JP2013031911A5 - エンドミル - Google Patents

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本発明はエンドミルに関するものである。
すなわち本発明のエンドミルは、工具軸に対し垂直な方向から見たときに、曲線状である円弧刃と、円弧刃に連続する直線状もしくは曲線状である中低勾配刃とから構成された底刃と、外周刃を有するエンドミルであって、工具軸に対し平行となる方向から見たときに、円弧刃及び円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁は、曲率半径を有する曲線状であり、円弧刃の曲率半径を円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁の曲率半径の0.3倍以上0.7倍以下の範囲で設けたことを特徴とす
また本発明のエンドミルは、工具軸に対し垂直な方向から見たときに、曲線状である円弧刃と、円弧刃に連続する直線状もしくは曲線状である中低勾配刃とから構成された底刃と、外周刃を有するエンドミルであって、工具軸に対し平行となる方向から見たときに、円弧刃及び円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁は、曲率半径を有する曲線状であり、円弧刃の曲率半径を円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁の曲率半径より小さく設けるとともに、円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁の曲率半径を工具半径の2倍以上4倍以下の範囲で設けたことを特徴とする。
また本発明のエンドミルは、工具軸に対し垂直な方向から見たときに、曲線状である円弧刃と、円弧刃に連続する直線状もしくは曲線状である中低勾配刃とから構成された底刃と、外周刃を有するエンドミルであって、工具軸に対し平行となる方向から見たときに、円弧刃及び円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁は、曲率半径を有する曲線状であり、円弧刃の曲率半径を円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁の曲率半径より小さく設けるともに、前記外周刃が、相対的に外周側となる位置に配置された主外周刃と、相対的に内周側となる位置に配置された副外周刃とからなる複数の外周刃からなり、前記底刃が、工具軸から延びる長さが相対的に長い主底刃と、工具軸から延びる長さが相対的に短い副底刃とからなる複数の底刃からなり、前記主底刃は、工具半径に対し1.5倍以上5倍以下の長さの曲率半径を持つ前記円弧刃と、前記円弧刃の端部から工具軸に向かって延びる前記中低勾配刃とで構成され、前記副底刃及び前記副外周刃は、それぞれ前記主底刃及び前記主外周刃から工具軸に対し垂直となる方向に、工具直径に対し0.0025倍以上0.01倍以下の範囲で減寸した位置にあることを特徴とする
本発明のエンドミルにおいて、前記主底刃における円弧刃を構成する円弧の中心を工具軸に対し垂直となる方向で見たときの位置は、工具軸から工具軸に対し垂直となる方向で測定したときに工具直径の0.05倍以上0.25倍以下の範囲にあることが望ましい。
本発明のエンドミルにおいて、前記底刃における円弧刃の長さと工具半径の割合は工具軸に対し垂直となる方向で測定したときに、少なくとも前記主底刃の円弧刃の長さが工具半径の50%以上90%未満となることが望ましい。
また、本発明のエンドミルにおいて、前記主底刃における円弧を構成する円弧の曲率半径は、前記副底刃における円弧刃を構成する円弧の曲率半径と同じであることが望ましい。
本発明のエンドミルにおいて、それぞれの底刃と外周刃は略円弧状のR刃を介して接続されていることが望ましい。
本発明のエンドミルにおいて、R刃の曲率半径は工具半径の0.02倍以上0.2倍以下の範囲であることが望ましい。
本発明のエンドミルにおいて、それぞれの底刃と外周刃は面取り刃を介して接続されていることが望ましい。
本発明のエンドミルにおいて、面取り刃の幅は工具半径の0.02倍以上0.2倍以下の範囲であることが望ましい。
本発明において、円弧刃の曲率半径は、円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁の曲率半径の0.3倍以上0.7倍以下の範囲であ。これによりさらに切り屑の排出性が良好となり、硬さ60HRC以上の高硬度材の隅部形状を含む金型の荒加工においても、従来のエンドミルと比較して1.5倍以上の高能率加工が実現できる。
本発明において、工具軸に対し平行となる方向から見たときの、円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁の曲率半径は、工具半径の2倍以上4倍以下の範囲であ。これにより、外周側の逃げ面の幅が厚くなり剛性が向上するので、より高能率な加工条件で加工した場合においても、外周側の刃先が欠損せずに、安定した加工が可能となる。
本発明において、それぞれの底刃と外周刃は略円弧状のR刃を介して接続されていることが望ましく、さらにR刃の曲率半径は工具半径の0.02倍以上0.2倍以下の範囲であることが良い。また、それぞれの底刃と外周刃は面取り刃を介して接続されていることが望ましく、さらに、面取り刃の幅は工具半径の0.02倍以上0.2倍以下の範囲であることが望ましい。底刃の外周刃側は最も切削速度が速く、欠損などが生じやすいが、底刃と外周刃をR刃や面取り刃を介して接続させることにより、欠損の発生を抑制し、安定した加工が可能となる。
ここで、円弧刃の曲率半径Raは、円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁の曲率半径Rbの0.3倍以上0.7倍以下の範囲であ。円弧刃の曲率半径Raが、円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁の曲率半径Rbの0.3倍より小さければ、最外周の位置における円弧刃の逃げ面の幅が広くならず、剛性不足で欠損が生じやすくなる傾向が確認される。円弧刃の曲率半径Raが、円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁の曲率半径Rbの0.7倍より大きければ、円弧刃から排出される切り屑が外周方向へ排出されにくくなり、切り屑詰まりによる欠損が生じやすくなる傾向が確認される。
なお、本明細書においては、図2のように本発明のエンドミルをエンドミルの工具軸に対し垂直な方向から見たときに、中低勾配刃33と工具軸Oとが一つの直線で結ばれるような例を示しているが、中低勾配刃33と工具軸Oとが曲線で結ばれた場合にも、本発明の効果を奏する。また、中低勾配刃33が交点40を介して複数の直線もしくは緩やかな曲線で構成された場合、例えば円弧刃と中低勾配刃の境界部42から交点40までは直線状であり、交点40から工具軸Oまでは曲線状で中低勾配刃33が形成された場合においても同様である。
本発明の別の実施例として、本発明の超硬エンドミルを図10乃至図30で説明する。図10は本発明の一実施例である超硬エンドミルの正面図である。図10に示すように、本発明のエンドミル11は外周刃1、先端側の端面に設けられた底刃2によって構成されている。本発明のエンドミルは等高線加工で用い、主に底刃2を用いて切削を行う。
すなわち、本発明において、副底刃6及び副外周刃4は、それぞれ主底刃5及び主外周刃3から工具軸Oに対し垂直方向に工具直径Dの0.0025倍以上0.01倍以下の範囲で減寸した位置に形成されているのが望ましい。この場合は、工具の防振効果が最も発揮できる。なお、本発明のエンドミルにおける底刃の減寸量15は、工具軸Oに対し垂直方向に測定したときにおける主底刃5と副底刃6との距離である。そのため、底刃上の測定する位置によって底刃の減寸量15が異なる場合がある。本発明においては、底刃の減寸量15のうち最大値と、底刃の減寸量15のうち最小値の両方が、工具直径Dの0.0025倍以上0.01倍以下の範囲に含まれるように設計するのが望ましい。
したがって本発明において、副底刃6及び副外周刃4を、それぞれ主底刃5及び主外周刃3から工具軸Oに対し垂直方向に工具直径Dの0.0025倍以上0.01倍以下の範囲で減寸した位置に形成することにより、同時接触刃が減少し、複数の方向から切削抵抗がかからなくなるため、金型の加工において必須となる隅部の加工を行う際に発生しやすい振動を効果的に抑制できる。底刃の減寸量15が工具直径Dの0.0025倍未満であると、同時接触刃が減少しにくく、防振効果が非常に小さい。底刃の減寸量15が工具直径Dの0.01倍を超えると、主底刃5の切削量が非常に大きくなるため、主底刃5早期に損傷しやすく、エンドミルの寿命も短くなる傾向にある恐れがある。
図18は従来のラジアスエンドミルによる切削を行った際に発生する切り屑を示す略図である。図18において、軸方向切り込み量ap、直線及び直線に近い部分の加工の際における一刃送り量f1の切削条件で加工を行った場合の従来のラジアスエンドミルの底刃24の切削量を斜線で示す。従来のラジアスエンドミル23は、底刃の円弧刃の曲率半径R3が工具半径Rの0.1倍〜0.5倍程度であるため、従来のラジアスエンドミルにおける底刃の円弧刃を構成する円弧の中心27もしくは主底刃の円弧刃を構成する円弧の中心、中低勾配刃と円弧刃との交点から軸方向切り込み量apの高さにある直線と円弧刃の交点とを結んだ直線の方向で、斜線にて示した領域の長さを測定したときの実質的な切りくずの厚み7が厚くなることにより、切削時の衝撃が大きくなり、欠損が発生しやすくなる。さらに、実質的な切りくずの厚み7が厚くなることから切削熱が高くなり、摩耗の進行も早くなる。
結果として、本発明例33〜40は底刃の逃げ面の摩耗幅がすべて0.08mm未満であり、尚且つ、底刃の欠損が無かったため、良好な結果を示した。さらに、面取り刃の幅を工具半径Rの0.02倍以上0.2倍以下とした本発明例35〜39は、底刃の逃げ面の摩耗幅がすべて0.07mm以下であり、底刃の欠損が無かったことに加え、面取り刃の逃げ面の摩耗幅がすべて0.08mm未満であり、底刃と外周刃のつなぎ目の欠損が無かったため、特に良好な結果を示した。
比較例41として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の1.0倍の5mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.005倍の0.05mmとしたものを作製した。
本発明例42として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の1.5倍の7.5mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.005倍の0.05mmとしたものを作製した。
本発明例43として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の2.0倍の10mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.005倍の0.05mmとしたものを作製した。
本発明例44として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の2.5倍の12.5mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.005倍の0.05mmとしたものを作製した。
本発明例45として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.005倍の0.05mmとしたものを作製した。
本発明例46として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.5倍の17.5mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.005倍の0.05mmとしたものを作製した。
本発明例47として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の4.0倍の20mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.005倍の0.05mmとしたものを作製した。
本発明例48として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の4.5倍の22.5mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.005倍の0.05mmとしたものを作製した。
本発明例49として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の5.0倍の25mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.005倍の0.05mmとしたものを作製した。
比較例50として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の5.5倍の27.5mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.005倍の0.05mmとしたものを作製した。
本発明例52〜56、比較例51及び比較例57においては、それぞれ底刃の減寸量のうち最大値もしくは最小値になる減寸量の最小値を変化させたエンドミルを製作した。
比較例51として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.002倍の0.02mmのものを作製した。
本発明例52として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.0025倍の0.025mmとしたものを作製した。
本発明例53として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.005倍の0.05mmとしたものを作製した。
本発明例54として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.007倍の0.07mmとしたものを作製した。
本発明例55として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.0075倍の0.075mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.007倍の0.07mmとしたものを作製した。
本発明例56として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.01倍の0.1mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.007倍の0.07mmとしたものを作製した。
比較例57として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.0125倍の0.125mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.007倍の0.07mmとしたものを作製した。
比較例58として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.002倍の0.02mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値になる減寸量の最小値を工具直径0.007倍の0.07mmとしたものを作製した。
本発明例59として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃減寸量を工具直径の0.0025倍の0.025mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径0.007倍の0.07mmとしたものを作製した。
本発明例60として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.005倍の0.05mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径0.007倍の0.07mmとしたものを作製した。
本発明例61として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径0.007倍の0.07mmとしたものを作製した。
本発明例62として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.0075倍の0.075mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径0.007倍の0.07mmとしたものを作製した。
本発明例63として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.01倍の0.1m、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径0.007倍の0.07mmとしたものを作製した。
比較例64として、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.0125倍の0.125mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径0.007倍の0.07mmとしたものを作製した。
実施例8には本発明例67〜75を用いた。共通するエンドミル形状の諸元として、工具直径Dが10mm、心厚が7.5mm、外周刃のねじれ角を20度、刃数を6枚、コーティングをTiSiN系とし、エンドミルの母材を超硬合金としたものを用意した。さらに、本発明例67〜75において、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.007倍の0.07mmとした。
評価の方法として、実施例7と同様の切削試験を4ポケットまで行った。切削試験の評価基準として、2ポケット加工後に工具の損傷を実施例1同様の方法で確認し、底刃の逃げ面の摩耗幅が0.08mm未満で尚且つ、底刃の欠損が無かったものを良好として、さらに継続して4ポケットまで切削加工を行った。4ポケット加工後に同様の方法で工具の損傷を確認した。試験結果を表8に示す。
実施例3には本発明例76〜85を用いた。共通するエンドミル形状の緒元として、工具直径Dが10mm、心厚が7.5mm、外周刃のねじれ角を20度、刃数を6枚、コーティングをTiSiN系とし、エンドミルの母材を超硬合金としたものを用意した。さらに、本発明例76〜85において、主底刃の円弧刃の曲率半径R1を工具半径の3.0倍の15mm、外周刃の減寸量を工具直径の0.006倍の0.06mm、底刃の減寸量のうち最大値を工具直径の0.007倍の0.07mm、底刃の減寸量のうち最小値を工具直径の0.007倍の0.07mmとし、主底刃の円弧刃を構成する円弧の中心を工具軸から1.5mmの位置とした。
評価の方法として、実施例7と同様の切削試験を4ポケットまで行った。切削試験の評価基準として、2ポケット加工後に工具の損傷を実施例1同様の方法で確認し、底刃の逃げ面の摩耗幅が0.08mm未満で尚且つ、底刃の欠損が無かったものを良好として、さらに継続して4ポケットまで切削加工を行った。4ポケット加工後に同様の方法で工具の損傷を確認した。試験結果を表9に示す。
本発明のエンドミルは、特徴のある底刃の形状、外周刃と底刃の繋ぐ部分の切れ刃の形状の組合せにより、より高能率かつ長寿命に高硬度材を切削することができた。また副底刃が主底刃に対して減寸した形状により、切削中の振動を効果的に抑制でき、突発的な欠損を回避し、従来形状より少なくとも2倍以上の寿命が可能となる。本発明のエンドミルは、欠損等を心配する必要がなく、高硬度材の荒切削加工においても、寿命が長く切削できるため、加工時間の大幅短縮と工具費の削減に寄与する。
本発明のエンドミルは主な切削対象材料が合金工具鋼、高速鋼などであり、特に高硬度材料金型直加工の切削に好適である。

Claims (10)

  1. 工具軸に対し垂直な方向から見たときに、曲線状である円弧刃と、円弧刃に連続する直線状もしくは曲線状である中低勾配刃とから構成された底刃と、外周刃を有するエンドミルであって、
    工具軸に対し平行となる方向から見たときに、円弧刃及び円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁は、曲率半径を有する曲線状であり、円弧刃の曲率半径を円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁の曲率半径の0.3倍以上0.7倍以下の範囲で設けたことを特徴とするエンドミル。
  2. 工具軸に対し垂直な方向から見たときに、曲線状である円弧刃と、円弧刃に連続する直線状もしくは曲線状である中低勾配刃とから構成された底刃と、外周刃を有するエンドミルであって、
    工具軸に対し平行となる方向から見たときに、円弧刃及び円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁は、曲率半径を有する曲線状であり、円弧刃の曲率半径を円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁の曲率半径より小さく設けるとともに、円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁の曲率半径工具半径の2倍以上4倍以下の範囲で設けたことを特徴とすエンドミル。
  3. それぞれの底刃と外周刃は略円弧状のR刃を介して接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエンドミル。
  4. R刃の曲率半径は工具半径の0.02倍以上0.2倍以下の範囲であることを特徴とする請求項に記載のエンドミル。
  5. それぞれの底刃と外周刃は面取り刃を介して接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエンドミル。
  6. 面取り刃の幅は工具半径の0.02倍以上0.2倍以下の範囲であることを特徴とする請求項に記載のエンドミル。
  7. 工具軸に対し垂直な方向から見たときに、曲線状である円弧刃と、円弧刃に連続する直線状もしくは曲線状である中低勾配刃とから構成された底刃と、外周刃を有するエンドミルであって、
    工具軸に対し平行となる方向から見たときに、円弧刃及び円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁は、曲率半径を有する曲線状であり、円弧刃の曲率半径
    を円弧刃の逃げ面における回転後方側の縁の曲率半径より小さく設けるともに、
    前記外周刃が、相対的に外周側となる位置に配置された主外周刃と、相対的に内周側となる位置に配置された副外周刃とからなる複数の外周刃からなり、
    前記底刃が、工具軸から延びる長さが相対的に長い主底刃と、工具軸から延びる長さが相対的に短い副底刃とからなる複数の底刃からなり、
    前記主底刃は、工具半径に対し1.5倍以上5倍以下の長さの曲率半径を持つ前記円弧刃と、前記円弧刃の端部から工具軸に向かって延びる前記中低勾配刃とで構成され、
    前記副底刃及び前記副外周刃は、それぞれ前記主底刃及び前記主外周刃から工具軸に対し垂直となる方向に、工具直径に対し0.0025倍以上0.01倍以下の範囲で減寸した位置にあることを特徴とするエンドミル
  8. 前記主底刃における円弧刃を構成する円弧の中心を工具軸に対し垂直となる方向で見たときの位置は、工具軸から工具軸に対し垂直となる方向で測定したときに工具直径の0.05倍以上0.25倍以下の範囲にあることを特徴とする請求項7に記載のエンドミル。
  9. 前記底刃における円弧刃の長さと工具半径の割合は工具軸に対し垂直となる方向で測定したときに、少なくとも前記主底刃の円弧刃の長さが工具半径の50%以上90%未満となることを特徴とする請求項8に記載のエンドミル。
  10. 前記主底刃における円弧を構成する円弧の曲率半径は、前記副底刃における円弧刃を構成する円弧の曲率半径と同じであることを特徴とする請求項7に記載のエンドミル。
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