JP6923765B1 - 表面処理基材、複合積層体及び、接合体並びにそれらの製造方法 - Google Patents

表面処理基材、複合積層体及び、接合体並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

繊維強化プラスチック、ガラス及びセラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる基材とその表面に表面処理層とを有する表面処理基材であって、前記表面処理層が、前記基材にシランカップリング剤による処理を施してなるシランカップリング剤処理層と、イソシアネート化合物、チオール化合物、エポキシ化合物、及びアミノ化合物からなる群より選ばれる一種以上の化合物を、前記シランカップリング剤が有する官能基と反応させてなり、前記化合物に由来の官能基を有する官能基含有層を含む、表面処理基材。

Description

本発明は、繊維強化プラスチック(以下、FRPともいう)、ガラス及びセラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる基材に対し、有機材料との接合強度向上を目的とした表面処理を施した表面処理基材及び前記表面処理基材を得るための表面処理方法、前記表面処理基材を用いた複合積層体及びその製造方法、前記複合積層体を用いた接合体及びその製造方法、に関する。
電子デバイス産業や自動車産業では技術の進化が一段と進み、素材へのニーズが多様化かつ高度化している。製品の性能を限界まで高め、複数の機能を同時に実現するために、異種の材料(以下、異種材)を適材適所に配置したマルチマテリアル構造が必要不可欠となっている。マルチマテリアル構造は、異種材を接合させてなるものであり、その接合手段として溶融溶接や接着など各種の接合技術が検討されている。
マルチマテリアル構造に関し、例えば、スマートフォンでは全面ガラス化が進み、ガラスと、透明性のよいポリカーボネート等の樹脂をインサート成形等で接合する技術が求められている。
ガラスと樹脂の接合方法として、ペレット状のエンジニアリングプラスチックに、ガラスに対する接着力向上剤を付与した後、これをガラスに接触させた状態で加熱溶融することにより、前記エンジニアリングプラスチックを前記ガラスに溶融接着させる技術(特許文献1)が開示されている。
マルチマテリアル構造に関し、例えば、自動車ではFRP(繊維強化プラスチック)と樹脂を接合する場面があり、FRPと樹脂を強固に接合する技術が求められている。また、動力機器ではセラミックをインサート材として樹脂でモールドした絶縁容器等の絶縁体が多く使用され、セラミックと樹脂を強固に接合する技術が求められている。
従来、異種材同士を直接接合すると、材料間の熱収縮の違いから界面に応力が集中して、クラックや剥離の原因となるという問題があった。この問題に関連し、セラミックと樹脂の間にシランカップリング剤を塗布して界面処理を行うことで、絶縁容器の樹脂モールド構造において、樹脂モールド構造の内部界面におけるクラックの発生を防止する技術が開示されている(非特許文献1)。
絶縁容器に用いるセラミックは、汚れ防止のために、その表面にガラス質の釉薬(SiO−10%Al)を施して使用されることが多い。そのため、前記の樹脂モールド構造では、セラミック表面の釉薬と樹脂との界面が滑りやすい状態となっている。非特許文献1では、上記の点に着目し、シランカップリング剤での界面処理により、樹脂モールド構造の内部界面の接着強度の向上を図っている。
特開2006−297662号公報
日本機械学会論文集(A編)77巻774号(2011−2)
特許文献1の技術では、インサート成形時のガラス割れ対策として射出圧の上限を最大60MPa程度に低減する必要があるため、射出圧を十分に上げられず、耐久性向上は難しい。非特許文献1の技術では、材料間の熱収縮の違いから界面の樹脂端部に応力が集中するという点は解決できず、更なる接合強度向上や耐久性向上は難しい。
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、繊維強化プラスチック、ガラス及びセラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種の基材と有機材料との化学結合による接合をより強固にし、長期間にわたっての耐久性も向上させることができる表面処理基材およびその関連技術を提供することである。前記関連技術とは、前記表面処理基材を得るための表面処理方法、前記表面処理基材を用いた複合積層体及びその製造方法、前記複合積層体を用いた接合体及びその製造方法、を意味する。
本明細書において、有機材料とは、有機材料及び/または無機物強化有機材料を意味する。
本発明は、前記目的を達成するために、以下の手段を提供する。
なお、本明細書において、接合とは、物と物を繋合わせることを意味し、接着及び溶着はその下位概念である。接着とは、テープや接着剤の様な有機材(熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等)を介して、2つの被着材(接着しようとするもの)を接合状態とすることを意味し、溶着とは、被着材である熱可塑性樹脂等の表面を熱によって溶融し、接触加圧と冷却により分子拡散による絡み合いと結晶化で接合状態とすることを意味する。
(表面処理基材)
[1] 繊維強化プラスチック、ガラス及びセラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる基材とその表面に表面処理層とを有する表面処理基材であって、前記表面処理層が、前記基材にシランカップリング剤による処理を施してなるシランカップリング剤処理層と、イソシアネート化合物、チオール化合物、エポキシ化合物、及びアミノ化合物からなる群より選ばれる一種以上の化合物を、前記シランカップリング剤が有する官能基と反応させてなり、前記化合物に由来の官能基を有する官能基含有層を含む、表面処理基材。
[2] 前記シランカップリング剤が、アミノ基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、イソシアナト基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる一種以上の官能基を含有する、[1]に記載の表面処理基材。
[3] 前記イソシアネート化合物が、(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート化合物及び2官能以上のイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも一種である、[1]又は[2]に記載の表面処理基材。
[4] 前記チオール化合物が、2官能以上のチオール化合物である、[1]又は[2]に記載の表面処理基材。
[5] 前記エポキシ化合物が、(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び2官能以上のエポキシ化合物から選ばれる少なくとも一種である、[1]又は[2]に記載の表面処理基材。
[6] 前記アミノ化合物が、(メタ)アクリロイル基を有する化合物及び2官能以上のアミノ化合物から選ばれる少なくとも一種である、[1]又は[2]に記載の表面処理基材。
[7] 前記基材が、脱脂処理、UVオゾン処理、ブラスト処理、研磨処理、プラズマ処理及びコロナ放電処理からなる群より選ばれる少なくとも1種の前処理を施してなる、[1]〜[6]の何れかに記載の表面処理基材。
(複合積層体)
[8] [1]〜[7]の何れかに記載の表面処理基材の官能基含有層側の表面に、1層又は複数層のプライマー層が形成されてなる、複合積層体
[9] 前記プライマー層が、前記官能基含有層に含まれている官能基と反応する基を有する硬化性樹脂硬化物からなる、[8]に記載の複合積層体。
[10] 前記プライマー層が、前記官能基含有層に含まれている官能基と反応する基を有する熱可塑性樹脂を形成するモノマー組成物の重付加反応物又はラジカル重合反応物からなる、[8]に記載の複合積層体。
(接合体)
[11] [1]〜[7]の何れかに記載の表面処理基材と、有機材料とが直接又は接着剤を介して接合一体化されてなる、接合体。
[12] [8]〜[10]の何れかに記載の複合積層体のプライマー層と、有機材料とが直接又は接着剤を介して接合一体化されてなる、接合体。
[13] 前記、有機材料が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、無機強化材入り熱可塑性樹脂、無機強化材入り熱硬化性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[11]又は[12]に記載の接合体。
(表面処理基材の製造方法)
[14] シランカップリング剤処理層を有する基材に、イソシアネート化合物、チオール化合物、エポキシ化合物及びアミノ化合物からなる群より選ばれる一種以上の化合物を、前記シランカップリング剤が有する官能基と反応させて、前記化合物に由来の官能基を表面に有する官能基含有層を形成する、表面処理基材の製造方法。
[15] 前記シランカップリング剤が、アミノ基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、イソシアナト基、メルカプト基から選ばれる一種以上の官能基を含有する、[14]に記載の表面処理基材の製造方法。
[16] 前記イソシアネート化合物が、(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート化合物、2官能以上のイソシアネート化合物、の少なくとも一種である、[14]又は[15]に記載の表面処理基材の製造方法。
[17] 前記チオール化合物が、2官能以上のチオール化合物である、[14]又は[15]に記載の表面処理基材の製造方法。
[18] 前記エポキシ化合物が、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、2官能以上のエポキシ化合物の少なくとも一種である、[14]又は[15]に記載の表面処理基材の製造方法。
[19] 前記アミノ化合物が、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、2官能以上のアミノ化合物の少なくとも一種である、[14]又は[15]に記載の表面処理基材の製造方法。
[20] 前記基材が、脱脂処理、UVオゾン処理、ブラスト処理、研磨処理、プラズマ処理及びコロナ放電処理からなる群より選ばれる少なくとも1種の前処理を施してなる、[14]〜[19]の何れかに記載の表面処理基材の製造方法。
(複合積層体の製造方法)
[21] [1]〜[7]の何れかに記載の表面処理基材の官能基含有層の表面で、重付加反応又はラジカル重合反応を行い、熱可塑性樹脂からなるプライマー層を形成する、複合積層体の製造方法。
(接合体の製造方法)
[22] [1]〜[7]の何れかに記載の表面処理基材の前記官能基含有層の表面に、接着剤層を形成し、該接着剤層の上に、射出成形、圧縮成形、及びハンドレイアップ成形からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で、有機材料を接合一体化する、接合体の製造方法。
[23] [1]〜[7]の何れかに記載の表面処理基材の前記官能基含有層の表面に、超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導法、高周波法、レーザー法、熱プレス法からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で、有機材料を接合一体化する、接合体の製造方法。
[24] [8]〜[10]の何れかに記載の複合積層体のプライマー層の上に、超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導法、高周波法、レーザー法、熱プレス法、射出成形、圧縮成形、及びハンドレイアップ成形からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で、有機材料を接合一体化する、接合体の製造方法。
繊維強化プラスチック(FRP)、ガラス及びセラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる基材の表面を、化学結合可能な官能基を三次元方向に延ばした官能基含有構造とした本発明によれば、前記基材と有機材料との化学結合による接合をより強固にし、長期間にわたっての耐久性も向上させることができる。
表面処理基材の構成を示す説明図である。 複合積層体の構成を示す説明図である。 接合体の構成を示す説明図である。
本発明の表面処理基材およびその関連技術について詳述する。
[表面処理基材]
本発明の表面処理基材3は、図1に示すように、繊維強化プラスチック(FRP)、ガラス及びセラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる基材1と表面処理層2を有し、前記表面処理層2は、前記基材1にシランカップリング剤処理を施してなるシランカップリング剤処理層21と、イソシアネート化合物、チオール化合物、エポキシ化合物、アミノ化合物からなる群より選ばれる一種以上の化合物を、前記シランカップリング剤由来の官能基と反応させてなり、前記化合物由来の官能基を有する官能基含有層22を含む。
なお、シランカップリング剤の種類は数多く、また官能基含有層を構成する化合物も多岐にわたり、かつ、その組み合わせに基づく具体的態様を包括的に表現することもできないため、本発明の表面処理基材3を構造又は特性により直接特定することは不可能又は非実際的といえる。
<基材>
基材1は、繊維強化プラスチック(FRP)、ガラス及びセラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる。
基材1の形態は特に限定されず、塊状でもフィルム状でもよい。
基材1を構成する繊維強化プラスチック(FRP)、ガラス、セラミックは特に限定されるものではない。
繊維強化プラスチック(FRP)として、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂に、各種繊維を複合して強度を向上させたガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ボロン繊維強化プラスチック(BFRP)、アラミド繊維強化プラスチック(AFRP)、等が挙げられる。ガラス繊維や炭素繊維SMC(シートモールディングコンパウンド)からの成形体等も挙げられる。
ガラスとしては、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、等が挙げられる。
セラミックとしては、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウムなどの酸化物系セラミック、ハイドロキシアパタイトなどの水酸化物系セラミック、炭化ケイ素などの炭化物系セラミック、窒化ケイ素などの窒化物系セラミック、等が挙げられる。
基材1がガラスからなる場合、基材1の厚さは、強度の観点から、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上である。また、ガラスの厚さの上限は特に制限されないが、好ましくは30mm以下、より好ましくは10mm以下である。
基材1がFRP及び/又はセラミックからなる場合、基材1の厚さは、強度の観点から、それぞれ好ましくは1.0mm以上、より好ましくは2.0mm以上である。また、FRP及びセラミックの厚さの上限は特に制限されないが、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下である。
基材1に表面処理層2を積層する前に、表面の汚染物の除去、及び/又は、アンカー効果を目的として基材1の表面に前処理を施すことが好ましい。前処理により、図1に示すように、基材1の表面に微細な凹凸4を形成して粗面化させることができる。
前処理により、基材1とシランカップリング剤処理層21との接着性を向上させることができる。
前処理は、基材1と被接合材である有機材料6との接合性の向上にも寄与し得る。
前処理としては、例えば、脱脂処理、UVオゾン処理、ブラスト処理、研磨処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、レーザー処理、エッチング処理、フレーム処理等が挙げられる。
前処理としては、基材1の表面を洗浄する前処理または表面に凹凸を付ける前処理が好ましく、具体的には、脱脂処理、UVオゾン処理、ブラスト処理、研磨処理、プラズマ処理及びコロナ放電処理からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
前処理は、1種のみであってもよく、2種以上を施してもよい。これらの前処理の具体的な方法としては、公知の方法を用いることができる。
通常、FRPの表面には樹脂や補強材に由来する水酸基が存在し、ガラスやセラミック表面には元々水酸基が存在すると考えられるが、前記の前処理によって新たに水酸基が生成され、基材1の表面の水酸基を増やすことができる。
前記脱脂処理とは、材料層表面の油脂などの汚れをアセトン、トルエン等の有機溶剤等で溶かして除去する方法である。
前記UVオゾン処理とは、低圧水銀ランプから発光する短波長の紫外線の持つエネルギーとそれにより発生するオゾン(O)の力で、表面を洗浄したり改質する方法である。ガラスの場合、表面の有機系不純物の除去を行う表面洗浄法の一つとなる。一般に、低圧水銀ランプを用いた洗浄表面改質装置は、「UVオゾンクリーナー」、「UV洗浄装置」、「紫外線表面改質装置」などと呼ばれている。
前記ブラスト処理としては、例えば、ウェットブラスト処理、ショットブラスト処理、サンドブラスト処理等が挙げられる。中でも、ウェットブラスト処理は、ドライブラスト処理と比べより緻密な面が得られるため、好ましい。
前記研磨処理としては、例えば、研磨布を用いたバフ研磨や、研磨紙(サンドペーパー)を用いたロール研磨、電解研磨等が挙げられる。
前記プラズマ処理とは、高圧電源とロッドでプラズマビームを作り素材表面にぶつけて分子を励起させて官能状態とするもので、素材表面に水酸基や極性基を付与できる大気圧プラズマ処理方法等が挙げられる。
前記コロナ放電処理とは、高分子フィルムの表面改質に施される方法が挙げられ、電極から放出された電子が高分子表面層の高分子主鎖や側鎖を切断し発生したラジカルを起点に表面に水酸基や極性基を発生させる方法である。
前記レーザー処理とは、レーザー照射によって表面層のみを急速に加熱、冷却して、表面の特性を改善する技術で表面の粗面化に有効な方法である。公知のレーザー処理技術を使用することができる。
前記エッチング処理としては、例えば、アルカリ法、リン酸−硫酸法、フッ化物法、クロム酸−硫酸法、塩化鉄法等の化学的エッチング処理、また、電解エッチング法等の電気化学的エッチング処理等が挙げられる。
前記フレーム処理とは、燃焼ガスと空気の混合ガスを燃やすことで空気中の酸素をプラズマ化させ、酸素プラズマを処理対象物に付与することで表面の親水化を図る方法である。公知のフレーム処理技術を使用することができる。
<表面処理層>
前記表面処理層2は、前記基材1にシランカップリング剤処理を施してなるシランカップリング剤処理層21と、イソシアネート化合物、チオール化合物、エポキシ化合物、アミノ化合物からなる群より選ばれる一種以上の化合物を、前記シランカップリング剤由来の官能基と反応させてなり、前記化合物由来の官能基を有する官能基含有層22を含む。
(シランカップリング剤処理層)
シランカップリング剤処理層は、基材1にシランカップリング剤処理を施して形成した層であり、2次元構造の自己組織化単分子膜(SAM)からなる。
基材1の表面に存在する水酸基を基点にシランカップリング剤処理でシラノール基を結合させると、上記のようにシラノール基同士も結合するため、2次元に広がったシランカップリング剤処理層が形成される。後述のように、シランカップリング剤は、シラノール基のほかに、官能基含有層に用いる化合物との反応性を有する官能基を有する化合物であるものが好ましい。
前記シランカップリング剤としては、ガラス繊維の表面処理等に用いられる公知のシランカップリング剤等を使用できる。
前記シランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、官能基含有層に用いられる、イソシアネート化合物、チオール化合物、エポキシ化合物、アミノ化合物が有するいずれかの官能基と反応する官能基を有するものが好ましい。シランカップリング剤の有する具体的な官能基としては、シランカップリング剤が有するシラノール基以外には、アミノ基、エポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、イソシアナト基、メルカプト基から選ばれる一種以上の官能基であることが好ましい。なかでも、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基から選ばれる一種以上の官能基がより好ましい。これらの官能基は、官能基含有層に含まれる前記化合物の官能基に応じて適切に選択される。
シランカップリング剤の具体例としては、ビニル基を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、エポキシ基を有する2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、グリシジル基を有する3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、スチリル基を有するp−スチリルトリメトキシシラン、メタクリロキシ基を有する3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシ基を有する3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アミノ基を有するN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、イソシアヌレート基を有するトリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、ウレイド基を有する3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、メルカプト基を有する3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、イソシアナト基を有する3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリアジンメルカプト基を有するジチオールトリアジンプロピルトリエトキシシラン、エトキシシリル基及びメルカプト基を有する6-(トリエトキシシリルプロピルアミノ)−1,3,5−トリアジン―2,4−ジチオールモノナトリウム塩(TES)等が挙げられる。
前記シランカップリング剤によりシランカップリング剤処理層を形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、スプレー塗布法、浸漬法等が挙げられる。
浸漬法では、シランカップリング剤の低濃度の水溶液やシランカップリング剤の低濃度の有機溶剤溶液を基材1の表面に接触させることで、基材の表面に存在する水酸基等とシランカップリング剤が反応してシラノール基が生成し、オリゴマー化したシラノール基が基材の表面に結合する。具体的には、例えば、シランカップリング剤を有機溶剤で0.5質量%〜50質量%程度の濃度になるように希釈した希釈溶液を常温〜100℃に加温してこの希釈溶液中に基材を1分〜5日間浸漬することで、基材の表面と化学結合した官能基を導入することができる。
またスプレー塗布法では、基材の表面にシランカップリング剤そのもの又は有機溶剤に希釈したシランカップリング剤を吹き付け、常温〜100℃で1分〜5時間乾燥処理を行う。乾燥処理を経て強固な化学結合となり、基材の表面と化学結合した官能基を導入することができる。
(官能基含有層)
官能基含有層は、二次元構造の自己組織化単分子膜(SAM)からなるシランカップリング剤処理層を三次元的に延長した層である。
官能基含有層は、二次元に広がったシランカップリング剤処理層表面の官能基の少なくとも一部に、イソシアネート化合物、チオール化合物、エポキシ化合物、アミノ化合物からなる群より選ばれる一種以上の化合物を反応させて形成することができる。前記イソシアネート化合物、チオール化合物、エポキシ化合物、アミノ化合物からなる群より選ばれる一種以上の化合物は、シランカップリング剤層表面の官能基と反応可能な基と、後述するプライマー層を構成する有機材料が有する官能基と反応可能な基、の双方を有する化合物であることが好ましい。
官能基含有層を設けることにより、基材の表面を、プライマー層を構成する有機材料が有する官能基と化学結合可能な官能基を三次元方向に延ばした官能基含有構造とすることができる。二次元構造のシランカップリング剤処理層のみを備えた基材では、有機材料との間の化学結合の強さには限界があり、より強固な化学結合を形成することが難しいが、基材の表面を、化学結合可能な官能基を三次元方向に延ばした官能基含有構造とした本発明によれば、基材と有機材料との化学結合による接合をより強固にし、長期間にわたっての耐久性も向上させることができる。
例えばシランカップリング剤の有する官能基がアミノ基の場合、イソシアナト基を有するイソシアネート化合物、エポキシ基を有するエポキシ化合物等を、前記アミノ基と反応させて官能基含有層を形成することができる。ラジカル反応性基を有するイソシアネート化合物である2−イソシアナトエチルメタクリレート(例えば昭和電工株式会社製「カレンズMOI(登録商標)」)やグリシジルメタクリレートをアミノ基に反応させれば、三次元方向に延ばした最末端はラジカル重合可能な(メタ)アクリロイル基となる。
シランカップリング剤の有する官能基が(メタ)アクリロイル基の場合、メルカプト基を有するチオール化合物等を、前記(メタ)アクリロイル基と反応させて官能基含有層を形成することができる。2官能チオール化合物である1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(例えば昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) BD1」)や3官能チオール化合物であるペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(例えば昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) PE1」)を(メタ)アクリロイル基に反応させれば、三次元方向に延ばした最末端はエポキシ基や(メタ)アクリロイル基と付加反応可能なメルカプト基となる。
シランカップリング剤の有する官能基がエポキシ基の場合、アミノ基と、別のアミノ基や他の官能基を有するアミノ化合物、メルカプト基と、別のメルカプト基や他の官能基を有するチオール化合物、カルボキシ基と、別のカルボキシ基や他の官能基を有する化合物等を、前記エポキシ基と反応させて官能基含有層を形成することができる。(メタ)アクリル酸をシランカップリング剤のエポキシ基に反応させれば、三次元方向に延ばした最末端はこれもラジカル重合可能な(メタ)アクリロイル基となる。
シランカップリング剤の有する官能基がメルカプト基の場合、(メタ)アクリロイル基を、前記メルカプト基と反応させて官能基含有層を形成することができる。例えばカレンズMOI(登録商標)のメタクリロイル基をメルカプト基に反応させれば、三次元方向に延ばした最末端をイソシアナト基とすることができ、(メタ)アクリルアミドの(メタ)アクリロイル基をメルカプト基に反応させれば三次元方向に延ばした最末端をアミノ基とすることができる。さらにグリシジル(メタ)アクリレートの(メタ)アクリロイル基をメルカプト基に反応させれば三次元方向に延ばした最末端をエポキシ基とすることができる。
この様に三次元方向に延ばした最末端を様々な官能基とすることができる。また上述の化合物以外に、例えばジイソシアネート化合物を反応させれば片側のイソシアナト基のみ反応して最末端がイソシアナト基となることも期待でき、ジアミンを反応させれば片側のアミノ基のみ反応して最末端がアミノ基となることも期待できる。
官能基含有層の形成方法としては、浸漬法やスプレー塗布法が挙げられる。
浸漬法では、3級アミン等の触媒を共存させたイソシアネート化合物、チオール化合物、エポキシ化合物、アミノ化合物の低濃度の有機溶剤溶液を25℃〜120℃でシランカップリング剤処理を施した基材の表面に接触させることで、一層目のシランカップリング剤処理末端の官能基に、二層目として反応させ三次元方向に延ばした官能基構造とすることができる。
スプレー塗布法では、シランカップリング剤処理を施した基材の表面に3級アミン等の触媒を共存させたイソシアネート化合物、チオール化合物、エポキシ化合物、アミノ化合物の有機溶剤溶液を吹き付け、常温〜100℃で1分〜5時間乾燥処理を行う。この様な処理を行うことで、一層目のシランカップリング剤処理末端の官能基に、二層目として反応させ三次元方向に延ばした官能基構造とすることができる。
〔イソシアネート化合物〕
イソシアネート化合物としては、公知のイソシアネート化合物等を使用できる。前記イソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、多官能のイソシアネートであるジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の他、ラジカル反応性基を有するイソシアネート化合物である2−イソシアナトエチルメタクリレート(例えば昭和電工株式会社製「カレンズMOI」(登録商標))、2−イソシアナトエチルアクリレート(例えば昭和電工株式会社製「カレンズAOI(登録商標)」)、1,1−(ビスアクリロイルオキシエチル)エチルイソシアネート(例えば昭和電工株式会社製「カレンズBEI(登録商標)」)等が挙げられる。
イソシアネート化合物は、(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート化合物、及び2官能以上のイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
前記イソシアネート化合物で処理する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、スプレー塗布法、浸漬法等が挙げられる。具体的には、例えば、イソシアネート化合物を有機溶剤で5質量%〜50質量%程度の濃度になるように希釈した希釈溶液を常温〜100℃に加温してこの希釈溶液中に基材を1分〜5日間浸漬した後、取り出して常温〜100℃で1分〜5時間乾燥処理を行う方法等が挙げられる。
〔チオール化合物〕
上記チオール化合物としては、公知のチオール化合物等を使用できる。多官能のチオール化合物や、メルカプト基以外にアルケニル基を有する化合物が好ましい。前記チオール化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(例えば、三菱化学株式会社製「QX40」、東レ・ファインケミカル株式会社製「QE−340M」)、エーテル系一級チオール(例えばコグニス(Cognis)社製「カップキュア3−800」)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(例えば昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) BD1」)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(例えば昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) PE1」)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(例えば昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) NR1」)等が挙げられる。中でも、エポキシ樹脂中での安定性はペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)が優れている。
チオール化合物は、2官能以上のチオール化合物であることが好ましい。
前記チオール化合物で処理する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、スプレー塗布法、浸漬法等が挙げられる。具体的には、例えば、チオール化合物を有機溶剤で5質量%〜50質量%程度の濃度になるように希釈した希釈溶液を常温〜100℃に加温してこの希釈溶液中に基材を1分〜5日間浸漬した後、取り出して常温〜100℃で1分〜5時間乾燥処理を行う方法等が挙げられる。前記チオール化合物の希釈溶液中に触媒としてアミン類を含有せしめてもよい。
〔エポキシ化合物〕
上記エポキシ化合物としては、公知のエポキシ化合物等を使用できる。多価エポキシ化合物や、エポキシ基以外にアルケニル基を有する化合物が好ましい。前記エポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。また脂環式のエポキシ化合物でもよく、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(株式会社ダイセル製 サイクロマーM100)、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(株式会社ダイセル製 セロキサイド2000)、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製セロキサイド2021P)等が挙げられる。
エポキシ化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、及び2官能以上のエポキシ化合物から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
〔アミノ化合物〕
上記アミノ化合物としては、公知のアミノ化合物等を使用できる。多官能アミノ化合物や、アミノ基(アミドを含む)以外にアルケニル基を有する化合物が好ましい。前記アミノ化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、4−アミノメチルオクタメチレンジアミン、3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、3,3’−メチルイミノビス(プロピルアミン)、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(3−アミノプロピルオキシ)エタン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビスアミノメチルノルボルナン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、アミノエチルピペラジン、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アミノ化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、及び2官能以上のアミノ化合物から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
[複合積層体]
本発明の複合積層体5は、図2に示すように、表面処理基材3の表面であって、官能基含有層22を有する側の表面に、プライマー層6を有する。プライマー層は、一層であっても、複数層であってもよい。
<プライマー層>
プライマー層の形成には、硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が使用される。なお、本発明で言う硬化性樹脂は、広く、架橋硬化する樹脂を意味し、加熱硬化タイプに限られず、常温硬化タイプや光硬化タイプも包含するものとする。前記光硬化タイプは、可視光線や紫外線の照射によって短時間での硬化も可能である。前記光硬化タイプを、加熱硬化タイプ及び/又は常温硬化タイプと併用してもよい。前記光硬化タイプとしては、例えば、昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)LC−760」、同「リポキシ(登録商標)LC−720」等のビニルエステル樹脂が挙げられる。
前記表面処理基材の官能基含有層は、プライマー層の種類に合わせて適宜最適な化合物を選択して形成することができる。
プライマー層は、表面処理基材が被接合材と接合一体化される際に、被接合材と表面処理基材との間に介在して接合性をより向上させるための層である。
プライマー層には、表面処理基材の表面が汚れや、酸化等で変質することを防止し、長期間にわたり安定した接着力を維持する効果もある。
前記プライマー層は、前記表面処理基材において前記官能基含有層を形成した側の表面の少なくとも一部に、硬化性樹脂を含むプライマー又は該プライマー含有処理液、又は、熱可塑性樹脂を含むプライマー又は該プライマー含有処理液を塗布することによって形成することができる。
前記プライマー層は、有機材料からなる被接合材に接着可能なプライマー層であるのが好ましい。
なお、前記塗布を行う「硬化性樹脂を含むプライマー又はプライマー含有処理液」としては、硬化性樹脂のみからなり、溶剤等の他の成分を含有しない構成であってもよいし、硬化性樹脂および溶剤等の他の成分を含有する構成であってもよい。また、「熱可塑性樹脂を含むプライマー又は該プライマー含有処理液」としては、熱可塑性樹脂のみからなり、溶剤等の他の成分を含有しない構成であってもよいし、現場重合型として反応して熱可塑性樹脂となる成分および溶剤等の他の成分を含有する構成であってもよい。
以下に具体的に説明する。
(硬化性樹脂を含むプライマー)
「硬化性樹脂を含むプライマー」を構成する硬化性樹脂は、特に限定されるものではないが、常温硬化、加熱硬化又は光硬化が可能な硬化性樹脂であることが好ましく、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、ビニルエステル樹脂系および不飽和ポリエステル樹脂系からなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化性樹脂を用いるのがより好ましい。この場合、前記プライマー層は、官能基含有層に含まれている官能基と反応する基を有する硬化性樹脂硬化物からなる。
〔ウレタン樹脂系熱硬化性樹脂〕
ウレタン樹脂は、化学構造中にウレタン結合を含む高分子量体であり、通常、イソシアナト基と水酸基との反応によって得られる樹脂であるが、この中では硬化後に架橋構造となるものが好ましい。前記ウレタン樹脂としては、一液型であってもよいし、二液型であってもよい。
前記一液型としては、特に限定されるものではないが、例えば、油変性タイプ(不飽和脂肪酸基の酸化重合)、湿気硬化型(空気中の水とイソシアナト基の反応)、ブロック型(ブロック剤が加熱により解離し再生したイソシアナト基と水酸基が反応)、ラッカー型(溶剤の揮発による乾燥)等が挙げられる。これらの中でも、湿気硬化型一液ウレタン樹脂系熱硬化性樹脂からなるプライマーは、一液型を塗布するだけでよいので、容易に使用できる。このような湿気硬化型一液ウレタン樹脂系熱硬化性樹脂の市販品としては、例えば、昭和電工株式会社製「UM−50P」等が挙げられる。
前記二液型としては、硬化物が架橋構造となるもので、例えば、触媒硬化型(イソシアナト基と空気中の水、触媒のアミンとの反応)、ポリオール硬化型(イソシアナト基と水酸基の反応)等が挙げられる。
前記二液型としてのポリオール硬化型のポリオール成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、フェノール樹脂等が挙げられる。また、前記二液型としてのポリオール硬化型のイソシアネート成分(イソシアネート化合物)としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族イソシアネート、芳香族イソシアネート、脂環族イソシアネート等が挙げられる。前記脂肪族イソシアネートとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等が挙げられる。前記芳香族イソシアネートとしては、特に限定されるものではないが、例えば、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)又はその混合物、p−フェニレンジシソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)やその多核体混合物であるポリメリックMDI等などが挙げられる。前記二液型において配合比は、−OH/−NCO当量比で0.7〜1.5の範囲が好適で、硬化物が架橋構造となるものである。
前記二液型としての触媒硬化型で使用するウレタン化触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系触媒、有機錫系触媒等が挙げられる。前記アミン系触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリエチレンジアミン、テトラメチルグアニジン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ジメチルエーテルアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジプロピレン−トリアミン、N−メチルモルフォリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリエチルアミン等が挙げられる。前記有機錫系触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンジマレエート等が挙げられる。一般にはポリオール成分100質量部に対しウレタン化触媒を0.01〜10質量部配合するのが好ましい。
〔エポキシ樹脂系熱硬化性樹脂〕
前記エポキシ樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する熱硬化性エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。このような1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する熱硬化性エポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、エーテル型のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、エステル系芳香族エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エーテル・エステル型エポキシ樹脂等の公知の熱硬化性エポキシ樹脂などが挙げられ、中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。前記エポキシ樹脂としては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品として、例えば、三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)828」や「jER(登録商標)1001」等が挙げられ、ノボラック型エポキシ樹脂の市販品として、例えば、ダウケミカルカンパニー製「DEN438」等が挙げられる。
前記エポキシ樹脂の硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、酸無水物、フェノール樹脂、チオール類、イミダゾール類、カチオン触媒等の公知の硬化剤等が挙げられる。また、これら例示の硬化剤と、長鎖脂肪族アミン又は/及びチオール類と、を併用すると、伸び率が大きく耐衝撃性に優れるという効果が得られる。このチオール類の具体的な化合物としては、例えば、上述したチオール化合物処理で例示したものと同じチオール類を挙げることができる。中でも、前記エポキシ樹脂の硬化剤としては、チオール化合物であるペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(例えば昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) PE1」)を使用するのがより好ましく、この場合には伸び率が特に大きく耐衝撃性により優れるという利点がある。このようなエポキシ樹脂系熱硬化性樹脂からなるプライマー層が形成された基材(の該プライマー層)には様々な樹脂種の樹脂物品が接合可能である(接合対象の樹脂物品の樹脂種を問わない)。
〔ビニルエステル樹脂系熱硬化性樹脂〕
前記ビニルエステル樹脂としては、ビニルエステルオリゴマーを重合性モノマー(例えばスチレンモノマー等)に溶解したもの等が挙げられる。このようなビニルエステル樹脂は、エポキシアクリレート樹脂とも呼ばれており、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)、「塗料用語辞典」(色材協会、1993年発行)等に記載されているものも使用できる。前記ビニルエステル樹脂の市販品としては、特に限定されるものではないが、例えば、昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)R−802」、「リポキシ(登録商標)R−804」、「リポキシ(登録商標)R−806」等が挙げられる。
前記ビニルエステル樹脂としては、ウレタンアクリレート樹脂およびウレタンメタクリレート樹脂を用いてもよい。このようなウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリイソシアネートと、ポリヒドロキシ化合物又は多価アルコールとを反応させた後、さらに、水酸基含有(メタ)アクリル化合物および必要に応じて水酸基含有アリルエーテル化合物を反応させることによって得ることができるラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーを挙げることができ、このようなラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーの市販品としては、例えば、昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)R−6545」等が挙げられる。
〔不飽和ポリエステル樹脂系熱硬化性樹脂〕
前記不飽和ポリエステル樹脂としては、二価アルコールと不飽和二塩基酸(及び必要に応じて飽和二塩基酸を用いてもよい)とのエステル化反応による縮合生成物(不飽和ポリエステル)を重合性モノマー(例えばスチレンモノマー等)に溶解したもの等が挙げられる。前記不飽和ポリエステル樹脂としては、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988年発行)、「塗料用語辞典」(色材協会、1993年発行)等に記載されているものも使用できる。前記不飽和ポリエステル樹脂の市販品としては、例えば、昭和電工株式会社製「リゴラック」等が挙げられる。
前記ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂は、いずれも、有機過酸化物開始剤を添加して加熱によるラジカル重合によって硬化させることができる。前記有機過酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートに分類されるもの等が挙げられ、コバルト金属塩等と組み合わせれば常温での硬化も可能となる。前記コバルト金属塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、水酸化コバルト等が挙げられ、中でも、ナフテン酸コバルト又は/及びオクチル酸コバルトを用いるのが好ましい。
なお、前記硬化性樹脂として、光硬化タイプを使用してもよく、この場合には可視光線の照射もより短時間で硬化させることができる。また、前記硬化性樹脂として、熱硬化タイプや常温硬化タイプと共に光硬化タイプを併用することもできる。前記光硬化性樹脂(光硬化タイプ)の市販品としては、例えば、昭和電工株式会社製「リポキシ(登録商標)LC−760」、「リポキシ(登録商標)LC−720」等が挙げられる。
(熱可塑性樹脂を含むプライマー)
「熱可塑性樹脂を含むプライマー」を構成する熱可塑性樹脂は、官能基含有層上でモノマーを反応させて生成した熱可塑性樹脂であることが望ましい。既にポリマー化している熱可塑性樹脂を使用するのではなく、ポリマー化するためのモノマー組成物を官能基含有層上で重付加反応又はラジカル重合反応させて、ポリマー化することでリニア分子構造を有するプライマー層が形成され、官能基含有層上の官能基とも化学結合させることができる。この場合、前記プライマー層は、官能基含有層に含まれている官能基と反応する基を有する熱可塑性樹脂を形成するモノマー組成物の重付加反応物又はラジカル重合反応物からなる。この場合、表面処理基材の前記官能基含有層の表面で、重付加反応又はラジカル重合反応を行い、熱可塑性樹脂からなるプライマー層を形成することが好ましい。
以下、重付加反応させるものを重付加型熱可塑性樹脂、ラジカル重合反応させるものをラジカル重合型熱可塑性樹脂という。
〔重付加型熱可塑性樹脂〕
重付加型熱可塑性樹脂を製造するためのモノマー組成物は、重付加により直鎖状高分子を生成する重付加反応性化合物の組み合わせを構成成分として含む組成物である。前記組み合わせは、下記(1)〜(4)の少なくとも何れかの組み合わせたであることが好ましい。
(1)2官能イソシアネート化合物と2官能の水酸基を有する化合物
(2)2官能エポキシ化合物と2官能の水酸基を有する化合物
(3)2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物
(4)2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物からなる群より選ばれる2種の化合物
《2官能イソシアネート化合物と2官能の水酸基を有する化合物》
前記ウレタン樹脂に記載の原料の中で、2官能イソシアネート化合物と2官能の水酸基を有する化合物の組み合わせることで、直鎖状高分子を生成させることができる。
具体的には、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)又はその混合物、p−フェニレンジシソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のジイソシアネート化合物とエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等の脂肪族グリコールとの組み合わせが挙げられる。その配合比は、−OH/−NCO当量比で0.7〜1.5の範囲が好適である。
前記二液型としての触媒硬化型で使用するウレタン化触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系触媒、有機錫系触媒等が挙げられる。前記アミン系触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリエチレンジアミン、テトラメチルグアニジン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ジメチルエーテルアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジプロピレン−トリアミン、N−メチルモルフォリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリエチルアミン等が挙げられる。前記有機錫系触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンジマレエート等が挙げられる。一般にはポリオール成分100質量部に対しウレタン化触媒を0.01〜10質量部配合するのが好ましい。
《2官能エポキシ化合物と2官能の水酸基を有する化合物》
ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールAの組み合わせが代表的であるが、ビスフェノールA以外のエポキシ樹脂としては公知のものが使用できる。具体的にはビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型2官能エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂や1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。
また、ビスフェノールA以外の2官能の水酸基を有する化合物としては、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール等のフェノール類やエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等の脂肪族グリコールが挙げられる。これらの組み合わせは、前記現場重合型フェノキシ樹脂とか熱可塑エポキシ樹脂とも呼ばれる樹脂である。硬化前は、熱硬化性樹脂と同様の取り扱いで、加熱硬化後に熱可塑性樹脂の構造となる樹脂である。
触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系触媒、リン系触媒等が挙げられる。トリエチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
《2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物》
2官能エポキシ化合物は、前記2官能エポキシ化合物を使用することができる。2官能カルボキシ化合物としては、分子内にカルボキシ基を2つ有する化合物であればよく、例えばテレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸やシュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
硬化前は、熱硬化性樹脂と同様の取り扱いで、加熱硬化後に熱可塑性樹脂の構造となる樹脂である。
触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系触媒、リン系触媒等が挙げられる。トリエチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
《2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物》
2官能エポキシ化合物は、前記2官能エポキシ化合物を使用することができる。2官能チオール化合物としては、分子内にメルカプト基を2つ有する化合物であればよく、例えば昭和電工株式会社製2官能2級チオール化合物カレンズMT(登録商標)BD1:1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン等が挙げられる。
硬化前は、熱硬化性樹脂と同様の取り扱いで、加熱硬化後に熱可塑性樹脂の構造となる樹脂である。
触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系触媒、リン系触媒等が挙げられる。トリエチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
〔ラジカル重合型熱可塑性樹脂〕
ラジカル重合型熱可塑性樹脂は、不飽和基を有する単官能モノマーのラジカル単独重合体又はラジカル共重合体である直鎖状高分子を含む樹脂組成物からなることが好ましい。
ラジカル重合型熱可塑性樹脂を製造するためのモノマー組成物は、エチレン性不飽和基を有する単官能モノマーを少なくとも一種含む組成物である。
前記エチレン性不飽和基を有する単官能モノマーとしては、例えば、スチレンモノマー、スチレンのα−,o−,m−,p−アルキル,ニトロ,シアノ,アミド,エステル誘導体、クロルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系モノマー;ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン類;(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−i−プロピル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートおよびフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
前記ラジカル重合性化合物のラジカル重合反応のための触媒としては、例えば、公知の有機過酸化物や光開始剤等が好適に用いられる。有機過酸化物にコバルト金属塩やアミン類を組み合わせた常温ラジカル重合開始剤を使用してもよい。有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートに分類されるものが挙げられる。光開始剤としては、紫外線から可視光線で重合開始できるものを使用することが望ましい。
前記ラジカル重合反応は、反応化合物等の種類にもよるが、常温〜200℃で、5〜90分間加熱して行うことが好ましい。また光硬化の場合は紫外線や可視光線を照射して重合反応を行う。具体的には、前記樹脂組成物をコーティングした後、加熱してラジカル重合反応を行うことにより、前記ラジカル重合性化合物からなる熱可塑性樹脂層を形成することができる。
[接合体]
本発明の接合体7は、図3に示すように、前記の表面処理基材3の官能基含有層22側の表面又は前記の複合積層体5のプライマー層6側の表面に、有機材料8が接合一体化されてなる。
接合一体化する方法としては、前記、成形済の有機材料を、前記表面処理基材又は前記の複合積層体と接合一体化させる方法でもよいし、前記有機材料を成形するのと同時に接合一体化させる方法でもよく、超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導法、高周波法、レーザー法、熱プレス法からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で、成形済の有機材料を溶着させる方法や、射出成形、プレス成形、フィラメントワインディング成形、ハンドレイアップ成形、トランスファー成形、スプレードライ、塗布、浸漬等の方法で前記有機材料を成形する際に、前記の表面処理基材の表面処理層側の表面又は前記の複合積層体のプライマー層側の表面と接合一体化させ方法で、接合体7を得ることができる。
具体的には、前記官能基含有層の表面に接着剤層を形成し、該接着剤層の上に射出成形、圧縮成形、及びハンドレイアップ成形からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で有機材料を接合一体化する方法や、前記官能基含有層の表面に超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導法、高周波法、レーザー法、熱プレス法からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で有機材料を接合一体化する方法や、複合積層体のプライマー層の上に、超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導法、高周波法、レーザー法、熱プレス法、射出成形、圧縮成形、及びハンドレイアップ成形からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で、有機材料を接合一体化する方法が挙げられる。
上述したように、前記プライマー層の表面は、有機材料との接着性に優れている。有機材料を複合積層体のプライマー層側の表面に接合一体化することで、基材と、有機材料とが高い強度で接合し接合体を好適に得ることができる。
前記プライマー層の厚さ(乾燥厚さ)は、前記被接合材の材質や接合部分の接触面積にもよるが、前記プライマー層と前記樹脂材との優れた接着性を得る観点から、1μm〜10mmであることが好ましく、より好ましくは2μm〜8mm、さらに好ましくは3μm〜5mmである。なお、プライマー層の厚さ(乾燥厚さ)は、前記プライマー層が複数層のときは、合計の厚さのことをいうものとする。
なお、接合時に加熱する場合、その加熱温度によっては、接合後に室温に冷却する過程で、基材と被接合材との熱膨張係数の差に起因して接合体が熱変形を生じやすくなる。このような熱変形を抑制緩和する観点から、基材と被接合材との間に伸び率の大きい特性を有する部分を所定の厚みで設けておくことが望ましい。前記厚さは、接合時の温度変化(接合時の加熱温度から室温冷却までの温度変化)と前記プライマー層の伸び率等の物性を考慮して求められる。
例えば、基材と炭素繊維強化樹脂(CFRP)等とを接合一体化させる場合、前記プライマー層の厚さは0.1〜10mmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜8mm、さらに好ましくは0.5〜5mmである。
有機材料の種類によっては、接着剤を用いることにより、高い強度で接合した接合体を得ることができる。
接着剤は、被接合材の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、ビニルエステル樹脂系等の公知の接着剤を用いることができる。
なお、接着時に加熱する場合、その加熱温度によっては、接着後に室温に冷却する過程で、基材と被接合材との熱膨張係数の差に起因して接合体が熱変形を生じやすくなる。このような熱変形を抑制緩和する観点から、接着剤層の厚さは、前記プライマー層と接着剤層の合計厚さが0.5mm以上になるようにし、基材と被接合材との間に伸び率の大きい特性を有する部分を所定の厚みで設けておくことが望ましい。前記合計厚さは、接着時の温度変化(接着持の加熱温度から室温冷却までの温度変化)と前記プライマー層及び接着剤の伸び率等の物性を考慮して求められる。
<被接合材>
被接合材である有機材料は、射出成型可能な樹脂であることが好ましく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、無機強化材入り熱可塑性樹脂、無機強化材入り熱硬化性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
有機材料は、表面処理基材又は複合積層体に対して、インサート成形することで接合体とすることが好ましい。
あらかじめ成形された部材としての有機材料を、複合積層体のプライマー層又は表面処理基材の官能基含有層を介して接合(接着)することにより、接合体を形成することもできる。その他、有機材料を構成するモノマーを、複合積層体のプライマー層又は表面処理基材の官能基含有層の上で重合することにより、接合体を形成することもできる。
(樹脂)
有機材料を構成する樹脂は、特に限定されるものではなく、一般的な合成樹脂でよい。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等の自動車部品等に用いられるような樹脂等も挙げられる。あるいは、FRPや熱硬化性樹脂でもよい。FRPは、ガラス繊維、炭素繊維などの繊維をプラスチックの中に入れて強度を向上させた複合材料を意味する。
FRPは、前記プライマー層の形成に使用したものと同一種類の樹脂とガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等を使用した織物や不織布をハンドレイアップ成形してもよいし、フィラメントワインディング成形してもよい。またシートモールディングコンパウンド(SMC)やバルクモールディングコンパウンド(BMC)を使用してもよい。
前記シートモールディングコンパウンド(SMC)とは、不飽和ポリエステル樹脂及び/又はビニルエステル樹脂、重合性不飽和単量体、硬化剤、低収縮剤、充填剤等を混合した後、さらに繊維補強材を含有させることによって得られるシート状の成形材料である。前記バルクモールディングコンパウンド(BMC)とは、バルク状の成形材料である。これらの成形材料は、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等の成形法により目的の成形体に成形するが、この際にプライマー層を有する複合積層体のプライマー層側表面上に成形材料を一緒に一体成形して両者を接合一体化してもよい。
被接合材は、部材の形ではなく、膜状であってもよい。例えば、塗料による塗膜や、保護膜であってもよい。
(塗膜)
塗膜は、顔料、樹脂、添加剤、溶剤を含む塗料を塗って形成される層を意味する。塗膜は、塗料を塗布後乾燥して形成することができる。
(保護膜)
保護膜は、前記の表面処理基材の表面処理層の表面に樹脂膜形成することにより、表面処理基材に耐蝕性を付与する役割を果たす。
保護膜としては、例えばエポキシ樹脂/フェノール樹脂系、飽和ポリエステル樹脂/フェノール樹脂系の樹脂膜等がある。
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に特に限定されるものではない。
[試験片用基材]
試験片用基材として、表1の各基材を用意し、下記の前処理を施した。
<前処理_サンディング処理(研磨処理)及び脱脂処理>
表1のCFRPの表面を#1000のサンドペーパーで研磨した後、アセトンで洗浄及び脱脂した。
<前処理_ウェットブラスト処理(ブラスト処理)>
表1のセラミックを、マコー社製ウェットブラスト(#800アルミナ砥粒)を使用して、ウェットブラスト処理を行った。
<前処理_UVオゾン処理>
表1のガラス、超薄板ガラスのUVオゾン処理を行って、表面の有機物を除去した。
<前処理_コロナ放電処理>
表1の樹脂フィルムの表面にコロナ放電処理を施した。
<表面処理基材>
(1)CFRP、ガラス
前記サンディング処理を施したCFRP、UVオゾン処理を施したガラスに官能基付与処理を行った。
(シランカップリング剤処理層の形成)
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製 KBM−503;シランカップリング剤)0.5gを工業用エタノール100gに溶解せしめてなる70℃のシランカップリング剤溶液中に、前記サンディング処理を施したCFRP、UVオゾン処理を施したガラスを5分間浸漬した後、取り出して乾燥せしめシランカップリング剤処理層を形成した。
(官能基含有層の形成)
次に2官能チオール化合物である1,4ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(昭和電工株式会社製 カレンズMT(登録商標) BD1):0.6g、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−30):0.05gをトルエン150g中に溶解した溶液に70℃で10分間浸漬した後に引き揚げて乾燥した。このようにして、化学結合可能な官能基を三次元方向に延ばした。
(2)セラミック、超薄板ガラス
前記ウェットブラスト処理を施したセラミック、UVオゾン処理を施した超薄板ガラスに官能基付与処理を行った。
(シランカップリング剤処理層の形成)
次に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製 KBM−903;シランカップリング剤)0.5gを工業用エタノール100gに溶解せしめてなる70℃のシランカップリング剤溶液中に、前記ウェットブラスト処理を施したセラミック、UVオゾン処理を施した超薄板ガラスを5分間浸漬した後、取り出して乾燥せしめシランカップリング剤処理層を形成した。
(官能基含有層の形成)
次に2−イソシアネトエチルメタクリレート(昭和電工株式会社製 カレンズMOI(登録商標)):1.2g、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP−30):0.05gをトルエン150g中に溶解した溶液に70℃で5分間浸漬した後に引き揚げて乾燥した。このようにして、メタアクリロイル基を三次元方向に延ばした。
Figure 0006923765
[試験片1〜4の作製及び接合強度評価:実施例1−4、比較例1−4]
<プライマー層形成用の現場重合型樹脂組成物−1の調製>
2官能型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)1001」)100g、ビスフェノールS6.2g、及びトリフェニルホスフィン0.4gを、トルエン197g中に溶解して、現場重合型樹脂組成物−1(現場重合型熱可塑性エポキシ樹脂組成物)を調製した。
<プライマー層形成用の現場重合型樹脂組成物−2の調製>
メチルメタクリレート:80g、スチレン:10g、ポリメチルメタクリレート:10g、パーブチルO:1gからなる現場重合型樹脂組成物−2(現場重合型ラジカル重合性樹脂組成物)を調製した。
<複合積層体>
前記官能基含有層を形成したCFRP(以下、表面処理CFRP基材という)、前記官能基含有層を形成したガラス(以下、表面処理ガラス基材という)のそれぞれの片面の表面に、乾燥後の厚さが40μmになるように現場重合型樹脂組成物−1をスプレー法にて塗布した。空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、150℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷して、熱可塑性エポキシ樹脂からなるプライマー層を形成した表面処理CFRP基材(以下、複合積層体1)及び熱可塑性エポキシ樹脂からなるプライマー層を形成した表面処理ガラス基材(以下、複合積層体2)を作製した。
前記官能基含有層を形成したセラミック(以下、表面処理セラミック基材という)の表面に、乾燥後の厚さが30μmになるように現場重合型樹脂組成物−2を塗布しPETフィルムを被せて100℃の炉中に30分間放置してラジカル重合反応を行ない常温に戻して、ラジカル重合性樹脂からなるプライマー層を形成した表面処理セラミック基材(以下、複合積層体3)を作製した。
前記プライマー層を形成した面をプライマー面、プライマー層を形成していない面をプライマー無し面という。下記表2においてプライマー層を有さない面を(無)と表記する。
〔実施例1〕
複合積層体1(表面処理CFRP基材+プライマー層)のプライマー面に、接合対象であるポリエーテルイミド:PEI(SABIC社製「Ultem1040」)を、射出成形機(住友重機械工業株式会社製「SE100V」;シリンダー温度350℃、金型温度150℃、射出速度50mm/sec、保圧160MPa/13sec、冷却時間15sec)にて射出成形で溶着することにより、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片1:CFRP-ポリエーテルイミド接合体(CFRP:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を作製した。
〔実施例2〕
複合積層体2(表面処理ガラス基材+プライマー層)のプライマー面に、接合対象であるポリカーボネート:PC(SABIC社製「Makrolom2405」)を、射出成形機(住友重機械工業株式会社製「SE100V」;シリンダー温度280℃、金型温度80℃、射出速度100mm/sec、保圧60MPa/10.4sec、冷却時間30sec)にて射出成形で溶着することにより、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片2:ガラス-ポリカーボネート接合体(ガラス:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を作製した。
〔実施例3〕
複合積層体2(表面処理ガラス基材+プライマー層)のプライマー面に、接合対象であるポリメチルメタクリレート:PMMA(三菱ケミカル株式会社製「アクリペットVH001」)を、射出成形機(住友重機械工業株式会社製「SE100V」;シリンダー温度250℃、金型温度80℃、射出速度100mm/sec、保圧60MPa/4sec、冷却時間15sec)にて射出成形で溶着することにより、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片3:ガラス-ポリメチルメタクリレート接合体(ガラス:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を作製した。
〔実施例4〕
複合積層体3(表面処理セラミック基材+プライマー層)のプライマー面に、接合対象であるポリエーテルイミド:PEI(SABIC社製「Ultem1040」)を、射出成形機(住友重機械工業株式会社製「SE100V」;シリンダー温度350℃、金型温度150℃、射出速度50mm/sec、保圧160MPa/13sec、冷却時間15sec)にて射出成形で溶着することにより、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片4:セラミック-ポリエーテルイミド接合体(セラミック:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を作製した。
〔比較例1〕
官能基含有層の形成は行わず、シランカップリング剤処理層の形成を行ったCFRPに、実施例1と同様にプライマー層を形成し、そのプライマー面に、実施例1と同様にPEIを射出成型で溶着することにより、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片5:CFRP-ポリエーテルイミド接合体(CFRP:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を作製した。
〔比較例2〕
官能基含有層の形成は行わず、シランカップリング剤処理層の形成を行ったガラスに、実施例2と同様にプライマー層を形成し、そのプライマー面に、実施例2と同様にPCを射出成型で溶着することにより、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片6:ガラス-ポリカーボネート(ガラス:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を作製した。
〔比較例3〕
官能基含有層の形成は行わず、シランカップリング剤処理層の形成を行ったガラスに、実施例2と同様にプライマー層を形成し、そのプライマー面に、実施例3と同様にPMMAを射出成型で溶着することにより、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片7:ガラス-ポリメチルメタクリレート接合体(ガラス:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を作製した。
〔比較例4〕
官能基含有層の形成の形成は行わず、シランカップリング剤処理層の形成を行ったセラミックに、実施例4と同様にプライマー層を形成した面に、実施例4と同様にPEIを射出成型で溶着することにより、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片8: セラミック-ポリエーテルイミド接合体(セラミック:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を作製した。
<接合強度評価>
試験片1〜8について、常温で1日間放置後、ISO19095 1−4に準拠して、引張試験機(株式会社島津製作所製 万能試験機オートグラフ「AG−IS」;ロードセル10kN、引張速度10mm/min、温度23℃、50%RH)にて引張剪断接合強度試験を行い、引張剪断接合強度を測定した。測定結果を初期強度として下記表2に示す。
また、試験片1〜8について、60℃温水中に1週間、1ヶ月、3ヶ月間浸漬し、それぞれ、同じ手法で引張剪断接合強度試験を行った。測定結果を下記表2に示す。
Figure 0006923765
[試験片9〜12の作製及び接合強度評価:実施例5−6、比較例5−6]
〔実施例5〕
実施例2と同様の射出成型でガラスと接合してないPCのみの射出成形体1(10mm×45mm×3mm)を作製した。
次に複合積層体2(表面処理ガラス基材+プライマー層)のプライマー面に、射出成形体1を接合部が5mm×10mmとなるように重ね合わせた状態で、精電舎電子工業(株)製超音波溶着機SONOPET−J II 430T−M(28.5KHz)を使用して超音波溶着することにより、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片9:ガラス-ポリカーボネート接合体(ガラス:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を作製した。
〔実施例6〕
実施例3と同様の射出成型でガラスと接合してないPMMAのみの射出成形体2(10mm×45mm×3mm)を作製した。
次に複合積層体2(表面処理ガラス基材+プライマー層)のプライマー面に、射出成形体2を接合部が5mm×10mmとなるように重ね合わせた状態で、精電舎電子工業(株)製超音波溶着機SONOPET−J II 430T−M(28.5KHz)を使用して超音波溶着することにより、ISO19095に準拠した引張試験用の試験片10:ガラス-PMMA接合体(ガラス:18mm×45mm×1.5mm、樹脂:10mm×45mm×3mm、接合部長さ:5mm)を作製した。
〔比較例5〕
実施例5で使用した複合積層体2(表面処理ガラス基材+プライマー層)に代えて、比較例2で使用した複合積層体(官能基含有層の形成は行わず、シランカップリング剤処理層の形成を行ったガラスに、実施例2と同様にプライマー層を形成した複合積層体)を使用した以外は、実施例5と全く同じ操作で超音波溶着の引張試験用の試験片11を作製した。
〔比較例6〕
実施例6で使用した複合積層体2(表面処理ガラス基材+プライマー層)に代えて、比較例3で使用した複合積層体(官能基含有層の形成は行わず、シランカップリング剤処理層の形成を行ったガラスに、実施例2と同様にプライマー層を形成した複合積層体)を使用した以外は、実施例6と全く同じ操作で超音波溶着の引張試験用の試験片12を作製した。
<接合強度評価>
試験片9〜12について、常温で1日間放置後、ISO19095 1−4に準拠して、引張試験機(株式会社島津製作所製 万能試験機オートグラフ「AG−IS」;ロードセル10kN、引張速度10mm/min、温度23℃、50%RH)にて引張剪断接合強度試験を行い、引張剪断接合強度を測定した。測定結果を初期強度として下記表3に示す。
また、試験片9〜12について、60℃温水中に1週間、1ヶ月、3ヶ月間浸漬し、それぞれ、同じ手法で引張剪断接合強度試験を行った。測定結果を下記表2に示す。
Figure 0006923765
[試験片13、14の作製及び耐久性試験:実施例7、比較例7]
〔実施例7〕
<プライマー層形成用の現場重合型樹脂組成物−3の調製>
2官能型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製「jER(登録商標)1001」)100g、2官能チオール化合物1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(昭和電工株式会社製「カレンズMT(登録商標) BD1」)16.5g、及び2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール DMP−30:4.6gを、トルエン216g中に溶解して、現場重合型樹脂組成物−3(現場重合型熱可塑性エポキシ樹脂組成物)を調製した。
<複合積層体>
前記官能基含有層を形成した超薄板ガラス(以下、表面処理超薄板ガラス基材という)の表面に、乾燥後の厚さが2μmになるように現場重合型樹脂組成物−3をスプレー法にて塗布した。空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、80℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷して、熱可塑性エポキシ樹脂からなる現場重合型プライマー層を形成した表面処理超薄板ガラス基材(以下、複合積層体4)を作製した。前記現場重合型プライマー層を形成した面を現場重合型プライマー面という。
<試験片の作製>
前記コロナ放電処理を施した樹脂フィルム(以下、コロナ放電処理樹脂フィルムという)の片面の表面に、乾燥後の厚さが2μmになるように現場重合型樹脂組成物−3をスプレー法にて塗布した。空気中に常温で30分間放置することによって溶剤を揮発させた後、80℃の炉中に30分間放置して重付加反応を行い、常温まで放冷して、熱可塑性エポキシ樹脂からなる現場重合型プライマー層を形成した。前記現場重合型プライマー層を形成した面を現場重合型プライマー面という。
前記複合積層体4(表面処理超薄板ガラス基材+プライマー層)の前記現場重合型プライマー面と、コロナ放電処理樹脂フィルムの前記現場重合型プライマー面を合わせ、卓上ヒートシーラー(石崎電機製作所製NL−202JW−10)を使用して溶着することにより、ISO29862(2007)に準拠した180°剥離試験用の試験片13:超薄板ガラスアクリル樹脂フィルム接合体(超薄板ガラス:24mm×300mm×50μm、樹脂フィルム:24mm×300mm×50μm、接合部長さ:275mm)を作製した。
〔比較例7〕
<プライマー層の形成>
実施例7で使用した表面処理超薄板ガラス基材に代えて、官能基含有層の形成は行わず、シランカップリング剤処理層の形成を行った超薄板ガラスを使用した以外は、実施例7と全く同じ操作で超音波溶着の引張試験用の試験片14を作製した。
<耐久性試験>
試験片13、14を、60℃温水中に1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月間浸漬し、ピール強度を測定した。測定結果を表4に示す。
Figure 0006923765
本発明に係る表面処理基材は、例えば、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)材等の他の材料(部品等)と接合一体化されて、例えば、自動車用部品(ドアサイドパネル、ルーフ、ブレーディング、Aピラー、Bピラー等)等として用いられる。また、本発明に係る表面処理基材は、例えば、ポリカーボネート成形体と接合一体化されて、例えば、スマートフォンの構造体等として用いられるが、特にこれら例示の用途に限定されるものではない。
1 基材
2 表面処理層
21 シランカップリング剤処理層
22 官能基含有層
3 表面処理基材
4 前処理により形成された微細な凹凸
5 複合積層体
6 プライマー層
7 接合体
8 有機材料

Claims (8)

  1. 繊維強化プラスチック、ガラス及びセラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる基材とその表面に表面処理層とを有する表面処理基材であって、
    前記表面処理層が、前記基材にシランカップリング剤による処理を施してなるシランカップリング剤処理層と、イソシアネート化合物、チオール化合物、エポキシ化合物、及びアミノ化合物からなる群より選ばれる一種以上の化合物を、前記シランカップリング剤が有する官能基と反応させてなり、前記化合物に由来の官能基を有する官能基含有層を含む表面処理基材に、1層又は複数層のプライマー層が形成されてなる、複合積層体であって、
    前記プライマー層は、前記官能基含有層側の表面に、形成され、
    前記プライマー層が、前記官能基含有層に含まれている官能基と反応する基を有する硬化性樹脂硬化物からなる、複合積層体。
  2. 繊維強化プラスチック、ガラス及びセラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる基材とその表面に表面処理層とを有する表面処理基材であって、
    前記表面処理層が、前記基材にシランカップリング剤による処理を施してなるシランカップリング剤処理層と、イソシアネート化合物、チオール化合物、エポキシ化合物、及びアミノ化合物からなる群より選ばれる一種以上の化合物を、前記シランカップリング剤が有する官能基と反応させてなり、前記化合物に由来の官能基を有する官能基含有層を含む表面処理基材に、1層又は複数層のプライマー層が形成されてなる、複合積層体であって、
    前記プライマー層は、前記官能基含有層側の表面に、形成され、
    前記プライマー層が、前記官能基含有層に含まれている官能基と反応する基を有する熱可塑性樹脂を形成するモノマー組成物の重付加反応物又はラジカル重合反応物からなる、複合積層体。
  3. 請求項1又は2に記載の複合積層体のプライマー層と、有機材料とが直接又は接着剤を介して接合一体化されてなる、接合体。
  4. 前記有機材料が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、無機強化材入り熱可塑性樹脂、無機強化材入り熱硬化性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載の接合体。
  5. 繊維強化プラスチック、ガラス及びセラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる基材とその表面に表面処理層とを有する表面処理基材であって、
    前記表面処理層が、前記基材にシランカップリング剤による処理を施してなるシランカップリング剤処理層と、イソシアネート化合物、チオール化合物、エポキシ化合物、及びアミノ化合物からなる群より選ばれる一種以上の化合物を、前記シランカップリング剤が有する官能基と反応させてなり、前記化合物に由来の官能基を有する官能基含有層を含む表面処理基材の前記官能基含有層の表面で、重付加反応又はラジカル重合反応を行い、熱可塑性樹脂からなるプライマー層を形成する、複合積層体の製造方法。
  6. 繊維強化プラスチック、ガラス及びセラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる基材とその表面に表面処理層とを有する表面処理基材であって、
    前記表面処理層が、前記基材にシランカップリング剤による処理を施してなるシランカップリング剤処理層と、イソシアネート化合物、チオール化合物、エポキシ化合物、及びアミノ化合物からなる群より選ばれる一種以上の化合物を、前記シランカップリング剤が有する官能基と反応させてなり、前記化合物に由来の官能基を有する官能基含有層を含む表面処理基材の前記官能基含有層の表面に、接着剤層を形成し、該接着剤層の上に、射出成形、圧縮成形、及びハンドレイアップ成形からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で、有機材料を接合一体化する、接合体の製造方法。
  7. 繊維強化プラスチック、ガラス及びセラミックからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる基材とその表面に表面処理層とを有する表面処理基材であって、
    前記表面処理層が、前記基材にシランカップリング剤による処理を施してなるシランカップリング剤処理層と、イソシアネート化合物、チオール化合物、エポキシ化合物、及びアミノ化合物からなる群より選ばれる一種以上の化合物を、前記シランカップリング剤が有する官能基と反応させてなり、前記化合物に由来の官能基を有する官能基含有層を含む表面処理基材の前記官能基含有層の表面に、超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導法、高周波法、レーザー法、熱プレス法からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で、有機材料を接合一体化する、接合体の製造方法。
  8. 請求項1又は2に記載の複合積層体のプライマー層の上に、超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導法、高周波法、レーザー法、熱プレス法、射出成形、圧縮成形、及びハンドレイアップ成形からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で、有機材料を接合一体化する、接合体の製造方法。
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