JP2005248118A - エポキシ樹脂組成物および繊維強化複合材料及びそれらの製造方法 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物および繊維強化複合材料及びそれらの製造方法 Download PDF

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Nobuyuki Arai
信之 荒井
Toshiya Kamae
俊也 釜江
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Abstract

【課題】
高耐熱性と機械強度に優れた繊維強化複合材料を得るのに有用なエポキシ樹脂組成物提供する。
【解決手段】
下記の一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)を含み、かつ70℃における粘度が0.001〜300Pa・sの範囲のエポキシ樹脂組成物である。
【化1】 (1)
Figure 2005248118

(式中、Gは下記の一般式(2)で表される基で、ナフタレン骨格のいずれの環に付加してもよく両リングに同時に付加してもよい。Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表し、それぞれのRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Jは下記の一般式(2)で表される基または水素原子のいずれかを表し、Xは炭素数が1〜8のアルキレン基または下記の一般式(3)で示される基のいずれかを表す。a、b、cは1または2、d、e、f、gは0〜2の整数、mは0〜5、nは0〜3をそれぞれ表す。)
【化2】 (2)
Figure 2005248118

【化3】 (3)
Figure 2005248118

【選択図】 なし

Description

本発明は、航空機部材、宇宙機部材および自動車部材などに好適に用いられるエポキシ樹脂組成物および繊維強化複合材料に関するものである。
ガラス繊維、炭素繊維およびアラミド繊維などの強化繊維と、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂およびビスマレイミド樹脂等の樹脂硬化物からなる繊維強化複合材料は、軽量でありながら、強度や剛性や耐衝撃性などの機械物性に優れるため、航空機部材、宇宙機部材、人工衛星部材、自動車部材、鉄道車両部材、船舶部材およびスポーツ用具部材などの数多くの分野に応用されてきた。これらの分野のうち、航空機部材と宇宙機部材では、特に優れた機械物性や耐熱性が要求されるため、強化繊維としては炭素繊維が最もよく用いられ、マトリックス樹脂としては熱硬化性樹脂のうち、優れた耐熱性、弾性率および耐薬品性を有し、かつ硬化収縮が小さいエポキシ樹脂が最もよく用いられている。これらの繊維強化複合材料の製造には、予め強化繊維からなるプリフォームを型内に入れ、型内に液状の樹脂を注入してプリフォームに含浸させ、その後、加熱硬化して繊維強化複合材料を得るレジン・トランスファー・モールディング(Resin Transfer Molding)法(RTM法)、ハンドレイアップ法、フィラメント・ワインディング法、プルトルージョン法や、プリフォームを型内に入れ、強化繊維に未硬化の熱硬化性樹脂が含浸されたシート状中間基材であるプリプレグを用いる方法などを挙げることができる。なかでも、複雑な形状を有する大型の部材を短時間で成形でき、生産性が良いRTM法が多用されている。
ここで、RTM法に用いられる樹脂は、プリフォームへの含浸を用意にするため樹脂を注入する温度領域において、低粘度である必要がある。これは、樹脂の粘度が高いと、注入に時間を要するため生産性が低くなったり、得られる繊維強化複合材料に未含浸部が生じるためである。
上記のRTM法によって、航空機部材、宇宙機部材および自動車部材に代表されるような繊維強化複合材料を製造する場合、繊維強化複合材料が高耐熱性でありながら、引張強度やCAI(衝撃後圧縮強度)などの機械物性に優れていることが求められる。繊維強化複合材料の耐熱性は、樹脂硬化物の耐熱性と正の相関があり、また、繊維強化複合材料の引張強度やCAIは、樹脂硬化物の靭性と正の相関があることから、樹脂硬化物において、高耐熱性と高靭性とを両立させることが要求される。
まず、樹脂硬化物を高靭性化する一つの方法として、樹脂組成物に熱可塑性樹脂やゴムなどの高分子化合物を添加する方法が知られている(特許文献1参照)。ところが、高分子化合物の添加は、靭性は高まるものの、樹脂組成物の粘度が著しく高くなるために、RTM法に採用することは困難であった。
また、樹脂硬化物を高靭性化する別の方法としては、硬化後の樹脂硬化物を低架橋密度化し靭性と正の相関がある引張伸度を高める方法が知られている(特許文献2参照)。ところが、この方法では、樹脂硬化物の引張伸度が高くなるとともに、耐熱性が著しく低下するという問題があった。
また、耐熱性と靭性に優れたエポキシ樹脂として、1,1−ビス(2,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)アルカンにエピハロヒドリンを反応させたものが開示されている(特許文献3参照)。さらに、1,1−ビス(2,7−ジヒドロキシ−1−ナフチル)アルカンにエピハロヒドリンを反応させたものと2官能のエポキシ樹脂および硬化剤とからなるエポキシ樹脂組成物が開示されており、成形時の流動性、硬化性や硬化後の耐熱性、耐水性のバランスに優れた半導体封止材料用樹脂および積層板用樹脂として示されている(特許文献4、特許文献5および特許文献6参照)。しかしながら、これらの樹脂は繊維強化複合材料用のマトリックス樹脂としては、粘度が高く、強化繊維への含浸性が不十分であるという問題がある。
特開平8−27360号公報(第2頁) 特開平8−301982号公報(第2−3頁) 特開平4−217675号公報 特開平5−86167号公報 特開平5−271386号公報 特開2000−103941号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、高耐熱性と高靱性とを両立させ、なおかつ、強化繊維への含浸性が十分である程度の低粘度であり、高耐熱性と機械強度に優れた繊維強化複合材料を得るのに有用なエポキシ樹脂組成物および、高耐熱性や機械強度に優れた繊維強化複合材料、およびその製造方法を提供することにある。
かかる課題を解決するために、本発明のエポキシ樹脂組成物は、下記の一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)を含み、かつ70℃における粘度が0.001〜300Pa・sの範囲のエポキシ樹脂組成物である。
Figure 2005248118
(1)
(式中、Gは下記の一般式(2)で示される基で、ナフタレン骨格のいずれの環に付加してもよく両リングに同時に付加してもよい。Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表し、それぞれのRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Jは下記の一般式(2)で示される基または水素原子のいずれかを表し、Xは炭素数が1〜8のアルキレン基または下記の一般式(3)で示される基のいずれかを表す。a、b、cは1または2、d、e、f、gは0〜2の整数、mは0〜5、nは0〜3をそれぞれ表す。)
Figure 2005248118
(2)
Figure 2005248118
(3)
(式中、Gは上記の一般式(2)で表される基である。)
また、本発明の繊維強化複合材料は、上記エポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物と強化繊維とからなる繊維強化複合材料である。
また、本発明の上記繊維強化複合材料は、型内に配置した強化繊維基材に、上記エポキシ樹脂組成物を注入し、硬化せしめることにより製造することができる。
本発明により、低粘度でありながら、得られる樹脂硬化物が優れた耐熱性と高靭性を両立する繊維強化複合材料用好適なエポキシ樹脂組成物を提供することができる。また、このエポキシ樹脂組成物は、低粘度であるため、強化繊維に液状の熱硬化性樹脂を含浸させる工程を含むプリプレグやRTM法などにより、航空機部材、宇宙機部材および自動車部材などを効率よく製造することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、下記のエポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)を含むものである。ここで、エポキシ樹脂とは、分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物を指し、エポキシ樹脂組成物とは、エポキシ樹脂と硬化剤とを含む未硬化の組成物を指す。本発明において用いられるエポキシ樹脂(A)は、次の一般式(1)で示されるエポキシ樹脂である。
Figure 2005248118
(1)
(式中、Gは下記の一般式(2)で表される基で、ナフタレン骨格のいずれの環に付加してもよく両リングに同時に付加してもよい。Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表し、それぞれのRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Jは下記の一般式(2)で表される基または水素原子のいずれかを表し、Xは炭素数が1〜8のアルキレン基または下記の一般式(3)で示される基のいずれかを表す。a、b、cは1または2、d、e、f、gは0〜2の整数、mは0〜5、nは0〜3をそれぞれ表す。)
Figure 2005248118
(2)
Figure 2005248118
(3)
(式中、Gは上記の一般式(2)で示される基である。)
本発明で用いられる一般式(1)で示されるエポキシ樹脂は、どのような製造方法で得られるものであってもよいが、例えば、ヒドロキシナフタレン類とエピハロヒドリンとの反応により得ることができる。
一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の具体例としては、下記の化合物をあげることが出来、本発明では、これらを単独または複数個併用して使用することができる。
Figure 2005248118
Figure 2005248118
Figure 2005248118
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Figure 2005248118
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Figure 2005248118
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Figure 2005248118
Figure 2005248118
Figure 2005248118
Figure 2005248118
Figure 2005248118
(上記式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表し、それぞれのRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Gは下記の一般式(2)で示される基である。hは1または2であり、p、q、s、tはそれぞれ1以上である。)
Figure 2005248118
(2)
また、本発明において、エポキシ樹脂(A)の配合量(エポキシ樹脂(A)に該当するエポキシ樹脂を複数種用いる場合はその合計)は、好ましくは全エポキシ樹脂100重量%に対して、10〜100重量%、より好ましくは10〜60重量%である。エポキシ樹脂(A)が10重量%未満であると、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性が低下する場合があり、60重量%を超えるとエポキシ樹脂組成物が高粘度となるため、強化繊維への含浸性が不十分となる場合がある。
本発明のエポキシ樹脂においては、エポキシ樹脂(A)で示されるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂(C)を含むことができる。
エポキシ樹脂(A)以外のエポキシ樹脂(C)として、公知慣用のものが何れも使用でき、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メンタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジシクロペンタン、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′ジヒドロキシビフェニル−3,3′,5,5′−テトラメチエルビフェニル、ビス(ヒドロキシナフチル)メタン、および1,1′−ビナフトール、1,1′−ビス(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンなどを原料としたエポキシ樹脂を用いることができる。
さらに、フェノール、о−クレゾール、カテコール等のフェノール類、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類との反応生成物のグリシジルエーテル化物であるフェノールノボラック系エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、メチル−t−ブチルフェノール等のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド類との縮合により得られたトリチル骨格含有ポリフェノール類のポリグリシジルエーテル;トリチル骨格含有ポリフェノール類とホルムアルデヒド類との反応生成物であるトリメチル骨格含有ポリフェノール系ノボラック類のポリグリシジルエーテル;フェノール、o−クレゾール、カテコール等のフェノール類とキシリレンジクロリドや(ヒドロキシメチル)ベンゼン等類との反応生成物であるポリアラキルフェノール樹脂類のポリグリシジルエーテル;フェノール、o−クレゾール、カテコール等のフェノール類、又はヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類と、ジシクロペンタジエンやリモネン等の不飽和脂環式炭化水素類との反応生成物のグリシジルエーテルである脂環式炭化水素含有ポリフェノール樹脂型エポキシ樹脂又はポリナフトール樹脂型エポキシ樹脂;脂環式炭化水素含有ポリフェノール樹脂類又はポリナフトール樹脂類とホルムアルデヒド類との反応生成物である脂環式水素含有ポリフェノールノボラック樹脂類又はポリナフトールノボラック樹脂類のポリグリシジルエーテル;フェノール類と芳香族カルボニル化合物との縮合反応により得られる多過フェノールのグリシジルエーテル化合物類;フロログリシン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]ベンゼン等を基本骨格とする三価以上のフェノール類のポリグリシジルエーテル;カリクサレン等の環状フェノール類から誘導されるグリシジルエーテル化合物等;p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、4−アミノメタクレゾール、6−アミノメタクレゾール、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、P−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、N,N−ジグリシジルアニリン等から誘導されるアミン系エポキシ樹脂;p−オキシ安息香酸、m−オキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族カルボン酸から誘導されるグリシジルエステル系化合物;5,5−ジメチルヒダントイン等から誘導されるヒダントイン系エポキシ化合物;2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロピル)シクロヘキシル]プロパン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキシ樹脂;ポリブタジエン等の不飽和炭化水素化合物中の二重結合を酸化して得られる脂肪族エポキシ樹脂等があり、これらは単独または複数個併用して使用することができる。
エポキシ樹脂(A)以外のエポキシ樹脂(C)は、目的とするエポキシ樹脂組成物の粘度および樹脂硬化物の機械的物性に応じて適宜選択すればよく、本発明の効果を損なわない範囲で選択し得る。
また、本発明において、エポキシ樹脂(A)以外のエポキシ樹脂(C)の配合量(エポキシ樹脂(A)以外のエポキシ樹脂(C)に該当するエポキシ樹脂を複数種用いる場合はその合計)は、全エポキシ樹脂100重量%に対して、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%である。エポキシ樹脂(C)の配合量が40重量%未満であると、エポキシ樹脂組成物が高粘度となるため、強化繊維への含浸性が不十分となる場合があり、エポキシ樹脂(C)の配合量が60重量%を超えると、樹脂硬化物の耐熱性が低下する場合がある。エポキシ樹脂(A)以外のエポキシ樹脂(C)のエポキシ樹脂は、室温で固体であっても液体であっても良いが、低粘度化という観点からは液体であることが好ましい。
本発明において、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂(C)は、均一に混合していることが好ましい。エポキシ樹脂(A)もしくはエポキシ樹脂(C)のどちらかが、相溶せずに析出したりしていると、樹脂硬化物の耐熱性や機械的物性が低下する場合がある。エポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂(C)の一部が固形である場合には、液状エポキシ樹脂に加熱しながら溶解させるなどの手段により、均一な液状にすることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化剤(B)を含む。硬化剤(B)としては、エポキシ樹脂を硬化させる作用があるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリアミン(アミン系硬化剤)、ポリアミドアミン樹脂およびその変性物、酸無水物、ノボラック型フェノール樹脂、ポリメルカプタン、イソシアネート、潜在性硬化剤、カチオン重合開始剤、およびアニオン重合開始剤等を挙げることができる。
なかでも、ポリアミン、酸無水物、アニオン重合開始剤およびカチオン重合開始剤から選ばれる少なくとも一つの化合物が好ましく用いられる。
上記のポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン等の鎖状脂肪族ポリアミン;イソホロンジアミン、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミン、4、4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環式ポリアミン;m−キシリレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−イソプロピルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモ−6−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−シクロヘキシリデンジアニリン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス(N−メチルアニリン)、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−オキシジアニリン、2,4−ビス(4−アミノフェニルメチル)アニリン、4−メチル−m−フェニレンジアミン、2−メチル−m−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−m−フェニレンジアミン、2,4−ジエチル−6−メチル−m−フェニレンジアミン、4,6−ジエチル−2−メチル−m−フェニレンジアミン、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、およびトリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)等の芳香族ポリアミンが好適に用いられる。
また、酸無水物としては、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物等の脂肪族酸無水物;メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等の脂環式酸無水物;無水フタル酸、無水トリメット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等の芳香族酸無水物;無水ヘット酸、およびテトラブロモ無水フタル酸等のハロゲン系酸無水物が好適に用いられる。さらに必要に応じて、酸無水物の構造異性体若しくは幾何異性体をはじめ、それらの混合物や変性物を用いてもよい。
また、アニオン重合開始剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;ベンジルジメチルジアミン、トリエチレンジアミン、DBU等のアミン類;金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム、金属セシウム等のアルカリ金属;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、α-メチルスチレンナトリウムジアニオン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等の有機アルカリ金属;メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、およびフェニルマグネシウムブロミド等の有機アルカリ土類金属が好適に用いられる。さらに必要に応じて、公知のアニオン重合末端カップリング剤を用いてもよい。
また、カチオン重合開始剤として、光によりカチオン種またはルイス酸を発生する、光カチオン重合開始剤 、または熱によりカチオン種又はルイス酸を発生する熱カチオン重合開始剤 を使用することができる。光カチオン重合開始剤としては、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等の芳香族ヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4′−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロホスフェート、4,4′−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4′−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド−ビスヘキサフルオロホスフェート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントンヘキサフルオロアンチモネート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントンテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルカルボニル−4′−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド−ヘキサフルオロホスフェート、4−(p−ter−ブチルフェニルカルボニル)−4′−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド−ヘキサフルオロアンチモネート、4−(p−ter−ブチルフェニルカルボニル)−4′−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等の芳香族スルホニウム塩;鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、およびアリールシラノール−アルミニウム錯体等の有機金属錯体が好適に用いられる。
また、熱カチオン重合開始剤 としては、三フッ化ホウ素−モノエチルアミン 錯体、三フッ化ホウ素−ベンジルアミン錯体、三フッ化ホウ素−アニリン錯体、三フッ化ホウ素−クロロアニリン錯体等の三フッ化ホウ素−アミン 錯体、およびこれらの液状変性化合物;ベンジルスルホニウム塩等のスルホニウム塩、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシランからなる複合化合物が好適に用いられる。
本発明では、ポリアミンとして、上述したポリアミンの変性品、例えば、活性水素の一部が2−シアノエチル基や、ヒドロキシベンジル基などで置換される一方、2つ以上の活性水素が未反応のまま残存した化合物も用いられる。変性の反応としては、エポキシ化合物、アクリロニトリル、アクリル酸エステルなどとの付加反応、フェノール化合物とホルムアルデヒドを用いたマンニッヒ反応、およびカルボン酸誘導体によるアミド化反応などが挙げられる。
本発明では、ポリアミンとして、強化繊維への含浸性が優れるエポキシ樹脂組成物を得られるという点で、液状のポリアミンを用いることが好ましい。
また、高耐熱性で、なおかつ低線膨張係数である樹脂硬化物が得られることから、前述のポリアミンのなかでも、芳香族ポリアミンを用いることが好ましい。樹脂硬化物が低線膨張係数であると、成形時の熱収縮により生じる内部応力を低減できるため、引張強度やCAI(衝撃後圧縮強度)などの機械特性に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。
芳香族ポリアミンの好ましい具体例として、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホンは、得られる樹脂硬化物が、線膨張係数が小さく、優れた耐熱性を有するため、硬化剤の一部に好適に用いられる。
本発明では、ポリアミンとして、一般的なポリアミンとは若干構造が異なるが、その硬化反応性はポリアミンと同一であることから、ジシアンジアミドもポリアミンに含め、好ましく用いられる。
本発明において、上述のエポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、およびエポキシ樹脂(C)以外に、例えば、後述する130℃以下の比較的低い温度で型内で硬化するプロセスに適合させるためなどの目的で、硬化促進剤を配合することもできる。硬化促進剤の例としては、例えば、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、オニウム塩、スルホン酸エステル、3級アミン、イミダゾール化合物およびフェノール化合物などが挙げられ、これら以外にもあらゆる公知の硬化促進剤を使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに任意の成分として、界面活性剤、内部離型剤、染料および顔料などの添加剤を含むことができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、70℃の温度における粘度が、0.001〜300Pa・sの範囲にある。好ましくは0.001〜1Pa・s、より好ましくは0.01〜0.9Pa・sの範囲にある。70℃の温度における粘度が0.01Pa・s未満であると、樹脂が基材内ではなく、基材周りの僅かな隙間などから系外に流出することなどによって、得られる繊維強化複合材料に未含浸部が生じることがあり、一方、粘度が0.9Pa・sよりも高いと樹脂の注入に時間を要し、生産性が低下するとともに、得られる繊維強化複合材料に未含浸部が生じることがある。
ここでいう樹脂粘度とは、JIS Z 8803における、円錐−平板形回転粘度計を使用した粘度の測定より求められる粘度のことである。JIS Z 8803における、円錐−平板形回転粘度計を使用した粘度の測定には、例えば、東機産業(株)製E型粘度計(TVE−30H型)などを用いることができる。
樹脂硬化物の耐熱性は、繊維強化複合材料の耐熱性と正の相関があるため、高耐熱性の繊維強化複合材料を得るためには、高耐熱性の樹脂硬化物を用いることが重要である。ガラス転移温度は、雰囲気の温度がガラス転移温度を上回ると、樹脂硬化物、ひいては繊維強化複合材料の機械強度が大きく低下することから、耐熱性の指標としてよく用いられる。本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂組成物を180℃の温度で2時間硬化して得られる樹脂硬化物のガラス転移温度が、170℃以上の温度であることが好ましく、さらには180℃以上の温度であることが好ましい。
また、樹脂硬化物の機械特性は、繊維強化複合材料の機械特性に影響を与える。なかでも、樹脂硬化物の靭性は、繊維強化複合材料の引張強度やCAIなどの機械特性と正の相関があるため、高引張強度や高CAIの繊維強化複合材料を得るためには、高靭性の樹脂硬化物を用いることが重要である。樹脂硬化物の靭性の指標としては、引張伸度がよく用いられる。本発明において、引張強度やCAIなどの機械特性が優れた繊維強化複合材料が得られることから、エポキシ樹脂組成物を180℃の温度で2時間硬化して得られる樹脂硬化物の23℃の温度における引張伸度が、4%以上であることが好ましく、さらには5%以上であることが好ましい。かかる引張伸度はJIS K7113に準拠し測定することができる。
本発明においてプリプレグは、前記のエポキシ樹脂組成物が、強化繊維に含浸されて構成されるものであり、エポキシ樹脂組成物(マトリックス樹脂)をメチルエチルケトン、メタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し、含浸させるウエット法と、マトリックス樹脂を加熱により低粘度化し含浸させるホットメルト法(ドライ法)等の方法により製造される。
まず、ウェット法は、強化繊維をエポキシ樹脂組成物の溶液に浸漬した後引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させてプリプレグを得る方法である。一方、ホットメルト法は、加熱により低粘度化したエポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法、または、一旦、エポキシ樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングしたフィルムをまず作成し、次いで、強化繊維の両側或いは片側から該フィルムを重ね、加熱加圧することにより、樹脂を含浸させてプリプレグを得る方法である。これらの中でも、ホットメルト法がプリプレグ中に残留する溶媒がないため好ましい方法である。
本発明の繊維強化複合材料は、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物と強化繊維からなるものである。本発明の繊維強化複合材料の製造方法は限定されるものではないが、いわゆるRTM法、すなわち型内に設置した強化繊維基材に液状の熱硬化性樹脂を注入し、硬化して繊維強化複合材料を得る方法において、液状の熱硬化性樹脂組成物として前述のエポキシ樹脂組成物を用いる方法が好ましく用いられる。
強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維、あるいはこれらを組合せたものなどが使用される。なかでも、軽量化と高強度化が求められる用途(例えば、航空機や宇宙機部材など)においては、優れた比強度と比弾性率を有する炭素繊維が好ましく使用される。
強化繊維基材の形態は特に限定されず、例えば、強化繊維の織物、ブレイドおよびマットなど各種布帛をそのまま用いてもよく、これらを積層、賦形し、結着剤やステッチなどの手段で形態を固定しプリフォームとしたものを用いても良い。
型の構造に制限はなく、例えば、剛体からなるクローズドモールドを用いてもよく、剛体のオープンモールドと可撓性フィルム(バッグ)を用いてもよい。後者の場合、強化繊維基材は、剛体オープンモールドと可撓性フィルムの間に設置する。剛体からなる型を用いる場合、型の材料としては特に制限が無く、例えば、金属(スチールやアルミニウムなど)、FRP(繊維強化樹脂)、木材、石膏およびその他の既存の各種材料を使用することができる。
また、可撓性フィルムの材料に制限はなく、例えば、ナイロン、フッ素樹脂およびシリコーン樹脂などが用いられる。
剛体のクローズドモールドを用いる場合は、加圧して型締めし、エポキシ樹脂組成物を加圧して注入することが通常行われる。このとき、注入口とは別に吸引口を設け、真空ポンプに接続して吸引することも可能である。また、吸引を行い、かつ、特別な加圧手段を用いず、大気圧のみでエポキシ樹脂を注入することも可能である。
剛体のオープンモールドと可撓性フィルムを用いる場合は、通常、吸引と大気圧による注入を用いる。大気圧による注入で、良好な含浸を実現するためには、米国特許4902215号明細書に示されるような、樹脂拡散媒体を用いることが有効である。
また、型内には、強化繊維基材以外にフォームコア、ハニカムコアおよび金属部品などを設置し、これらと一体化した複合材料を得ることも可能である。特に、フォームコアの両面に強化繊維基材を配置して、成型して得られるサンドイッチ構造体は、軽量で大きな曲げ剛性を持つので、外板材料として好適に使用される。また、強化繊維基材の設置に先立って、型の表面にゲルコートを塗布することも好ましく行われる。
エポキシ樹脂組成物への型内への注入方法に制限はなく、例えば、エポキシ樹脂組成物の全成分を混合した単一の液体を単一の容器から型内に注入することも、エポキシ樹脂(A)と必要に応じて用いられるエポキシ樹脂(C)の混合液(以下、エポキシ樹脂成分ともいう)と硬化剤(B)とを予め混合して、エポキシ樹脂組成物として単一の容器に格納し、そこから注入することも、エポキシ樹脂成分とエポキシ樹脂(B)とを別々の容器に格納し、混合器を経由して型内に注入することも可能である。本発明の場合には、エポキシ樹脂成分と硬化剤(B)とを予め混合して、エポキシ樹脂組成物として単一の容器に格納し、そこから注入する方法が好ましい。エポキシ樹脂の粘度特性は温度に敏感に依存するため、エポキシ樹脂組成物注入工程では、エポキシ樹脂組成物の容器、型ともにそれぞれ一定の温度に保持されることが好ましい。エポキシ樹脂組成物、あるいはエポキシ樹脂成分および硬化剤(B)が入ったそれぞれの容器の温度は、25〜100℃の温度であることが好ましく、注入工程における型の温度は25〜130℃の温度であることが好ましい。かかる温度範囲から外れると得られる繊維強化複合材料に未含浸部が生じる場合がある。
エポキシ樹脂組成物注入後、型内で熱若しくは光または電子線などの外部からのエネルギーにより硬化が行われる。複雑形状の繊維強化複合材料を、効率よく製造できる点から熱による硬化が望ましい。熱による硬化の場合、型内の熱硬化条件は特に制限が無く、例えば、注入時の型の温度のまま一定時間保持して行う方法、注入時の型の温度と最高硬化温度の中間の温度まで昇温し一定時間保持して硬化させる方法、最高硬化温度まで昇温し一定時間保持して硬化させる方法などを用いることができる。
ここで、型内での硬化における硬化温度の保持時間は、0.5〜12時間が好ましい。保持時間が0.5時間未満では、得られる繊維強化複合材料が未硬化な場合があり、12時間を超えると得られる繊維強化複合材料の生産性が低下する場合がある。最高硬化温度より低い温度で型内で硬化した場合は、脱型した後、通常、オーブンなどで最高硬化温度で一定時間加熱して後硬化する。後硬化を行う場合、最高硬化温度に保持する時間は1〜4時間であることが好ましい。このように後硬化する方法では、型内での硬化温度を低めに抑えることができるため、型の材質、副資材および熱源に安価なものを用いることができコスト面で好ましい態様である。なお、かかる後硬化は、エポキシ樹脂の種類にもよるが、概ね1時間未満であると未硬化部分が残存する場合があり、4時間を超えると生産効率が低下する。
いずれの場合も、最高硬化温度は限定されるものではないが、得られる複合材料の耐熱性や成形コストを考慮すると、170〜210℃の温度が好ましく、より好ましくは175〜185℃である。
型内での硬化温度は、低い方が型の材質、副資材、熱源に安価なものを使用できるので、経済的に有利である。このような経済的観点から、型内では比較的低温、例えば、130℃以下の温度で硬化を行い、脱型後に後硬化を行う方法が有利である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、RTMやプリプレグを用いる方法以外にも、ハンドレイアップ法、フィラメント・ワインディング法およびプルトルージョン法などの液状エポキシ樹脂組成物を用いる繊維強化複合材料の製造に適用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いることで、軽量、高強度および高剛性で耐熱性に優れた繊維強化複合材料を経済的に製造することができる。本発明の繊維強化複合材料は、航空機の胴体、主翼、尾翼、動翼、フェアリング、カウルおよびドアなど、宇宙機のモーターケース、主翼など、人工衛星の構体、自動車のシャシー、および鉄道車両の構体などに好適に用いることができる。
以下、本発明エポキシ樹脂組成物について実施例に基づき具体的に説明する。なお、各種サンプルの作製と物性値の測定は次に示すような条件で行った。各実施例で用いたエポキシ樹脂組成物の組成と各物性の測定結果は、表1に纏めて示した。
<エポキシ樹脂組成物の調製>
所定の比率で混合したエポキシ樹脂を均一になるまで攪拌し、エポキシ樹脂混合物を得た。EXA−4701、ESN−375およびEOCN−4500を含む場合は、100℃の温度に加温した状態で良く攪拌し、エポキシ樹脂混合物を得た。また、所定の比率で混合した“エピキュア”(登録商標)、3,3’−DAS、および“スミキュア”(登録商標)Sを90℃に加温した状態で均一になるまで攪拌し、硬化剤を得た。次に、硬化促進剤であるtert−ブチルカテコールを硬化剤に加え、90℃に加温した状態で均一になるまで良く攪拌し、硬化剤と硬化促進剤の混合物を得た。
次に、エポキシ樹脂混合物に、硬化剤と硬化促進剤との混合物を加え、70℃の温度に加温した状態で均一になるまで良く攪拌し、エポキシ樹脂組成物を得た。
<エポキシ樹脂組成物の粘度>
JIS Z8803における円錐−平板型回転粘度計を用いた測定方法に準拠し、エポキシ樹脂組成物を調製した直後の70℃の温度における粘度を測定した。装置は東機産業(株)製のTVE−30H型を用いた。ここで、ローターは1゜34’×R24を用い、サンプル量は1cm3とした。
<樹脂硬化板の作成>
エポキシ樹脂組成物を厚さ2mmの板状キャビティーを備えた型内に注入し、次の条件でオーブン中にて加熱硬化して樹脂硬化板を得た。
(1)30℃の温度から180℃の温度まで、速度1.5℃/minで昇温する。
(2)180℃の温度で2時間保持する。
(3)180℃の温度から30℃の温度まで、速度2.5℃/minで降温する。
<樹脂硬化物のガラス転移温度測定>
上記の方法で得た樹脂硬化板から、幅12.7mm、長さ55mmの試験片を切り出し、SACMA SRM18R−94に準拠し、DMA法によりガラス転移温度を測定した。装置はレオメトリックス社製のARESを用いた。ここで、昇温速度は5℃/min、測定周波数は1Hzとした。
<樹脂硬化物の曲げ弾性率測定>
上記の方法で得た樹脂硬化板から、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、JIS K7171に準拠し、3点曲げ試験により曲げ弾性率を測定した。装置はインストロン社製の4201型テンシロンを用いた。ここで、クロスヘッドスピードは2.5mm/min、スパン間は32mm、測定温度を23℃の温度とした。
<樹脂硬化物の引張伸度測定>
JIS K7113に準拠し、上記の方法で得た樹脂硬化板から、小型1(1/2)号試験片を作製し、引張伸度を測定した。装置はインストロン社製の4201型テンシロンを用いた。ここで、クロスヘッドスピードは2.5mm/min、測定温度を23℃とした。
<樹脂原料>
エポキシ樹脂組成物の調製には次の市販品を用いた。
(1)エポキシ樹脂
(a)構成要素A
・EXA−4701(大日本インキ化学工業(株)製):式(25)で表されるエポキシ樹脂
・ESN−375(東都化成(株)製):式(22)で表されるエポキシ樹脂
(b)構成要素C
・“アラルダイト”MY721(登録商標、Vantico社製):テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
・EOCN−4500(日本化薬(株)製):クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
・“エピコート”825(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製):ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(2)硬化剤
・“エピキュア”W(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製):2,4−ジエチル−6−メチル−m−フェニレンジアミンと4,6−ジエチル−2−メチル−m−フェニレンジアミンの混合物
・3,3’−DAS(三井化学ファイン(株)製):3,3−ジアミノジフェニルスルホン
・“スミキュア”S(登録商標、住友化学工業(株)製):4,4’−ジアミノジフェニルスルホン
(3)硬化促進剤
・tert−ブチルカテコール(東京化成工業(株)製)
(実施例1、2、3)
構成要素AとしてEXA−4701、及びESN−375、エポキシ樹脂(C)として“エピコート”825を表1に示す組成で混合し、エポキシ樹脂を得た。また、硬化剤(B)として、“エピキュア”W、3,3’−DAS、“スミキュア”S、および硬化促進剤としてtert−ブチルカテコールを、表1に示す組成で混合し、硬化剤を得た。次に、エポキシ樹脂と硬化剤とを表1に示す組成で混合してエポキシ樹脂組成物を得て、上述の方法で70℃の温度での粘度測定を行った。結果を表1に示す。このエポキシ樹脂組成物の70℃の温度での粘度は十分に低粘度であった。さらに得られたエポキシ樹脂組成物からなる硬化物の物性を測定した結果、表1に示すとおり、高い耐熱性と引張伸度、および曲げ弾性率を示した。
(実施例4)
エポキシ樹脂(A)としてEXA−4701を、硬化剤(B)として、“エピキュア”W、3,3’−DAS、“スミキュア”S、および硬化促進剤としてtert−ブチルカテコールとを表1に示す組成で混合しエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物の70℃での粘度は低粘度であった。得られたエポキシ樹脂組成物からなる硬化物の物性を測定した結果、表1に示すとおり、高い耐熱性と引張伸度、および曲げ弾性率を示した。
(比較例1、2)
エポキシ樹脂(A)の代わりに、MY721を用い、表1に示す組成でエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物の70℃の温度での粘度は十分に低粘度であった。次に、得られたエポキシ樹脂組成物からなる硬化物の物性を測定した結果を表1に示す。比較例1では、引張伸度と曲げ弾性率は十分に高いものの、耐熱性は不十分であった。比較例2では、耐熱性と曲げ弾性率は十分に高いものの、引張強度伸度が不十分であった。
(比較例3)
エポキシ樹脂Aの代わりにEOCN−4500を用いて、表1に示す組成でエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物の70℃の温度での粘度は十分に低粘度であった。次に、得られたエポキシ樹脂組成物からなる硬化物の物性を測定した結果、表1に示すとおり、曲げ弾性率は十分に高いものの、耐熱性と引張伸度は不十分であった
(比較例4)
エポキシ樹脂Aを含まないエポキシ樹脂組成物として表1に示す組成でエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物の70℃の温度での粘度は低粘度であった。次に得られたエポキシ樹脂組成物からなる硬化物の物性を測定した結果、表1に示すとおり、曲げ弾性率は十分に高いものの、耐熱性と引張伸度は不十分であった。
Figure 2005248118
本発明のエポキシ樹脂組成物は、低粘度でありながら、得られる樹脂硬化物が優れた耐熱性と高靭性を両立する繊維強化複合材料用好適であり、強化繊維に液状の熱硬化性樹脂を含浸させる工程を含むプリプレグやRTM法などにより、航空機部材、宇宙機部材および自動車部材などを効率よく製造することができる。

Claims (12)

  1. 下記の一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)を含み、かつ70℃における粘度が0.001〜300Pa・sの範囲であるエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2005248118
    (1)
    (式中、Gは下記の一般式(2)で示される基で、ナフタレン骨格のいずれの環に付加してもよく両リングに同時に付加してもよい。Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表し、それぞれのRは互いに同一であっても異なっていてもよい。Jは下記の一般式(2)で示される基または水素原子のいずれかを表し、Xは炭素数が1〜8のアルキレン基または下記の一般式(3)で示される基のいずれかを表す。a、b、cは1または2、d、e、f、gは0〜2の整数、mは0〜5、nは0〜3をそれぞれ表す。)
    Figure 2005248118
    (2)
    Figure 2005248118
    (3)
    (式中、Gは上記の一般式(2)で示される基である。)
  2. エポキシ樹脂(A)の配合量が、全エポキシ樹脂100重量%中10〜60重量%の範囲である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 硬化剤(B)が、ポリアミン、酸無水物、アニオン重合開始剤およびカチオン重合開始剤からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である請求項1または2記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 硬化剤(B)が、液状のポリアミンである請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 硬化剤(B)が、芳香族ポリアミンである請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 硬化剤(B)が、ジシアンジアミドである請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 70℃における粘度が、0.001〜1Pa・sの範囲である請求項1〜6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 180℃で2時間硬化して得られる樹脂硬化物のガラス転移温度が170℃以上である請求項1〜7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 180℃で2時間硬化して得られる樹脂硬化物の引張伸度が4%以上である請求項1〜8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸してなるプリプレグ。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物と強化繊維とからなる繊維強化複合材料。
  12. 型内に配置した強化繊維基材に、請求項1〜9のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を注入し、硬化せしめる繊維強化複合材料の製造方法。
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