JP2004035702A - 繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料および繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents
繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料および繊維強化複合材料の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】高耐熱性と高靭性とを両立し、なおかつ、強化繊維への含浸性が十分である程度の低粘度であり、高耐熱性と引張強度やCAIなどの機械特性に優れた繊維強化複合材料を得るのに有用なエポキシ樹脂組成物及び繊維強化材料を提供する。
【解決手段】少なくとも、次の構成要素Aと構成要素Bとを含む繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物である。(A)次の一般式(I)で表されるエポキシ樹脂(B)ポリアミン
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜8のアルキル基、アリール基のいずれかを示し、それぞれのR1は互いに同一であっても異なっていてもよい。mは1〜4の整数であり、nは0〜4の整数である。)
繊維強化複合材料の製造方法は、型内に配置した強化繊維基材に、上記エポキシ樹脂組成物を注入し、含浸させた後、加熱して硬化させることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも、次の構成要素Aと構成要素Bとを含む繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物である。(A)次の一般式(I)で表されるエポキシ樹脂(B)ポリアミン
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜8のアルキル基、アリール基のいずれかを示し、それぞれのR1は互いに同一であっても異なっていてもよい。mは1〜4の整数であり、nは0〜4の整数である。)
繊維強化複合材料の製造方法は、型内に配置した強化繊維基材に、上記エポキシ樹脂組成物を注入し、含浸させた後、加熱して硬化させることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材などに好適に用いられる繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として用いられる繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
強化繊維とマトリックス樹脂の樹脂硬化物とからなる繊維強化複合材料は、軽量でありながら、優れた機械特性を有するため、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材、鉄道車両部材、船舶部材、スポーツ用品などに広く用いられている。
【0003】
繊維強化複合材料のマトリックス樹脂としては、高耐熱性、高弾性率、低硬化収縮率、高耐薬品性などの優れた特性を有するエポキシ樹脂がよく用いられている。
【0004】
エポキシ樹脂の硬化剤としては、ポリアミン、酸無水物、イミダゾール類などが用いられるが、ポリアミンは種類が豊富であり、用途に応じた選択が容易であることから、繊維強化複合材料用によく用いられている。
【0005】
マトリックス樹脂の樹脂硬化物の耐熱性や機械特性は、繊維強化複合材料の耐熱性や機械特性に大きく影響を与える。このため、樹脂硬化物の耐熱性や機械特性を高める技術が重要である。なかでも、繊維強化複合材料を航空機部材、宇宙機部材、自動車部材などに用いる場合、繊維強化複合材料が高耐熱性でありながら引張強度やCAI(衝撃後圧縮強度)などの機械特性が優れることが求められる。繊維強化複合材料の耐熱性は樹脂硬化物の耐熱性と正の相関があり、また、繊維強化複合材料の引張強度やCAIは樹脂硬化物の靭性と正の相関があることから、樹脂硬化物において、高耐熱性と高靭性とを両立することが極めて重要である。
【0006】
樹脂硬化物を高靭性化する方法の1つとして、熱可塑性樹脂やゴムなどの高分子化合物を添加する方法が挙げられる。ところが、高分子化合物の添加量を多くすると、靭性は高まるものの、樹脂組成物の粘度が高くなり、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法、RTM(ResinTransfer Molding)法などの、強化繊維に液状の熱硬化性樹脂組成物を含浸させる工程を含む製造方法への適用は困難であった。
【0007】
樹脂硬化物を高靭性化する別の方法には、鎖長の長いエポキシ樹脂を配合し、架橋密度を低減する方法が挙げられる。この方法は、粘度への影響が小さく、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、RTM法などの製造方法への適用が可能である。ところが、従来の鎖長の長いエポキシ樹脂を配合すると、樹脂硬化物の耐熱性が低下するという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高耐熱性と高靭性とを両立し、なおかつ、強化繊維への含浸性が十分である程度の低粘度であり、高耐熱性と引張強度やCAIなどの機械特性に優れた繊維強化複合材料を得るのに有用なエポキシ樹脂組成物を提供すること。また、高耐熱性と引張強度やCAIなどの機械特性に優れた繊維強化複合材料、およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、少なくとも次の構成要素Aと構成要素Bとを含む繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物をその特徴とする。
【0010】
(A)次の一般式(I)で表されるエポキシ樹脂
(B)ポリアミン
【0011】
【化11】
【0012】
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜8のアルキル基、アリール基のいずれかを示し、それぞれR1は互いに同一であっても異なっていてもよい。mは1〜4の整数であり、nは0〜4の整数である。)
また、本発明の繊維強化複合材料は、上記エポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物と強化繊維とからなるものである。
【0013】
また、本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、型内に配置した強化繊維基材に、本発明の上記エポキシ樹脂組成物を注入し、含浸させた後、加熱して硬化させることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明者はかかる課題に鑑み鋭意検討した結果、比較的長い剛直な骨格によりエポキシ基間が結ばれた、一般式(I)で表されるエポキシ樹脂を配合することにより、耐熱性の低下を抑えながら、架橋密度の低減により樹脂硬化物を高靭性化できることを見出した。さらに、一般式(I)で表されるエポキシ樹脂を配合したエポキシ樹脂組成物は低粘度であり、強化繊維への含浸性が優れることを見出した。また、本発明のエポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物と強化繊維とからなる繊維強化複合材料は、高耐熱性でありながら引張強度やCAIなどの機械特性に優れることを見出した。
【0015】
本発明において、エポキシ樹脂とは、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を指す。また、エポキシ樹脂組成物とは、エポキシ樹脂、ポリアミン、および必要に応じて添加される硬化促進剤とを含む未硬化の組成物を指し、樹脂硬化物とはエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を指す。
【0016】
一般式(I)で表されるエポキシ樹脂のR1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜8のアルキル基、アリール基を示し、それぞれのR1は互いに同一であっても異なっていてもよい。R1が炭素数9以上のアルキル基であると、樹脂硬化物の耐熱性が低下する場合がある。
【0017】
また、一般式(I)で表されるエポキシ樹脂のmは1〜4の整数であり、より好ましくは2または3である。mが0であると、樹脂硬化物において、エポキシ基間を結ぶ骨格の長さが短く、架橋密度の低減が不十分となるため、靭性が不足する場合がある。mが5以上であると、エポキシ樹脂組成物が高粘度となるために、強化繊維への含浸性が不十分となる場合がある。
【0018】
また、一般式(I)で表されるエポキシ樹脂のnは0〜4の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。nが5以上であると、エポキシ樹脂組成物が高粘度となるために、強化繊維への含浸性が不十分となる場合がある。
【0019】
本発明において、一般式(I)で表されるエポキシ樹脂の配合量は、全エポキシ樹脂100wt%に対して10〜60wt%であることが好ましく、さらには20〜40wt%であることが好ましい。10wt%より小さいと、樹脂硬化物において、架橋密度の低減が不十分となるため、靭性が不足する場合があり、60wt%より大きいと、エポキシ樹脂組成物が高粘度となるため、強化繊維への含浸性が不十分となる場合がある。
【0020】
本発明において、構成要素A以外のエポキシ樹脂を、構成要素Cとして含むことができる。
【0021】
構成要素Cの具体例としては、ポリオールより誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、複数活性水素を有するアミンより誘導されるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸より誘導されるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、分子内に複数の2重結合を有する化合物を酸化して得られるエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0022】
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサヒドロビスフェノールA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、レゾルシノール、ヒドロキノン、2,6−ビス−tert−ブチルヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ひまし油などのポリオールとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエーテルが好適に用いられる。
【0023】
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、4,4−ジアミノジフェニルメタン、m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、アニリン、トルイジン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンなどをエピクロロヒドリンと反応させて得られるグリシジルアミンが好適に用いられる。
【0024】
さらに、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、4−アミノ−3−メチルフェノールなどのアミノフェノール類の水酸基とアミノ基の両方をエピクロロヒドリンと反応させて得られるエポキシ樹脂も好適に用いられる。
【0025】
グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸などをエピクロロヒドリンと反応させて得られるグリシジルエステルが好適に用いられる。
【0026】
分子内に複数の2重結合を有する化合物を酸化して得られるエポキシ樹脂としては、分子内にエポキシシクロヘキサン環を有するエポキシ樹脂が挙げられる。さらにこのエポキシ樹脂としては、エポキシ化大豆油等も挙げられる。
【0027】
これら以外にもトリグリシジルイソシアヌレートのようなエポキシ樹脂などが好適に用いられる。
【0028】
さらに上記に挙げたエポキシ樹脂を原料として合成されるエポキシ樹脂、たとえば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリレンジイソシアネートからオキサゾリドン環生成反応により合成されるエポキシ樹脂なども好適に用いられる。
【0029】
なかでも、樹脂硬化物の耐熱性を高めるために、構成要素Cとして3官能以上の芳香族エポキシ樹脂を用いることが好ましい。なお、3官能以上のエポキシ樹脂の配合量(複数種用いる場合はその合計)は、全エポキシ樹脂100wt%に対して10〜50wt%であることが好ましく、さらには20〜40wt%であることが好ましい。10wt%より小さいと、樹脂硬化物の耐熱性が不足する場合があり、50wt%より大きいと、樹脂硬化物の架橋密度が過度に大きくなり、靭性が不足する場合がある。
【0030】
3官能以上の芳香族エポキシ樹脂としては、低粘度でありながら、高耐熱性の樹脂硬化物が得られることから、テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−m−アミノフェノール、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンを用いるのが好ましい。
【0031】
本発明において、構成要素Aと構成要素Cとを含むエポキシ樹脂の混合物が均一な液状であることが好ましい。構成要素A、構成要素Cの一部が固形である場合には、他の液状エポキシ樹脂に加熱しながら溶解させるなどの手段により、均一な液状にすることが好ましい。本発明において、液状とは、含浸温度において容易に強化繊維に含浸できる程度の粘度、具体的には1000mPa・s以下の液体であることを指す。通常、含浸温度は70℃程度とすることが多いので、本発明に用いるエポキシ樹脂の混合物は、70℃における粘度が1000mPa・s以下であることが好ましく、さらには70℃における粘度が500mPa・s以下であることが好ましい。70℃における粘度が1000mPa・sより大きいと、エポキシ樹脂組成物が高粘度となるため、強化繊維への含浸性が不十分となる場合がある。
【0032】
本発明において、構成要素Bのポリアミンとは、分子内に複数のアミン性窒素原子を有し、かつ複数の活性水素を有する化合物を意味する。また、活性水素とはアミン性窒素原子に結合した水素原子をいう。
【0033】
ポリアミンの具体例としては、鎖状脂肪族ポリアミンである、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、脂環式ポリアミンである、イソホロンジアミン、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミン、4、4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、芳香族ポリアミンである、m−キシリレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−イソプロピルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモ−6−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−シクロヘキシリデンジアニリン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス(N−メチルアニリン)、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−オキシジアニリン、2,4−ビス(4−アミノフェニルメチル)アニリン、4−メチル−m−フェニレンジアミン、2−メチル−m−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−m−フェニレンジアミン、2,4−ジエチル−6−メチル−m−フェニレンジアミン、4,6−ジエチル−2−メチル−m−フェニレンジアミン、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)などが好適に用いられる。
【0034】
本発明では、ポリアミンとして、上述したポリアミンの変性品、例えば、活性水素の一部が2−シアノエチル基や、ヒドロキシベンジル基などで置換される一方、2つ以上の活性水素が未反応のまま残存した化合物も用いられる。変性の反応としては、エポキシ化合物、アクリロニトリル、アクリル酸エステルなどとの付加反応、フェノール化合物とホルムアルデヒドを用いたマンニッヒ反応、カルボン酸誘導体によるアミド化反応などが挙げられる。
【0035】
本発明では、ポリアミンとして、一般的なポリアミンとは若干構造が異なるが、その硬化反応性はポリアミンと同一であることから、ジシアンジアミドもポリアミンに含め、用いられる。
【0036】
なかでも、エポキシ樹脂組成物の強化繊維への含浸性が優れるため、液状のポリアミンを用いるのが好ましい。さらに、本発明に用いる液状のポリアミンは、70℃における粘度が1000mPa・s以下であることが好ましく、さらには70℃における粘度が500mPa・s以下であることが好ましい。70℃における粘度が1000mPa・sより大きいと、エポキシ樹脂組成物が高粘度となるため、強化繊維への含浸性が不足する場合がある。
【0037】
また、高耐熱性で、なおかつ低線膨張係数である樹脂硬化物が得られることから、ポリアミンとして芳香族ポリアミンを用いることが好ましい。樹脂硬化物が低線膨張係数であると、成形時の熱収縮により生じる内部応力を低減できるため、引張強度やCAIなどの機械特性に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。
【0038】
芳香族ポリアミンの好ましい具体例として、次の一般式(II)で表されるポリアミンが挙げられる。
【0039】
【化12】
【0040】
(式中、R2、R3は水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、それぞれのR2、R3は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
ここで、一般式(II)のR2、R3は水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、それぞれのR2、R3は同一であっても異なっていてもよい。R2、R3が炭素数が5以上のアルキル基であると、樹脂硬化物の耐熱性が不足する場合がある。
【0041】
なかでも、低粘度の液状であり、なおかつ、極めて高耐熱性である樹脂硬化物が得られることから、一般式(II)のポリアミンとして2,4−ジエチル−6−メチル−m−フェニレンジアミン、4,6−ジエチル−2−メチル−m−フェニレンジアミンを用いることが好ましい。
【0042】
また、芳香族ポリアミンの別の好ましい具体例として、一般式(III)で表されるポリアミンが挙げられる。
【0043】
【化13】
【0044】
(式中、R4、R5は水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、それぞれのR4、R5は互いに同一であっても異なっていてもよい。また、Xは炭素数が1〜8のアルキレン基、以下の一般式(IV)〜(X)で表される基のいずれかを示す。)
【0045】
【化14】
【0046】
【化15】
【0047】
【化16】
【0048】
【化17】
【0049】
【化18】
【0050】
【化19】
【0051】
【化20】
【0052】
ここで、一般式(III)のR4、R5は水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、それぞれのR4、R5は同一であっても異なっていてもよい。R4、R5が炭素数が5以上のアルキル基であると、樹脂硬化物の耐熱性が不足する場合がある。
【0053】
なかでも、高耐熱性であり、極めて低線膨張係数の樹脂硬化物が得られることから、一般式(III)のポリアミンとしてジアミノジフェニルスルホンを用いることが好ましい。
【0054】
本発明において、ポリアミンの混合物が均一な液状であることが好ましい。ポリアミンの一部が固形である場合には、他の液状ポリアミンに加熱しながら溶解させるなどの手段により、均一な液状にするのが好ましい。さらに、ポリアミンの混合物は、70℃における粘度が1000mPa・s以下であることが好ましく、さらには500mPa・s以下であることが好ましい。70℃における粘度が1000mPa・sより大きいと、エポキシ樹脂組成物が高粘度となるため、強化繊維への含浸性が不十分となる場合がある。
【0055】
本発明において、ポリアミン混合物の配合量は、エポキシ樹脂混合物の組成より計算される化学量論量に対して、0.6〜1.4の範囲内であることが好ましく、さらには0.8〜1.2の範囲内であることが好ましい。かかる範囲から外れると、樹脂硬化物の耐熱性や弾性率が不足する場合がある。
【0056】
本発明において、構成要素A〜C以外に、後述する150℃以下の比較的低い温度で型内で硬化するプロセスに適合させるためなどの目的で、あらゆる公知の硬化促進剤を配合することができる。なかでも、比較的低い温度での硬化促進効果が高いことから、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、オニウム塩、スルホン酸エステル、3級アミン、イミダゾール類、フェノール化合物を配合することが好ましい。
【0057】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、強化繊維への含浸性が優れることから、70℃における粘度が1000mPa・s以下であることが好ましく、さらには500mPa・s以下であることが好ましい。
【0058】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、樹脂硬化物が高耐熱性と高靭性とを両立し、ひいては高耐熱性でありながら、引張強度やCAIなどの優れた繊維強化複合材料が得られることから、樹脂硬化物の理論架橋点間分子量αが250〜350g/molの範囲内であることが好ましく、さらには、270〜330g/molの範囲内であることが好ましい。ここで、理論架橋点間分子量αとは、全樹脂硬化物の重量wを全樹脂硬化物が持つ架橋点の数cで除した値であり、樹脂硬化物の架橋密度と反比例の関係にある。また、αは、樹脂硬化物の靭性と正の相関があり、耐熱性の指標であるガラス転移温度と負の相関がある。αが250g/molよりも小さいと、樹脂硬化物の架橋密度が大きくなりすぎるため、樹脂硬化物の靭性が低くなり、得られる繊維強化複合材料の引張強度やCAIなどの機械特性が不足することがある。逆に、αが350g/molよりも大きいと、架橋密度が小さくなりすぎるため、樹脂硬化物、ひいては繊維強化複合材料の耐熱性が不足することがある。
【0059】
αは以下に述べる計算によって求められる。
【0060】
まず、エポキシ樹脂組成物中に、k種(kは整数)のエポキシ樹脂成分が含まれる場合、このうちi番目(iは1〜kの整数)のエポキシ樹脂成分の配合量をai(単位:g)とする。また、エポキシ樹脂組成物中に、l種(lは整数)のポリアミン成分が含まれる場合、このうちj番目(jは1〜lの整数)のポリアミンの配合量をbj(単位:g)とすると、全樹脂硬化物の重量W(単位:g)は式(1)で求められる。
【0061】
【数1】
【0062】
i番目のエポキシ樹脂成分のエポキシ当量をEi(単位:g/mol)、i番目のエポキシ樹脂成分1分子が持つエポキシ基の数をxiとする。また、j番目のポリアミン成分の活性水素当量をHj(単位:g/mol)、j番目のポリアミン成分1分子が持つ活性水素の数をyjとする。全樹脂硬化物に含まれる架橋点の数c(単位:mol)は、エポキシ樹脂とポリアミンとの配合比が、化学量論量の場合、ポリアミンが過剰の場合、およびエポキシ樹脂が過剰の場合で求め方が異なる。どの求め方を採用するかは、式(2)により求められる、エポキシ樹脂とポリアミンとの配合比を表す配合比指数βにより決定する。
【0063】
【数2】
【0064】
ここで、β=1である場合は、エポキシ樹脂とポリアミンとの配合比が化学量論量であり、架橋点の数cは式(3)により求められる。この架橋点の数cは、反応し得る全てのエポキシ基と全てのポリアミンの活性水素とが反応することによって生じる架橋点の数を表す。
【0065】
【数3】
【0066】
また、β>1の場合は、ポリアミンが化学量論量よりも過剰であり、架橋点の数cは式(4)により求められる。
【0067】
【数4】
【0068】
また、β<1の場合は、エポキシ樹脂が化学量論量よりも過剰であり、架橋点の数cは式(5)により求められる。
【0069】
【数5】
【0070】
ここで、Ei×xi、およびHj×yjはそれぞれi番目のエポキシ樹脂成分の平均分子量、およびj番目のポリアミン成分の平均分子量を表す。また、(xi−2)は、i番目のエポキシ樹脂成分1分子中の全てのエポキシ基がポリアミンの活性水素と反応し、架橋構造に取り込まれることによって生じる架橋点の数を表す。また、(yj−2)はj番目のポリアミン1分子中の全ての活性水素がエポキシ基と反応し、架橋構造に取り込まれることによって生じる架橋点の数を表す。例えば、i番目のエポキシ樹脂成分が4官能エポキシ樹脂の場合、1分子は4個のエポキシ基を持ち、生じる架橋点の数は4−2の2個となる。また、j番目のポリアミン成分が1分子当たり2個の活性水素を持つ場合、生じる架橋点の数は2−2の0個となる。
【0071】
上述した式により求められたW、cを用い、架橋点間分子量αは式(6)により求められる。
【0072】
【数6】
【0073】
ここで、例として、エポキシ樹脂1(エポキシ基:3個、エポキシ当量:98g/eq)90g、エポキシ樹脂2(エポキシ基:2個、エポキシ当量:135g/eq)10g、およびポリアミン1(活性水素:4個、活性水素当量:45g/eq)44.7gからなるエポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物について、理論架橋点間分子量αを求めてみる。まず、全樹脂硬化物の重量Wは式(1)より144.7gである。また、式(2)より求められるβは1であるので、全樹脂硬化物が有する架橋点の数cは式(3)により、0.803molと求められる。したがって、樹脂硬化物の理論架橋点間分子量αは式(6)により、180g/molと求められる。
【0074】
樹脂硬化物の耐熱性は、繊維強化複合材料の耐熱性と正の相関があるため、高耐熱性の繊維強化複合材料を得るためには、高耐熱性の樹脂硬化物を用いることが重要である。ガラス転移温度は、雰囲気の温度がガラス転移温度を上回ると、樹脂硬化物、ひいては繊維強化複合材料の機械強度が大きく低下することから、耐熱性の指標としてよく用いられる。本発明において、高耐熱性の繊維強化複合材料が得られることから、エポキシ樹脂組成物を180℃で2時間硬化して得られる樹脂硬化物のガラス転移温度が、170℃以上であることが好ましく、さらには180℃以上であることが好ましい。
【0075】
また、樹脂硬化物の機械特性は、繊維強化複合材料の機械特性に影響を与える。なかでも、樹脂硬化物の靭性は、繊維強化複合材料の引張強度やCAIなどの機械特性と正の相関があるため、高引張強度や高CAIの繊維強化複合材料を得るためには、高靭性の樹脂硬化物を用いることが重要である。樹脂硬化物の靭性の指標としては、引張伸度がよく用いられる。本発明において、引張強度やCAIなどの機械特性が優れた繊維強化複合材料が得られることから、エポキシ樹脂組成物を180℃で2時間硬化して得られる樹脂硬化物の23℃における引張伸度が、5%以上であることが好ましく、さらには6%以上であることが好ましい。
【0076】
また、樹脂硬化物の弾性率は、繊維強化複合材料の繊維方向の圧縮強度(すなわち0°圧縮強度)やCAIと正の相関があるため、高圧縮強度や高CAIの繊維強化複合材料を得るためには、高弾性率の樹脂硬化物を用いることが重要である。本発明において、圧縮強度やCAIなどの機械特性が優れた繊維強化複合材料が得られることから、180℃で2時間硬化して得られる樹脂硬化物の23℃における曲げ弾性率が、3.0GPa以上であることが好ましく、さらには3.2GPa以上であることが好ましい。
【0077】
次に、本発明の繊維強化複合材料、および繊維強化複合材料の製造方法について工程順に説明する。
1.強化繊維基材の準備工程
本発明の繊維強化複合材料において、強化繊維基材を構成する強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ボロン繊維などが用いられる。なかでも、軽量でありながら、強度や弾性率などの機械特性が優れる繊維強化複合材料が得られることから、炭素繊維が好ましく用いられる。強化繊維は短繊維、連続繊維のいずれであってもよく、両者を併用してもよいが、繊維体積含有率(Vf)の高い繊維強化複合材料を得るためには、連続繊維であることが好ましい。本発明の繊維強化複合材料では、強化繊維をマット、織物、ニット、ブレイド、一方向シートなどの形態に加工した強化繊維基材が好ましく用いられる。
【0078】
また、強化繊維基材は、所望の形状に裁断、積層したものを用いてもよい。さらには、裁断、積層後、ステッチや、少量の融着性樹脂を付与して加熱・加圧する方法などにより、予め強化繊維を所望の形状に賦形したものを用いてもよい。また、強化繊維とコア材などのその他の材料とを組みあわせたものを用いることもできる。
2.エポキシ樹脂組成物の準備工程
次に、上記強化繊維基材に含浸すべきエポキシ樹脂組成物を準備する。
【0079】
エポキシ樹脂、ポリアミンが複数の成分からなる場合は、予め混合して、エポキシ樹脂混合物、ポリアミン混合物を得ておくことが好ましい。エポキシ樹脂、ポリアミンの一部が固形である場合は、他の液状エポキシ樹脂、ポリアミンに加熱するなどの手段により溶解させ、均一な液状にすることが好ましい。ただし、均一な液状にならない場合でも、液滴あるいは粒子の形態で安定なコロイド状態を保つ場合は問題ない。この場合、液滴あるいは粒子の径は1μm以下であることが好ましく、さらには0.3μm以下であることが好ましい。液滴あるいは粒子の径が1μmより大きいと、強化繊維の間隙の通過に困難をきたし、組成の不均一性を招く恐れがある。
【0080】
また、硬化促進剤などのその他の成分は、予めエポキシ樹脂混合物、またはポリアミン混合物に混合しておくことが好ましい。
【0081】
エポキシ樹脂混合物とポリアミン混合物とを混合してエポキシ樹脂組成物を得るが、速やかに混合できることから、30〜90℃に加温した状態で混合することが好ましい。また、混合するに際しては、別々の容器に保持したエポキシ樹脂混合物とポリアミン混合物を混合機に送液し、オンラインで混合する方法が好適に用いられる。
3.型の準備及び含浸工程
本発明におけるエポキシ樹脂組成物は、強化繊維への含浸性が優れることから、強化繊維に液状の熱硬化性樹脂を含浸させる工程を含む、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、RTM法などの製造方法により、効率よく繊維強化複合材料を製造することができる。なかでも、RTM法により、複雑形状の繊維強化複合材料を、効率よく製造することができる。ここで、RTM法とは、型内に配置した強化繊維基材に液状の熱硬化性樹脂を含浸させ、加熱硬化する方法のことを指す。
【0082】
本発明のRTM法において、型の構造に制限はないが、剛性材料からなる密閉型や、剛性材料とバギングフィルムからなる開放型などが用いられる。
【0083】
剛性材料としては、炭素鋼、合金鋼、鋳鉄、アルミニウム、アルミニウムなどの金属、FRP(Fiber Reinforced Plastic)、木材、石膏などを用いることができる。また、バギングフィルムの材料としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、シリコーンなどを用いることができる。
【0084】
密閉型を用いる場合は、加圧して型締めし、エポキシ樹脂組成物を加圧して注入することが通常行われる。このとき、吸引口に真空ポンプなどを接続して吸引を併用することも可能である。また、吸引のみを行い、エポキシ樹脂組成物を注入することも可能である。開放型を用いる場合は、通常、吸引のみを行い、エポキシ樹脂組成物を注入する。吸引のみによる注入で、良好な含浸を実現するためには、米国特許第4902215号公報に示されるような、樹脂拡散媒体を用いる方法が有効である。
【0085】
また、型内に、強化繊維基材以外にフォームコア、ハニカムコア、金属部品などを設置し、これらと一体化した材料を得ることも可能である。特にフォームコアの両面に強化繊維基材が配置されたサンドイッチ構造体は、軽量でありながら、大きな曲げ剛性を有するので、外板材料として好ましく用いることができる。
【0086】
4.加熱硬化工程
強化繊維基材内にエポキシ樹脂組成物を含浸した後、型内で熱硬化が行われる。型内の硬化条件は、注入時の型温を一定時間保持して硬化させる方法、最高硬化温度よりも低い温度まで昇温し、一定時間保持して硬化させる方法、最高硬化温度まで昇温し、一定時間保持して硬化させる方法などを用いることができる。型内での硬化が短時間であると、繊維強化複合材料を効率よく製造できることから、型内で硬化させる時間が12時間以下であることが好ましく、さらには6時間以下であることが好ましい。
【0087】
型内で最高硬化温度よりも低い温度で硬化した場合は、脱型した後、最高硬化温度に保持したオーブンなどで一定時間保持し、後硬化することができる。後硬化を行う場合、最高硬化温度に保持する時間は4時間以下であることが好ましく、さらには3時間以下であることが好ましい。
【0088】
いずれの場合も、最高硬化温度が160〜210℃であることが好ましく、さらには170〜190℃であることが好ましい。型の材質、副資材、熱源に安価なものを用いることができることから、型内の硬化温度は150℃以下であることが好ましく、さらには130℃以下であることが好ましい。このため、型内では150℃以下で硬化を行い、脱型後に後硬化を行う方法が好適に用いられる。
【0089】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、強化繊維に液状の熱硬化性樹脂を含浸させる工程を含む、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、RTM法など以外の製造方法によっても、高耐熱性でありながら、引張強度やCAIなどの機械特性が優れた繊維強化複合材料を好適に製造することができる。強化繊維に液状の熱硬化性樹脂を含浸させる工程を含まない製造方法としては、強化繊維に半固形の樹脂組成物を含浸させた中間基材であるプリプレグを用いる方法などが挙げられる。
【0090】
本発明の繊維強化複合材料は、軽量でありながら、強度や弾性率などの機械特性が優れることから、繊維強化複合材料の繊維体積含有率(Vf)が、45〜85%の範囲内であるのが好ましく、さらには50〜85%の範囲内であるのが好ましい。
【0091】
本発明の繊維強化複合材料は、航空機や宇宙機の胴体、主翼、尾翼、動翼、フェアリング、カウル、ドアなど、自動車のプラットホームなどの構造材、フード、
ルーフ、トランクリッドなどの外板などに好ましく用いることができる。
【0092】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。実施例では、エポキシ樹脂組成物の調整、各物性の測定は次に示す方法によった。各実施例で用いたエポキシ樹脂組成物の組成、各物性の測定結果はは表1に纏めて示した。
<エポキシ樹脂組成物の調製>
所定の比率で混合したエポキシ樹脂を均一になるまで撹拌し、エポキシ樹脂混合物を得た。なお、NC−3000を含む場合は、100℃に加温した状態でよく撹拌し、エポキシ樹脂混合物を得た。
【0093】
また、所定の比率で混合したエピキュアW、3,3’−DAS、および”スミキュア”Sを90℃に加温した状態で均一になるまで撹拌し、ポリアミン混合物を得た。次に、硬化促進剤であるtert−ブチルカテコールをポリアミン混合物に加え、90℃に加温した状態で均一になるまでよく撹拌し、ポリアミンと硬化促進剤との混合物を得た。
【0094】
次に、エポキシ樹脂混合物に、ポリアミンと硬化促進剤との混合物を加え、70℃に加温した状態で均一になるまでよく撹拌し、エポキシ樹脂組成物を得た。
<エポキシ樹脂組成物の粘度>
JIS Z8803における円錐−平板型回転粘度計を用いた測定方法に準拠し、エポキシ樹脂混合物、ポリアミン混合物、およびエポキシ樹脂組成物を調製した直後の70℃における粘度を測定した。装置は東機産業(株)製のTVE−30H型を用いた。ここで、ローターは1゜34’×R24を用い、サンプル量は1cm3とした。
<樹脂硬化板の作成>
エポキシ樹脂組成物を厚さ2mmの板状キャビティーを備えた型内に注入し、次の条件でオーブン中にて加熱硬化して樹脂硬化板を得た。
【0095】
(1)30℃から180℃まで、速度1.5℃/minで昇温する。
【0096】
(2)180℃で2時間保持する。
【0097】
(3)180℃から30℃まで、速度2.5℃/minで降温する。
<樹脂硬化物のガラス転移温度測定>
上記の方法で得た樹脂硬化板から、幅12.7mm、長さ55mmの試験片を切り出し、SACMA SRM18R−94に準拠し、DMA法によりガラス転移温度を測定した。装置はレオメトリックス社製のARESを用いた。ここで、昇温速度は5℃/min、測定周波数は1Hzとした。
<樹脂硬化物の弾性率測定>
上記の方法で得た樹脂硬化板から、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、JIS K7171に準拠し、3点曲げ試験により曲げ弾性率を測定した。装置はインストロン社製の4201型テンシロンを用いた。ここで、クロスヘッドスピードは2.5mm/min、スパン間は32mm、測定温度を23℃とした。
<樹脂硬化物の引張伸度測定>
JIS K7113に準拠し、上記の方法で得た樹脂硬化板から、小型1(1/2)号試験片を作製し、引張伸度を測定した。装置はインストロン社製の4201型テンシロンを用いた。ここで、クロスヘッドスピードは2.5mm/min、測定温度を23℃とした。
<繊維強化複合材料の作製>
A.ガラス転移温度、0°引張強度、および0°圧縮強度測定用
400mm×400mm×1.2mmの板状キャビティーを有する金型に、395mm×395mmに切り出した炭素繊維一方向織物(炭素繊維:T800S、目付:191g/m2、東レ(株)製)を、炭素繊維方向を0°として、0°方向に揃えて6枚積層したものをセットし、型締めを行った。続いて、金型を70℃に加温した後、予め別途70℃に加温したエポキシ樹脂組成物を、樹脂注入装置を用い、注入圧0.2MPaで型内に注入し、強化繊維基材に含浸させた。含浸後、金型を速度1.5℃/minで130℃まで昇温し、130℃で2時間保持した後、30℃にまで降温し、脱型した。脱型後、次の条件でオーブン中にて後硬化を行い、繊維強化複合材料を得た。
(1)30℃から180℃まで、速度1.5℃/minで昇温する。
(2)180℃で2時間保持する。
(3)180℃から30℃まで、速度2.5℃/minで降温する。
B.CAI測定用
400mm×400mm×4.8mmの板状キャビティーを有する金型に、395mm×395mmに切り出した炭素繊維一方向織物(炭素繊維:T800S、目付:191g/m2、東レ(株)製)を、炭素繊維方向を0°として、(45°/0°/−45°/90°)を3回繰り返して12枚積層した上に、(90°/−45°/0°/45°)を3回繰り返して12枚積層したものをセットし、型締めを行った。続いて、金型を70℃に加温した後、予め別途70℃に加温したエポキシ樹脂組成物を、樹脂注入装置を用い、注入圧0.2MPaで型内に注入し、強化繊維基材に含浸させた。含浸後、金型を速度1.5℃/minで130℃まで昇温し、130℃で2時間保持した後、30℃にまで降温し、脱型した。脱型後、次の条件でオーブン中にて後硬化を行い、繊維強化複合材料を得た。
(1)30℃から180℃まで、速度1.5℃/minで昇温する。
(2)180℃で2時間保持する。
(3)180℃から30℃まで、速度2.5℃/minで降温する。
<繊維強化複合材料のガラス転移温度測定>
上記の方法で得た繊維強化複合材料から、幅12.7mm、長さ55mmの試験片を、90°方向と長さ方向が同じになるように作成し、SACMA SRM18R−94に準拠し、DMA法によりガラス転移温度を測定した。装置はレオメトリックス社製のARESを用いた。ここで、昇温速度は5℃/min、測定周波数は1Hzとした。
<繊維強化複合材料の0°引張強度測定>
上記の方法で得た繊維強化複合材料から、幅12.7mm、長さ229mmの試験片を、0°方向と長さ方向が同じになるように作成し、ASTM−D3039に準拠して、0°引張強度を測定した。装置はインストロン社製の4208型テンシロンを用いた。ここで、クロスヘッドスピードは1.27mm/min、測定温度を23℃とした。
<繊維強化複合材料の0°圧縮強度測定>
上記の方法で得た繊維強化複合材料から、幅12.7mm、長さ79.4mmの試験片を、0°方向と長さ方向が同じになるように作成し、ASTM D695に準拠して、0°圧縮強度を測定した。装置はインストロン社製の4208型テンシロンを用いた。ここで、クロスヘッドスピードは1.27mm/min、測定温度を23℃とした。
<繊維強化複合材料のCAI測定>
上記の方法で得た繊維強化複合材料から、幅101.6mm、長さ152.4mmの試験片を、0°方向と長さ方向が同じになるように作成し、ボーイング社試験法BMS7260に準拠し、CAIを測定した。装置はインストロン社製の1128型テンシロンを用いた。ここで、落錘衝撃のエネルギーは6.7J/mm、クロスヘッドスピードは1.27mm/min、測定温度を23℃とした。
<樹脂原料>
エポキシ樹脂組成物の調製には次の市販品を用いた。
(1)エポキシ樹脂
(a)構成要素A
・NC−3000(日本化薬(株)製):一般式(I)で表されるエポキシ樹脂であり、R1が水素原子、m=2、n=1.3である。n=1.3であるこ とから、NC−3000の1分子が持つエポキシ基の数は3.3である。エ ポキシ当量=275g/mol
(b)構成要素C
・“エピコート”834(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2官能芳香族エポキシ樹脂)、エポキシ当量=250g/mol
・“エピコート”630(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製): トリグリシジル−p−アミノフェノール(3官能芳香族エポキシ樹脂)、エポキシ当量=98g/mol
・AK601(日本化薬(株)製):ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル(2官能脂肪族エポキシ樹脂)、エポキシ当量=175g/mol
・“エピコート”825(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2官能芳香族エポキシ樹脂)、エポキシ当量=175g/mol
(2)ポリアミン(構成要素B)
・“エピキュア”W(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製):2,4−ジエチル−6−メチル−m−フェニレンジアミンと4,6−ジエチル−2−メチル−m−フェニレンジアミンの混合物(芳香族アミン化合物)、活性水素当量=45g/mol
・3,3’−DAS(三井化学ファイン(株)製):3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、活性水素当量=62g/mol
・“スミキュア”S(登録商標、住友化学工業(株)製):4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、活性水素当量=62g/mol
(3)硬化促進剤
・tert−ブチルカテコール(東京化成工業(株)製)
(比較例1)
表1に示す樹脂原料を用いエポキシ樹脂混合物、ポリアミン混合物を調整し、70℃における粘度を測定したところ、いずれも低粘度であった。次に、エポキシ樹脂組成物を調製し、70℃における粘度を測定したところ、低粘度であった。
【0098】
続いて、樹脂硬化物のガラス転移温度、曲げ弾性率、引張伸度を測定したところ、ガラス転移温度、曲げ弾性率は十分に高いものの、引張伸度が不足していた。なお、樹脂硬化物の理論架橋点間分子量を求めたところ、不十分な値であった。
【0099】
また、繊維強化複合材料を製造したところ、得られた繊維強化複合材料の品位は良好であった。さらに、繊維強化複合材料のガラス転移温度、0°引張強度、0°圧縮強度、CAIを測定したところ、ガラス転移温度、0°圧縮強度は十分に高いものの、0°引張強度、CAIは不十分であった(実施例1,2)。
【0100】
NC−3000を配合し、架橋密度を低減したエポキシ樹脂組成物について検討を行った。
【0101】
表1に示す樹脂原料を用いエポキシ樹脂混合物、ポリアミン混合物を調整し、70℃における粘度を測定したところ、いずれも低粘度であった。次に、エポキシ樹脂組成物を調製し、70℃における粘度を測定したところ、低粘度であった。
【0102】
続いて、樹脂硬化物のガラス転移温度、曲げ弾性率、引張伸度を測定したところ、いずれも十分に高いことがわかった。なお、樹脂硬化物の理論架橋点間分子量を求めたところ、十分に高い値であった。
【0103】
また、繊維強化複合材料を製造したところ、得られた繊維強化複合材料の品位は良好であった。さらに、繊維強化複合材料のガラス転移温度、0°引張強度、0°圧縮強度、CAIを測定したところ、いずれも十分に高いことがわかった
(比較例2)。
【0104】
NC−3000の代わりに、NC−3000とエポキシ当量がほぼ同じである“エピコート”834を配合し、架橋密度を低減したエポキシ樹脂組成物について検討を行った。
【0105】
表1に示す樹脂原料を用いエポキシ樹脂混合物、ポリアミン混合物を調整し、70℃における粘度を測定したところ、いずれも低粘度であった。次に、エポキシ樹脂組成物を調製し、70℃における粘度を測定したところ、低粘度であった。
【0106】
続いて、樹脂硬化物のガラス転移温度、曲げ弾性率、引張伸度を測定したところ、曲げ弾性率、引張伸度は十分に高いものの、ガラス転移温度が低いことがわかった。なお、樹脂硬化物の理論架橋点間分子量を求めたところ、十分に高い値であった。
【0107】
また、繊維強化複合材料を製造したところ、得られた繊維強化複合材料の品位は良好であった。さらに、繊維強化複合材料のガラス転移温度、0°引張強度、0°圧縮強度、CAIを測定したところ、0°引張強度、0°圧縮強度、CAIは十分に高いものの、ガラス転移温度が低いことがわかった。
【0108】
【表1】
【0109】
【発明の効果】
本発明により、低粘度であり、得られる樹脂硬化物が高耐熱性と高靭性とを両立する繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物が得られる。このエポキシ樹脂組成物と強化繊維とからなる繊維強化複合材料は、高耐熱性でありながら、引張強度やCAIなどの機械特性に優れるものであった。また、このエポキシ樹脂組成物は、低粘度であるために、強化繊維に液状の熱硬化性樹脂を含浸させる工程を含むRTM法などの製造方法により、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材などを効率よく製造できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材などに好適に用いられる繊維強化複合材料のマトリックス樹脂として用いられる繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
強化繊維とマトリックス樹脂の樹脂硬化物とからなる繊維強化複合材料は、軽量でありながら、優れた機械特性を有するため、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材、鉄道車両部材、船舶部材、スポーツ用品などに広く用いられている。
【0003】
繊維強化複合材料のマトリックス樹脂としては、高耐熱性、高弾性率、低硬化収縮率、高耐薬品性などの優れた特性を有するエポキシ樹脂がよく用いられている。
【0004】
エポキシ樹脂の硬化剤としては、ポリアミン、酸無水物、イミダゾール類などが用いられるが、ポリアミンは種類が豊富であり、用途に応じた選択が容易であることから、繊維強化複合材料用によく用いられている。
【0005】
マトリックス樹脂の樹脂硬化物の耐熱性や機械特性は、繊維強化複合材料の耐熱性や機械特性に大きく影響を与える。このため、樹脂硬化物の耐熱性や機械特性を高める技術が重要である。なかでも、繊維強化複合材料を航空機部材、宇宙機部材、自動車部材などに用いる場合、繊維強化複合材料が高耐熱性でありながら引張強度やCAI(衝撃後圧縮強度)などの機械特性が優れることが求められる。繊維強化複合材料の耐熱性は樹脂硬化物の耐熱性と正の相関があり、また、繊維強化複合材料の引張強度やCAIは樹脂硬化物の靭性と正の相関があることから、樹脂硬化物において、高耐熱性と高靭性とを両立することが極めて重要である。
【0006】
樹脂硬化物を高靭性化する方法の1つとして、熱可塑性樹脂やゴムなどの高分子化合物を添加する方法が挙げられる。ところが、高分子化合物の添加量を多くすると、靭性は高まるものの、樹脂組成物の粘度が高くなり、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法、RTM(ResinTransfer Molding)法などの、強化繊維に液状の熱硬化性樹脂組成物を含浸させる工程を含む製造方法への適用は困難であった。
【0007】
樹脂硬化物を高靭性化する別の方法には、鎖長の長いエポキシ樹脂を配合し、架橋密度を低減する方法が挙げられる。この方法は、粘度への影響が小さく、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、RTM法などの製造方法への適用が可能である。ところが、従来の鎖長の長いエポキシ樹脂を配合すると、樹脂硬化物の耐熱性が低下するという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高耐熱性と高靭性とを両立し、なおかつ、強化繊維への含浸性が十分である程度の低粘度であり、高耐熱性と引張強度やCAIなどの機械特性に優れた繊維強化複合材料を得るのに有用なエポキシ樹脂組成物を提供すること。また、高耐熱性と引張強度やCAIなどの機械特性に優れた繊維強化複合材料、およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、少なくとも次の構成要素Aと構成要素Bとを含む繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物をその特徴とする。
【0010】
(A)次の一般式(I)で表されるエポキシ樹脂
(B)ポリアミン
【0011】
【化11】
【0012】
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜8のアルキル基、アリール基のいずれかを示し、それぞれR1は互いに同一であっても異なっていてもよい。mは1〜4の整数であり、nは0〜4の整数である。)
また、本発明の繊維強化複合材料は、上記エポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物と強化繊維とからなるものである。
【0013】
また、本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、型内に配置した強化繊維基材に、本発明の上記エポキシ樹脂組成物を注入し、含浸させた後、加熱して硬化させることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明者はかかる課題に鑑み鋭意検討した結果、比較的長い剛直な骨格によりエポキシ基間が結ばれた、一般式(I)で表されるエポキシ樹脂を配合することにより、耐熱性の低下を抑えながら、架橋密度の低減により樹脂硬化物を高靭性化できることを見出した。さらに、一般式(I)で表されるエポキシ樹脂を配合したエポキシ樹脂組成物は低粘度であり、強化繊維への含浸性が優れることを見出した。また、本発明のエポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物と強化繊維とからなる繊維強化複合材料は、高耐熱性でありながら引張強度やCAIなどの機械特性に優れることを見出した。
【0015】
本発明において、エポキシ樹脂とは、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を指す。また、エポキシ樹脂組成物とは、エポキシ樹脂、ポリアミン、および必要に応じて添加される硬化促進剤とを含む未硬化の組成物を指し、樹脂硬化物とはエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を指す。
【0016】
一般式(I)で表されるエポキシ樹脂のR1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜8のアルキル基、アリール基を示し、それぞれのR1は互いに同一であっても異なっていてもよい。R1が炭素数9以上のアルキル基であると、樹脂硬化物の耐熱性が低下する場合がある。
【0017】
また、一般式(I)で表されるエポキシ樹脂のmは1〜4の整数であり、より好ましくは2または3である。mが0であると、樹脂硬化物において、エポキシ基間を結ぶ骨格の長さが短く、架橋密度の低減が不十分となるため、靭性が不足する場合がある。mが5以上であると、エポキシ樹脂組成物が高粘度となるために、強化繊維への含浸性が不十分となる場合がある。
【0018】
また、一般式(I)で表されるエポキシ樹脂のnは0〜4の整数であり、より好ましくは0〜2の整数である。nが5以上であると、エポキシ樹脂組成物が高粘度となるために、強化繊維への含浸性が不十分となる場合がある。
【0019】
本発明において、一般式(I)で表されるエポキシ樹脂の配合量は、全エポキシ樹脂100wt%に対して10〜60wt%であることが好ましく、さらには20〜40wt%であることが好ましい。10wt%より小さいと、樹脂硬化物において、架橋密度の低減が不十分となるため、靭性が不足する場合があり、60wt%より大きいと、エポキシ樹脂組成物が高粘度となるため、強化繊維への含浸性が不十分となる場合がある。
【0020】
本発明において、構成要素A以外のエポキシ樹脂を、構成要素Cとして含むことができる。
【0021】
構成要素Cの具体例としては、ポリオールより誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、複数活性水素を有するアミンより誘導されるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸より誘導されるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、分子内に複数の2重結合を有する化合物を酸化して得られるエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0022】
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサヒドロビスフェノールA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、レゾルシノール、ヒドロキノン、2,6−ビス−tert−ブチルヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ひまし油などのポリオールとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエーテルが好適に用いられる。
【0023】
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、4,4−ジアミノジフェニルメタン、m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、アニリン、トルイジン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンなどをエピクロロヒドリンと反応させて得られるグリシジルアミンが好適に用いられる。
【0024】
さらに、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、4−アミノ−3−メチルフェノールなどのアミノフェノール類の水酸基とアミノ基の両方をエピクロロヒドリンと反応させて得られるエポキシ樹脂も好適に用いられる。
【0025】
グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸などをエピクロロヒドリンと反応させて得られるグリシジルエステルが好適に用いられる。
【0026】
分子内に複数の2重結合を有する化合物を酸化して得られるエポキシ樹脂としては、分子内にエポキシシクロヘキサン環を有するエポキシ樹脂が挙げられる。さらにこのエポキシ樹脂としては、エポキシ化大豆油等も挙げられる。
【0027】
これら以外にもトリグリシジルイソシアヌレートのようなエポキシ樹脂などが好適に用いられる。
【0028】
さらに上記に挙げたエポキシ樹脂を原料として合成されるエポキシ樹脂、たとえば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリレンジイソシアネートからオキサゾリドン環生成反応により合成されるエポキシ樹脂なども好適に用いられる。
【0029】
なかでも、樹脂硬化物の耐熱性を高めるために、構成要素Cとして3官能以上の芳香族エポキシ樹脂を用いることが好ましい。なお、3官能以上のエポキシ樹脂の配合量(複数種用いる場合はその合計)は、全エポキシ樹脂100wt%に対して10〜50wt%であることが好ましく、さらには20〜40wt%であることが好ましい。10wt%より小さいと、樹脂硬化物の耐熱性が不足する場合があり、50wt%より大きいと、樹脂硬化物の架橋密度が過度に大きくなり、靭性が不足する場合がある。
【0030】
3官能以上の芳香族エポキシ樹脂としては、低粘度でありながら、高耐熱性の樹脂硬化物が得られることから、テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−m−アミノフェノール、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンを用いるのが好ましい。
【0031】
本発明において、構成要素Aと構成要素Cとを含むエポキシ樹脂の混合物が均一な液状であることが好ましい。構成要素A、構成要素Cの一部が固形である場合には、他の液状エポキシ樹脂に加熱しながら溶解させるなどの手段により、均一な液状にすることが好ましい。本発明において、液状とは、含浸温度において容易に強化繊維に含浸できる程度の粘度、具体的には1000mPa・s以下の液体であることを指す。通常、含浸温度は70℃程度とすることが多いので、本発明に用いるエポキシ樹脂の混合物は、70℃における粘度が1000mPa・s以下であることが好ましく、さらには70℃における粘度が500mPa・s以下であることが好ましい。70℃における粘度が1000mPa・sより大きいと、エポキシ樹脂組成物が高粘度となるため、強化繊維への含浸性が不十分となる場合がある。
【0032】
本発明において、構成要素Bのポリアミンとは、分子内に複数のアミン性窒素原子を有し、かつ複数の活性水素を有する化合物を意味する。また、活性水素とはアミン性窒素原子に結合した水素原子をいう。
【0033】
ポリアミンの具体例としては、鎖状脂肪族ポリアミンである、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、脂環式ポリアミンである、イソホロンジアミン、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミン、4、4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、芳香族ポリアミンである、m−キシリレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−イソプロピルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモ−6−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−シクロヘキシリデンジアニリン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス(N−メチルアニリン)、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−オキシジアニリン、2,4−ビス(4−アミノフェニルメチル)アニリン、4−メチル−m−フェニレンジアミン、2−メチル−m−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−m−フェニレンジアミン、2,4−ジエチル−6−メチル−m−フェニレンジアミン、4,6−ジエチル−2−メチル−m−フェニレンジアミン、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)などが好適に用いられる。
【0034】
本発明では、ポリアミンとして、上述したポリアミンの変性品、例えば、活性水素の一部が2−シアノエチル基や、ヒドロキシベンジル基などで置換される一方、2つ以上の活性水素が未反応のまま残存した化合物も用いられる。変性の反応としては、エポキシ化合物、アクリロニトリル、アクリル酸エステルなどとの付加反応、フェノール化合物とホルムアルデヒドを用いたマンニッヒ反応、カルボン酸誘導体によるアミド化反応などが挙げられる。
【0035】
本発明では、ポリアミンとして、一般的なポリアミンとは若干構造が異なるが、その硬化反応性はポリアミンと同一であることから、ジシアンジアミドもポリアミンに含め、用いられる。
【0036】
なかでも、エポキシ樹脂組成物の強化繊維への含浸性が優れるため、液状のポリアミンを用いるのが好ましい。さらに、本発明に用いる液状のポリアミンは、70℃における粘度が1000mPa・s以下であることが好ましく、さらには70℃における粘度が500mPa・s以下であることが好ましい。70℃における粘度が1000mPa・sより大きいと、エポキシ樹脂組成物が高粘度となるため、強化繊維への含浸性が不足する場合がある。
【0037】
また、高耐熱性で、なおかつ低線膨張係数である樹脂硬化物が得られることから、ポリアミンとして芳香族ポリアミンを用いることが好ましい。樹脂硬化物が低線膨張係数であると、成形時の熱収縮により生じる内部応力を低減できるため、引張強度やCAIなどの機械特性に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。
【0038】
芳香族ポリアミンの好ましい具体例として、次の一般式(II)で表されるポリアミンが挙げられる。
【0039】
【化12】
【0040】
(式中、R2、R3は水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、それぞれのR2、R3は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
ここで、一般式(II)のR2、R3は水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、それぞれのR2、R3は同一であっても異なっていてもよい。R2、R3が炭素数が5以上のアルキル基であると、樹脂硬化物の耐熱性が不足する場合がある。
【0041】
なかでも、低粘度の液状であり、なおかつ、極めて高耐熱性である樹脂硬化物が得られることから、一般式(II)のポリアミンとして2,4−ジエチル−6−メチル−m−フェニレンジアミン、4,6−ジエチル−2−メチル−m−フェニレンジアミンを用いることが好ましい。
【0042】
また、芳香族ポリアミンの別の好ましい具体例として、一般式(III)で表されるポリアミンが挙げられる。
【0043】
【化13】
【0044】
(式中、R4、R5は水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、それぞれのR4、R5は互いに同一であっても異なっていてもよい。また、Xは炭素数が1〜8のアルキレン基、以下の一般式(IV)〜(X)で表される基のいずれかを示す。)
【0045】
【化14】
【0046】
【化15】
【0047】
【化16】
【0048】
【化17】
【0049】
【化18】
【0050】
【化19】
【0051】
【化20】
【0052】
ここで、一般式(III)のR4、R5は水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、それぞれのR4、R5は同一であっても異なっていてもよい。R4、R5が炭素数が5以上のアルキル基であると、樹脂硬化物の耐熱性が不足する場合がある。
【0053】
なかでも、高耐熱性であり、極めて低線膨張係数の樹脂硬化物が得られることから、一般式(III)のポリアミンとしてジアミノジフェニルスルホンを用いることが好ましい。
【0054】
本発明において、ポリアミンの混合物が均一な液状であることが好ましい。ポリアミンの一部が固形である場合には、他の液状ポリアミンに加熱しながら溶解させるなどの手段により、均一な液状にするのが好ましい。さらに、ポリアミンの混合物は、70℃における粘度が1000mPa・s以下であることが好ましく、さらには500mPa・s以下であることが好ましい。70℃における粘度が1000mPa・sより大きいと、エポキシ樹脂組成物が高粘度となるため、強化繊維への含浸性が不十分となる場合がある。
【0055】
本発明において、ポリアミン混合物の配合量は、エポキシ樹脂混合物の組成より計算される化学量論量に対して、0.6〜1.4の範囲内であることが好ましく、さらには0.8〜1.2の範囲内であることが好ましい。かかる範囲から外れると、樹脂硬化物の耐熱性や弾性率が不足する場合がある。
【0056】
本発明において、構成要素A〜C以外に、後述する150℃以下の比較的低い温度で型内で硬化するプロセスに適合させるためなどの目的で、あらゆる公知の硬化促進剤を配合することができる。なかでも、比較的低い温度での硬化促進効果が高いことから、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、オニウム塩、スルホン酸エステル、3級アミン、イミダゾール類、フェノール化合物を配合することが好ましい。
【0057】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、強化繊維への含浸性が優れることから、70℃における粘度が1000mPa・s以下であることが好ましく、さらには500mPa・s以下であることが好ましい。
【0058】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、樹脂硬化物が高耐熱性と高靭性とを両立し、ひいては高耐熱性でありながら、引張強度やCAIなどの優れた繊維強化複合材料が得られることから、樹脂硬化物の理論架橋点間分子量αが250〜350g/molの範囲内であることが好ましく、さらには、270〜330g/molの範囲内であることが好ましい。ここで、理論架橋点間分子量αとは、全樹脂硬化物の重量wを全樹脂硬化物が持つ架橋点の数cで除した値であり、樹脂硬化物の架橋密度と反比例の関係にある。また、αは、樹脂硬化物の靭性と正の相関があり、耐熱性の指標であるガラス転移温度と負の相関がある。αが250g/molよりも小さいと、樹脂硬化物の架橋密度が大きくなりすぎるため、樹脂硬化物の靭性が低くなり、得られる繊維強化複合材料の引張強度やCAIなどの機械特性が不足することがある。逆に、αが350g/molよりも大きいと、架橋密度が小さくなりすぎるため、樹脂硬化物、ひいては繊維強化複合材料の耐熱性が不足することがある。
【0059】
αは以下に述べる計算によって求められる。
【0060】
まず、エポキシ樹脂組成物中に、k種(kは整数)のエポキシ樹脂成分が含まれる場合、このうちi番目(iは1〜kの整数)のエポキシ樹脂成分の配合量をai(単位:g)とする。また、エポキシ樹脂組成物中に、l種(lは整数)のポリアミン成分が含まれる場合、このうちj番目(jは1〜lの整数)のポリアミンの配合量をbj(単位:g)とすると、全樹脂硬化物の重量W(単位:g)は式(1)で求められる。
【0061】
【数1】
【0062】
i番目のエポキシ樹脂成分のエポキシ当量をEi(単位:g/mol)、i番目のエポキシ樹脂成分1分子が持つエポキシ基の数をxiとする。また、j番目のポリアミン成分の活性水素当量をHj(単位:g/mol)、j番目のポリアミン成分1分子が持つ活性水素の数をyjとする。全樹脂硬化物に含まれる架橋点の数c(単位:mol)は、エポキシ樹脂とポリアミンとの配合比が、化学量論量の場合、ポリアミンが過剰の場合、およびエポキシ樹脂が過剰の場合で求め方が異なる。どの求め方を採用するかは、式(2)により求められる、エポキシ樹脂とポリアミンとの配合比を表す配合比指数βにより決定する。
【0063】
【数2】
【0064】
ここで、β=1である場合は、エポキシ樹脂とポリアミンとの配合比が化学量論量であり、架橋点の数cは式(3)により求められる。この架橋点の数cは、反応し得る全てのエポキシ基と全てのポリアミンの活性水素とが反応することによって生じる架橋点の数を表す。
【0065】
【数3】
【0066】
また、β>1の場合は、ポリアミンが化学量論量よりも過剰であり、架橋点の数cは式(4)により求められる。
【0067】
【数4】
【0068】
また、β<1の場合は、エポキシ樹脂が化学量論量よりも過剰であり、架橋点の数cは式(5)により求められる。
【0069】
【数5】
【0070】
ここで、Ei×xi、およびHj×yjはそれぞれi番目のエポキシ樹脂成分の平均分子量、およびj番目のポリアミン成分の平均分子量を表す。また、(xi−2)は、i番目のエポキシ樹脂成分1分子中の全てのエポキシ基がポリアミンの活性水素と反応し、架橋構造に取り込まれることによって生じる架橋点の数を表す。また、(yj−2)はj番目のポリアミン1分子中の全ての活性水素がエポキシ基と反応し、架橋構造に取り込まれることによって生じる架橋点の数を表す。例えば、i番目のエポキシ樹脂成分が4官能エポキシ樹脂の場合、1分子は4個のエポキシ基を持ち、生じる架橋点の数は4−2の2個となる。また、j番目のポリアミン成分が1分子当たり2個の活性水素を持つ場合、生じる架橋点の数は2−2の0個となる。
【0071】
上述した式により求められたW、cを用い、架橋点間分子量αは式(6)により求められる。
【0072】
【数6】
【0073】
ここで、例として、エポキシ樹脂1(エポキシ基:3個、エポキシ当量:98g/eq)90g、エポキシ樹脂2(エポキシ基:2個、エポキシ当量:135g/eq)10g、およびポリアミン1(活性水素:4個、活性水素当量:45g/eq)44.7gからなるエポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物について、理論架橋点間分子量αを求めてみる。まず、全樹脂硬化物の重量Wは式(1)より144.7gである。また、式(2)より求められるβは1であるので、全樹脂硬化物が有する架橋点の数cは式(3)により、0.803molと求められる。したがって、樹脂硬化物の理論架橋点間分子量αは式(6)により、180g/molと求められる。
【0074】
樹脂硬化物の耐熱性は、繊維強化複合材料の耐熱性と正の相関があるため、高耐熱性の繊維強化複合材料を得るためには、高耐熱性の樹脂硬化物を用いることが重要である。ガラス転移温度は、雰囲気の温度がガラス転移温度を上回ると、樹脂硬化物、ひいては繊維強化複合材料の機械強度が大きく低下することから、耐熱性の指標としてよく用いられる。本発明において、高耐熱性の繊維強化複合材料が得られることから、エポキシ樹脂組成物を180℃で2時間硬化して得られる樹脂硬化物のガラス転移温度が、170℃以上であることが好ましく、さらには180℃以上であることが好ましい。
【0075】
また、樹脂硬化物の機械特性は、繊維強化複合材料の機械特性に影響を与える。なかでも、樹脂硬化物の靭性は、繊維強化複合材料の引張強度やCAIなどの機械特性と正の相関があるため、高引張強度や高CAIの繊維強化複合材料を得るためには、高靭性の樹脂硬化物を用いることが重要である。樹脂硬化物の靭性の指標としては、引張伸度がよく用いられる。本発明において、引張強度やCAIなどの機械特性が優れた繊維強化複合材料が得られることから、エポキシ樹脂組成物を180℃で2時間硬化して得られる樹脂硬化物の23℃における引張伸度が、5%以上であることが好ましく、さらには6%以上であることが好ましい。
【0076】
また、樹脂硬化物の弾性率は、繊維強化複合材料の繊維方向の圧縮強度(すなわち0°圧縮強度)やCAIと正の相関があるため、高圧縮強度や高CAIの繊維強化複合材料を得るためには、高弾性率の樹脂硬化物を用いることが重要である。本発明において、圧縮強度やCAIなどの機械特性が優れた繊維強化複合材料が得られることから、180℃で2時間硬化して得られる樹脂硬化物の23℃における曲げ弾性率が、3.0GPa以上であることが好ましく、さらには3.2GPa以上であることが好ましい。
【0077】
次に、本発明の繊維強化複合材料、および繊維強化複合材料の製造方法について工程順に説明する。
1.強化繊維基材の準備工程
本発明の繊維強化複合材料において、強化繊維基材を構成する強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ボロン繊維などが用いられる。なかでも、軽量でありながら、強度や弾性率などの機械特性が優れる繊維強化複合材料が得られることから、炭素繊維が好ましく用いられる。強化繊維は短繊維、連続繊維のいずれであってもよく、両者を併用してもよいが、繊維体積含有率(Vf)の高い繊維強化複合材料を得るためには、連続繊維であることが好ましい。本発明の繊維強化複合材料では、強化繊維をマット、織物、ニット、ブレイド、一方向シートなどの形態に加工した強化繊維基材が好ましく用いられる。
【0078】
また、強化繊維基材は、所望の形状に裁断、積層したものを用いてもよい。さらには、裁断、積層後、ステッチや、少量の融着性樹脂を付与して加熱・加圧する方法などにより、予め強化繊維を所望の形状に賦形したものを用いてもよい。また、強化繊維とコア材などのその他の材料とを組みあわせたものを用いることもできる。
2.エポキシ樹脂組成物の準備工程
次に、上記強化繊維基材に含浸すべきエポキシ樹脂組成物を準備する。
【0079】
エポキシ樹脂、ポリアミンが複数の成分からなる場合は、予め混合して、エポキシ樹脂混合物、ポリアミン混合物を得ておくことが好ましい。エポキシ樹脂、ポリアミンの一部が固形である場合は、他の液状エポキシ樹脂、ポリアミンに加熱するなどの手段により溶解させ、均一な液状にすることが好ましい。ただし、均一な液状にならない場合でも、液滴あるいは粒子の形態で安定なコロイド状態を保つ場合は問題ない。この場合、液滴あるいは粒子の径は1μm以下であることが好ましく、さらには0.3μm以下であることが好ましい。液滴あるいは粒子の径が1μmより大きいと、強化繊維の間隙の通過に困難をきたし、組成の不均一性を招く恐れがある。
【0080】
また、硬化促進剤などのその他の成分は、予めエポキシ樹脂混合物、またはポリアミン混合物に混合しておくことが好ましい。
【0081】
エポキシ樹脂混合物とポリアミン混合物とを混合してエポキシ樹脂組成物を得るが、速やかに混合できることから、30〜90℃に加温した状態で混合することが好ましい。また、混合するに際しては、別々の容器に保持したエポキシ樹脂混合物とポリアミン混合物を混合機に送液し、オンラインで混合する方法が好適に用いられる。
3.型の準備及び含浸工程
本発明におけるエポキシ樹脂組成物は、強化繊維への含浸性が優れることから、強化繊維に液状の熱硬化性樹脂を含浸させる工程を含む、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、RTM法などの製造方法により、効率よく繊維強化複合材料を製造することができる。なかでも、RTM法により、複雑形状の繊維強化複合材料を、効率よく製造することができる。ここで、RTM法とは、型内に配置した強化繊維基材に液状の熱硬化性樹脂を含浸させ、加熱硬化する方法のことを指す。
【0082】
本発明のRTM法において、型の構造に制限はないが、剛性材料からなる密閉型や、剛性材料とバギングフィルムからなる開放型などが用いられる。
【0083】
剛性材料としては、炭素鋼、合金鋼、鋳鉄、アルミニウム、アルミニウムなどの金属、FRP(Fiber Reinforced Plastic)、木材、石膏などを用いることができる。また、バギングフィルムの材料としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、シリコーンなどを用いることができる。
【0084】
密閉型を用いる場合は、加圧して型締めし、エポキシ樹脂組成物を加圧して注入することが通常行われる。このとき、吸引口に真空ポンプなどを接続して吸引を併用することも可能である。また、吸引のみを行い、エポキシ樹脂組成物を注入することも可能である。開放型を用いる場合は、通常、吸引のみを行い、エポキシ樹脂組成物を注入する。吸引のみによる注入で、良好な含浸を実現するためには、米国特許第4902215号公報に示されるような、樹脂拡散媒体を用いる方法が有効である。
【0085】
また、型内に、強化繊維基材以外にフォームコア、ハニカムコア、金属部品などを設置し、これらと一体化した材料を得ることも可能である。特にフォームコアの両面に強化繊維基材が配置されたサンドイッチ構造体は、軽量でありながら、大きな曲げ剛性を有するので、外板材料として好ましく用いることができる。
【0086】
4.加熱硬化工程
強化繊維基材内にエポキシ樹脂組成物を含浸した後、型内で熱硬化が行われる。型内の硬化条件は、注入時の型温を一定時間保持して硬化させる方法、最高硬化温度よりも低い温度まで昇温し、一定時間保持して硬化させる方法、最高硬化温度まで昇温し、一定時間保持して硬化させる方法などを用いることができる。型内での硬化が短時間であると、繊維強化複合材料を効率よく製造できることから、型内で硬化させる時間が12時間以下であることが好ましく、さらには6時間以下であることが好ましい。
【0087】
型内で最高硬化温度よりも低い温度で硬化した場合は、脱型した後、最高硬化温度に保持したオーブンなどで一定時間保持し、後硬化することができる。後硬化を行う場合、最高硬化温度に保持する時間は4時間以下であることが好ましく、さらには3時間以下であることが好ましい。
【0088】
いずれの場合も、最高硬化温度が160〜210℃であることが好ましく、さらには170〜190℃であることが好ましい。型の材質、副資材、熱源に安価なものを用いることができることから、型内の硬化温度は150℃以下であることが好ましく、さらには130℃以下であることが好ましい。このため、型内では150℃以下で硬化を行い、脱型後に後硬化を行う方法が好適に用いられる。
【0089】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、強化繊維に液状の熱硬化性樹脂を含浸させる工程を含む、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、RTM法など以外の製造方法によっても、高耐熱性でありながら、引張強度やCAIなどの機械特性が優れた繊維強化複合材料を好適に製造することができる。強化繊維に液状の熱硬化性樹脂を含浸させる工程を含まない製造方法としては、強化繊維に半固形の樹脂組成物を含浸させた中間基材であるプリプレグを用いる方法などが挙げられる。
【0090】
本発明の繊維強化複合材料は、軽量でありながら、強度や弾性率などの機械特性が優れることから、繊維強化複合材料の繊維体積含有率(Vf)が、45〜85%の範囲内であるのが好ましく、さらには50〜85%の範囲内であるのが好ましい。
【0091】
本発明の繊維強化複合材料は、航空機や宇宙機の胴体、主翼、尾翼、動翼、フェアリング、カウル、ドアなど、自動車のプラットホームなどの構造材、フード、
ルーフ、トランクリッドなどの外板などに好ましく用いることができる。
【0092】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。実施例では、エポキシ樹脂組成物の調整、各物性の測定は次に示す方法によった。各実施例で用いたエポキシ樹脂組成物の組成、各物性の測定結果はは表1に纏めて示した。
<エポキシ樹脂組成物の調製>
所定の比率で混合したエポキシ樹脂を均一になるまで撹拌し、エポキシ樹脂混合物を得た。なお、NC−3000を含む場合は、100℃に加温した状態でよく撹拌し、エポキシ樹脂混合物を得た。
【0093】
また、所定の比率で混合したエピキュアW、3,3’−DAS、および”スミキュア”Sを90℃に加温した状態で均一になるまで撹拌し、ポリアミン混合物を得た。次に、硬化促進剤であるtert−ブチルカテコールをポリアミン混合物に加え、90℃に加温した状態で均一になるまでよく撹拌し、ポリアミンと硬化促進剤との混合物を得た。
【0094】
次に、エポキシ樹脂混合物に、ポリアミンと硬化促進剤との混合物を加え、70℃に加温した状態で均一になるまでよく撹拌し、エポキシ樹脂組成物を得た。
<エポキシ樹脂組成物の粘度>
JIS Z8803における円錐−平板型回転粘度計を用いた測定方法に準拠し、エポキシ樹脂混合物、ポリアミン混合物、およびエポキシ樹脂組成物を調製した直後の70℃における粘度を測定した。装置は東機産業(株)製のTVE−30H型を用いた。ここで、ローターは1゜34’×R24を用い、サンプル量は1cm3とした。
<樹脂硬化板の作成>
エポキシ樹脂組成物を厚さ2mmの板状キャビティーを備えた型内に注入し、次の条件でオーブン中にて加熱硬化して樹脂硬化板を得た。
【0095】
(1)30℃から180℃まで、速度1.5℃/minで昇温する。
【0096】
(2)180℃で2時間保持する。
【0097】
(3)180℃から30℃まで、速度2.5℃/minで降温する。
<樹脂硬化物のガラス転移温度測定>
上記の方法で得た樹脂硬化板から、幅12.7mm、長さ55mmの試験片を切り出し、SACMA SRM18R−94に準拠し、DMA法によりガラス転移温度を測定した。装置はレオメトリックス社製のARESを用いた。ここで、昇温速度は5℃/min、測定周波数は1Hzとした。
<樹脂硬化物の弾性率測定>
上記の方法で得た樹脂硬化板から、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、JIS K7171に準拠し、3点曲げ試験により曲げ弾性率を測定した。装置はインストロン社製の4201型テンシロンを用いた。ここで、クロスヘッドスピードは2.5mm/min、スパン間は32mm、測定温度を23℃とした。
<樹脂硬化物の引張伸度測定>
JIS K7113に準拠し、上記の方法で得た樹脂硬化板から、小型1(1/2)号試験片を作製し、引張伸度を測定した。装置はインストロン社製の4201型テンシロンを用いた。ここで、クロスヘッドスピードは2.5mm/min、測定温度を23℃とした。
<繊維強化複合材料の作製>
A.ガラス転移温度、0°引張強度、および0°圧縮強度測定用
400mm×400mm×1.2mmの板状キャビティーを有する金型に、395mm×395mmに切り出した炭素繊維一方向織物(炭素繊維:T800S、目付:191g/m2、東レ(株)製)を、炭素繊維方向を0°として、0°方向に揃えて6枚積層したものをセットし、型締めを行った。続いて、金型を70℃に加温した後、予め別途70℃に加温したエポキシ樹脂組成物を、樹脂注入装置を用い、注入圧0.2MPaで型内に注入し、強化繊維基材に含浸させた。含浸後、金型を速度1.5℃/minで130℃まで昇温し、130℃で2時間保持した後、30℃にまで降温し、脱型した。脱型後、次の条件でオーブン中にて後硬化を行い、繊維強化複合材料を得た。
(1)30℃から180℃まで、速度1.5℃/minで昇温する。
(2)180℃で2時間保持する。
(3)180℃から30℃まで、速度2.5℃/minで降温する。
B.CAI測定用
400mm×400mm×4.8mmの板状キャビティーを有する金型に、395mm×395mmに切り出した炭素繊維一方向織物(炭素繊維:T800S、目付:191g/m2、東レ(株)製)を、炭素繊維方向を0°として、(45°/0°/−45°/90°)を3回繰り返して12枚積層した上に、(90°/−45°/0°/45°)を3回繰り返して12枚積層したものをセットし、型締めを行った。続いて、金型を70℃に加温した後、予め別途70℃に加温したエポキシ樹脂組成物を、樹脂注入装置を用い、注入圧0.2MPaで型内に注入し、強化繊維基材に含浸させた。含浸後、金型を速度1.5℃/minで130℃まで昇温し、130℃で2時間保持した後、30℃にまで降温し、脱型した。脱型後、次の条件でオーブン中にて後硬化を行い、繊維強化複合材料を得た。
(1)30℃から180℃まで、速度1.5℃/minで昇温する。
(2)180℃で2時間保持する。
(3)180℃から30℃まで、速度2.5℃/minで降温する。
<繊維強化複合材料のガラス転移温度測定>
上記の方法で得た繊維強化複合材料から、幅12.7mm、長さ55mmの試験片を、90°方向と長さ方向が同じになるように作成し、SACMA SRM18R−94に準拠し、DMA法によりガラス転移温度を測定した。装置はレオメトリックス社製のARESを用いた。ここで、昇温速度は5℃/min、測定周波数は1Hzとした。
<繊維強化複合材料の0°引張強度測定>
上記の方法で得た繊維強化複合材料から、幅12.7mm、長さ229mmの試験片を、0°方向と長さ方向が同じになるように作成し、ASTM−D3039に準拠して、0°引張強度を測定した。装置はインストロン社製の4208型テンシロンを用いた。ここで、クロスヘッドスピードは1.27mm/min、測定温度を23℃とした。
<繊維強化複合材料の0°圧縮強度測定>
上記の方法で得た繊維強化複合材料から、幅12.7mm、長さ79.4mmの試験片を、0°方向と長さ方向が同じになるように作成し、ASTM D695に準拠して、0°圧縮強度を測定した。装置はインストロン社製の4208型テンシロンを用いた。ここで、クロスヘッドスピードは1.27mm/min、測定温度を23℃とした。
<繊維強化複合材料のCAI測定>
上記の方法で得た繊維強化複合材料から、幅101.6mm、長さ152.4mmの試験片を、0°方向と長さ方向が同じになるように作成し、ボーイング社試験法BMS7260に準拠し、CAIを測定した。装置はインストロン社製の1128型テンシロンを用いた。ここで、落錘衝撃のエネルギーは6.7J/mm、クロスヘッドスピードは1.27mm/min、測定温度を23℃とした。
<樹脂原料>
エポキシ樹脂組成物の調製には次の市販品を用いた。
(1)エポキシ樹脂
(a)構成要素A
・NC−3000(日本化薬(株)製):一般式(I)で表されるエポキシ樹脂であり、R1が水素原子、m=2、n=1.3である。n=1.3であるこ とから、NC−3000の1分子が持つエポキシ基の数は3.3である。エ ポキシ当量=275g/mol
(b)構成要素C
・“エピコート”834(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2官能芳香族エポキシ樹脂)、エポキシ当量=250g/mol
・“エピコート”630(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製): トリグリシジル−p−アミノフェノール(3官能芳香族エポキシ樹脂)、エポキシ当量=98g/mol
・AK601(日本化薬(株)製):ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル(2官能脂肪族エポキシ樹脂)、エポキシ当量=175g/mol
・“エピコート”825(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2官能芳香族エポキシ樹脂)、エポキシ当量=175g/mol
(2)ポリアミン(構成要素B)
・“エピキュア”W(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製):2,4−ジエチル−6−メチル−m−フェニレンジアミンと4,6−ジエチル−2−メチル−m−フェニレンジアミンの混合物(芳香族アミン化合物)、活性水素当量=45g/mol
・3,3’−DAS(三井化学ファイン(株)製):3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、活性水素当量=62g/mol
・“スミキュア”S(登録商標、住友化学工業(株)製):4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、活性水素当量=62g/mol
(3)硬化促進剤
・tert−ブチルカテコール(東京化成工業(株)製)
(比較例1)
表1に示す樹脂原料を用いエポキシ樹脂混合物、ポリアミン混合物を調整し、70℃における粘度を測定したところ、いずれも低粘度であった。次に、エポキシ樹脂組成物を調製し、70℃における粘度を測定したところ、低粘度であった。
【0098】
続いて、樹脂硬化物のガラス転移温度、曲げ弾性率、引張伸度を測定したところ、ガラス転移温度、曲げ弾性率は十分に高いものの、引張伸度が不足していた。なお、樹脂硬化物の理論架橋点間分子量を求めたところ、不十分な値であった。
【0099】
また、繊維強化複合材料を製造したところ、得られた繊維強化複合材料の品位は良好であった。さらに、繊維強化複合材料のガラス転移温度、0°引張強度、0°圧縮強度、CAIを測定したところ、ガラス転移温度、0°圧縮強度は十分に高いものの、0°引張強度、CAIは不十分であった(実施例1,2)。
【0100】
NC−3000を配合し、架橋密度を低減したエポキシ樹脂組成物について検討を行った。
【0101】
表1に示す樹脂原料を用いエポキシ樹脂混合物、ポリアミン混合物を調整し、70℃における粘度を測定したところ、いずれも低粘度であった。次に、エポキシ樹脂組成物を調製し、70℃における粘度を測定したところ、低粘度であった。
【0102】
続いて、樹脂硬化物のガラス転移温度、曲げ弾性率、引張伸度を測定したところ、いずれも十分に高いことがわかった。なお、樹脂硬化物の理論架橋点間分子量を求めたところ、十分に高い値であった。
【0103】
また、繊維強化複合材料を製造したところ、得られた繊維強化複合材料の品位は良好であった。さらに、繊維強化複合材料のガラス転移温度、0°引張強度、0°圧縮強度、CAIを測定したところ、いずれも十分に高いことがわかった
(比較例2)。
【0104】
NC−3000の代わりに、NC−3000とエポキシ当量がほぼ同じである“エピコート”834を配合し、架橋密度を低減したエポキシ樹脂組成物について検討を行った。
【0105】
表1に示す樹脂原料を用いエポキシ樹脂混合物、ポリアミン混合物を調整し、70℃における粘度を測定したところ、いずれも低粘度であった。次に、エポキシ樹脂組成物を調製し、70℃における粘度を測定したところ、低粘度であった。
【0106】
続いて、樹脂硬化物のガラス転移温度、曲げ弾性率、引張伸度を測定したところ、曲げ弾性率、引張伸度は十分に高いものの、ガラス転移温度が低いことがわかった。なお、樹脂硬化物の理論架橋点間分子量を求めたところ、十分に高い値であった。
【0107】
また、繊維強化複合材料を製造したところ、得られた繊維強化複合材料の品位は良好であった。さらに、繊維強化複合材料のガラス転移温度、0°引張強度、0°圧縮強度、CAIを測定したところ、0°引張強度、0°圧縮強度、CAIは十分に高いものの、ガラス転移温度が低いことがわかった。
【0108】
【表1】
【0109】
【発明の効果】
本発明により、低粘度であり、得られる樹脂硬化物が高耐熱性と高靭性とを両立する繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物が得られる。このエポキシ樹脂組成物と強化繊維とからなる繊維強化複合材料は、高耐熱性でありながら、引張強度やCAIなどの機械特性に優れるものであった。また、このエポキシ樹脂組成物は、低粘度であるために、強化繊維に液状の熱硬化性樹脂を含浸させる工程を含むRTM法などの製造方法により、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材などを効率よく製造できる。
Claims (15)
- 樹脂硬化物の理論架橋点間分子量が250〜350g/molの範囲内である請求項1記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 一般式(I)におけるmが2または3である請求項1、2のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 構成要素Aの配合量が、全エポキシ樹脂100wt%に対して10〜60wt%である請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 構成要素Bが液状のポリアミンである請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 構成要素Bが芳香族ポリアミンである請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 70℃での粘度が1〜1000mPa・sである請求項1〜8のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 180℃で2時間硬化して得られる樹脂硬化物のガラス転移温度が170℃以上である請求項1〜9のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 180℃で2時間硬化して得られる樹脂硬化物の引張伸度が5%以上である請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜11のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物と強化繊維とからなる繊維強化複合材料。
- 強化繊維が炭素繊維である請求項12記載の繊維強化複合材料。
- 強化繊維の体積含有率が45〜85%の範囲内である請求項12、13のいずれかに記載の繊維強化複合材料。
- 型内に配置した強化繊維基材に、請求項1〜11のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を注入し、含浸させた後、加熱して硬化させることを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法。
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