JPWO2021090568A1 - 接合体、およびその製造方法 - Google Patents

接合体、およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2021090568A1
JPWO2021090568A1 JP2020559566A JP2020559566A JPWO2021090568A1 JP WO2021090568 A1 JPWO2021090568 A1 JP WO2021090568A1 JP 2020559566 A JP2020559566 A JP 2020559566A JP 2020559566 A JP2020559566 A JP 2020559566A JP WO2021090568 A1 JPWO2021090568 A1 JP WO2021090568A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
bonded
resin
primer
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020559566A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6967675B2 (ja
Inventor
和男 大谷
臣二 沼尾
信行 高橋
良太 新林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Application granted granted Critical
Publication of JP6967675B2 publication Critical patent/JP6967675B2/ja
Publication of JPWO2021090568A1 publication Critical patent/JPWO2021090568A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • B32B27/38Layered products comprising a layer of synthetic resin comprising epoxy resins
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • B32B27/40Layered products comprising a layer of synthetic resin comprising polyurethanes

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

繊維強化プラスチック、ガラス、セラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる材料層を含む被接合材と、樹脂層を含む接合材を接合させてなる接合体であって、前記被接合材が、前記材料層に積層された1層又は複数層のプライマー層を有し、前記プライマー層の少なくとも1層が現場重合型樹脂組成物の重合物からなる現場重合型樹脂組成物層である、プライマー付材料からなり、前記被接合材と前記接合材を、前記プライマー層を介して溶着してなる、接合体。

Description

本発明は、繊維強化プラスチック、ガラス、セラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種の材料と、樹脂層を含む接合材を接合させてなる接合体及びその製造方法に関する。
電子デバイス産業や自動車産業では技術の進化が一段と進み、素材へのニーズが多様化かつ高度化している。製品の性能を限界まで高め、複数の機能を同時に実現するために、異種の材料(以下、異種材)を適材適所に配置したマルチマテリアル構造が必要不可欠となっている。マルチマテリアル構造は、異種材を接合させてなるものであり、その接合手段として溶融溶接や接着など各種の接合技術が検討されている。
マルチマテリアル構造に関し、例えば、スマートフォンでは全面ガラス化が進み、ガラスと、透明性の高いポリカーボネート等の樹脂をインサート成形等で接合する技術が求められている。自動車ではFRP(繊維強化プラスチック)と樹脂を接合する場面があり、FRPと樹脂を強固に接合する技術が求められている。動力機器ではセラミックをインサート材として樹脂でモールドした絶縁容器等の絶縁体が多く使用され、セラミックと樹脂を強固に接合する技術が求められている。
従来、異種材同士を直接接合すると、材料間の熱収縮の違いから界面に応力が集中して、クラックや剥離の原因となるという問題があった。
この問題に関連し、絶縁容器の樹脂モールド構造において、セラミックと樹脂の間にシランカップリング剤を塗布して界面処理を行うことで、樹脂モールド構造の内部界面におけるクラックの発生を防止する技術が開示されている(非特許文献1)。
絶縁容器に用いるセラミックは、汚れ防止のために、その表面にガラス質の釉薬(SiO−10%Al)を施して使用されることが多い。そのため、前記の樹脂モールド構造では、セラミック表面の釉薬と樹脂との界面が滑りやすい状態となっている。
非特許文献1では、上記の点に着目し、シランカップリング剤での界面処理よりにより、樹脂モールド構造の内部界面の接着強度の向上を図っている。
日本機械学会論文集(A編)77巻774号(2011−2)
しかし、非特許文献1の技術では、材料間の熱収縮の違いから界面の樹脂端部に応力が集中するという点は解決できず、更なる接合強度向上や耐久性向上は難しい。
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、繊維強化プラスチック(FRP)、ガラス、セラミックからなる群より選ばれる任意の材料と樹脂を強固に溶着してなる接合体を提供することを課題とする。
本発明は、前記目的を達成するために、以下の手段を提供する。
なお、本明細書において、接合とは、物と物を繋合わせることを意味し、接着及び溶着はその下位概念である。接着とは、テープや接着剤の様な有機材(熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等)を介して、2つの被着材(接着しようとするもの)を接合状態とすることを意味し、溶着とは、被着材である熱可塑性樹脂等の表面を熱によって溶融し、接触加圧と冷却により分子拡散による絡み合いと結晶化で接合状態とすることを意味する。
(接合体)
[1] 繊維強化プラスチック、ガラス、セラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる材料層を含む被接合材と、樹脂層を含む接合材を接合させてなる接合体であって、前記被接合材が、前記材料層に積層された1層又は複数層のプライマー層を有し、前記プライマー層の少なくとも1層が現場重合型樹脂組成物の重合物からなる現場重合型樹脂組成物層である、プライマー付材料からなり、前記被接合材と前記接合材を、前記プライマー層を介して溶着してなる、接合体。
[2] 前記接合材が、前記樹脂層に積層された1層又は複数層のプライマー層を有し、前記プライマー層の少なくとも1層が現場重合型樹脂組成物の重合物からなる現場重合型樹脂組成物層である、プライマー付材料からなり、前記被接合材のプライマー層と、前記接合材のプライマー層を溶着させてなる、[1]に記載の接合体。
[3] 前記現場重合型樹脂組成物層が、前記材料層に直接に接する層である、[1]又は[2]に記載の接合体。
[4] 前記現場重合型樹脂組成物が、下記(1)〜(7)の少なくとも一種を含有する、[1]〜[3]の何れかに記載の接合体。
(1)2官能イソシアネート化合物とジオールの組み合わせ
(2)2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物の組み合わせ
(3)2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
(4)2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせ
(5)2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物の組み合わせ
(6)2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
(7)単官能ラジカル重合性モノマー
[5] 前記現場重合型樹脂組成物が、前記(4)2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせを含有し、かつ、前記ジオールが2官能フェノールである、[4]に記載の接合体。
[6] 前記現場重合型樹脂組成物層が、前記現場重合型樹脂組成物を、リン系触媒及び/または第四級アンモニウムカチオン系触媒を用いて重付加反応させてなる、[5]に記載の接合体。
[7] 前記プライマー層の少なくとも1層が、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物から形成されてなる、[1]〜[6]の何れかに記載の接合体。
[8] 前記熱硬化性樹脂が、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[7]に記載の接合体。
[9] 前記樹脂層が、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる、[1]〜[8]の何れかに記載の接合体。
(接合体の製造方法)
[10] [1]〜[9]の何れかに記載の接合体の製造方法であって、超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導法、高周波法、レーザー法、熱プレス法からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で、前記被接合材と前記接合材を、前記プライマー層を介して溶着する、接合体の製造方法。
[11] [1]〜[9]の何れかに記載の接合体の製造方法であって、前記被接合材のプライマー層に、射出成形法で、前記接合材を溶着する、接合体の製造方法。
[12] 溶剤に溶解した現場重合型樹脂組成物を、前記材料層の表面に塗布し、前記表面で前記現場重合型樹脂組成物を重合させて、前記プライマー層を形成する、[10]又は[11]に記載の接合体の製造方法。
本発明によれば、繊維強化プラスチック、ガラス、セラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる材料層を含む被接合材と、樹脂層を含む接合材を強固に溶着してなる接合体を提供することができる。
本発明の一実施形態における接合体の製造に用いるプライマー付材料の構成を示す説明図である。 本発明の他の実施形態における接合体の製造に用いるプライマー付材料の構成を示す説明図である。 本発明の他の実施形態における接合体の製造に用いるプライマー付材料の構成を示す説明図である。 本発明の一実施形態における接合体の構成を示す説明図である。 本発明の他の実施形態における接合体の構成を示す説明図である。
本発明の一実施形態の接合体について詳述する。
本実施形態の接合体は、繊維強化プラスチック、ガラス、セラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる材料層を含む被接合材と、樹脂層を含む接合材を溶着してなる。
本実施形態の接合体は、前記被接合材が、前記材料層に積層された1層又は複数層のプライマー層を有し、前記プライマー層の少なくとも1層が現場重合型樹脂組成物の重合物からなる現場重合型樹脂組成物層であるプライマー付材料からなり、前記被接合材と前記接合材を、前記プライマー層を介して溶着してなる。
[被接合材1]
プライマー付材料である被接合材1は、図1に示すように、繊維強化プラスチック(FRP)、ガラス、セラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる材料層2に積層された1層又は複数層のプライマー層3を有し、前記プライマー層3の少なくとも1層が現場重合型樹脂組成物の重合物からなる現場重合型樹脂組成物層31である。
本実施形態において、現場重合型樹脂組成物とは、特定の2官能の化合物の組み合わせを、前記被接合材上及び/または接合材上で重付加反応することにより、若しくは、特定の単官能のモノマーの重合反応により、熱可塑構造、すなわち、リニアポリマー構造を形成する樹脂組成物を意味する。ここで、リニアポリマー構造とは、ポリマー分子中に架橋構造を含まず、1次元の直鎖状であるポリマー構造を意味する。
現場重合型樹脂組成物は、架橋構造による3次元ネットワークを構成する熱硬化性樹脂とは異なり、架橋構造による3次元ネットワークを構成せず、熱可塑性を有する。
前記現場重合型樹脂組成物層31は、現場重合型フェノキシ樹脂を含む樹脂組成物から形成されてなる層であることが好ましい。現場重合型フェノキシ樹脂とは、熱可塑エポキシ樹脂や、現場硬化型フェノキシ樹脂、現場硬化型エポキシ樹脂等とも呼ばれる樹脂である。
本明細書において、プライマー層3、3´とは、被接合材1と、接合対象である接合材6を接合一体化して接合体5を得る際に、被接合材1と接合材6との間に介在し、接合強度を向上させる層を意味するものとする。
材料層2の形態は特に限定されず、塊状でもフィルム状でもよい。
材料層2を構成する繊維強化プラスチック(FRP)、ガラス、セラミックは特に限定されるものではない。
繊維強化プラスチック(FRP)として、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂に、各種繊維を複合して強度を向上させたガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ボロン繊維強化プラスチック(BFRP)、アラミド繊維強化プラスチック(AFRP)、等が挙げられる。ガラス繊維や炭素繊維SMC(シートモールディングコンパウンド)からの成形体等も挙げられる。
ガラスとしては、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、等が挙げられる。
セラミックとしては、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウムなどの酸化物系セラミック、ハイドロキシアパタイトなどの水酸化物系セラミック、炭化ケイ素などの炭化物系セラミック、窒化ケイ素などの窒化物系セラミック、等が挙げられる。
〔表面処理〕
材料層2には、表面の汚染物の除去、及び/又は、アンカー効果を目的とした表面処理を施すことが好ましい。
表面処理により、図1に示すように、材料層2の表面に微細な凹凸21を形成して粗面化させることができる。
表面処理により、材料層2とプライマー層3との接着性を向上させることができる。
表面処理は、被接合材1と接合材6との接合性の向上にも寄与し得る。
表面処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理、ブラスト処理、研磨処理、レーザー処理、エッチング処理等が挙げられる。なかでも、材料層2の表面に水酸基を発生させる表面処理が好ましく、具体的にはプラズマ処理、ブラスト処理、研磨処理、レーザー処理、エッチング処理等が好ましい。これらの表面処理は、1種のみであってもよく、2種以上を施してもよい。これらの表面処理の具体的な方法としては、公知の方法を用いることができる。
通常、FRPの表面には樹脂や補強材に由来する水酸基が存在し、ガラスやセラミック表面には元々水酸基が存在すると考えられるが、前記の表面処理によって新たに水酸基が生成され、材料層2の表面の水酸基を増やすことができる。
前記プラズマ処理とは、高圧電源とロッドでプラズマビームを作り素材表面にぶつけて分子を励起させて官能状態とするもので、素材表面に水酸基や極性基を付与できる大気圧プラズマ処理方法等が挙げられる。
前記コロナ放電処理とは、高分子フィルムの表面改質に施される方法が挙げられ、電極から放出された電子が高分子表面層の高分子主鎖や側鎖を切断し発生したラジカルを起点に表面に水酸基や極性基を発生させる方法である。
前記ブラスト処理としては、例えば、ショットブラストやサンドブラスト等が挙げられる。
前記研磨処理としては、例えば、研磨布を用いたバフ研磨や、研磨紙(サンドペーパー)を用いたロール研磨、電解研磨等が挙げられる。
前記レーザー処理とは、レーザー照射によって表面層のみを急速に加熱、冷却して,表面の特性を改善する技術で表面の粗面化に有効な方法である。公知のレーザー処理技術を使用することができる。
前記エッチング処理としては、例えば、アルカリ法、リン酸−硫酸法、フッ化物法、クロム酸−硫酸法、塩化鉄法等の化学的エッチング処理、また、電解エッチング法等の電気化学的エッチング処理等が挙げられる。
〔官能基付与処理〕
材料層2の表面に官能基を付与する官能基付与処理を施すこともできる。
材料層2にプライマー層3を積層する前に、官能基付与処理を施すことが好ましい。
官能基付与処理により、図2に示すように、前記材料層2と前記プライマー層3との間に、前記材料層2と前記プライマー層3に接して積層された一層又は複数層の官能基含有層4を形成することができる。
官能基付与処理により官能基含有層4を形成した場合、該官能基含有層4が有する官能基が、前記材料層2の表面の水酸基及び前記プライマー層3を構成する樹脂の有する官能基と、それぞれ反応して形成する化学結合により、材料層2とプライマー層3との接着性を向上させる効果が得られる。また、被接合材1と接合材6との接合性を向上させる効果も得られる。
官能基含有層4は、シランカップリング剤、イソシアネート化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種から導入された官能基を有する層であることが好ましい。
官能基含有層4は、プライマー層3を形成する前に、材料層2の表面又は前記微細な凹凸21を形成して粗面化させた面を、シランカップリング剤、イソシアネート化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種で処理することにより形成することができる。
前記シランカップリング剤、前記イソシアネート化合物又は前記チオール化合物により、官能基含有層4を形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、スプレー塗布法、浸漬法等が挙げられる。具体的には、材料層2を、濃度5〜50質量%のシランカップリング剤等の常温〜100℃の溶液中に1分〜5日間浸漬した後、常温〜100℃で1分〜5時間乾燥させる等の方法により行うことができる。
〔シランカップリング剤〕
前記シランカップリング剤としては、例えば、ガラス繊維の表面処理等に用いられる公知のものを使用することができる。シランカップリング剤を加水分解させて生成したシラノール基、又はこれがオリゴマー化したシラノール基が、材料層2の表面処理された面に存在する水酸基と反応して結合することにより、前記シランカップリング剤の構造に基づく官能基であって、プライマー層3と化学結合可能な官能基を、材料層2に対して付与する(導入する)ことができる。
前記シランカップリング剤は特に限定されないが、エポキシ基を有するシランカップリング剤、アミノ基を有するシランカップリング剤、メルカプト基を有するシランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤等を使用することができる。エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。アミノ基を有するシランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。メルカプト基を有するシランカップリング剤としては3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ジチオールトリアジンプルピルトリエトキシシラン等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、その他の有効なシランカップリング剤として3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等のビニル基を有するシランカップリング剤、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
〔イソシアネート化合物〕
前記イソシアネート化合物は、該イソシアネート化合物中のイソシアナト基が、材料層2の表面処理された面に存在する水酸基と反応して結合することにより、プライマー層3と化学結合可能な該イソシアネート化合物の構造に基づく官能基を、材料層2に対して付与する(導入する)ことができる。
前記イソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、多官能イソシアネートであるジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の他、ラジカル反応性基を有するイソシアネート化合物である2−イソシアネートエチルメタクリレート(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMOI(登録商標)」)、2−イソシアネートエチルアクリレート(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズAOI(登録商標)」、同「AOI−VM(登録商標)」)、1,1−(ビスアクリロイルオキシエチル)エチルイソシアネート(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズBEI(登録商標)」)等が挙げられる。
〔チオール化合物〕
前記チオール化合物は、該チオール化合物中のメルカプト基が、材料層2の表面処理された面に存在する水酸基と反応して結合することにより、プライマー層3と化学結合可能な該チオール化合物の構造に基づく官能基を、材料層2に対して付与する(導入する)ことができる。
前記チオール化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(例えば、三菱化学株式会社製「QX40」、東レ・ファインケミカル株式会社製「QE−340M」)、エーテル系一級チオール(例えば、コグニス(Cognis)社製「カップキュア3−800」)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) BD1」)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) PE1」)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) NR1」)等が挙げられる。
<プライマー層3>
プライマー層3は、材料層2の上に直接又は官能基含有層4を介して積層される。
〔現場重合型樹脂組成物層31〕
前記のように、プライマー層の少なくとも1層は、現場重合型樹脂組成物の重合物からなる現場重合型樹脂組成物層31である。
現場重合型樹脂組成物層31は、溶剤に溶解した現場重合型樹脂組成物を前記材料層2又は官能基含有層4の上に塗布し、前記溶剤を揮発させて前記現場重合型樹脂組成物を重合させて得ることができる。
現場重合型樹脂組成物層31は、溶剤に溶解した現場重合型樹脂組成物を、前記材料層の表面に塗布し、前記表面で前記現場重合型樹脂組成物を重合させて得ることもできる。
前記現場重合型樹脂組成物は、下記(1)〜(7)の少なくとも一種を含有することが好ましく、下記(4)を含有することがより好ましく、2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物の組み合わせを含有することが最も好ましい。
(1)2官能イソシアネート化合物とジオールの組み合わせ
(2)2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物の組み合わせ
(3)2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
(4)2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせ
(5)2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物の組み合わせ
(6)2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
(7)単官能ラジカル重合性モノマー
(1)における2官能イソシアネート化合物とジオールとの配合量比は、水酸基に対するイソシアネート基のモル当量比が、0.7〜1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.4、さらに好ましくは0.9〜1.3とする。
(2)における2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物との配合量比は、アミノ基に対するイソシアネート基のモル当量比が、0.7〜1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.4、さらに好ましくは0.9〜1.3とする。
(3)における2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物との配合量比は、チオール基に対するイソシアネート基のモル当量比が、0.7〜1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.4、さらに好ましくは0.9〜1.3とする。
(4)における2官能エポキシ化合物とジオールとの配合量比は、水酸基に対するエポキシ基のモル当量比が、0.7〜1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.4、さらに好ましくは0.9〜1.3とする。
(5)における2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物との配合量比は、カルボキシ基に対するエポキシ基のモル当量比が、0.7〜1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.4、さらに好ましくは0.9〜1.3とする。
(6)における2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物との配合量比は、チオール基に対するエポキシ基のモル当量比が、0.7〜1.5となるように設定されることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.4、さらに好ましくは0.9〜1.3とする。
前記現場重合型樹脂組成物として、前記(1)〜(7)の少なくとも一種を含有する樹脂組成物を例示することができる。
前記材料層2の上に、プライマー層3として現場重合型樹脂組成物層31が積層されていることにより、材料層2を有する被接合材1の上に接合材6を強固に溶着することができる。
前記プライマー層3を、前記現場重合型樹脂組成物層31を含む複数層で構成することもできる。前記プライマー層3が複数層からなる場合、必須となる現場重合型樹脂組成物層31が、材料層2と反対側の最表面となるように積層することが好ましい。
現場重合型樹脂組成物層31は、前記現場重合型樹脂組成物の重合物からなる。
現場重合型樹脂組成物層31は、前記(1)〜(6)の少なくとも一種を含有する樹脂組成物を触媒存在下で重付加反応させて得ることができる。重付加反応のための触媒としては、例えば、トリエチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン、トリフェニルホスフィン、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド等のリン系化合物、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウムカチオン等が好適に用いられる。前記樹脂組成物が、前記(4)の2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせを含有する場合、重付加反応のための触媒は、リン系触媒及び/または第四級アンモニウムカチオン系触媒であることが好ましく、トリフェニルホスフィン及び/又はテトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライドであることがより好ましい。
現場重合型樹脂組成物層31は、例えば、前記(1)〜(6)の少なくとも一種を含有する樹脂組成物を溶剤に溶解して前記材料層2に塗布した後、適宜溶剤を揮発させ、その後、加熱して重付加反応を行うことにより形成することができる。前記材料層2は、前記表面処理及び/又は前記官能基付与処理を施したものも含む。
現場重合型樹脂組成物層は、前記(7)の単官能ラジカル重合性モノマーを含有する樹脂組成物のラジカル重合反応で得ることもできる。前記ラジカル重合反応は、樹脂組成物の組成にもよるが、常温〜200℃で、5〜90分間加熱して行うことが好ましい。光硬化の場合は、紫外線や可視光を照射して重合反応を行うことが好ましい。
具体的に例えば、現場重合型樹脂組成物層は、前記(7)の単官能ラジカル重合性モノマーを含有する樹脂組成物を溶剤に溶解して前記材料層2の上に塗布した後、加熱、または光照射してラジカル重合反応を行うことにより、強固に結合した現場重合型樹脂組成物層を形成することができる。前記材料層2は、前記表面処理及び/又は前記官能基付与処理を施したものも含む。
(2官能イソシアネート化合物)
前記2官能イソシアネート化合物は、イソシアナト基を2個有する化合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)又はその混合物、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のジイソシアネート化合物が挙げられる。なかでもプライマーの強度の観点から、TDIやMDI等が好ましい。
(ジオール)
前記ジオールは、ヒドロキシ基を2個有する化合物であり、例えば、脂肪族グリコール、2官能フェノール等が挙げられる。
脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6ヘキサンジオール等が挙げられる。2官能フェノールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類が挙げられる。
プライマーの強靭性の観点からは、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が好ましい。
前記(4)において、2官能エポキシ化合物と組み合わせるジオールとしては2官能フェノールが好ましく、前記ビスフェノール類が特に好ましい。
(2官能アミノ化合物)
前記2官能アミノ化合物は、アミノ基を2個有する化合物であり、例えば、2官能の脂肪族ジアミン、芳香族ジアミンが挙げられる。脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジンなどが挙げられ、芳香族ジアミンとしては、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルプロパ−ン等が挙げられる。なかでもプライマーの強靭性の観点から、1,3−プロパンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン等が好ましい。
(2官能チオール化合物)
前記2官能チオール化合物は、分子内にメルカプト基を2つ有する化合物であり、例えば、2官能2級チオール化合物の1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) BD1」)が挙げられる。
(2官能エポキシ化合物)
前記2官能エポキシ化合物は、1分子中に2個のエポキシ基を有する化合物である。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型2官能エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂や1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等脂肪族エポキシ化合物が挙げられる。
これらのうち、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
具体的には、三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」、同「jER(登録商標)834」、同「jER(登録商標)1001」、同「jER(登録商標)1004」、同「jER(登録商標) YX−4000」等が挙げられる。その他2官能であれば特殊な構造のエポキシ化合物でも使用可能である。これらのうち、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(2官能カルボキシ化合物)
前記2官能カルボキシ化合物としては、カルボキシ基を2つ有する化合物であればよく、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。なかでもプライマーの強度や強靭性観点から、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸等が好ましい。
(単官能ラジカル重合性モノマー)
前記単官能ラジカル重合性モノマーは、エチレン性不飽和結合を1個有するモノマーである。例えば、スチレンモノマー、スチレンのα−,o−,m−,p−アルキル,ニトロ,シアノ,アミド,エステル誘導体、クロルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−i−プロピル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。前記化合物のうち、1種を用いても良いし、2種以上を用いても良い。なかでもプライマーの強度や強靭性の観点から、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、フェノキシエチル(メタ)アクリレートのうちの一種、又は2種以上の組み合わせが好ましい。
ラジカル重合反応を十分に進行させ、所望のプライマー層を形成させるため、溶剤や、必要応じて着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。この場合、前記ラジカル重合性組成物の溶剤以外の含有成分中、前記単官能ラジカル重合性モノマーが主成分であることが好ましい。前記主成分とは、前記単官能ラジカル重合性モノマーの含有率が50〜100質量%であることを意味する。前記含有率は、好ましくは60質量%〜100質量%、より好ましくは80質量%〜100質量%である。
ラジカル重合反応のための重合開始剤としては、例えば、公知の有機過酸化物や光開始剤等が好適に用いられる。有機過酸化物にコバルト金属塩やアミン類を組み合わせた常温ラジカル重合開始剤を使用してもよい。有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートに分類されるものが挙げられる。光開始剤としては、紫外線から可視線で重合開始できるものを使用することが望ましい。
ラジカル重合反応は、反応化合物等の種類にもよるが、常温〜200℃で、5〜90分間加熱して行うことが好ましい。また光硬化の場合は紫外線や可視光を照射して重合反応を行う。具体的には、例えば前記樹脂組成物を塗布した後、加熱してラジカル重合反応を行うことにより、前記ラジカル重合性化合物からなる現場重合型樹脂組成物層31を形成することができる。
〔熱硬化性樹脂層32〕
プライマー層3を、前記現場重合型樹脂組成物層31を含む複数層で構成する場合、図3に示すように、プライマー層3に、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物から形成されてなる熱硬化性樹脂層32を含むこともできる。
なお、前記熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物は、前記熱硬化性樹脂の硬化反応を十分に進行させ、所望のプライマー層を形成させるため、溶剤や、必要応じて着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。この場合、前記樹脂組成物の溶剤以外の含有成分中、前記熱硬化性樹脂が主成分であることが好ましい。前記主成分とは、前記熱硬化性樹脂の含有率が40質量%以上であることを意味する。前記含有率は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、最も好ましくは80質量%以上である。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂層32は、これらの樹脂のうちの1種単独で形成されていてもよく、2種以上が混合されて形成されていてもよい。あるいはまた、熱硬化性樹脂層32を複数層で構成し、各層を異なる種類の熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物で形成することもできる。
前記熱硬化性樹脂のモノマーを含む組成物により、熱硬化性樹脂層32を形成するコーティング方法は、特に限定されるものではないが、例えば、スプレー塗布法、浸漬法等が挙げられる。
なお、本実施態様で言う熱硬化性樹脂は、広く、架橋硬化する樹脂を意味し、加熱硬化タイプに限られず、常温硬化タイプや光硬化タイプも包含するものとする。前記光硬化タイプは、可視光や紫外線の照射によって短時間での硬化も可能である。前記光硬化タイプを、加熱硬化タイプ及び/又は常温硬化タイプと併用してもよい。前記光硬化タイプとしては、例えば、昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)LC−760」、同「リポキシ(登録商標)LC−720」等のビニルエステル樹脂が挙げられる。
(ウレタン樹脂)
前記ウレタン樹脂は、通常、イソシアネート化合物のイソシアナト基とポリオール化合物の水酸基との反応によって得られる樹脂であり、ASTM D16において、「ビヒクル不揮発成分10質量%以上のポリイソシアネートを含む塗料」と定義されるものに該当するウレタン樹脂が好ましい。前記ウレタン樹脂は、一液型であっても、二液型であってもよい。
一液型ウレタン樹脂としては、例えば、油変性型(不飽和脂肪酸基の酸化重合により硬化するもの)、湿気硬化型(イソシアナト基と空気中の水との反応により硬化するもの)、ブロック型(ブロック剤が加熱により解離し再生したイソシアナト基と水酸基が反応して硬化するもの)、ラッカ−型(溶剤が揮発して乾燥することにより硬化するもの)等が挙げられる。これらの中でも、取り扱い容易性等の観点から、湿気硬化型一液ウレタン樹脂が好適に用いられる。具体的には、昭和電工株式会社製「UM−50P」等が挙げられる。
二液型ウレタン樹脂としては、例えば、触媒硬化型(イソシアナト基と空気中の水等とが触媒存在下で反応して硬化するもの)、ポリオール硬化型(イソシアナト基とポリオール化合物の水酸基との反応により硬化するもの)等が挙げられる。
前記ポリオール硬化型におけるポリオール化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、フェノール樹脂等が挙げられる。
また、前記ポリオール硬化型におけるイソシアナト基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)又はその混合物、p−フェニレンジシソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)やその多核体混合物であるポリメリックMDI等の芳香族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族イソシアネート等が挙げられる。
前記ポリオール硬化型の二液型ウレタン樹脂における前記ポリオール化合物と前記イソシアネート化合物の配合比は、水酸基/イソシアナト基のモル当量比が0.7〜1.5の範囲であることが好ましい。
前記二液型ウレタン樹脂において使用されるウレタン化触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、テトラメチルグアニジン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ジメチルエーテルアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジプロピレン−トリアミン、N−メチルモルフォリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルアミノエトキシエタノールトリエチルアミン等のアミン系触媒;ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンジマレート等の有機錫系触媒等が挙げられる。
前記ポリオール硬化型においては、一般に、前記ポリオール化合物100質量部に対して、前記ウレタン化触媒が0.01〜10質量部配合されることが好ましい。
(エポキシ樹脂)
前記エポキシ樹脂は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する樹脂である。
前記エポキシ樹脂の硬化前のプレポリマーとしては、例えば、エーテル系ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、エステル系の芳香族エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エーテル・エステル系エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好適に用いられる。これらのうち、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、具体的には、三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」、同「jER(登録商標)1001」等が挙げられる。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、具体的には、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製「D.E.N.(登録商標)438」等が挙げられる。
前記エポキシ樹脂に使用される硬化剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、酸無水物、フェノール樹脂、チオール類、イミダゾール類、カチオン触媒等の公知の硬化剤が挙げられる。前記硬化剤は、長鎖脂肪族アミン又は/及びチオール類との併用により、伸び率が大きく、耐衝撃性に優れるという効果が得られる。
前記チオール類の具体例としては、後述する官能基含有層を形成するためのチオール化合物として例示したものと同じ化合物が挙げられる。これらの中でも、伸び率及び耐衝撃性の観点から、ペンタエリスリト−ルテトラキス(3−メルカプトブチレート)(例えば、昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) PE1」)が好ましい。
(ビニルエステル樹脂)
前記ビニルエステル樹脂は、ビニルエステル化合物を重合性モノマー(例えば、スチレン等)に溶解したものである。エポキシ(メタ)アクリレート樹脂とも呼ばれるが、前記ビニルエステル樹脂には、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂も包含するものとする。
前記ビニルエステル樹脂としては、例えば、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)、「塗料用語辞典」(色材協会、1993年発行)等に記載されているものも使用することができ、また、具体的には、昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)R−802」、同「リポキシ(登録商標)R−804」、同「リポキシ(登録商標)R−806」等が挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、イソシアネート化合物と、ポリオール化合物とを反応させた後、水酸基含有(メタ)アクリルモノマー(及び、必要に応じて水酸基含有アリルエーテルモノマー)を反応させて得られるラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーが挙げられる。具体的には、昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)R−6545」等が挙げられる。
前記ビニルエステル樹脂は、有機過酸化物等の触媒存在下での加熱によるラジカル重合で硬化させることができる。
前記有機過酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド類、ジアリルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、パーオキシジカーボネート類等が挙げられる。これらをコバルト金属塩等と組み合わせることにより、常温での硬化も可能となる。
前記コバルト金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、水酸化コバルト等が挙げられる。これらの中でも、ナフテン酸コバルト又は/及びオクチル酸コバルトが好ましい。
(不飽和ポリエステル樹脂)
前記不飽和ポリエステル樹脂は、ポリオール化合物と不飽和多塩基酸(及び、必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物(不飽和ポリエステル)を重合性モノマー(例えば、スチレン等)に溶解したものである。
前記不飽和ポリエステル樹脂としては、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)、「塗料用語辞典」(色材協会、1993年発行)等に記載されているものも使用することができ、また、具体的には、昭和電工株式会社製「リゴラック(登録商標)」等が挙げられる。
前記不飽和ポリエステル樹脂は、前記ビニルエステル樹脂についてと同様の触媒存在下での加熱によるラジカル重合で硬化させることができる。
〔プライマー層3の作用〕
プライマー層3は、材料層2との接着性に優れる。
プライマー層3によって、接合対象である接合材6との優れた接合性が付与される。その接合性は、数ヶ月間の長期にわたって維持される。
プライマー層3によって材料層2の表面が保護され、汚れの付着や酸化等の変質を抑制することができる。
[接合体5]
本発明の一実施形態に係る接合体5は、図4に示すように、プライマー付材料1である被接合材のプライマー層3と、樹脂層を含む接合材6を溶着させてなる。接合材6は、樹脂層のみからなるものでもよいし、樹脂層及び他の層を含むものでもよい。
溶着面を構成する各層は、溶解性パラメータ―が近い樹脂で構成されることが好ましい。例えば、図4に示す実施形態では、接合材6の樹脂層を構成する樹脂と、プライマー付材料1である被接合材の現場重合型樹脂組成物層31を構成する樹脂の組み合わせとして、溶解性パラメータ―が近いものを選択することが好ましい。
溶着は、樹脂を加熱する方法によって様々な方法があり、具体的には、超音波溶着や振動溶着、熱溶着、熱風溶着、誘導溶着、射出溶着等がある。
前記プライマー層の厚さ(乾燥後の厚さ)は、前記接合材6の種類や接合部分の接触面積にもよるが、接合材がフィルムでない場合は、接合対象との優れた接合強度を得る観点及び材料間の熱収縮の違いにより界面の樹脂端部に応力が集中することを抑制する観点から、1μm〜10mmであることが好ましい。より好ましくは20μm〜3mmであり、更に好ましくは40μm〜1mmである。なお、前記プライマー層が複数層の場合、プライマー層の厚さ(乾燥後の厚さ)は、各層合計の厚さとする。
接合材がフィルムの場合は、前記プライマー層の厚さ(乾燥後の厚さ)は、0.1μm〜1mmであることが好ましく、より好ましくは0.1μm〜100μmである。
接合体5を製造する方法としては、超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導法、高周波法、レーザー法、熱プレス法からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で、前記被接合材と前記接合材を、前記プライマー層を介して溶着する方法や、前記被接合材のプライマー層に、射出成形法で、前記接合材を溶着する方法が挙げられる。具体的には、プライマー付材料1である被接合材のプライマー層3に超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導法、高周波法、レーザー法、熱プレス法からなる群より選ばれる少なくとも1種で、接合材6を溶着する方法や、プライマー付材料1である被接合材のプライマー層3の上に、接合材6を構成する溶融樹脂を射出溶着する方法が挙げられる。
本発明の他の実施形態に係る接合体5は、図5に示すように、プライマー付材料1である被接合材のプライマー層3と、プライマー付材料である接合材6のプライマー層3´を溶着させてなる。
プライマー付材料である接合材6とは、樹脂層7に積層された1層又は複数層のプライマー層3´を有し、前記プライマー層の少なくとも1層が現場重合型樹脂組成物の重合物からなる現場重合型樹脂組成物層31´であるものを意味する。なお、プライマー層3´、および現場重合型樹脂組成物層31´においては、前述と同様の物を用いることができる。
〔接合材6〕
樹脂層7を含む接合材6の形態は特に限定されず、塊状でもフィルム状でもよい。
樹脂層7を構成する樹脂は特に限定されるものではないが、有機ガラスの材料となる樹脂及び/又はスーパーエンジニアリングプラスチックであることが好ましく、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオレフィン、ABS、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが特に好ましい。
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に特に限定されるものではない。
[試験片用材料]
試験片用材料として、表1の各材料を用意した。
<表面処理_サンディング処理>
表1のCFRPの表面を#1000のサンドペーパーで研磨した後、アセトンで洗浄及び脱脂した。
<表面処理_コロナ放電処理>
表1の樹脂フィルムの表面にコロナ放電処理を施した。
<官能基付与処理_シランカップリング剤処理>
前記サンディング処理を施したCFRP、表1のガラス、表1のセラミック、及び、表1の超薄板ガラスの各材料を、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製「KBM−903」;シランカップリング剤)2gを工業用エタノール1000gに溶解させた70℃のシランカップリング剤含有溶液中に20分間浸漬した。該各材料を取り出して乾燥させ、官能基(アミノ基)を付与した。
Figure 2021090568
[試験片1〜4の作製及び接合強度評価:実施例1−4、比較例1−4]
<プライマー層形成用の現場重合型樹脂組成物−1の調製>
2官能型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)1001」)100g、ビスフェノールS6.2g、及びトリフェニルホスフィン0.4gを、トルエン197g中に溶解して、現場重合型樹脂組成物−1(現場重合型熱可塑性エポキシ樹脂組成物)を調製した。
<プライマー層の形成>
前記シランカップリング剤処理後のCFRP(以下、シランカップリング剤処理CFRPという)、前記シランカップリング剤処理後のガラス(以下、シランカップリング剤処理ガラスという)、前記シランカップリング剤処理後のセラミック(以下、シランカップリング剤処理セラミックという)のそれぞれの片面の表面に、乾燥後の厚さが50μmになるように現場重合型樹脂組成物−1をスプレー法にて塗布した。空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、150℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷して、熱可塑性エポキシ樹脂からなるプライマー層を形成した。
前記プライマー層を形成した面をプライマー面、プライマー層を形成していない面をプライマー無し面という。下記表2においてプライマー層を有さない面を(無)と表記する。
〔実施例1〕
シランカップリング剤処理CFRPのプライマー面に、接合対象であるポリエーテルイミド:PEI(SABIC社製「Ultem1040」)を、射出成形機(住友重機械工業株式会社製「SE100V」;シリンダー温度350℃、金型温度150℃、射出速度50mm/sec、保圧160MPa/13sec、冷却時間15sec)にて射出成形で溶着することにより、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片1:CFRP-ポリエーテルイミド接合体(CFRP:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を作製した。
〔実施例2〕
シランカップリング剤処理ガラスのプライマー面に、接合対象であるポリカーボネート:PC(SABIC社製「Makrolom2405」)を、射出成形機(住友重機械工業株式会社製「SE100V」;シリンダー温度280℃、金型温度80℃、射出速度100mm/sec、保圧60MPa/10.4sec、冷却時間30sec)にて射出成形で溶着することにより、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片2:ガラス-ポリカーボネート接合体(ガラス:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を作製した。
〔実施例3〕
シランカップリング剤処理ガラスのプライマー面に、接合対象であるポリメチルメタクリレート:PMMA(三菱ケミカル株式会社製「アクリペットVH001」)を、射出成形機(住友重機械工業株式会社製「SE100V」;シリンダー温度250℃、金型温度80℃、射出速度100mm/sec、保圧60MPa/4sec、冷却時間15sec)にて射出成形で溶着することにより、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片3:ガラス-ポリメチルメタクリレート接合体(ガラス:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を作製した。
〔実施例4〕
シランカップリング剤処理セラミックのプライマー面に、接合対象であるポリエーテルイミド:PEI(SABIC社製「Ultem1040」)を、射出成形機(住友重機械工業株式会社製「SE100V」;シリンダー温度350℃、金型温度150℃、射出速度50mm/sec、保圧160MPa/13sec、冷却時間15sec)にて射出成形で溶着することにより、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片4:セラミック-ポリエーテルイミド接合体(セラミック:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を作製した。
〔比較例1〕
シランカップリング剤処理CFRPのプライマー無し面に、実施例1と同様にPEIの射出成型を試みたが、CFRPとPEIは接合せず、CFRP-ポリエーテルイミド接合体は得られなかった。
〔比較例2〕
シランカップリング剤処理ガラスのプライマー無し面に、実施例2と同様にPCの射出成型を試みたが、ガラスとPCは接合せず、ガラス-ポリカーボネート接合体は得られなかった。
〔比較例3〕
シランカップリング剤処理ガラスのプライマー無し面に、実施例3と同様にPMMAの射出成型を試みたが、ガラスとPMMAは接合せず、ガラス-ポリメチルメタクリレート接合体は得られなかった。
〔比較例4〕
シランカップリング剤処理セラミックのプライマー無し面に、実施例4と同様にPEIの射出成型を試みたが、セラミックとPEIは接合せず、セラミック-ポリエーテルイミド接合体は得られなかった。
<接合強度評価>
試験片1〜4について、常温で1日間放置後、ISO19095 1−4に準拠して、引張試験機(株式会社島津製作所製 万能試験機オートグラフ「AG−IS」;ロードセル10kN、引張速度10mm/min、温度23℃、50%RH)にて引張剪断接合強度試験を行い、引張剪断接合強度を測定した。測定結果を下記表2に示す。
Figure 2021090568
[試験片5〜7の作製及び接合強度評価:実施例5−6、比較例5]
〔実施例5〕
実施例2と同様にして、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片5:ガラス-ポリカーボネート接合体(ガラス:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を作製した。
〔実施例6〕
実施例3と同様にして、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片6:ガラス-ポリメチルメタクリレート接合体(ガラス:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を作製した。
〔比較例5〕
<プライマー層の形成>
現場重合型樹脂組成物−1をフラスコ中で溶剤を揮発後150℃で30分間保持し熱可塑性エポキシ樹脂を得、冷却後アセトンを65質量%になるように投入し完全に溶解して熱可塑性エポキシ樹脂溶液−1を得た。
シランカップリング剤処理ガラスの片面の表面に、前記可塑性エポキシ樹脂溶液−1を、乾燥後の厚みが50μmとなるようにスプレーで吹付け、50℃で5時間乾燥させ、現場重合ではない重合済みの熱可塑性エポキシ樹脂プライマー層を形成した。前記現場重合ではない重合済みの熱可塑性エポキシ樹脂プライマー層を形成した面を現場重合でないプライマー面という。
<試験片の作製>
前記現場重合でないプライマー面に、接合対象であるポリカーボネート:PC(SABIC社製「Makrolom2405」)を、射出成形機(住友重機械工業株式会社製「SE100V」;シリンダー温度280℃、金型温度80℃、射出速度100mm/sec、保圧60MPa/10.4sec、冷却時間30sec)にて射出成形で溶着することにより、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片7:ガラス-ポリカーボネート接合体(ガラス:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を得た。
<接合強度評価>
試験片5〜7について、試験片1〜4と同じ手法で引張剪断接合強度試験を行った。測定結果を下記表3に「初期」データとして示す。
また、試験片5〜7について、60℃温水中に1週間、1ヶ月、3ヶ月間浸漬し、それぞれ、試験片1〜4と同じ手法で引張剪断接合強度試験を行った。測定結果を下記表3に示す。
Figure 2021090568
[試験片8、9の作製及び耐久性試験:実施例7、比較例6]
〔実施例7〕
<プライマー層形成用の現場重合型樹脂組成物−2の調製>
2官能型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)1001」)100g、2官能チオール化合物1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) BD1」)16.5g、及び2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール DMP−30:4.6gを、トルエン216g中に溶解して、現場重合型樹脂組成物−2(現場重合型熱可塑性エポキシ樹脂組成物)を調製した。
<プライマー層の形成>
前記シランカップリング剤処理後の超薄板ガラス(以下、シランカップリング剤処理超薄板ガラスという)及び前記コロナ放電処理を施した樹脂フィルム(以下、コロナ放電処理樹脂フィルムという)のそれぞれの片面の表面に、乾燥後の厚さが2μmになるように現場重合型樹脂組成物−2をスプレー法にて塗布した。空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、80℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷して、熱可塑性エポキシ樹脂からなる現場重合型プライマー層を形成した。前記現場重合型プライマー層を形成した面を現場重合型プライマー面という。
<試験片の作製>
シランカップリング剤処理超薄板ガラスの前記現場重合型プライマー面と、コロナ放電処理樹脂フィルムの前記現場重合型プライマー面を合わせ、卓上ヒートシーラー(石崎電機製作所製NL−202JW−10)を使用して溶着することにより、ISO29862(2007)に準拠した180°剥離試験用の試験片8:超薄板ガラスアクリル樹脂フィルム接合体(超薄板ガラス:24mm×300mm×50μm、樹脂フィルム:24mm×300mm×50μm、接合部長さ:275mm)を作製した。
〔比較例6〕
<プライマー層の形成>
現場重合型樹脂組成物−2をフラスコ中で溶剤を揮発後150℃で30分間保持し熱可塑性エポキシ樹脂を得、冷却後アセトンを65質量%になるように投入し完全に溶解して熱可塑性エポキシ樹脂溶液−2を得た。
シランカップリング剤処理超薄板ガラス及びコロナ放電処理樹脂フィルムのそれぞれの片面の表面に、前記可塑性エポキシ樹脂溶液−2を、乾燥後の厚さが2μmとなるようにスプレーで吹付け、50℃で5時間乾燥させ、現場重合ではない重合済みの熱可塑性エポキシ樹脂プライマー層を形成した。前記現場重合ではない重合済みの熱可塑性エポキシ樹脂プライマー層を形成した面を現場重合でないプライマー面という。
<試験片の作製>
シランカップリング剤処理超薄板ガラスの前記現場重合でないプライマー面と、コロナ放電処理樹脂フィルムの前記現場重合でないプライマー面を合わせ、卓上ヒートシーラー(石崎電機製作所製NL−202JW−10)を使用して溶着することにより、ISO29862(2007)に準拠した180°剥離試験用の試験片9:超薄板ガラスアクリル樹脂フィルム接合体(超薄板ガラス:24mm×300mm×50μm、樹脂フィルム:24mm×300mm×50μm、接合部長さ:275mm)を作製した。
<耐久性試験>
試験片8、9を、60℃温水中に1週間、1ヶ月、3ヶ月間浸漬し、ピール強度を測定した。測定結果を表4に示す。
Figure 2021090568
表2−4の実施例1−7に示すように、本発明によれば、繊維強化プラスチック(FRP)、ガラス、セラミックからなる群より選ばれる任意の材料と樹脂層を含む接合材を強固に溶着してなる接合体を得ることができる。
本発明に係る接合体は、例えば、ドアサイドパネル、ボンネットルーフ、テールゲート、ステアリングハンガー、Aピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラー、クラッシュボックス、パワーコントロールユニット(PCU)ハウジング、電動コンプレッサー部材(内壁部、吸入ポート部、エキゾーストコントロールバルブ(ECV)挿入部、マウントボス部等)、リチウムイオン電池(LIB)スペーサー、電池ケース、LEDヘッドランプ等の自動車用部品や、スマートフォン、ノートパソコン、タブレットパソコン、スマートウオッチ、大型液晶テレビ(LCD−TV)、屋外LED照明の構造体、動力機器の絶縁容器等として用いられるが、特にこれら例示の用途に限定されるものではない。
1 プライマー付材料である被接合材
2 材料層
21 微細な凹凸
3、3´ プライマー層
31、31´ 現場重合型樹脂組成物層
32 熱硬化性樹脂層
4 官能基含有層
5 接合体
6 接合材
7 樹脂層

Claims (12)

  1. 繊維強化プラスチック、ガラス、セラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる材料層を含む被接合材と、樹脂層を含む接合材を接合させてなる接合体であって、
    前記被接合材が、前記材料層に積層された1層又は複数層のプライマー層を有し、前記プライマー層の少なくとも1層が現場重合型樹脂組成物の重合物からなる現場重合型樹脂組成物層である、プライマー付材料からなり、
    前記被接合材と前記接合材を、前記プライマー層を介して溶着してなる、接合体。
  2. 前記接合材が、前記樹脂層に積層された1層又は複数層のプライマー層を有し、前記プライマー層の少なくとも1層が現場重合型樹脂組成物の重合物からなる現場重合型樹脂組成物層である、プライマー付材料からなり、
    前記被接合材のプライマー層と、前記接合材のプライマー層を溶着させてなる、請求項1に記載の接合体。
  3. 前記現場重合型樹脂組成物層が、前記材料層に直接に接する層である、請求項1又は2に記載の接合体。
  4. 前記現場重合型樹脂組成物が、下記(1)〜(7)の少なくとも一種を含有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の接合体。
    (1)2官能イソシアネート化合物とジオールの組み合わせ
    (2)2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物の組み合わせ
    (3)2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
    (4)2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせ
    (5)2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物の組み合わせ
    (6)2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
    (7)単官能ラジカル重合性モノマー
  5. 前記現場重合型樹脂組成物が、前記(4)2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせを含有し、かつ、前記ジオールが2官能フェノールである、請求項4に記載の接合体。
  6. 前記現場重合型樹脂組成物層が、前記現場重合型樹脂組成物を、リン系触媒及び/または第四級アンモニウムカチオン系触媒を用いて重付加反応させてなる、請求項5に記載の接合体。
  7. 前記プライマー層の少なくとも1層が、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物から形成されてなる、請求項1〜6の何れか1項に記載の接合体。
  8. 前記熱硬化性樹脂が、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項7に記載の接合体。
  9. 前記樹脂層が、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる、請求項1〜8の何れか1項に記載の接合体。
  10. 請求項1〜9の何れか1項に記載の接合体の製造方法であって、
    超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導法、高周波法、レーザー法、熱プレス法からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で、前記被接合材と前記接合材を、前記プライマー層を介して溶着する、接合体の製造方法。
  11. 請求項1〜9の何れかに記載の接合体の製造方法であって、
    前記被接合材のプライマー層に、射出成形法で、前記接合材を溶着する、接合体の製造方法。
  12. 溶剤に溶解した現場重合型樹脂組成物を、前記材料層の表面に塗布し、前記表面で前記現場重合型樹脂組成物を重合させて、前記プライマー層を形成する、請求項10又は11に記載の接合体の製造方法。
JP2020559566A 2019-11-08 2020-09-08 接合体、およびその製造方法 Active JP6967675B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019203344 2019-11-08
JP2019203344 2019-11-08
PCT/JP2020/033989 WO2021090568A1 (ja) 2019-11-08 2020-09-08 接合体、およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6967675B2 JP6967675B2 (ja) 2021-11-17
JPWO2021090568A1 true JPWO2021090568A1 (ja) 2021-11-25

Family

ID=75849852

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020559566A Active JP6967675B2 (ja) 2019-11-08 2020-09-08 接合体、およびその製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6967675B2 (ja)
TW (1) TW202120649A (ja)
WO (1) WO2021090568A1 (ja)

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60131721U (ja) * 1984-02-14 1985-09-03 三菱レイヨン株式会社 耐摩耗性,表面平滑性に優れるロ−ラ−
JP2002205335A (ja) * 1996-10-08 2002-07-23 Toyota Motor Corp 基体に硬質の樹脂製品を溶着する方法、ウインドガラスの製造方法及びウインドガラス
JP2007530320A (ja) * 2004-03-26 2007-11-01 アズデル,インコーポレイティド 表面被覆を有する繊維強化熱可塑性プラスチックシート
JP2013107814A (ja) * 2011-10-26 2013-06-06 Cemedine Co Ltd 合わせガラス及びこの合わせガラスを用いたディスプレイ装置
WO2017094633A1 (ja) * 2015-12-01 2017-06-08 新日鉄住金マテリアルズ株式会社 現場重合型熱可塑性プリプレグ、熱可塑性コンポジット及びその製造方法
JP2018040027A (ja) * 2016-09-06 2018-03-15 株式会社神戸製鋼所 表面処理溶融亜鉛めっき鋼板およびそれを用いた接着継手
WO2019116879A1 (ja) * 2017-12-13 2019-06-20 昭和電工株式会社 複合積層体及びその製造方法、並びに金属樹脂接合体及びその製造方法
JP2019108247A (ja) * 2017-12-19 2019-07-04 日立化成株式会社 合わせガラス及びその製造方法
JP2019137710A (ja) * 2018-02-06 2019-08-22 日立化成株式会社 硬化性樹脂組成物、画像表示装置及び画像表示装置の製造方法

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60131721U (ja) * 1984-02-14 1985-09-03 三菱レイヨン株式会社 耐摩耗性,表面平滑性に優れるロ−ラ−
JP2002205335A (ja) * 1996-10-08 2002-07-23 Toyota Motor Corp 基体に硬質の樹脂製品を溶着する方法、ウインドガラスの製造方法及びウインドガラス
JP2007530320A (ja) * 2004-03-26 2007-11-01 アズデル,インコーポレイティド 表面被覆を有する繊維強化熱可塑性プラスチックシート
JP2013107814A (ja) * 2011-10-26 2013-06-06 Cemedine Co Ltd 合わせガラス及びこの合わせガラスを用いたディスプレイ装置
WO2017094633A1 (ja) * 2015-12-01 2017-06-08 新日鉄住金マテリアルズ株式会社 現場重合型熱可塑性プリプレグ、熱可塑性コンポジット及びその製造方法
JP2018040027A (ja) * 2016-09-06 2018-03-15 株式会社神戸製鋼所 表面処理溶融亜鉛めっき鋼板およびそれを用いた接着継手
WO2019116879A1 (ja) * 2017-12-13 2019-06-20 昭和電工株式会社 複合積層体及びその製造方法、並びに金属樹脂接合体及びその製造方法
JP2019108247A (ja) * 2017-12-19 2019-07-04 日立化成株式会社 合わせガラス及びその製造方法
JP2019137710A (ja) * 2018-02-06 2019-08-22 日立化成株式会社 硬化性樹脂組成物、画像表示装置及び画像表示装置の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
TW202120649A (zh) 2021-06-01
WO2021090568A1 (ja) 2021-05-14
JP6967675B2 (ja) 2021-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6918973B2 (ja) 複合積層体及びその製造方法、並びに金属樹脂接合体及びその製造方法
JP6919075B2 (ja) 複合積層体及び、金属−ポリオレフィン接合体
JP6964809B2 (ja) 金属樹脂接合体及びその製造方法
JP6964808B2 (ja) 複合積層体及びその製造方法、並びに金属樹脂接合体
JP6923764B1 (ja) 複合積層体及び、接合体
JP6923762B1 (ja) 複合積層体及び、接合体
JP6923626B2 (ja) 複合積層体及び接合体
JP6967675B2 (ja) 接合体、およびその製造方法
JP6919076B1 (ja) 複合積層体及び金属−樹脂接合体
JP6923765B1 (ja) 表面処理基材、複合積層体及び、接合体並びにそれらの製造方法
JP6923763B1 (ja) 複合積層体及び接合体
JP6967676B2 (ja) 接合体及びプライマー付材料
JP6918894B2 (ja) 複合積層体及び、金属―ポリアミド系樹脂接合体
JP6923706B1 (ja) プライマー付材料及び接合体
JP6923707B1 (ja) プライマー付材料及び接合体
JP6919077B2 (ja) 表面処理金属材、複合積層体及び、金属−非金属接合体並びにそれらの製造方法
JP6919074B2 (ja) 複合積層体及び、金属―変性ポリフェニレンエーテル接合体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210118

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20210118

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20210215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210302

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210428

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210706

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210830

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210928

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211025

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6967675

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350