JP2013140669A - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス基板の主表面のキズを除去すると共にガラス基板のエッジ部へのダメージを排除してガラス基板の稜線部分のハマ欠け現象を回避すること。
【解決手段】この磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、形状加工工程の後に実施される基板表面研削工程を、固定砥粒を用いた基板表面研削工程に置き換え、かつ、当該基板表面研削工程を端面研磨工程の後に実施するように工程の順序を入れ替える。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハードディスクドライブ(以下、「HDD」という)等の磁気ディスク装置に用いられる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に関する。
近年、高記録密度化に適した磁気ディスク用基板の一つとして、ガラス基板が用いられている。ガラス基板は、金属の基板に比べて剛性が高いので、磁気ディスク装置の高速回転化に適している。また、ガラス基板は、平滑で平坦な表面が得られるので、磁気ヘッドの浮上量を低下させてS/N比の向上と高記録密度化に適している。
磁気ディスク用ガラス基板の製造プロセスでは、内転ギヤと外転ギヤを回転させると共に研削液に遊離砥粒を含有させたスラリーをワークの主表面に供給することにより、キャリア内に収納したガラス基板の主表面を研削する(粗ラッピング工程)。また、ガラス基板の中央部分に孔を空けると共に外周端面及び内周端面に所定の面取り加工を施して形状加工する(端面形状加工工程)。面取り加工したガラス基板に対して粗ラッピング工程で用いた遊離砥粒よりも粒径の小さい遊離砥粒を用いてガラス基板の主表面を研削する(精ラッピング工程)。また、ガラス基板の外周端面及び内周端面を研磨して鏡面化し(端面研磨工程)、その後、精ラッピング工程で残留したキズ等や歪みを除去する目的でガラス基板の主表面を研磨する(ポリッシング工程)。
上記ラッピング工程ではキャリアとガラス基板との間に遊離砥粒が入り込むことにより、ガラス基板の端面にスクラッチやクラックといったキズが付く可能性がある。そのため、ラッピング工程で端面に付いたキズを除去する目的も含めてラッピング工程の後に端面研磨工程を実施することとしていた。
また、端面研磨工程でエッジ部の研磨を行った後に精ラッピング工程を実施すると、ガラス基板の主表面と端面との境界である稜線部分に対するダメージが大きく、稜線部分からハマ欠け現象が起きる危険がある。そのため、端面研磨工程を精ラッピング工程の後の順序とすることで、エッジ部の研磨を行う際に稜線部分にハマ欠け現象が起きるリスクを回避していた。
特開2002−55061号公報 特開2007−115389号公報
しかしながら、エッジ部研磨工程では複数枚のガラス基板が主表面同士を重ね合わせて研磨冶具に取り付けられるため、高い表面品質が要求されているにも拘わらず、ガラス基板を重ね合わせる際に基板表面をキズ付けることが懸念される。一方で、端面研磨工程の後に精ラッピング工程で遊離砥粒を用いた表面研削加工を行うと基板端面に対するダメージが大きいため、稜線部分のハマ欠け現象を回避するためには端面研磨工程を精ラッピング工程の後にせざるを得なかった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、基板表面に付いたキズを工程内で除去できて表面品質を向上することができると共に、基板エッジ部のダメージを除去できる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、垂直磁気記録方式に用いられ、主表面が鏡面となっている板ガラス素材から磁気ディスク用ガラス基板を製造する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、後記固定砥粒を用いた表面研削工程での固定砥粒が研磨作用する程度まで前記板ガラス素材の鏡面の主表面を粗面化する工程と、ガラス基板の端面を研磨して当該端面のキズを取り除く端面研磨工程と、端面研磨後のガラス基板の主表面を必要な表面粗さ及び平坦度に研削加工する固定砥粒を用いた表面研削工程と、を備えることを特徴とする。
この製造方法によれば、表面研削工程よりも前に端面研磨工程を実施するので、ガラス基板を重ね合わせる際に基板表面に付けたキズを端面研磨工程の後に実施する表面研削工程で除去することができ、表面品質を上げることができる。しかも、表面研削工程では固定砥粒を用いた表面研削加工を行うので、遊離砥粒を用いた場合のようなガラス基板のエッジ部へのダメージがなく、ガラス基板のエッジ部のキズを排除することができる。表面研削工程で用いる固定砥粒は、遊離砥粒よりも十分に小さい粒径のものを用いることができ、後工程での表面研磨量を軽減することができる。また、表面研削工程よりも前に端面研磨工程を実施するので、ガラス基板の端面を研削・研磨加工する複数工程、ガラス基板の主表面を研削・研磨加工する複数工程をそれぞれ連続させることができ、プロセス設計を容易にすることができる。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、前記鏡面の主表面を粗面化する工程には、平面研磨機による遊離砥粒研磨を用いることが好ましい。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、前記表面研削後のガラス基板の主表面を研磨する主表面研磨工程と、をさらに備え、前記表面研削工程で使用する研磨材粒子の粒径が前記端面研磨工程で使用する研磨砥粒の粒径より大きく、前記端面研磨工程で使用する研磨砥粒の粒径が前記主表面研磨工程で使用する研磨砥粒の粒径よりも大きいことが好ましい。
本発明の磁気ディスクの製造方法は、上記磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板の主表面に対し、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする。この製造方法によれば、基板表面のキズが除去され、しかもガラス基板のエッジ部のキズもない磁気ディスク用ガラス基板に磁性層を形成できるので、剛性が高いと共に平滑性のある磁気ディスクを得ることができる。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、フロート法で製造されたガラス基板にも、プレス法で製造されたガラス基板にも同様に適用することができる。ただし、ガラス基板として、主表面が鏡面となっている鏡面板ガラスを用いる場合には、固定砥粒による精ラッピング工程において、鏡面板ガラスの表面粗さRaが低いために、固定砥粒が引っ掛からず加工レートが低くなることが想定される。このようにガラス基板として、主表面が鏡面となっている鏡面板ガラスを用いる場合には、実施の形態1と同様に、精ラッピング工程の前にガラス基板の主表面を粗面化する粗面化工程を設けることが好ましい。これにより、鏡面板ガラス表面に固定砥粒が引っ掛かりとなる凸部が形成されて、鏡面板ガラス表面での固定砥粒の滑りが防止される。その結果、精ラッピング工程において、固定砥粒による加工開始から高い加工レートを実現することができる。
粗面化工程においては、主表面が鏡面となっている板ガラス素材を、当該板ガラス素材の表面(鏡面)に対して固定砥粒が有効に研磨作用するように機械的方法又は化学的方法によって粗面化する。
板ガラス素材鏡面を粗面化する機械的方法として、平面研磨機による遊離砥粒研磨を用いることができる。板ガラス素材鏡面を粗面化する化学的方法として、実施の形態1と同様に、薬液によるエッチング作用を利用することができる。特に、板ガラス素材鏡面を粗面化する化学的方法としては、フロスト加工が好ましい。
本発明によれば、ガラス基板の基板表面同士を重ね合わせる際に基板表面に付けたキズを端面研磨工程の後に実施する表面研削工程で除去することができ、かつ表面研削工程を端面研磨工程の後に実施してもガラス基板のエッジ部へのダメージを排除でき、ガラス基板の稜線部分のハマ欠け現象を回避できる。
一実施の形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の工程の模式図 実施例及び比較例の評価結果を示す図 磁気ディスク用ガラス基板の模式図
本実施の形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、例えば、HDD等に搭載される磁気ディスクのガラス基板として使用される磁気ディスク用ガラス基板を製造するものである。この磁気ディスクは、例えば、垂直磁気記録方式によって高密度の情報信号記録及び再生を行うことができる記録媒体である。
この磁気ディスク用ガラス基板は、外径15mm乃至30mm、内径5mm乃至12mm、板厚0.35mm乃至0.5mmであり、例えば、「0.8インチ型磁気ディスク」(内径6mm、外径21.6mm、板厚0.381mm)、「1.0インチ型磁気ディスク」(内径7mm、外径27.4mm、板厚0.381mm)などの所定の直径を有する磁気ディスクとして作製される。また、「2.5インチ型磁気ディスク」、「3.5インチ型磁気ディスク」など磁気ディスクとして作製される。なお、「内径」とは、ガラス基板の中心部の円孔の内径である。
図3は、本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造される磁気ディスク用ガラス基板の構成を示す斜視図である。本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、図3に示すように、中心部に円孔2を有する磁気ディスク用ガラス基板1を製造する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。この磁気ディスク用ガラス基板1は、ガラス材料からなることにより、鏡面研磨によって優れた平滑性を実現することができ、硬度が高く、また、剛性が高いので、耐衝撃性に優れている。ガラスは脆性材料であるが、化学強化や風冷強化などの強化処理、あるいは、結晶化の手段により、破壊強度を向上させることができる。
このようなガラス基板の材料として好ましいガラスとしては、アルミノシリケートガラスを挙げることができる。アルミノシリケートガラスは、優れた平滑鏡面を実現することができるとともに、例えば、化学強化を行うことによって、破壊強度を高めることができる。
アルミノシリケートガラスとしては、SiO:62重量%〜75重量%、Al:5重量%〜15重量%、LiO:4重量%〜10重量%、NaO:4重量%〜12重量%、ZrO:5.5重量%〜15重量%を主成分として含有するとともに、NaOとZrOとの重量比が0.5〜2.0、AlとZrOとの重量比が0.4〜2.5である化学強化用ガラスが好ましい。
また、本発明において製造する磁気ディスク用ガラス基板をなす材料は、前述したものに限定されるわけではない。すなわち、ガラス基板の材質としては、前述したアルミノシリケートガラスの他に、例えば、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、または、結晶化ガラス等のガラスセラミックなどを挙げることができる。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法では、端面形状加工工程の後に実施される表面研削工程を、固定砥粒を用いた表面研削加工に置き換え、かつ、当該表面研削工程を端面研磨工程の後に実施するように工程の順序を入れ替えている。
通常の磁気ディスク用ガラス基板の製造工程においては、精ラッピング工程、端面研磨工程、主表面研磨工程(第1研磨工程)の順で行われる。そして、各工程で使用する研磨砥粒(遊離砥粒)の粒径は、精ラッピング工程、端面研磨工程、主表面研磨工程の順で小さくなっている。本実施の形態のように、表面研削工程を端面研磨工程の後に実施すると、端面研磨工程で使用する遊離砥粒の粒径よりも表面研削工程で使用する遊離砥粒の粒径の方が大きいために、端面研磨した端面に傷が付いてしまうことが考えられる。しかしながら、本実施の形態においては、表面研削工程において固定砥粒を用いた表面研削加工を行うので、表面研削工程を端面研磨工程の後に実施しても端面研磨後の端面を傷付けることがない。このため、ガラス基板の品質を損なうことなく、ガラス基板の端面を研削・研磨加工する複数工程、ガラス基板の主表面を研削・研磨加工する複数工程をそれぞれ連続させることができ、プロセス設計を容易にすることができる。
上述したような研磨砥粒の粒径と傷付きの観点から、端面研磨工程で使用する研磨砥粒の粒径が、表面研削後のガラス基板の主表面を研磨する主表面研磨工程(第1研磨工程)で使用する研磨砥粒の粒径よりも大きいことが好ましい。
(実施例)
以下、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法の実施例についてその工程順に説明する。図1は実施例となる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の工程順を示す図である。
(1)粗ラッピング工程(ステップS1)
例えば、2.5インチ型磁気ディスクの磁気ディスク用ガラス基板を製作する場合、直径66.2mmφ、厚さ1.15mmの円盤状のガラス素材を準備する。ラッピング装置のキャリア内にガラス基板となる円盤状のガラス素材を収納し、内転ギヤと外転ギヤを回転させると共に研削液に遊離砥粒を含有させたスラリーをワークの主表面に供給し、キャリア内に収納したガラス基板の主表面を研削する。このラッピング加工では遊離砥粒として粒度(目の粗さ)#800、粒径9μ〜38μmのアルミナ砥粒を用いて表面研削加工を行い、板厚は0.756mmにした。
なお、円盤状のガラス素材は、ダウンドロー法で形成したシートガラスから、円盤状に切り出したアルミノシリケートガラスからなるガラス基板を、比較的粗いダイヤモンド砥石で研削加工して、直径65.7mmφ、厚さ0.915mmに成形したものを用いることができる。ダウンドロー法の代りに、フロート法で形成したシートガラスから、上述と同様に円盤状に切り出して加工したものや、溶融ガラスを、上型、下型、胴型を用いてダイレクト・プレスして、円盤状のガラス素材を得てもよい。
(2)端面形状加工工程(ステップS2)
ガラス基板の中央部分に孔を空けると共に外周端面及び内周端面に面取り加工を施す。円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を開けるとともに、外周端面も研削して直径を65mmφとした後、外周端面及び内周面に所定の面取り加工を施した。このときのガラス基板のエッジ部(側面及び面取部)の表面粗さはRmaxで1.5μm程度であった。
(3)端面研磨工程(ステップS3)
複数枚のガラス基板の主表面を重ね合わせて研磨冶具に取り付け、ブラシ研磨によりガラス基板を回転させながらガラス基板のエッジ部(角張った部位、側面及び面取部)の表面粗さを、Rmaxで1μm、Raで0.3μm程度に研磨した。この端面研磨工程は、ガラス基板の搬送時や、洗浄工程時等に発生する基板エッジ部からの発塵によりガラス基板主表面に付着することによる膜下欠陥を防止するために有効である。上記端面研磨加工を終えたガラス基板の表面を水洗浄した。
(4)表面研削工程(固定砥粒)(ステップS4)
固定砥粒を用いてガラス基板の主表面を所望の板厚0.656mm及び平坦度<3μmに研削する。ガラス基板の主表面を固定砥粒研磨パッドを用いて研削した。たとえば、固定砥粒研磨パッドにはダイヤモンドシートを用いることができる。固定砥粒研磨パッドは、シートに研磨材粒子を貼り付けたものであり、遊離砥粒に用いられるアルミナ系砥粒(10.0μm〜10.6μm)に比べて十分に小さい粒子(<4μm)を用いることができる。
表面研削工程に固定砥粒を用いる場合、シートに研磨材粒子が固定されているので、遊離砥粒のようにキャリアとガラス基板との間に研磨材粒子が入り込む心配がない。したがって、キャリアとガラス基板との間に砥粒が入り込まないので、ガラス基板のエッジ部に対するスクラッチやクラックといった二次因子によるダメージを排除することができる。これにより、ガラス基板の表面部とエッジ部との境界である稜線部分のダメージを排除できるので、当該稜線部分のハマ欠け現象を防止できる。また、稜線部分のハマ欠け現象を防止できることから、表面及びエッジ部の研磨取り代を少なくすることができる。
端面研磨工程でガラス基板の主表面を重ね合わせた際に主表面に付いたキズは、その後に実施された固定砥粒を用いた表面研削加工の過程で除去することができる。また、端面研磨の後で表面研削を行うので、端面研磨工程での磨き過ぎによりエッジ部にいわゆるダレが生じた場合でも、その後に表面研削工程を実施することによりエッジ部のダレをリセットすることができる。さらに、固定砥粒を用いて表面研削することで、遊離砥粒に比べてガラス基板の表面粗さを低減できる。このことは、後工程である主表面研磨工程での研磨量を少なくすることができることを意味する。
(5)主表面研磨工程(ステップS5)
上述した表面研削工程で残留した傷や歪みの除去するための第1研磨工程を、両面研磨装置を用いて行った。両面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下研磨定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、このキャリアを太陽歯車と内歯歯車とに噛合させ、上記ガラス基板を上下研磨定盤によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラスディスクが研磨定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、第1研磨工程を実施した。
次いで上記の第1研磨工程で使用したものと同じ両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェード)の研磨パッドに替えて第2研磨工程を実施した。この第2研磨工程は、上述した第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。
以上のように、端面研磨工程と表面研削工程(固定砥粒)の順序を入れ替えることにより、端面形状加工工程及び端面研磨工程のように端面研削・研磨の工程を連続させることができると共に、表面研削工程(固定砥粒)及び主表面研磨工程のように主表面の研削・研磨の工程を連続させることができ、プロセスの設計を容易にすることができる。
(6)化学強化工程(ステップS6)
次に、上記洗浄を終えたガラス基板に化学強化を施した。ガラス基板の表面に存在するイオン(例えば、アルミノシリケートガラス使用の場合、Li及びNa)よりもイオン半径の大きなイオン(Na及びK)にイオン交換する。ガラス基板の表面において(例えば、ガラス基板表面から約5μmまで)、イオン半径の大きい原子とイオン交換を行って、ガラス表面に圧縮応力を与えることでガラス基板の剛性を上げている。
(7)洗浄工程(ステップS7)
ガラス基板の表面に研磨材や不純物が付着しているので、これらを除去するための洗浄を行う。洗浄方法には、物理的洗浄と薬液洗浄とがある。物理的洗浄としてスクラブ洗浄と超音波洗浄とがある。薬液洗浄としてガラス基板をエッチングすることによる洗浄、ガラス基板に付着している不純物および研磨材を溶かす薬液を使用した洗浄、界面活性剤を用いて電位を制御することによる洗浄がある。なお、図1では便宜的に化学強化工程の後に記載しているが、洗浄工程は研削工程から第1研磨および第2研磨までの各工程間でも適宜行われる。
(8)検査工程(ステップS8)
検査工程では、全数検査と抜き取り検査とがある。全数検査できるものは全数検査するが、全数検査できないものは抜き取り検査することになる。検査対象の欠陥種として、キズ、汚れ(パーティクル)、素材要因、形状変化がある。なお、図1では便宜的に洗浄工程の後に記載しているが、検査工程は研削工程から第1研磨および第2研磨までの各工程間でも適宜行われる。クリーンルーム内において、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて、ガラス基板の表面の状態検査、ID,ODの面取り角の測定、真円度、同心度の測定等を実施する。第2研磨した後の洗浄後には、ガラス基板をクリーンルームに搬入してビジュアル検査を行う。このとき、ガラス基板に対して、クラックの有無、ゴミの付着、カケ、ワレの有無、研磨材の有無等が検査される。化学強化した後の洗浄後にも、同様のビジュアル検査を行う。このような欠陥検査工程により、ガラス基板の両主表面について、記録面を形成するためのスペックを満足しているか否かについて判定される。以上のようにして、本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を得た。
次に、本実施例で得られた磁気ディスク用ガラス基板に以下の成膜工程を施して、磁気ディスクを得た。スパッタリング装置を用いて、上記ガラス基板上に、付着層、軟磁性層、第1下地層、第2下地層及び磁性層を順次形成し、次いでプラズマCVD法により炭素系保護層を形成し、更にその上に潤滑層をディップ法により形成した。
付着層にはTi系合金薄膜を用いて膜厚を10nmとし、軟磁性層にはCo系合金薄膜を用いて膜厚を60nmとし、第1下地層にはPt系合金薄膜を用いて膜厚を7nmとし、第2下地層にはRu系合金薄膜を用いて膜厚を40nmとし、磁性層にはCoPtCr合金薄膜を用いて膜厚を20nmとした。保護層はダイヤモンドライク炭素保護層とし、プラズマCVD法により形成した。潤滑層はパーフルオロポリエーテル(PFPE)の液体潤滑剤中に磁気ディスクを浸漬させ、温度110℃で60分間加熱焼成することにより形成した。このようにして垂直磁気記録方式用の磁気ディスクを形成した。
次に、上記実施例で得られた磁気ディスク用ガラス基板と、以下の比較例1〜比較例3で作製したガラス基板との評価結果を対比して説明する。
(比較例1)
磁気ディスク用ガラス基板の製造プロセスの順序を、(1)粗ラッピング工程、(2)端面形状加工工程、(3)端面研磨工程、(4)精ラッピング工程(遊離砥粒)、(5)主表面研磨工程にしてガラス基板を製作した。実施例と異なる点は、固定砥粒による表面研削工程に代えて、粗ラッピング工程よりも粒径の小さい遊離砥粒(7〜21μm)を用いた精ラッピング工程を実施して表面研削を行ったことである。
(比較例2:従来プロセス)
従来プロセスと同じ工程順序である。磁気ディスク用ガラス基板の製造プロセスの順序を、(1)粗ラッピング工程、(2)端面形状加工工程、(3)精ラッピング工程(遊離砥粒)、(4)端面研磨工程、(5)主表面研磨工程にしてガラス基板を製作した。実施例と異なる点は、形状加工工程の後に行う第2ラッピング工程に遊離砥粒(7〜21μm)を用いている点、及び第2ラッピング工程の後にエッジ部研磨工程を行っている点である。
(比較例3)
磁気ディスク用ガラス基板の製造プロセスの順序を、(1)粗ラッピング工程、(2)端面形状加工工程、(3)表面研削工程(固定砥粒)、(4)端面研磨工程、(5)主表面研磨工程にしてガラス基板を製作した。固定砥粒は実施例と同じものを用いた。実施例と異なる点は、表面研削工程(固定砥粒)と端面研磨工程の順番が入れ替わっている点である。
実施例及び比較例1〜比較例3で作製されるガラス基板について、主表面研磨工程の直前にビデオマイクロスコープによる観察で、基板主表面のキズ、基板端面のキズを評価すると共に、ガラス基板の表面粗さRaを測定及び評価した。
図2に実施例及び比較例1〜比較例3の評価結果を示す。各項目についての判定基準は、次の通りである。
<主表面キズ>
○:軽減された表面研磨量にて除去が可能
×:軽減された表面研磨量にて除去が不可
<端面のキズ>
○:現状品質より良化
×:現状品質より悪化
<表面粗さ(Ra)>
○:表面研磨量の削減が可能
△:表面研磨量が現状と同等
図2に示すように、比較例1では基板エッジ部にキズが確認された。端面研磨工程の後に遊離砥粒を用いた精ラッピング工程を実施しているため、精ラッピング工程の際にキャリアとガラス基板との間に遊離砥粒が入り込みエッジ部にダメージが加わったためであると考えられる。精ラッピング工程において遊離砥粒で表面研削したガラス基板の表面粗さRaは0.25μmであった。
比較例2ではガラス基板の主表面にキズが確認された。これは、精ラッピング工程の後に、ガラス基板の主表面同士を重ね合わせる端面研磨工程で付いたキズがそのまま残ったものであると考えられる。比較例2と同様に遊離砥粒を用いて最終的な表面研削が行われており、ガラス基板の表面粗さRaは0.25μmであった。
比較例3ではガラス基板の主表面にキズが確認された。これも、精ラッピング工程の後に、ガラス基板の主表面同士を重ね合わせる端面研磨工程で付いたキズがそのまま残ったものであると考えられる。
実施例で作製したガラス基板は、全ての検査項目について「○」の評価結果を得た。実施例は、端面研磨工程よりも後の工程から基板表面をキズ付ける可能性のある基板表面同士を重ね合わせる工程を排除し、かつ端面研磨工程よりも後の工程で実施される主表面研削ではエッジ部にダメージを与えない研削方法として固定砥粒を用いた主表面研削工程を採用した。すなわち、主表面研削工程を端面研磨工程よりも後の工程とし、かつ端面研磨工程では固定砥粒を用いたことが、ガラス基板の主表面とエッジ部の稜線部分の双方が高い評価であった主要な理由であると考えられる。
また、主表面研磨工程の直前での表面粗さがRa<0.1μmであり、遊離砥粒を用いた場合の表面粗さRa=0.25μmに比べて、大幅に小さい値に抑えられている。したがって、後の工程である主表面研磨工程での基板主表面の研磨量を軽減できる。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態における材質、個数、サイズ、処理手順などは一例であり、本発明の効果を発揮する範囲内において種々変更して実施することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
1 ガラス基板
2 孔

Claims (4)

  1. 垂直磁気記録方式に用いられ、主表面が鏡面となっている板ガラス素材から磁気ディスク用ガラス基板を製造する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    後記固定砥粒を用いた表面研削工程での固定砥粒が研磨作用する程度まで前記板ガラス素材の鏡面の主表面を粗面化する工程と、
    ガラス基板の端面を研磨して当該端面のキズを取り除く端面研磨工程と、
    端面研磨後のガラス基板の主表面を必要な表面粗さ及び平坦度に研削加工する固定砥粒を用いた表面研削工程と、
    を備えることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記鏡面の主表面を粗面化する工程には、平面研磨機による遊離砥粒研磨を用いることを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記表面研削後のガラス基板の主表面を研磨する主表面研磨工程と、をさらに備え、
    前記表面研削工程で使用する研磨材粒子の粒径が前記端面研磨工程で使用する研磨砥粒の粒径より大きく、前記端面研磨工程で使用する研磨砥粒の粒径が前記主表面研磨工程で使用する研磨砥粒の粒径よりも大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 請求項1又は請求項2記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板の主表面に対し、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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