JP2020066414A - 鉄道車両用座席表地部材及びその製造方法 - Google Patents

鉄道車両用座席表地部材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】風合いが良好で、難燃剤のブリードによる問題が少なく、耐熱性試験を行っても表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度が充分であり、鉄道車両用材料燃焼性試験を行った際に鉄道車両用材料の燃焼性規格における難燃性区分の基準を満たす事の出来る難燃性に優れた鉄道車両用座席表地部材を提供する。【解決手段】少なくとも表皮材層と、接着剤層と、面状ファスナー材層とがこの順序で積層されてなる鉄道車両用座席表地部材であって、各層が含有している全ての難燃剤の融点が80℃以上であり、表皮材層の表皮材を構成する繊維が有機リン系難燃剤を内添し、接着剤層が接着性樹脂と有機リン系難燃剤とを含有し、面状ファスナー材層の面状ファスナー材に窒素系難燃剤を固着させる。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄道車両用座席表地部材及びその製造方法に関する。より詳しくは、表皮材層と、接着剤層と、面状ファスナー材層とがこの順序で積層されてなる鉄道車両用座席表地部材であって、鉄道車両用材料燃焼性試験を行った際に鉄道車両用材料の燃焼性規格における難燃性区分の基準を満たす事の出来る難燃性に優れた鉄道車両用座席表地部材及びその製造方法に関する。
鉄道車両の座席シートの座面及び背もたれ部分などに、良好な着座感を得る為に弾力性のある発泡ウレタンや弾性繊維集積体などからなるクッション材が配置され、さらにクッション材の表面は良好な肌触りを付与する為に起毛処理等を施した伸縮性のある織編物などからなる表皮材によって覆われている事が一般的である。
鉄道車両の座席シートの表皮材は、汚れたり磨耗したりする事などによって頻繁に交換する必要性がある為に、表皮材がクッション材から容易に着脱可能になっている事が好ましく、例えば表皮材と面状ファスナー材とを接着剤などにより一体化する事によってクッション材から表皮材の着脱が容易な鉄道車両の座席シートに使用する表地部材などが提案されている。
さらに近年、公共輸送での乗客の安全性を担保するために、鉄道車両の火災発生時において、最小限度の火災に限定されるように、鉄道車両の座席シートに用いられる素材に関してもより高度な難燃性が要求されてきている。
この様な要求に適用出来る技術として、特許文献1や特許文献2のように難燃性を付与した面状ファスナー材や特許文献3のように難燃性を付与した表皮材などが検討されているが、これら従来技術の面状ファスナー材や表皮材を接着剤などにより一体化したような鉄道車両用座席表地部材は、鉄道車両用材料燃焼性試験を行った際に鉄道車両用材料の燃焼性規格における難燃性区分の基準をクリアできない物であった。
この事は、従来技術の表皮材や面ファスナー材がそれぞれにおいて優れた難燃性を有する部材であったとしても、それらの部材を積層し接着剤などによって一体化した鉄道車両用座席表地部材の難燃性は必ずしも同様の難燃性能を示さない事を意味し、鉄道車両用座席表地部材の難燃性を検討する上では、各々の部材の難燃性を別途検討した上でそれらを一体化するのではなく、最初から一体化された積層体である鉄道車両用座席表地部材としての難燃性の設計検討を行う必要性があることを示していた。
そこで本発明者は、まず鉄道車両用座席表地部材の表皮材層に難燃剤を添加した際の影響について検討する為に、表皮材の裏面側に難燃剤を含有する塗料をスリットコーターによって塗布した後に乾燥する事によって表皮材裏面側に難燃剤層を設け、表皮材層に添加する難燃剤の種類や添加量について検討を行った。その結果、表皮材層への難燃剤の添加量を増やせば鉄道車両用座席表地部材の難燃性は向上する一方で、異なる問題が発生する事が判明した。例えば、表皮材層の難燃剤層の難燃剤として常温で液体の難燃剤を使用すると、時間経過と共に難燃剤が表皮材表面側にブリードする事により表皮材がべた付いて風合いが損なわれたり、表皮材の色落ちなどの問題が発生したりする傾向があった。また表皮材層の難燃剤層の難燃剤として常温で固体の難燃剤を使用すると、難燃剤の添加量に比例して表皮材がやや硬くなり風合いが損なわれる傾向があった。このような難燃剤の添加による影響は面状ファスナー材層においても同様の傾向を示した。
次に本発明者は、鉄道車両用座席表地部材の接着剤層に難燃剤を添加した際の影響について検討する為に、接着剤層に添加する難燃剤の種類や添加量について検討を行った。その結果、接着剤層に添加する難燃剤の量を増やしていくと鉄道車両用座席表地部材の難燃性が向上する傾向がある一方で表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度が低下していく傾向が見られた。特に常温で液体の難燃剤を使用すると、常温で固体の難燃剤を使用した時と比較して、表皮材層と面状ファスナー材層との間の初期の剥離強度が小さくなるだけでなく、鉄道車両用座席表地部材を110℃の雰囲気中で200時間保存する耐熱性試験を行った後の表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度の低下が顕著になることが分かった。仮に表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度が、座席シートのクッション材のような被係合体と面状ファスナー材の係合素子との間の係合強度を下回ると、鉄道車両用座席表地部材を座席シートのクッション材から剥がそうとした時に、表皮材層と面状ファスナー材層の間が先に剥離してしまい、面状ファスナー材層が座席シートのクッション材層に取り残されるといった問題が発生する。
前述したような検討を行った結果、鉄道車両用座席表地部材を設計する上で、鉄道車両用座席表地部材に難燃剤を多量に添加することによって鉄道車両用材料燃焼性試験を行った際の鉄道車両用材料の燃焼性規格における難燃性区分の基準をクリアするだけでは足りず、さらに風合いが良く、難燃剤のブリードによる問題が少なく、表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度が充分で且つ耐熱性試験を行っても剥離強度が大きく低下しないような性能を鉄道車両用座席表地部材に付与する必要性がある事が分かった。
特開2016−055139号公報 特開2002−238621号公報 特開平8−308692号公報
本発明はこの様な状況に鑑みてなされたものであり、風合いが良好で、難燃剤のブリードによる問題が少なく、耐熱性試験を行っても表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度が充分であり、鉄道車両用材料燃焼性試験を行った際に鉄道車両用材料の燃焼性規格における難燃性区分の基準を満たす事の出来る難燃性に優れた鉄道車両用座席表地部材を提供する事が主たる課題である。
課題を解決する為の手段
本発明が解決しようとする課題の一つの要素としては、風合いが良好で、難燃剤のブリードによる問題が少ない鉄道車両用座席表地部材を提供する事である。この課題の要素を解決する為に本発明者が検討した結果、まず表皮材層の表皮材を構成する繊維に難燃剤を吸尽加工等によって内添させる事によって、難燃剤が表皮材表面に露出しないので表皮材の風合いの悪化を大きく抑制する事が可能である事を見出した。次に表皮材層と接着剤層と面状ファスナー材層の各層が含有している全ての難燃剤に関して、融点が80℃以上の難燃剤だけを使用する事によって、難燃剤のブリードによる問題を大きく抑制する事が可能である事を見出した。
本発明が解決しようとする課題の2つ目の要素としては、耐熱性試験を行っても表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度が充分な鉄道車両用座席表地部材を提供する事である。この課題の要素を解決する為に本発明者が検討した結果、接着剤層に少なくとも接着性樹脂と融点が80℃以上の有機リン系難燃剤を含有させる事によって、耐熱性試験行った後の表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度の低下の抑制に効果がある事を見出した。
本発明が解決しようとする課題の3つ目の要素としては、鉄道車両用材料燃焼性試験を行った際に鉄道車両用材料の燃焼性規格における難燃性区分の基準を満たす事の出来る難燃性に優れた鉄道車両用座席表地部材を提供する事である。この課題の要素を解決する為に本発明者が検討した結果、表皮材層の表皮材を構成する繊維に有機リン系難燃剤を内添させ、接着剤層に有機リン系難燃剤を含有させ、面状ファスナー材層の面状ファスナー材に窒素系難燃剤を固着させる事によって、より難燃性能に優れた傾向を持つ鉄道車両用座席表地部材を得る事が可能であることを見出し、実際に鉄道車両用材料燃焼性試験を行った際に鉄道車両用材料の燃焼性規格における難燃性区分の基準を満たす事が可能となった。
以上のように本発明者が全ての課題の要素を解決する為に検討を行った結果、少なくとも表皮材層と、接着剤層と、面状ファスナー材層とがこの順序で積層されてなる鉄道車両用座席表地部材であって、各層が含有している全ての難燃剤の融点が80℃以上であり、表皮材層の表皮材を構成する繊維が有機リン系難燃剤を内添し、接着剤層が接着性樹脂と有機リン系難燃剤とを含有し、面状ファスナー材層の面状ファスナー材に窒素系難燃剤を固着させた鉄道車両用座席表地部材を発明するに至った。
発明の効果
本発明の鉄道車両用座席表地部材を鉄道車両の座席の表地部材として用いれば、風合いが良く、難燃剤のブリードによる問題が発生し難く、高温環境下において使用しても表皮材層と面状ファスナー材層の剥離などの問題が発生し難く、さらに鉄道車両用材料燃焼性試験行った際に鉄道車両用材料の燃焼性規格における難燃性区分の基準を満たすような優れた難燃性を付与する事が可能となる。
鉄道車両用座席表地部材の実施形態の一例を示す模式的断面図。 鉄道車両用座席表地部材の実施形態の一例を示す模式的断面図。 鉄道車両用材料燃焼性試験に用いられる試験台や供試体等の模式図。
本発明の鉄道車両用座席表地部材1は、基本的に図1に示すように表皮材層2、接着剤層3、面状ファスナー材層4がこの順序で積層した構造からなり、面状ファスナー材層4の面状ファスナー材の係合素子4bを座席のクッション材などの被係合体5に係合させる事によって鉄道車両用座席表地部材1を座席に固定させる事が出来る。
<<鉄道車両用座席表地部材の各構成体>>
次に本発明における鉄道車両用座席表地部材の各構成体についての詳細を下記に示す。
<表皮材層>
本発明の表皮材層は、鉄道車両用座席表地部材の風合いに大きく影響を与える部位であり、一般的な各種織編物からなる表皮材と難燃剤を主構成体としている。表皮材に用いられる織編物に関しては特に限定されないが、ある程度の厚みとクッション性があり且つ人が座席に着座した際の座席の変形に対して表皮材層が追従する事が出来るように、立体構造である程度の伸縮性と柔軟性を有した織編物を使用する事が好ましい。また表皮材のおもて面側、つまり鉄道車両用座席表地部材に使用した際に乗客が直接触れる面側に、パイル加工や起毛加工などを施して肌触りを良くして風合いを向上させたような織編物を使用することがより好ましい。
表皮材を構成する繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維、セルロース系繊維および各種天然繊維等が挙げられるが、好ましくは、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリアミド系繊維を使用することが好ましく、さらにその中でも、使用した表皮材の耐摩耗性等に優れ、難燃剤の吸尽加工を染色加工と同時に行う事が容易なポリエステル系繊維の使用が最も好ましい。本発明で使用する表皮材は、前述した各種繊維のうちの単一の繊維から構成されても構わないし、2種類以上の繊維から構成されても構わない。
本発明における表皮材を構成する繊維には、少なくとも融点が80℃以上の有機リン系難燃剤が内添されている事が必要である。表皮材を構成する繊維に難燃剤を内添させる事によって、表皮材に優れた難燃性を付与するだけでなく、難燃剤の露出による風合いの悪化を大きく抑制する事が可能となる。また有機リン系難燃剤の融点を少なくとも80℃以上に限定する事によって、難燃剤のブリードによる問題の発生を抑制することが可能となった。また本発明者が検討を重ねた結果、表皮材に融点が80℃以上の有機リン系難燃剤を内添させる事によって、表皮材に優れた難燃性を付与する事が可能であるだけでなく、該表皮材を表皮材層として使用した鉄道車両用座席表地部材に対しても同様に優れた難燃性を付与する事が可能である事が分かった。
表皮材を構成する繊維に内添させる有機リン系難燃剤は、各種公知の有機リン系化合物からなる有機リン系難燃剤であればよく、例えば脂肪族リン酸エステル化合物、芳香族リン酸エステル化合物、芳香脂肪族リン酸エステル化合物、芳香族リン酸エステルアミド系化合物、含ハロゲンリン酸エステル化合物、各種有機リン・窒素含有化合物、各種有機リン・臭素含有化合物及びそれらの金属塩などから適宜選択して使用すれば良いが、脂肪族リン酸エステル化合物、芳香族リン酸エステル化合物、芳香脂肪族リン酸エステル化合物、芳香族リン酸エステルアミド系化合物を使用する事がより好ましい。
表皮材を構成する繊維に有機リン系難燃剤を内添させる事によって、燃焼時の気相においてラジカルトラップ効果を発揮して燃焼性ガスの発生を抑制し且つ燃焼時の固相においてチャーを生成する事により酸素を遮断する事によって、鉄道車両用材料燃焼性試験を行った際の鉄道車両用座席表地部材における火勢の抑制と変形の抑制(燃え広がりの抑制)に効果が期待できる。
表皮材を構成する繊維に有機リン系難燃剤を内添させる方法は特に限定はされず、合成繊維を紡糸する前の樹脂原料中に有機リン系難燃剤をコンパウンドさせる方法でも良いし、難燃剤含有加工液に表皮材を浸漬させて高圧高温で浴中処理する事によって難燃剤を繊維中に内添させる方法(吸尽加工)でも良いし、表皮材全体に難燃剤含有加工液を含浸させた後に高温によって短時間で乾燥しながら熱処理する事によって難燃剤を繊維中に内添させる方法(サーモゾル加工)でも良いが、仕上がった表皮材の風合いや難燃性能の面でより優れている吸尽加工によって表皮材を構成する繊維に難燃剤を内添させる事がより好ましい。なお本発明における難燃剤含有加工液とは、各種難燃剤を水や溶剤などの溶媒に分散または溶解した少なくとも難燃剤を含有した塗料であって、さらに必要に応じて各種難燃助剤や各種バインダー樹脂や各種界面活性剤や各種ブリード防止剤や各種浸透剤や各種粘度調整剤や各種発泡剤や各種消泡剤や各種フィラーなどが適宜選択的に添加されている難燃加工用の塗料の事を指す。
表皮材を構成する繊維は、有機リン系難燃剤に加えてさらに臭素系難燃剤を内添している事が好ましい。表皮材を構成する繊維に臭素系難燃剤を内添させる事によって、燃焼時の気相におけるラジカルトラップ効果をより効果的に発揮して燃焼性ガスの発生を抑制する事によって、鉄道車両用材料燃焼性試験を行った際の鉄道車両用座席表地部材における火勢の抑制により効果が期待できる。本発明で表皮材を構成する繊維に内添させる臭素系難燃剤としては、吸尽加工に適したイソシアヌレート系臭素化合物からなる臭素系難燃剤を使用する事が好ましく、中でもトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートを使用する事がより好ましい。トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートは、臭素の含有率が高いだけでなく、有機リン系難燃剤と併用した際の難燃性の向上が期待でき、さらに吸尽加工した際にポリエステル系繊維内に効率よく吸着及び拡散されやすい為に表皮材の難燃性能をより向上させる事が可能であると考えられる。
表皮材を構成する繊維が内添している全ての難燃剤の融点は80℃以上200℃以下の範囲である事が好ましく、より好ましくは80℃以上160℃以下であり、さらに好ましくは110℃以上140℃以下の範囲である。表皮材を構成する繊維が内添している難燃剤の融点が前記範囲であれば、吸尽加工やサーモゾル加工といった各種難燃後加工が行い易く、さらに難燃剤のブリードによる問題が少ない表皮材を得る事が可能となる。
表皮材は、表皮材を構成する繊維に内添されている難燃剤を1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲で含有している事が好ましく、5.0質量%以上20.0質量%以下の範囲で含有していることがより好ましい。表皮材を構成する繊維に内添されている難燃剤の表皮材中の含有量が前記範囲であれば、風合いが良好で、難燃剤のブリードによる問題が少なく、優れた難燃性を表皮材に付与する事が可能となる。
表皮材を構成する繊維に有機リン系難燃剤と臭素系難燃剤を内添させた時の、有機リン系難燃剤と臭素系難燃剤の添加量の比率は特に限定はされず、使用する各難燃剤の性状や難燃剤のリンや臭素の含有量によっても異なるが、有機リン系難燃剤と臭素系難燃剤の添加量の比率が質量比で10:90〜90:10の範囲である事が好ましく、25:75〜75:25の範囲である事がより好ましい。有機リン系難燃剤と臭素系難燃剤の添加量の比率が前記範囲内であれば、表皮材により優れた難燃性を付与する事が可能となる。
本発明者は、前述したように、表皮材を構成する繊維に各種難燃剤を内添させる事によって、表皮材の難燃性の向上を試みたが、表皮材層の難燃性をより向上するために、図2に示すように、繊維に難燃剤を内添させた表皮材の裏面側、つまりは接着剤層側の面に、難燃剤を含有する難燃剤含有加工液をスリットコーターやロールコーターやスプレーコーター等の各種公知の方法によって塗装及び乾燥を行う事によって、さらに難燃剤層(図2の2b)を設けても良い。
難燃剤層に使用される難燃剤は特には限定されず、各種有機リン系難燃剤、各種臭素系難燃剤、各種塩素系難燃剤、各種窒素系難燃剤、各種無機系難燃剤等から要求品質に応じて適宜選択して使用すれば良い。また、難燃剤層を形成する為の難燃剤含有加工液は、水などに難燃剤を分散または溶解させただけの塗料を使用しても良いし、必要に応じて各種バインダー樹脂や粘度調整剤や界面活性剤などを加えたような塗料を使用しても良く特に限定はされないが、難燃性の向上の為に極力難燃剤成分以外のものの添加量を抑制する事がより好ましい。
難燃剤層の付着量は特に限定はされないが、5g/m以上30g/m以下の範囲である事が好ましく、10g/m以上20g/m以下の範囲である事がより好ましい。難燃剤層の付着量が前記範囲を下回ると表皮材層に対する難燃性の付与効果が乏しくなる傾向があり、前期範囲を上回ると表皮材層の柔軟性が失われて風合いが急激に悪化する傾向がある。この様に、繊維に難燃剤を内添させた表皮材の裏面にさらに難燃剤層を設ける事によって表皮材層の難燃性はより向上するが、その一方で表皮材層の風合いが悪化する傾向がある事が分かった。
表皮材層全体の目付けは特に限定はされないが、200g/m以上1000g/m以下の範囲である事が好ましく、300g/m以上600g/m以下の範囲である事がより好ましい。表皮材層の目付けが前記範囲内であれば、適切な強度と耐久性と弾力性と柔軟性と伸縮性のある風合いに優れた表皮材層を得る事が可能となる。表皮材層の目付けが少なくなると、表皮材層の耐久性や強度が乏しくなり、さらに表皮材層の厚みが少なくなる影響で表皮材層が弾力性に乏しくなり風合いが悪化していく傾向があり、目付けが多くなると、表皮材層の耐久性や強度が増す一方で、表皮材層の厚みが多くなる影響で表皮材層の柔軟性や伸縮性が乏しくなり風合いが悪化していく傾向がある。
<面状ファスナー材層>
本発明の鉄道車両用座席表地部材には、座席のクッション材などの被係合体に本願発明の鉄道車両用座席表地部材を固定するために、少なくとも融点が80℃以上の窒素系難燃剤を固着させた面状ファスナー材からなる面状ファスナー材層が一方の面に設けられている。
本発明に用いられる面状ファスナー材層は面状ファスナー材と難燃剤を主構成体とし、該面状ファスナー材は、係合素子とそれを固定する基布からなり、その詳細に関しては下記で詳細に説明する。
面状ファスナー材の基布としては、一般に使用される織編物を使用することができるが、係合素子部分が係合する被係合体との間でしっかり固定され、さらに被係合体が変形した場合においても変形に追従してフィットして係合できるようにするために、ある程度の伸縮性を有する織編物の使用が好ましく、面状ファスナー材として縦横及びバイアス方向に優れた伸びを保持させる事が可能な織編物を使用することがより好ましい。
面状ファスナー材の基布の素材としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維など各種合成繊維を使用することができるが、基布自体の強度が保持できる点からポリエステル系繊維を使用する事がより好ましい。また、基布及び係合素子を同色に染色して使用する場合には、染色のしやすさの点でポリアミド系繊維を基布に使用する事が好ましい。ポリアミド系繊維の中でもナイロン繊維を使用すると、特にポリプロピレンのモノフィラメントからなる係合素子と同じ温度で染色が出来る為より好ましい。
係合素子の形状としては、キノコ型やループ型やカギ型などが想定されるが、例えば、車両用の座席や自動車の内装材などのように係合の強度が必要かつ長時間にわたってその強度や係合状態を保持させるためには、被係合体との係合強度や係合強度の保持性などから、キノコ型が優れる。係合糸に使用する材料としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維など各種繊維からなるモノフィラメントを使用することが好ましい。中でも、比較的低温でのキノコ型の形状作製が容易であり、加工性に優れる上に強度が優れるため係合後剥がれ等が発生しにくく被係合体との間の伸びへの追従性にも優れている点から、ポリプロピレンのモノフィラメントを使用する事が好ましい。
本発明の面状ファスナー材の作成方法は、2枚の基布を後に係合素子になるモノフィラメントで連結し、2枚の基布の間の中間部分でモノフィラメント部分を切断する事によって、モノフィラメントの突起を有する基布を2枚作成出来る。これらの基布のモノフィラメントの突起の先端部分をガスバーナーによる直火や赤外線などにより加熱して溶融させて、キノコ型係合素子を有する面状ファスナー材を作成する。
本発明の面状ファスナー材の伸び率は、縦横方向の伸び率が15%以上50%以下の範囲で、バイアス方向の伸び率が30%以上60%以下であることが好ましい。面状ファスナー材の係合素子側を被係合体と係合させる時、被係合体の凸部の曲面部分では面状ファスナー材を伸ばすようにして係合させないと面状ファスナー材にシワが発生する。縦横の伸び率が15%より小さくかつ、バイアス方向の伸び率が30%より小さいと、シワの発生により外観が悪くなり、シワによりその部分から係合の浮きが発生して、外観不良ばかりでなく、シワ部分が他の材料とこすれるなどして表面強度の低下や剥がれの問題が発生する。
一方、縦横方向の伸び率が50%より大きくかつ、バイアス方向の伸び率が60%より大きいと、被係合体に係合させる時に、係合させるのに十分な伸びがあるため、必要以上に伸ばしながら被係合体と係合させることになり、係合後に放置しておくと面状ファスナー材の係合素子が被係合体との間で係合後の収縮に耐えきれず、収縮による面状ファスナー材と被係合体間とのずれによる外観不良などの問題が発生する。
係合素子としては基布の単位面積あたり40本/cm以上70本/cm以下存在することが好ましく、45本/cm以上65本/cm以下存在することがより好ましい。40本/cmより少ないと被係合体との間で剥がれが発生しやすくなり、特に曲面部分を有する被係合体に対しては顕著に剥がれが発生しやすくなる。一方、70本/cmより多くなると風合が固くなり、面状ファスナー材としての伸び率が不十分となり被係合体の伸びに対する追従性が悪化すると共に、生産性や生産コストに問題が生じる。
本発明の面状ファスナー材層は、優れた難燃性を鉄道車両用座席表地部材に付与させる為に難燃剤によって面状ファスナー材を難燃加工する必要があり、本発明者が面状ファスナー材に使用する難燃剤と難燃加工方法について様々な検討を行ったところ、面状ファスナー材の全体に融点が80℃以上の窒素系難燃剤を固着させる事によって、難燃剤のブリードによる問題の発生が抑制可能で、さらに該面状ファスナー材を面状ファスナー材層として使用した鉄道車両用座席表地部材に優れた難燃性を付与する事が可能である事が分かった。
本発明の面状ファスナー材に難燃剤を固着させる方法に関しては特に限定はされないが、各種公知の塗装方法によって面状ファスナー材全体に難燃剤含有加工液を含浸させた後、熱風乾燥及び熱処理を行う方法などが挙げられる。この際の熱風乾燥および熱処理の温度および時間は、面状ファスナー材の材質、繊維密度等を考慮して、適宜選定される。
本発明の面状ファスナー材に固着させる窒素系難燃剤としては、各種メラミン化合物、メラミン・シアヌレート化合物、メラミン・フォスフェート化合物、グアニジン化合物などを使用する事が出来るが、グアニジン化合物を含有するグアニジン化合物系難燃剤を使用する事がより好ましく、鉄道車両用座席表地部材に該面状ファスナー材を使用した際の難燃性付与効果がより高く且つ面状ファスナー材に固着させた際の面状ファスナー材の伸縮性や柔軟性の低下傾向がより少ないスルファミン酸グアニジンを使用する事が最も好ましい。
面状ファスナー材に固着させる難燃剤として窒素系難燃剤を使用することによって、燃焼時の気相において生成される不活性窒素系ガスによる酸素希釈効果・酸素遮断効果などや、分解・昇華による吸熱効果などが期待できるので、鉄道車両用材料燃焼性試験を行った際の鉄道車両用座席表地部材における火勢の抑制が期待できる。特にグアニジン化合物系難燃剤は、固相における脱水炭化作用による難燃効果も期待できる為に変形の抑制(燃え広がりの抑制)にも大きな効果が期待できる。また窒素系難燃剤はリン系難燃剤との併用する事によって、難燃性に相乗効果が期待できる事が確認されており、本発明のように積層体中に有機リン系難燃剤と窒素系難燃剤を併用した鉄道車両向け表地部材は、鉄道車両用材料燃焼性試験を行った際に、火勢の抑制と変形の抑制(燃え広がりの抑制)により大きな効果が期待できると考えられる。
本発明の面状ファスナー材に固着させる窒素系難燃剤の融点は、少なくとも80℃以上である事が必要であり、耐熱性試験(110℃の雰囲気中で200時間保存)による影響を考えると110℃以上である事がより好ましい。逆に窒素系難燃剤の融点の上限は特に限定はされないが、難燃剤の難燃性が効果的に発揮出来るように面状ファスナーの基布で使用する可能性のあるポリエチレンテレフタレート樹脂の融点に近い270℃以下である事が好ましく、係合素子で使用する可能性のあるポリプロピレンの融点に近い160℃以下である事がより好ましい。
面状ファスナー材層は、面状ファスナー材に固着させる窒素系難燃剤を1.0質量%以上15.0質量%以下の範囲で含有している事が好ましく、より好ましくは3.0質量%以上10.0質量%以下の範囲で含有していることが好ましい。面状ファスナー材層が前記範囲で窒素系難燃剤を含有していれば、鉄道車両用座席表地部材に対する難燃性付与効果が充分に得られる。窒素系難燃剤の含有量が少ないと難燃性付与効果が乏しくなり、含有量が多いと、面状ファスナー材が硬くなり風合いが悪くなる傾向がある。
面状ファスナー材層の目付けは特に限定されないが、200g/m以上450g/m以下である事が好ましく、250g/m以上400g/m以下である事が好ましい。面状ファスナー材層の目付けが前記範囲であれば、面状ファスナー材層が適切な強度と伸縮性と柔軟性を有する事が可能である為に、該面状ファスナー材層を鉄道車両用座席表地部材に使用すれば、鉄道車両用座席表地部材自体の強度を向上させ、座席クッション材などの被係合体に対して強力に係合し且つ被係合体の変形に対しての追従性が良好となり、さらに適度な柔軟性があるので鉄道車両用座席表地部材の風合いを悪化させない事が可能となる。
<接着剤層>
本発明の鉄道車両用座席表地部材は、表皮材層と面状ファスナー材層を積層して一体化するために少なくとも表皮材層と面状ファスナー材層の間に、少なくとも接着性樹脂と融点が80℃以上の有機リン系難燃剤を含有する接着剤層を設ける。
本発明の接着剤層に使用する接着性樹脂としては、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂、アクリル酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられるが、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂を使用する事がより好ましく、ウレタン系樹脂を使用する事が最も好ましい。ウレタン系樹脂は、初期接着力と耐熱性に優れ、さらに難燃性にも優れており、ウレタン系樹脂の中でも特にポリカーボネート骨格を有したポリウレタン系樹脂を使用する事が最も好ましい。また接着性樹脂の接着力が不足する場合には、接着剤層に各種公知の架橋剤を添加してもよい。
本発明の接着剤層における接着性樹脂の含有量は特に限定されないが、表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度を適切にする為には、少なくとも接着剤層が接着性樹脂を50質量%以上含有する事が好ましく、60質量%以上含有している事がより好ましく、70質量%以上含有している事が最も好ましい。接着剤層の接着性樹脂の含有量が多ければ多いほど表皮材層と面状ファスナー材層間の剥離強度が大きくなる為、特に接着性樹脂の含有量の上限は限定されず、その含有量は接着剤層に添加される有機リン系難燃剤の種類や含有量に影響される。
本発明者が、接着剤層に使用する難燃剤を検討したところ、少なくとも融点が80℃以上の有機リン系難燃剤を接着剤層の難燃剤として使用する事によって、難燃剤のブリードによる問題の発生を抑制可能で、耐熱性試験を行った際の表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度の低下も抑制する事が可能である事が分かった。さらに本発明者が検討を行った所、少なくとも接着性樹脂と融点が80℃以上の有機リン系難燃剤を含有した接着剤層を使用すれば鉄道車両用座席表地部材により優れた難燃性を付与する事が可能である事が分かった。
本発明の接着剤層に使用する有機リン系難燃剤の種類は、特には限定されず、各種公知の有機リン系化合物からなる有機リン系難燃剤であればよく、例えば脂肪族リン酸エステル化合物、芳香族リン酸エステル化合物、芳香脂肪族リン酸エステル化合物、芳香族リン酸エステルアミド系化合物、含ハロゲンリン酸エステル化合物、各種有機リン・窒素含有化合物、各種有機リン・臭素含有化合物及びそれらの金属塩などから適宜選択して使用すれば良いが、脂肪族リン酸エステル化合物、芳香族リン酸エステル化合物、芳香脂肪族リン酸エステル化合物、芳香族リン酸エステルアミド系化合物を使用する事がより好ましい。
接着剤層に有機リン系難燃剤を含有させる事によって、燃焼時の気相においてラジカルトラップ効果を発揮して燃焼性ガスの発生を抑制し且つ燃焼時の固相においてチャーを生成する事により酸素を遮断する事によって、鉄道車両用材料燃焼性試験を行った際の鉄道車両用座席表地部材における火勢の抑制と変形の抑制(燃え広がりの抑制)に効果が期待できる。
本発明の接着剤層に使用する有機リン系難燃剤の融点は、少なくとも80℃以上である事が必要であるが、耐熱性試験の温度が110℃である事などから有機リン系難燃剤の融点の下限は110℃以上である事がより好ましく、耐熱性試験を行った際の表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度の低下をより抑制する事が可能となる。接着剤層に使用する有機リン系難燃剤の融点の上限は特に限定はされないが、有機リン系難燃剤の難燃性が効果的に発揮できるように、表皮材層の表皮材や面状ファスナー材層の面状ファスナー材の基布に使用される可能性のあるポリエチレンテレフタレート樹脂の融点に近い270℃以下である事が好ましい。
本発明の接着剤層における前記有機リン系難燃剤の含有量は、15質量%以上50質量%以下である事が好ましく、20質量%以上40質量%以下である事がより好ましい。接着剤層への前記有機リン系難燃剤の含有量が前記範囲であって、且つ接着剤層への接着性樹脂の含有量が少なくとも50質量%以上であれば、鉄道車両用座席表地部材に対して優れた難燃性を付与出来ると同時に耐熱性試験を行っても表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度を充分に保つ事が可能となる。
本発明の接着剤層を形成する為の接着剤層用塗料は、少なくとも前述したような接着性樹脂と有機リン系難燃剤を含有し、必要に応じて各種添加剤、例えば難燃助剤、界面活性剤、粘度調整剤、架橋剤などを、難燃性や表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度に悪影響を与えない範囲で適宜少量添加しても良い。該接着剤層用塗料の形態は、水性塗料でも油性塗料でもホットメルト塗料でも構わないが、接着剤層用塗料の塗布及び乾燥時に張り合わせる表皮材層や面状ファスナー材層を損傷させにくいような水性塗料として接着剤層用塗料を調整する事が好ましい。
本発明の接着剤層の形成方法は特に限定はされず、表皮材層裏面側(表皮材層の表皮材のおもて面の反対側の面)もしくは面状ファスナー材層の非係合素子面(面状ファスナー材の係合素子が設けられてない面)に前述した接着剤層用塗料を各種公知の塗装方法によって塗布し、さらに塗布した接着剤層用塗料を間に挟んだ状態で表皮材層裏面と面状ファスナー材層の非係合素子面とを向かい合わせに張り合わせて積層圧着させた後にそれらをドライヤーなどによって乾燥する事によって、表皮材層と面状ファスナー材層の間に接着剤層が形成される。
本発明の接着剤層の目付けは、50g/m以上150g/m以下である事が好ましく、70g/m以上120g/m以下である事がより好ましい。接着剤層の目付けが前記範囲内であれば、表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度が充分であり、該接着剤層を使用した鉄道車両用座席表地部材の伸縮性や柔軟性が大きく損なわれず且つ優れた難燃性を鉄道車両用座席表地部材に付与する事が可能となる。接着剤層の目付けが少なくなると、表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度が低下する傾向があり、逆に接着剤層の目付けが多くなると、剥離強度が向上する一方で鉄道車両用座席表地部材の伸縮性や柔軟性が損なわれてしまい、結果として鉄道車両用座席表地部材の風合いが悪化する傾向がある。
<鉄道車両用座席表地部材の製造方法>
さらに本発明によれば、前述した表皮材層や面状ファスナー材層や接着剤層を用いて、鉄道車両用座席表地部材の製造方法も提供できる。
本発明の鉄道車両用座席表地部材の製造方法は、まず吸尽加工によって繊維中に難燃剤を内添させた表皮材から少なくともなる表皮材層と、面状ファスナー材全体に難燃剤含有加工液を含浸させた後に乾燥させることによって面状ファスナー材に難燃剤を固着させた面状ファスナー材層とをそれぞれあらかじめ用意した上で、それらの表皮材層裏面もしくは面状ファスナー材層の非係合素子面に少なくとも接着性樹脂と難燃剤からなる接着剤層用塗料を各種公知の塗装方法によって塗布し、さらに表皮材層裏面と面状ファスナー材層の非係合素子面とを接着剤層用塗料を間に挟んだ状態で向かい合わせに張り合わせて積層圧着した後に、それらをドライヤーなどによって乾燥して一体化する工程を含む事を特徴としている。
次に実施例を挙げて本発明について具体的に説明する。
<<実施例で使用する鉄道車両用座席表地部材と各構成体の形成方法について>>
本発明の実施例で使用する鉄道車両用座席表地部材と各構成体の形成方法について下記でその詳細を説明する。
<表皮材層の形成方法>
本発明の実施例等に用いる表皮材として、ポリエステル系繊維からなる目付け400g/mの表面起毛タイプの織編物を使用する。次に本発明の実施例で使用される難燃剤の詳細を下記表1に示す。
Figure 2020066414
表1に示す難燃剤1に水と微量の界面活性剤を加えて調整し、ミキサーで撹拌混合して固形分10%の難燃剤含有加工液を作成し、前記表皮材をこの難燃剤含有加工液中に浸漬させて高圧高温で浴中処理する事(吸尽加工)によって、表皮材を構成する繊維に難燃剤1を40g/m内添させて本発明の実施例で使用する表皮材層1を作成した。同様の方法で表皮材を構成する繊維に表1に示す難燃剤2、難燃剤3、難燃剤5をそれぞれ内添させ、表皮材層2〜4を作成した。さらに同様の方法で表1に示す難燃剤1と難燃剤5を質量比1:1で混合したものを難燃剤として表皮材を構成する繊維に内添させて表皮材層5を作成した。
また表1に示す難燃剤4に水と微量の発泡剤を加えて調整し、ミキサーで撹拌混合して固形分25%の泡状の難燃剤含有加工液を作成し、該難燃剤含有加工液をスリットコーターによって表皮材裏面(非起毛面)に難燃剤4の乾燥後の付着量が40g/mとなるように調整して塗布した後に、120℃の温度で2分間熱風乾燥する事によって難燃剤4を含有した難燃剤層を設けた表皮材層6を作成した。同様の方法で前記表皮材裏面に難燃剤1、難燃剤5を含有した難燃剤層を設けた表皮材層7、表皮材層8を作成した。
また表1に示す難燃剤6に水を加えてミキサーで撹拌混合して難燃剤を水に溶解させて固形分10%の難燃剤含有加工液を作成し、表皮材層1、つまりは繊維に難燃剤1を40g/m内添済みの表皮材の裏面に対して、さらにロールコーターによって表皮材裏面(非起毛面)に難燃剤6の乾燥後の付着量が10g/mとなるように調整して塗布した後に、120℃の温度で2分間熱風乾燥する事によって、表皮材層1の裏面側にさらに難燃剤6を含有した難燃剤層を設けた表皮材層9を作成した。なお表皮材層10は、難燃剤による難燃加工を全く施していない表皮材の事である。このようにして作成した本発明の実施例で使用する表皮材層の詳細について下記表2に示す。
Figure 2020066414
<面状ファスナー材層の形成方法>
ポリエステル系繊維からなる糸(縦280dtex/48f、横280dtex/48f)を用いて作製した織編物基布に、ポリプロピレン糸(280dtex/1f)による係合素子(係合素子の密度56本/cm)を設け、本発明の実施例に使用する目付280g/mの面状ファスナー材を作成した。
次に表1に示す難燃剤6に水を加えてミキサーで撹拌混合して難燃剤を水に溶解(もしくは分散)させるなどして調整する事によって固形分35%の難燃剤含有加工液を作成し、前記面状ファスナー材の全体にマングルロールを用いて該難燃剤含有加工液を含浸させた後に、110℃の温度にて3分間熱風乾燥及び熱処理し、面状ファスナー材全体に乾燥後の付着量が15g/mとなるように難燃剤6を固着させて、本発明の実施例で使用する面状ファスナー材層1を作成した。同様の方法によって、表1に示す難燃剤1、難燃剤4、難燃剤5をそれぞれ面状ファスナー材に固着(または付着)させて、面状ファスナー材層2〜4を作成した。なお面状ファスナー材層5は、難燃剤による難燃加工を全く施していない面状ファスナー材の事である。このようにして作成した本発明の実施例で使用する面状ファスナー材層の詳細について下記表3に示す。
Figure 2020066414
<鉄道車両用座席表地部材の作成方法>
本発明の実施例において各接着剤層を形成するための接着剤層用塗料の配合の詳細について下記表4に示す。
Figure 2020066414
表4に示される接着剤層1を形成するための接着剤層1用塗料を、前述した面状ファスナー材層1の非係合素子面に、乾燥後の接着剤層の目付けが80g/mになるように調整してフィルム転写塗工した後、表皮材層1の裏面と面状ファスナー材層1の非係合素子面とを接着剤層1用塗料を間に挟んだ状態で向かい合わせに張り合わせて積層し、さらにそれらを自重5kgのローラーを用いて表皮材側から荷重をかけて圧着させた後に、110℃の温度で6分間熱風乾燥する事によって本発明の実施例1で使用する鉄道車両用座席表地部材を作成した。同様の方法によって、本発明の実施例で使用する他の鉄道車両用座席表地部材も作成した。
<<鉄道車両用座席表地部材の各種評価方法について>>
前述した方法によって作成した本発明の実施例で使用する鉄道車両用座席表地部材の各種評価の方法について下記で説明する。
<鉄道車両用材料燃焼性試験及び鉄道車両用材料の燃焼性規格による評価>
本発明の鉄道車両用座席表地部材は、日本鉄道車両機械技術協会が定めた鉄道車両用材料燃焼性試験によって評価され、その結果が鉄道に関する技術上の基準を定める省令(第83条第3項)における鉄道車両用材料の燃焼性規格の「難燃性」区分の基準を満たすことを目的の一つとしている。よって本発明の実施例で作成した鉄道車両用座席表地部材は、鉄道車両用材料燃焼性試験を行い、その結果に基づいて、鉄道車両用材料の燃焼性規格のどの区分に該当するか判断する事によって評価される。
鉄道車両用材料燃焼性試験の試験方法は、図3に示すような、水平面に対し45度の傾斜で下面に表皮材層を向けて設けたB5判の鉄道車両用座席表地部材の供試体7、アルコール容器8、および容器受台9よりなる試験台6を用いて、i)アルコール容器の底の中心が、供試体の下面中心の垂直下方1インチの所になるようにアルコール容器を設置し、アルコール容器に純エチルアルコール0.5ccを入れて着火し、ii)アルコール燃焼中の供試体の着火、着炎、発煙状態、炎状態を観察し、iii)アルコール燃焼後の供試体の残炎、残じん、炭化、変形状態を調査し、次いでiv)鉄道車両用材料の燃焼性規格(下記表5)の各区分に示される燃焼性の判断基準を満たすか否か判定し、最終的にどの区分に該当するのか判断をする事によって評価を行う。
燃焼中の火勢ならびに燃焼後の炭化および変形の各項目の具体的な判定基準を以下に示す。
a)火勢 ○:炎が試験片の上端を超えない
×:炎が試験片の上端を超える
b)炭化 ○:試験片の上端に達する
×:試験片の1/2を超える面積の炭化
××:放置すればほとんど消失
c)変形 ○:縁に達する変形または局部的貫通孔の発生
×:試験片の1/2を超える面積の変形消失
××:放置すればほとんど消失
また、アルコール燃焼により生成する、供試体の厚み方向とは直角方向の平面での貫通孔の縦および横のサイズ(mm)も測定した。
Figure 2020066414
<剥離強度の測定>
本発明の実施例で作成した鉄道車両用座席表地部材の表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度の測定については、万能型引張試験機(製品名:UCT−500(ORIENTEC CORPORATION製))を使用し、JIS L1086(2013年版)に基づいて測定を行った。なお本発明の鉄道車両用座席表地部材の表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度は、本発明の面状ファスナー材の係合素子と座席のクッション材などの被係合体との間の剥離強度が最大で5N/inchである事から、少なくとも5N/inch以上である事が必要である。また剥離強度を測定するサンプルとして、実施例で作成した鉄道車両用座席表地部材に何の処理も行っていない未処理の標準サンプルと、耐熱性試験後の熱処理後のサンプルとの2種類のサンプルを用いて、それぞれの表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度を測定した。測定した剥離強度に基づいて下記に示す評価方法によってそれぞれのサンプルの評価を行った。
<初期剥離強度の評価>
前記剥離強度の測定方法によって、実施例で作成した鉄道車両用座席表地部材の未処理の標準サンプルの表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度を測定し、その結果に基づいて、鉄道車両用座席表地部材の表皮材層と面状ファスナー材層との間の初期剥離強度の評価を下記に示す評価基準に基づいて評価を行った。
A・・・剥離強度が6N/inch以上。
B・・・剥離強度が5N/inch以上6N/inch未満。
C・・・剥離強度が5N/inch未満
<耐熱性試験後の剥離強度の評価>
実施例で作成した鉄道車両用座席表地部材を、110℃の雰囲気中において200時間静置保存する耐熱性試験を行い、熱処理後の鉄道車両用座席表地部材のサンプルの表皮材層と面状ファスナー材層との剥離強度を前記剥離強度の測定方法によって測定し、測定した剥離強度に基づいて下記に示す評価基準に基づいて評価を行った。
A・・・剥離強度が6N/inch以上。
B・・・剥離強度が5N/inch以上6N/inch未満。
C・・・剥離強度が5N/inch未満
<風合いの評価>
実施例で作成した鉄道車両用座席表地部材の風合いについて、鉄道車両用座席表地部材を手で触れる事によって下記に示す基準に基づいて評価を行った。
A・・・肌触り・柔軟性・伸縮性の全てが良好である。
B・・・肌触り・柔軟性・伸縮性のうち少なくとも一つ以上の項目について少し問題を感じるが使用上の問題はない。
C・・・肌触り・柔軟性・伸縮性のうち少なくとも一つ以上の項目について明らかな問題があり使用上の問題がある。
<難燃剤のブリードの評価>
実施例で作成した鉄道車両用座席表地部材を50℃95%RHの雰囲気中で200時間静置保存した後に、鉄道車両用座席表地部材の表皮材層表面を手で触れる事によって下記に示す基準に基づいて評価を行った。
A・・・難燃剤のブリードによるベタツキが全くない。
B・・・難燃剤のブリードによるベタツキをほんの僅かだが感じる。
C・・・難燃剤のブリードによるベタツキを明らかに感じる
前述した表皮材層、面状ファスナー材層、接着剤層用塗料を用いて、本発明の実施例で使用する鉄道車両用座席表地部材を作成し、実施例及び比較例の各鉄道車両用座席表地部材の構成体の詳細と、該鉄道車両用座席表地部材に対して前述した各種評価を行った結果を下記表6と表7に示す。表6は主に表皮材層の構成体を比較しており、表7は主に面状ファスナー材層と接着剤層の構成体を比較評価した結果である。なお表中の「面フ層」は「面状ファスナー材層」を略したものである。
Figure 2020066414
Figure 2020066414
表6と表7の結果より、実施例1〜実施例6の鉄道車両用座席表地部材のように、少なくとも表皮材層と、接着剤層と、面状ファスナー材層とがこの順序で積層され、各層が含有している全ての難燃剤の融点が80℃以上であり、表皮材層の表皮材を構成する繊維が有機リン系難燃剤を内添し、接着剤層が接着性樹脂と有機リン系難燃剤とを含有し、面状ファスナー材層の面状ファスナー材に窒素系難燃剤を固着させた鉄道車両用座席表地部材を用いれば、風合いが良好で、難燃剤のブリードによる問題が少なく、耐熱性試験を行っても表皮材層と面状ファスナー材層との間の剥離強度が充分であり、鉄道車両用材料燃焼性試験を行った際に鉄道車両用材料の燃焼性規格における難燃性区分の基準を満たす事が出来た。一方で、比較例1のように表皮材を構成する繊維に臭素系難燃剤だけを内添させた場合には、難燃性区分の基準を満たす事が出来なかった。また比較例2のように表皮材を構成する繊維に難燃剤を内添せずに、表皮材の裏面側に融点が−50℃の有機リン系難燃剤を含有する難燃剤層を設ける事によって難燃加工をした場合には、難燃性区分の基準は満たす事が出来るものの難燃剤のブリードの問題が発生した。また比較例3と比較例4のように、表皮材を構成する繊維に難燃剤を内添せずに、表皮材の裏面側にそれぞれ融点が115℃の有機リン系難燃剤と融点が110℃の臭素系難燃剤を含有する難燃剤層を設ける事によって難燃加工をした場合には、難燃性区分の基準を満たす事が出来ず、さらに全体の柔軟性がやや失われて風合いがやや悪化した。また比較例5、比較例9、比較例12のように、いずれかの層に難燃剤による難燃加工が施されていない場合には、いずれの場合においても難燃性区分の基準を満たす事が出来なかった。また比較例6のように、面状ファスナー材に固着させる難燃剤として融点115℃の有機リン系難燃剤を用いたところ、難燃性区分の基準を満たす事が出来ないだけでなく、面状ファスナー材層の柔軟性がなくなって非常に硬くなり風合いが悪化し、さらには難燃剤が面状ファスナー材にしっかり固着しなかった。また比較例7のように、面状ファスナー材に固着させる難燃剤として融点−50℃の有機リン系難燃剤を使用したところ、難燃性区分の基準を満たす事は出来たが、難燃剤のブリードが発生した。また比較例8のように、面状ファスナー材に固着させる難燃剤に臭素系難燃剤を用いたところ、難燃性区分の基準を満たす事が出来なかった。また比較例10のように、接着剤層に使用する難燃剤として融点が−50℃の有機リン系難燃剤を使用したところ、難燃性区分の基準を満たす事が出来たものの、耐熱性試験後に剥離強度が大きく低下して不充分となり、さらに難燃剤のブリードも発生した。また比較例11の様に、接着剤層に使用する難燃剤として臭素系難燃剤を使用したところ、難燃性区分の基準を満たす事が出来なかった。
本発明によれば、従来技術によっては達成が困難であった、鉄道車両用材料燃焼性試験行った際に鉄道車両用材料の燃焼性規格における難燃性区分の基準を満たすような難燃性に優れていて且つ面状ファスナー材によって座席のクッション材から取り外し容易な鉄道車両用座席表地部材の提供が可能である。
1;鉄道車両用座席表地部材
2;表皮材層
2a;表皮材
2b;難燃剤層
3;接着剤層
4;面状ファスナー材層
4a;基布
4b;係合素子
5;被係合体(クッション材等)
6;試験台
7;供試体
8;アルコール容器
9;容器受台

Claims (14)

  1. 少なくとも表皮材層と、接着剤層と、面状ファスナー材層とがこの順序で積層されてなる鉄道車両用座席表地部材であって、各層が含有している全ての難燃剤の融点が80℃以上であり、表皮材層の表皮材を構成する繊維が有機リン系難燃剤を内添し、接着剤層が接着性樹脂と有機リン系難燃剤とを含有し、面状ファスナー材層の面状ファスナー材に窒素系難燃剤を固着させた鉄道車両用座席表地部材。
  2. 接着剤層が含有する接着性樹脂がウレタン系樹脂である請求項1に記載の鉄道車両用座席表地部材。
  3. 接着剤層が含有する有機リン系難燃剤の融点が80℃以上270℃以下である請求項1又は請求項2に記載の鉄道車両用座席表地部材。
  4. 接着剤層が有機リン系難燃剤を15質量%以上50質量%以下の範囲で含有している請求項1〜3のいずれかに記載の鉄道車両用座席表地部材。
  5. 表皮材層の表皮材を構成する繊維が臭素系難燃剤をさらに内添している請求項1〜4のいずれかに記載の鉄道車両用座席表地部材。
  6. 臭素系難燃剤が、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートである請求項5に記載の鉄道車両用座席表地部材。
  7. 表皮材層の表皮材を構成する繊維が内添している全ての難燃剤の融点が80℃以上200℃以下の範囲である請求項1〜6のいずれかに記載の鉄道車両用座席表地部材。
  8. 表皮材層の表皮材が、表皮材を構成する繊維に内添されている難燃剤を1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲で含有している請求項1〜7のいずれかに記載の鉄道車両用座席表地部材。
  9. 面状ファスナー材層の面状ファスナー材がキノコ型の係合素子を有する面状ファスナー材であって、面状ファスナー材の基布がポリエステル系繊維からなり、面状ファスナー材の係合素子がポリプロピレンのモノフィラメントからなる請求項1〜8のいずれかに記載の鉄道車両用座席表地部材。
  10. 面状ファスナー材層の面状ファスナー材に固着させる窒素系難燃剤の融点が80℃以上270℃以下の範囲である請求項1〜9のいずれかに記載の鉄道車両用座席表地部材。
  11. 面状ファスナー材層が、面状ファスナー材に固着させる窒素系難燃剤を1.0質量%以上15.0質量%以下の範囲で含有している請求項1〜10のいずれかに記載の鉄道車両用座席表地部材。
  12. 面状ファスナー材層の面状ファスナー材に固着させる窒素系難燃剤がグアニジン化合物系難燃剤である請求項1〜11のいずれかに記載の鉄道車両用座席表地部材。
  13. 表皮材の裏面側に難燃剤を含有する難燃剤層をさらに設けた表皮材層を用いた請求項1〜12のいずれかに記載の鉄道車両用座席表地部材。
  14. 吸尽加工によって繊維中に難燃剤を内添させた表皮材から少なくともなる表皮材層と、面状ファスナー材全体に難燃剤含有加工液を含浸させた後に乾燥させることによって面状ファスナー材に難燃剤を固着させた面状ファスナー材層をあらかじめ用意した上で、表皮材層裏面もしくは面状ファスナー材層の非係合素子面に少なくとも接着性樹脂と難燃剤からなる接着剤層用塗料を塗布し、さらに表皮材層裏面と面状ファスナー材層の非係合素子面とを接着剤層用塗料を間に挟んだ状態で向かい合わせに張り合わせて積層圧着した後にそれらを乾燥して一体化する工程を少なくとも含む請求項1〜13のいずれかに記載の鉄道車両用座席表地部材の製造方法。
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