JP6864809B2 - 鉄道車両用カーペット - Google Patents

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本発明は、例えば、鉄道車両に敷設されるカーペットに関する。
従来から、鉄道車両、バス、自動車用の内装材には、火災時の安全性を高めるために優れた難燃性を備えていることが求められている。
特許文献1においては、固形分換算で100重量部の被覆材と10〜150重量部の熱膨張性黒鉛を含む水性裏打ち材を布地の裏面に塗布して乾燥させた難燃性布地が開示されている。
なお、出願人は特許文献2を出願しており、パイル層が設けられた地組織の裏面にバッキング層が形成された難燃性布帛において、前記パイル層を構成するパイル糸が、ナイロン6・6繊維50〜90重量%と、非溶融繊維10〜50重量%との混紡糸からなり、前記地組織を構成する地糸が、ポリエステル繊維50〜90重量%と、非溶融繊維10〜50重量%との混合糸からなり、前記バッキング層が、難燃剤を含む樹脂組成物からなる難燃性パイル布帛を開示している。
特開2001−73275号公報 特開平8−209486号公報
特許文献1では、自動車用途の燃焼性には優れた効果を発揮することができる。しかしながら、鉄道車両用途で求められる表面層からの燃焼を抑制することができない恐れがある。
特許文献2では、鉄道車両の座席シート表皮材として、十分な引張強度を有し、耐摩耗性に優れ、良好な難燃性を有するパイル布帛を得ることができる。しかしながら、近年、鉄道車両の床面に用いられるカーペットにも軽量であると共に、耐久性及び難燃性に優れていることが求められている。
本発明は、かかる技術的背景を鑑みてなされたものであって、軽量であると共に、耐久性に優れ、鉄道車両用の燃焼性に優れた鉄道車両用カーペットを提供することが目的である。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1] 基布の上面にパイルが植設されてなるパイル布帛層と、該パイル布帛層の下面に難燃剤を含有する樹脂層と、を備えたカーペットであって、前記パイルを構成する繊維がナイロン6 ・6 繊維であり、前記パイルの目付が600g/m〜850g/mであり、 前記基布がナイロン6 ・6 繊維からなる織布であり、前記樹脂層の形成量が300g /m 〜500g/m であり、前記カーペットの重量が1000g/m〜1600g/ mであることを特徴とする鉄道車両用カーペット。
[2] 前記基布を構成する経糸の太さが700デニールから1200デニールであり、前記基布を構成する緯糸の太さが700デニールから1200デニールである前項1に記載の鉄道車両用カーペット。
[3] 前記基布の経密度が25本/インチ〜35本/インチであり、前記基布の緯密度が10本/インチ〜20本/インチである前項1又は2に記載の鉄道車両用カーペット。
[1]の発明では、基布の上面にパイルが植設されてなるパイル布帛層と、パイル布帛層の下面に難燃剤を含有する樹脂層と、を備えたカーペットであって、パイルを構成する繊維がナイロン6 ・6 繊維であり、パイルの目付が600g/m〜850g/mであり、基布がナイロン6 ・6 繊維からなる織布であり、樹脂層の形成量が300g /m 〜500g/m であり、カーペットの重量が1000g/m〜1600g/mであるから、軽量であると共に、耐久性及び鉄道車両用の燃焼性にも優れた鉄道車両用カーペットを提供することができる。

[2]の発明では、基布を構成する経糸の太さが700デニールから1200デニールであり、基布を構成する緯糸の太さが700デニールから1200デニールであるから、ナイロン6・6繊維からなる織布を形成することができ、鉄道車両用の燃焼性を向上することができる。
[3]の発明では、基布の経密度が25本/インチ〜35本/インチであり、基布の緯密度が10本/インチ〜20本/インチであるから、ナイロン6・6繊維からなる織布を形成することができ、鉄道車両用の燃焼性を向上することができる。
本発明に係る鉄道車両用カーペットの一実施形態を示す断面図である。
本発明に係る鉄道車両用カーペットの一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態の鉄道車両用カーペット1は、基布3の上面にパイル2が植設されてなるパイル布帛層4と、該パイル布帛層4の下面に難燃剤を含有する樹脂層5と、を備えたカーペットであって、前記パイル2を構成する繊維がナイロン6・6繊維であり、前記パイル2の目付が600g/m〜850g/mであり、前記基布3がナイロン6・6繊維からなる織布であり、前記カーペットの重量が1000g/m〜1600g/mであることを特徴とする。
前記パイル布帛層4は、基布3の上面にパイル2が植設されてなる。
前記パイル2の目付としては、600g/m〜850g/mであることが必要である。600g/m未満では耐久性が得られず、850g/mを超えても重量が重くなるため、好ましくない。中でも、620g/m〜700g/mであることがより好ましい。
前記パイル2を構成する繊維がナイロン6・6繊維である必要がある。前記パイル2を構成する繊維をナイロン6・6繊維にすることで、耐久性を向上させることができると共に、難燃性を向上させることができる。
前記パイル2の形態は、特に限定されるものではないが、ループパイルであることが好ましい。
前記パイル2を構成する繊維の太さとしては、2000デニール〜3000デニールであることが好ましく、中でも2300デニール〜2600デニールであることがより好ましい。
図1に示すように、前記パイル2のパイル長Lは、3mm〜6mmであることが好ましい。3mm以上であることで意匠性を確保することができ、6mm未満であることで軽量性を確保することができる。中でも、4mm〜5mmであることがより好ましい。なお、パイル長Lとは前記基布3の上面からパイル2の頂点までの距離を意味している。
前記基布3がナイロン6・6繊維からなる織布である必要がある。基布3を織布で形成するため、基布3にパイル2を植設する際のタフト性を向上させることができる。基布3を織布で形成するのではなく、形状を不織布に変更し、不織布を構成する繊維の種類をナイロン6繊維又はナイロン6・6繊維にした場合、不織布層の強度が弱くなるため、基布にパイルを植設することができなくなる。なお、ナイロン6とは、軟化点が180℃、溶融点が215℃〜220℃、発火点が424℃であり、ナイロン6・6は、軟化点が230℃〜235℃、溶融点が250〜260℃、発火点が532℃である。ナイロン6・6は、ナイロン6と比較して、軟化点、溶融点、発火点のいずれをとっても高い値となっており、非常に耐熱性に優れている。
前記基布3を構成する繊維としては、ナイロン6・6繊維である必要がある。基布3を構成する繊維をナイロン6・6繊維にすることで、耐久性と難燃性を向上させることができる。
前記織布の組織としては、平織であることが好ましい。
前記基布3の目付としては、100g/m〜250g/mであることが必要である。100g/m未満では、基布3の上面にパイル2が植設しにくくなり、250g/mを超えても、重量が重くなるため、好ましくない。中でも150g/m〜220g/mがより好ましい。
前記基布3の経密度としては、25本/インチ〜35本/インチであることが好ましく、中でも29本/インチ〜32本/インチであることがより好ましい。
前記基布3の緯密度としては、10本/インチ〜20本/インチであることが好ましく、中でも13本/インチ〜17本/インチであることがより好ましい。
前記基布3を構成する経糸の太さが、700デニール〜1200デニールであることが好ましく、中でも900デニール〜1100デニールであることがより好ましい。
前記基布3を構成する緯糸の太さが、700デニール〜1200デニールであることが好ましく、中でも900デニール〜1100デニールであることがより好ましい。
前記樹脂層5には、難燃剤を含有する必要がある。難燃剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、中でも、水酸化アルミニウムがより好ましい。
前記樹脂層5に用いられる樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、SBR(スチレン−ブタジエン−ゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、MBR(メチルメタクリレート−ブタジエンゴム)、アクリル系樹脂等が挙げられ、中でもSBR(スチレン−ブタジエン−ゴム)であることがより好ましい。
前記樹脂層5の形成量は、300g/m〜500g/mであることが必要である。300g/m未満では耐久性が得られず、500g/mを超えても、コストが上昇するだけでなく、重量が重くなるため、好ましくない。中でも400g/m〜470g/mであることがより好ましい。なお、前記樹脂層5の形成量とは、樹脂をパイル布帛層4の下面に塗布し、加熱工程で塗布した樹脂を乾燥した後の重量を意味する。
前記カーペットの重量としては、1000g/m〜1600g/mであることが必要である。1000g/m未満では耐久性が悪くなり、1600g/mを超えても、コストが上昇するだけでなく、重量が重くなるため、好ましくない。中でも1100g/m〜1400g/mであることがより好ましい。
本発明に係る鉄道車両用カーペット1の製造方法について工程別に説明する。まず、織機を用いて織布からなる基布3を形成する。次に、タフト機を用いて、あらかじめ別工程で作成した基布3の上面にパイル2を植設して、パイル布帛層4を形成する。次に、ロールコーター等を用いてパイル布帛層4の下面側に樹脂を塗布した後に、公知のテンター乾燥機で加熱を行い、樹脂層5を形成し、最終製品としての鉄道車両用カーペット1が得られる。
前記基布3を形成する工程と、前記パイル布帛層4を形成する工程とは、別工程である。
前記基布3を形成する工程としては、織機を用いて行う。
前記基布3の上面にパイル2を植設する工程としては、タフト機を用いて行う。
前記樹脂層5を形成するための樹脂を塗布する方法としては、特に限定されるものではないが、ロールコーター、ナイフコーター、スプレー等が挙げられ、中でもロールコーターで塗布する方法がより好ましい。
前記樹脂層5を形成するための加熱装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、テンター乾燥機、加熱ヒーター、加熱炉が挙げられ、中でも、テンター乾燥機であることがより好ましい。
前記樹脂層5を形成するための加熱温度としては、110℃〜160℃であることが好ましく、中でも、130℃〜150℃であることがより好ましい。
前記樹脂層5には、発泡剤、充填剤などの各種添加剤を適宜含有せしめてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
<使用材料>
(基布A)経糸(ナイロン6・6繊維、太さ895デニール、経密度30本/インチ)と緯糸(ナイロン6・6繊維、太さ895デニール、緯密度15本/インチ)を用いて平織で目付200g/mに形成された織布。
(基布B)経糸(ナイロン6・6繊維、太さ800デニール、経密度30本/インチ)と緯糸(ナイロン6・6繊維、太さ800デニール、緯密度15本/インチ)を用いて平織で目付150g/mに形成された織布。
(基布C)経糸(ナイロン6・6繊維、太さ710デニール、経密度30本/インチ)と緯糸(ナイロン6・6繊維、太さ710デニール、緯密度10本/インチ)を用いて平織で目付120g/mに形成された織布。
(基布D)経糸(ナイロン6・6繊維、太さ1180デニール、経密度30本/インチ)と緯糸(ナイロン6・6繊維、太さ1180デニール、緯密度15本/インチ)を用いて平織で目付240g/mに形成された織布。
(樹脂層を形成するための樹脂)
SBR(スチレン−ブタジエン−ゴム)ラテックス組成物(SBRベース樹脂100部、水酸化アルミニウム200部、固形分45%)
<実施例1>
あらかじめ作成した基布Aに、ナイロン6・6繊維からなるパイルを用いてパイルの目付が目付636g/mになるようにタフトして、パイル布帛層を得た。得られたパイル布帛層の裏面側にあらかじめ作成しておいた樹脂層を形成するための樹脂をロールコーターで塗布し、乾燥機で130℃×5分で加熱し、図1に示す鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は450g/mであった。
<実施例2>
あらかじめ作成した基布Aに、ナイロン6・6繊維からなるパイルを用いてパイルの目付を610g/mになるようにタフトした以外は、実施例1と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は450g/mであった。
<実施例3>
あらかじめ作成した基布Aに、ナイロン6・6繊維からなるパイルを用いてパイルの目付を780g/mになるようにタフトした以外は、実施例1と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は450g/mであった。
<実施例4>
あらかじめ作成した基布Bに、ナイロン6・6繊維からなるパイルを用いてパイルの目付が目付600g/mになるようにタフトし、乾燥後の樹脂層の形成量は300g/mになるように設定した以外は、実施例1と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。
<実施例5>
あらかじめ作成した基布Aに、ナイロン6・6繊維からなるパイルを用いてパイルの目付を850g/mになるようにタフトした以外は、実施例1と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は450g/mであった。
<実施例6>
あらかじめ作成した基布Aの代わりに基布Cを使用した以外は、実施例1と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は450g/mであった。
<実施例7>
あらかじめ作成した基布Aの代わりに基布Dを使用した以外は、実施例1と同様にして、鉄道車両用カーペット1を得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は450g/mであった。
<比較例1>
あらかじめ作成した基布Aに、ナイロン6・6繊維からなるパイルを用いてパイルの目付を500g/mになるようにタフトした以外は、実施例1と同様にして、鉄道車両用カーペットを得た。なお、乾燥後の樹脂層の形成量は450g/mであった。
<比較例2>
あらかじめ作成した基布Aに、ナイロン6・6繊維からなるパイルを用いてパイルの目付を950g/mになるようにタフトし、乾燥後の樹脂層の形成量は550g/mになるように設定した以外は、実施例1と同様にして、鉄道車両用カーペットを得た。
<比較例3>
あらかじめ作成した基布Bに、ナイロン6・6繊維からなるパイルを用いてパイルの目付を500g/mになるようにタフトし、乾燥後の樹脂層の形成量は250g/mになるように設定した以外は、実施例1と同様にして、鉄道車両用カーペットを得た。
Figure 0006864809
上記のようにして得られた各鉄道車両用カーペットに対して、下記評価方法に基づいて評価を行った。これらの評価結果を表1に示す。
<軽量性評価法>
JIS L 1021−4:2007に準拠して、カーペットの重量(g/m)を測定し、下記の判定基準に基づいて評価し、「○」以上を合格とした。
(判定基準)
「◎」・・・1000g/m以上〜1300g/m未満
「○」・・・1300g/m以上〜1600g/m以下
「×」・・・1600g/mを超えた場合
<耐久性評価法>
JIS L 1021−11:2007に準拠して、摩耗輪(H−38)、荷重(9.8N)、1000回転の条件で試験を行い、摩耗強さ(mg)を測定し、下記の判定基準に基づいて評価し、「○」以上を合格とした。
(判定基準)
「◎」・・・200mg未満
「○」・・・200mg以上〜500mg未満
「×」・・・500mg以上
<燃焼性評価法>
燃焼性試験法(運輸省鉄道車輌用材料燃焼試験「A−A基準」に準拠)
182mm×257mmのサイズに切り取った鉄道車両用カーペットを、その表面(パイル側)を斜め下方に向けて、45°に傾斜させた状態で保持し、直径17.5mm、高さ7.1mmの鉄製アルコール容器を、その底の中心がカーペットの表面中心の垂直下方25.4mm(1inch)のところにくるように、コルク等の熱伝導率の低い材質の設置台上に載置する。そして、アルコール容器内に0.5ccの純エチルアルコールを注入して着火し、燃料が燃えつきるまで放置した後、下記の判定基準に基づいて評価し、「○」以上を合格とした。
(判定基準)
アルコールの燃焼中と燃焼後とに分けて、燃焼中はカーペットへの着火、着炎、発煙状態、炎の状態等を観察し、燃焼後は、残炎、残じん、炭化、変形状態を調査し、表2の燃焼性判定基準に基づいて、不燃性、極難燃性、難燃性、緩焼性、可燃性の各区分のいずれに該当するか判定した。なお、不燃性、極難燃性、難燃性を「○」で表し、緩燃性、可燃性を「×」で表し、「○」以上を合格とした。
Figure 0006864809
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜7の鉄道車両用カーペットは、軽量であると共に、耐久性に優れ、鉄道車両用の燃焼性にも優れていた。
これに対して、比較例1の鉄道車両用カーペットは、燃焼性が劣っていた。比較例2の鉄道車両用カーペットは、重量が重く、軽量性が劣っていた。比較例3の鉄道車両用カーペットは、耐久性及び燃焼性が劣っていた。
本発明に係る鉄道車両用カーペットは、例えば、ビル、マンション、家屋、商業施設等の建築物の床材、或いは鉄道、バス等の車両の床面などに敷設して利用される。
1・・・鉄道車両用カーペット
2・・・パイル
3・・・基布
4・・・パイル布帛層
5・・・樹脂層
L・・・パイル長

Claims (3)

  1. 基布の上面にパイルが植設されてなるパイル布帛層と、該パイル布帛層の下面に難燃剤を含有する樹脂層と、を備えたカーペットであって、前記パイルを構成する繊維がナイロン6 ・6 繊維であり、前記パイルの目付が600g/m〜850g/mであり、前記基布がナイロン6 ・6 繊維からなる織布であり、前記樹脂層の形成量が300g /m 〜500g/m であり、前記カーペットの重量が1000g/m〜1600g/ mであることを特徴とする鉄道車両用カーペット。
  2. 前記基布を構成する経糸の太さが700デニールから1200デニールであり、前記基布を構成する緯糸の太さが700デニールから1200デニールである請求項1に記載の鉄道車両用カーペット。
  3. 前記基布の経密度が25本/インチ〜35本/インチであり、前記基布の緯密度が10本/インチ〜20本/インチである請求項1又は2に記載の鉄道車両用カーペット。
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