JP5648623B2 - 両面研磨装置用キャリア及びこれを用いた両面研磨装置並びに両面研磨方法 - Google Patents
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Description
このように、キャリアの保持孔とウェーハの間に樹脂リングを取り付けて研磨することでウェーハの周縁部が破損するのを防ぐことができる。
本発明は前述のような問題に鑑みてなされたもので、周縁に面取り部を有するウェーハの両面研磨において、平坦度の悪化を十分に抑制しつつ、ウェーハの周縁部の変形を抑制できる両面研磨装置用キャリア及び両面研磨装置並びに両面研磨方法を提供することを目的とする。
このようなものであれば、ウェーハの平坦度の悪化を確実に十分に抑制できるものとなる。
このような両面研磨装置であれば、ウェーハの周縁部の変形を抑制しつつ、平坦度の悪化を十分に抑制できる装置となる。
このような両面研磨方法であれば、ウェーハの周縁部の変形が抑制され、かつ平坦度の悪化が十分に抑制されたウェーハに研磨できる。
従来、面取り部を有するウェーハの両面研磨において、ウェーハの周縁部を保護するために樹脂リングが保持孔の内周部に沿って取り付けられた両面研磨装置用キャリアが用いられている。この樹脂リングとウェーハとの接触によってウェーハの周縁部が摩耗し、面取り形状が悪化するのを抑制するため、キャリアの保持孔のウェーハが接する内端面の形状をウェーハの面取り部と同様の形状に形成したり、又は内端面に曲面凹部を形成した両面研磨用キャリアが知られている。
そこで、本発明者はこのような問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下のことを知見した。
樹脂リングの内周面を断面方向から見てテーパ状に形成し、樹脂リングのテーパ状の内周面と上下主面とのなす角度θが76°≦θ≦89°、又は91°≦θ≦104°を満たすように構成する。これにより、ウェーハの周縁部の変形、ひいては鏡面面取り形状の曲率が変わるのを抑制できる。
更に、発明者はこの段差の具体的な量について検討し、本発明を完成させた。
図1、図2に示すように、本発明の両面研磨装置用キャリア1を具備した両面研磨装置20は、上下に相対向して設けられた上定盤6と下定盤7を備えており、各定盤6、7には、それぞれ研磨布5が貼付されている。上定盤6と下定盤7の間の中心部にはサンギヤ9が、周縁部にはインターナルギヤ10が設けられている。ウェーハWは両面研磨装置用キャリア1の保持孔4に保持され、上定盤6と下定盤7の間に挟まれる。
ここで、キャリア母体3の材質は一般的な金属とすることができ、例えばTiとすることができる。樹脂リング2の材質は一般的な樹脂材とすることができ、例えば繊維強化プラスチックとすることができる。しかし、本発明はこれらの材質に特に限定されることはない。
また、図2、図3では各両面研磨装置用キャリア1がそれぞれ1枚のウェーハWを保持するようになっているが、複数の保持孔4を有する両面研磨装置用キャリアとすることもでき、各両面研磨装置用キャリア内に複数枚のウェーハWを保持してもよい。
このように樹脂リング2とキャリア母体3との間に段差8を設けることによって、樹脂リング2の内周面11をテーパ状にすることによって生じるウェーハ平坦度の悪化を抑制できる。
段差量Aをこのような値とすることで、平坦度の悪化を確実に十分に抑制できるものとなる。
本発明のウェーハの両面研磨方法は、図3、図4に示すような、樹脂リング2の上記角度θ(°)が、76°≦θ≦89°又は91°≦θ≦104°を満たし、かつ、樹脂リング2の厚さがキャリア母体3の厚さより厚いことで樹脂リング2とキャリア母体3との間に段差を有する本発明の両面研磨装置用キャリア1、及びその両面研磨装置用キャリア1を具備した図1に示すような両面研磨装置20を用いる。
まず、両面研磨装置20の研磨布5が貼付された上下定盤6、7の間に両面研磨装置用キャリア1を配設する。
次に、上下定盤6、7に貼付された研磨布5でウェーハWの上下表面を挟み込み、その研磨面に研磨剤を供給しながらウェーハの両面研磨を行う。
このようにして両面研磨すれば、ウェーハの周縁部の変形が抑制され、かつ平坦度の悪化が十分に抑制されたウェーハに研磨できる。
図3、図4に示す本発明の両面研磨装置用キャリアを具備した、図1に示す本発明の両面研磨装置を用い、本発明のウェーハの両面研磨方法に従って、直径300mmのシリコン単結晶ウェーハを両面研磨した。両面研磨装置として、不二越機械工業社製のDSP−20Bを用いた。研磨剤として、コロイダルシリカをアルカリ溶液に懸濁させたものを用いた。研磨したウェーハには、事前に鏡面面取り加工を行っておいた。
キャリア母体の材質をDLCコーティングしたTiとし、樹脂リングの材質をアラミド繊維とエポキシ樹脂の繊維強化プラスチック(FRP)とした。内周面がテーパ状の樹脂リングの小さい方の内径を300.5mmとした。また、樹脂リングの角度θと、樹脂リングとキャリア母体との間の段差の合計量Aの条件を表1に示す。
表1に示すような、角度θと段差合計量Aが異なるそれぞれのキャリアを用いてシリコン単結晶ウェーハを両面研磨し、研磨後のウェーハの平坦度と周縁部の形状を評価した。
ウェーハの平坦度としてROAを黒田精機社製のnanometroを用いて測定した。ROAはウェーハ外周端から3〜6mmの平坦な領域を基準とし、外周端部から0.5〜1mmの箇所のその基準からの変位差である。また、ウェーハの周縁部の形状の評価は、研磨前のウェーハの最外周縁(ウェーハの厚み方向の中央)の位置と、研磨後に摩耗によって変形した部分の位置の差により行い、その位置はTaylor Hobson社のLSM−3000を用いて測定した。
また、比較例1のROAの結果と実施例1−10におけるROAの結果とを比較したところ、表1に示すように、全ての条件においてROAは同等又はそれ以下であった。特に、実施例2〜8、10のように、A=−90.6×sin(θ)+k(91.6≦k≦92.2)を満たしていれば、ROAは比較例1と同等以下となることが分かった。
樹脂リングの角度θが本発明で規定する範囲外の、又は、樹脂リングとキャリア母体との間に段差を有さない従来の両面研磨装置用キャリアを具備した両面研磨装置を用いた以外、実施例と同様な条件で直径300mmのシリコン単結晶ウェーハを両面研磨し、実施例と同様に評価した。
このことから、ウェーハの周縁部の変形と平坦度の悪化の両方とを十分に抑制するためには、樹脂リングの角度θは76°≦θ≦89°又は91°≦θ≦104°を満たし、かつ、樹脂リングとキャリア母体との間に段差を有することが必要であることが確認できた。
4…保持孔、 5…研磨布、 6…上定盤、 7…下定盤、 8…段差、
9…サンギヤ、 10…インターナルギア、 11…樹脂リングの内周面、
12a…樹脂リングの上主面、 12b…樹脂リングの下主面、
20…両面研磨装置。
Claims (3)
- 周縁に面取り部を有するウェーハの両面を研磨する両面研磨装置における前記ウェーハを保持するための両面研磨装置用キャリアであって、
研磨布が貼付された上下定盤の間に配設され、研磨の際に前記上下定盤の間に挟まれる前記ウェーハを保持する保持孔が形成されたキャリア母体と、該キャリア母体の保持孔の内周に沿って配置され、前記保持されるウェーハの面取り部と接して該面取り部を保護する内周面がテーパ状に形成されたリング状の樹脂リングとを具備し、
前記樹脂リングのテーパ状の内周面と上下主面との角度θ(°)が、76°≦θ≦89°又は91°≦θ≦104°を満たし、かつ、前記樹脂リングの厚さが前記キャリア母体の厚さより厚いことで前記樹脂リングと前記キャリア母体との間に段差を有し、前記樹脂リングと前記キャリア母体との間の段差の上下面での合計量をA[μm]、任意の定数をkとしたとき、A=−90.6×sin(θ)+k(91.6≦k≦92.2)を満たすものであることを特徴とする両面研磨装置用キャリア。 - 請求項1に記載の両面研磨装置用キャリアを含むものであることを特徴とする両面研磨装置。
- ウェーハの両面研磨方法であって、請求項1に記載の両面研磨装置用キャリアの保持孔に前記ウェーハを保持し、該保持されたウェーハを研磨布が貼付された上下定盤の間に挟み込み、前記ウェーハの両面を同時に研磨するウェーハの両面研磨方法。
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