JP2007126513A - 光及び湿気硬化性組成物 - Google Patents

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憲明 岡本
Akira Matsumura
明 松村
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Abstract

【課題】光照射量が少なくても硬化の早い、コーティング剤、繊維加工剤、シーリング剤、ポッティング剤、コーキング剤、接着剤などに使用可能な組成物の提供
【解決手段】
(イ)一般式(1)
R1 3-m(R2O)mSi−(CH2)n−[OCH(R3)CH2]o−O−(CH2)p−Si(OR4)qR5 3-q (1)
(式中、R1、R2、R4及びR5は同一又は異なって炭素数1〜3のアルキル基を示し、o個のR3は同一であっても異なってもよく水素原子又はメチル基を示し、m及びqは同一又は異なって1〜3の整数を示し、n及びpは同一又は異なって0〜3の整数を示す。Oは20〜200の整数を示す。)
で表される化合物、(ロ)(メタ)アクリルシリケート、(ハ)湿気硬化触媒及び(ニ)光重合開始剤を必須成分とする光及び湿気硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、コーティング剤、繊維加工剤、シーリング剤、ポッティング剤、コーキング剤、接着剤などに使用可能な、光硬化性と湿気硬化性を併せ持つ組成物に関する。
光(紫外線)硬化性と湿気硬化性を有する組成物は、光の照射が不足しがちな用途、隙間の封止、接着などにおいて湿気により硬化させることができるため、これらの用途に非常に有用であった。光硬化性と湿気硬化性を有する組成物は、例えば特許文献1〜3に記載されている。これらは、エラストマー分子末端にシリル基とビニル基とを併せ持つ構造のプレポリマーを必須とするものである。
特開昭61−127718号公報 特開平1−318028号公報 特開平6−88029号公報
しかしながら、これらの組成物は、硬化に要する光照射エネルギー量が比較的多く必要であり、その硬化特性は比較的湿気硬化性組成物に近いことから硬化に長時間を要し、特に上記の光照射が不足しがちな用途においては、より早い硬化性が求められていた。したがって、本発明は、光照射量が少なくても硬化の早い組成物の提供を目的とする。
本発明者は、下記(イ)から(ニ)の成分を配合した組成物が、光硬化性及び湿気硬化性を併せ持ち、硬化が早い組成物であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の光及び湿気硬化性組成物に係るものである。
項1.
(イ)一般式(1)
R1 3-m(R2O)mSi−(CH2)n−[OCH(R3)CH2]o−O−(CH2)p−Si(OR4)qR5 3-q (1)
(式中、R1、R2、R4及びR5は同一又は異なって炭素数1〜3のアルキル基を示し、o個のR3は同一であっても異なってもよく水素原子又はメチル基を示し、m及びqは同一又は異なって1〜3の整数を示し、n及びpは同一又は異なって0〜3の整数を示す。Oは20〜200の整数を示す。)
で表される化合物、(ロ)(メタ)アクリルシリケート、(ハ)湿気硬化触媒及び(ニ)光重合開始剤を必須成分とする光及び湿気硬化性組成物。
項2.(メタ)アクリルシリケートが一般式(2)
CH2O=CH(R6)−COO−(CH2)r−Si(OR7)sR8 3-s (2)
(式中、R6は水素原子又はメチル基を示し、R7及びR8は同一又は異なって炭素数1又は2のアルキル基を示し、rは1〜3の整数を示し、sは1〜3の整数を示す。)
である項1に記載の光及び湿気硬化性組成物。
項3.さらに、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマー又はオリゴマーを含有する項1又は2に記載の光及び湿気硬化性組成物。
本発明において、光及び湿気硬化性とは、光硬化性と湿気硬化性を併せ持つことを意味する。また、本明細書において、(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルを意味する。さらに、(メタ)アクリレートとは、同様に、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
(イ)成分
本発明において、(イ)成分はシリル官能基を末端に有するポリオキシエチレン系又はポリオキシプロピレン系のポリマーであり、下記一般式(1)で表される化合物であり、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
一般式(1)
R1 3-m(R2O)mSi−(CH2)n−[OCH(R3)CH2]o−O−(CH2)p−Si(OR4)qR5 3-q (1)
(式中、R1、R2、R4及びR5は同一又は異なって炭素数1〜3のアルキル基を示し、o個のR3は同一であっても異なってもよく水素原子又はメチル基を示し、m及びqは同一又は異なって1〜3の整数を示し、n及びpは同一又は異なって0〜3の整数を示す。Oは30〜150の整数を示す。)
(イ)成分は、水分と触媒の存在下では、水分により、ポリマー末端のアルコキシシリル基の加水分解反応が進行してシラノール基が生成し、続いてシラノール縮合反応によりシロキサン結合を生成することにより、分子鎖延長反応と架橋反応が進行しゴム状弾性体となること、いわゆる湿気硬化性を有することが知られている。
好ましい(イ)成分は、R1、R2、R4及びR5が同一又は異なって炭素数1又は2のアルキル基を示し、o個のR3は同一であっても異なってもよく水素原子又はメチル基を示し、m及びqが同一又は異なって1又は2を示し、n及びpは3の整数を示し、Oは25〜150の整数を示す、一般式(1)で表される化合物である。
さらに好ましい(イ)成分は、R1、R2、R4及びR5全てがメチル基を示し、o個のR3は同一であっても異なってもよく水素原子又はメチル基を示し、m及びqがともに2を示し、n及びpがともに3を示し、oが30〜120の整数を示す一般式(1)で表される化合物である。
(イ)成分の市販品としては、サイリルSAT200、サイリルSAT350などのサイリルSATシリーズ((株)カネカ製)などがあげられる。
(イ)成分の配合量は、本発明の組成物全量に対し、通常50〜90重量%、好ましくは70〜85重量%である。(イ)成分の配合量が上記範囲内であると、湿気硬化の反応性の点で有利である。
(ロ)成分:(メタ)アクリルシリケート
本発明において、(ロ)成分は(メタ)アクリルシリケートであり、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。好ましい(メタ)アクリルシリケートは一般式(2)
CH2O=CH(R6)−COO−(CH2)r−Si(OR7)sR8 3-s (2)
(式中、R6は水素原子又はメチル基を示し、R7及びR8は同一又は異なって炭素数1又は2のアルキル基を示し、rは1〜3の整数を示し、sは1〜3の整数を示す。)である。
より好ましい(メタ)アクリルシリケートは、R6がメチル基を示し、R7が炭素数1又は2のアルキル基を示し、R8がメチル基を示し、rが3の整数を示し、sが2又は3を示す、一般式(2)で表される化合物である。
好ましい(メタ)アクリルシリケートの具体例としては、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどがあげられる。
(メタ)アクリルシリケートの配合量は、本発明の組成物全量に対し、通常1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%である。(メタ)アクリルシリケートの配合量が上記範囲内であると、光硬化性と湿気硬化性のバランスが良く、この点で有利である。
(ハ)成分:湿気硬化触媒
本発明において、(ハ)成分は湿気硬化触媒であり、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。湿気硬化触媒としては、錫化合物、チタン酸エステル、チタンキレート化合物などが使用できる。
錫化合物としては、ナフテン酸錫,カプリル酸錫,オレイン酸錫、オクチル酸錫、ラウリン酸錫等の錫カルボン酸塩、ジエチル錫ジオクテート,ジエチル錫ジラウレート,ジブチル錫ジアセテート,ジブチル錫ジオクテート,ジブチル錫ジラウレート,ジブチル錫ジオレート,ジブチル錫マレエート,ジフェニル錫ジアセテート,ジブチル錫オキサイド,ジブチル錫ジメトキシド,ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)錫,ジブチル錫ビスアセチルアセトネート,ジブチル錫ベンジルマレート等が例示される。
チタン酸エステル、チタンキレート化合物としては、テトラエトキシチタン,テトライソプロポキシチタン,テトラn−ブトキシチタン,テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン,ジプロポキシビス(アセチルアセトナ)チタン,チタニュムイソプロポキシオクチレングリコール等が例示される。
好ましい湿気硬化触媒は上記の錫化合物であり、より好ましいのは、ジブチルスズビスアセチルアセトネート、ジブチル錫ジアセテートなど4価の錫化合物である。
湿気硬化触媒の配合量は、本発明の組成物全量に対し、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
(ニ)成分:光重合開始剤
本発明において、(ニ)成分は光重合開始剤であり、従来公知のものを1種単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。光重合開始剤は、光重合性モノマー又はオリゴマーの重合を開始させる。例えば、4−フェノキジクロロアセトフェノン、4−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、4−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィノキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、α−アシロキシムエステル、アシルホスフィノキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレキノン、ジベンゾスベロンなどが挙げられる。
好ましい光重合開始剤は、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタールである。
光重合開始剤の配合量は、本発明の組成物全量に対し、通常1〜12重量%、好ましくは3〜6重量%である。
その他の成分
本発明の組成物には、さらに、水酸基を有するアクリルモノマー又はオリゴマーを1種単独で又は2種以上組み合わせて配合することができ、これらの配合によって 硬化組成物の物理特性や化学特性を改質することが出来る。該オリゴマーは重合性不飽和基が2〜9個、好ましくは2〜6個、より好ましくは2〜4個付加したものである。
水酸基を有するオリゴマーとしては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどが挙げられ、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートが好ましい。
ウレタンアクリレートは、一般的には、ポリオールと有機ジイソシアネートを反応させ、ポリウレタンプレポリマーとし、次いで水酸基含有アクリレート付加させることによって得られ、分子中に官能基としてアクリロイル基(CH=CHCO−)と、ウレタン結合(−NHCOO−)を有するオリゴマーである。具体的なポリオールの例としては、ポリ(プロピレンオキサイド)ジオール、ポリ(エチレンオキサイド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキサイド)ジオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、エトキシ化ビスフェノールAなどが挙げられる。
エポキシアクリレートは、一般的には、ポリエポキシ化合物(またはエポキシ樹脂)とアクリル酸とをエステル化して得られる。具体的なエポキシアクリレートの例としては、各種ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなど)とエピクロルヒドリンによるエポキシ化合物とアクリル酸との反応により合成されるビスフェノール型エポキシアクリレート、フェノールノボラックとエピクロルヒドリンによるエポキシ化合物とアクリル酸との反応により合成されるフェノールノボラック型エポキシアクリレートなどが挙げられる。
ポリエステルアクリレートは、一般的には、多価アルコール又はポリエステルポリオールを触媒存在下にてアクリル酸でエステル化して得られる。具体的なポリエステルアクリレートの例としては、無水フタル酸とプロピレングリコールなどで縮合したポリエステルとアクリル酸との反応により合成されるアクリレート、アジピン酸と1,6-ヘキサンジオールなどで縮合したポリエステルとアクリル酸との反応により合成されるアクリレート、トリメリット酸とジエチレングリコールで縮合したポリエステルとアクリル酸との反応により合成されるアクリレートなどが挙げられる。
ラジカル重合可能なモノマーは、主としてラジカル重合可能なオリゴマーと併用して使用され、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソペンチルアクリレート、イソペンチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジメタクリレート、ジアクリル化イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン、ドデシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸などが挙げられ、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。好ましくは、アクリレート系モノマーであり、より好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジトリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレートなどである。
好ましい水酸基を有するモノマー又はオリゴマーは、エポキシアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートである。
水酸基を有するモノマー又はオリゴマーを配合する場合、その配合量は、本発明の組成物全量に対し、通常2〜60重量%、好ましくは5〜30重量%である。
さらに、ケチミン、オキサゾリジンは、湿気硬化を促進するものとして本発明の組成物に配合することが好ましい。これらを配合する場合、その配合量は、本発明の組成物全量に対し、通常1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%である。
また、本発明の組成物には、必要に応じて光開始助剤を配合することもできる。光開始助剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノエチル安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノエチル安息香酸2−エチルヘキシル、重合性3級アミンなどが挙げられ、単独又は2種以上組み合わせて使用される。
本発明の組成物には、増量、チクソトロピー性付与などを目的として、必要に応じて充填剤を配合してもよい。充填剤として具体的には、ヒュームドシリカ,焼成シリカ,沈降シリカ,粉砕シリカ,溶融シリカ粉末等の微粉末シリカ、ケイソウ土,酸化鉄,酸化亜鉛,酸化チタン,酸化バリウム,酸化マグネシュム等の金属酸化物、炭酸カルシュウム,炭酸マグネシュウム,炭酸亜鉛等の金属炭酸塩、水酸化セリュウム,水酸化アルミニュウム等の金属水酸化物、ガラス繊維,ガラスウール,微粉マイカ,アスベスト,球状シリカ,球状シルセスキオキサン粉やこれらの表面をシラン等で疎水処理したものなどが例示される。
更に本発明の組成物には、必要に応じて上記成分以外にこの種の組成物に従来から使用されている添加剤を本発明の目的が損なわれない範囲で配合することができる。このような添加剤としては、例えばチクソトロピー性付与剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、酸化アンチモン,塩化パラフィン等の難燃剤、窒化ホウ素,酸化アルミニュウム等の熱伝導性改良剤、アミノ基,エポキシ基,メルカプト基等の反応性有機基を有する有機珪素化合物などの接着性付与剤、シランカップリング剤、トルエン,キシレン,石油エーテル等の炭化水素系溶剤、ケトン類、エステル類等の希釈剤、可塑剤、タレ防止剤、公知の防汚剤、防腐剤、殺菌剤、防黴剤、レベリング剤、消泡剤、つや消し剤などを任意で加えることができる。
本発明の組成物は、上記の成分を混合することにより得ることができる。例えば、上記の成分を40℃で1時間撹拌することによって組成物となる。
本発明の組成物は、コーティング剤、繊維加工剤、シーリング剤、ポッティング剤、コーキング剤、接着剤、衣料の裏地などに使用可能な、光硬化性と湿気硬化性を併せ持つ組成物に関する。
本発明の組成物は、従来品に比べ湿気硬化性は同等であるにもかかわらず、光硬化性優れ低い照射光量で硬化できる優れたものである。また、本発明組成物が硬化した硬化物は透湿性と防水性を併せ持つ。このため、防水性及び防風性に優れた布帛、該布帛を備えた衣料、例えば該布帛を裏地とした衣料などとして有用である。例えば、布帛(撥水処理が施された布帛でもよい)上に、必要に応じて透湿性を有する目止め層(例えば、ウレタン樹脂、アミノ酸樹脂など)を形成し、該目止め層上に本発明の組成物を塗布し、硬化させて透湿性を有する接着層を形成し、必要に応じてパイル等の繊維を植毛することによって、水及び風は遮断するが透湿性は確保された衣料材料となる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
実施例1
下記成分を均一に混合し、遮光した密閉容器に室温で1日静置し、23℃の粘度が27Pa・sの光及び湿気硬化性組成物を得た。
(イ)成分:サイリルSAT200;100重量部
((株)カネカ製変性シリコーンポリマー)
(メタ)アクリルシリケート:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;10重量部
湿気硬化触媒:ジブチルスズビスアセチルアセトネート;1.2重量部、
光重合開始剤:ダロキュアー1173;5重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)
水酸基を有するアクリルオリゴマー:リポキシVR−77;10重量部
(昭和高分子(株)製エポキシアクリレート)
実施例2
下記成分を均一に混合し、遮光した密閉容器に室温で1日静置し、23℃の粘度が25Pa・sの光及び湿気硬化性組成物を得た。
(イ)成分:サイリルSAT200;100重量部
(メタ)アクリルシリケート:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;15重量部
湿気硬化触媒:ジブチルスズビスアセチルアセトネート;1.3重量部、
光重合開始剤:ダロキュアー1173;5重量部
水酸基を有するアクリルオリゴマー:リポキシVR−77;10重量部及びヒドロキシプロピルアクリレート;5重量部
実施例3
下記成分を均一に混合し、遮光した密閉容器に室温で1日静置し、23℃の粘度が28Pa・sの光及び湿気硬化性組成物を得た。
(イ)成分:サイリルSAT200;100重量部
(メタ)アクリルシリケート:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;10重量部
湿気硬化触媒:ジブチルスズビスアセチルアセトネート;1.3重量部、
光重合開始剤:ダロキュアー1173;5重量部
水酸基を有するアクリルオリゴマー:リポキシVR−77;10重量部及びペンタエリスリトールトリアクリレート;5重量部
実施例4
リポキシVR−77(水酸基を有するアクリルオリゴマー)を配合しなかった他は実施例1と同様にして光及び湿気硬化性組成物を得た。
比較例1
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン((メタ)アクリルシリケート)を配合しなかった他は実施例1と同様にして組成物を得た。
比較例2
25℃における粘度が700csの両末端にシラノール基を持つオルガノポリシロキサン100重量部、3−アミノプロピルトリメトキシシラン3重量部をフラスコに仕込み、Nガスを通気しながら120℃に加熱し、脱メタノール反応を3時間行った。その後、メタアクリロキシエチルイソシアネート2.6重量部を加え、室温で30分反応させた。得られたポリマーは25℃における粘度が1000csの透明な液体を得た。これに1.0重量部のジブチルスズビスアセチルアセトネート、5重量部のダロキュアー1173を均一混合し光及び湿気硬化性組成物を得た。なお、この比較例は、従来の光及び湿気硬化性組成物に該当する。
試験例1
実施例1〜4及び比較例1及び2で得られた光及び湿気硬化性組成物を使用して下記3項目について試験した。試験結果を表1及び2に示す。
「光硬化最小照射エネルギー量」;
100μmの易接着PETフィルムに光及び湿気硬化性組成物を300μmアプリケーターで塗布したものを作成し、コンベアータイプUV照射装置F300S/SQ(ヒュージョン社製)にDバルブを装着した状態で、組成物表面に粘着性がなくなるまでの照射エネルギー量を測定した。
「引っ張り強度」及び「引っ張り伸度」;
UV照射後、23℃×60%RHの雰囲気で24時間放置した後に試験片(10mm×25mm×1mm)を引っ張り試験機で試験した。
「光及び湿気硬化接着強度」;
100μmの易接着PETフィルムに光及び湿気硬化性組成物を100μmアプリケーターで塗布したものを作成し、これの組成物塗布面を軟鋼板(#240サンドペーパーで研磨)に貼り付けた。PETフィルム側からUVを照射し、23℃×60%RHの雰囲気で24時間放置した後に引っ張り剪断接着強度(JISK6833に準拠)を測定した。
「湿気硬化接着強度」;
軟鋼板(#240サンドペーパーで研磨)に光及び湿気硬化性組成物を100μmアプリケーターで塗布したものを作成し、これの組成物塗布面を同種の軟鋼板に貼り付け23℃×60%RHの雰囲気下遮光状態で7日間放置後に引っ張り剪断接着強度(JISK6833に準拠)を測定した。
Figure 2007126513
Figure 2007126513
比較例1の組成物は光硬化せず、湿気硬化性組成物であった。光硬化最小照射エネルギー量試験の結果から、本発明の組成物は、従来の光及び湿気硬化性組成物より少ないUV照射量で硬化すること、すなわち従来品よりUVによる硬化速度が速いことが確認された。また、光及び湿気硬化接着強度試験の結果から、従来の光及び湿気硬化性組成物より接着強度が高いことが確認され、これにより硬化速度が速いことも示唆された。さらに、湿気硬化接着強度試験の結果から、光照射のない又は少ない条件における湿気硬化による接着強度が高いことが確認され、これにより湿気硬化速度が速いことが示唆された。また、実施例1と実施例4との比較から、水酸基を有するアクリルオリゴマーの配合によって光硬化速度及び湿気硬化速度がともの向上することが確認された。
実施例5
実施例1と同様にして得られた組成物を、メ止め処理を施したナイロンタフタに、バーコーター#40を用いて塗布し、UV照射装置にて500mJ/cmで照射したところ、粘着性の無いしなやかな被塗物を得た。透湿度(JISZ−0208に準拠)は3200g/m・24時間であり、耐水圧(JISL−1092に準拠)は1kg/cmであった。この結果から実施例1で得られた組成物は 防水性と適度な透湿度があり、防水・防風性に優れた衣料用布帛に加工できることが示唆された。
本発明の組成物は従来光及び湿気硬化性組成物が使用されていた分野、例えば、建築産業、土木産業、電気・電子部品産業等の分野において、コーティング剤、繊維加工剤、シーリング剤、ポッティング剤、コーキング剤、接着剤などとして利用可能である。

Claims (3)

  1. (イ)一般式(1)
    R1 3-m(R2O)mSi−(CH2)n−[OCH(R3)CH2]o−O−(CH2)p−Si(OR4)qR5 3-q (1)
    (式中、R1、R2、R4及びR5は同一又は異なって炭素数1〜3のアルキル基を示し、o個のR3は同一であっても異なってもよく水素原子又はメチル基を示し、m及びqは同一又は異なって1〜3の整数を示し、n及びpは同一又は異なって0〜3の整数を示す。Oは20〜200の整数を示す。)
    で表される化合物、(ロ)(メタ)アクリルシリケート、(ハ)湿気硬化触媒及び(ニ)光重合開始剤を必須成分とする光及び湿気硬化性組成物。
  2. (メタ)アクリルシリケートが一般式(2)
    CH2O=CH(R6)−COO−(CH2)r−Si(OR7)sR8 3-s (2)
    (式中、R6は水素原子又はメチル基を示し、R7及びR8は同一又は異なって炭素数1又は2のアルキル基を示し、rは1〜3の整数を示し、sは1〜3の整数を示す。)
    である請求項1に記載の光及び湿気硬化性組成物。
  3. さらに、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマー又はオリゴマーを含有する請求項1又は2に記載の光及び湿気硬化性組成物。
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