JP2013103104A - タフテッドカーペット裏打用接着剤と難燃性タフテッドカーペット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱溶融性合成繊維糸条を経糸と緯糸に用いて織成された一次基布にナイロンパイルが植設されたタフテッドパイル布帛の裏面に、水酸化アルミニウムと耐熱非溶融繊維と熱膨脹性黒鉛を高分子エマルジョンに配合して成り、その高分子エマルジョンの主成分である高分子物質100重量部に対する水酸化アルミニウムの配合量が100重量部以上となる裏打用接着剤を塗布すると共に、ナイロンパイルにグアニルスルフォアミド化合物を主材とする難燃剤を付与する。耐熱非溶融繊維には、セルロース繊維をリン系難燃剤によって難燃化して用いるとよい。
【選択図】図3
Description
ところで、繊維糸条が長さ方向に縦割れし易いことからタフティング時にニードルに対する抵抗が少なく、その縦割れした隙間にパイルが挟まれて安定に保持され、他の繊維に比して比重が少なくタフテッドカーペットの軽量化に適する等の利便性から、ポリプロピレンを素材とする扁平率10以上の扁平断面のテープヤーンを経糸と緯糸に用いたポリプロピレン織物がタフテッドカーペットの一次基布に使用されている(例えば、特許文献4参照)。
そして更に燃焼試験が進むと、破れ穴17の周縁18、特に破れ穴17の上側周縁19が着炎し、破れ穴17の上側周縁19の延焼が試験片20の上縁21に到るまで拡大し、その試験片20は鉄道技術局難燃規格において不合格と判定されることになる。
特に、ポリプロピレンは、ポリエステルその他の熱溶融性合成繊維に比して融点が低いことから、一次基布にポリプロピレンを用い、パイルにナイロンを用いたナイロンパイルタフテッドカーペットでは、破れ穴17の周縁18が燃え拡がり易い。
加えて、鉄道技術局難燃規格に規定される難燃性能は、全てのタフテッドカーペットに要求される訳ではないので、その一部のタフテッドカーペットに要求される難燃性能の故に難燃処理の施された特別仕様の一次基布を用意することは経済的ではなく、本発明が解決しようとする課題の解決手段としては問題にもならない。
そして、そのリン系難燃剤に難燃化された難燃性セルロース繊維は、鉄道技術局難燃規格に基づく燃焼試験の燃焼過程で炭化するとしても溶融することなく繊維としての形態を維持し、熱溶融性合成繊維糸条16の熱溶融を阻害する防融効果を発揮する。
従って本発明によると、難燃性タフテッドカーペットを経済的に得ることが出来る。
従って、本発明は、難燃性能の要求される小ロットのタフテッドカーペットの生産に適し、難燃性タフテッドカーペットを経済的に得る上で頗る実用的である。
そのように、一次基布にポリプロピレンテープヤーンが推奨されるのは、ポリプロピレンの融点がポリエステルその他の熱溶融性合成繊維の融点に比して低く、鉄道技術局難燃規格の燃焼試験において熱溶融し易いが故に、本発明による効果は、ポリプロピレンテープヤーンに成る一次基布に防融効果として顕著に生じることにもよる。
ポリプロピレンは一種のポリオレフィンであるから、ポリプロピレンに代えてポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル・コポリマーを一次基布に適用することも出来る。
タフテッドパイル布帛の一次基布やパイル繊維に対する接着性や、カーペット裏打用接着剤に配合する水酸化アルミニウムや耐熱非溶融繊維に対する接着性、或いは、一次基布とパイル繊維の間の接着強度、カーペット裏打用接着剤の塗膜の強度や耐久性等の点で、カーペット裏打用接着剤の主成分である高分子エマルジョンには、アクリル樹脂エマルジョンを用いることが望ましい。
そのセルロース繊維の繊度は、0.01dtex(繊維径1μm)〜13dtex(繊維径35μm)にし、その繊維長は0.3〜7mmに、好ましくは0.3〜2mmにし、カーペット裏打用接着剤の塗膜の中で網目構造を形成するようにする。
リン系難燃剤は、タフテッドカーペット裏打用接着剤に配合されるセルロース繊維を難燃化するためにタフテッドカーペット裏打用接着剤に配合されるので、リン系難燃剤のタフテッドカーペット裏打用接着剤に対する配合量は、タフテッドカーペット裏打用接着剤に配合されるセルロース繊維の配合量に応じて加減される。
このようにセルロース繊維を配合して調製された標準的カーペット裏打用接着剤は、ポリプロピレンテープヤーンを経糸と緯糸に用いて織成された目付け80〜120g/m2 の一次基布にパイルの植設されたパイル目付け800〜1100g/m2 のタフテッドパイル布帛の裏面に、固形分塗着量を550〜650g/m2 に設定して塗布される。
熱膨脹性黒鉛の粒径は50〜100μmにすればよい。
そのように熱膨脹性黒鉛の粒径を100μm以下とするのは、カーペット裏打用接着剤の塗膜によって、タフテッドカーペットがあまり硬くならないようにするためである。
熱膨脹性黒鉛の配合量を50P.H.R.以下とするのは、タフテッドカーペットの燃焼試験において、カーペット裏打用接着剤の塗膜があまりにも嵩高に発泡し、タフテッドカーペットの燃焼面から剥離脱落してしまわないようにするためである。
タフテッドカーペット裏打用接着剤には、水酸化アルミニウム(Al2 O3 ・3H2 O)に加えて他の結晶水を保有する無機金属水酸化物、例えば脱水温度が100〜600℃の水酸化マグネシウム(Mg(OH)2 )、硫酸カルシウム(CaSO4 ・2H2 O)、亜硫酸カルシウム、水酸化カルシウム(Ca(OH)2 )、塩基性炭酸マグネシウム(3MgCO3 ・Mg(OH)2 ・3H2 O〜4MgCO3 ・Mg(OH)2 ・4H2 O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2 ・9H2 O)を配合することが出来る。
燃焼試験は、鉄道技術局難燃規格に従ってタフテッドカーペットから幅182mm×長さ257mmの試験片を採取し、パイル面を下向きに45度傾斜させて試験片を支持し、その試験片の下面中心の垂直下方1吋の位置にエチルアルコールを0.5cc注入された容器を設置し、そのエチルアルコールに着火し、そのエチルアルコールの燃焼中に、エチルアルコールの炎が試験片に着炎し、その着炎した炎が試験片の上端に達しても、その試験片の発煙状態が普通であり、エチルアルコールの燃焼後には試験片の上端まで試験片が炭化していても、又、試験片に局部的貫通穴が認められても、試験片に残炎も残燼も認められない場合、その試験片は、燃焼試験において難燃性能を有し合格と判定される。
繊度440dtexのポリプロピレンテープヤーン(偏平断面モノフィラメント)を経糸とし、繊度1045dtexのポリプロピレンテープヤーン(偏平断面モノフィラメント)を緯糸として織成された経糸密度22本/(25.4mm)、緯糸密度16本/(25.4mm)、目付け100g/m2 の一次基布に総繊度2750dtexのナイロンマルチフィラメント・パイル糸を幅方向に1/10(インチ・ゲージ)のニードルゲージを持って配列されたニードルにより、長さ方向に11.7(ステッチ/10cm)のステッチ間隔をもってパイルを植設したパイル長4mm、パイル目付け950g/m2 のタフテッドパイル布帛の裏面に、アクリル樹脂エマルジョンにその主成分であるアクリル樹脂固形分100重量部に対して平均粒径2μmの水酸化アルミニウム230P.H.R.と、平均粒径50μmの熱膨脹性黒鉛25P.H.R.と、繊維長500μm・繊度0.1dtex(繊維径3.1μm)のセルロース繊維10P.H.R.と、ポリリン酸アンモニウム15P.H.R.を配合して固形分濃度50重量%に調製したタフテッドカーペット裏打用接着剤を乾燥塗布量を600g/m2 に設定して塗布すると同時に、パイル面に純分濃度35%のグアニルスルフォアミド化合物溶液を35g/m2 (乾燥付着量)散布し、テンターに通して加熱乾燥し、ナイロンパイルタフテッドカーペットを仕上げた。
実施例1で使用のタフテッドパイル布帛の裏面に、アクリル樹脂エマルジョンにその主成分であるアクリル樹脂固形分100重量部に対して平均粒径2μmの水酸化アルミニウム230P.H.R.と、ポリリン酸アンモニウム15P.H.R.を配合して固形分濃度50重量%に調製したタフテッドカーペット裏打用接着剤を乾燥塗布量を600g/m2 に設定して塗布すると同時に、パイル面に純分濃度35%のグアニルスルフォアミド化合物溶液を35g/m2 (乾燥付着量)散布し、テンターに通して加熱乾燥し、ナイロンパイルタフテッドカーペットを仕上げた。
実施例1で使用のタフテッドパイル布帛の裏面に、アクリル樹脂エマルジョンにその主成分であるアクリル樹脂固形分100重量部に対して平均粒径2μmの水酸化アルミニウム230P.H.R.と、平均粒径50μmの熱膨脹性黒鉛25P.H.R.と、ポリリン酸アンモニウム15P.H.R.を配合して固形分濃度50重量%に調製したタフテッドカーペット裏打用接着剤を乾燥塗布量を600g/m2 に設定して塗布すると同時に、パイル面に純分濃度35%のグアニルスルフォアミド化合物溶液を35g/m2 (乾燥付着量)散布し、テンターに通して加熱乾燥し、ナイロンパイルタフテッドカーペットを仕上げた。
実施例1で使用のタフテッドパイル布帛の裏面に、アクリル樹脂エマルジョンにその主成分であるアクリル樹脂固形分100重量部に対して平均粒径2μmの水酸化アルミニウム230P.H.R.と、繊維長500μm・繊度0.1dtex(繊維径3.1μm)のセルロース繊維10P.H.R.と、ポリリン酸アンモニウム15P.H.R.を配合して固形分濃度50重量%に調製したタフテッドカーペット裏打用接着剤を乾燥塗布量を600g/m2 に設定して塗布すると同時に、パイル面に純分濃度35%のグアニルスルフォアミド化合物溶液を35g/m2 (乾燥付着量)散布し、テンターに通して加熱乾燥し、ナイロンパイルタフテッドカーペットを仕上げた。
尚、(表1)の裏打用接着剤組成分の欄に示すデータ数値の単位は、重量部である。
(表1)に示す通り、実施例に係るタフテッドカーペットは、その一次基布が低融点で熱溶融し易いポリプロピレンテープヤーンに成るものであっても、鉄道技術局難燃規格の燃焼試験において一次基布に破れ穴が発生せず『合格』と判定された。
(表1)に示す通り、水酸化アルミニウムを配合した従来の裏打用接着剤にリン系難燃剤(ポリリン酸アンモニウム)を追加配合しても、耐熱非溶融繊維(セルロース繊維)と熱膨脹性黒鉛の何れか一方または双方を欠く裏打用接着剤を塗布した比較例1〜3に係るタフテッドカーペットは、何れも鉄道技術局難燃規格の燃焼試験において破れ穴が発生して試験片が全焼し『不合格』と判定された。
S :ステッチ方向
11:熱変形物
12:一次基布
13:畝
14:経糸
15:緯糸
16:テープヤーン
17:破れ穴
18:周縁
19:上側周縁
20:試験片
21:上縁
22:耐熱非溶融繊維(難燃化されている難燃性セルロース繊維)
23:接炎箇所
Claims (7)
- 高分子エマルジョンに水酸化アルミニウムと耐熱非溶融繊維と熱膨脹性黒鉛を配合して成り、高分子エマルジョンの主成分である高分子物質100重量部に対する水酸化アルミニウムの配合量が100重量部以上であるタフテッドカーペット裏打用接着剤。
- 耐熱非溶融繊維がリン系難燃剤によって難燃化されている難燃性セルロース繊維である請求項1に記載のタフテッドカーペット裏打用接着剤。
- 難燃性セルロース繊維の繊度が0.01dtex〜13dtexである請求項2に記載のタフテッドカーペット裏打用接着剤。
- 熱膨脹性黒鉛の粒径が50μm〜100μmである請求項1と2の何れかに記載のタフテッドカーペット裏打用接着剤。
- 水酸化アルミニウムの粒径が1〜5μmである請求項1〜4の何れかに記載のタフテッドカーペット裏打用接着剤。
- 熱溶融性合成繊維を素材とする繊維糸条を経糸と緯糸に用いて織成された一次基布にナイロンを主材とするパイルが植設されたタフテッドパイル布帛の裏面に、高分子エマルジョンに水酸化アルミニウムと耐熱非溶融繊維と熱膨脹性黒鉛を配合して成り、高分子エマルジョンの主成分である高分子物質100重量部に対する水酸化アルミニウムの配合量が100重量部以上であるタフテッドカーペット裏打用接着剤を塗布して構成され、ナイロンパイルにグアニルスルフォアミド化合物を主材とする難燃剤が付与されている難燃性タフテッドカーペット。
- 一次基布の素材がポリプロピレンであり、一次基布がポリプロピレンを素材とする扁平断面のポリプロピレンテープヤーンを経糸と緯糸に用いて織成されており、タフテッドカーペット裏打用接着剤には耐熱非溶融繊維と共にリン系難燃剤が配合されており、そのリン系難燃剤と共にタフテッドカーペット裏打用接着剤に配合されている耐熱非溶融繊維が、その共に配合されているリン系難燃剤によって難燃化されている難燃性セルロース繊維である請求項6に記載の難燃性タフテッドカーペット。
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