JP5516941B2 - ガラス基板およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、表面および裏面と、それら両面の外周端相互間に存する端面との間の境界部について、その面性状を適正化してなるガラス基板およびその製造方法に関する。
周知のように、近年における画像(映像)表示装置は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ(OLED)などに代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)が主流となっている。また、有機ELは、OLEDのように微細な三原色をTFTにより明滅させず、単色(例えば白色)のみで発光させてLCDのバックライトや屋内照明の光源などの平面光源としても利用されつつある。
これらのFPDや照明は何れも、ガラス基板の表面に、それぞれの素子や配線を含む種々の構成物を付設等し且つ組み合わせることにより構成される。特に、FPDは、生産性効率化の観点から、一枚の大型のガラス基板上に複数個のFPD用パネル素子などを形成し、最終的にそれらを適宜分割して個々のFPD用ガラスパネルとする所謂マルチ採りが行われている。このマルチ採りは、ガラス基板が大型化するに連れて効率が向上することから、一辺の長さが3mを超えるガラス基板が使用されるに至っている。更に、近年においては、FPD自体の大型化が推進されていることから、その重量増を阻止する要請に応じるために、ガラス基板としては、より薄肉のものが必要となっている。また、この種のガラス基板は、上述のFPDや有機EL照明以外に、太陽電池のガラス基板としても利用されるに至っている。
そして、これらのFPD、有機EL照明、および太陽電池の製造工程においては、ガラス基板を例えば定盤から持ち上げる工程や熱処理する工程が存在しており、これらの工程でガラス基板を持ち上げる際には、次に示すような問題が生じる。
すなわち、ガラス基板は、そのサイズが大型化し且つ薄肉化が進むと、持ち上げ時に極めて大きな撓みが生じ、その撓みに起因して凸になる面には引張り応力が作用すると共に、凹になる面には圧縮応力が作用する。その場合、ガラス基板は、表面および裏面と、これら両面の外周端相互間に存する端面とが、それぞれ境界部を介して連なる形態を有するが、ガラス基板が撓んだ場合には、上述の境界部に当該応力が集中する。したがって、ガラス基板が撓んだ際には、凸になる表面または裏面とその面に連接された端面との境界部周辺に大きな引っ張り応力が生じる。そのため、ガラス基板の表裏面と端面とのそれぞれの境界部周辺に、傷やクラック或いは異物などの微小欠陥が存在していると、ガラス基板が撓んだ際に当該欠陥付近に大きな引張り応力が生じると共に当該欠陥に応力集中が発生し、微小欠陥が拡大して一挙にガラス基板を破損に至らしめる。
上述のガラス基板の熱処理工程においても、これと同様の問題が生じる。すなわち、ガラス基板は、温度上昇に伴って膨張すると共に温度低下に伴って収縮するが、熱処理工程でガラス基板に不当な温度分布が生じると、一枚のガラス基板内に、膨張と収縮が生じて引張り応力と圧縮応力とが混在することになる。その場合に、ガラス基板の表裏面と端面との境界部周辺に微小欠陥が存在し且つ当該境界部に引っ張り応力が生じると、その微小欠陥に応力集中が発生し、ガラス基板を破損に至らしめる。
ところで、この種のガラス基板は、分割することにより所望の大きさとされるが、その分割方法としては、ガラス基板の表面にダイヤモンドチップ等でスクライブ線を刻設し、そのスクライブ線に引張り応力が作用するように力を加えて、ガラス基板を割断する所謂折割りが一般的に採用されている。このような分割方法では、分割後のガラス基板の表裏面と端面との境界部に、無数の微小欠陥が生じることになるので、上述のようにガラス基板の撓み時や熱処理時に当該ガラス基板が破損する確率が高くなる。
このような問題に対処すべく、特許文献1、2によれば、ガラス基板の表裏面と端面との境界部に研磨処理を施して面取り面を形成すると共に、端面よりも研磨後の面取り面を滑らかにすることが開示されている。詳しくは、特許文献1によれば、ガラス基板の端面は表裏面に対して直角であって、その端面の表面最大凹凸が0.05mm以下で且つ面取り面の表面最大凹凸が0.007mmであることが好ましいと記載されている。また、特許文献2によれば、ガラス基板の端面が、表裏面の外周端から湾曲して外方に突出しており、その端面の表面最大凹凸が0.04mm以下で且つ面取り面の表面最大凹凸が0.007mmであることが好ましいと記載されている。
特開平9−278466号公報 特開平9−278467号公報
しかしながら、特許文献1、2に開示されたガラス基板は、強化ガラスであるため、強化処理を施していないガラス基板に、同各文献と同様に面取り面を形成する処理を行っても、ガラス基板に撓みや不当な温度分布が生じた場合に、ガラス基板の破損の招来を確実に回避することはできない。すなわち、同各文献に記載された面取り面は、上記列挙した用途に使用されるガラス基板を含めて、どのようなガラス基板であっても好適に適用できるとういう面性状ではないと言える。
しかも、同各文献に記載されたガラス基板の面取り面の面性状は、表面最大凹凸をパラメータとして規定したものであり、このような規定に基づく面性状では、上述の如きガラス基板の破損を確実に阻止することはできない。すなわち、表面最大凹凸をパラメータとすること自体が最適であるとは言えないため、面取り面の面性状が同各文献に記載の規定を満たしていたとしても、基板の撓みや不当な温度分布に起因するガラス基板の破損に対しては的確に対処し得ないことになる。
更に、同各文献にて規定された面取り面の面性状であれば、端面の研磨時に発生してガラス基板の表面に付着したガラスパーティクル等が、洗浄工程において、面取り面に滞留し易いという不具合をも招きかねない。そして、これが原因となって、乾燥工程において、ガラスパーティクル等が、ガラス基板の表面に付着した状態となり、ガラス基板の品位低下という致命的な欠陥をも招来する。
なお、以上のような問題は、ガラス基板の分割が既述の折割りによるもの以外、例えばレーザー割断等のようにレーザーを使用して分割されたガラス基板についてその境界部に研磨による面取り面を形成した場合においても、同様にして生じ得る。
そして、以上のような問題到来のおそれが否めないにも拘わらず、従来においては、その面性状を適切に規定するための具体的手段については、最適なものが見出されていないのが実情である。
本発明は、上記事情に鑑み、ガラス基板の表裏面と端面とに連接される境界面の面性状を適正化させることにより、強化処理が施されているか否かに拘わらず、ガラス基板の撓みや不当な温度分布に起因する破損の発生を確実に防止すると共に、ガラスパーティクルの問題をも解消することを技術的課題とする。
上記技術的課題を解決するために創案された本発明は、表面および裏面と、その両面の外周端の相互間に存する端面とを有するガラス基板において、前記表面および裏面と前記端面との間の少なくとも一方の境界部に面取り面が形成され、該面取り面における粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqが、0.10以下であることに特徴づけられる。ここで、粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqは、JIS B0601−2001に準拠している(以下、同様)。
このような構成によれば、ガラス基板の境界部に形成された面取り面の面性状が、粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqをパラメータとして使用して規定されていることに加えて、そのRΔqが0.10以下と規定された面取り面を有するガラス基板であることから、当該ガラス基板の撓みや不当な温度分布に起因する破損並びにガラスパーティクルに起因する品位低下の問題が可及的に抑制される。すなわち、粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqは、粗さ曲線における各凹部および各凸部における当該面の法線に対する傾斜の平均値であることから、この値が大きければ凹凸の傾斜が急であること、つまり谷底が鋭利な形状をなす凹部が多いことを意味している。そして、境界部がこのような性状の面取り面であれば、撓みや不当な温度分布に起因して当該境界部に引張り応力が発生した場合に、谷底が鋭利な形状をなす凹部に応力集中が生じるため、破損が到来し易くなると共に、その凹部にガラスパーティクルが残存滞留し易くなる。しかしながら、上記のように境界部に形成された面取り面における粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.10以下であると、境界部には鋭利な谷底を有する凹部が問題とならない程度に少ないことから、境界部に引張り応力が作用しても応力集中が生じ難くなると共に、ガラスパーティクルが残存滞留し難くなる。なお、このような観点から、境界部に形成された面取り面における粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqは、0.05以下であることがより好ましい。また、ガラス基板の境界面における粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqは、この境界面に連接する端面の粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqよりも小さいことが有効である。すなわち、ガラス基板の撓みや不当な温度分布に起因して当該ガラス基板の内部に応力が発生する場合には、それらの応力は、境界部付近に最も強く生じ易いことが判明している。そのため、境界部の粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqを、端面の粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqよりも小さくすれば、応力集中の生じ易い境界部からは、その応力集中の原因となる谷底が鋭利とされた凹部が低減されていることになる。その結果として、ガラス基板の撓みや不当な温度分布に起因する破損を可及的に低減させることができ、これに加えてガラスパーティクルの残存滞留の問題も回避される。なお、ガラス基板の端面における粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqが、境界部の面取り面における粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqよりも小さくても、面性状の観点からは過剰品質になるものの、破損やガラスパーティクルの問題に支障が生じることはない。そして、本発明に係るガラス基板は、強化処理(熱強化処理)が施されていなくても、或いは施されていても、上記のような利点を得ることができる。
この場合、前記面取り面は、研磨処理により形成されていることが好ましい。
すなわち、ガラス基板の当該境界部に研磨処理による面取り面を形成するようにしたならば、同一の研磨処理を施すことにより、その面取り面における粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqを均一化できることになるため、単一のガラス基板の境界部に、長手方向全長に亘って均一な粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqを有する面取り面を形成することができる。加えて、複数のガラス基板についても、ガラス基板の別異に拘わらず、それぞれの境界部に同等の粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqを有する面取り面を形成することが可能となり、品質のバラツキを低減させることが可能となる。
更に、前記面取り面は、前記端面の研磨処理後における研磨処理により形成されていることが好適である。
すなわち、先ずガラス基板の端面を研磨することにより当該端面の粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqを適度に小さくしておき、その後に、研磨により面取り面を形成することにより当該面取り面の粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqを前記端面のRΔqよりも小さくすれば、効率良くガラス基板の破損やパーティクルの問題を解消し得る面性状とすることができる。したがって、面性状の観点からは、効率的な処理となる。
上記の構成において、前記端面は、前記表面および裏面の外周端の相互間に平坦面として形成することができる。
このようにすれば、表面および裏面と端面との境界部が角張った状態となるため、引張り応力の緩和の観点から、当該境界部に面取り面を形成する意義は大きくなる。この場合、ガラス基板の端面は、研磨処理が施されているものであってもよく、或いは、ガラス基板の分割をレーザー割断等のようにレーザーを使用して行ったものについては研磨処理が施されていなくてもよい。すなわち、ガラス基板の分割をレーザー割断等により行った場合には、平坦面として形成されるガラス基板の端面の面性状が、表裏面と略同等の面に近くなることから、端面に研磨を行うことなく、境界部に研磨による面取り面を形成するだけで充分となる。
また、前記端面は、前記表面および裏面の外周端から板厚中央部にかけて外方に漸次突出する湾曲面として形成することもできる。
このようにすれば、面取り面と端面との連接部、および面取り面と表面(または裏面)との連接部を、緩やかな屈曲部を介して連ならせることが可能となるため、面取り面周辺に生じる引張り応力或いは応力集中を小さくする上で有利となる。
このような端面形状の場合、前記端面の長手方向と直交する断面において、前記面取り面の表面側および裏面側の少なくとも一方への接線と、当該表面および裏面の少なくとも一方とのなす角度が、10°以上で且つ30°以下であることが好ましい。
すなわち、上記の角度が10°よりも小さいと、面取り面を研磨により形成する場合における端面側の研磨領域が狭くなり、当該端面と表面および裏面とのそれぞれの境界部に残存しているガラスチッピング或いは欠けやクラック等の除去が不十分となるため、これを回避するには研磨領域を表面および裏面側に広げる必要性が生じて、境界部として好ましくない形態となる。これに対して、上記の角度が30°を超えると、面取り面を研磨により形成する場合における端面側の研磨領域を不当に広くしなければ、当該面取り面を形成できなくなり、生産性の悪化を招く。したがって、この角度が上記の数値範囲内にあれば、これらの不具合は生じない。このような観点から、より好ましくは、上記の角度の下限値が15°とされ、上限値が20°とされる。
以上の構成において、板厚Tは、1.1mm以下で且つ0.05mm以上であることが好ましい。
すなわち、ガラス基板の板厚Tが1.1mmを超えると、当該ガラス基板の強度に対するガラス基板の板厚Tの影響が大きくなり、上述のガラス基板の破損につながる撓みや不当な温度分布による応力に対抗するための本発明特有の効果を充分に発揮し得なくなるおそれがある。これに対して、ガラス基板の板厚Tが0.05mm未満であると、表裏面と端面とのそれぞれの間に適正な研磨処理を施すことが困難となり得る。したがって、ガラス基板の板厚Tが上記の数値範囲内にあれば、このような不具合を回避することができる。なお、これらの観点から、より好ましくは、ガラス基板の板厚Tの上限値が0.7mmとされる。
また、板厚Tと、前記面取り面の長手方向と直交する方向の幅Wとが、0.07≦W/T≦0.30の関係を満たすことが好ましい。
すなわち、W/Tが0.07未満であると、面取り面の形成領域が不十分となり、面取り面の存在による端面強度の上昇効果が少なくなる。これに対して、W/Tが0.30を超えると、面取り面の形成に要する時間が長期化され、生産性が低下する。したがって、W/Tが上記の数値範囲内にあれば、このような不具合を回避し得る。なお、これらの観点から、より好ましくは、0.10≦W/T≦0.20の関係を満たすことである。
なお、以上の構成を備えたガラス基板は、面取り面が辺の全長に亘って形成されていることが好ましいが、板厚の薄いガラス基板等については、面取り面の研磨による形成の困難性を考慮して、平面視でのコーナー部近傍を面取り面の形成箇所から除外してもよい。
一方、上記技術的課題を解決するために創案された本発明に係る方法は、上述の面取り面を形成してなるガラス基板を製造する方法であって、前記面取り面を研磨する研磨具として、回転軸と直交する研磨面を有する回転研磨具を使用し、且つ前記研磨面の外周部の粗度を内周部の粗度よりも小さく形成すると共に、ガラス基板の表面および裏面と研磨処理後の端面との間の少なくとも一方の境界部に対して、前記回転研磨具がその長手方向に相対的に直線移動しながら前記回転軸廻りに回転することにより、前記研磨面の外周部および内周部の双方によって前記面取り面を形成することに特徴づけられる。
このような方法によれば、回転研磨具の研磨面(砥面)が回転軸と直交し且つ該研磨面の外周部の粗度が内周部の粗度よりも小さくされているので、この回転研磨具を上述のガラス基板の境界部に対して相対的に直線移動させつつ回転軸廻りに回転させて該境界部の特定研磨処理を行う場合には、先ず研磨面における粗度の小さい外周部によって、当該境界部の微細削り(微細研磨)が行われていわゆる「ならし」効果が得られる。これにより、ガラス基板の境界部に対する面取り面形成の初期段階において、不当な応力集中が抑制され、且つガラス基板のばたつきに起因する欠け(初期チッピング)やクラック等の発生が抑制された上で、当該境界部に初期段階に相当する面取り面が形成される。次段階として、回転研磨具が相対的に直線移動することにより、研磨面における粗度の大きい内周部が、上記の初期段階に相当する面取り面に当接して、相対的な粗研磨が行われる。この相対的粗研磨によって、研磨の進行速度が高められるため、面取り面形成時間が短縮されると共に、相対的粗研磨の開始時には当該境界部が微細研磨されて上述の「ならし」が行われていることから、欠けやクラック等の発生或いはそれらの進展を招くことなく、円滑に相対的粗研磨が開始されて進行していく。最終段階として、回転研磨具がさらに相対的に直線移動することにより、研磨面における上述の粗度の小さい外周部が、相対的粗研磨を施された面取り面に当接して、仕上げ研磨が行われる。これにより、回転研磨具の振動が研磨面の移動方向後端から面取り面に作用することによる該面取り面の後端への欠けやクラック等の発生が抑止されると共に、相対的粗研磨に起因して面取り面に残存した微小な研削粉或いはガラス粉が除去されることになる。このように、単一の回転研磨具の相対的な直線移動に伴って、微細研磨(ならし)と、相対的粗研磨と、仕上げ研磨とからなる一連の研磨処理が、ガラス基板の境界部に対して順次施されることにより、欠けやクラック等の発生を抑止しつつ短時間で面取り面の形成処理を行うことが可能となるため、装置の簡素化および面取り面周辺の良好な品位を確保した上で、大幅な生産性の向上が図られる。なお、回転研磨具とガラス基板とは、何れか一方または双方が直線移動すればよいが、ガラス基板の境界部の長手方向の寸法が、1000mm以上という大型のガラス基板の場合には、ガラス基板を作業台上等に固定した状態で回転研磨具をその境界部の長手方向に移動させるのが有利であり、その逆の小型のガラス基板の場合には、回転研磨具を定置設置してガラス基板が研磨面を横切るように直線移動させるのが有利である。そして、好ましくは、回転研磨具をスプリング等の弾性体を用いて弾性支持した状態で、上述のガラス基板の境界部に圧接させることにより、面取り面の面性状を好適なものとすることができる。
更に、上記技術的課題を解決するために創案された本発明に係る方法は、上述の端面の研磨処理後に面取り面を形成してなるガラス基板を製造する方法であって、ガラス基板の端面に対して粗研磨処理を施した後に仕上げ研磨処理を施し、然る後、ガラス基板の表面および裏面と前記端面との間の少なくとも一方の境界部に、前記仕上げ研磨処理よりも細かい粒度を有する研磨具を用いて特定研磨処理を施すことにより前記面取り面を形成することに特徴づけられる。
このような方法によれば、ガラス基板の端面を粗研磨と仕上げ研磨とによって効率よく短時間で例えば断面略円弧状等に研磨できると共に、その後の研磨として、さらにその端面をより細かい粒度の研磨具で同形状に研磨するのではなく、その端面と表面および裏面とのそれぞれの境界部の少なくとも一方に、より細かい粒度の研磨具で面取り面を形成するものである。そのため、端面と、面取り面と、表裏面との3種の面性状を、最適なものとして、端面強度を効率よく向上させることができる。そして、好ましくは、端面の粗研磨処理を行う研磨具と、端面の仕上げ研磨処理を行う研磨具と、特定研磨処理を行う研磨具とを、同一の経路上に配設しておくことにより、各研磨具が連続して相対的に直線移動しながら各研磨処理を行っていくことができ、各処理を別々に行う場合と比較して、処理時間を大幅に短縮して生産性の向上を図ることが可能となる。更に、好ましくは、特定研磨処理を行う研磨具をスプリング等の弾性体を用いて弾性支持した状態で、上述のガラス基板の境界部に圧接させることにより、面取り面の面性状を好適なものとすることができる。
以上のように本発明によれば、ガラス基板の表裏面と端面との間に存する少なくとも一方の境界部に面取り面が形成され、この面取り面の面性状が、粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqをパラメータとして使用して規定されたものである。そして、この二乗平均平方根傾斜RΔqは、鋭利な谷底を有する凹部の数がどの程度であるかを示す指標となる値であることから、このRΔqが0.10以下と規定した面取り面を有する本発明に係るガラス基板は、撓みや不当な温度分布に起因して当該境界面に引張り応力が発生した場合であっても、鋭利な谷底を有する凹部が極めて少ないことにより応力集中が生じ難くなり、破損の発生確率が激減すると共に、ガラスパーティクルが残存滞留し難くなり製品品位の向上が図られる。
本発明の実施形態に係るガラス基板の長手方向と直交する方向で切断した端面の要部拡大縦断面図である。 ガラス原板を切断して得られたガラス基板と、そのガラス基板の端面部を研磨する研磨具とを示す概略図である。 端面研磨処理のみを行ったガラス基板の要部を示す縦断面図である。 端面処理後のガラス基板に対して面取り面の形成処理を行っている状態を示す概略正面図である。 端面処理後のガラス基板に対して面取り面の形成処理を行っている状態を示す概略平面図である。 面取り面の形成後におけるガラス基板の要部を示す概略平面図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態においては、LCD用に代表されるFPD用のガラス基板を対象とする。
図1は、本実施形態に係るガラス基板1の要部を拡大した縦断面図である。なお、同図は、ガラス基板1の表面2a側部分の形態のみを図示しているが、裏面側部分も板厚方向中心線Xを挟んで略対称となる形態をなしている。同図に示すように、このガラス基板1は、平面状の表面2aと、縦断面が凸状の円弧形状をなす端面3と、表面2aと端面3との間に形成された平面状の面取り面4とを有する。換言すれば、ガラス基板1は、表面2aおよび裏面の外周端相互間に存する端面3と、表面2aおよび裏面とが、それぞれ面取り面4を介して連なっている。なお、このガラス基板1は、強化処理(熱強化処理等)が施されていないが、当該処理が施されていても差し支えない。
ガラス基板1の端面3は、本実施形態では粗研磨処理が施された後に仕上げ研磨処理が施された研磨面であると共に、表面2aは、成形面つまり未研磨面であり、且つ、面取り面4は、端面3の仕上げ研磨処理後に特定研磨処理が施された特定研磨面である。そして、面取り面4の粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqは、0.10以下(好ましくは0.05以下)とされている。なお、表面2aは、鏡面であることから、その粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqは、面取り面4の粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqよりも小さい。
さらに、図1に示す断面(端面3の長手方向と直交する断面)においては、面取り面4の表面2a側への接線Aと表面2aとのなす角度αは、10°以上で且つ30°以下(本実施形態では18°)であると共に、図示しないが、裏面側の面取り面も、その裏面側への接線と裏面とのなす角度が、10°以上で且つ30°以下(本実施形態では18°)である。
この場合、面取り面4は、端面3の研磨処理が行われたのみの状態での表面2aと端面3との波形をなす元の境界部zの周辺(図1に破線で示す部位の周辺)を、特定研磨処理により除去してなるものであり、その除去部は、元の境界部zから端面3側への幅W1が70μmで且つ元の境界部zから表面2a側への幅W2が30μmの領域である。なお、この元の境界部zの接線Bと表面2aとのなす角度γは、本実施形態では25°である。
さらに、このガラス基板1は、その板厚Tが、1.1mm以下で且つ0.05mm以上であると共に、面取り面4の幅W(面取り面4の長手方向(辺に沿う方向)と直交する方向の寸法)と板厚Tとの比であるW/Tは、0.07以上で且つ0.30以下となるように設定されている。
以上のような構成を備えたガラス基板1は、以下のようにして製造される。
図2は、ダウンドロー法やフロート法等による成形後におけるガラス原板の表面の四箇所にスクライブを入れ、且つそのスクライブ痕を起点としてガラス原板を折り割ることにより得られた略矩形のガラス基板1と、そのガラス基板1の折り割られた端面部3aを研磨処理する研磨具5とを例示している。このガラス基板1の端面部3aは、先ず第1の研磨具により粗研磨処理が行われ、次いで第2の研磨具により仕上げ研磨処理が行われる。第1の研磨具は、図2に示すように、正面視で凹状の略円弧形状をなす外周面に、メタルボンドで保持されたダイヤモンド砥粒層を取り付けてなる粗研磨用回転砥石ホイール(メタルボンドダイヤモンドホイール)である。そして、この第1研磨具を、ガラス基板1の端面部3aに押し当てた状態で、第1研磨具をガラス基板1の端面部3aの長手方向(辺に沿う方向)に相対移動させることにより粗研磨処理を行う。第2研磨具は、第1研磨具と同形状をなし、その外周面に、炭化珪素等の細かい砥粒をポリウレタン樹脂等で結合した仕上げ研磨用回転砥石ホイール(レジンボンドホイール)である。この第2研磨具は、ガラス基板1の粗研磨処理した端面部に押し当てられた状態で、上記と同様に相対移動することにより仕上げ研磨処理が行われ、その結果として図3に示すように、ガラス基板1に粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqが約0.12〜0.20の断面略円弧状の端面3bが形成される。なお、ガラス基板1の端面3bの形成は、上記のように二段階に亘る研磨処理に限らず、三段階以上に亘る研磨処理により行うようにしてもよい。
以上のようにして、ガラス基板1に断面略円弧状の端面3bが形成された場合には、その端面3bと表面2aとの境界部z、および端面3bと裏面2bとの境界部zに、第3研磨具6を用いて特定研磨処理を施すことにより面取り面4を形成する。この第3研磨具6は、図4に示すように、回転軸6aと直交する平面状の研磨面(砥面)6bを有し、この研磨面6bは、上記の第2研磨具よりも細かい砥粒で形成されている。なお、ガラス基板1は、端面3bの周辺がせり出した状態で、作業台(定盤)7の上面にセットされる。
そして、ガラス基板1の表面2a側の境界部zと裏面2b側の境界部zとに対して、同時に2つの第3研磨具6の研磨面6bを押し当てて回転させながら、第3研磨具6をガラス基板1の境界部zの長手方向に相対移動させることにより特定研磨処理が行われる。これにより、ガラス基板1の境界部zに残存していた多数のガラスチッピング等が除去される。この場合、2つの第3研磨具6の研磨面6bと、ガラス基板1の表面2aおよび裏面2bとなす角度はそれぞれ10°以上で且つ30°以下(本実施形態では18°)に設定される。好ましくは、第3研磨具6は、図5に示すように、中央部が円形の凹部であり、その凹部を取り囲むように、粗度が相対的に小さい内周側研磨部6baと、粗度が相対的に大きい外周側研磨部6bbとが配列され、この双方の研磨部6ba、6bbによってガラス基板1の境界部zが特定研磨処理を受ける。なお、2つの第3研磨具6は、相対移動方向に対して離隔して配置される。
そして、この特定研磨処理を終えることにより、図6(および図1)に示すように、ガラス基板1の表面2aと端面3との間に境界部zを完全に除去してなる面取り面4が形成される。この面取り面4は、粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.10以下であることにより、ガラス基板1の撓みや不当な温度分布に起因する引っ張り応力が当該面取り面4に作用しても、異常に深い谷部分を殆ど有しない面性状とされていることから、面取り面4には応力集中が生じず、端面3(面取り面4を含む)の破壊強度が上昇すると共に、ガラスパーティクル或いはガラスチッピング等が残存滞留するという問題も回避される。
なお、上記実施形態では、端面3が、表面2aおよび裏面2bの外周端から外方に凸状に湾曲してなるガラス基板1に本発明を適用したが、端面3が、平坦面(好ましくは表裏面と直角な平坦面)をなすガラス基板についても同様に本発明を適用することが可能である。
また、上記実施形態では、ガラス原板を折割りにより分割してなるガラス基板に本発明を適用したが、ガラス原板をレーザー割断等のようにレーザー或いは熱応力を使用して分割してなるガラス基板についても同様に本発明を適用することができる。この場合には、平坦面をなす端面に対して研磨処理が行われず、境界部に対してのみ研磨処理による面取り面が形成される。
また、上記実施形態では、FPD用のガラス基板に本発明を適用したが、例えば、有機EL照明用や太陽電池用のガラス基板についても同様に本発明を適用することが可能である。
本発明者等は、上述の図1に例示したガラス基板についての効果を確認すべく、本発明の実施例1〜4と比較例との対比を、以下に示すようにして行った。これらの実施例および比較例は何れについても、ガラス原板として、オーバーフローダウンドロー法で成形された日本電気硝子株式会社製OA−10(強化処理は施されていない)を用いた。
下記の表1に示す本発明の実施例1〜4および比較例については、用いる試料として、板厚が700μmのガラス原板にスクライブを入れて折割り分割することにより、短辺寸法が1500mmおよび長辺寸法が1800mmのガラス基板を得た。具体的なガラス原板の分割手法は、ダイヤモンドチップでガラス原板の表面にスクライブを入れて、そのスクライブ線に引張り応力が生じるようにガラス原板に曲げモーメントを作用させることにより折割り分割を行った。なお、その他の分割手法として、ガラス原板の一部にダイヤモンドホイールなどで初期傷(イニシャルクラック)を形成し、この部位にレーザーを照射して局部加熱を行った後、冷媒を吹き付けて急激に冷却をすることによりイニシャルクラックを進展させ、これによりガラス原板を割断させるようにしてもよい。但し、このようなレーザー割断による場合には、ガラス基板の端面は平坦面となるため、この実施例及び比較例に係るガラス基板とは異なる端面形状となる。
このようにして得られたガラス基板の端面に対しては、外周面が円筒面(この実施例及び比較例では外周面が略円弧状に凹んでいる)からなる円柱状の砥石を、その回転軸がガラス基板の表面の法線方向と平行になるように配列させた状態で回転させながら押し当てつつ、その端面の長手方向に相対的に直線移動させることにより、当該端面の研磨処理を行う。この場合、ガラス基板の端面を研磨する砥石としては、砥粒やバインダーの異なる複数種の砥石を用意しておき、先ず砥粒が粗くバインダーの硬い砥石から、次第に砥粒が細かくバインダーが柔らかい砥石に変更した。
次に、端面の研磨処理を終えたガラス基板について、端面と表面(裏面)との境界部に略平面状の面取り面を研磨により形成した。この場合、面取り面の研磨に使用される砥石は、上述の端面の研磨用の砥石と比較して、砥粒が細かくバインダーが柔らかいことが必須の要件となる。面取り面の研磨用の砥石は、面取り面に押し当てる面が、円筒面や円錐面であってもよく、また略平面状の円形端面や円環端面であってもよく、更にはベルトに砥粒を固定した研磨布の表面であってもよい。そして、これらの砥石(または研磨布)は、ガラス基板の面取り面の長手方向に対して相対的に直線移動する。
下記の表1に示す実施例1について具体的に説明をすると、先ず、分割後のガラス基板を定盤上に載置して吸着固定した状態で、図2に示す形態をなす第1研磨具としての粗研磨用回転砥石(#400の砥粒がメタルボンドで固定)の外周面を、ガラス基板の端面部に押し当てつつ直線移動させることにより、断面略円弧形状の粗面である端面部を形成した。次いで、同様に、図2に示す形態をなす第2研磨具としての仕上げ研磨用回転砥石(#1000の砥粒がレジンボンドで固定)の外周面を、ガラス基板の粗研磨後の端面部に押し当てつつ直線移動させることにより、断面略円弧形状に仕上げ研磨された端面を形成した。この後、ガラス基板の端面と表面および裏面とのそれぞれの境界部に対して、第3研磨具で特定研磨処理を行った。第3研磨具としては、円形の基盤上に、樹脂材料にダイヤモンド砥粒(#3000の砥粒)を分散させてなる平板状のダイヤモンド研磨板を固定したものを使用した。特定研磨処理の実行に際しては、ガラス基板の表面および裏面と面取り面の接線とのそれぞれがなす角度(図1の角度α:裏面側も同様)が18°〜22°になるように、適宜第3研磨具の角度を調整した上で、第3研磨具とガラス基板との接触面に研削液(研削水)を供給した。そして、所望の面取り面の幅寸法が得られるように、第3研磨具(研磨板)を周速2000m/minで回転させながら、ガラス基板の平面視でのコーナー部近傍を除く全外周に亘り、特定研磨処理を行った。以上のようにして、実施例1のガラス基板を得た。なお、上記の砥粒の大きさは、JIS R6001:1998に準拠している。この場合、実施例2、3、4および比較例については、第1、第2、第3研磨具の砥粒がそれぞれ実施例1と相違している。
下記の表1に示すガラス基板における面取り面の粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔq、および端面の粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqは、東京精密社製サーフコム590Aを用いて、測定長5.0mmに亘って粗さ測定を行い、JIS B601:2001にて各RΔqの値を算出した。この2種の二乗平均平方根傾斜RΔqは何れも、各々について同一の条件で面取り面を10枚のガラス基板に施した上で、それらについて10回測定し、その平均値を算出することによって評価した。更に、これらと同時に、ガラス基板の端面の最大断面高さPtと、面取り面の最大断面高さPtとを求めた。加えて、ガラス基板の撓みや熱応力による破損し易さの目安として、ガラス基板の端面強度を求めた。ガラス基板の端面強度については、Orientec社製Tensilon RTA−250を用いた三点曲げ試験法により破壊強度を測定し、これを端面強度とした。曲げ試験のサンプルには、ガラス基板の端面部の辺の中央部を80×15mmのサイズに切り出した試験片を用い、さらに端面部の頂点(断面略円弧の頂点)を上にして荷重を負荷し、その破損時の荷重を測定し、下記の数1で示される式で計算することにより、破壊応力(端面強度)σを測定した。
Figure 0005516941
なお、上記の数1で示される式中、Pは破壊荷重、Lは支点間距離、Bはサンプル幅、hはガラス厚みである。
以上のようにして求めた面取り面の二乗平均平方根傾斜RΔq、端面強度、面取り面の最大断面高さPt、および端面の最大断面高さPtを、下記の表1に示す。
Figure 0005516941
上記の表1中、端面の最大断面高さPtおよび面取り面の最大断面高さPtは、JIS B0601:1982での最大高さRmaxに相当するため、既述の特許文献1、2の表面最大凹凸に相当するものと考えることができる。そして、比較例のガラス基板は、その面取り面の最大高さPtは、5.57μmであって7μm(0.007mm)以下であり、且つ端面の最大高さPtは、7.44μmであって40μm(0.04mm)以下であることから、既述の特許文献1、2に記載された数値範囲の条件を満たしている。しかしながら、この比較例に係るガラス基板は、FPD、有機EL、および太陽電池などの製造工程において、破損が頻繁に起きていることを本発明者等は確認している。これは、比較例に係るガラス基板は、端面強度が不十分であったことを意味している。この事を勘案すれば、端面強度は、160MPaが必要であると把握することができる。そして、本発明の実施例1〜4は、面取り面の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.10以下であることにより端面強度が160MPaを超えており、十分な端面強度を有していることが把握できる。したがって、ガラス基板の面取り面の二乗平均平方根傾斜RΔqを0.10以下と規定することは、ガラス基板の撓みや不当な温度分布に起因する引張り応力の発生を抑制して応力集中を可及的に低減させ、ガラス基板の破損を防止する上で、大きな意義があることを確認することができた。
また、ガラス原板をレーザー割断して分割されたガラス基板は、その平坦面をなす端面の面性状が、表裏面と同様に鏡面に近いことから、このガラス基板の当該境界部に上記と同様に面取り面を形成した場合であっても、その面取り面の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.10以下であれば、上記の表1に示す好結果と同等或いはそれ以上の結果が得られるものと推認できる。
1 ガラス基板
2a 表面
2b 裏面
3 端面
4 面取り面
5 研磨具(第1、第2研磨具)
6 第3研磨具
6a 第3研磨具の回転軸
6b 第3研磨具の研磨面(砥面)
6ba 第3研磨具の研磨面(砥面)の内周部
6bb 第3研磨具の研磨面(砥面)の外周部
A 境界面の表面側への接線
z 境界部
α 接線と表面とのなす角度

Claims (10)

  1. 表面および裏面と、その両面の外周端の相互間に存する端面とを有するガラス基板において、前記表面および裏面と前記端面との間の少なくとも一方の境界部に面取り面が形成され、該面取り面における粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqが、0.10以下であることを特徴とするガラス基板。
  2. 前記面取り面は、研磨処理により形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板。
  3. 前記面取り面は、前記端面の研磨処理後における研磨処理により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス基板。
  4. 前記端面は、前記表面および裏面の外周端の相互間に平坦面として形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガラス基板。
  5. 前記端面は、前記表面および裏面の外周端から板厚中央部にかけて外方に漸次突出する湾曲面として形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガラス基板。
  6. 前記端面の長手方向と直交する断面において、前記面取り面の表面側および裏面側の少なくとも一方への接線と、当該表面および裏面の少なくとも一方とのなす角度が、10°以上で且つ30°以下であることを特徴とする請求項5に記載のガラス基板。
  7. 板厚Tは、1.1mm以下で且つ0.05mm以上であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のガラス基板。
  8. 板厚Tと、前記面取り面の長手方向と直交する方向の幅Wとが、0.07≦W/T≦0.30の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のガラス基板。
  9. 請求項に記載のガラス基板を製造する方法であって、前記面取り面を研磨する研磨具として、回転軸と直交する研磨面を有する回転研磨具を使用し、且つ前記研磨面の外周部の粗度を内周部の粗度よりも小さく形成すると共に、ガラス基板の表面および裏面と研磨処理後の端面との間の少なくとも一方の境界部に対して、前記回転研磨具がその長手方向に相対的に直線移動しながら前記回転軸廻りに回転することにより、前記研磨面の外周部および内周部の双方によって前記面取り面を形成することを特徴とするガラス基板の製造方法。
  10. 請求項3に記載のガラス基板を製造する方法であって、ガラス基板の端面に対して粗研磨処理を施した後に仕上げ研磨処理を施し、然る後、ガラス基板の表面および裏面と前記端面との間の少なくとも一方の境界部に、前記仕上げ研磨処理よりも細かい粒度を有する研磨具を用いて特定研磨処理を施すことにより前記面取り面を形成することを特徴とするガラス基板の製造方法。
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