JP2021014784A - 防火区画の形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
1.積層体を空間の仕切りに用いて防火区画を形成する方法であり、
上記積層体は、空間に吊り下げて設置され、
上記積層体は、熱発泡性樹脂シート(A)の一方の面側に、目付け100g/m2以上2000g/m2以下、厚み0.1〜5mmの無機繊維シート(B)、
上記熱発泡性樹脂シート(A)のもう一方の面側に、目付け100g/m2未満、厚み0.01〜3mmの無機繊維シート(C)、
が配置されていることを特徴とする防火区画の形成方法。
2.上記無機繊維シート(B)が、織物であることを特徴とする1.に記載の防火区画の形成方法。
3.上記無機繊維シート(C)が、組布及び/または不織布であることを特徴とする1.または2.に記載の防火区画の形成方法。
4.上記熱発泡性樹脂シート(A)が、熱可塑性樹脂、難燃剤、発泡剤、炭化剤、及び充填剤を含むことを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の防火区画の形成方法。
2.無機繊維シート(B)
3.無機繊維シート(C)
上記積層体は、空間に吊り下げて設置され、
上記積層体は、熱発泡性樹脂シート(A)の一方の面側に目付け100g/m2以上2000g/m2以下の無機繊維シート(B)、熱発泡性樹脂シート(A)のもう一方の面側に目付け100g/m2未満の無機繊維シート(C)が配置されていることを特徴とするものである。なお、目付けとは、単位面積あたりの質量のことをいう。
本発明の熱発泡性樹脂シート(A)とは、通常は薄膜であるが、火災等により周辺温度が所定の温度に達すると発泡し、炭化断熱層を形成するものである。本発明の熱発泡性樹脂シート(A)としては、熱可塑性樹脂、難燃剤、発泡剤、炭化剤、及び充填剤等を含むことが好ましい。これらの各成分は、火災発生時において、相互の複合作用によりシートの膨張、炭化断熱層形成、不燃性ガスの発生等の機能を発現することにより、優れた断熱性、耐熱保護性を発揮することができる。
本発明の無機繊維シート(B)は、目付けが100g/m2以上2000g/m2以下(好ましくは200g/m2以上1500g/m2以下)である。このような範囲であることにより、高い遮炎性を有するとともに、高温下に晒された場合でも、形状保持性に優れ、かつ高い強度を保持することができる。また、熱発泡性樹脂シート(A)が均一な厚みの断熱層を形成することができる。その作用機構は明らかではないが、火災時等の高温下に晒された場合、優れた強度を有する無機繊維シート(B)は熱発泡性樹脂シート(A)の基材として作用するため、熱発泡性樹脂シート(A)が一定方向に均一に発泡し断熱層を形成することができると推察される。
本発明の無機繊維シート(C)は、目付けが100g/m2未満(好ましくは5g/m2以上95g/m2以下、より好ましくは10g/m2以上90g/m2以下)である。このような範囲であることにより、火災時等の高温下において、熱発泡性樹脂シート(A)の発泡を阻害することなく、均一な厚みの断熱層を形成することができる。この作用機構は明らかではないが、無機繊維シート(C)を構成する繊維の間隙に発泡性樹脂シート(A)が入り込むため、熱発泡性樹脂シート(A)の樹脂成分が溶融状態になった場合でも、タレ等を防止することができ、さらに無機繊維シート(C)は軽量であるため、発泡性樹脂シート(A)の発泡を阻害することがない。その結果、均一な断熱層を形成することができると推察される。
本発明の積層体は、空間の仕切り、中でも建築物内部空間の仕切りに好適に用いられるものであり、上記熱発泡性樹脂シート(A)、上記無機繊維シート(B)、及び上記無機繊維シート(C)が積層されたものである。具体的には、図1に示すように、それぞれ1枚のシートで構成される場合は、熱発泡性樹脂シート(A)の一方の面側に無機繊維シート(B)、もう一方の面側に無機繊維シート(C)が配置されている態様[(B)/(A)/(C)]を有するものである。
(1)(B)/(A)/(C)
(2)(B)/(A’)/(A)/(C)
(3)(B)/(C’)/(A)/(C)
(4)(B)/(C’)/(A’)/(A)/(C)
(5)(C’)/(B)/(A)/(C)
(6)(C’)/(A’)/(B)/(A)/(C)
(7)(A’)/(C’)/(B)/(A)/(C)
(8)(B’)/(B)/(A)/(C)
等が挙げられる。なお、上記(A’)、(B’)、(C’)は各シートの2層目を示したものである。
また、(C)を2層以上使用する場合、(A)の両面に(C)を配置し、さらにその一方の面に(B)を配置することもできる(上記(3)、(4))。
さらに、(B)を2層以上使用する場合、積層体の両面が(B)となる態様(例えば、[(B’)/(A)/(B)]、[(B’)/(C)/(A)/(B)]等)は避けることが望ましい。
(I)接着剤を用いて積層する方法、
(II)熱発泡性樹脂シート(A)の製造時に圧着して積層する方法、
(III)上記(I)と上記(II)を組み合わせる方法、
等が挙げられる。
上記(I)、(III)の接着剤としては、公知のものを使用できるが、本発明では耐熱性接着剤を用いることが好ましい。また、上記(II)のような圧着とは、熱発泡性樹脂シート(A)と、無機繊維シート(B)及び/または無機繊維シート(C)を直接積層(隣接して積層)するものである。本発明では、特に熱発泡性樹脂シート(A)と無機繊維シート(C)は直接積層されていることが好ましい。これにより、本発明の効果をいっそう高めることができる。
・熱可塑性樹脂:酢酸ビニル/エチレン共重合樹脂(軟化温度66℃)
・発泡剤:メラミン
・炭化剤:ペンタエリスリトール
・難燃剤:ポリリン酸アンモニウム
・充填材:酸化チタン
・無機繊維シート(B1):シリカ繊維織物(目付け700g/m2、厚さ0.7mm、朱子織り、SiO2含有量97重量%)
・無機繊維シート(B2):シリカ繊維織物(目付け500g/m2、厚さ0.6mm、綾織り、SiO2含有量99重量%)
・無機繊維シート(B3):シリカ繊維織物(目付け1200g/m2、厚さ1.4mm、朱子織り、SiO2含有量99重量%)
・無機繊維シート(B4):シリカ―アルミナ繊維織物(目付け650g/m2、厚さ0.7mm、朱子織り、Al2O3含有率68%、SiO2含有量27重量%、B2O3含有量5%)
・無機繊維シート(B5):カーボン繊維織物(目付け410g/m2、厚さ0.8mm、平織り)
・無機繊維シート(C1):ガラス不織布(目付け30g/m2、厚さ0.25mm)
・無機繊維シート(C2):ガラス不織布(目付け60g/m2、厚さ0.4mm)
・無機繊維シート(C3):ガラス不織布(目付け85g/m2、厚さ0.6mm)
・無機繊維シート(C4):ガラス組布(メッシュ)(目付け15g/m2、厚さ0.2mm、目開き1〜2mm)
・有機繊維シート:ポリエステル不織布(目付け20g/m2、厚さ0.01mm)
(熱発泡性樹脂シート(A))
熱可塑性樹脂100重量部、発泡剤60重量部、炭化剤60重量部、難燃剤300重量部、充填剤75重量部を120℃に加温したニーダーで混練、圧延後、室温まで放冷し、膜厚1.5mmのシート状の熱発泡性樹脂シート(A)を得た。なお、原料としては以下のものを使用した。
(積層体1)
熱発泡性樹脂シート(A)の一方の面に無機繊維シート(B1)、もう一方の面に無機繊維シート(C1)を、 [(B1)/(A)/(C1)]となるように、アクリル系接着剤を用いて積層し、積層体1を得た。
熱発泡性樹脂シート(A)の圧延時に、無機繊維シート(C1)を積層し、膜厚1.5mmのシート状の熱発泡性樹脂シート(A)の一方の面に無機繊維シート(C1)が圧着された積層体(P1)([(C1)/(A)])を得た。
次いで、上記積層体(P1)と無機繊維シート(B1)を、[(B1)/(A)/(C1)]となるようにアクリル系接着剤を用いて積層し、積層体2を得た。
上記積層体(P1)2枚、及び無機繊維シート(B1)1枚を用い、[(C1)/(A)/(B1)/(A)/(C1)]となるように、(A)面と(B1)面をアクリル系接着剤で積層し、積層体3を得た。
上記積層体(P1)2枚、及び無機繊維シート(B1)1枚を用い、[(B1)/(C1)/(A)/(A)/(C1)]となるように、(B1)面と(C1)面、及び(A)面どうしをアクリル系接着剤で積層し、積層体4を得た。
上記積層体(P1)2枚、及び無機繊維シート(B)1枚を用い、[(B1)/(C1)/(A)/(C1)/(A)]となるように、(B1)面と(C1)面、及び(A)面と(C1)面をアクリル系接着剤で積層し、積層体5を得た。
上記積層体(P1)と無機繊維シート(B2)を、[(B2)/(A)/(C1)]となるようにアクリル系接着剤を用いて積層し、積層体6を得た。
上記積層体(P1)と無機繊維シート(B3)を、[(B3)/(A)/(C1)]となるようにアクリル系接着剤を用いて積層し、積層体7を得た。
上記積層体(P1)と無機繊維シート(B4)を、[(B4)/(A)/(C1)]となるようにアクリル系接着剤を用いて積層し、積層体8を得た。
上記積層体(P1)と無機繊維シート(B5)を、[(B5)/(A)/(C1)]となるようにアクリル系接着剤を用いて積層し、積層体9を得た。
熱発泡性樹脂シート(A)の圧延時に、無機繊維シート(C2)を積層し、膜厚1.5mmのシート状の熱発泡性樹脂シート(A)の一方の面に無機繊維シート(C2)が圧着された積層体(P2)([(C2)/(A)])を得た。
次いで、上記積層体(P2)と無機繊維シート(B1)を、[(B1)/(A)/(C2]となるようにアクリル系接着剤を用いて積層し、積層体10を得た。
熱発泡性樹脂シート(A)の圧延時に、無機繊維シート(C3)を積層し、膜厚1.5mmのシート状の熱発泡性樹脂シート(A)の一方の面に無機繊維シート(C3)が圧着された積層体(P3)([(C3)/(A)])を得た。
次いで、上記積層体(P3)と無機繊維シート(B1)を、[(B1)/(A)/(C3]となるようにアクリル系接着剤を用いて積層し、積層体11を得た。
熱発泡性樹脂シート(A)の圧延時に、無機繊維シート(C4)を積層し、膜厚1.5mmのシート状の熱発泡性樹脂シート(A)の一方の面に無機繊維シート(C4)が圧着された積層体(P4)([(C4)/(A)])を得た。
次いで、上記積層体(P4)と無機繊維シート(B1)を、[(B1)/(A)/(C4]となるようにアクリル系接着剤を用いて積層し、積層体12を得た。
予め、無機繊維シート(C4)と有機質繊維シートを積層した無機・有機複合繊維シート(C5)を得た。
熱発泡性樹脂シート(A)の圧延時に、無機・有機複合繊維シート(C5)を無機繊維が熱発泡性樹脂シート(A)側となるように積層し、膜厚1.5mmのシート状の熱発泡性樹脂シート(A)の一方の面に無機・有機複合繊維シート(C5)が圧着された積層体(P5)([(C5)/(A)])を得た。
次いで、上記積層体(P5)と無機繊維シート(B1)を、[(B1)/(A)/(C5]となるようにアクリル系接着剤を用いて積層し、積層体13を得た。
熱発泡性樹脂シート(A)の一方の面に無機繊維シート(B1)を、アクリル系接着剤を用いて積層し、積層体14[(B1)/(A)]を得た。
熱発泡性樹脂シート(A)の一方の面に無機繊維シート(C1)を、アクリル系接着剤を用いて積層し、積層体15[(C1)/(A)]を得た。
熱発泡性樹脂シート(A)の両面に無機繊維シート(C1)を、アクリル系接着剤を用いて積層し、積層体16[(C1)/(A)/(C1)]を得た。
熱発泡性樹脂シート(A)の両面に無機繊維シート(B1)を、アクリル系接着剤を用いて積層し、積層体17[(B1)/(A)/(B1)]を得た。
(加熱試験)
得られた積層体1の上端を、鋼材に固定して吊り下げたものを試験体1とし、ISO834の標準加熱曲線に準じて一定時間(1時間)加熱し、試験体を室温に冷却した後、試験体の形状を目視にて評価した。その結果、熱発泡性樹脂シート部分ではほぼ均一な炭化断熱層を形成し、優れた遮炎性、及び断熱性を示した。
試験例1の積層体1に代えて、積層体2〜17を用いた以外は、試験例1と同様にしてそれぞれ試験体2〜17を作製し、加熱試験を実施した(試験例2〜17)。
Claims (4)
- 積層体を空間の仕切りに用いて防火区画を形成する方法であり、
上記積層体は、空間に吊り下げて設置され、
上記積層体は、熱発泡性樹脂シート(A)の一方の面側に、目付け100g/m2以上2000g/m2以下、厚み0.1〜5mmの無機繊維シート(B)、
上記熱発泡性樹脂シート(A)のもう一方の面側に、目付け100g/m2未満、厚み0.01〜3mmの無機繊維シート(C)、
が配置されていることを特徴とする防火区画の形成方法。 - 上記無機繊維シート(B)が、織物であることを特徴とする請求項1に記載の防火区画の形成方法。
- 上記無機繊維シート(C)が、組布及び/または不織布であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防火区画の形成方法。
- 上記熱発泡性樹脂シート(A)が、熱可塑性樹脂、難燃剤、発泡剤、炭化剤、及び充填剤を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の防火区画の形成方法。
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