JP2013107814A - 合わせガラス及びこの合わせガラスを用いたディスプレイ装置 - Google Patents

合わせガラス及びこの合わせガラスを用いたディスプレイ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高湿下に晒した場合であっても一定の透明性を有する合わせガラス及びこの合わせガラスを用いたディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】本発明の合わせガラスは、ガラス、透明高分子中間膜、ガラスの順に積層され、層間が接着剤層で接着される。この接着剤層は、(A)ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーと、(B)環状構造を有する(メタ)アクリル化合物と、(C)カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物と、(D)グリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物又はオキセタン化合物から選択されるカチオン重合性化合物と、(E)光ラジカル重合開始剤と、(F)光カチオン重合開始剤とを含有する接着剤組成物からなる。透明高分子中間膜は、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、B成分は、複素環式であることが好ましい。また、合わせガラスは、画像表示パネルの表面に設けることが好適である。
【選択図】なし

Description

本発明は、合わせガラス及びこの合わせガラスを用いたディスプレイ装置に関する。
従来から、携帯電話機をはじめとした携帯端末が幅広く普及している。携帯端末では、躯体内部にある光学部材が激しい衝撃を受けることを抑えるため、躯体の表面には、強化ガラスやアクリル樹脂板をはじめとした保護板が設けられている。
このような保護板として、表示装置の表示体を成す被着面上に、アクリル系又はウレタン系樹脂を主成分とした厚み10〜3000μm、伸び率50〜350%の粘着弾性体から成る応力緩和層を配置し、該応力緩和層の少なくとも片面に、不揮発成分粘度2000cps以下の厚み0.1〜500μmの親水性液状層を形成して、該親水性液状層を介して厚さ0.1〜7mmのガラス又は樹脂板から成る透明保護体を上記被着面に対して貼着したものが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の保護板によると、脱気及び初期粘着の緩和機能を有する親水性液状層を採用することにより、被着体と保護体を空気の混入なく粘着し、表示体に施された印刷マークと光隠蔽膜に対しても気泡、空洞を生じることなく、かつ、貼りなおしによる位置修正と引き剥がしによる再生ができ、さらに、要求品質である接着性が犠牲にならず、粘弾性による応力緩和と高光透過率、低光反射率効果とともに、保護体の破損時における飛散を防止できる。
特開2011−167862号公報
ところで、近年、テレビの機能を有する携帯端末やスマートフォン、電子書籍等が急速に普及しつつある。これらは、浴室等の高湿下で用いられることも十分に予想されるので、既存の携帯端末に比べてよりいっそう高い耐湿性や耐冷熱衝撃性が求められる。また、保護体の表面が直接接触される機会も増えるため、既存の携帯端末に比べてよりいっそう高い耐衝撃性も求められる。
これらの耐性を高める手法として、保護体をガラス/中間膜/ガラスからなる合わせガラスとし、これらの層間を接着剤組成物からなる接着剤層で接着することが考えられる。しかし、この保護体は、表示装置の表面に用いるものであるため、一定の透明性を有していなければならない。しかも、浴室等の高湿下で用いられることも予想される以上、高湿下に晒した場合であっても一定の透明性を維持する必要がある。
しかし、特許文献1に記載の保護板は、合わせガラスによるものではない。そのため、保護板を合わせガラスにして上記の耐性をいっそう高めることが求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、高湿下に晒した場合であっても一定の透明性を有する合わせガラス及びこの合わせガラスを用いたディスプレイ装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねたところ、ガラス、透明高分子中間膜、ガラスの順に積層され、層間が接着剤層で接着された合わせガラスにおいて、接着剤層を構成する接着剤組成物の組成を検討することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、ガラス、透明高分子中間膜、ガラスの順に積層され、層間が接着剤層で接着された合わせガラスであって、前記接着剤層が、ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーと、環状構造を有する(メタ)アクリル化合物と、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物と、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物又はオキセタン化合物から選択されるカチオン重合性化合物と、光ラジカル重合開始剤と、光カチオン重合開始剤とを含有する接着剤組成物からなる。
(2)また、本発明は、前記透明高分子中間膜がポリカーボネートフィルムである、(1)に記載の合わせガラスである。
(3)また、本発明は、前記環状構造を有する(メタ)アクリル化合物が複素環式(メタ)アクリル化合物である、(1)又は(2)に記載の合わせガラスである。
(4)また、本発明は、前記環状構造を有する(メタ)アクリル化合物がテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートである、(1)から(3)のいずれかに記載の合わせガラスである。
(5)また、本発明は、前記接着剤組成物がエポキシシラン及び/又は(メタ)アクリルシランをさらに含有する、(1)から(4)のいずれかに記載の合わせガラスである。
(6)また、本発明は、(1)から(5)に記載の合わせガラスが画像表示パネルの表面に配置されたディスプレイ装置である。
本発明によれば、高湿下に晒した場合であっても一定の透明性を有する合わせガラス及びディスプレイ装置を提供できる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
1.合わせガラス
本発明の合わせガラスは、ガラス、透明高分子中間膜、ガラスの順に積層され、層間が接着剤層で接着されたものである。
<ガラス>
ガラスは、透明であり、可視光を通すものであれば、どのようなものであってもよい。具体的には、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ガラスの透過率は、JIS R3106に準じて測定することができる。
ガラスの厚さは、30μm以上5000μm以下であることが好ましい。30μm未満であると、ガラス/透明高分子中間膜/ガラスの層構成で合わせガラスにしたときに破損する可能性があるため、好ましくない。5000μmを超えると、上記の層構成で合わせガラスにしたときに重量が重くなりすぎるため、好ましくない。
<透明高分子中間膜>
透明高分子中間膜としては、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルブチラールフィルム、ポリカーボネートフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、熱可塑性フッ素樹脂フィルム等が挙げられる。その中でも、透明性が良好であること、また強靭性に優れる点でポリカーボネートフィルム(以下「PCフィルム」という。)が好ましい。
透明高分子中間膜は、透明であり、可視光を通すものであれば、どのようなものであってもよい。具体的には、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透明高分子中間膜の透過率は、JIS R3106により測定することができる。
透明高分子中間膜の厚さは、100μm以上2000μm以下であることが好ましい。100μm未満であると、ガラス/中間膜/ガラスの層構成で合わせガラスにしたときに補強性が十分でなく、破損する可能性があるため、好ましくない。2000μmを超えると、上記の層構成で合わせガラスにしたときに透明性が低下する可能性があるため、好ましくない。
<接着剤層>
ガラスと透明高分子中間膜との間には、接着剤層が形成される。この接着剤層は、接着剤組成物からなる。
接着剤組成物は、ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーと、環状構造を有する(メタ)アクリル化合物と、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物と、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物又はオキセタン化合物から選択されるカチオン重合性化合物と、光ラジカル重合開始剤と、光カチオン重合開始剤とを必須成分とする。以下、これらの構成要素について説明する。
[ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマー]
ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーは、主成分として用いられる。ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーは、合わせガラスの層間接着に供したときに、接着剤層の単位面積当たりの架橋密度がより低くなり、接着剤層の硬化収縮を低く抑えることができる。その結果、硬化収縮に起因するガラスの反りを低減できる点や、良好な接着性をもたらすことができる点で、主成分としてウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーを用いることが好ましい。
ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーの重量平均分子量は、16,000以下であることが好ましく、12,000以下であることがより好ましく、7,000以下であることがさらに好ましい。16,000を超えると、接着剤組成物としたときの粘度が高くなり、作業性が悪く好ましくない。さらに架橋密度が低くなり、耐湿性が低下するため、好ましくない。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際の、ポリスチレン換算の値である。
ウレタン(メタ)アクリルオリゴマーは、公知の方法により合成できる。例えば、ポリイソシアネートと、ポリオールと、1個以上の水酸基を有するヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させる方法やポリイソシアネートと、2個以上の水酸基を有するヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させる方法、ジイソシアネート化合物の両末端イソシアネート基に、1個以上の水酸基を有するポリヒドロキシ(メタ)アクリレートを反応させる方法、多価アルコールに過剰量のポリイソシアネート化合物を反応させ、余ったイソシアネート基に1個以上の水酸基を有するヒドロキシ(メタ)アクリレートを反応させる方法等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基を2以上有するものであれば特に限定されず、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、4,4’−メチレン−ビス(フェニルイソシアネート)等の芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12 MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(H6
XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環式ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。その中でも、変色防止の観点から脂環式ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、基材に対する接着性の観点から脂環式ポリイソシアネートがより好ましく、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が最も好ましい。
ポリオールとしては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)等の縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)等のラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネート等のポリカーボネートポリオール;アクリルポリオール等が挙げられる。なかでも、基材に対する接着性、基材の膨張収縮に追従する応力緩和性及び基材接着後の耐久性が良好であることから、縮合系ポリエステルポリオール及びラクトン系ポリエステルポリオールが好ましく、ラクトン系ポリエステルポリオールがより好ましい。
1個以上の水酸基を有するヒドロキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシルアクリレート、5−ヒドロキシシクロオクチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート、5−ヒドロキシシクロオクチルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、根上工業(株)製のアートレジンUN−1000PEP、アートレジンUN−9000PEP、アートレジンUN−9200A、アートレジンUN−2500、アートレジンUN−5200、アートレジンUN−380G、アートレジンUN−500、アートレジンUN−9832;東亜合成(株)製のアロニックスM−1200;SARTOMER社製のケムリンク9503、ケムリンク9504、ケムリンク9505;日本合成化学工業(株)製商品名「紫光」シリーズ等が挙げられる。
ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーは、接着剤組成物を構成するオリゴマー/化合物のトータル100重量部中、10重量部〜90重量部であることが好ましく、35重量部〜60重量部であることがより好ましい。10重量部未満であると、硬化収縮が大きくなり、また十分な接着性が得られないため、好ましくない。90重量部を超えると、接着剤組成物としての粘度が高くなりすぎ、作業性が悪くなるため、好ましくない。
なお、ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーは、2種類以上を併用してもよい。また、ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーの市販品として、アートレジンUN−9000PEP、9100(いずれも根上工業社製)等が知られている。
[環状構造を有する(メタ)アクリル化合物]
環状構造を有する(メタ)アクリル化合物は、透明高分子中間膜との接着性を高めるために用いられる。ここで、「化合物」とは、モノマーに限らず、オリゴマーであってもよいことをいい、以下同じである。(メタ)アクリル化合物は、環状構造を有することから、合わせガラスの層間接着に供したときに、透明高分子中間膜との化学的相互作用に優れ、その結果、接着性が高まると考えられる。
環状構造を有する(メタ)アクリル化合物は、どのようなものであっても良く、具体的にはシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリル化合物;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチエングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルチオエチル(メタ)アクリレート、等の芳香環含有(メタ)アクリル化合物;テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタム、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリル化合物等を挙げることができる。その中でも透明高分子中間膜に対する接着性の観点から複素環式(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に、上記透明高分子中間膜がPCフィルムであるときは、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが好ましい。
環状構造を有する(メタ)アクリル化合物は、接着剤組成物を構成するオリゴマー/化合物のトータル100重量部中、1重量部〜60重量部であることが好ましく、3重量部〜40重量部であることがより好ましい。1重量部未満であると、合わせガラスの層間接着に供したときに、中間膜と適切に接着できない可能性がある点で好ましくない。60重量部を超えると、硬化収縮が大きくなるため、好ましくない。
なお、環状構造を有する(メタ)アクリル化合物は、2種類以上を併用してもよい。また、環状構造を有する(メタ)アクリル化合物の市販品として、ライトアクリレートTHF−A(共栄社化学社製)等が知られている。
[カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物]
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物は、ガラスとの接着性を高めるために用いられる。カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物は、カルボキシル基を有することから、合わせガラスの層間接着に供したときに、ガラスに対して良好な化学的相互作用をもたらし、その結果、接着強度が高まると考えられるためである。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物は、カルボキシル基を有するものであればどのようなものであってもよく、具体的には、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマロン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルグルタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカルボン酸あるいはその無水物との反応生成物;2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸等の2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとカルボン酸あるいはその無水物との反応生成物;その他、β−カルボキシエチルアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート等を挙げることができる。その中でも、ガラスに対する接着性、及び硬化物の柔軟性の観点から2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸が好ましい。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物は、接着剤組成物を構成するオリゴマー/化合物のトータル100重量部中、1重量部〜60重量部であることが好ましく、3重量部〜45重量部であることがより好ましい。1重量部未満であると、合わせガラスの層間接着に供したときに、ガラスと適切に接着できない可能性がある点で好ましくない。60重量部を超えると、硬化収縮が大きくなるため、好ましくない。
なお、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物は、2種類以上を併用してもよい。また、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物の市販品として、アロニックスM−5300、アロニックスM−5400、アロニックスM−5500、アロニックスM−5600(東亞合成化学社製)、NKエステル SA、NKエステル A−SA(新中村化学工業社製)ビスコート#2000、ビスコート#2100、ビスコート#2150、ビスコート#2180(大阪有機化学社製)、HOA−MS、HO−MS、HOA−MAHOA−MPL(共栄社油脂化学社製)が知られている。
[カチオン重合性化合物]
カチオン重合性化合物は、ガラスと中間膜の接着性を高めるために用いられる。カチオン重合性を有することから、合わせガラスの層間接着に供したときに、ガラスと中間膜の両方に対して良好な化学的相互作用をもたらし、その結果、接着強度が高まると考えられるためである。
カチオン重合性化合物は、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物又はオキセタン化合物から選択される。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物の例として、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体のジクリシジルエーテル、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加体のジクリシジルエーテル、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体のジクリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジ及び/又はトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリ及び/又はテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘプタ及び/又はヘキサグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン・フェノール付加型グリシジルエーテル、メチレンビス(2,7−ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、1,6−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
脂環エポキシ化合物の例として、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、プロピレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)等が挙げられる。
オキセタン化合物の例として、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン,(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン,[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル,イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン,3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン),1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン,1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン,1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン,エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン,1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン,ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン,3−エチル−3−(4−メチルフェノキシ)メチルオキセタン,3−エチル−3−(4−フルオロフェノキシ)メチルオキセタン,3−エチル−3−(1−ナフトキシ)メチルオキセタン,3−エチル−3−(2−ナフトキシ)メチルオキセタン,3−エチル−3−{[3−(エトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン,オキセタニルシルセスキオキセタン及びフェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。
また、本発明では、粘度、接着性及び外観性に影響を与えない範囲で他のカチオン重合性化合物が含有されていてもよい。他のカチオン重合性化合物とは、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物及びオキセタン化合物とは異なる様々なカチオン重合性化合物をいう。他のカチオン重合性化合物の例として、チイラン含有エポキシ化合物等が挙げられる。他のカチオン重合性化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記チイラン含有エポキシ化合物の市販品として、YL−7007(三菱化学社製)等が挙げられる。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、オキセタン化合物及びチイラン含有エポキシ化合物の中でも、脂環式エポキシ化合物は、カチオン重合性が良好である点で好ましい。
カチオン重合性化合物は、接着剤組成物を構成するオリゴマー/化合物のトータル100重量部中、1重量部〜40重量部であることが好ましく、1重量部〜30重量部であることがより好ましく、5重量部〜30重量部であることがさらに好ましい。1重量部未満であると、合わせガラスの層間接着に供したときに、ガラスと透明高分子中間膜に適切に接着できない可能性がある点で好ましくない。30重量部を超えると、硬化皮膜が硬くなり、好ましくない。
カチオン重合性化合物は、2種類以上を併用してもよい。また、カチオン重合性化合物の市販品として、アラルダイトCY179CI(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)等が知られている。
[光ラジカル重合開始剤]
光ラジカル重合開始剤は、合わせガラスの層間接着に供したときに、接着剤層を適切な厚さに保つとともに、接着剤層の表面を適切な硬さに硬化させるために用いられる。光ラジカル重合開始剤を用いると、光ラジカル重合性化合物の感応性を増進できるので、エネルギー線による重合硬化時間やエネルギー線照射量の低減が可能となる。
本発明で使用する光ラジカル重合開始剤は、特に限定されず、公知のものでよい。例えば、分子内開裂型として、アミノアセトフェノン類、ベンゾイン誘導体類、ベンジルケタール類、α−ヒドロキシアセトフェノン類、アミノアセトフェノン類とチオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン)との併用、アシルホスフィンオキサイド類等が挙げられ、水素引き抜き型として、ベンゾフェノン類とアミンの併用、チオキサントンとアミンの併用等が挙げられる。光ラジカル重合開始剤は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、分子内開裂型と水素引き抜き型を併用しても良い。
ベンゾイン誘導体類としては、例えばベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル(アルキルの炭素数1〜6)、具体的にはベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等を挙げることができる。ベンジルケタール類としては、例えば2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン[BASF社製、商品名:イルガキュア651]等が挙げられ、α−ヒドロキシアセトフェノン類としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン[BASF社製、商品名:ダロキュア1173]、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン[BASF社製、商品名:イルガキュア184]、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン[BASF社製、商品名:イルガキュア127]挙げられる。そして、アミノアセトフェノン類とチオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン)との併用、アシルホスフィンオキサイド類{例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド[BASF社製、商品名:イルガキュア819]}等が挙げられ、オリゴマー化したα−ヒドロキシアセトフェノン{具体的には、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン、例えば、LambertiS.p.A製、商品名:ESACUREKIP150等]}やアクリレート化したベンゾフェノン類[具体的には、アクリル化ベンゾフェノン、例えば、ダイセル・ユー・シー・ビー(株)製、商品名:EbecrylP136等]等が挙げられる。
さらに、ベンゾイルメチルエーテル、ベンゾイルエチルエーテル、ベンゾイルブチルエーテル、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマーと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノンの混合物、イソプロピルチオキサントン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン及びイミドアクリレート等も挙げられる。その中でも、深部硬化性の観点から少なくともアシルホスフィンオキサイド類を含むことが好ましく、表面硬化性の観点からアシルホスフィンオキサイド類とα−ヒドロキシアセトフェノン類の併用がより好ましい。
光ラジカル重合開始剤の量は、ラジカル連鎖反応が開始し、進行する量であれば、特に限定されるものではない。
[光カチオン重合開始剤]
光カチオン重合開始剤は、上記カチオン重合性化合物のエネルギー線硬化を開始するために用いられる。
本発明で使用する光カチオン重合開始剤とは、エネルギー線照射によりカチオン重合を開始させる物質を発生させることが可能な化合物であり、特に好ましいものとしては照射によりルイス酸を発生させるオニウム塩である。具体的には、ルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨードニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩等が挙げられ、これらはカチオン部分がそれぞれ芳香族ジアゾニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族スルホニウムであり、アニオン部分がBF4 、PF6 、SbF6 、[BX4、[PFn6−n(ただし、Xは少なくとも2つ以上のフッ素又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を示し、Yは炭素数1〜9のフッ素化アルキル基又はフッ素化フェニル基を示す。nは1〜6の整数である。)等により構成されたオニウム塩である。なかでもカチオン部分は光硬化性の観点から芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウムが好ましく、芳香族スルホニウムがより好ましい。アニオン部分は人体への安全性が高く、硬化速度が速いことからPF 、[PF6−nが好ましく、[PF6−nがより好ましい。具体的には四フッ化ホウ素のフェニルジアゾニウム塩、六フッ化リンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化リンのトリフェニルスルホニウム塩、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートのトリフェニルスルホニウム塩、六フッ化アンチモンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化ヒ素のトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、四フッ化アンチモンのトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジフェニルヨードニウム塩、アセチルアセトンアルミニウム塩とオルトニトロベンジルシリルエーテル混合体、フェニルチオピリジウム塩、六フッ化リンアレン−鉄錯体等を挙げることができ、CD−1012(商品名:SARTOMER社製)、PCI−019、PCI−021(商品名:日本化薬社製)、オプトマーSP−150、オプトマーSP−170(商品名:旭電化社製)、UVI−6990(商品名:ダウケミカル社製)、CPI−100P、CPI−100A、CPI−200K(商品名:サンアプロ社製)、TEPBI−S(商品名:日本触媒社製)、RHODORSILPHOTOINITIATOR2074(商品名:Rhodia社製)等を用いることができ、これらは単独でも2種以上を組み合わせて使用することもできる。なお、上記光カチオン重合開始剤は、プロピレンカーボネート等の有機溶剤に希釈し、配合してもよい。
光カチオン重合開始剤の量は、カチオン重合反応が開始し、進行する量であれば、特に限定されるものではない。
[シランカップリング剤]
また、必須の構成要素ではないが、ガラスとの密着性を高めるため、添加剤としてシランカップリング剤を用いることが好ましい。
(メタ)アクリル化合物に対しては、(メタ)アクリルシランを用いることを要し、上記カチオン重合性化合物(グリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物又はオキセタン化合物)に対しては、エポキシシランを用いることを要する。いずれのシランカップリング剤についても、接着剤組成物を構成するオリゴマー/化合物のトータル100重量部中、1重量部〜20重量部であることが好ましい。
シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のアクリルシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1,3−ジアミノイソプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;
γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等の塩素原子含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート含有シラン類;ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジn−ブトキシシラン、ジフェニルシランジオール、ビス(4−メチルフェニル)ジメトキシシラン、ビス(4−メチルフェニル)ジエトキシシラン、ビス(4−メチルフェニル)ジイソプロポキシシラン、ビス(4−メチルフェニル)シランジオール、ビス(4−ビフェニル)ジメトキシシラン、ビス(4−ビフェニル)ジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニルシラノール等のフェニル基含有シラン;メチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン等のハイドロシラン類;オクチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン等のアルキルシラン類等が具体的に例示されうる。その中でもガラスに対する接着性、特に耐水試験、耐湿試験後の接着性良好であることからエポキシ基含有シラン類、アクリルシラン類が好ましい。
シランカップリング剤は、あまりに多く添加すると、硬化物のモジュラスが高くなり、少なすぎると接着性が低下することから、接着剤組成物を構成するオリゴマー/化合物のトータル100重量部中、0.1〜15重量部添加することが好ましく、さらには0.5〜10重量部添加することが好ましい。
[他の(メタ)アクリル化合物]
また、本発明では、粘度、接着性及び外観性に影響を与えない範囲で他の(メタ)アクリル化合物が含有されていてもよい。他の(メタ)アクリル化合物とは、ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマー、環状構造を有する(メタ)アクリル化合物及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物とは異なる様々な(メタ)アクリル化合物をいう。他の(メタ)アクリル化合物の例として、アルキル(メタ)アクリル化合物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル化合物、フェノキシアルキル(メタ)アクリル化合物、アルコキシアルキル(メタ)アクリル化合物等が挙げられる。他の(メタ)アクリル化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記アルキル(メタ)アクリル化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記フェノキシアルキル(メタ)アクリル化合物としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記アルコキシアルキル(メタ)アクリル化合物としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
[他の化合物]
また、本発明では、粘度、接着性及び外観性に影響を与えない範囲で他の化合物が含有されていてもよい。他の化合物の例として、スチレン、α−メチルスチレン、ビニル安息香酸、ビニルフタル酸、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸などが挙げられる。他の化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[他の添加剤]
その他の添加剤は、接着剤層に対して、耐候性、耐光性、耐熱性、耐湿性、難燃性等を付与するために必要に応じて添加される。また、添加剤は、コーティング液の安定性、塗工性、乾燥性、アンチブロッキング性等を向上させるためにも必要に応じて添加される。その他の添加剤として、可塑剤、分散剤、消泡剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤等を添加してもよい。これらは、公知のものを特に制限なく使用することができ、接着剤層に求められる性能に応じて、適宜選択される。
[接着剤組成物の粘度]
接着剤組成物の粘度は、23℃において0.1〜80Pa・sであることが好ましく、0.1〜20Pa・sであることがより好ましく、0.1〜8.0Pa・sであることがさらに好ましい。0.1Pa・s未満であると、粘度が低すぎて、接着剤塗布膜厚の制御が困難となるため、好ましくない。80Pa・sを超えると、粘度が高すぎて、貼り合わせ作業に支障をきたすため、好ましくない。
[接着剤層の厚さ]
接着剤層の厚さは、50μm以上1000μm以下であることが好ましい。厚さが50μm未満であると、十分な接着力が得られない場合がある点で好ましくない。1000μmを超えると、接着剤層の内部までエネルギー線が十分に透過しない可能性がある点で好ましくない。また、過剰性能でコスト高になり得る点でも好ましくない。
<合わせガラスの製造方法>
本発明の合わせガラスの製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。第1に、ガラス上に上記接着剤組成物をアプリケータ等により全面塗工し、接着剤層を形成する。第2に、透明高分子中間膜を積層する。第3に、透明高分子中間膜の表面に上記接着剤組成物をアプリケータ等により全面塗工し、新たな接着剤層を形成する。第4に、新たなガラスを積層する。第5に、当初のガラス側及び/又は新たなガラス側から電磁波を照射して2つの接着剤層を硬化させる。これら第1から第5の工程を経ることで、本発明の合わせガラスを得ることができる。
電磁波を照射するに際し、電磁波は、200〜450nmの波長域の光が好ましく、250〜430nmの波長域の光がより好ましい。光源は、特に限定されるものではなく、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、炭素アーク灯、水銀蒸気アーク、蛍光ランプ、アルゴングローランプ、ハロゲンランプ、白熱ランプ、低圧水銀灯、フラッシュUVランプ、ディープUVランプ、キセノンランプ、タングステンフィラメントランプ、太陽光等が挙げられる。これらの光源を用い、積算光量が500mJ/cm以上、好ましくは1500mJ/cm以上になるように光を照射することにより、接着剤組成物を硬化させることができる。
電磁波としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波のほか、電子線、プロトン線、中性子線等が挙げられる。硬化速度、照射装置の入手容易さ、価格等の観点において、紫外線照射による硬化が好ましい。
なお、上記の例では、はじめに、ガラス上に上記接着剤組成物を塗工しているが、これに限るものではなく、まずはPCフィルム上に上記接着剤組成物を塗工し、その後ガラスを積層してもよい。
2.ディスプレイ装置
本発明のディスプレイ装置は、上記合わせガラスが画像表示パネルの表面に配置されたものである。合わせガラスの画像表示パネルへの取り付けは、保護ガラスを表示素子に取り付けるための従来公知の手法を用いればよく、例えば、特開2008−145984号公報等が知られている。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
Figure 2013107814
Figure 2013107814
<実施例1>
下記の原材料を均一に混合することにより、接着剤組成物を調製した。
[原材料]
(A)ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマー(商品名:アートレジンUN−9000PEP,ε−カプロラクトンジオール及び1,6−ヘキサンジオールと、イソホロンジイソシアネートから合成されるウレタンプレポリマーをさらに、2−ヒドロキシプロピルアクリレートでアクリロイル化したウレタンアクリレート,重量平均分子量:5,000,根上工業社製)56.0重量部、
(B)環状構造を有する(メタ)アクリル化合物(商品名:ライトアクリレートTHF−A,テトラヒドロフルフリルアクリレート,共栄社化学社製)14.0重量部、
(C)カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物(商品名:NKエステル A−SA,2−アクリロイルオキシエチルサクシネート,新中村化学工業社製)20.0重量部、
(D)カチオン重合性化合物(商品名:アラルダイトCY179CI,3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート,ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)10.0重量部、
(E)光ラジカル重合開始剤A(商品名:Irgacure819,ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド,BASFジャパン社製)0.1重量部、
(F)光ラジカル重合開始剤B(商品名:Darocur1173,2−ヒドロキシ−2−エチル−1−フェニル−プロパン−1−オン,BASFジャパン社製)0.2重量部、
(G)光カチオン重合開始剤(商品名:CPI−100P,ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート,サンアプロ社製)1.0重量部、
(H)(メタ)アクリルシラン(商品名:KBM−503,3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,信越化学工業社製)5.0重量部、及び
(I)エポキシシラン(商品名:KBM−403,3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,信越化学工業社製)5.0重量部
その後、ガラス(無アルカリガラス,厚さ100μm)上に、上記接着剤組成物をアプリケータにより全面塗工し、厚さ250μmの接着剤層を形成した。そして、PCフィルム(商品名:ユーピロン,厚さ250μm,三菱樹脂化学社製)を積層した。続いて、ガラス側からメタルハライドランプ照射機を用い、波長200〜450nmの紫外線を積算光量が6000mJ/cmになるまで照射して、接着剤層を硬化させた。上記工程を経ることで、ガラス/接着剤層/PCフィルムからなる積層体を得た。
さらに、上記積層体のPCフィルムの表面に上記接着剤組成物をアプリケータにより全面塗工し、新たな接着剤層を形成した。続いて、上記ガラスを積層した。続いて、新たなガラス側からメタルハライドランプ照射機を用い、波長200〜450nmの紫外線を積算光量が6000mJ/cmになるまで照射して、新たな接着剤層を硬化させた。上記工程を経ることで、ガラス/接着剤層/PCフィルム/接着剤層/ガラスからなる実施例1の合わせガラスを得た。
<実施例2>
上記(A)成分がウレタン系(メタ)アクリルオリゴマー(商品名:アートレジンUN−9100,ε−カプロラクトンジオール及び1,6−ヘキサンジオールと、イソホロンジイソシアネートから合成されるウレタンプレポリマーをさらに、2−ヒドロキシプロピルアクリレートでアクリロイル化したウレタンアクリレート,重量平均分子量:10,000,根上工業社製)56.0重量部であること以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2の合わせガラスを得た。
<実施例3>
上記(A)成分がウレタン系(メタ)アクリルオリゴマー(商品名:アートレジンUN−9200A,ε−カプロラクトンジオール及び1,6−ヘキサンジオールと、イソホロンジイソシアネートから合成されるウレタンプレポリマーをさらに、2−ヒドロキシプロピルアクリレートでアクリロイル化したウレタンアクリレート,重量平均分子量:15,000,根上工業社製)56.0重量部であること以外は、実施例1と同様の方法により、実施例3の合わせガラスを得た。
<実施例4〜14,比較例1>
各種成分の割合が表1及び2に記載のとおりであること以外は、実施例1と同様の方法により、実施例4〜14及び比較例1の合わせガラスを得た。
<比較例2>
上記ガラス上に、市販の高透明性接着剤転写テープ(Optical Clear Adhesive(OCA)テープ,商品名:8146−4,住友スリーエム社製)を積層した。続いて、新たなガラスを上側から貼り合わせた。上記工程を経ることで、ガラス/高透明性接着剤転写テープ/ガラスからなる比較例2の合わせガラスが形成された。
実施例及び比較例について、以下の評価を行った。
<粘度の評価>
実施例及び比較例の中間生成物である接着剤組成物について粘度を測定した。粘度の測定は、粘度測定装置B型回転粘度計(東機産業社製)を用いて行った。結果を表3及び4に示す。
<耐湿後の接着性の評価>
実施例及び比較例1については中間生成物であるガラス/接着剤層/PCフィルムからなる積層体について、比較例2についてはガラス/高透明性接着剤転写テープからなる積層体について、耐湿後の接着性を評価した。接着性の評価は、手剥離による簡易接着試験によって行った。実施例1〜14及び比較例1については、中間生成物である積層体を幅25mm、長さ100mmの寸法にし、85℃、85%RHの条件で2日間静置した後、23℃、50%RHの雰囲気下でPCフィルムを180°の剥離モードで、手で引っ張ることによって行った。比較例2については、合わせガラスを幅25mm、長さ100mmの寸法にし、85℃、85%RHの条件で2日間静置した後、23℃、50%RHの雰囲気下で高透明性接着剤転写テープを180°の剥離モードで、手で引っ張ることによって行った。結果を表3及び4に示す。評価は、はがす時に抵抗感があるものを“○”とし、少し抵抗感があるものを“△”、抵抗感なくはがれたものを“×”とした。
<耐湿後の外観性の評価>
外観性の評価は、実施例及び比較例に係る合わせガラスを幅150mm、長さ150mmの寸法にし、85℃、85%RHの条件で2日間静置した後の白濁の程度を目視で観察することにより行った。結果を表3及び4に示す。外観性の評価のうち、端部からの異常については、ガラスの端部からの剥がれや白濁が5mm以下の場合を“○”とし、5mmを超え、14mm以下の場合を“△”とし、14mmを超える場合を“×”とした。外観性の評価のうち、内部異常については、内部に白濁がなく、表示装置の表面に取り付けた場合であっても表示部を明りょうに視認できると認められる場合を“○”とし、内部の一部に白濁があり、表示装置の表面に取り付けた場合に表示部の一部が明りょうに視認できると認められない場合を“△”とし、内部に白濁があり、表示装置の表面に取り付けた場合に表示部を明りょうに視認できると認められない場合を“×”とした。
<ショア硬さの評価>
ショア硬さを評価するにあたり、試験片を作成した。ガラス瓶等に使われている直径が30mm、厚さ7mmのポリエチレン製の中ぶたに、実施例及び比較例で調製した接着剤組成物を、硬化後の接着剤組成物の厚さが7mmになるように流しこみ、メタルハライドランプ照射機を用いて、波長が200〜450nmの紫外線を積算光量が1500mJ/cmになるまで接着剤層の上から照射することで、直径30mm、厚さ7mmの試験片を作成した。硬化後の試験片を23℃50%RHで24時間放置した後、JIS K6253法にしたがったタイプAデュロメータHD−1110(製品名,上島製作所社製)を用いて、試験片のショア硬さを測定した。結果を表3及び表4に示す。
Figure 2013107814
Figure 2013107814
重量平均分子量が16,000以下のウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーと、環状構造を有する(メタ)アクリル化合物と、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物と、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物又はオキセタン化合物から選択されるカチオン重合性化合物と、光ラジカル重合開始剤と、光カチオン重合開始剤とを含有する接着剤組成物を用いて形成した、ガラス/接着剤層/PCフィルム/接着剤層/ガラスからなる合わせガラスは、高湿下に晒した場合であっても一定の透明性を有し、ガラス及びPCフィルム双方の接着性にも優れ、かつ、耐湿性試験後においても外観異常を起こさず、接着剤層の硬化収縮に起因するガラス及び/又はPCフィルムの反りを低減できる合わせガラスを製造できることが確認された(実施例1〜14)。特に、環状構造を有する(メタ)アクリル化合物の量を、接着剤組成物を構成するオリゴマー/化合物のトータル100重量部中3重量部〜40重量部にし、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物の量を、接着剤組成物を構成するオリゴマー/化合物のトータル100重量部中3重量部〜45重量部にし、カチオン重合性化合物の量を、接着剤組成物を構成するオリゴマー/化合物のトータル100重量部中1重量部〜30重量部にすることで、接着性に優れることが確認された(実施例1、2、4、6、8、10〜13)。また、ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーの量を、接着剤組成物を構成するオリゴマー/化合物のトータル100重量部中35重量部〜60重量部にし、環状構造を有する(メタ)アクリル化合物の量と、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物の量との合計を、接着剤組成物を構成するオリゴマー/化合物のトータル100重量部中50重量部以下にし、カチオン重合性化合物の量を、接着剤組成物を構成するオリゴマー/化合物のトータル100重量部中5重量部〜30重量部にすることで、接着性のみならず、耐湿性試験後の外観において特に優れることが確認された(実施例1、11、12)。
なお、実施例及び比較例1の接着性評価はガラス/接着剤層/PCフィルムからなる積層体を、比較例2の接着性評価はガラス/高透明性接着剤転写テープからなる積層体を用いた評価であり、ガラス/接着剤層/PCフィルム/接着剤層/ガラスからなる合わせガラスの評価ではないが、積層体形成の際にPCフィルム又は高透明性接着剤転写テープ側からではなくガラス側から紫外線を照射しているため、新たな接着剤層及びガラスを積層し、この新たなガラス側から紫外線を照射して合わせガラスを形成しても、同様の接着性及び耐湿性が得られるといえる。そのため、上記積層体にて合わせガラスの評価を行うことに支障はないといえる。
一方、接着剤層の組成が上記組成とは異なる場合、高湿下に晒した場合に透明性を欠き得る点で好ましくないことが確認された(比較例1、2)。
[ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマー]
ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーは、主成分として用いられる。ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーは、合わせガラスの層間接着に供したときに、接着剤層の単位面積当たりの架橋密度がより低くなり、接着剤層の硬化収縮を低く抑えることができる。その結果、硬化収縮に起因するガラスの反りを低減できる点や、良好な接着性をもたらすことができる点で、主成分としてウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーを用いることが好ましい。また、ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーを含有することにより、高湿下に晒した場合であっても合わせガラスの端部からの剥がれや白濁を抑えることができる。
ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーは、接着剤組成物を構成するオリゴマー/化合物のトータル100重量部中、10重量部〜90重量部であることが好ましく、35重量部〜60重量部であることがより好ましい。10重量部未満であると、硬化収縮が大きくなり、また十分な接着性が得られないため、好ましくない。また、高湿下に晒した場合に合わせガラスの端部からの剥がれや白濁が認められ得る点でも好ましくない。
<耐湿後の外観性の評価>
外観性の評価は、実施例及び比較例に係る合わせガラスを幅150mm、長さ150mmの寸法にし、85℃、85%RHの条件で2日間静置した後の白濁の程度を目視で観察することにより行った。結果を表3及び4に示す。外観性の評価のうち、端部からの異常については、合わせガラスの端部からの剥がれや白濁が5mm以下の場合を“○”とし、5mmを超え、14mm以下の場合を“△”とし、14mmを超える場合を“×”とした。外観性の評価のうち、内部異常については、合わせガラスの内部に白濁がなく、表示装置の表面に取り付けた場合であっても表示部を明りょうに視認できると認められる場合を“○”とし、合わせガラスの内部の一部に白濁があり、表示装置の表面に取り付けた場合に表示部の一部が明りょうに視認できると認められない場合を“△”とし、合わせガラスの内部に白濁があり、表示装置の表面に取り付けた場合に表示部を明りょうに視認できると認められない場合を“×”とした。
一方、接着剤層の組成が上記組成とは異なる場合、高湿下に晒した場合に合わせガラスの端部からの剥がれや白濁が認められ得る点で好ましくないことが確認された(比較例1、2)。

Claims (6)

  1. ガラス、透明高分子中間膜、ガラスの順に積層され、層間が接着剤層で接着された合わせガラスであって、
    前記接着剤層が、ウレタン系(メタ)アクリルオリゴマーと、環状構造を有する(メタ)アクリル化合物と、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物と、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物又はオキセタン化合物から選択されるカチオン重合性化合物と、光ラジカル重合開始剤と、光カチオン重合開始剤とを含有する接着剤組成物からなる、合わせガラス。
  2. 前記透明高分子中間膜がポリカーボネートフィルムである、請求項1に記載の合わせガラス。
  3. 前記環状構造を有する(メタ)アクリル化合物は、複素環式(メタ)アクリル化合物である、請求項1又は2に記載の合わせガラス。
  4. 前記環状構造を有する(メタ)アクリル化合物は、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートである、請求項1から3のいずれかに記載の合わせガラス。
  5. 前記接着剤組成物がエポキシシラン及び/又は(メタ)アクリルシランをさらに含有する、請求項1から4のいずれかに記載の合わせガラス。
  6. 請求項1から5に記載の合わせガラスが画像表示パネルの表面に配置されたディスプレイ装置。
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