JP2014227473A - 複合材料用エポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料およびそれらの製造方法 - Google Patents

複合材料用エポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料およびそれらの製造方法 Download PDF

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由衣 藤岡
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真二 河内
佑美 國光
Yumi Kunimitsu
佑美 國光
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Abstract

【課題】高性能な繊維強化複合材料を、特にRTM成形にて短時間で成形可能とする、速硬化性に優れた複合材料用エポキシ樹脂組成物、およびこれを用いた繊維強化複合材料を提供すること。
【解決手段】[A]エポキシ樹脂、[B]ジエチルトルエンジアミンとジアミノジフェニルスルホンの両方を含む芳香族ジアミン、[C]単環多価フェノール化合物、[D]1分子中に炭素数2〜6で構成される主鎖と2個以上の水酸基を有するアルコール化合物を所定量含むエポキシ樹脂組成物およびその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、高性能で、特に耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料を短時間にて成形可能であり、特にレジン・トランスファー・モールディング(以下、RTMと略記する)成形法による製造に適した複合材料用エポキシ樹脂組成物、および当該樹脂組成物を用いた成形方法に関するものである。
従来、ガラス繊維、炭素繊維およびアラミド繊維などの強化繊維と、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂およびビスマレイミド樹脂などの熱硬化性樹脂からなる繊維強化複合材料は、軽量でありながら、強度や剛性などの機械物性や耐熱性、さらには耐食性に優れているため、航空機、宇宙機、自動車、鉄道車両、船舶、土木建築およびスポーツ用品などの数多くの分野に応用されてきた。特に、高性能が要求される用途では、連続した強化繊維を用いた繊維強化複合材料が用いられ、強化繊維としては比強度、比弾性率に優れた炭素繊維が、そしてマトリックス樹脂としては熱硬化性樹脂、中でも機械特性、耐熱性および耐薬品性のバランスに優れたエポキシ樹脂が多く用いられている。
近年では、繊維強化複合材料を製造するための工程が少なく、オートクレーブのような高価な設備を必要としない低コストで生産性の優れた製造方法であるRTM成形法が注目されている。RTM成形法に用いるマトリックス樹脂の組成としては、主としてエポキシ樹脂とエポキシ樹脂を硬化させうる成分(以下、硬化成分とも記す。)とからなり、場合により他の添加剤を含む。
繊維強化複合材料に使用される硬化成分としては、脂肪族ポリアミン、芳香族アミン、フェノール化合物、酸無水物などが知られており、特に高性能な繊維強化複合材料が必要である航空機用途においては芳香族アミンを使用することが多く、かかる分野に適用されるRTM成形法向け硬化成分も同様であることが多い。特許文献1では、航空機用途に最適化されたRTM成形法向け硬化剤の成分として、液状芳香族ジアミンであるジエチルトルエンジアミンに固形芳香族ジアミンであるジアミノジフェニルスルホンの異性体を併用して配合したものが検討されている。
しかしながら、エポキシ樹脂と芳香族ポリアミンの反応性は比較的低く、硬化時間が長いことが知られている。硬化時間が長いと成形サイクルが長くなり、また、成形に用いる型の占有時間が長くなることから生産量が少なくなり、製造コストが増加する問題がある。そこで、硬化速度を上げるため、硬化促進剤を少量添加する方法が検討されている。例えば、特許文献2には硬化促進剤としてC7〜12−アルキルフェノールおよびビスフェノールAから選ばれる群から選択される化合物が、特許文献3にはホスフィン類、ホスホニウム塩類、三級アミン類、二級アミン類、イミダゾール類、第四アンモニウム塩類、有機酸金属塩類、ルイス酸アミン錯体などが検討されている。また、特許文献4には強酸アルキルエステル、オニウム塩、ルイス酸アミン錯体、ポリフェノールなどが検討されている。
これらの硬化促進剤は、エポキシ樹脂と芳香族アミンの硬化反応を加速させることが可能であるが、近年では硬化開始からゲル化に至る時間が数分間といった、いわゆる速硬化が望まれており、近年要望されている速硬化としての効果が不十分であった。
また、前記した速硬化を達成すべく、単に硬化促進剤の配合量を増やしてしまうと、樹脂組成物を取り扱う時間、いわゆるポットライフが短くなってしまい、例えばRTM成形においては樹脂組成物を注入する時間を確保することができず、成形不能となるなど問題がある。
一方、エポキシ樹脂組成物を硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物は一般に脆く、破壊靭性が低いことが知られている。破壊靭性が低いと、繊維強化複合材料の疲労特性や耐衝撃性が低下し、加熱成形時に発生する熱応力や熱サイクル試験(環境疲労試験)によりクラックが発生し、機械物性を低下させるなどの不利な性質をもたらす恐れがある。特に航空機用構造部材の場合、高いガラス転移温度が要求されるため成形温度が高く、繊維強化複合材料中に発生する熱応力が大きく、かつ適用環境温度が非常に低温度まで及ぶため、高い熱疲労特性が必要とされており、マトリックス樹脂の靱性向上が必須である。
以上のような理由により、特に航空機分野において使用される芳香族アミン系硬化成分を使用したエポキシ樹脂組成物において、硬化開始からゲル化に至る時間が数分間と速硬化でありながら、十分なポットライフを示し、かつ、優れた耐熱性および熱疲労特性を有する繊維強化複合材料を得るべく、高いガラス転移温度および破壊靱性を有するエポキシ樹脂組成物の開発が望まれていた。
国際公開第2009/119467号パンフレット 特開平2−265952号公報 特開2010−59281号公報 国際公開第2003/040206号パンフレット
本発明の目的は、かかる従来技術の背景に鑑み、耐熱性および熱疲労特性に優れた繊維強化複合材料を短時間で成形すべく、硬化開始からゲル化に至る初期硬化性が非常に高く、且つポットライフに優れた、特にRTM成形法に最適な複合材料用エポキシ樹脂組成物、およびこれを用いた繊維強化複合材料を提供することにある。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、かかる課題を解決するため、次のような手段を採用するものである。すなわち、少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]および[D]を含み、構成要素[B]の配合量が全エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基数と、全ての芳香族ジアミンに含まれる活性水素との比で1:0.7〜1.3となる量であり、構成要素[C]の配合量が全エポキシ樹脂100質量部に対して0.5〜3質量部であり、構成要素[D]の配合量が全エポキシ樹脂100質量部に対して0.5〜5質量部である、複合材料用エポキシ樹脂組成物である。
[A]エポキシ樹脂
[B]ジエチルトルエンジアミンとジアミノジフェニルスルホンの両方を含む芳香族ジアミン
[C]単環多価フェノール化合物
[D]1分子中に炭素数2〜6で構成される主鎖と2個以上の水酸基を有するアルコール化合物
本発明のエポキシ樹脂組成物の好ましい態様によれば、構成要素[B]のジアミノジフェニルスルホンが3,3’−ジアミノジフェニルスルホンと4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを併用したものであり、別の好ましい態様は、構成要素[B]100質量部に対してジエチルトルエンジアミンが60〜90質量部、ジアミノジフェニルスルホンが10〜40質量部配合されていることであり、さらに別の好ましい態様は、全エポキシ樹脂100質量部に対して1〜5質量部の配合量で構成要素[E]であるコアシェルポリマー粒子を含むことであり、さらに別の好ましい態様は、構成要素[C]がt−ブチルカテコールであり、さらに別の好ましい態様は、構成要素[D]が、その常圧下での沸点が150℃以上であることであり、さらに別の好ましい態様は、構成要素[D]がグリセリンである。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法は、前記した課題を解決するため、次のような手段を採用するものである。すなわち、前記したエポキシ樹脂組成物を製造する方法であって、構成要素[A]を主成分とする主剤と、構成要素[B]、[C]および[D]を主成分とする硬化剤とを混合する工程を含む、エポキシ樹脂組成物の製造方法である。
本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法の好ましい態様によれば、構成要素[E]であるコアシェルポリマー粒子を全エポキシ樹脂100質量部に対して1〜5質量部の配合量で主剤に含む。
さらに、本発明の繊維強化複合材料は、本発明のエポキシ樹脂組成物または本発明の製造方法で製造されたエポキシ樹脂組成物と炭素繊維で構成されており、本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、炭素繊維を主成分とする織物を型内に配置し、本発明のエポキシ樹脂組成物または本発明の製造方法で製造されたエポキシ樹脂組成物を注入して含浸させた後、加熱硬化させるものである。
本発明によれば、硬化に至るまでの時間が少なく、且つポットライフに優れた、高いガラス転移温度および破壊靱性を有する、特にRTM成形に最適なエポキシ樹脂組成物を得ることができ、該エポキシ樹脂組成物と強化繊維から構成される繊維強化複合材料は耐熱性および疲労特性に優れることから、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材および船舶部材などの構造部材に好適に使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]、[D]を含むものである。
[A]エポキシ樹脂
[B]ジエチルトルエンジアミンとジアミノジフェニルスルホンの両方を含む芳香族ジアミン
[C]単環多価フェノール化合物
[D]1分子中に炭素数2〜6で構成される主鎖と2個以上の水酸基を有するアルコール化合物
構成要素[A]であるエポキシ樹脂とは1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物を指す。構成要素[A]としては一般に用いられているものであればいずれでもよいが、例えば、ポリオールから得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、活性水素を複数有するアミンより得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸より得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂や、分子内に複数の2重結合を有する化合物を酸化して得られるポリエポキシドなどが用いられる。かかるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルなどの臭素化エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−4−アミノ−3−メチルフェノール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−メチレンジアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−2,2’−ジエチル−4,4’−メチレンジアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどを挙げることができる。中でも、航空、宇宙機用途などの場合、高いガラス転移温度や弾性率を有する硬化物が得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
構成要素[B]であるジエチルトルエンジアミンとジアミノジフェニルスルホンは構成要素[A]であるエポキシ樹脂を架橋して硬化させうる成分(以下、硬化成分という)である。
硬化成分を主成分とした配合剤(以下、硬化剤という)の形状としては粉体、液体いずれの形態でもよいが、繊維強化複合材料の成形方法としてRTM法を採用する場合、硬化剤の形状が固形であると、エポキシ樹脂組成物を注入して含浸させる時に強化繊維で濾されてしまい硬化剤の分布が不均一となり硬化不良を発生する場合があり、また形状が固形であると成形時に固形分を溶解させることに時間を要するため、エポキシ樹脂と硬化剤の反応が遅くなる。よって、硬化剤としての最終的な形状は液状であることが好ましい。
構成要素[B]の硬化成分の内、ジエチルトルエンジアミン(2,4−ジエチル−6−メチル−m−フェニレンジアミンと4,6−ジエチル−2−メチル−m−フェニレンジアミンを主成分とする混合物であることが多い)は25℃の温度において液状である。一方、もう一つの硬化成分であるジアミノジフェニルスルホンは耐熱性、弾性率に優れた硬化物が得られ、さらに線膨張係数および吸湿による耐熱性の低下が小さいので好ましく使用できるが、結晶性が強いため固形であり、さらに、液状芳香族アミン化合物と高温で混合して液体としても、冷却過程で結晶として析出しやすいという問題がある。
しかしながら、ジアミノジフェニルスルホンの2種の異性体と液状芳香族アミン化合物を混合した場合、単一のジアミノジフェニルスルホンと液状芳香族ジアミン化合物の混合物より遙かに結晶の析出が起こりにくく好ましい。ジアミノジフェニルスルホンの配合量は、全芳香族ジアミン100質量部中に10〜40質量部の範囲であれば、前述したような硬化物の効果が得られやすく、より好ましくは、20〜35質量部の範囲である。
3,3’−ジアミノジフェニルスルホンと4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを、結晶の析出を抑制するために併用する場合は、両者の重量比は10:90〜90:10であることが好ましく、両者の比率が近いほど、結晶析出の抑制効果は高くなる。
構成要素[B]であるジエチルトルエンジアミンとジアミノジフェニルスルホンの両方を含む芳香族ジアミンの配合量は、全エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基数と、全ての芳香族ジアミンに含まれる活性水素との比で1:0.7〜1.3となる量とすることで、得られるエポキシ樹脂組成物を加熱硬化した硬化物、ひいては、本発明のエポキシ樹脂組成物を適用した繊維強化複合材料の力学物性が高くなるため好ましく、より好ましくは全エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基数と、全ての芳香族ジアミンに含まれる活性水素との比で1:0.8〜1.2となる量にすることである。ここで、活性水素とは有機化合物において窒素、酸素、硫黄と結合していて、反応性の高い水素原子をいう。
本発明において構成要素[B]に使用されるジエチルトルエンジアミンやジアミノジフェニルスルホンのような芳香族ジアミンは、一般的に架橋反応の進行が遅いことが知られている。そこで、本発明では、構成要素[B]に加えて、反応を促進するため硬化触媒(または、硬化促進剤という)を添加する。硬化触媒としては、例えば三級アミン、ルイス酸錯体、オニウム塩、イミダゾール、フェノール化合物などの硬化促進剤が知られているが、繊維強化複合材料の成形方法としてRTM法を採用する場合、樹脂を注入する間の粘度増加を抑えなければならないため、本発明では、硬化触媒として、構成要素[C]である単環多価フェノール化合物を用いる必要がある。かかる単環多価フェノール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、テトラメチルハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチル−イソプロピルハイドロキノン、モノ−t−ブチルハイドロキノン、ジ−t−ブチルハイドロキノン、モノ−t−アミルハイドロキノン、ジ−t−アミルハイドロキノン、ニトロハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、ジフェニルハイドロキノン、クロロハイドロキノン、ジクロロハイドロキノン、トリクロロハイドロキノン、テトラクロロハイドロキノン、ブロムハイドロキノン、ジブロムハイドロキノン、トリブロムハイドロキノン、テトラブロムハイドロキノン、カテコール、t−ブチルカテコール、レゾルシノール、ピロガロール、ジニトロピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオールおよびその誘導体などが挙げられるが、中でも、繊維強化複合材料の成形方法としてRTM法を適用する場合、樹脂注入時の温度(50〜80℃)では反応促進効果は少なく、100℃以上の温度域で促進効果が増加する特徴があるt−ブチルカテコールが好適に用いられる。
構成要素[C]の配合量は全エポキシ樹脂100質量部に対し、0.5〜3質量部の範囲であれば、得られるエポキシ樹脂組成物を使用してRTM法にて繊維強化複合材料を製造する場合に、樹脂注入時の粘度増加を抑えつつ、高温時の反応速度を促進できる。構成要素[C]の配合量は全エポキシ樹脂100質量部に対し、好ましくは1〜2.5質量部の範囲であり、より好ましくは1.5〜2質量部である。構成要素[C]の配合量がこの範囲から外れると、樹脂注入時の粘度増加と高温時の反応速度のバランスが崩れる。
本発明において、構成要素[C]である単環多価フェノール化合物を構成要素[B]である芳香族ジアミンに添加する場合は、本発明のエポキシ樹脂組成物を使用して繊維強化複合材料を製造する際に、強化繊維束の中にまで硬化促進剤の濃度が均一のまま含浸できるほどに構成要素[C]の形状が小さいことが好ましい。具体的には構成要素[C]の形状が体積平均粒子径で0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下であり、もっとも好ましくは、本発明における構成要素[B]に用いられる芳香族ジアミンに固形分が存在しないままで構成要素[C]が完全に溶解した状態であることである。構成要素[C]がこのような形状を満たすことにより、安定な機械物性を示す繊維強化複合材料を得ることができる。ここで、完全に溶解した状態とは、溶解して固形成分を有せず、濃度分布が無い液状物を形成し、さらには該液状物を25℃で1ヶ月以上静置保管した場合でも結晶が析出しない状態に保たれていることを意味する。構成要素[C]は、構成要素[B]である芳香族ジアミンの硬化反応を促進する効果はあるものの、近年要求される硬化開始からゲル化に至るまでの時間が数分間といった、いわゆる速硬化には、その効果が不十分である。そのため、速硬化性を発現するためには更なる硬化触媒を配合する必要がある。
本発明の構成要素[D]である1分子中に炭素数2〜6で構成される主鎖と2個以上の水酸基を有するアルコール化合物も構成要素[B]である芳香族ジアミンの硬化反応を促進する硬化触媒である。構成要素[D]は、構成要素[C]より求核性が高い化合物であり、硬化促進効果は、構成要素[C]より高いが、まだ速硬化性は不十分である。しかしながら、本発明者らは、本発明の構成要素[C]と構成要素[D]を併用することで、各要素単独より、硬化反応の促進効果が大きく、速硬化が可能となることを見出した。
本発明で用いられる構成要素[D]である、1分子中に炭素数2〜6で構成される主鎖と2個以上の水酸基を有するアルコール化合物は、常圧(101.3kPa)での沸点が150℃以上であることが好ましく、より好ましくは165℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。常圧での沸点がかかる範囲にあることで、繊維強化複合材料の成形仮定で構成要素[D]が気化し、得られる繊維強化複合材料の中にボイドが生じて物性を低下することを防ぐことができる。
本発明に用いられる構成要素[D]として好ましいアルコール化合物の具体例を以下に示す。なお、例示において、Bpは沸点(単位:℃)を示す。エチレングリコール(Bp=197:ナカライテスク(株)製)、1,2−プロパンジオール(Bp=187:アルドリッチジャパン(株)製)、1,3−プロパンジオール(Bp=214[760mmHg]:アルドリッチジャパン(株)製)、1,3−ブタンジオール(Bp=203〜204:アルドリッチジャパン(株)製)、1,4−ブタンジオール(Bp=230:アルドリッチジャパン(株)製)、1,5−ペンタンジオール(Bp=242:アルドリッチジャパン(株)製)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(Bp=208:和光純薬工業(株)製)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(Bp=197:アルドリッチジャパン(株)製)、1,4−シクロヘキサンジオール(Bp=150[20mmHg]:アルドリッチジャパン(株)製)、1,6−ヘキサンジオール(Bp=250:アルドリッチジャパン(株)製)、ジエチレングリコール(Bp=24245:アルドリッチジャパン(株)製)、トリエチレングリコール(Bp=125〜127[0.1mmHg]:アルドリッチジャパン(株)製)等の2価のアルコール;グリセリン(Bp=182[20mmHg]:アルドリッチジャパン(株)製)、ジグリセリン(Bp=265〜270[15mmHg]:和光純薬工業(株)製)、エリスリトール(Bp=329〜331:アルドリッチジャパン(株)製)、トリメチロールエタン(Bp=165〜171[6.5mmHg]:三菱化学(株))、トリメチロールプロパン(Bp=159〜161[2mmHg]:アルドリッチジャパン(株)製)、ペンタエリスリトール(Bp=276[[30mmHg]:アルドリッチジャパン(株)製)、ソルビトール(Bp=296:和光純薬工業(株)製)などの3価以上のアルコールなどが挙げられる。
中でも、1分子中に存在するプロトンの濃度が高いものが添加量が少なくても硬化促進効果を得ることができ、ガラス転移温度などの物性低下が少ないことから、3価以上のアルコール化合物であるグリセリンが構成要素[D]として好適に用いられる。
構成要素[D]の配合量は全エポキシ樹脂100質量部に対し、0.5〜5質量部の範囲とすることにより、得られるエポキシ樹脂組成物を使用してRTM法にて繊維強化複合材料を製造する場合に、構成要素[C]と併用することで、高温時の初期硬化反応(ゲル化時間)を早めることができる。構成要素[D]の配合量は、好ましくは1〜4質量部、より好ましくは2〜3質量部である。ここで、構成要素[D]の配合量が前記上限を超えると得られる硬化物のガラス転移温度が低下する傾向がある。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明のエポキシ樹脂組成物を加熱硬化することで得られる硬化物、ひいては繊維強化複合材料の破壊靭性を向上させるため、構成要素[E]としてコアシェルポリマー粒子を配合することができる。ここで、コアシェルポリマー粒子とは、架橋されたゴム状ポリマーまたはエラストマーを主成分とする粒子状コア成分の表面にコア成分とは異種のシェル成分ポリマーをグラフト重合することで粒子状コア成分の表面の一部あるいは全体をシェル成分で被覆したものであり、少量添加で硬化物の破壊靭性を大きく向上することが可能である。
航空機用途に使用される繊維強化複合材料は、特に高い高度で飛行する航空機の場合、−50℃以下という非常に低温の雰囲気下にさらされる。そのため、繊維強化複合材料には前述したガラス転移温度から極低温下までの環境疲労が蓄積し、繊維強化複合材料の内部にクラックが発生する場合がある。クラックが発生したまま、さらなる環境疲労が加わると、クラックはどんどん成長し、最後には繊維強化複合材料の機械物性を低下させてしまう可能性がある。環境疲労により発生するクラックを防止するためにはエポキシ樹脂硬化物の破壊靱性を高めることが効果的であり、特に極低温下における破壊靱性が重要になる。そのため、本発明のエポキシ樹脂組成物に好ましく使用されるコアシェルポリマー粒子のコア成分としては、該エポキシ樹脂組成物を硬化した硬化物のガラス転移温度より210℃以上、好ましくは220℃以上低いガラス転移温度を有していることが必要であり、具体的にはコア成分のガラス転移温度が−60℃以下である必要があり、共役ジエン系モノマーより構成される架橋ゴムが最適である。コア成分のガラス転移温度はコアシェルポリマー化した後では測定することが困難である場合、コア成分だけで重合体を作製し、得られた重合体についてDSC等の熱分析機器によってガラス転移温度を予め測定しても良い。
コアシェルポリマー粒子を構成するコア成分としては、共役ジエン系モノマー、アクリル酸および/またはメタクリル酸エステル系モノマーより選ばれる1種または複数種から重合されたポリマーまたはシリコーン樹脂などがあるが、特に共役ジエン系モノマーであるブタジエンを重合した架橋ポリブタジエンをコア成分として適用したものが、極低温下における破壊靭性の向上に優れているため好適に用いることができる。
コアシェルポリマー粒子を構成するシェル成分は、前記したコア成分にグラフト重合されており、コア成分を構成するポリマーと化学結合していることが好ましい。かかるシェル成分を構成する成分としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物等から選ばれた1種または複数種から重合された重合体である。
また、該シェル成分には分散状態を安定化させるために、本発明のエポキシ樹脂組成物と反応する官能基が導入されていることが好ましい。かかる官能基としては、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物に適用できるコアシェルポリマーとしては特に制限はなく、周知の方法で製造されたものを使用できる。しかしながら、通常コアシェルポリマーは塊状で取り出されたものを粉砕して粉体として取り扱われており、粉体状コアシェルポリマーを再度エポキシ樹脂中に分散させることが多いが、この方法では、一次粒子の状態で安定に分散させることが難しい。よって、コアシェルポリマーの製造過程から一度も塊状で取り出すことなく、最終的にはエポキシ樹脂中に一次粒子で分散したマスターバッチの状態で取り扱うことができるものが好ましく、例えば、特開2004−315572号公報に記載の方法、すなわち、コアシェルポリマーを乳化重合、分散重合、懸濁重合に代表される水媒体中で重合する方法で重合を行い、コアシェルポリマーが分散した懸濁液を得て、得られた懸濁液に水と部分溶解性を示す有機溶媒、例えばアセトンやメチルエチルケトンなどのエーテル系溶媒を混合後、水溶性電解質、例えば塩化ナトリウムや塩化カリウムを接触させ、有機溶媒層と水層を相分離させ、水層を分離除去して得られたコアシェルポリマー分散有機溶媒に適宜エポキシ樹脂を混合した後、有機溶媒を蒸発除去する方法などが使用できる。かかる製造方法で製造されたコアシェルポリマー分散エポキシマスターバッチとしては、株式会社カネカ社から市販されている“カネエース”(登録商標)を好適に使用できる。
本発明のエポキシ樹脂組成物にコアシェルポリマーを適用する場合、コアシェルポリマーは平均粒子径が体積平均粒子径で1〜500nmの範囲であれば、本発明のエポキシ樹脂組成物を炭素繊維あるいは炭素繊維を主成分とする織物に含浸させるときに、炭素繊維あるいは織物に含まれるその他の繊維によりコアシェルポリマー粒子が濾別されず、分散状態が変化しないため好ましく、3〜300nmであればさらに好ましい。なお、体積平均粒子径は、例えば、ナノトラック粒度分布測定装置(日機装(株)製)を用いて測定することができる。
構成要素[E]の配合量は全エポキシ樹脂100質量部に対し、1〜5質量部配合されることが好ましく、より好ましくは1.5〜4.5質量部、さらに好ましくは2〜4質量部配合することである。配合量が1〜5質量部の範囲であれば、得られるエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなることを抑えながら、熱硬化して得られる硬化物、ひいては、本発明のエポキシ樹脂組成物を適用した繊維強化複合材料の破壊靭性を向上することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、加熱硬化して得られる硬化物、ひいては該硬化物と強化繊維とで構成される繊維強化複合材料の物性を著しく低下させない範囲で可塑剤、染料、有機顔料や無機充填材、高分子化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、カップリング剤、界面活性剤などを適宜配合することもできる。
エポキシ樹脂組成物には一般に、エポキシ樹脂と硬化成分を予め配合して提供している一液型のものと、エポキシ樹脂と硬化成分を別々に提供し、使用者が使用直前に両者を混合する二液型のものが存在する。
一液型のエポキシ樹脂組成物の場合、保管中にも硬化反応が進行するため硬化成分は反応性の低く、固形状のものを選択する場合が多い。しかしながら、室温中では少しずつ硬化反応が進行するため冷凍保管が必要になり、管理費用が増加する。また、固形状の硬化成分を使用するため、強化繊維に一液型エポキシ樹脂組成物を含浸させるためにはプレスロールを使用して高い圧力で押し込む必要があり製造コストも増加する。
一方、二液型のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂を主成分とする主剤と硬化成分を主成分とする硬化剤を別々に保管するため、保管条件に特に制限なく長期保管も可能である。また、主剤および硬化剤とも液状のものとすることで、主剤と硬化剤を混合した混合物も低粘度な液状とすることができ、RTM法などの簡便な方法で強化繊維に含浸、成形まで行うことができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は一液型および二液型に特に限定されるものではないが、前述した利点から二液型が推奨される。
かかる観点から、本発明のエポキシ樹脂組成物は、構成要素[A]を主成分とする主剤と、構成要素[B]、[C]および[D]を主成分とする硬化剤とを混合する工程を含む製造方法で製造することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を二液型として、構成要素[E]を配合する場合、構成要素[E]は市販品ではエポキシ樹脂でマスター化されていることが多いことに鑑み、構成要素[E]を全エポキシ樹脂100質量部に対して1〜5質量部の配合量で配合したものを主剤とすることが望ましい。また、前述したその他の成分は主剤を構成する成分および硬化剤を構成する成分と反応性を示さない限りどちらに配合しても問題ない。主剤を構成する成分または硬化剤を構成する成分のどちらかと反応性を示す場合は、反応性を示さない方に配合することが望ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を二液型とする場合、主剤の粘度は70℃において500mPa・s以下とすることで容器からの取り出し、計量、硬化剤との混合、あるいは脱気処理などの作業性が容易になり、得られるエポキシ樹脂組成物の粘度も下げることができるため好ましく、より好ましくは400mPa・s以下である。なお、粘度の測定はJIS Z8803(2011)における「円すい−板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装備したE型粘度計(東機産業(株)製、TVE−30H)を使用して、回転速度20回転/分で測定する。主剤の70℃における粘度を500mPa・s以下にするためには、分子量が500以上のエポキシ樹脂を、主剤100質量部中に好ましくは30質量部以上配合せず、コアシェルポリマーのような粒子状添加剤を15質量部以上配合しないことである。主剤の70℃における粘度の下限は特に制限なく、粘度が低いほどRTM法におけるエポキシ樹脂組成物の注入含浸が容易になり好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物を二液型とする場合、硬化剤の粘度は70℃において500mPa・s以下とすることで、器からの取り出し、計量、主剤との混合、あるいは脱気処理などの作業性が容易になり、得られるエポキシ樹脂組成物の粘度も下げることができるため好ましく、より好ましくは400mPa・s以下である。なお、粘度の測定は前述した主剤粘度の測定方法と同様である。硬化剤の70℃における粘度を500mPa・s以下にするためには、前述したように本発明に使用する構成要素[B]において、ジアミノジフェニルスルホンの配合量を全芳香族アミン100質量部中に40質量部を越えて配合せず、コアシェルポリマーのような粒子状添加剤を15質量部以上配合しないことである。硬化剤の70℃における粘度の下限は特に制限なく、粘度が低いほどRTM法におけるエポキシ樹脂組成物の注入含浸が容易になり好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いた繊維強化複合材料の製造方法として、例えばハンドレイアップ法、ホットメルト含浸プリプレグ法、ウェット含浸プリプレグ法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法などの方法を用いることは可能であるが、本発明のエポキシ樹脂組成物は、特にRTM法を利用した繊維強化複合材料の製造に好適に用いることができる。RTM法とは、強化繊維からなる繊維基材あるいはプリフォームを成形型内に設置し、その成形型内に液状のマトリックス樹脂を注入して強化繊維に含浸させ、その後に加熱して該マトリックス樹脂を硬化させて、成形品である繊維強化複合材料を得る方法である。
強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維等が好適に用いることができるが、本発明では特に軽量かつ高性能な繊維強化複合材料が得られる点で、炭素繊維を用いる。
本発明における炭素繊維としては、具体的にはアクリル系、ピッチ系およびレーヨン系等の炭素繊維が挙げられ、特に引張強度の高いアクリル系の炭素繊維が好ましく用いられる。炭素繊維の形態としては、有撚糸、解撚糸および無撚糸等を使用することができるが、繊維強化複合材料の成形性と強度特性のバランスが良いため、解撚糸または無撚糸が好ましく用いられる。
炭素繊維の弾性率は、成形された構造部材の特性と重量との観点から、200GPa〜400GPaの範囲とすることで、構造部材に十分な剛性を付与することができ、ひいては部材の軽量化が可能となるため好ましく、より好ましくは250GPa〜370GPaの範囲である。なお、炭素繊維の弾性率が前記範囲の上限より高くなる場合、炭素繊維の強度が低下する傾向がある。ここで、炭素繊維の引張弾性率は、JIS R7601(2006)に従い測定される。
本発明において強化繊維からなる繊維基材は、強化繊維単独または複数種、さらには必要に応じ他の化学繊維などと組み合わせたものから成り、その形態としては、繊維方向がほぼ同方向に引き揃えられたものや、織物、ニット、ブレイドおよびマット等を使用することができるが、特に、高力学物性および強化繊維の体積含有率が高い繊維強化複合材料が得られるという点で、強化繊維が実質的に一方向に配向されており、ガラス繊維または化学繊維で固定されたいわゆる一方向織物が好ましく用いられる。尚、化学繊維とは、人工的に作り出した繊維であり、詳しくは再生繊維、半合成繊維、合成繊維、無機繊維に区分される。再生繊維とは木材パルプやコットンリンターに含まれるセルロースを一度薬品で溶かし、繊維に再生したものであり、例えば、レーヨン、ポリノジック、キュブラなどが用いることができる。半合成繊維とは、セルロースやタンパク質のような天然に得られる材料に化学薬品を作用させたものを原料として製造した繊維であり、例えば、アセテート、トリアセテート、プロミックスなどが用いることができる。合成繊維とは、石油などを原料として化学的に合成して製造されたものであり、例えば、ポリエステル、アクリル、ナイロン(ポリアミド)、ビニロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ビニリデン、ポリウレタンなどが用いることができる。化学繊維の中でも、合成繊維であるナイロン(ポリアミド)はエポキシ樹脂との接着性にも優れるため好適に用いることができる。
繊維強化複合材料の成形方法としてRTM法を適用する場合、剛体からなるクローズドモールド内に強化繊維基材からなるプリフォームを配置して加熱し、そこに本発明のエポキシ樹脂組成物を注入、硬化して繊維強化複合材料を得ることができる。RTM法において、エポキシ樹脂組成物を注入するときは好適には40〜90℃の範囲での任意温度において行なう。そのためRTM法に適したエポキシ樹脂組成物は二液型の場合、主剤と硬化剤を混合してからの5分以内の粘度は70℃において500mPa・m以下であることが好ましく、より好ましい粘度は300mPa・s以下である。なお、本発明において粘度の測定はJIS Z8803(2011)における「円すい−板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装備したE型粘度計(例えば、東機産業(株)製、TVE−30H)を使用して、回転速度20回転/分で測定する。また、注入温度において、注入するエポキシ樹脂組成物の反応性が高いと、注入過程で粘度が増加してしまい成形が困難になる場合がある。そのため、注入するエポキシ樹脂組成物の粘度が70℃の温度において1000mPa・sに達する時間が60分以上であることが好ましく、より好ましくは90分以上である。本発明のエポキシ樹脂組成物は、かかるRTM法に適用するエポキシ樹脂組成物としての要求特性を満足し得るものとなる。なお、剛体としてはスチールやアルミニウム等の金属、繊維強化プラスチック(FRP)、木材および石膏など既存の各種のものが用いられる。
航空機用の部材を想定した場合、硬化成分として芳香族ジアミンを適用した場合は、通常、硬化条件は180℃の温度で1〜10時間硬化する場合が多い。
しかしながら、成形型を使用するRTM法の場合、成形型の占有時間が長いと、最終的な繊維強化複合材料を得られるまでの時間が長くなって得られる収量が少なくなり、ひいては成形コストが増加するため好ましくなく、従来の検討においては硬化触媒を配合し、かつ複数の加熱条件を組み合わせた多段階硬化条件を採用し、なるべく型占有時間を少なくする取り組みがなされてきたが不十分であった。
本発明のエポキシ樹脂組成物により、ゲル化時間を6分以下、好ましくは4.5分以下とすることで、型占有時間を大幅に少なくすることが可能となる。なお、エポキシ樹脂組成物のゲル化時間の測定はキュラストメーターV型(JSRトレーディング(株)製)などのキュラストメーターを用い、次の通り測定できる。すなわち、エポキシ樹脂組成物2cmをサンプルとして準備し、予め180℃の温度に加温したキュラストメーターの金型測定部に充填後、すぐに型締めを行って測定を開始する。1時間測定を行った後、得られたトルクの経時変化から、測定開始からトルクが0.001N・mに達した時間をゲル化時間とした。
具体的な成形方法としては例えば、剛体からなるクローズドモールド内に強化繊維基材からなるプリフォームを配置して180℃まで加熱する。このとき、注入口とは別に吸引口を設け、真空ポンプに接続して吸引することも可能である。また、樹脂の含浸を速くする場合は樹脂拡散媒体を用いることが有効である。さらに、強化繊維からなる繊維基材あるいはプリフォームの設置に先立って、剛体型の表面にゲルコートを塗布することも好ましく行われる。続いて本発明のエポキシ樹脂組成物の注入が行われた後に、加熱硬化が行われる。加熱時間はゲル化時間〜ゲル化時間+10分程度である。加熱硬化が完了した後、脱型して繊維強化複合材料を取り出す。その後、得られた繊維強化複合材料を、複数枚まとめて熱風乾燥機に移し、180〜200℃の温度範囲にて1〜4時間後硬化を行うことにより、優れた特性を有する繊維強化複合材料を効率よく得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を航空機用部材の用途へ適用する場合、例えば180℃の温度下で2時間かけて加熱硬化した硬化物のガラス転移温度は155〜195℃の範囲であれば、該エポキシ樹脂組成物を用いた繊維強化複合材料の力学特性の低下を抑えることができるため好ましく、より好ましくは160〜190℃である。なお、ガラス転移温度はJIS K7121(1987)に記載のある中間点ガラス転移温度の求め方に従い行った。一般的にエポキシ樹脂組成物の硬化物は240℃付近で熱分解を開始するため、230℃以上で力学特性の著しい低下が起こる可能性がある。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物を180℃の温度下で2時間かけて加熱硬化した硬化物の25℃の温度における破壊靱性(モードIにおける臨界応力拡大係数:KIc)が0.6MPa/m0.5以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.7MPa/m0.5以上である。25℃の温度におけるKIcを0.6MPa/m0.5以上とすることで、該エポキシ樹脂組成物を適用した繊維強化複合材料を繰り返し使用することで発生する疲労による力学特性の低下および、破損を抑制でき、優れた疲労特性の繊維強化複合材料が得られる。25℃の温度におけるKIcの上限に特に制限はなく、この値が大きいほど該エポキシ樹脂組成物を適用した繊維強化複合材料の疲労特性が向上する。一般的に、エポキシ樹脂は硬化温度が高いほど架橋反応が進み、得られる硬化物中の架橋密度が増加するため脆くなる傾向にある。なお、破壊靱性(KIc)試験は、ASTM D5045−99に記載の試験片形状に加工を行なった後、ASTM D5045−99に従い行なうことができる。
本発明の繊維強化複合材料は、特定の組成を有するエポキシ樹脂組成物を用いているので、優れた成形性を有し、かつ、そのエポキシ樹脂組成物の硬化物は破壊靭性が優れ、耐マイクロクラック(環境疲労)耐性を有している。特に構成要素[E]を用いた組成では、その性能は顕著に現れる。
特に航空機用構造材料においては、上限温度71℃から下限温度−54℃における環境下において、離着陸を繰り返すので、この温度領域でのマイクロクラック耐性が重要視される。例えば、5年間の就航における保証の目安が条件A(温度上限値71℃、温度下限値−54℃、各温度での保持時間3分間、昇降温速度1分間に10℃)による熱サイクルの2000サイクル試験に相当するので、この条件下での試験結果が重要視されており、かかる条件における熱サイクル試験において、2000サイクルの時点でマイクロクラック発生数を10個以下とすることで、密集して発生したマイクロクラックが、繰り返し負荷を受けることによって隣接するクラックと結合し、繊維束を横断するクラック、所謂トランスバースクラックへと成長し、一定疲労付与後の圧縮特性が著しく低下することを防ぐことができるため好ましい。
本発明の繊維強化複合材料は、強化繊維の体積含有率が高いため軽く、機械物性に優れており、特に環境疲労に対する耐性が非常に高いため、胴体、主翼、尾翼、動翼、フェアリング、カウル、ドア、座席および内装材などの航空機部材、モーターケースおよび主翼などの宇宙機部材、構体およびアンテナなどの人工衛星部材、外板、シャシー、空力部材および座席などの自動車部材、構体および座席などの鉄道車両部材、船体および座席などの船舶部材など多くの構造材料に好適に用いることができる。
以下、実施例によって、本発明について、さらに具体的に説明する。なお、組成比の単位「部」は、特に注釈のない限り「質量部」を意味する。
<実施例・比較例で用いられた材料>
(1)構成要素[A]:エポキシ樹脂
・“Araldite”(登録商標)MY721(N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、分子量:450、ハンツマン・ジャパン(株)製)
・GAN(N,N−(ジグリシジル)アニリン、分子量:205、日本化薬(株)製)
・“jER”(登録商標)630(N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、分子量:277、三菱化学(株)製)
・“jER”(登録商標)825(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、分子量:380、三菱化学(株)製)
・“カネエース”(登録商標)MX416(“Araldite”(登録商標)MY721:75部/コアシェルポリマー粒子(体積平均粒子径:100nm、コア成分:架橋ポリブタジエン(ガラス転移温度:−70℃)、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25部のマスターバッチ)
(2)構成要素[B]:ジエチルトルエンジアミンとジアミノジフェニルスルホンの両方を含む芳香族ジアミン
・“Aradur”(登録商標)5200(ジエチルトルエンジアミン、ハンツマン・ジャパン(株)製)
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、小西化学工業(株)製)
・“セイカキュア”(登録商標)S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、セイカ(株)製)
(3)構成要素[C]:単環多価フェノール化合物
・“DIC”(登録商標)TBC(t−ブチルカテコール、DIC(株)製)
(4)構成要素[D]:1分子中に炭素数2〜6で構成される主鎖と2個以上の水酸基を有するアルコール化合物
・グリセリン(和光純薬工業(株)製)
・エチレングリコール(ナカライテスク(株)製)
・ソルビトール(和光純薬工業(株)製)
(5)構成要素[D]の比較材料:構成要素[D]の規定外のアルコール化合物
・エタノール(和光純薬工業(株)製)
・オクタンジオール(和光純薬工業(株)製)
(6)構成要素[E]:コアシェルポリマー粒子
・“カネエース”(登録商標)MX416(“Araldite”(登録商標)MY721:75部/コアシェルポリマー粒子(体積平均粒子径:100nm、コア成分:架橋ポリブタジエン(ガラス転移温度:−70℃)、シェル:PMMA/グリシジルメタクリレート/スチレン共重合物):25部のマスターバッチ)
<エポキシ樹脂組成物の粘度測定>
エポキシ樹脂組成物の粘度は、JIS Z8803(2011)における「円すい−板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装備したE型粘度計(東機産業(株)製、TVE−30H)を使用して、回転速度20回転/分にて所定温度での粘度を測定した。
混合物の主剤と硬化剤を混合してから5分以内に行ったものを初期粘度とした。
<エポキシ樹脂組成物のゲル化時間>
エポキシ樹脂組成物2cmをサンプルとして準備し、予め180℃の温度に加温したキュラストメーターの金型測定部に充填後、すぐに型締めを行って測定を開始する。1時間測定を行った後、得られたトルクの経時変化から、測定開始からトルクが0.001N・mに達した時間をゲル化時間とした。なおキュラストメーターにはキュラストメーターV型(JSRトレーディング(株)製)を用いた。
<樹脂硬化物のガラス転移温度の測定方法>
得られた樹脂硬化板の小片(5〜10mg)をJIS K7121(1987)に従い、DSC法で中間点ガラス転移温度を求めた。測定装置には示差走査熱量計DSC Q2000(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて窒素ガス雰囲気下において昇温速度40℃/分で測定した。
<樹脂硬化物の破壊靭性(KIc)の測定方法>
エポキシ樹脂組成物を所定の型枠内に注入し、熱風オーブン中で室温から180℃の温度まで1分間に1.5℃ずつ昇温した後、180度℃の温度で2時間保持して6mm厚の樹脂硬化版を作製した。得られた樹脂硬化板を、ASTM D5045−99に記載の試験片形状に加工を行なった後、ASTM D5045−99に従って破壊靱性(KIc)試験を行なった。
<炭素繊維からなる繊維基材の製造>
各実施例・比較例で用いた繊維基材は次のように作製した。炭素繊維束“トレカ”(登録商標)T800S−24K−10E(東レ(株)製、PAN系炭素繊維、フィラメント数:24,000本、繊度:1,033tex、引張弾性率:294GPa)を経糸として1.8本/cmの密度で引き揃え、これに平行、かつ交互に配列された補助経糸としてガラス繊維束ECDE−75−1/0−1.0Z(日東紡(株)製、フィラメント数:800本、繊度:67.5tex)を1.8本/cmの密度で引き揃えて一方向性シート状強化繊維束群を形成した。緯糸としてガラス繊維束E−glassヤーンECE−225−1/0−1.0Z(日東紡(株)製、フィラメント数:200本、繊度:22.5tex)を用い、前記一方向性シート状強化繊維束群に直交する方向に3本/cmの密度で配列し、織機を用いて補助経糸と緯糸が互いに交差するように織り込み、実質的に炭素繊維が一方向に配列されクリンプがない、一方向性ノンクリンプ織物を作製した。なお、得られた強化繊維織物の炭素繊維束繊度に対する緯糸の繊度割合は2.2%、補助経糸の繊度割合は6.5%であり、炭素繊維の目付は192g/mであった。
<繊維強化複合材料の試験体の製造>
各実施例・比較例では、RTM法で繊維強化複合材料を作製した。前記で得られた繊維基材の炭素繊維の長手方向を0度とし、同配向方向に12枚積層してプリフォームを作製した。得られたプリフォームに、各実施例・比較例で得られたエポキシ樹脂組成物を注入含浸した後、180℃の温度下で加熱硬化する。加熱時間はゲル化時間〜ゲル化時間+10分程度である。加熱硬化が完了した後、脱型して繊維強化複合材料を取り出す。その後、得られた繊維強化複合材料を、複数枚まとめて熱風乾燥機に移し、180℃の温度下にて2時間後硬化を行い試験体の繊維強化複合材料とした。
<繊維強化複合材料のマイクロクラック測定方法>
各実施例・比較例で得られた繊維強化複合材料試験体の補強繊維方向を0度方向として、75mm×50mmの寸法にダイヤモンドカッターで切断した。得られた試験片を市販の恒温恒湿槽と環境試験機を用いてa.b.c.の手順に示すような環境条件にさらした。
a.市販の環境試験機を用いて、49℃、95%/RHの環境に12時間暴露する。
b.暴露後に、市販の環境試験機に移し、まず−54℃の環境下に1時間暴露する。その後71℃まで10℃±2℃/分の昇温速度で71℃まで昇温させる。昇温後71℃で5分±1分保持した後、10℃±2℃/分で−54℃まで降温させ、−54℃で5分±1分保持する。この−54℃から71℃まで昇温しまた−54℃まで降温させるサイクルを1サイクルと定義し、このサイクルを200回繰り返す。
c.上記の恒温恒湿槽での環境暴露および環境試験機でのサイクルをあわせて1ブロックと定義し、5ブロック繰り返す。
上記の環境暴露を行ったCFRP試験体の縦方向の中央から±10mmの領域から幅25mmを切り出し、切り出し面を観察面として研磨し、市販の顕微鏡を用いて200倍の倍率で観察面を観察し発生しているクラックの数を計測した。
<実施例1>
下記の処方により、エポキシ樹脂組成物を得た。なお、得られたエポキシ樹脂組成物は二液型の形態であり、使用前に主剤と硬化剤を混合して使用した。
(主剤の調整)
混練容器中に表1に記載の構成要素[A]および構成要素[E]を投入し70℃で加熱混練を行い、エポキシ樹脂組成物の主剤を得た。
(硬化剤の調整)
混練容器中に表1に記載の構成要素[B]を投入し、よく撹拌し100℃で加熱混練し、均一に溶解させた。次いで60〜80℃に温度を冷却し、構成要素[C]を投入した。構成要素[C]が完全に溶解したところで構成要素[D]を投入してエポキシ樹脂組成物の硬化剤を得た。
全エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基数と全ての芳香族ジアミンに含まれる活性水素数との比が表1になるように主剤と硬化剤を配合しエポキシ樹脂組成物を得た。
得られたエポキシ樹脂組成物を前記方法にて粘度測定を行った結果、主剤105部に対して硬化剤43.6部混合した混合物の70℃における初期粘度は118mPa・sであり、1000mPa・sに達するまでの時間は162分であった。キュラストメーターでの180℃ゲル化時間を測定すると、4.8minであった。
得られた混合物を用いて、前記方法にて樹脂硬化物を作製し、ガラス転移温度を測定した結果172℃、樹脂破壊靱性KIcは0.73J/mであり、RTM成形により作製される繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に適していた。
得られたエポキシ樹脂組成物と<炭素繊維からなる繊維基材の製造>で製造された繊維基材を用いて、<繊維強化複合材料の試験体の製造>に記載した方法にて繊維強化複合材料を作製し、得られた繊維強化複合材料を<繊維強化複合材料のマイクロクラック測定方法>に従って測定した結果、マイクロクラック発生数の累計は0個であり、良好な繊維強化複合材料が得られた。
<実施例2〜9>
表1に示すように組成を変更した以外は実施例1と同様に主剤、硬化剤を調整し、使用前に混合してエポキシ樹脂組成物を得た後、各種測定を行なった。
各種測定の結果は表1−1に示す通りであり、実施例2〜9のように材料や配合比を所定の範囲で変動させても樹脂特性に問題なく、RTM成形により作製される繊維強化複合材料のマトリックス樹脂に適していた。
得られたエポキシ樹脂組成物と<炭素繊維からなる繊維基材の製造>で製造された繊維基材を用いて、<繊維強化複合材料の試験体の製造>に記載した方法にて繊維強化複合材料を作製し、得られた繊維強化複合材料を<繊維強化複合材料のマイクロクラック測定方法>に従って測定した結果、実施例7および8でマイクロクラック発生数が若干数増えたがいずれも問題のないレベルであり、良好な繊維強化複合材料が得られた。
<比較例1〜7>
表2に示すように組成を変更した以外は実施例1と同様に主剤、硬化剤を調整し、使用前に混合してエポキシ樹脂組成物を得た後、各種測定を行なった。
比較例1および2は構成要素[C]および[D]を併用せず、どちらか一つしか配合していないため、実施例1と比べて初期硬化性が悪く、ゲル化時間が遅いことが分かる。
比較例3は構成要素[D]が本発明で規定した範囲を外れているため、ガラス転移温度が低いことがわかる。
比較例4は構成要素[C]、[E]が本発明で規定した範囲から外れており、70℃における粘度が1000mPa・sに達する時間が60分以下であり、また、樹脂破壊靭性値が低下していることが分かる。
比較例5および6は構成要素[D]のアルコール化合物の構成が規定から外れているため、実施例1と比べて樹脂組成物の初期硬化性が悪く、ゲル化時間が遅いことが分かる。
比較例7は全エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基数と、全ての芳香族ジアミンに含まれる活性水素数との比が本発明で規定した範囲を外れているため、ガラス転移温度が低いことが分かる。
各比較例で得られたエポキシ樹脂組成物と<炭素繊維からなる繊維基材の製造>で製造された繊維基材を用いて、<繊維強化複合材料の試験体の製造>に記載した方法にて繊維強化複合材料を作製し、得られた繊維強化複合材料を<繊維強化複合材料のマイクロクラック測定方法>に従って測定した結果、比較例4ではマイクロクラック発生数の累計が18個であり、耐久性に大きな不安の残る繊維強化複合材料が得られた。残る比較例1〜3および5〜7に関しては、マイクロクラック発生数は問題ないレベルであった。
以上の実施例および比較例について、実験条件および特性測定結果を表1および表2にまとめた。
Figure 2014227473
Figure 2014227473

Claims (11)

  1. 少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]および[D]を含み、構成要素[B]の配合量が全エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基数と、全ての芳香族ジアミンに含まれる活性水素との比で1:0.7〜1.3となる量であり、構成要素[C]の配合量が全エポキシ樹脂100質量部に対して0.5〜3質量部であり、構成要素[D]の配合量が全エポキシ樹脂100質量部に対して0.5〜5質量部である、複合材料用エポキシ樹脂組成物。
    [A]エポキシ樹脂
    [B]ジエチルトルエンジアミンとジアミノジフェニルスルホンの両方を含む芳香族ジアミン
    [C]単環多価フェノール化合物
    [D]1分子中に炭素数2〜6で構成される主鎖と2個以上の水酸基を有するアルコール化合物
  2. ジアミノジフェニルスルホンが3,3’−ジアミノジフェニルスルホンと4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを併用したものである、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 構成要素[B]100質量部に対してジエチルトルエンジアミンが60〜90質量部、ジアミノジフェニルスルホンが10〜40質量部配合されている、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物
  4. 全エポキシ樹脂100質量部に対して1〜5質量部の配合量で次の構成要素[E]を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
    [E]コアシェルポリマー粒子
  5. 構成要素[C]がt−ブチルカテコールである、請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 構成要素[D]が、その常圧下での沸点が150℃以上である、請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 構成要素[D]がグリセリンである、請求項1〜6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物を製造する方法であって、構成要素[A]を主成分とする主剤と、構成要素[B]、[C]および[D]を主成分とする硬化剤とを混合する工程を含む、エポキシ樹脂組成物の製造方法。
  9. 次の構成要素[E]を全エポキシ樹脂100質量部に対して1〜5質量部の配合量で主剤に含む、請求項8に記載のエポキシ樹脂組成物の製造方法。
    [E]コアシェルポリマー粒子
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物または請求項8もしくは9に記載の製造方法で製造されたエポキシ樹脂組成物の硬化物と炭素繊維から構成される繊維強化複合材料。
  11. 炭素繊維を主成分とする織物を型内に配置し、請求項1〜7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物または請求項8もしくは9に記載の製造方法で製造されたエポキシ樹脂組成物を注入して含浸させた後、加熱硬化させる、繊維強化複合材料の製造方法。
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