JP2017066218A - エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】短時間で硬化可能な優れた硬化性と保存安定性および耐熱性に優れた繊維強化複合材料を製造するためのエポキシ樹脂組成物およびプリプレグを提供すること。【解決手段】少なくともエポキシ樹脂[A]、硬化剤[B]、カチオン重合開始剤をコア成分として内包するマイクロカプセル型硬化促進剤[C]を含むエポキシ樹脂組成物、およびそれを用いたプリプレグ、繊維強化複合材料。【選択図】なし
Description
本発明は、耐熱性に優れ、潜在性と短時間で硬化可能な優れた硬化性を兼ね備えた繊維強化複合材料を製造するためのエポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物が強化繊維に含浸されてなるプリプレグ、およびエポキシ樹脂組成物と強化繊維よりなる繊維強化複合材料に関するものである。
従来、炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維と、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂からなる繊維強化複合材料は、軽量でありながら、強度や剛性などの力学特性や耐熱性、また耐食性に優れているため、航空・宇宙、自動車、鉄道車両、船舶、土木建築およびスポーツ用品などの数多くの分野に応用されてきた。特に、高性能が要求される用途では、連続した強化繊維を用いた繊維強化複合材料が用いられ、強化繊維としては比強度、比弾性率に優れた炭素繊維が、そしてマトリックス樹脂としては熱硬化性樹脂、中でも特に炭素繊維との接着性、耐熱性、弾性率および耐薬品性を有し、硬化収縮が最小限であるエポキシ樹脂が多く用いられている。近年、繊維強化複合材料の使用例が増えるに従い、その要求特性は厳しくなっている。特に航空宇宙用途や車両などの構造材料に適用する場合は、高温および/または高湿条件下でも物性を十分保持することが要求される。しかし、一般的にポリマー系複合材料は軽量という利点を有するものの耐熱性は高くはなく、適用可能な用途が制限されることがあった。
エポキシ樹脂の硬化剤として、耐熱性が必要される航空宇宙用途には、芳香族アミン化合物、酸無水物、フェノールノボラック化合物が使用されることが多い。しかしながら、これら硬化剤は、成形時に180℃近辺の高い硬化温度で長時間の加熱が必要とされる傾向にある。このようにエポキシ樹脂組成物の反応性が低いと成形に長時間を要し、成形時のエネルギーコストが高くなる等の欠点が顕在化する。そのため、低温・短時間でのエポキシ樹脂組成物の硬化を可能とする技術が望まれていた。
ここで、特許文献1、2では、3フッ化ホウ素−アミン錯体またはスルホニウム塩等のカチオン重合性硬化促進剤を用いることで、エポキシ樹脂の硬化時間を短縮できることが示されている。
また、特許文献3では、マイクロカプセル化されたイミダゾール化合物を硬化促進剤として用いることで、25℃での良好な保存安定性を示しつつ、硬化時間の短縮がなされることが示されている。
特許文献4では、マイクロカプセル化されたリン系硬化促進剤を用いることで、50℃での良好な保存安定性を保ちつつ、高い耐熱性を有する硬化物が得られている。
特許文献5では、エポキシ樹脂にマイクロカプセル型のカチオン重合開始剤を配合することで、良好な保存安定性を保ちつつ、硬化時間の短縮がなされることが示されている。
しかし、特許文献1、2に記載される硬化促進剤を用いた場合は、保存安定性(粘度上昇の抑制)が乏しく、樹脂混練工程や、プリプレグ等の中間基材製造工程等でエポキシ樹脂の硬化反応が進行してしまうために、作業性や硬化物の物性を低下させるといった欠点があり、いずれも実用性に乏しいものであった。
また、特許文献3に示される技術でも、イミダゾール化合物を用いた場合は、硬化剤とエポキシ樹脂の反応に加えて、イミダゾールとエポキシの反応により発生したアニオンによる重合が起こることで、硬化剤単独の場合と硬化時の反応メカニズムが異なるため、得られた硬化物の耐熱性は低い値であった。また80℃を超える高温での保存安定性は十分ではなかった。
特許文献4についても、樹脂組成物の硬化時間の短縮は十分ではなく、速硬化性に課題があった。
また、特許文献5についても、エポキシ樹脂のカチオン重合による硬化反応であるため、得られた硬化物の耐熱性は低い値であった。
そこで、本発明の目的は、耐熱性に優れ、潜在性と短時間で硬化する優れた硬化性を兼ね備えたエポキシ樹脂組成物と、それを使用したプリプレグおよび繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために次のような手段を採用するものである。すなわち、少なくとも次の構成要素[A]〜[C]を含むエポキシ樹脂組成物である。
[A]:エポキシ樹脂
[B]:硬化剤
[C]:カチオン重合開始剤をコア成分として内包するマイクロカプセル型硬化促進剤
[A]:エポキシ樹脂
[B]:硬化剤
[C]:カチオン重合開始剤をコア成分として内包するマイクロカプセル型硬化促進剤
本発明によれば、硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物に、カチオン重合開始剤をコア成分として内包するマイクロカプセル型硬化促進剤を配合することで、短時間で成形可能な高い硬化性とプリプレグ製造プロセス温度での良好なポットライフを両立したエポキシ樹脂組成物を提供できる。また、カチオン重合開始剤により、硬化剤のエポキシ基への求核反応が促進されるメカニズムで硬化反応が進行するため、本発明のエポキシ樹脂硬化物は高い耐熱性を有する。さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物およびプリプレグを硬化してなる繊維強化複合材料は、従来の硬化促進剤を配合しない繊維強化複合材料と比較して短時間の成形が可能となるため、航空機構造部材、風車の羽根、自動車外板およびICトレイやノートパソコンの筐体などのコンピュータ用途等の適用製品の成形時間および成形コストを大きく低減させることが可能である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも構成要素[A]〜[C]を含むエポキシ樹脂組成物である。
[A]:エポキシ樹脂
[B]:硬化剤
[C]:カチオン重合開始剤をコア成分として内包するマイクロカプセル型硬化促進剤。
[A]:エポキシ樹脂
[B]:硬化剤
[C]:カチオン重合開始剤をコア成分として内包するマイクロカプセル型硬化促進剤。
本発明で用いる構成要素[A]は、1分子中に2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂である。1分子中にグリシジル基が2個未満のエポキシ樹脂の場合、後述する硬化剤と混合した混合物を加熱硬化して得られる硬化物のガラス転移温度が低くなるため好ましくない。本発明で用いられるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルなどの臭素化エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−4−アミノ−3−メチルフェノール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−メチレンジアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−2,2’−ジエチル−4,4’−メチレンジアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどを挙げることができる。中でも、1分子中にグリシジル基を3個以上含むエポキシ樹脂は、高いガラス転移温度や弾性率を有する硬化物が得られるため、航空・宇宙機用途に好適に用いられる。
これらのエポキシ樹脂は、単独で用いてもよいし、適宜配合して用いてもよい。任意の温度において流動性を示すエポキシ樹脂と、任意の温度において流動性を示さないエポキシ樹脂を配合することは、得られるプリプレグを熱硬化する時のマトリックス樹脂の流動性制御に有効である。例えば、熱硬化時において、マトリックス樹脂がゲル化するまでの間に示す流動性が大きいと、強化繊維の配向に乱れを生じたり、マトリックス樹脂が系外に流れ出すことにより、繊維質量含有率が所定の範囲から外れたりすることがあり、その結果、得られる繊維強化複合材料の力学物性が低下する可能性がある。また、任意の温度において様々な粘弾性挙動を示すエポキシ樹脂を複数種組み合わせることは、得られるプリプレグのタック性やドレープ性を適切なものとするためにも有効である。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、耐熱性や機械物性に対し著しい低下を及ぼさない範囲であれば、構成要素[A]以外のエポキシ化合物、例えば1分子中に1個のみのエポキシ基を有するモノエポキシ化合物や、脂環式エポキシ樹脂などを適宜配合することができる。
本発明に含まれる構成要素[B]の硬化剤は、エポキシ基と反応し得る活性基を有する化合物である。硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、芳香族アミン化合物、脂肪族アミン化合物、アミノ安息香酸エステル類、各種酸無水物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリフェノール化合物、イミダゾール誘導体、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリメルカプタンなどが挙げられる。
なかでも、芳香族アミン硬化剤を用いることにより、耐熱性の良好なエポキシ樹脂硬化物が得られる。芳香族アミン化合物としては、例えば、3,3’−ジイソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジイソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミンなどが挙げられる。
中でも、航空、宇宙機用途などの場合、耐熱性、弾性率に優れ、さらに線膨張係数および吸水による耐熱性の低下が小さい硬化物が得られる4,4’−ジアミノジフェニルスルホンおよび3,3’−ジアミノジフェニルスルホンが用いることが好ましい。これらの芳香族アミン化合物は単独で用いてもよいし、適宜2種類以上混合して用いてもよい。また、他成分との混合時は粉体、液体いずれの形態でもよく、粉体と液体の芳香族アミン化合物を混合して用いても良い。
本発明の構成要素[C]のカチオン重合開始剤をコア成分として内包するマイクロカプセル型硬化促進剤は、エポキシ樹脂と硬化剤の反応を促進する目的で用いられる。用いられるカチオン重合開始剤は、熱によりカチオンを発生する熱カチオン重合開始剤であり、発生したカチオンが構成要素[A]であるエポキシ樹脂中のエポキシ基内の分極を促し、構成要素[B]である硬化剤のエポキシ基への求核反応を促進させるため、硬化反応が完了するまでに要する時間を短縮することが可能となる。第3級アミン類、イミダゾール類等の塩基性の硬化促進剤を用いた場合はアニオンが生成するため、硬化剤のエポキシ基への求核反応の促進は行われず、反応性および形成される硬化物の構造にも違いが生じ、得られる硬化物の耐熱性が低下する傾向にある。同様に、硬化剤を含まず、カチオン重合開始剤のみでエポキシ樹脂の硬化を行った場合も、カチオン重合のみで反応が進行するため硬化物の構造に差が生じ、得られる硬化物の耐熱性が低下する傾向にある。
構成要素[C]において、カチオン重合開始剤を被覆する材料としては、エポキシ樹脂に加熱溶解する熱可塑性樹脂が好ましく、熱可塑性樹脂層により被覆されることでエポキシ樹脂とカチオン重合開始剤の接触が阻害され、高い保存安定性が得られる。また、加熱により熱可塑性樹脂がエポキシ樹脂に溶解することで、カチオン重合開始剤がエポキシ樹脂中に拡散し、硬化反応の促進がなされる。このように、マイクロカプセル型のカチオン重合開始剤とすることで、速硬化性と保存安定性の両立を達成することが可能となる。
カチオン重合開始剤としては、加熱により、ブレンステッド酸、ルイス酸等のカチオン種を発生するものであれば良く、例えば、プロトン酸エステル、オニウム塩、ホウ素錯体化合物、オルガノシラン、有機アルミニウム化合物触媒およびヘテロポリ酸を使用することができ、中でもプロトン酸エステル、オニウム塩、ホウ素錯体化合物が速硬化性と硬化物の耐熱性の点で好ましい。
プロトン酸エステルとしては、カルボン酸エステル、硫酸エステル、スルホン酸エステルが挙げられ、中でもスルホン酸エステルが速硬化性と硬化物の耐熱性の点で特に好ましい。スルホン酸エステルの具体例としては、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、トルエンスルホン酸メチル、トルエンスルホン酸エチル、トルエンスルホン酸n−プロピルなどが挙げられる。
オニウム塩としては、ブロモニウム塩、スルホニウム塩、オキソニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、第4級アンモニウム塩、ジアゾニウム塩、アルソニウム塩等が挙げられ、中でもスルホニウム塩が速硬化性と硬化物の耐熱性の点で特に好ましい。スルホニウム塩の具体例としては、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルシネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアルシネート、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアルシネートや、市販品としては、サンエイドSI−L85、サンエイドSI−L110、サンエイドSI−L145、サンエイドSI−L160、サンエイドSI−H15、サンエイドSI−H20、サンエイドSI−H25、サンエイドSI−H40、サンエイドSI−H50、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L、サンエイドSI−150L(三新化学工業(株)製)、CP−77((株)ADEKA製)等が挙げられる。
ホウ素錯体化合物の具体例としては、3フッ化ホウ素・ジメチルアミン錯体、3フッ化ホウ素・ジエチルアミン錯体、3フッ化ホウ素・ジイソプロピルアミン錯体、3フッ化ホウ素・ジブチルアミン錯体、3フッ化ホウ素・ジベンジルアミンアミン錯体、3フッ化ホウ素・ピペリジン錯体、3フッ化ホウ素・トリエチルアミン錯体、3フッ化ホウ素・トリブチルアミン錯体、3フッ化ホウ素・ジメチルベンジルアミン錯体、3フッ化ホウ素・トリエタノールアミン錯体、3フッ化ホウ素・ピペリジン錯体等が挙げられる。
カチオン重合開始剤を被覆し、マイクロカプセル化する材料としては、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリルスルホン等の熱可塑性樹脂が好適である。中でもポリエーテルスルホンおよびポリエーテルイミドは融点が高いため、構成要素[A]への溶解が起こりにくく、樹脂混練工程やプリプレグ製造工程中におけるエポキシ樹脂組成物のポットライフを向上させることができため更に好ましい。ポットライフが向上することで、樹脂組成物の粘度が増大することによる強化繊維への含浸不良やプリプレグのタック性の低下を抑制することができる。ここでいうポットライフとは、エポキシ樹脂組成物の室温〜80℃といった温度領域における粘度安定性をいう。評価方法しては、例えば、動的粘弾性測定により、80℃で2時間維持したときのエポキシ樹脂組成物の粘度変化を評価することで確認できる。
構成要素[C]の平均粒子径は、0.1μm以上50μm以下であることで、構成要素[C]が強化繊維束内に分散しやすくなり好ましい。50μm以上となると、強化繊維束に構成要素[C]が濾過され、プリプレグ表面に局在化するため、硬化度に偏りが生じる傾向がある。また、0.1μm以下の場合は、マイクロカプセル中のカチオン重合開始剤の割合が少ないため、速硬化性が低下する傾向がある。ここでいう平均粒子径とは、レーザー回折散乱法を用いたLA950−V2((株)HORIBA製)を用いて測定したもので、分散媒としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”825、三菱化学(株)製)を用いて、室温にて測定した体積換算の結果を粒度分布測定結果として採用し、得られた粒度分布の累積カーブにおける50%での粒径(メジアン径)を平均粒子径とする。なお、構成要素[C]は、加熱されることで被覆材料成分がエポキシ樹脂に溶解し、カチオン重合開始剤成分がエポキシ樹脂組成物中に分散することで硬化反応の促進がなされる反応メカニズムを有するため、被覆材料成分がエポキシ樹脂に溶解する温度以下であれば、構成要素[C]の粒子径は保存期間の長さによって変化することはない。したがって、本発明のエポキシ樹脂組成物中に含まれる構成要素[C]の粒子径は、“jER(登録商標)”825に分散させた場合の粒子径と同一であるとみなすことができる。
構成要素[C]は、構成要素[A]100質量部に対して、1〜25質量部の配合とすることが好ましい。配合量を1質量部以上にすることにより樹脂組成物の硬化反応を促進する効果が得られ、25質量部以下にすることにより樹脂組成物のポットライフの悪化を抑制することができる。また、構成要素[C]の配合量を、構成要素[B]100質量部に対して、1〜55質量部の配合とすることで、カチオン重合開始剤による、硬化剤のエポキシ基への求核反応の促進が行われ、優れた速硬化性と耐熱性が得られるため好ましい。ここで、構成要素[C]の質量とは、カチオン重合開始剤とその被覆材料を合わせた、マイクロカプセル全体の質量を意味する。
本発明の構成要素[C]に加えて、エポキシ樹脂組成物の耐熱性と熱安定性を損ねない範囲で他の硬化促進剤と併用しても良い。他の硬化促進剤としては、例えば、三級アミン、イミダゾール化合物、尿素化合物、ヒドラジド化合物などが挙げられる。
本発明の構成要素[D]の熱可塑性樹脂は、得られるプリプレグのタック性の制御、プリプレグを加熱硬化する時のマトリックス樹脂の流動性の制御および得られる繊維強化複合材料の耐熱性や弾性率を損なうことなく靭性を付与するために配合される。かかる熱可塑性樹脂としては、ポリアリールエーテル骨格で構成される熱可塑性樹脂が好ましく、例えば、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルスルホンなどを挙げることができ、これらのポリアリールエーテル骨格で構成される熱可塑性樹脂は単独で用いてもよいし、適宜併用して用いてもよい。中でも、ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルイミドは得られる繊維強化複合材料の耐熱性や力学物性を低下することなく靭性を付与することができるため好ましく用いることができる。
これらのポリアリールエーテル骨格で構成される熱可塑性樹脂の末端官能基としては、第1級アミン、第2級アミン、水酸基、カルボキシル基、チオール基、酸無水物やハロゲン基(塩素、臭素)などのものが使用できる。このうち、エポキシ樹脂との反応性が少ないハロゲン基の場合、保存安定性に優れたプリプレグを得ることができ、一方、ハロゲン基を除いた官能基の場合、エポキシ樹脂との高い反応性を有することからエポキシ樹脂と該熱可塑性樹脂の接着に優れた樹脂組成物を得ることができるため好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、80℃で2時間保持した時の粘度が、80℃における初期粘度の3.0倍以下であり、好ましくは2.0倍以下、より好ましくは1.5倍以下である。ここで、80℃での増粘倍率は、樹脂組成物の混練工程や、プリプレグの製造工程の温度である80℃におけるエポキシ樹脂組成物のポットライフの指標とすることができる。即ち、80℃における増粘倍率が小さい程、80℃付近におけるポットライフが良好ということになる。エポキシ樹脂組成物を80℃で2時間保持した時の増粘倍率が3.0倍以下であると、樹脂組成物の熱安定性が高く、プリプレグ製造工程において強化繊維への樹脂の含浸性が低下せず、成形物にボイドが生じにくい。また、80℃における初期粘度とは、80℃で1分間保持した時の粘度を意味する。
ここで粘度とは、動的粘弾性測定装置(レオメーターRDA2:レオメトリックス社製、またはレオメーターARES:TAインスツルメント社製)を用い、直径40mmのパラレルプレートを用い、周波数0.5Hz、Gap1mmで測定を行った複素粘性率η*のことを指す。80℃で1分間保持した時の粘度η* 1、80℃で2時間保持した時の粘度η* 120を測定し、増粘倍率をη* 120÷η* 1より求める。
航空宇宙用途や車両などの構造材料に適用する場合、エポキシ樹脂硬化物が高い耐熱性を有する必要がある。耐熱性は動的粘弾性測定によりガラス転移温度を測定することで評価できる。本発明のエポキシ樹脂組成物は、ガラス転移温度が170℃以上であることが好ましく、より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは190℃以上である。エポキシ樹脂組成物のガラス転移温度が高いほど、より高い耐熱性が求められる部材への適用が可能となるため好ましい。
本発明においては、熱可塑性樹脂を主成分とする粒子を配合することも好適である。熱可塑性樹脂粒子を配合することにより、繊維強化複合材料としたときに、繊維強化複合材料の強化繊維からなる層と層の間に形成される樹脂層(以降、「層間樹脂層」と表すこともある)の靱性が向上するため、耐衝撃性が向上する。
熱可塑性樹脂粒子としては、エポキシ樹脂組成物に混合して用い得る熱可塑性樹脂を使用することができ、中でも、ポリアミドは最も好ましく、ポリアミドの中でも、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン6/12共重合体や特開平1−104624号公報の実施例1記載のエポキシ化合物にてセミIPN(高分子相互侵入網目構造)化されたナイロン(セミIPNナイロン)は特に良好なエポキシ樹脂との接着強度を与える。この熱可塑性樹脂粒子の形状としては、球状粒子でも非球状粒子でも、また多孔質粒子でもよいが、球状の方が樹脂の流動特性を低下させないため粘弾性に優れ、また応力集中の起点がなく、高い耐衝撃性を与えるという点で好ましい態様である。ポリアミド粒子の市販品としては、SP−500、SP−10、TR−1、TR−2、842P−48、842P−80(以上、東レ(株)製)、“オルガソール(登録商標)”1002D、2001UD、2001EXD、2002D、3202D、3501D,3502D、(以上、アルケマ(株)製)等を使用することができる。これらのポリアミド粒子は、単独で使用しても複数を併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、カップリング剤や、熱硬化性樹脂粒子、あるいはシリカゲル、カーボンブラック、クレー、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボン粒子、金属粉体といった無機フィラー等を配合することができる。
本発明のプリプレグは、上述したエポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂とし、この樹脂組成物を強化繊維と複合させたものである。強化繊維は、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等を好ましく挙げることができるが、中でも炭素繊維が特に好ましい。
本発明のプリプレグは、様々な公知の方法で製造することができる。例えば、マトリックス樹脂をアセトン、メチルエチルケトンおよびメタノールなどから選ばれる有機溶媒に溶解させて低粘度化し、強化繊維に含浸させるウェット法、あるいは、マトリックス樹脂を、有機溶媒を用いずに加熱により低粘度化し、強化繊維に含浸させるホットメルト法などの方法により、プリプレグを製造することができる。
ウェット法では、強化繊維を、マトリックス樹脂を含む液体に浸漬した後に引き上げ、オーブンなどを用いて有機溶媒を蒸発させてプリプレグを得ることができる。
またホットメルト法では、加熱により低粘度化したマトリックス樹脂を、直接、強化繊維に含浸させる方法、あるいは一旦マトリックス樹脂を離型紙などの上にコーティングした樹脂フィルム付きの離型紙シート(以降、「樹脂フィルム」と表すこともある)をまず作製し、次いで強化繊維の両側あるいは片側から樹脂フィルムを強化繊維側に重ね、加熱加圧することにより強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させる方法などを用いることができる。
本発明のプリプレグの製造方法としては、プリプレグ中に残留する有機溶媒が実質的に皆無となるため、有機溶媒を用いずにマトリックス樹脂を強化繊維に含浸させるホットメルト法が好ましい。
プリプレグは、単位面積あたりの強化繊維量が30〜2000g/m2であることが好ましい。かかる強化繊維量が30g/m2未満では、繊維強化複合材料成形の際に所定の厚みを得るために積層枚数を多くする必要があり、作業が繁雑となることがある。一方で、強化繊維量が2000g/m2を超えると、プリプレグのドレープ性が悪くなる傾向にある。
プリプレグの繊維質量含有率は、好ましくは30〜90質量%であり、より好ましくは35〜85質量%であり、更に好ましくは40〜80質量%である。繊維質量含有率が30質量%未満では、樹脂の量が多すぎて、比強度と比弾性率に優れる繊維強化複合材料の利点が得られず、また、繊維強化複合材料の成形の際、硬化時の発熱量が高くなりすぎることがある。また、繊維質量含有率が90質量%を超えると、樹脂の含浸不良が生じ、得られる複合材料はボイドの多いものとなる恐れがある。
本発明の繊維強化複合材料は、上述した本発明のプリプレグを所定の形態で積層し、加圧・加熱して樹脂を硬化させる方法を一例として、製造することができる。ここで熱及び圧力を付与する方法には、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法等が採用される。
さらに、プリプレグを用いずに、本発明のエポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させた後、加熱硬化する方法、例えばハンド・レイアップ法、フィラメント・ワインディング法、プルトルージョン法、レジン・インジェクション・モールディング法、レジン・トランスファー・モールディング法などの成形法によっても繊維強化複合材料を作製することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ただし、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものでは無い。なお、組成比の単位「部」は、特に注釈のない限り質量部を意味する。また、各種特性の測定は、特に注釈のない限り温度23℃、相対湿度50%の環境下で行った。
<実施例および比較例で用いられた材料>
(1)構成要素[A]:エポキシ樹脂
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”825、三菱化学(株)製)
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“EPICLON(登録商標)”830、DIC(株)製)
・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(“アラルダイト(登録商標)”MY721、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
・トリグリシジル−m−アミノフェノール(“アラルダイト(登録商標)”MY0600、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
・トリグリシジル−p−アミノフェノール(“アラルダイト(登録商標)”MY0500、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
・トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル(TACTIX742、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)。
(1)構成要素[A]:エポキシ樹脂
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”825、三菱化学(株)製)
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“EPICLON(登録商標)”830、DIC(株)製)
・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(“アラルダイト(登録商標)”MY721、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
・トリグリシジル−m−アミノフェノール(“アラルダイト(登録商標)”MY0600、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
・トリグリシジル−p−アミノフェノール(“アラルダイト(登録商標)”MY0500、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
・トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル(TACTIX742、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)。
(2)構成要素[B]:硬化剤
・4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(セイカキュアS、和歌山精化工業(株)製)
・3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DAS、三井化学ファイン(株)製)
・ジエチルトルエンジアミン(“ARADUR(登録商標)”5200、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)。
・4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(セイカキュアS、和歌山精化工業(株)製)
・3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DAS、三井化学ファイン(株)製)
・ジエチルトルエンジアミン(“ARADUR(登録商標)”5200、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)。
(3)構成要素[C]のコア成分として用いたカチオン重合開始剤
・p−トルエンスルホン酸エチル(東京化成工業(株)製)
・ベンゼンスルホン酸エチル(東京化成工業(株)製)
・ジメチル−p−アセトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート(サンエイドSI−150L、三新化学工業(株)製)
・3フッ化ホウ素モノエチルアミン(ステラケミファ(株)製)
・3フッ化ホウ素ピペリジン(ステラケミファ(株)製)
・トリフルオロメタンスルホン酸4級アンモニウム塩(K−PURE CXC−16146、楠本化成(株)製)。
・p−トルエンスルホン酸エチル(東京化成工業(株)製)
・ベンゼンスルホン酸エチル(東京化成工業(株)製)
・ジメチル−p−アセトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート(サンエイドSI−150L、三新化学工業(株)製)
・3フッ化ホウ素モノエチルアミン(ステラケミファ(株)製)
・3フッ化ホウ素ピペリジン(ステラケミファ(株)製)
・トリフルオロメタンスルホン酸4級アンモニウム塩(K−PURE CXC−16146、楠本化成(株)製)。
(4)構成要素[C]のコア成分被覆材料
・ポリエーテルイミド(“ウルテム(登録商標)”1000、SABICイノベーティブプラスチックス社製)
・ポリエーテルスルホン(“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P、住友化学(株)製)。
・ポリエーテルイミド(“ウルテム(登録商標)”1000、SABICイノベーティブプラスチックス社製)
・ポリエーテルスルホン(“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P、住友化学(株)製)。
(5)その他の硬化促進剤
・2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(“キュアゾール(登録商標)” 2P4MHZ−PW、四国化成(株)製)
・トリフェニルホスフィントリフェニルボラン(TPP−S、北興化学工業(株)製)
・マイクロカプセル型イミダゾール化合物(ノバキュアHX−3722、旭化成イーマテリアルズ(株)製)。
・2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(“キュアゾール(登録商標)” 2P4MHZ−PW、四国化成(株)製)
・トリフェニルホスフィントリフェニルボラン(TPP−S、北興化学工業(株)製)
・マイクロカプセル型イミダゾール化合物(ノバキュアHX−3722、旭化成イーマテリアルズ(株)製)。
(6)構成要素[D]:熱可塑性樹脂
・ポリエーテルスルホン(“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P、住友化学(株)社製)。
・ポリエーテルスルホン(“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P、住友化学(株)社製)。
<エポキシ樹脂組成物の作製方法および評価方法>
以下の方法にて各実施例および比較例のエポキシ樹脂組成物を測定した。
以下の方法にて各実施例および比較例のエポキシ樹脂組成物を測定した。
(1)マイクロカプセル型カチオン重合開始剤の製造方法
表1に示した組み合わせにて、コア成分被覆材料10gを塩化メチレン100gに溶解し、更にカチオン重合開始剤を10g加えた後、スプレードライヤー(スプレードライヤーDL410 ヤマト科学(株)製)を用いて、100℃の雰囲気中に噴霧乾燥させることで、カチオン重合開始剤をコア成分としたマイクロカプセル型硬化促進剤1〜8を得た。
表1に示した組み合わせにて、コア成分被覆材料10gを塩化メチレン100gに溶解し、更にカチオン重合開始剤を10g加えた後、スプレードライヤー(スプレードライヤーDL410 ヤマト科学(株)製)を用いて、100℃の雰囲気中に噴霧乾燥させることで、カチオン重合開始剤をコア成分としたマイクロカプセル型硬化促進剤1〜8を得た。
(2)エポキシ樹脂組成物の作製
混練装置中に、表2〜6に記載の構成要素[A]に該当するエポキシ樹脂および構成要素[D]を投入し、加熱混練を行い、構成要素[D]成分を溶解させた。次いで、混練を続けたまま100℃以下の温度まで降温させ、表2〜6に記載の構成要素[B]と構成要素[C]を加えて撹拌し、エポキシ樹脂組成物を得た。
混練装置中に、表2〜6に記載の構成要素[A]に該当するエポキシ樹脂および構成要素[D]を投入し、加熱混練を行い、構成要素[D]成分を溶解させた。次いで、混練を続けたまま100℃以下の温度まで降温させ、表2〜6に記載の構成要素[B]と構成要素[C]を加えて撹拌し、エポキシ樹脂組成物を得た。
(3)エポキシ樹脂組成物を80℃で1分保持した時および2時間保持した時の粘度の測定方法
エポキシ樹脂組成物の粘度は、動的粘弾性装置ARES−2KFRTN1−FCO−STD(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用い、上下部測定冶具に直径40mmの平板のパラレルプレートを用い、上部と下部の冶具間距離が1mmとなるように該エポキシ樹脂組成物をセット後、ねじりモード(測定周波数:0.5Hz)で測定した。80℃で1分間保持した時の粘度η* 1、80℃で2時間保持した時の粘度η* 120を測定し、増粘倍率(ポットライフ)をη* 120÷η* 1より求めた。ポットライフの評価に関し、表2〜6において、増粘倍率が1.5倍未満をA、1.5倍以上2.0倍未満をB、2.0倍以上3.0倍未満をC、3.0倍以上をDで表記した。
エポキシ樹脂組成物の粘度は、動的粘弾性装置ARES−2KFRTN1−FCO−STD(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用い、上下部測定冶具に直径40mmの平板のパラレルプレートを用い、上部と下部の冶具間距離が1mmとなるように該エポキシ樹脂組成物をセット後、ねじりモード(測定周波数:0.5Hz)で測定した。80℃で1分間保持した時の粘度η* 1、80℃で2時間保持した時の粘度η* 120を測定し、増粘倍率(ポットライフ)をη* 120÷η* 1より求めた。ポットライフの評価に関し、表2〜6において、増粘倍率が1.5倍未満をA、1.5倍以上2.0倍未満をB、2.0倍以上3.0倍未満をC、3.0倍以上をDで表記した。
(4)エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度の測定方法
エポキシ樹脂組成物をモールドに注入した後、熱風乾燥機中で30℃から速度1.5℃/分で昇温し、180℃で2時間加熱硬化した後、30℃まで速度2.5℃/分で降温して厚さ2mmの樹脂硬化板を作製した。作製した樹脂硬化板から幅12.7mm、長さ55mmの試験片を切り出し、SACMA SRM18R−94に従い、DMA法によりガラス転移温度を求めた。貯蔵弾性率G’曲線において、ガラス状態での接線と転移状態での接線との交点温度値をガラス転移温度とした。ここでは、昇温速度5℃/分、周波数1Hzで測定した。耐熱性の評価に関し、表2〜6において、ガラス転移温度が190℃以上をA、180℃以上190℃未満をB、170℃以上180℃未満をC、170℃未満をDで表記した。
エポキシ樹脂組成物をモールドに注入した後、熱風乾燥機中で30℃から速度1.5℃/分で昇温し、180℃で2時間加熱硬化した後、30℃まで速度2.5℃/分で降温して厚さ2mmの樹脂硬化板を作製した。作製した樹脂硬化板から幅12.7mm、長さ55mmの試験片を切り出し、SACMA SRM18R−94に従い、DMA法によりガラス転移温度を求めた。貯蔵弾性率G’曲線において、ガラス状態での接線と転移状態での接線との交点温度値をガラス転移温度とした。ここでは、昇温速度5℃/分、周波数1Hzで測定した。耐熱性の評価に関し、表2〜6において、ガラス転移温度が190℃以上をA、180℃以上190℃未満をB、170℃以上180℃未満をC、170℃未満をDで表記した。
(5)エポキシ樹脂組成物のゲルタイムの測定方法
キュラストメーターにより、回転トルクの経時変化からエポキシ樹脂組成物の硬化反応性を評価した。ここでは、Rubber Process Analyzer RPA2000(ALPHA TECHNOLOGIES社製)を用い、40℃から180℃まで1.7℃/minの速度で昇温し、180℃で2時間加熱した。ゲルタイムは、40℃で加熱開始時点からトルクが1dNmを超えるまでの時間とした。速硬化性の評価に関し、表2〜6において、ゲルタイムが80分未満をA、80分以上90分未満をB、90分以上95分未満をC、95分以上をDで表記した。
キュラストメーターにより、回転トルクの経時変化からエポキシ樹脂組成物の硬化反応性を評価した。ここでは、Rubber Process Analyzer RPA2000(ALPHA TECHNOLOGIES社製)を用い、40℃から180℃まで1.7℃/minの速度で昇温し、180℃で2時間加熱した。ゲルタイムは、40℃で加熱開始時点からトルクが1dNmを超えるまでの時間とした。速硬化性の評価に関し、表2〜6において、ゲルタイムが80分未満をA、80分以上90分未満をB、90分以上95分未満をC、95分以上をDで表記した。
<実施例1〜6および比較例1>
構成要素[C]として、表2に記載の各種硬化促進剤を用いた結果、表5に記載の比較例1(硬化促進剤未配合)と比べ、増粘倍率は同等の値で、大幅なゲルタイムの短縮がなされた。カチオン重合開始剤にスルホン酸エステルを用いた実施例1,2およびスルホニウム塩を用いた実施例3は、特にゲルタイムの短縮効果が大きく、優れた速硬化性を示した。ガラス転移温度に関しては、実施例1〜6とも比較例1に比べて低下はなく、200℃以上の高い値を示した。
構成要素[C]として、表2に記載の各種硬化促進剤を用いた結果、表5に記載の比較例1(硬化促進剤未配合)と比べ、増粘倍率は同等の値で、大幅なゲルタイムの短縮がなされた。カチオン重合開始剤にスルホン酸エステルを用いた実施例1,2およびスルホニウム塩を用いた実施例3は、特にゲルタイムの短縮効果が大きく、優れた速硬化性を示した。ガラス転移温度に関しては、実施例1〜6とも比較例1に比べて低下はなく、200℃以上の高い値を示した。
<実施例7〜15および比較例2〜10>
表2、3、5に示すように、種々のエポキシ樹脂を用いた結果、実施例7〜15では硬化促進剤1の配合により、比較例2〜10(硬化促進剤未配合)に比べて、増粘倍率率は同等の値で、大幅なゲルタイムの短縮がなされた。実施例7〜11において、1分子中にグリシジル基を3個以上含むエポキシ樹脂であるテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンの配合量が増えることで、速硬化性、ポットライフへの悪影響なく、ガラス転移温度の向上が見られ、好ましい傾向を示した。
表2、3、5に示すように、種々のエポキシ樹脂を用いた結果、実施例7〜15では硬化促進剤1の配合により、比較例2〜10(硬化促進剤未配合)に比べて、増粘倍率率は同等の値で、大幅なゲルタイムの短縮がなされた。実施例7〜11において、1分子中にグリシジル基を3個以上含むエポキシ樹脂であるテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンの配合量が増えることで、速硬化性、ポットライフへの悪影響なく、ガラス転移温度の向上が見られ、好ましい傾向を示した。
<実施例16,17および比較例11,12>
表3,6に示すように、実施例1および比較例1の硬化剤を変更した結果、実施例16,17では、比較例11,12(硬化促進剤未配合)に比べて、ポットライフ、耐熱性を損なうことなく、ゲルタイムの短縮が見られた。実施例1から実施例16,17への硬化剤の変更により、ポットライフおよび耐熱性が低下する傾向が見られたが、実用上問題のない優れた値を示した。
表3,6に示すように、実施例1および比較例1の硬化剤を変更した結果、実施例16,17では、比較例11,12(硬化促進剤未配合)に比べて、ポットライフ、耐熱性を損なうことなく、ゲルタイムの短縮が見られた。実施例1から実施例16,17への硬化剤の変更により、ポットライフおよび耐熱性が低下する傾向が見られたが、実用上問題のない優れた値を示した。
<実施例18〜25>
表3,4に示すように、硬化促進剤1と3の配合量を変更した結果、硬化促進剤量の増加により、ゲルタイムの短縮と共に増粘倍率が上昇する傾向が見られたが、実用上問題のない優れた特性を示した。
表3,4に示すように、硬化促進剤1と3の配合量を変更した結果、硬化促進剤量の増加により、ゲルタイムの短縮と共に増粘倍率が上昇する傾向が見られたが、実用上問題のない優れた特性を示した。
<実施例26〜28>
表4に示すように、硬化剤の配合量を変更した結果、配合量の増加に伴い、ゲルタイムが短縮される傾向を示した。
表4に示すように、硬化剤の配合量を変更した結果、配合量の増加に伴い、ゲルタイムが短縮される傾向を示した。
<実施例29,30>
表4に示すように、2種の硬化促進剤を組み合わせて用いた結果、比較例1に比べ、ポットライフ、耐熱性を損なうことなくゲルタイムの短縮が見られ、好ましい特性を示した。
表4に示すように、2種の硬化促進剤を組み合わせて用いた結果、比較例1に比べ、ポットライフ、耐熱性を損なうことなくゲルタイムの短縮が見られ、好ましい特性を示した。
<実施例31,32>
表4に示すように、被覆材料にポリエーテルスルホンを用いた硬化促進剤7および8を配合した結果、比較例1と比べ、ポットライフ、耐熱性への悪影響なく、ゲルタイムの大幅な短縮がなされ、好ましい特性を示した。
表4に示すように、被覆材料にポリエーテルスルホンを用いた硬化促進剤7および8を配合した結果、比較例1と比べ、ポットライフ、耐熱性への悪影響なく、ゲルタイムの大幅な短縮がなされ、好ましい特性を示した。
<比較例13,14>
表6に示すように、硬化促進剤としてマイクロカプセル化されていないカチオン重合開始剤を用いた結果、増粘倍率が著しく高く、好ましくない特性であった。
表6に示すように、硬化促進剤としてマイクロカプセル化されていないカチオン重合開始剤を用いた結果、増粘倍率が著しく高く、好ましくない特性であった。
<比較例15,16>
表6に示すように、構成要素[A]、[C]および[D]のみで構成されるエポキシ樹脂組成物を評価した。硬化剤が含まれておらず、カチオン重合にて硬化反応が進行するため、実施例1および3と比べて著しく耐熱性が劣る結果となった。
表6に示すように、構成要素[A]、[C]および[D]のみで構成されるエポキシ樹脂組成物を評価した。硬化剤が含まれておらず、カチオン重合にて硬化反応が進行するため、実施例1および3と比べて著しく耐熱性が劣る結果となった。
<比較例17〜22>
表6に示す硬化促進剤を用いて構成されるエポキシ樹脂組成物を評価した。イミダゾール化合物を配合した比較例17ではアニオンが生成するため、硬化剤のエポキシ基への求核反応の促進は行われず、実施例1に比べて耐熱性が著しく低下した。リン系化合物を配合した比較例18,19では、増粘倍率が著しく高く、ゲルタイムの短縮効果も十分ではなかった。マイクロカプセル化されたイミダゾール化合物を配合した比較例20〜22では、ゲルタイムの短縮効果が十分ではなく、耐熱性も低い傾向にあり、好ましくない特性であった。
表6に示す硬化促進剤を用いて構成されるエポキシ樹脂組成物を評価した。イミダゾール化合物を配合した比較例17ではアニオンが生成するため、硬化剤のエポキシ基への求核反応の促進は行われず、実施例1に比べて耐熱性が著しく低下した。リン系化合物を配合した比較例18,19では、増粘倍率が著しく高く、ゲルタイムの短縮効果も十分ではなかった。マイクロカプセル化されたイミダゾール化合物を配合した比較例20〜22では、ゲルタイムの短縮効果が十分ではなく、耐熱性も低い傾向にあり、好ましくない特性であった。
Claims (13)
- 少なくとも次の構成要素[A]〜[C]を含むエポキシ樹脂組成物。
[A]:エポキシ樹脂
[B]:硬化剤
[C]:カチオン重合開始剤をコア成分として内包するマイクロカプセル型硬化促進剤 - 構成要素[B]が芳香族アミン化合物である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 構成要素[C]のカチオン重合開始剤が、プロトン酸エステル、オニウム塩、ホウ素錯体化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物である、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 構成要素[C]のカチオン重合開始剤が、スルホン酸エステル、スルホニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物である、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 構成要素[A]が1分子中にグリシジル基を3個以上有するエポキシ樹脂を含む、請求項1から4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 構成要素[C]が構成要素[A]100質量部に対して1〜25質量部の配合量であり、かつ構成要素[C]が構成要素[B]100質量部に対して1〜55質量部の配合量である、請求項1から5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- さらに下記構成要素[D]を含む、請求項1から6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[D]:熱可塑性樹脂 - 構成要素[C]の平均粒子径が0.1〜50μmである、請求項1から7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 180℃で2時間硬化して得られる硬化物のガラス転移温度が170℃以上である、請求項1から8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 80℃で2時間保持した時の粘度が80℃における初期粘度の3.0倍以下である、請求項1から9のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1から10のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸させてなるプリプレグ。
- 請求項11に記載のプリプレグを硬化させてなる繊維強化複合材料。
- 請求項1から10のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物、および強化繊維を含んでなる繊維強化複合材料。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2015
- 2015-09-29 JP JP2015190912A patent/JP2017066218A/ja active Pending
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