JP2019162941A - 鉄道車両用カーペット - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量で、耐久性に優れ、鉄道車両用の燃焼性に優れた鉄道車両用カーペットを提供することが目的である。【解決手段】本願発明の鉄道車両用カーペット1は、基布3の上面にパイル2が植設されてなるパイル布帛層4と、パイル布帛層4の下面に難燃剤を含有する樹脂層7と、を備えたカーペットであって、パイル2を構成する繊維がナイロン6・6繊維であり、パイル2の目付が450g/m2〜750g/m2であり、基布3はポリプロピレン繊維からなる織基布5と、織基布5の上面側又は下面側に難燃性を有する繊維ウェブ層6とが積層一体化されており、基布3の目付が160g/m2〜280g/m2であり、カーペット1の重量が980g/m2〜1300g/m2であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、鉄道車両に敷設されるカーペットに関する。
従来から、鉄道車両、バス、自動車用の内装材には、火災時の安全性を高めるために優れた難燃性を備えていることが求められている。
特許文献1においては、固形分換算で100重量部の被覆材と10〜150重量部の熱膨張性黒鉛を含む水性裏打ち材を布地の裏面に塗布して乾燥させた難燃性布地が開示されている。
なお、出願人は特許文献2を出願しており、パイル層が設けられた地組織の裏面にバッキング層が形成された難燃性布帛において、前記パイル層を構成するパイル糸が、ナイロン6・6繊維50〜90重量%と、非溶融繊維10〜50重量%との混紡糸からなり、前記地組織を構成する地糸が、ポリエステル繊維50〜90重量%と、非溶融繊維10〜50重量%との混合糸からなり、前記バッキング層が、難燃剤を含む樹脂組成物からなる難燃性パイル布帛を開示している。
特開2001−73275号公報 特開平8−209486号公報
特許文献1では、自動車用途の燃焼性には優れた効果を発揮することができる。しかしながら、鉄道車両用途で求められる表面層からの燃焼を抑制することができない恐れがある。
特許文献2では、鉄道車両の座席シート表皮材として、十分な引張強度を有し、耐摩耗性に優れ、良好な難燃性を有するパイル布帛を得ることができる。しかしながら、鉄道車両の床面に用いられるカーペットには、軽量性も求められている。
本発明は、かかる技術的背景を鑑みてなされたものであって、軽量で、耐久性に優れ、鉄道車両用の燃焼性に優れた鉄道車両用カーペットを提供することが目的である。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1] 基布の上面にパイルが植設されてなるパイル布帛層と、
該パイル布帛層の下面に難燃剤を含有する樹脂層と、を備えたカーペットであって、
前記パイルを構成する繊維がナイロン6・6繊維であり、
前記パイルの目付が450g/m〜750g/mであり、
前記基布は、ポリプロピレン繊維からなる織基布と、該織基布の上面側又は下面側に難燃性を有する繊維ウェブ層とが積層一体化されており、
前記基布の目付が160g/m〜280g/mであり、
前記カーペットの重量が980g/m〜1300g/mであることを特徴とする鉄道車両用カーペット。
[2] 前記繊維ウェブ層を構成する綿状繊維が、アクリル系難燃繊維、ポリアクリロニトリル系耐炎繊維、防炎レーヨン繊維、難燃ポリエステル繊維からなる群より選ばれる1ないし複数の繊維からなる前項1に記載の鉄道車両用カーペット。
[3] 前記織基布と前記繊維ウェブ層とがニードルパンチング法で一体化されている前項1又は2に記載の鉄道車両用カーペット。
[4] 前記パイル布帛層の少なくとも一部に難燃剤が付着している前項1〜3のいずれか1項に記載の鉄道車両用カーペット。
[1]の発明では、基布の上面にパイルが植設されてなるパイル布帛層と、パイル布帛層の下面に難燃剤を含有する樹脂層と、を備えたカーペットであって、パイルを構成する繊維がナイロン6・6繊維であり、パイルの目付が450g/m〜750g/mであり、基布はポリプロピレン繊維からなる織基布と、織基布の上面側又は下面側に難燃性を有する繊維ウェブ層とが積層一体化されており、基布の目付が160g/m〜280g/mであり、カーペットの重量が980g/m〜1300g/mであるから、軽量で、耐久性に優れ、鉄道車両用の燃焼性に優れた鉄道車両用カーペットを提供することができる。
[2]の発明では、繊維ウェブ層を構成する綿状繊維が、アクリル系難燃繊維、ポリアクリロニトリル系耐炎繊維、防炎レーヨン繊維、難燃ポリエステル繊維からなる群より選ばれる1ないし複数の繊維からなるから、鉄道車両用の燃焼性を向上させることができる。
[3]の発明では、織基布と繊維ウェブ層とがニードルパンチング法で一体化されているから、鉄道車両用の燃焼性を向上させることができる。
[4]の発明では、パイル布帛層の少なくとも一部に難燃剤が付着しているから、鉄道車両用の燃焼性を向上させることができる。
本発明に係る鉄道車両用カーペットの一実施形態を示す断面図である。 本発明に係る鉄道車両用カーペットの他の一実施形態を示す断面図である。
本発明に係る鉄道車両用カーペットの一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態の鉄道車両用カーペット1は、基布3の上面にパイル2が植設されてなるパイル布帛層4と、パイル布帛層4の下面に難燃剤を含有する樹脂層7と、を備えたカーペットであって、パイル2を構成する繊維がナイロン6・6繊維であり、パイル2の目付が450g/m〜750g/mであり、基布3はポリプロピレン繊維からなる織基布5と、織基布5の上面側又は下面側に難燃性を有する繊維ウェブ層6とが積層一体化されており、基布3の目付が160g/m〜280g/mであり、カーペット1の重量が980g/m〜1300g/mであることを特徴とする。図1は織基布5の下面側に難燃性を有する繊維ウェブ層6がある場合を示した断面図である。
図2は、織基布5の上面側に難燃性を有する繊維ウェブ層6がある場合を示した断面図である。
前記パイル布帛層4は、織基布5と繊維ウェブ層6とからなる基布3の上面にパイル2が植設されてなる。
前記パイル2の目付としては、450g/m〜750g/mであることが必要である。450g/m未満では燃焼性、耐久性が得られず、750g/mを超えても重量が重くなるため、好ましくない。中でも、550g/m〜650g/mであることがより好ましい。
前記パイル2を構成する繊維がナイロン6・6繊維である必要がある。前記パイル2を構成する繊維をナイロン6・6繊維にすることで、耐久性を向上させることができると共に、難燃性を向上させることができる。
前記パイル2の形態は、特に限定されるものではないが、ループパイルであることが好ましい。
前記パイル2を構成する繊維の太さとしては、2000dtex〜3000dtexであることが好ましく、中でも2500dtex〜2800dtexであることがより好ましい。
図1に示すように、前記パイル2のパイル長Lは、3mm〜6mmであることが好ましい。3mm以上であることで意匠性を確保することができ、6mm未満であることで軽量性を確保することができる。なお、パイル長Lとは前記基布3の上面からパイル2の頂点までの距離を意味している。
前記パイル布帛層4の少なくとも一部に難燃剤が付着していることが好ましい。この場合、難燃剤が付着しているため、鉄道車両用の燃焼性を向上させることができる。
前記パイル布帛層の少なくとも一部に付着している難燃剤としては、グアニルスルフォアミド系化合物であることが好ましく、スプレー法で固着させることが好ましい。
前記パイル布帛層の少なくとも一部に付着している難燃剤の付着量(乾燥後)としては、50g/m〜75g/mであることが好ましい。中でも50g/m〜60g/mであることがより好ましい。
前記基布3は、ポリプロピレン繊維からなる織基布5と、難燃性を有する繊維ウェブ層6とからなる必要がある。織基布5の上面側又は下面側に難燃性を有する繊維ウェブ層6がニードルパンチング法で積層一体化されていることが好ましい。
前記基布3の目付としては、160g/m〜280g/mであることが好ましい。160g/m未満では、基布3の上面にパイル2が植設しにくくなるだけでなく、鉄道車両用の燃焼性試験もクリアすることができず、280g/mを超えても、重量が重くなるため、好ましくない。中でも200g/m〜230g/mがより好ましい。
前記織基布5に用いられる繊維としては、ポリプロピレン繊維からなる必要がある。ポリプロピレン繊維を用いることで、軽量性に優れると共に、基布3の上面にパイル2を植設しやすくなる。
前記織基布5の組織としては、特に限定されるものではないが、例えば、平織、朱子織、綾織が挙げられ、中でも平織であることが好ましい。
前記織基布5を構成する糸の形状としては、例えば、テープヤーン、スプリットヤーンが挙げられ、中でもテープヤーンであることがより好ましい。
前記織基布5の目付としては、80g/m〜130g/mであることが好ましい。80g/m未満では、基布3の上面にパイル2が植設しにくくなり、130g/mを超えても、重量が重くなるため、好ましくない。中でも80g/m〜120g/mがより好ましい。
前記織基布5の経密度としては、18本/インチ〜24本/インチであることが好ましく、中でも18本/インチ〜22本/インチであることがより好ましい。
前記織基布5の緯密度としては、10本/インチ〜20本/インチであることが好ましく、中でも13本/インチ〜17本/インチであることがより好ましい。
前記織基布5を構成する糸の太さが、200デニール〜1400デニールであることが好ましく、中でも400デニール〜1200デニールであることがより好ましい。
前記繊維ウェブ層6は、繊維長が短い綿状繊維が絡み合っており、かつ、難燃性を有する綿状繊維で構成されている必要がある。
前記繊維ウェブ層6を構成する綿状繊維としては、アクリル系難燃繊維、ポリアクリロニトリル系耐炎繊維、防炎レーヨン繊維、難燃ポリエステル繊維からなる群より一つ選ばれる1ないし複数の繊維からなる必要がある。難燃性を有する綿状繊維を用いることで、鉄道車両で求められる難燃性をクリアすることができる。
前記アクリル系難燃繊維とは、アクリルの含有量が通常のアクリル繊維より低く(35%〜85%)、繊維樹脂自体が難燃性を有した繊維を意味する。
前記ポリアクリロニトリル系耐炎繊維とは、ポリアクリロニトリル系耐炎繊維の原料となるポリアクリロニトリル系繊維を酸化雰囲気(空気中)200℃〜300℃にて熱処理し製造された繊維を意味する。
前記防炎レーヨン繊維とは、レーヨン繊維にシリカ系防炎剤又はリン系防炎剤を練り込んでできた繊維を意味する。
前記難燃ポリエステル繊維とは、ポリエステル繊維にリン系難燃剤を練り込んでできた繊維を意味する。
前記繊維ウェブ層6を構成する綿状繊維の繊維長としては、35mm〜55mmであることが好ましい。
前記繊維ウェブ層6の目付としては、80g/m〜150g/mであることが好ましい。80g/m未満では、ニードルパンチング法において均一にパンチングすることができず、150g/mを超えても、重量が重くなるため、好ましくない。中でも100g/m〜130g/mがより好ましい。
前記繊維ウェブ層6を構成する綿状繊維の太さとしては、1.8デニール〜9.0デニールであることが好ましく、中でも2デニール〜4デニールであることがより好ましい。
前記織基布5と前記繊維ウェブ層6とがニードルパンチング法で一体化されていることが好ましい。織基布5の上側に、繊維ウェブ層6を構成している綿状繊維を載せ、ニードルパンチング法で、織基布5と繊維ウェブ層6を構成している綿状繊維を一体化させる。基布3の上面にパイル2を植設する際に、織基布5と繊維ウェブ層6とを積層一体化させた基布3を上下逆さまにすることで、織基布5の上面側又は下面側に難燃性を有する繊維ウェブ層6をもってくることができる。
前記樹脂層5には、難燃剤を含有している必要がある。難燃剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、中でも、水酸化アルミニウムがより好ましい。
前記樹脂層5に用いられる樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、SBR(スチレン−ブタジエン−ゴム)、NBR(ニトリル−ブタジエン−ゴム)、MBR(メチルメタクリレート−ブタジエンゴム)、塩ビアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられ、中でもNBR(ニトリル−ブタジエン−ゴム)であることがより好ましい。
前記樹脂層5の形成量は、370g/m〜500g/mであることが好ましい。370g/m未満では耐久性が得られず、500g/mを超えても、コストが上昇するだけでなく、重量が重くなるため、好ましくない。中でも400g/m〜470g/mであることがより好ましい。なお、前記樹脂層5の形成量とは、樹脂をパイル布帛層4の下面に塗布し、加熱工程で塗布した樹脂を乾燥した後の重量を意味する。
前記カーペット1の重量としては、980g/m〜1300g/mであることが必要である。980g/m未満では燃焼性が得られないだけでなく、カーペットとして実使用で耐えれるものではなくなり、1300g/mを超えても、コストが上昇するだけでなく、重量が重くなるため、好ましくない。中でも980g/m〜1200g/mであることがより好ましい。
本発明に係る鉄道車両用カーペット1の製造方法について工程別に説明する。まず、織機を用いて織布からなる織基布5を形成する。次に、織基布5の上に、繊維ウェブ層6を構成する綿状繊維を載せ、ニードルパンチング法を用いて、織基布5と綿状繊維を一体化させて、織基布5の下面側に繊維ウェブ層6を積層一体化させた基布3を得る。次、タフト機を用いて、織基布5側を上にして、あらかじめ別工程で作成した基布3の上面にパイル2を植設して、パイル布帛層4を形成する。次に、ロールコーター等を用いてパイル布帛層4の下面側に樹脂を塗布した後に、公知のテンター乾燥機で加熱を行い、樹脂層7を形成し、最終製品としての鉄道車両用カーペット1が得られる。
前記基布3を形成する工程と、前記パイル布帛層4を形成する工程とは、別工程である。
前記織基布5を形成する工程としては、織機を用いて行う。
前記織基布5と前記繊維ウェブ層6とを積層一体化させて基布3を得る工程としては、ニードルパンチング法を用いて行う。
前記基布3の上面にパイル2を植設する工程としては、タフト機を用いて行う。前記基布3の上面側が織基布5で、基布3の下面側が繊維ウェブ層6になるパターンでも良いし、前記基布3の上面側が繊維ウェブ層6で、基布3の下面側が織基布5になるパターンでも良い。
前記樹脂層7を形成するための樹脂を塗布する方法としては、特に限定されるものではないが、ロールコーター、ナイフコーター、スプレー等が挙げられ、中でもロールコーターで塗布する方法がより好ましい。
前記樹脂層7を形成するための加熱装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、テンター乾燥機、加熱ヒーター、加熱炉が挙げられ、中でも、テンター乾燥機であることがより好ましい。
前記樹脂層7を形成するための加熱温度としては、110℃〜160℃であることが好ましく、中でも、130℃〜150℃であることがより好ましい。
前記樹脂層7には、発泡剤、充填剤などの各種添加剤を適宜含有せしめてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
<使用材料>
(パイル)ナイロン6・6繊維
(織基布)
織基布A:経糸(ポリプロピレン繊維、テープヤーン、400デニール、経密度22本/インチ)と緯糸(ポリプロピレン繊維、テープヤーン、1000デニール、緯密度16本/インチ)を用いて、平織で目付100g/mに形成された織布
織基布B:経糸(ポリプロピレン繊維、テープヤーン、400デニール、経密度18本/インチ)と緯糸(ポリプロピレン繊維、テープヤーン、1000デニール、緯密度13本/インチ)を用いて、平織で目付80g/mに形成された織布
織基布C:経糸(ポリプロピレン繊維、テープヤーン、400デニール、経密度24本/インチ)と緯糸(ポリプロピレン繊維、テープヤーン、1000デニール、緯密度20本/インチ)を用いて、平織で目付120g/mに形成された織布
織基布D:経糸(ポリプロピレン繊維、テープヤーン、400デニール、経密度18本/インチ)と緯糸(ポリプロピレン繊維、テープヤーン、1000デニール、緯密度10本/インチ)を用いて、平織で目付70g/mに形成された織布
(繊維ウェブ層を構成する綿状繊維)
綿状繊維W:難燃ポリエステル繊維(繊維の太さ3.3デニール、繊維長51mm)
綿状繊維X:アクリル系難燃繊維(繊維の太さ2.2デニール、繊維長51mm)
綿状繊維Y:ポリアクリロニトリル系耐炎繊維(繊維の太さ2.2デニール、繊維長51mm)
綿状繊維Z:防炎レーヨン繊維(繊維の太さ3.3デニール、繊維長51mm)
(樹脂層を形成するための樹脂)
樹脂S:SBR(スチレン−ブタジエン−ゴム)ラテックス組成物(SBRベース樹脂100部、水酸化アルミニウム200部、固形分45%)
樹脂T:NBR(ニトリル−ブタジエン−ゴム)ラテックス組成物(NBRベース樹脂100部、水酸化アルミニウム150部、固形分42%)
樹脂U:塩ビアクリルラテックス組成物(塩ビアクリルベース樹脂100部、水酸化アルミニウム320部、固形分34%)
(パイル布帛層に付着させる難燃剤処理液)
グアニルスルフォアミド系化合物の濃度が24%である難燃剤処理液
<実施例1>
あらかじめ作成した織基布Aの上に、繊維ウェブ層を構成する綿状繊維Yを目付が130g/mになるように載せ、ニードルパンチング法で、ニードリングして基布を得た。基布の目付は230g/mであった。得られた基布の織基布側を上側にして、パイルを用いて目付が600g/mになるようにタフトして、パイル布帛層を得た。次に、得られたパイル布帛層の裏面側にあらかじめ作成しておいた樹脂層を形成するための樹脂Tをロールコーターで塗布し、乾燥機で130℃×5分で加熱し、図1に示す鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は400g/mであった。
<実施例2>
あらかじめ作成した織基布Aの上に、繊維ウェブ層を構成する綿状繊維Xを目付が130g/mになるように載せ、ニードルパンチング法で、ニードリングして基布を作成し、得られた基布の繊維ウェブ側を上側にして、得られたパイル布帛層の表面にあらかじめ作成しておいた難燃剤処理液(グアニルスルフォアミド系化合物の濃度が24%)をスプレー法でWET250g/mで塗布する設定にした以外は、実施例1と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は400g/mであり、パイル布帛層4の表面に付着した難燃剤の付着量(乾燥後)は60g/mであった。
<実施例3>
あらかじめ作成した織基布Aの上に、繊維ウェブ層を構成する綿状繊維Zを目付が130g/mになるように載せ、ニードルパンチング法で、ニードリングして基布を作成し、得られた基布の繊維ウェブ側を上側にして、得られたパイル布帛層の表面にあらかじめ作成しておいた難燃剤処理液(グアニルスルフォアミド系化合物の濃度が24%の代わりに20%を用いる)をスプレー法でWET250g/mで塗布する設定にした以外は、実施例2と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は400g/mであった。
<実施例4>
パイルの目付を500g/m、得られた基布の織基布側を上側にして、樹脂層を形成するための樹脂をSに設定し、得られたパイル布帛層の表面にあらかじめ作成しておいた難燃剤処理液(グアニルスルフォアミド系化合物の濃度が24%の代わりに20%を用いる)をスプレー法でWET250g/mで塗布する設定にした以外は、実施例2と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は370g/mであった。
<実施例5>
パイルの目付を610g/m、得られた基布の織基布側を上側にして、樹脂層を形成するための樹脂をUに設定し、得られたパイル布帛層の表面にあらかじめ作成しておいた難燃剤処理液(グアニルスルフォアミド系化合物の濃度が24%の代わりに20%を用いる)をスプレー法でWET250g/mで塗布する設定にした以外は、実施例2と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は410g/mであった。
<実施例6>
あらかじめ作成した織基布Aの代わりに織基布Bを使用し、繊維ウェブ層を構成する綿状繊維Xを目付が80g/mになるように載せ、ニードルパンチング法で、ニードリングして基布を用いて、得られた基布の織基布側を上側にして、得られたパイル布帛層の表面にあらかじめ作成しておいた難燃剤処理液(グアニルスルフォアミド系化合物の濃度が24%の代わりに20%を用いる)をスプレー法でWET250g/mで塗布する設定にした以外は、実施例2と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は400g/mであった。
<実施例7>
あらかじめ作成した織基布Aの代わりに織基布Cを使用し、得られた基布の織基布側を上側にして、得られたパイル布帛層の表面にあらかじめ作成しておいた難燃剤処理液(グアニルスルフォアミド系化合物の濃度が24%の代わりに20%を用いる)をスプレー法でWET250g/mで塗布する設定にした以外は、実施例2と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は400g/mであった。
<実施例8>
あらかじめ作成した織基布Aの上に、繊維ウェブ層を構成する綿状繊維Xを目付が100g/mになるように載せ、ニードルパンチング法で、ニードリングして基布を得た。得られた基布の織基布側を上側にして、グアニルスルフォアミド系化合物の濃度を24%の代わりに30%を用いる設定にした以外は、実施例2と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は400g/mであった。
<実施例9>
あらかじめ作成した織基布Aの上に、繊維ウェブ層を構成する綿状繊維Xを目付が150g/mになるように載せ、ニードルパンチング法で、ニードリングして基布を得て、得られた基布の織基布側を上側にして、得られたパイル布帛層の表面にあらかじめ作成しておいた難燃剤処理液(グアニルスルフォアミド系化合物の濃度が24%の代わりに20%を用いる)をスプレー法でWET250g/mで塗布する設定にした以外は、実施例2と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は400g/mであった。
<実施例10>
あらかじめ作成した織基布Aの上に、繊維ウェブ層を構成する綿状繊維(X=70%、Y=30%)を目付が130g/mになるように載せ、ニードルパンチング法で、ニードリングして基布を用いて、得られた基布の織基布側を上側にして、得られたパイル布帛層の表面にあらかじめ作成しておいた難燃剤処理液(グアニルスルフォアミド系化合物の濃度が24%の代わりに20%を用いる)をスプレー法でWET250g/mで塗布する設定にした以外は、実施例2と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は400g/mであった。
<実施例11>
あらかじめ作成した織基布Aの上に、繊維ウェブ層を構成する綿状繊維(Y=70%、Z=30%)を目付が130g/mになるように載せ、ニードルパンチング法で、ニードリングして基布を用いて、得られた基布の織基布側を上側にする設定にした以外は、実施例1と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は400g/mであった。
<実施例12>
あらかじめ作成した織基布Aの上に、繊維ウェブ層を構成する綿状繊維(W=15%、X=30%、Z=55%)を目付が130g/mになるように載せ、ニードルパンチング法で、ニードリングして基布を用いて、得られた基布の織基布側を上側にして、得られたパイル布帛層の表面にあらかじめ作成しておいた難燃剤処理液(グアニルスルフォアミド系化合物の濃度が24%の代わりに20%を用いる)をスプレー法でWET250g/mで塗布する設定にした以外は、実施例2と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は400g/mであった。
<比較例1>
パイルの目付が400g/mになるように設定した以外は、実施例1と同様にして、鉄道車両用カーペットを得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は400g/mであった。
<比較例2>
パイルの目付が800g/mになるように設定した以外は、実施例1と同様にして、鉄道車両用カーペットを得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は400g/mであった。
<比較例3>
繊維ウェブ層を積層しない設定にした以外は、実施例1と同様にして、鉄道車両用カーペットを得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は400g/mであった。
<比較例4>
あらかじめ作成した織基布Aの代わりに織基布Dを使用し、繊維ウェブ層を構成する綿状繊維Xを目付が70g/mになるように載せ、ニードルパンチング法で、ニードリングして基布を得て、得られた基布を使用した以外は、実施例1と同様にして、鉄道車両用カーペットを得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は400g/mであった。
<比較例5>
繊維ウェブ層を構成する綿状繊維Xを目付が200g/mになるように載せ、ニードルパンチング法で、ニードリングして基布を得て、得られた基布を使用した以外は、実施例1と同様にして、鉄道車両用カーペットを得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は400g/mであった。
上記のようにして得られた各鉄道車両用カーペットに対して、下記評価方法に基づいて評価を行った。これらの評価結果を表1、表2に示す。
<軽量性評価法>
JIS L 1021−4:2007に準拠して、カーペットの重量(g/m)を測定し、下記の判定基準に基づいて評価し、「○」以上を合格とした。
(判定基準)
「◎」・・・980g/m以上〜1200g/m以下
「○」・・・1200g/mを超えて〜1300g/m以下
「×」・・・1300g/mを超えた場合
<耐久性評価法>
JIS L 1021−11:2007に準拠して、摩耗輪(H−38)、荷重(9.8N)、1000回転の条件で試験を行い、摩耗強さ(mg)を測定し、下記の判定基準に基づいて評価し、「○」以上を合格とした。
(判定基準)
「◎」・・・200mg未満
「○」・・・200mg以上〜500mg未満
「×」・・・500mg以上
<燃焼性評価法>
燃焼性試験法(運輸省鉄道車輌用材料燃焼試験「A−A基準」に準拠)
182mm×257mmのサイズに切り取った鉄道車両用カーペットを、その表面(パイル側)を斜め下方に向けて、45°に傾斜させた状態で保持し、直径17.5mm、高さ7.1mmの鉄製アルコール容器を、その底の中心がカーペットの表面中心の垂直下方25.4mm(1inch)のところにくるように、コルク等の熱伝導率の低い材質の設置台上に載置する。そして、アルコール容器内に0.5ccの純エチルアルコールを注入して着火し、燃料が燃えつきるまで放置した後、下記の判定基準に基づいて評価し、「○」以上を合格とした。
(判定基準)
アルコールの燃焼中と燃焼後とに分けて、燃焼中はカーペットへの着火、着炎、発煙状態、炎の状態等を観察し、燃焼後は、残炎、残じん、炭化、変形状態を調査し、表3の燃焼性判定基準に基づいて、不燃性、極難燃性、難燃性、緩焼性、可燃性の各区分のいずれに該当するか判定した。なお、不燃性、極難燃性、難燃性を「○」で表し、緩燃性、可燃性を「×」で表し、「○」以上を合格とした。
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜12の鉄道車両用カーペットは、軽量であると共に、寸法安定性、耐久性に優れ、鉄道車両用の燃焼性にも優れていた。
これに対して、比較例1の鉄道車両用カーペットは、耐久性及び燃焼性が劣っていた。比較例2の鉄道車両用カーペットは、軽量性が劣っていた。比較例3の鉄道車両用カーペットは、燃焼性が劣っていた。比較例4の鉄道車両用カーペットは、耐久性及び燃焼性が劣っていた。比較例5の鉄道車両用カーペットは、軽量性が劣っていた。
本発明に係る鉄道車両用カーペットは、例えば、ビル、マンション、家屋、商業施設等の建築物の床材、或いは鉄道、バス等の車両の床面などに敷設して利用される。
1・・・鉄道車両用カーペット
2・・・パイル
3・・・基布
4・・・パイル布帛層
5・・・織基布
6・・・繊維ウェブ層
7・・・樹脂層
L・・・パイル長

Claims (4)

  1. 基布の上面にパイルが植設されてなるパイル布帛層と、
    該パイル布帛層の下面に難燃剤を含有する樹脂層と、を備えたカーペットであって、
    前記パイルを構成する繊維がナイロン6・6繊維であり、
    前記パイルの目付が450g/m〜750g/mであり、
    前記基布は、ポリプロピレン繊維からなる織基布と、該織基布の上面側又は下面側に難燃性を有する繊維ウェブ層とが積層一体化されており、
    前記基布の目付が160g/m〜280g/mであり、
    前記カーペットの重量が980g/m〜1300g/mであることを特徴とする鉄道車両用カーペット。
  2. 前記繊維ウェブ層を構成する綿状繊維が、アクリル系難燃繊維、ポリアクリロニトリル系耐炎繊維、防炎レーヨン繊維、難燃ポリエステル繊維からなる群より選ばれる1ないし複数の繊維からなる請求項1に記載の鉄道車両用カーペット。
  3. 前記織基布と前記繊維ウェブ層とがニードルパンチング法で一体化されている請求項1又は2に記載の鉄道車両用カーペット。
  4. 前記パイル布帛層の少なくとも一部に難燃剤が付着している請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉄道車両用カーペット。
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