説明する。
本発明のFRPにおいて、強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ボロン繊維等が好適に用いられる。中でも、軽量でありながら、強度や弾性率等の力学物性が優れるFRPが得られるという理由から、炭素繊維が好適に用いられる。
強化繊維は、短繊維、連続繊維いずれであってもよく、両者を併用してもよい。高い繊維体積含有率(以下、Vfと略すことがある)のFRPを得るためには、連続繊維が好ましい。
本発明のFRPでは、強化繊維はストランドの形態で用いられることもあるが、強化繊維をマット、織物、ニット、ブレイド、一方向シート等の形態に加工した強化繊維基材が好適に用いられる。中でも、高VfのFRPが得やすく、かつ取扱い性に優れた織物が好適に用いられる。
本発明のFRPは、加温した前記エポキシ樹脂組成物を、特定温度に加熱した成形型内に配置した強化繊維基材に注入し、含浸させ、該成形型内で硬化することにより製造されることが好ましい。
成形型は、剛体からなるクローズドモールドを用いてもよく、剛体のオープンモールドと可撓性のフィルム(バッグ)を用いる方法も可能である。後者の場合、強化繊維基材は剛体オープンモールドと可撓性フィルムの間に設置する。
剛体からなる成形型の材料としては、金属(スチール、アルミニウム、INVARなど)、FRP、木材、石膏など既存の各種のものが用いられる。また、可撓性のフィルムの材料としては、ナイロン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などが用いられる。
剛体からなるクローズドモールドを用いる場合は、加圧して型締めし、エポキシ樹脂組成物を加圧して注入することが通常行われる。このとき、注入口とは別に吸引口を設け、真空ポンプなどの手段により吸引することも可能である。吸引を行い、特別な加圧手段を用いず、大気圧のみでエポキシ樹脂を注入することも可能である。
剛体のオープンモールドと可撓性フィルムを用いる場合は、通常、吸引口を設け真空ポンプなどの手段により吸引し、大気圧による注入を用いるVaRTM法を用いる。国際公開第01/41993号パンフレットに引用されるCAPRI法のごとく、大気圧より低い圧力に注入圧力を調整する方法も可能である。大気圧あるいはそれ以下の圧力による注入で、良好な含浸を実現するためには、米国特許第4902215号公報に示されるような、樹脂拡散媒体を用いることが有効である。
エポキシ樹脂組成物の注入圧力は、通常0.1〜1.0MPaで、型内を真空吸引して樹脂組成物を注入するVaRTM(Vacuum Assist Resin Transfer Molding)法も用いることができるが、注入時間と設備の経済性の点から0.1〜0.6MPaが好ましい。また、加圧注入を行う場合でも、樹脂組成物を注入する前に型内を真空に吸引しておくと、ボイドの発生が抑えられ好ましい。
エポキシ樹脂組成物は、全成分をバッチで混合した単一の液体を単一の容器から型に注入することも、エポキシ樹脂と硬化剤とを別々の容器に格納し、混合器を経由して成形型に注入することも、容器から大気圧で成形型に注入することも可能である。
樹脂注入完了後、成形型内で熱硬化が行われる。成形型内の熱硬化は、注入時の成形型の温度のまま一定時間保持して行う方法、注入時の成形型の温度と最高硬化温度の中間の温度まで昇温し一定時間保持した後再度昇温し、最高硬化温度に達した後一定時間保持して硬化させる方法、最高硬化温度まで昇温し一定時間保持して硬化させる方法のいずれも用いることが可能である。型内での硬化における最高硬化温度の保持時間は0.5〜4時間であることが好ましい。
脱型後、成形型内の最高硬化温度より高い温度でアフターキュアすることも可能である。この場合、型内の硬化はプリキュアになる。アフターキュアの時間は、0.5〜12時間が好ましく、1〜4時間であることがより好ましい。
また、かかるFRPの製造方法においては、成形型に複数の注入口を有するものを用い、エポキシ樹脂組成物を複数の注入口から同時に、または時間差を設けて順次注入するなど、得ようとするFRPに応じて適切な条件を選ぶことが、様々な形状や大きさの成形体に対応できる自由度が得られるために好ましい。かかる注入口の数や形状に制限はないが、短時間での注入を可能にするために注入口は多い程良く、その配置は、成形品の形状に応じて樹脂の流動長を短くできる位置が好ましい。
本発明によるFRPは、軽量でありながら強度や弾性率等の力学特性が優れるので、航空機や宇宙衛星、産業機械、鉄道車両、船舶、自動車などの構造部材などに好ましく用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例、および比較例において、エポキシ樹脂組成物の粘度、硬化物のガラス転移温度、曲げ弾性率、破壊靭性値の測定は次の方法で行った。
(1)エポキシ樹脂組成物の粘度測定
エポキシ樹脂組成物の70℃における粘度は、JIS K7117−2(1999)に準拠し、円すい−平板型回転粘度計を用いて測定した。ここで、東機産業社製TVE−33H型粘度計を用い、ローターは1゜34’×R24、回転数は50rpmとし、サンプル量は1cmとした。
(2)エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度の測定方法
エポキシ樹脂組成物をモールドに注入した後、熱風乾燥機中で30℃から速度1.5℃/分で昇温して、130℃で2時間、および180℃で2時間加熱硬化した後、30℃まで速度2.5℃/分で降温して厚さ2mmの樹脂硬化板を作成した。
作成した樹脂硬化板をSACMA SRM18R−94に従い、DMA法によりガラス転移温度を求めた。貯蔵弾性率G’曲線において、ガラス状態での接線と転移状態での接線との交点温度値をガラス転移温度とした。ここでは、Rheometric Scientific社製粘弾性測定システム拡張型“ARES”を用い、昇温速度5℃/分、周波数1Hzで測定した。
(3)硬化物の曲げ弾性率の測定方法
(2)と同様にして厚さ2mm、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、試験速度2.5mm、支点間距離32mmで3点曲げ試験を行い、JIS K7203に従い、曲げ弾性率を測定した。
(4)樹脂硬化物の破壊靭性値の測定方法
(2)と同様にして厚さ6mmの試験片を切り出し、ASTM D5045−99に準拠して破壊靭性値を測定した。
(5)コアシェルゴムの粒径の測定方法
エポキシ樹脂組成物を130℃×2時間+180℃×2h加熱硬化して、厚み2mmの樹脂硬化物を得る。次いで、得られた硬化物の一部を切り出し、酸化オスミウムでコアシェルゴムを染色処理した後に薄片を切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて倍率4万倍にて観察を行い、任意に選んだ10個のコアシェルゴムの直径を平均して求めた。
A.樹脂原料
以下の樹脂原料を適用した。
1.エポキシ樹脂
・構成要素(A)
(1)“アラルダイト”(登録商標)MY721:ハンツマン・ジャパン製、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
(2)“jER”(登録商標)630:ジャパンエポキシレジン製、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール
・構成要素(B)
(3)“jER”(登録商標)806:ジャパンエポキシレジン製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量:180g/eq)
・構成要素(C)
(4)GAN:日本化薬製、ジグリシジルアニリン
(5)GOT:日本化薬製、ジグリシジルオルソトルイジン
・構成要素(A)〜(C)以外のエポキシ樹脂
(6)“EPON”(登録商標)825:ジャパンエポキシレジン製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂。
2.硬化剤
・構成要素(D)
(7)“jERキュア”(登録商標)W:ジャパンエポキシレジン製、ジエチルトルエンジアミン
・構成要素(D)以外の芳香族ポリアミン
(8)3,3’DAS:三井化学ファイン製、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
(9)セイカキュア−S:セイカ製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン。
3.硬化促進剤
(10)DIC−TBC:大日本インキ化学工業製、4−t−ブチルカテコール。
4.コアシェルゴム(コアシェルゴムを含むエポキシマスター)
・構成要素(E)
(11)“カネエース”(登録商標)MX−416:カネカ製、コアシェルゴム(粒径:0.1μm)
コアシェルゴムを25質量%、“アラルダイト”(登録商標)MY721 75質量%からなるエポキシマスター。
・構成要素(E)以外のコアシェルゴム
(12)“アクリセット”(登録商標)BPA328、日本触媒製、コアシェルゴム(粒径:1.0μm)
コアシェルゴムを20質量%、“jER”(登録商標)828 80質量%からなるエポキシマスター
(13)“アクリセット”(登録商標)BPF307、日本触媒製、コアシェルゴム(粒径:1.0μm)。コアシェルゴムを20質量%、“jER”(登録商標)807 80質量%からなるエポキシマスター。
(実施例1〜4)
本発明のエポキシ樹脂組成物として、構成要素(E)の配合量が全エポキシ樹脂に対して5〜8質量%である樹脂組成物を表1の通り作成した。得られた樹脂組成物の粘度は120mPa・s以下であり、かつ樹脂硬化物の曲げ弾性率は3.0GPa以上、破壊靭性値は150J/mであった。
(比較例1、2)
構成要素(E)を全く配合しないエポキシ樹脂組成物として、表1の示すとおり樹脂組成物を作成した。得られた樹脂硬化物の破壊靭性値は低く、不十分であった。
(比較例3)
構成要素(E)のコアシェルゴムを全エポキシ樹脂に対して4質量%であるエポキシ樹脂組成物を表1に示すとおり作成した。得られた樹脂硬化物の破壊靭性値は134J/mと低く、不十分であった。
(比較例4〜8)
コアシェルゴムとして構成要素(E)以外のコアシェルゴムを配合したエポキシ樹脂組成物を表2に示す組成で作成した。これらの樹脂組成物、および硬化物は破壊靭性値が低いか、粘度の高いものであった。
Figure 2009227907
Figure 2009227907

Claims (4)

  1. 少なくとも下記の構成要素(A)〜(E)を含み、70℃での粘度が1〜120mPa・sであって、該エポキシ樹脂組成物を、130℃で2時間加熱した後に180℃で2時間加熱して硬化させた厚さ6mmの硬化物の破壊靭性値が150J/m以上であるエポキシ樹脂組成物。
    構成要素(A):3官能以上の芳香族エポキシ樹脂
    構成要素(B):エポキシ当量200g/eq以下のビスフェノールF型エポキシ樹脂
    構成要素(C):ジグリシジルアニリンおよび/またはジグリシジルオルソトルイジン
    構成要素(D):25℃で液状の芳香族アミン
    構成要素(E):明細書中に定義された方法で測定された粒径が0.1μm以下のコアシェルゴム
  2. 構成要素(E)の配合量が、全エポキシ樹脂100質量%に対し5〜10質量%である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 130℃で2時間加熱した後に180℃で2時間加熱して硬化させた厚さ2mmの硬化物の曲げ弾性率が3.3GPa以上である、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を用いて得られた繊維強化複合材料。
JP2008077719A 2008-03-25 2008-03-25 エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた繊維強化複合材料 Pending JP2009227907A (ja)

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