JP2018184043A - 鉄道車両向け座席用難燃化表地部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 鉄道車両向け座席用難燃化表地部材およびその製造方法の提供。
【解決手段】 表皮材層と、接着剤層と、面状ファスナー層とがこの順序で積層されてなる座席用難燃化表地部材の構成体であって、前記の層のうち、表皮材層と面状ファスナー層にアルキルホスホン酸エステル難燃剤を含む該構成体およびその製造方法を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】 表皮材層と、接着剤層と、面状ファスナー層とがこの順序で積層されてなる座席用難燃化表地部材の構成体であって、前記の層のうち、表皮材層と面状ファスナー層にアルキルホスホン酸エステル難燃剤を含む該構成体およびその製造方法を提供する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、鉄道車両向け座席用難燃化表地部材の構成体およびその製造方法に関する。より詳しくは、表皮材層と、接着剤層と、面状ファスナー層とがこの順序で積層されてなる座席用難燃化表地部材の構成体であって、表皮材層と面状ファスナー層にアルキルホスホン酸エステル難燃剤を含む該構成体、およびその製造方法に関する。
鉄道車両向け座席は、乗客が着座するための座面および背中を支持する背もたれ部分、およびそれらを支持する金属またはプラスティック製骨格部分よりなる。そのため、一般的に、表皮材層と面状ファスナー層とを接着剤により一体化した構成体で着脱自在に覆われた表地部材を有する鉄道車両向け座席が用いられている。
そして、近年、公共輸送での乗客の安全性を担保するため、鉄道車両の火災発生時においても、最小限度の火災に限定されるように、鉄道車両向け座席のより高度の難燃性化が要求されてきている。
しかしながら、座席の難燃性化に適用できる技術として、キノコ型の雄面状ファスナー層(特許文献1)、難燃性面状ファスナーの製造方法(特許文献2)や、ポリアミド繊維を少なくとも1部に用いたファスナー(特許文献3)が報告されているが、これらのいずれの従来技術を用いても、それらにより得られる一体化した構成体は、鉄道車両用材料燃焼性試験で難燃性区分をクリアできないものであった。
これは、従来技術の表皮材層および面状ファスナー層は、各々難燃処理を行っているが、それらが積層された構成体の燃焼試験では難燃性区分をクリアできないためである。
また、構成体での難燃性クリアには、面状ファスナー層の難燃性能を向上する必要がある。そして、従来技術のこれらの複合体である構成体の燃焼性において、その中に含有される有機物量が多くなることもあり、難燃性、特に「火勢」項目をクリアできなかった。
また、構成体での難燃性クリアには、面状ファスナー層の難燃性能を向上する必要がある。そして、従来技術のこれらの複合体である構成体の燃焼性において、その中に含有される有機物量が多くなることもあり、難燃性、特に「火勢」項目をクリアできなかった。
本発明は、従来技術の問題点を解決するために検討した結果達成され、鉄道車両用材料燃焼性試験で難燃性区分の基準を満たすことができる難燃性に優れた、鉄道車両向け座席用難燃化表地部材の構成体の提供を目的とするものである。
本発明の座席用難燃化表地部材の構成体は、鉄道車両用材料燃焼性試験で難燃性区分の基準を満たすことができることを目的の一つとしている。
鉄道車両用材料燃焼性試験で難燃性区分は、後記のごとく、鉄道に関する技術上の基準を定める省令(第83条第3項)における鉄道車両用材料の燃焼性規格(「難燃性」)の基準に基づき、不燃性、極難燃性、難燃性、緩燃性および可燃性に大別されている。そして、本願発明の対象である座席や、床の上の敷物等については、難燃性であることが義務付けられている。具体的には、特定の試験装置を用いて、アルコール燃焼中の着火、着炎、煙および火勢、ならびにアルコール燃焼後の残炎、残じん、炭化および変形の各項目を観察することより、判定される。
そして、本発明者らは、前記の従来技術の課題を解決するため鋭意検討した結果、アルキルホスホン酸エステル難燃剤が含有されることで、前記の燃焼性規格の基準を満たす座席用難燃化表地部材の構成体を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の座席用難燃化表地部材の構成体は、表皮材層と、接着剤層と、面状ファスナー層とがこの順序で積層されてなる座席用難燃化表地部材の構成体であり、前記の層のうち、表皮材層と面状ファスナー層にアルキルホスホン酸エステル難燃剤を含む(図1)。
本発明の座席用難燃化表地部材の構成体は、表皮材層と、接着剤層と、面状ファスナー層とがこの順序で積層されてなる座席用難燃化表地部材の構成体であり、前記の層のうち、表皮材層と面状ファスナー層にアルキルホスホン酸エステル難燃剤を含む(図1)。
本発明において座席用難燃化表地部材の構成体に用いる表皮材層は、難燃処理がなされていない繊維からなる、ニットのごとき織編物基布を難燃剤処理したものを用いる。織編物基布を構成する繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維、およびウール繊維等が挙げられ、好ましくは、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、およびウール繊維であり、より好ましくは、ポリエステル繊維およびアクリル繊維である。その中でも、基布自体の強度が保持できる点ではポリエステル繊維の使用が好ましい。
前記繊維の糸を用いて、通常の方法により織編物基布が作製される。前記繊維の糸は、織編物基布の作製に際して、通気性、撥水性等の機能性、摩耗耐性等の繊維の機械強度等を考慮して繊維の種類、太さ等が選択される。
本発明において、難燃剤溶液を表皮材に塗工する方法としては、特に限定はないが、例えばロールコーターなどにより表皮材裏面(乗客の体または衣類に直接接触する表面とは異なるもう一方の表皮材表面;非起毛面ともいう)に塗工した後、乾燥および熱処理を行う方法などが挙げられる。この際の乾燥および熱処理の温度および時間は、表皮材の材質、繊維密度等を考慮して、適宜選定される。
本発明の前記構成体に用いる面状ファスナー層としては、基布とキノコ型の係合素子とからなる。
基布としては、前記の表皮材層の織編物基布と同様に、一般的に使用される織編物を使用することができるが、係合素子部分が係合する相手材料(被係合体)との間でしっかり固定されかつ、湾曲した形状であってもしっかりフィットして係合できるようにするために、ある程度の伸縮性を有する織編物の使用が好ましく、面状ファスナー層として縦横およびバイアス方向に優れた伸びを保持させるような織編物を使用することがより好ましい。
基布としては、前記の表皮材層の織編物基布と同様に、一般的に使用される織編物を使用することができるが、係合素子部分が係合する相手材料(被係合体)との間でしっかり固定されかつ、湾曲した形状であってもしっかりフィットして係合できるようにするために、ある程度の伸縮性を有する織編物の使用が好ましく、面状ファスナー層として縦横およびバイアス方向に優れた伸びを保持させるような織編物を使用することがより好ましい。
係合素子の形状としては、キノコ型やループ型やカギ型などが想定されるが、例えば、車両用の座席や自動車の内装材などのように係合の強度が必要かつ長時間にわたってその強度や係合状態を保持させるためには、被係合体との係合強度や係合強度の保持性などから、キノコ型が優れる。使用材料としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維など各種繊維からなるモノフィラメントを使用することができる。中でも、比較的低温でのキノコ型の形状作製が容易であり、加工性に優れる上に強度が優れるため係合後剥がれ等が発生しにくく被係合体との間の伸びへの追随性にも優れている点から、ポリプロピレンからなるモノフィラメントが、形状の保持性を有するため好ましい。
2枚の基布を連結する糸にモノフィラメントを使用し、基布を1枚に分離する際にモノフィラメント部分を切断することにより、モノフィラメントを含む基布を作製する。この基布のモノフィラメントの先端部分をガスバーナーによる直火や赤外線などにより加熱して溶融させキノコ型モノフィラメントを含む面状ファスナー材を作成する。
本発明において、難燃剤溶液を上記面状ファスナー層に含浸させるまたはその非係合素子面にバックコーティングする方法としては特に限定はないが、例えば、ロールコーターなどにより面状ファスナー層の非係合素子面から塗工し浸透させた後、乾燥および熱処理を行う方法などが挙げられる。この際の乾燥および熱処理の温度および時間は、面状ファスナー層の材質、繊維密度等を考慮して、適宜選定される。
基布にモノフィラメントを配した面状ファスナー層の伸び率は、縦および横方向の伸び率が15〜50%で、バイアス方向の伸び率が30〜60%であることが好ましい。面状ファスナー層の係合素子側を被係合体と係合させるとき、被係合体の凸部の曲面部分では面状ファスナー層を伸ばすようにして係合させないと面状ファスナー層にシワが発生する。縦横の伸び率が15%より小さくかつ、バイアス方向の伸び率が30%より小さいと、シワの発生により外観が悪くなり、シワによりその部分から係合の浮きが発生して、外観不良ばかりでなく、シワ部分が他の材料とこすれるなどして表面強度の低下や剥がれの問題が発生する。
一方、縦横の伸び率が50%より大きくかつ、バイアス方向の伸び率が60%より大きいと、被係合体に係合させるときに、係合させるのに十分な伸びがあるため、必要以上に伸ばしながら被係合体と係合させることになり、係合後に放置しておくと面状ファスナー層の係合素子が被係合体との間で係合後の収縮に耐えきれず、収縮による面状ファスナー材と被係合体間とのずれによる外観不良などの問題が発生する。
係合素子としては基布の単位面積あたり45〜70本/cm2存在することが好ましく、50〜60本/cm2存在することがより好ましい。45本/cm2より少ないと被係合体との間で剥がれが発生しやすくなり、特に曲面部分を有する被係合体に対しては顕著に剥がれが発生しやすくなる。一方、70本/cm2より多くなると風合が固くなり、面状ファスナー層としての伸び率が不十分となり被係合体への追随がしにくくなると共に、生産性や生産コストに問題が生じる。
本発明により、表皮材層/接着剤層/面状ファスナー層/被係合体の構成で使用される。そのため表皮材層や面状ファスナー層に難燃剤を添加することにより、構成体として優れた難燃効果が期待できる。
本発明の前記構成体に用いる難燃剤溶液としては、難燃剤を希釈した溶液をいい、市販または合成された難燃剤の溶液を用いる。
難燃剤としては、一般的には、有機系難燃剤および無機系難燃剤に大別される。
有機難燃剤としては、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル(DBDPE、DBDPO)、テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、ヘキサブロモベンゼン等の臭素を含有する臭素系;トリフェニルホスフェートのごとき芳香族リン酸エステル、赤リン等を含有するリン系、ジメチルメチルホスホネートやそのオリゴマー等のアルキルホスホン酸エステル、グアニジンのリン酸塩、スピロ環状ホスホン酸エステル化合物などの縮合型ホスホン酸エステル化合物などのリン系;ポリ塩化ビニル、塩素化パラフィンのごとき塩素を含有する塩素系;スルファミン酸グアニジンなどのグアニルスルフォアミド系化合物等の各難燃剤が知られている。
無機難燃剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンのごときアンチモン系;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムのごとき金属水酸化物系;ベストボロン、ソウファのごときホウ素系の難燃剤が知られている。
これらの有機および無機難燃剤のうち、ジメチルメチルホスホネートやそのオリゴマー等のアルキルホスホン酸エステルが本願において有用に用いられる。
難燃剤としては、一般的には、有機系難燃剤および無機系難燃剤に大別される。
有機難燃剤としては、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル(DBDPE、DBDPO)、テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、ヘキサブロモベンゼン等の臭素を含有する臭素系;トリフェニルホスフェートのごとき芳香族リン酸エステル、赤リン等を含有するリン系、ジメチルメチルホスホネートやそのオリゴマー等のアルキルホスホン酸エステル、グアニジンのリン酸塩、スピロ環状ホスホン酸エステル化合物などの縮合型ホスホン酸エステル化合物などのリン系;ポリ塩化ビニル、塩素化パラフィンのごとき塩素を含有する塩素系;スルファミン酸グアニジンなどのグアニルスルフォアミド系化合物等の各難燃剤が知られている。
無機難燃剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンのごときアンチモン系;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムのごとき金属水酸化物系;ベストボロン、ソウファのごときホウ素系の難燃剤が知られている。
これらの有機および無機難燃剤のうち、ジメチルメチルホスホネートやそのオリゴマー等のアルキルホスホン酸エステルが本願において有用に用いられる。
アルキルホスホン酸エステルとしては、ジメチルメチルホスホネート、ジエチルメチルホスホネート、ジプロピルメチルホスホネート、ジブチルメチルホスホネート、ジエチルエチルホスホネート、ジブチルブチルホスホネート、ジエチルペンチルホスホネートおよびそれらのオリゴマーが挙げられる。
アルキルホスホン酸エステル難燃剤の配合量は、表皮材層の目付370〜420g/m2に対して、10g/m2〜50g/m2存在することが好ましく、より好ましくは、10g/m2〜40g/m2、さらにより好ましくは、10g/m2〜30g/m2である。
なお、本願における難燃剤、接着剤等の各成分の配合量は、特記しない限りは、後記の「乾燥付着量」の項に記載のように110℃もしくは120℃にて乾燥後の付着量として換算したものを示す。
なお、本願における難燃剤、接着剤等の各成分の配合量は、特記しない限りは、後記の「乾燥付着量」の項に記載のように110℃もしくは120℃にて乾燥後の付着量として換算したものを示す。
また、面状ファスナー層の難燃剤配合量は、目付250〜290g/m2に対して10g/m2〜50g/m2存在することが好ましく、より好ましくは、10g/m2〜40g/m2、さらにより好ましくは、10g/m2〜30g/m2である。
さらに、接着剤層中の難燃剤は、接着剤液/難燃剤=100/0〜90/10質量部の範囲で存在することが好ましく、より好ましくは、100/0〜95/5質量部の範囲である。上記範囲とすることにより、難燃性が発現し経済性の観点からも好ましい。
さらに、接着剤層中の難燃剤は、接着剤液/難燃剤=100/0〜90/10質量部の範囲で存在することが好ましく、より好ましくは、100/0〜95/5質量部の範囲である。上記範囲とすることにより、難燃性が発現し経済性の観点からも好ましい。
本発明においてその構成体に用いる接着剤層は、接着剤を含む。さらに、所望により難燃剤、架橋剤等を接着剤層に含有させてもよい。
前記接着剤としては、特に限定されるものではないが、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、およびポリエステル樹脂などを主成分とする接着剤が挙げられ、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂およびポリイミド樹脂を主成分とする接着剤が好ましい。
接着剤層は、適当な濃度の接着剤や難燃剤等を含む懸濁液または溶液またはその他の塗工可能な形態で、表皮材層または面状ファスナー層に常法により塗工、圧着して形成される。
前記接着剤としては、特に限定されるものではないが、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、およびポリエステル樹脂などを主成分とする接着剤が挙げられ、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂およびポリイミド樹脂を主成分とする接着剤が好ましい。
接着剤層は、適当な濃度の接着剤や難燃剤等を含む懸濁液または溶液またはその他の塗工可能な形態で、表皮材層または面状ファスナー層に常法により塗工、圧着して形成される。
接着剤は、接着剤層中に30〜90g/m2存在することが好ましく、より好ましくは、50g/m2〜80g/m2である。
また、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、表皮材層、面状ファスナー層および接着剤層に、架橋剤、着色剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、撥水剤、蛍光増白剤、界面活性剤、乳化剤、増粘剤、消泡剤等を適宜添加してもよい。
さらに、本発明によれば、前記成分、部材および方法等を用いて、前記の座席用難燃化表地部材の構成体の製造方法も提供できる。すなわち、本発明によれば、
1)面状ファスナー層の非係合素子面もしくは、表皮材層裏面(非起毛面)に接着剤を塗布して、接着剤層を形成し、
2)面状ファスナー層と接着剤層と表皮材層とを圧着積層させ、次いで
3)これを熱風乾燥させて、構成体を得る
工程を含むことを特徴とする、いずれかの前記構成体の製造方法であって、
前記工程1)〜3)のいずれかの工程に先立ち、少なくとも面状ファスナー層と表皮材層にアルキルホスホン酸エステル難燃剤を含有させる工程を含む該製造方法も提供できる。
1)面状ファスナー層の非係合素子面もしくは、表皮材層裏面(非起毛面)に接着剤を塗布して、接着剤層を形成し、
2)面状ファスナー層と接着剤層と表皮材層とを圧着積層させ、次いで
3)これを熱風乾燥させて、構成体を得る
工程を含むことを特徴とする、いずれかの前記構成体の製造方法であって、
前記工程1)〜3)のいずれかの工程に先立ち、少なくとも面状ファスナー層と表皮材層にアルキルホスホン酸エステル難燃剤を含有させる工程を含む該製造方法も提供できる。
本発明によれば、鉄道車両用材料燃焼性試験で難燃性区分をクリアできる鉄道車両向け座席用難燃化表地部材の構成体およびその製造方法を提供できる。
また、本発明の前記構成体は、表皮材層と面状ファスナー層とを剥離する場合、乗客の頻繁な着座による損傷を回避できるような一定の剥離強度を有する。
さらに、本発明によれば、難燃剤が高価であるため、経済的観点より、実際的に配合可能な少量の難燃剤を用いて難燃性区分および一定の剥離強度を満たす製品を提供できる。
また、本発明の前記構成体は、表皮材層と面状ファスナー層とを剥離する場合、乗客の頻繁な着座による損傷を回避できるような一定の剥離強度を有する。
さらに、本発明によれば、難燃剤が高価であるため、経済的観点より、実際的に配合可能な少量の難燃剤を用いて難燃性区分および一定の剥離強度を満たす製品を提供できる。
以下、本発明について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。なお、参考例、実施例および比較例に用いた各材料とその添加量をg/m2単位で示している。
A.接着剤
製品名:WLS-210(カーボネート系ウレタン化合物)
DIC株式会社製
製品名:WLS-210(カーボネート系ウレタン化合物)
DIC株式会社製
B.難燃剤
1)難燃剤1
製品名:ビゴールNS(グアニルスルフォアミド系化合物)
大京化学株式会社製
2)難燃剤2
製品名:ビゴールNo.520PM(臭化リン系化合物)
大京化学株式会社製
3)難燃剤3
製品名:ノンネンR023-4(リン酸エステル)
丸菱油化工業株式会社製
4)難燃剤4
製品名:フランDH-5000EK(有機リン系化合物;ジメチルメチルホスホ
ネート・オリゴマー)
大和化学工業株式会社製
5)難燃剤5
製品名:ノンネンR031−5(有機リン系化合物;ジメチルメチルホスホ
ネート・オリゴマー)
丸菱油化工業株式会社製
1)難燃剤1
製品名:ビゴールNS(グアニルスルフォアミド系化合物)
大京化学株式会社製
2)難燃剤2
製品名:ビゴールNo.520PM(臭化リン系化合物)
大京化学株式会社製
3)難燃剤3
製品名:ノンネンR023-4(リン酸エステル)
丸菱油化工業株式会社製
4)難燃剤4
製品名:フランDH-5000EK(有機リン系化合物;ジメチルメチルホスホ
ネート・オリゴマー)
大和化学工業株式会社製
5)難燃剤5
製品名:ノンネンR031−5(有機リン系化合物;ジメチルメチルホスホ
ネート・オリゴマー)
丸菱油化工業株式会社製
C.架橋剤
製品名:キャタリストK(脂肪族ポリイソシアネート系化合物)
中部サイデン株式会社製
製品名:キャタリストK(脂肪族ポリイソシアネート系化合物)
中部サイデン株式会社製
また、参考例、実施例および比較例での評価方法について、以下に説明する。
(乾燥付着量)
表皮材層の難燃剤付着量は、難燃剤を塗工後120℃に調節した熱風乾燥機中に供試体を入れ、2分間乾燥し、常温に戻した後、この乾燥後の供試体の重量から付着前の重量を引くことにより乾燥付着量をg/m2単位として算出した。
面状ファスナー層の難燃剤付着量は、難燃剤含浸後110℃に調節した熱風乾燥機中に供試体を入れ、3分間乾燥し、常温に戻した後、この乾燥後の供試体の重量から付着前の重量を引くことにより乾燥付着量をg/m2単位として算出した。
表皮材層と面状ファスナー層とのラミネート品の接着剤付着量は、接着剤層でラミネート後110℃に調節した熱風乾燥機中に供試体を入れ、6分間乾燥し、常温に戻した後、この乾燥後の供試体の重量から付着前の重量を引くことにより乾燥付着量をg/m2単位として算出した。
(乾燥付着量)
表皮材層の難燃剤付着量は、難燃剤を塗工後120℃に調節した熱風乾燥機中に供試体を入れ、2分間乾燥し、常温に戻した後、この乾燥後の供試体の重量から付着前の重量を引くことにより乾燥付着量をg/m2単位として算出した。
面状ファスナー層の難燃剤付着量は、難燃剤含浸後110℃に調節した熱風乾燥機中に供試体を入れ、3分間乾燥し、常温に戻した後、この乾燥後の供試体の重量から付着前の重量を引くことにより乾燥付着量をg/m2単位として算出した。
表皮材層と面状ファスナー層とのラミネート品の接着剤付着量は、接着剤層でラミネート後110℃に調節した熱風乾燥機中に供試体を入れ、6分間乾燥し、常温に戻した後、この乾燥後の供試体の重量から付着前の重量を引くことにより乾燥付着量をg/m2単位として算出した。
(剥離強度)
面状ファスナー層に転写塗工により所定量の接着剤を塗工した後、表皮材層と面状ファスナー層を5kgのゴムローラーを用いて積層させた。次に、熱風乾燥機内で110℃にて6分間乾燥させた供試体について、供試体の作製後(耐熱もしくは耐熱湿試験前)、110℃にて200時間の処理後(耐熱後)、および50℃の相対湿度95%にて200時間の処理後(耐熱湿後)に、万能型引張試験機(製品名:UCT−500、ORIENTEC CORPORATION製)を使用しJIS L 1086(2013年版)7.10.1に準拠して供試体の剥離強度試験を行った。剥離強度は、N/inch単位として示した。
面状ファスナー層に転写塗工により所定量の接着剤を塗工した後、表皮材層と面状ファスナー層を5kgのゴムローラーを用いて積層させた。次に、熱風乾燥機内で110℃にて6分間乾燥させた供試体について、供試体の作製後(耐熱もしくは耐熱湿試験前)、110℃にて200時間の処理後(耐熱後)、および50℃の相対湿度95%にて200時間の処理後(耐熱湿後)に、万能型引張試験機(製品名:UCT−500、ORIENTEC CORPORATION製)を使用しJIS L 1086(2013年版)7.10.1に準拠して供試体の剥離強度試験を行った。剥離強度は、N/inch単位として示した。
(燃焼性)
前記のごとく、本発明の座席用難燃化表地部材の構成体は、難燃性能ないし防炎性能について、鉄道に関する技術上の基準を定める省令(第83条第3項)における鉄道車両用材料の燃焼性規格(「難燃性」)の基準を満たすことを目的の一つとしている。
具体的には、供試体は、図2に示すような、水平面に対し45度の傾斜で設けた供試体、アルコール容器、および容器受台よりなる試験台を用いて、i)アルコール容器に純エチルアルコール0.5ccを入れて着火し、ii)アルコール燃焼中の供試体の着火、着炎、発煙状態、炎状態を4連の供試体につき観察し、iii)アルコール燃焼後の供試体の残炎、残じん、炭化、変形状態を調査し、次いでiv)鉄道車両用材料の燃焼性規格の「難燃性」区分に示される燃焼性の判断基準を満たすか否か判定し、総合評価として示す。
燃焼中の火勢ならびに燃焼後の炭化および変形の各項目の具体的な判定基準を以下に示す。
a)火勢 ○:炎が試験片の上端を超えない
×:炎が試験片の上端を超える
b)炭化 ○:試験片の上端に達する
×:試験片の1/2を超える面積の炭化
××:放置すればほとんど消失
c)変形 ○:縁に達する変形または局部的貫通孔の発生
×:試験片の1/2を超える面積の変形消失
××:放置すればほとんど消失
また、アルコール燃焼により生成する、供試体の厚み方向とは直角方向の平面での貫通孔の縦および横のサイズ(mm)を測定した。
前記のごとく、本発明の座席用難燃化表地部材の構成体は、難燃性能ないし防炎性能について、鉄道に関する技術上の基準を定める省令(第83条第3項)における鉄道車両用材料の燃焼性規格(「難燃性」)の基準を満たすことを目的の一つとしている。
具体的には、供試体は、図2に示すような、水平面に対し45度の傾斜で設けた供試体、アルコール容器、および容器受台よりなる試験台を用いて、i)アルコール容器に純エチルアルコール0.5ccを入れて着火し、ii)アルコール燃焼中の供試体の着火、着炎、発煙状態、炎状態を4連の供試体につき観察し、iii)アルコール燃焼後の供試体の残炎、残じん、炭化、変形状態を調査し、次いでiv)鉄道車両用材料の燃焼性規格の「難燃性」区分に示される燃焼性の判断基準を満たすか否か判定し、総合評価として示す。
燃焼中の火勢ならびに燃焼後の炭化および変形の各項目の具体的な判定基準を以下に示す。
a)火勢 ○:炎が試験片の上端を超えない
×:炎が試験片の上端を超える
b)炭化 ○:試験片の上端に達する
×:試験片の1/2を超える面積の炭化
××:放置すればほとんど消失
c)変形 ○:縁に達する変形または局部的貫通孔の発生
×:試験片の1/2を超える面積の変形消失
××:放置すればほとんど消失
また、アルコール燃焼により生成する、供試体の厚み方向とは直角方向の平面での貫通孔の縦および横のサイズ(mm)を測定した。
<参考例>
1.難燃剤を含浸した面状ファスナー層の製造および燃焼性試験
ポリエステル糸(縦280dtex/48f、横280dtex/48f)を用いて作製した織編物基布に、ポリプロピレン糸(280dtex/1f)による係合素子を有する面状ファスナー基材を作成(モノフィラメントの密度56本/cm2)して、面状ファスナー層を得た。次に、得られた面状ファスナー層に、2m/分の速度に調整したマングルロールを用いて難燃剤を含浸させ、テンターを用いて、110℃の温度にて3分間熱風乾燥させた。その含浸後の面状ファスナー層をB5サイズにカットし、難燃剤を含浸した面状ファスナー層を燃焼試験用サンプルとして用いた。難燃剤は、得られた面状ファスナー層に対して、低付着量約5g/m2、中付着量約15g/m2、高付着量約50g/m2を目安として塗布した。難燃剤は、前記難燃剤1〜4を用いた。
得られた面状ファスナー層につき、鉄道車両用材料の燃焼性規格(判断基準)に準じる燃焼性試験を実施した。
燃焼性試験結果を表2に示す。
難燃剤として、14g/m2〜49g/m2の難燃剤4(ジメチルメチルホスホネート・オリゴマー)を用いた場合に、燃焼中の火勢、ならびに燃焼後の炭化および変形の基準を満たし、総合評価として、参考例4−2および4−3の面状ファスナー層が、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合することを確認した。参考例4−1については、低付着量7g/m2の場合、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合しなかった。
また、難燃剤1については、高付着量49g/m2にて難燃剤を含浸させた場合においても、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合しなかった(参考例1−1〜1−3)。
一方、難燃剤2、および難燃剤3については、高付着量約50g/m2にて難燃剤を含浸させた場合、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合することを確認した(参考例2−3、3−3)。しかし、難燃剤が低付着量5g/m2および中付着量約15g/m2の場合、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合しなかった(参考例2−1、2−2、3−1、および3−2)。
1.難燃剤を含浸した面状ファスナー層の製造および燃焼性試験
ポリエステル糸(縦280dtex/48f、横280dtex/48f)を用いて作製した織編物基布に、ポリプロピレン糸(280dtex/1f)による係合素子を有する面状ファスナー基材を作成(モノフィラメントの密度56本/cm2)して、面状ファスナー層を得た。次に、得られた面状ファスナー層に、2m/分の速度に調整したマングルロールを用いて難燃剤を含浸させ、テンターを用いて、110℃の温度にて3分間熱風乾燥させた。その含浸後の面状ファスナー層をB5サイズにカットし、難燃剤を含浸した面状ファスナー層を燃焼試験用サンプルとして用いた。難燃剤は、得られた面状ファスナー層に対して、低付着量約5g/m2、中付着量約15g/m2、高付着量約50g/m2を目安として塗布した。難燃剤は、前記難燃剤1〜4を用いた。
得られた面状ファスナー層につき、鉄道車両用材料の燃焼性規格(判断基準)に準じる燃焼性試験を実施した。
燃焼性試験結果を表2に示す。
難燃剤として、14g/m2〜49g/m2の難燃剤4(ジメチルメチルホスホネート・オリゴマー)を用いた場合に、燃焼中の火勢、ならびに燃焼後の炭化および変形の基準を満たし、総合評価として、参考例4−2および4−3の面状ファスナー層が、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合することを確認した。参考例4−1については、低付着量7g/m2の場合、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合しなかった。
また、難燃剤1については、高付着量49g/m2にて難燃剤を含浸させた場合においても、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合しなかった(参考例1−1〜1−3)。
一方、難燃剤2、および難燃剤3については、高付着量約50g/m2にて難燃剤を含浸させた場合、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合することを確認した(参考例2−3、3−3)。しかし、難燃剤が低付着量5g/m2および中付着量約15g/m2の場合、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合しなかった(参考例2−1、2−2、3−1、および3−2)。
次に、表皮材層に難燃剤を塗工して表皮材層の難燃性の評価を実施した。
2.難燃剤を塗工した表皮材層の製造および燃焼性試験
表皮材層としては、ポリエステル繊維からなる目付け370〜420g/m2の表面起毛タイプの織編物基材を使用した。塗工に用いた溶液は、難燃剤と水と界面活性剤により調製し、ハンドミキサー(HM−703、株式会社ドリテック製)で撹拌した後、スリットコーターを用いて表皮材裏面(非起毛面)へ塗工を行った。塗工後、120℃の温度にて2分間熱風乾燥させた。塗工後の表皮材層は、B5サイズにカットし、難燃剤を塗工した表皮材層を燃焼試験用サンプルとして用いた。難燃剤は、得られた表皮材層に対して、低付着量約5g/m2、中付着量約15g/m2、高付着量約50g/m2を目安として塗布した。難燃剤は、前記難燃剤1〜3および5を用いた。
得られた表皮材層につき、鉄道車両用材料の燃焼性規格(判断基準)に準じる燃焼性試験を実施した。
燃焼性試験結果を表3に示す。
難燃剤として、11g/m2〜45g/m2の難燃剤5(ジメチルメチルホスホネート・オリゴマー)を用いた場合に、燃焼中の火勢、ならびに燃焼後の炭化および変形の基準を満たし、総合評価として、参考例8−2、8−3の表皮材層が、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合することを確認した。参考例8−1については、低付着量5g/m2の場合、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合しなかった。
一方、難燃剤1、難燃剤2、難燃剤3については、高付着量約45g/m2にて難燃剤を塗工した場合、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合することを確認した(参考例5−3、6−3および7−3)が、低付着量約5g/m2および中付着量15g/m2では、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合しなかった(参考例5−1、5−2、6−1、6−2、7−1、および7−2)
表皮材層としては、ポリエステル繊維からなる目付け370〜420g/m2の表面起毛タイプの織編物基材を使用した。塗工に用いた溶液は、難燃剤と水と界面活性剤により調製し、ハンドミキサー(HM−703、株式会社ドリテック製)で撹拌した後、スリットコーターを用いて表皮材裏面(非起毛面)へ塗工を行った。塗工後、120℃の温度にて2分間熱風乾燥させた。塗工後の表皮材層は、B5サイズにカットし、難燃剤を塗工した表皮材層を燃焼試験用サンプルとして用いた。難燃剤は、得られた表皮材層に対して、低付着量約5g/m2、中付着量約15g/m2、高付着量約50g/m2を目安として塗布した。難燃剤は、前記難燃剤1〜3および5を用いた。
得られた表皮材層につき、鉄道車両用材料の燃焼性規格(判断基準)に準じる燃焼性試験を実施した。
燃焼性試験結果を表3に示す。
難燃剤として、11g/m2〜45g/m2の難燃剤5(ジメチルメチルホスホネート・オリゴマー)を用いた場合に、燃焼中の火勢、ならびに燃焼後の炭化および変形の基準を満たし、総合評価として、参考例8−2、8−3の表皮材層が、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合することを確認した。参考例8−1については、低付着量5g/m2の場合、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合しなかった。
一方、難燃剤1、難燃剤2、難燃剤3については、高付着量約45g/m2にて難燃剤を塗工した場合、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合することを確認した(参考例5−3、6−3および7−3)が、低付着量約5g/m2および中付着量15g/m2では、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合しなかった(参考例5−1、5−2、6−1、6−2、7−1、および7−2)
<実施例>
1.接着剤層中に難燃剤を含まない、構成体(3層構成)の作製および燃焼性試験
接着剤層については、接着剤および架橋剤を含んだ懸濁液または溶液を使用した。なお、前記懸濁液または溶液には、ポリオキシエチレン誘導体やポリエーテルポリオール系ウレタンポリマーを増粘剤として、さらに消泡剤を添加して、プロペラ撹拌により前記懸濁液または溶液の粘度を7,000〜18,000mPa・sに調整した。さらに、架橋剤は、接着剤100質量部に対して5質量部で配合した。
ラミネート品である構成体の作製には、「難燃剤を塗工した表皮材層の製造および燃焼性試験」と同様の方法により、得られた表皮材層を用いた。
また、面状ファスナー層については、「難燃剤を含浸した面状ファスナー層の製造および燃焼性試験」と同様の方法により、得られた面状ファスナー層を用いた。
ラミネート品である構成体の作製は、B5サイズにカットした面状ファスナー層の 非係合素子面に、前記懸濁液または溶液を30〜100g/m2の乾燥付着量となるように、転写塗工法により塗工した。転写塗工後、表皮材層の非起毛面を前記面状ファスナー層の非係合素子面に貼り、5kgのゴムローラーを用いて圧着積層した。その後、熱風乾燥機を用いて110℃で6分間熱風乾燥して、3層構成のラミネート品である構成体を得た。得られた構成体につき、鉄道車両用材料の燃焼性規格(判断基準)に準じる燃焼性試験を実施した。また、得られた構成体について、JIS L 1086(2013年版)7.10.1に準拠し剥離強度の試験を行った。各々の試験結果を表4に示す。
面状ファスナー層が相手材料(被係合体)と係合素子により接着されている場合、剥離強度として5N/inch以上必要であり、この値より低いと構成体が座席等の相手材料とで簡単に剥離を生じ実用上問題となる。そのため、各構成体間での剥離強度についても5N/inch以上ないと実用上問題が発生する。このように、構成体の剥離強度については、面状ファスナーの係合剥離強度基準を下回った場合、表皮材層と面状ファスナー層の間で剥がれが生じる可能性があるため、5N/inch以上を基準とした。
実施例1〜4の構成体が、燃焼中の火勢、ならびに燃焼後の炭化および変形の基準を満たし、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合する事を確認した。また、剥離強度についても、実施例1〜4の構成体は基準である5N/inch以上である事を確認した。
また、表皮材層および面状ファスナー層のいずれかの一方に難燃剤を含まないか、または難燃剤4および5以外の難燃剤を含有する比較例1〜6では、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合しなかった。
1.接着剤層中に難燃剤を含まない、構成体(3層構成)の作製および燃焼性試験
接着剤層については、接着剤および架橋剤を含んだ懸濁液または溶液を使用した。なお、前記懸濁液または溶液には、ポリオキシエチレン誘導体やポリエーテルポリオール系ウレタンポリマーを増粘剤として、さらに消泡剤を添加して、プロペラ撹拌により前記懸濁液または溶液の粘度を7,000〜18,000mPa・sに調整した。さらに、架橋剤は、接着剤100質量部に対して5質量部で配合した。
ラミネート品である構成体の作製には、「難燃剤を塗工した表皮材層の製造および燃焼性試験」と同様の方法により、得られた表皮材層を用いた。
また、面状ファスナー層については、「難燃剤を含浸した面状ファスナー層の製造および燃焼性試験」と同様の方法により、得られた面状ファスナー層を用いた。
ラミネート品である構成体の作製は、B5サイズにカットした面状ファスナー層の 非係合素子面に、前記懸濁液または溶液を30〜100g/m2の乾燥付着量となるように、転写塗工法により塗工した。転写塗工後、表皮材層の非起毛面を前記面状ファスナー層の非係合素子面に貼り、5kgのゴムローラーを用いて圧着積層した。その後、熱風乾燥機を用いて110℃で6分間熱風乾燥して、3層構成のラミネート品である構成体を得た。得られた構成体につき、鉄道車両用材料の燃焼性規格(判断基準)に準じる燃焼性試験を実施した。また、得られた構成体について、JIS L 1086(2013年版)7.10.1に準拠し剥離強度の試験を行った。各々の試験結果を表4に示す。
面状ファスナー層が相手材料(被係合体)と係合素子により接着されている場合、剥離強度として5N/inch以上必要であり、この値より低いと構成体が座席等の相手材料とで簡単に剥離を生じ実用上問題となる。そのため、各構成体間での剥離強度についても5N/inch以上ないと実用上問題が発生する。このように、構成体の剥離強度については、面状ファスナーの係合剥離強度基準を下回った場合、表皮材層と面状ファスナー層の間で剥がれが生じる可能性があるため、5N/inch以上を基準とした。
実施例1〜4の構成体が、燃焼中の火勢、ならびに燃焼後の炭化および変形の基準を満たし、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合する事を確認した。また、剥離強度についても、実施例1〜4の構成体は基準である5N/inch以上である事を確認した。
また、表皮材層および面状ファスナー層のいずれかの一方に難燃剤を含まないか、または難燃剤4および5以外の難燃剤を含有する比較例1〜6では、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合しなかった。
2.接着剤層中に難燃剤を含む構成体(3層構成)の作製および燃焼性試験
接着剤層の作製に用いる懸濁液または溶液は、前記実施例1と同様の方法により難燃剤2、または難燃剤4を使用して作製した。この際、接着剤100質量部に架橋剤5質量部を加えて作製した接着剤液の質量部に対して指定の難燃剤を該当質量部加えて塗工用接着剤とした。難燃剤5を塗工した表皮材層および難燃剤4を含浸した面状ファスナー層を実施例1と同様に接着剤層により積層させて、3層よりなる構成体(ラミネート品)を得た。得られた構成体につき、鉄道車両用材料の燃焼性規格(判断基準)に準じる燃焼性試験を実施した。また、得られた構成体について、JIS L 1086(2013年版)7.10.1に準拠し剥離強度の試験を行った。各々の試験結果を表5に示す。
実施例5〜7の構成体が、燃焼中の火勢、ならびに燃焼後の炭化および変形の基準を満たし、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合することを確認した。また、実施例5〜7の構成体については、剥離強度も基準である5N/inch以上である事を確認した。ただし、比較例8については、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合していたものの、剥離強度が基準である5N/inchを下回っており、総合評価として適合しなかった。
また、接着剤層中の難燃剤の有無に拘わらず、アルキルホスホン酸エステルを難燃剤として用いて構成体を作製した場合、経済的観点より実際的に配合可能な少量の当該難燃剤を用いて難燃性区分および一定の剥離強度を満たす製品を提供できた。
接着剤層の作製に用いる懸濁液または溶液は、前記実施例1と同様の方法により難燃剤2、または難燃剤4を使用して作製した。この際、接着剤100質量部に架橋剤5質量部を加えて作製した接着剤液の質量部に対して指定の難燃剤を該当質量部加えて塗工用接着剤とした。難燃剤5を塗工した表皮材層および難燃剤4を含浸した面状ファスナー層を実施例1と同様に接着剤層により積層させて、3層よりなる構成体(ラミネート品)を得た。得られた構成体につき、鉄道車両用材料の燃焼性規格(判断基準)に準じる燃焼性試験を実施した。また、得られた構成体について、JIS L 1086(2013年版)7.10.1に準拠し剥離強度の試験を行った。各々の試験結果を表5に示す。
実施例5〜7の構成体が、燃焼中の火勢、ならびに燃焼後の炭化および変形の基準を満たし、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合することを確認した。また、実施例5〜7の構成体については、剥離強度も基準である5N/inch以上である事を確認した。ただし、比較例8については、燃焼性試験基準の「難燃性区分」に適合していたものの、剥離強度が基準である5N/inchを下回っており、総合評価として適合しなかった。
また、接着剤層中の難燃剤の有無に拘わらず、アルキルホスホン酸エステルを難燃剤として用いて構成体を作製した場合、経済的観点より実際的に配合可能な少量の当該難燃剤を用いて難燃性区分および一定の剥離強度を満たす製品を提供できた。
本発明によれば、従来技術により達成が困難であった、鉄道車両用材料燃焼性試験で難燃性区分のアルコール燃焼中および燃焼後の全試験項目をクリアできる鉄道車両向け座席用難燃化表地部材を提供できるので、極めて有用で産業上の利用可能性が高い。
1 座席用難燃化表地部材の構成体
2 表皮材層
3 接着剤層
4 面状ファスナー層
5 クッション材層
10 試験台
11 供試体
12 アルコール容器
13 容器受台
2 表皮材層
3 接着剤層
4 面状ファスナー層
5 クッション材層
10 試験台
11 供試体
12 アルコール容器
13 容器受台
Claims (7)
- 表皮材層と、接着剤層と、面状ファスナー層とがこの順序で積層されてなる座席用難燃化表地部材の構成体であって、
前記の層のうち、表皮材層と面状ファスナー層にアルキルホスホン酸エステル難燃剤を含む該構成体。 - 接着剤層がウレタン系接着剤を含む請求項1記載の構成体。
- アルキルホスホン酸エステル難燃剤が、表皮材層中に10〜50g/m2で含まれる請求項1または2記載の構成体。
- アルキルホスホン酸エステル難燃剤が、面状ファスナー層中に10〜50g/m2で含まれる請求項1〜3のいずれか1記載の構成体。
- 接着剤が、接着剤層中に30〜90g/m2で含まれる請求項1〜4のいずれか1記載の構成体。
- アルキルホスホン酸エステル難燃剤が、ジメチルメチルホスホネート・オリゴマーである請求項1〜4のいずれか1記載の構成体。
- 1)面状ファスナー層の非係合素子面もしくは、表皮材層裏面に接着剤を塗布して、接着剤層を形成し、
2)面状ファスナー層と接着剤層と表皮材層とを圧着積層させ、次いで
3)これを熱風乾燥させて、構成体を得る
工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の構成体の製造方法であって、
前記工程1)〜3)のいずれかの工程に先立ち、少なくとも面状ファスナー層と表皮材層にアルキルホスホン酸エステル難燃剤を含有させる工程を含む該製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2017085810A JP2018184043A (ja) | 2017-04-25 | 2017-04-25 | 鉄道車両向け座席用難燃化表地部材およびその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020066414A (ja) * | 2018-10-25 | 2020-04-30 | ダイニック株式会社 | 鉄道車両用座席表地部材及びその製造方法 |
CN114555874A (zh) * | 2019-10-07 | 2022-05-27 | 南韩商东丽先端素材股份有限公司 | 热粘合性纤维及包含其的汽车内外饰材料用纤维集合体 |
-
2017
- 2017-04-25 JP JP2017085810A patent/JP2018184043A/ja active Pending
Cited By (6)
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JP2022552479A (ja) * | 2019-10-07 | 2022-12-16 | トーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリア・インコーポレーテッド | 熱接着性繊維及びそれを含む自動車内外装材用繊維集合体 |
JP7360547B2 (ja) | 2019-10-07 | 2023-10-12 | トーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリア・インコーポレーテッド | 熱接着性繊維及びそれを含む自動車内外装材用繊維集合体 |
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