JP5846098B2 - 多刃ボールエンドミル - Google Patents

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Description

本発明は、各種の金型に用いられる焼入れ鋼などの高硬度の難削材に高送りの荒加工を実施しても長寿命を得ることができる超硬合金製ソリッド型の多刃ボールエンドミルに関する
近年、自動車産業や電子機器産業などにおいては、各種の部品などの部材を、金型を用いて製造するニーズが拡大している。これに伴って、金型を高能率(高送り加工)で3次元曲面などに切削加工するためのボールエンドミルが強く要求されてきている。金型などを製作するために、高硬度合金鋼を高送り加工するためのボールエンドミルとしては、従来から工具本体の先端部に3枚以上のボール刃(円弧状切れ刃)を設けた多刃のボールエンドミルが使用されている。ボールエンドミルを用いて被削材の切削加工を実施すると、ボール刃の回転軸心(又は回転軸線)上の点は回転速度が0になり、回転軸心近傍のボール刃の回転速度は0に極めて近い低速度になる。このため、切削加工中においては、ボール刃の回転軸心およびその近傍には大きな加工負荷が作用するため、回転軸心近傍では切れ刃の摩耗が早くなり、さらに、これが原因になって切れ刃にチッピングや欠損が発生し易くなる。
このため、難削材からなる部材(例えば、金型など)を高送りで荒加工(高送り加工)するためのボールエンドミルとして、従来から、ボール刃の回転軸心近傍の構成を改良して上記チッピングや欠損の発生を防止する手段を備えた多刃のボールエンドミル(以下、「多刃ボールエンドミル」という)が特許文献1〜9により提案されている。
特許文献1(特開平10-128611号公報)には、底刃の頂点(回転軸心)付近の破損や早期の摩耗を防止するために、底刃のランドを凸曲面とし、3枚以上の底刃を有するボールエンドミルにおいて、各ランドのエッジが全て底刃全体の頂点中心部に接するように構成したボールエンドミル提案されている。
特許文献2(特開2002-187011号公報)には、3枚以上のボール刃を設けた多刃ボールエンドミルにおいて、回転軸線近傍のチップポケットの不足を解消して切屑詰りの発生を防止するために、各ボール刃のランドには、各ボール刃が工具本体の回転中心及びその近傍において欠落するようにシンニングを施した構成としたボールエンドミル提案されている。そして、多刃ボールエンドミルが備えているシンニングは、ボール刃の回転方向後方からボール刃を超えて回転方向前方側にかけての範囲に形成された凹部をなし、回転軸線近傍のチップポケットとして作用させている。
特許文献3(特開2003-225821号公報)には、3枚以上のボール刃を設けたボールエンドミルにおいて、高速送り加工を行ったときにボール刃の軸心側部分に微小チッピングや欠損の発生を防止するために、全てのボール刃が軸心付近まで達して軸心側端部が互いに略接している構成にするとともに、ボール刃の間に設けたギャッシュの断面をV字形成としたボールエンドミル提案されている。
特許文献4(特開2005-224898号公報)には、3枚刃のボールエンドミルについて、エンドミル本体先端の回転中心周辺の強度を十分に確保する構成としたボールエンドミル提案されている。特許文献4では、ボール刃(円弧状切刃)の間に形成したギャッシュ及びボール刃の内周端回転中心から離間して配置され、チゼル部を形成する。さらに、チゼル部には、周方向に隣接する逃げ面同士の交差稜線に、ボール刃の内周端に連なって回転中心に延びるチゼル刃を、ボール刃の回転軌跡がなす半球に略沿うように形成することが記載されている。
特許文献5(特開2009-56559号公報)には、高能率加工を実施しても工具中心部からの切屑の排出を良好になるような構成としたボールエンドミル提案されている。このボールエンドミルは、2枚以上のボール刃を有し、工具回転中心にはボール刃を設けないで没入した構成とし、この没入させた工具先端部には、断面視で略V字状若しくは略U字状溝部を工具回転中心から外方に延びるように形成し、さらにこの溝部はボール刃の間に夫々1つずつ設けた構成としている
特許文献6(特開平9-267211号公報)には、金型など高速切削に適するボールエンドミル提案されている。このボールエンドミルは、ボール刃のノーズ部分に切れ刃に沿って少なくともランド幅の2倍以上の幅、4°以上の中低の勾配で略V字状の底刃を設け、ボール刃のすくい角法線方向に負角とし、底刃のすくい角を0°または正角とした2枚刃のボールエンドミルである。
特許文献7(特許第3840660号公報)には、エンドミル先端の摩滅量を抑制し、良好な加工精度が得られる多刃ボールエンドミル提案されている。この多刃ボールエンドミルは、3枚以上のボール刃を有し、軸心部に心残し部を有し、軸心部付近からボール刃が変曲し、ボールエンドミルの回転方向の次刃まで延伸させた切れ刃を有し、これらの切れ刃がボールエンドミル底面視で略多角形状をなしている。また、ボール刃を不等分割に配置した構成も提案されている。
特許文献8(特許第4412687号公報)には、金型等の仕上げ加工用のボールエンドミル提案されている。この仕上げ用エンドミルでは、2枚以上の切れ刃を心上がりに配し、正面視において、2枚以上の切れ刃の回転中心側の端部を軸方向最突出点とし、この軸方向最突出点より回転中心側に、少なくとも回転中心に対称の切れ刃の逃げ面だけを延ばして、逃げ面を交差させた稜をエンドミルの回転軌跡より凹状に設け、軸方向最突出点の間隔0.3 mm以上としている。さらに、この仕上げ用エンドミルは、逃げ面を交差させた稜線は回転中心に対称の切れ刃と連接させ、かつ、エンドミルの回転中心と軸方向最突出点とを結んだ線分に対して、15度以下の傾きで連続させた構成を備えている。
特許文献8に記載のボールエンドミルは、このような構成を備えていることにより、回転中心付近の強度を高め、かつ切屑の排出性を向上させて切れ刃のチッピングを防止するとともに、切れ刃を回転中心からわずかに離間させて仕上げ面粗さを向上させる効果を発揮させるものである。
特許文献9(特開平11-216608号公報)には、平面及び曲面加工と同時に仕上げ用途に適するソリッドボールエンドミル提案されている。このソリッドボールエンドミルでは、ボール刃のノーズ部分に、軸断面視において略V字状にノッチを設け、ノッチ部にボール刃と連接した少なくとも一つの底刃を設け、底刃の中低の勾配を5度以上、15度未満とし、さらに、底刃とボール刃との接続部分を、丸みをもつ短い切れ刃で結んだ構成にすることにより、ボール刃回転中心付近の欠損やチッピングの発生を抑えている
特開平10-128611号公報(請求項1、段落0011〜0013、図1) 特開2002-187011号公報(請求項1、段落0011〜0016、図1〜図3) 特開2003-225821号公報(請求項1、段落0018〜0022、図1〜図2) 特開2005-224898号公報(請求項1、段落0012〜0020、図2〜図3、図5) 特開2009-56559号公報(請求項1、段落0028〜0036、図1〜図4) 特開平9-267211号公報(請求項1〜請求項3、段落0006〜0010、図2〜図4) 特許第3840660号公報(請求項1、請求項3、段落0006〜0008、図2、図3) 特許第4412687号公報(請求項1、段落0006〜0008、図3、図4) 特開平11-216608号公報(請求項1、段落0006〜0007、図6〜図7)
特許文献1に記載されているボールエンドミルでは、ボール刃の全てが回転軸心に接するが、ボール刃の逃げ面(ランド)がこのボールエンドミルの回転方向となす幅は一定である(同文献の図1参照)。切削加工ボール刃の回転軸心近傍に大きな負荷が作用するが、ボールエンドミル逃げ面(ランド)の回転方向幅を一定にすると、切削負荷に対する切れ刃の強度が不足して、回転軸心近傍のボール刃にチッピングや欠損、あるいは摩耗の進行が早くなるという不具合が発生す
特許文献2に記載されている多刃ボールエンドミルは、ボール刃の回転軸心近傍に凹部となるシンニングを形成し、このシンニングを回転軸心近傍のチップポケットとして作用させることにより、切屑の排出性を向上させるものである。しかし、ボール刃の回転軸心及び回転軸心近傍には切れ刃が形成されていないために、回転軸心近傍のボール刃には大きな負荷が作用するので、回転軸心近傍のボール刃にチッピングや欠損、あるいは摩耗の進行が早くなるという不具合が発生す
特許文献3に記載されている多刃ボールエンドミルは、全てのボール刃が回転軸心付近まで延設して、このボール刃の回転軸心側端部が互いに略接させるとともに、ボール刃の間に設けたギャッシュの断面をV字形成となる構成にしたボールエンドミルである。しかし、特許文献3に記載の多刃ボールエンドミルは、回転軸心付近に形成するボール刃強度(剛性)を向上させるための手段、およびボール刃の回転軸心側端部の切れ刃で生成される切屑の排出を良好にするための手段については開示されていない。
特許文献4に記載されている多刃ボールエンドミルは、エンドミル本体の先端部に、回転中心から離間して配置したチゼル部を形成し、チゼル部には、周方向に隣接する逃げ面同士の交差稜線に、ボール刃の内周端に連なって回転中心に延びるチゼル刃を形成したボールエンドミルであるが、下記の不具合が生じる
すなわち、多刃ボールエンドミルにおいて、特許文献4に記載されているようにボール刃の回転軌跡がなす半球に略沿うように微小なチゼル刃を形成するのは極めて難しい。また、チゼル刃が形成できたとしても、ボール刃の逃げ面を回転軸心に接続させた場合、回転軸心付近に凸状の突起が形成されてしまう。そのため、このような多刃ボールエンドミルを用いて、被削材の荒加工を高能率化するために高送り加工を行うと、凸状の突起を起点としてボール刃にチッピングあるいは欠損が生じる可能性が高くなる。よって、特許文献4に記載されている多刃ボールエンドミルは、本発明が目的とする高送り加工を行うことができないと考えられる。
特許文献5に記載されているボールエンドミルは、工具先端部に、断面視で略V字状又は略U字状にして工具の回転軸心から外方に延びる溝部をボール刃の間に夫々1つずつ設けることにより、切屑がボール刃の先端近傍に滞留することを阻止したボールエンドミルである。しかし、特許文献5に記載のボールエンドミルは、ボール刃の回転軸心近傍に切れ刃が存在していないので、切削加工中回転軸心近傍に作用する大きな負荷により、ボール刃の回転軸心近傍の端部にチッピングや欠損の発生、あるいはボール刃の摩耗の進行が早くなるという不具合が発生す
特許文献6に記載されているボールエンドミルは、ボール刃の回転軸心近傍に中低勾配となるV字状の底刃を設けて、主に金型などの3次元曲面の仕上げ加工を行うための2枚刃のボールエンドミルであるが、金型などの荒加工を高送りで行うために、3枚以上の多刃のボール刃を備え、かつ、各ボール刃及び底刃(中低勾配刃)のすくい面や逃げ面の構成については開示されていない。金型などの高送り荒加工を行うために、回転軸心近傍に中低勾配刃を設けた場合には、中低勾配刃の形状やその配置、すくい面および逃げ面の形状、ボール刃と中低勾配刃との繋ぎ部の構成をさらに改善して、切削加工時の回転軸心近傍の中低勾配刃及びボール刃のチッピング及び欠損等の発生を防止することが重要になる。
特許文献7に記載されている多刃ボールエンドミルは、軸心部に心残し部を設けるとともに、軸心部付近からボール刃を変曲させ、ボールエンドミルの回転方向の次刃まで延伸させた切れ刃を設け、これらの延伸させた切れ刃がボールエンドミル底面視で略多角形状ボールエンドミルである。従って、この多刃ボールエンドミルは、軸心部には心残し部が存在しており、かつ、軸心部近傍には軸心部に向けて形成された切れ刃を備えていない。このため、切削加工中においては、軸心部とその近傍の切削抵抗が高くなって摩耗の進行が早くなるので、本発明の高送りの荒加工を行うための多刃ボールエンドミルとして適していない。
特許文献8に記載されている仕上げ用のボールエンドミルは、正面視において、2枚以上の切れ刃の回転中心側の端部を軸方向最突出点とし、軸方向最突出点より回転中心側に、少なくとも回転中心に対称の切れ刃の逃げ面だけを延ばして、この逃げ面を交差させた稜をエンドミルの回転軌跡より凹状に設けた構成を備えている。すなわち、軸方向最突出点より回転中心側に設けた逃げ面は切れ刃を備えていない。このため、特許文献8に記載のボールエンドミル高硬度の難削材の高送り荒加工に使用すると、回転中心近傍に作用する大きな切削加工負荷により、回転中心及びその近傍の早期の摩耗が進行し、これによりボール刃にチッピングや欠損が発生する。従って、特許文献8に記載のボールエンドミル高硬度の難削材の高送り荒加工に適していない。
特許文献9に記載されているボールエンドミルは、ボール刃のノーズ部分に、軸断面視において略V字状にノッチを設け、ノッチ部にボール刃と連接した少なくとも一つの底刃を設け、この底刃の中低の勾配を5度以上、15度未満としたものであって、仕上げ加工の用途に使用するールエンドミルである。このボールエンドミルを難削材の高送り荒加工に使用しようとすると、底刃の中低の勾配5度以上15度未満であるために、この底刃に大きな切削加工負荷が作用して、早期に底刃に欠損やチッピングが発生する可能性が高い。従って、底刃を備えたボールエンドミル高硬度の難削材の高送り荒加工に使用するためには、底刃の中低の勾配角度、及び底刃の形状等のさらなる改善が必要になる。
そこで、本発明の目的は、3枚以上のボール刃を有する多刃のボールエンドミルであって、切れ刃部の先端部に形成したボール刃の回転軸心近傍の構成を改善することにより、回転軸心近傍の切れ刃のチッピングや欠損の発生を防止するとともに、切屑の排出性を向上させて、焼入れ鋼などの高硬度の難削材の高送り荒加工でも長寿命化した多刃ボールエンドミルを提供することにある。
本発明の多刃ボールエンドミルは、回転軸心を中心として回転するシャンク部と、先端部にボール刃を有する3枚以上の切れ刃を有する切れ刃部とを具備し
前記先端部の回転軸心の近傍で各ボール刃の先端から前記回転軸心まで中低勾配刃が延在しており
各中低勾配刃は前記回転軸心と直交する面に対して前記シャンク部の側に0.5°以上3°以下傾斜しており、
各中低勾配刃の少なくとも前記回転軸心側の部分は回転方向後方に凹んだ曲線状であることを特徴とする
各中低勾配刃は前記回転軸心側に設けた回転方向後方に凹んだ曲線状中低勾配刃と、前記ボール刃側に設けた直線状中低勾配刃とからなり、かつ回転軸心方向平面視において前記凹曲線状中低勾配刃の半径方向幅が前記直線状中低勾配刃の半径方向幅より大きいのが好ましい。
各中低勾配刃は前記凹曲線状中低勾配刃のみからなるのが好ましい。
各中低勾配刃の半径方向幅Xは前記切れ刃部の直径Dの1.25%以上3.75%以下であるのが好ましい。
前記中低勾配刃の前記凹曲線状中低勾配刃の回転方向最後点a1は前記凹曲線状中低勾配刃の半径方向幅X1の半分となる位置aより回転軸心側にあるのが好ましい。
本発明の多刃ボールエンドミルは4枚の切れ刃を具備するのが好ましい。
本発明の多刃ボールエンドミルは、超硬合金製ソリッドボールエンドミルであるのが好ましい。その製造方法は、WC(炭化タングステン)粉末にCo(コバルト)粉末を混合した超硬合金粉末を金型成形し、得られた成形体を焼成した後に、切れ刃部、ギャッシュ、切屑排出溝、逃げ面、すくい面、等の仕上げ加工(研削加工)を行う工程を有する
本発明の多刃ボールエンドミルは、次の効果を奏することができる。
(1) 中低勾配刃は、ボール刃の回転軸心Oの近傍から回転軸心Oに直交する平面に対してシャンク部2の側に微小な傾斜角度αをもって傾斜している。これにより、切れ刃部3の回転軸心O方向の最先端部、微小な幅tを有し、かつシャンク部側に傾斜した中低勾配刃が配置されたチップポケット(窪み部)を有する。これにより、高送り荒加工中に回転軸心O近傍に大きな負荷が作用しても、中低勾配刃8a、8b、8c、8dは被削材の切削加工を行うことができる。中低勾配刃により生成された切屑は、チップポケットから各ギャッシュを介して切屑排出溝に排出される。このため、高送り切削を行っても、各ボール刃の回転軸心O近傍に切屑詰りの発生を防止でき、ボール刃の早期の摩耗やチッピング欠損の発生を防止できる
(2) 本発明は、回転軸心の近傍において、中低勾配刃がシャンク部の側に微小な角度をもって傾斜しているため、多刃ボールエンドミルにおける回転軸心上の点と被削材との接触を回避することができる。このため、被削材と接触する切れ刃において切削速度が0となる領域が存在せず、安定した切削加工が可能となる。
本発明の第1の実施形態の多刃ボールエンドミル示す側面図である。 図1に示す多刃ボールエンドミルの切れ刃部の先端部模式的に示す拡大側面図である。 図1に示す多刃ボールエンドミルの切れ刃部を回転軸心O方向から見た拡大正面図である。 図3のB1-B1線部分断面図である。 図3に示す参考例の多刃ボールエンドミルの切れ刃部の回転軸心O近傍を示す拡大正面図である。 本発明の多刃ボールエンドミルの回転軸心O近傍の構成の一例を示す部分斜視図である。 本発明の多刃ボールエンドミルの回転軸心O近傍の構成の他の例を示す部分斜視図である。 図6回転軸心O近傍の構成をさらに拡大して示す部分斜視図である。 図7回転軸心O近傍の構成をさらに拡大して示す部分斜視図である。 (a) は図8のB2-B2線断面図であり、(b) は図8のB3-B3線断面図である。 本発明の多刃ボールエンドミルの回転軸心O近傍の構成のさらに他の例を示す部分斜視図である。 本発明の多刃ボールエンドミルの回転軸心O近傍の構成のさらに他の例を示す部分斜視図である。 本発明の多刃ボールエンドミル回転軸心O近傍の中低勾配刃の配置の他の例を示す部分正面図である。 本発明の多刃ボールエンドミル中低勾配刃の形状上の特徴を示す部分正面図である。 図14の拡大図である。 本発明の第2の実施形態の三枚刃ボールエンドミルを示す正面図である。 実験例1において多刃ボールエンドミルにより30分間切削加工を行った後のボール刃の摩耗状態を示す写真であって、(a) は本発明例の摩耗状態を示し、(b) は比較例の摩耗状態を示す。 実験例1において多刃ボールエンドミルにより60分間切削加工を行った後のボール刃の摩耗状態を示す写真であって、(a) は本発明例の摩耗状態を示し、(b) は比較例の摩耗状態を示す。 実験例1において多刃ボールエンドミルにより90分間切削加工を行った後のボール刃の摩耗状態を示す写真であって、(a) は本発明例の摩耗状態を示し、(b) は比較例の摩耗状態を示す。 実験例2において被削材に90分間の切削加工を行った後のボール刃の摩耗状態を示す拡大写真であって、上段に本発明例1の多刃ボールエンドミルを、下段に比較例1の多刃ボールエンドミルを示す 実験例3において被削材に40秒間の切削加工を行った後のボール刃の摩耗状態を示す拡大写真であって、上段に本発明例1の多刃ボールエンドミルを、中段に比較例2の多刃ボールエンドミルを、下段に比較例3の多刃ボールエンドミルを示す 超硬合金製のソリッド型の多刃ボールエンドミルの切れ刃の構造の相違を示す図であって、(a) 及び(b) は従来例を示し、(c) は本発明例を示す 実験例4において多刃ボールエンドミル切削抵抗の3分力Fx、Fy、Fzを測定した結果示す図であって、(a) は本発明例1の多刃ボールエンドミル、(b) は比較例1の多刃ボールエンドミル、(c) は比較例3の多刃ボールエンドミルを示す 実験例5においてボール刃を不等分割に配置したときの切削抵抗の3分力Fx、Fy、Fzを測定した結果示す図であって、(a) は不等分割2°の多刃ボールエンドミル(本発明例2)、(b) は不等分割4°の多刃ボールエンドミル(本発明例3)、(c) は等分割例1の多刃ボールエンドミル、(d) は等分割例2の多刃ボールエンドミルを示す
本発明の多刃ボールエンドミルは、特に、高硬度の難削材に対して、高送りの荒加工を行うために適した超硬合金製のソリッド型のボールエンドミルであって、高送り加工を行うためにボール刃を少なくとも3枚以上備えている。
ここで「高硬度の難削材」とは、硬度HRC40以上、特にHRC50以上の高硬度金属材料であって、例えば、焼き入れ処理を施した合金工具鋼であるSKD61、SKD11または粉末ハイス等を示す。
「荒加工」とは、仕上げ加工の前に行う加工であって切れ刃の削り代を極力大きくした切削加工であり、一般的には、加工能率を上げるために、切り込み深さ、または送り量を大きくした加工である。このため、切削工具の加工負荷は大になる。
「高送り加工」とは、高能率加工を実施するために送り速度(Vf)を速くした加工、または軸方向切込み量(ap)や径方向切込み量(ae)を大きくした加工である。例えば、従来の2枚刃からなるボールエンドミル(刃径:8 mm)でHRC 60の被削材の切削加工では、送り速度(Vf)が1000 mm/min以上、軸方向切込み量(ap)が0.2 mm以上、径方向切込み量(ae)が0.6 mm以上の切削加工であると言われている。
以下、本発明の第1の実施形態による多刃ボールエンドミル基本構成を図1〜図5に基づいて説明する。第1の実施形態は、ボール刃を4枚備えている多刃ボールエンドミルを例にして説明するが、本発明の特徴ボール刃を3枚〜6枚程度備えた多刃ボールエンドミルに適用することができる
[第1の実施形態]
第1の実施形態による多刃ボールエンドミル1は、図1に示すように、シャンク部2と、シャンク部2の前方側の端部(図1では左側の端部)に形成された切れ刃部3を備え、全長がLの略円柱形状をなしている。シャンク部2の後方側(図1では右側の端部)は、工作機械に装着される部分になる。切れ刃部3の外周面には、所定のねじれ角を有する螺旋状の切屑排出溝4が等間隔で4条形成され、さらに、切屑排出溝4を構成する壁面であって多刃ボールエンドミル1(シャンク部2)の回転方向(図3に示す「A」方向)を向く面と切れ刃部3の外周逃げ面とが交差する稜線に外周刃5が形成されている。
切れ刃部3の先端部の外周側から多刃ボールエンドミル1の回転軸心Oに向けて4枚のボール刃6a、6b、6c、6d4つのギャッシュ7a、7b、7c、7dとが交互に形成されている(図3参照)。ボール刃6a〜6dは各外周刃5繋がっているとともに、ギャッシュ7a、7b、7c、7dは各切屑排出溝4連接している。1に示す「D」は切れ刃部3の直径、「d」はシャンク部2の直径、「l」は切れ刃部3の長さ(刃長)、「O」は多刃ボールエンドミル1(シャンク部2)の回転軸心(回転中心軸)を示す
図2は、図1に示す切れ刃部3の先端部の構成を模式的に拡大して示す側面図である。図2に示すように、円弧状のボール刃6a、6b、6c、6d(図2では6a、6cを図示)は、回転軸心Oの近傍の位置P1、P2、P3、P4(図2ではP1、P3のみ図示)まで形成されており、さらに位置P1、P2、P3、P4から中低勾配刃8a、8b、8c、8d(図2では8a、8cのみ図示)が一体に繋がれており、中低勾配刃8a、8b、8c、8dの端部回転軸心Oに接する。後述するように、中低勾配刃8a、8b、8c、8dは、回転軸心Oの方向から見た平面視で、直線状の切れ刃と、回転方向A後方に凹んだ曲線状切れ刃とを一つに繋げた構成としてもよい(図6参照)
図2に示す11aはボール刃6aのすくい面、9cはボール刃6cの逃げ面である。このように、それぞれのボール刃6a〜6dは、それぞれ対応する逃げ面9a〜9dとすくい面11a〜11dを備えている。
また、図2に示すように、それぞれの中低勾配刃8a、8b、8c、8d(図2では8a、8cのみ図示)は、回転軸心Oの近傍の位置P1、P2、P3、P4から回転軸心Oに向けて延びるとともに、シャンク部2の側に微小な傾斜角度αをもって傾斜している。これにより、ボール刃6a、6b、6c、6dの回転軸心O側、すなわち、回転軸心Oの近傍の位置P1、P2、P3、P4に囲まれた場所より内側に、平面視で微小な幅t極めて浅い窪み部13が形成されている。
中低勾配刃8a、8b、8c、8dの傾斜角度α、回転軸心Oに直交する平面中低勾配刃とがなす角度であって0.5°以上3°以下の微小範囲に設定している。傾斜角度α望ましくは1°以上2°以下の範囲に設定する。傾斜角度αが5°を超えると、回転軸心Oの近傍位置P1、P2、P3、P4に作用する切削加工負荷により位置P1、P2、P3、P4付近における切れ刃(ボール刃あるいは中低勾配刃の端部)の早期摩耗やチッピングが発生し易くなる。そのため、傾斜角度αは5°以下、好ましくは3°以下に設定する。また、傾斜角度α0.5°より小さいと、切削時の切込み量によっては回転軸心Oと中低勾配刃の交点が被削材と接触し易くなるため、回転軸心Oの近傍位置P1、P2、P3、P4における切削加工負荷が増加し、この近傍位置のボール刃にチッピング等が発生し易くなる。このため、傾斜角度αは0.5°以上3°以下に設定す
本発明の第1の実施形態においては、中低勾配刃8a〜8dを、傾斜角度αをもって傾斜させたことにより、回転軸心Oの廻りに平面(側面)視で微小な幅tを有する窪み部13が形成される窪み部13内4枚の中低勾配刃8a、8b、8c、8d各端部回転軸心Oに接するとともに、回転軸心Oを中心として等間隔(90°間隔)で配置されている。また、窪み部13はギャッシュ7a〜7dに連接している
2において回転軸心Oを介して対向する2枚の中底勾配刃8aと8cとがなす幅(回転軸心Oに垂直な方向で測定)、すなわち、窪み部13の幅t、切れ刃部3の直径D2.5〜7.5%、例えば、直径Dが8 mmの場合には、0.2〜0.6 mmであるのが望ましい。窪み部13の幅tが直径Dの2.5%未満の場合は、回転軸心Oと中低勾配刃の交点をシャンク部の側に設けるためには傾斜角度αを極めて大きくする必要があるため、製造が困難となる。また、窪み部13の幅tが直径Dの7.5%を超える場合は、中底勾配刃の長さに応じてボール刃短くなるため、本発明が目的としている多刃ボールエンドミルによる高能率な切削加工が実現できなくなる
上記したように、本発明の多刃ボールエンドミルは、(a) 回転軸心Oの近傍で各ボール刃6a,6b,6c,6dの先端から回転軸心Oまで中低勾配刃8a,8b,8c,8dが延在しており、(b) 各中低勾配刃8a,8b,8c,8dが回転軸心Oと直交する面に対してシャンク部2の側に0.5°以上3°以下の角度αだけ傾斜しており、かつ(c) 各中低勾配刃8a,8b,8c,8dの少なくとも回転軸心O側の部分が回転方向後方に凹んだ曲線状であることを特徴とする。中低勾配刃8a,8b,8c,8dは、平面視で緩やかに凹んだ曲線状中低勾配刃のみからなるものでも、緩やかに凹んだ曲線状中低勾配刃と直線状中低勾配刃とからなるものでも良い。
前記特徴により、切れ刃部3(各ボール刃)の回転軸心O方向の最先端部には、微小な幅tを有する窪み部13を備えており、窪み部13は、ギャッシュ7a〜7dに連接しているので、切れ刃部3の最先端部の回転軸心Oの近傍に存在するチップポケットとして作用する。これにより、切削加工中において中低勾配刃8a、8b、8c、8dにより生成された極めて薄い切屑は、チップポケットからギャッシュ7a、7b、7c、7dを介して切屑排出溝4に排出されるので、高送り切削加工を行った場合においても、各ボール刃の回転軸心O近傍に切屑詰りの発生を防止できる
回転軸心Oの近傍」とは、図5に示すように、回転軸心Oを中心とし、回転軸心Oから中低勾配刃とボール刃の交点P1、P2、P3、P4の間隔を半径とした円Cの内側である。言い換えれば、「回転軸心Oの近傍」とは、回転軸心Oを中心とした直径tの円の内側領域(窪み部13)である。
中低勾配刃8a、8b、8c、8dが回転軸心Oに接する部分(中低勾配刃の端部)は、ボール刃6a、6b、6c、6dの略半球状回転軌跡から微小な距離だけ内側へ沈んでいるので、切削加工中に被削材と接触しない。そのため、中低勾配刃8a、8b、8c、8dの回転軸心O部分におけるチッピングあるいは欠損の発生を防止できる
切れ刃部3の先端部の構成の詳細図3〜12を参照して説明する。図3に示すように、第1の実施形態多刃ボールエンドミル1では、切れ刃部3の回転軸心O方向における先端部4枚のボール刃6a、6b、6c、6dが、それぞれギャッシュ7a、7b、7c、7dを介して回転軸心Oの廻りに等間隔(90°)配置されている。ギャッシュ7a〜7dには溝底最深部)が形成されている。ボール刃すくい角などに対応させギャッシュの断面形状を適切に設定すれば、各ギャッシュ溝底(図4に示す7b1、図6に示す7c1、7d1等)適切な位置に配置できる
各ボール刃6a、6b、6c、6dは、図3に示すように回転軸心O方向から見たときに、多刃ボールエンドミル1の回転方向Aの方向に緩やかに凸の曲線状をなしているとともに、各ボール刃6a、6b、6c、6dの回転方向Aの前方側すくい面11a、11b、11c、11d(すくい面11a、11b、11c、11dは図3には図示せず)が形成されている。さらに、各ボール刃のすくい面11a〜11dの回転方向Aの前方側には、ギャッシュ7a、7b、7c、7d形成されている。従って、ボール刃のすくい面11a〜11dギャッシュ7a〜7d一方の側面となる。
凸曲線状の各ボール刃6a、6b、6c、6dの回転方向A後方に逃げ面(ランド)9a、9b、9c、9dが形成されており、各逃げ面9a、9b、9c、9dの回転方向A後方にギャッシュ7a、7b、7c、7dが形成されている。また、逃げ面9a、9b、9c、9dと各ギャッシュ7a、7b、7c、7dとの稜線14a、14b、14c、14dは、回転方向Aに緩やかに凸の曲線状である逃げ面9a、9b、9c、9dの回転方向Aの幅W1は、図3に示すように、回転軸心Oから離れるに従って徐々に増加する
ボール刃6a、6b、6c、6dの切削加工負荷は回転軸心Oから離れるに従って増大するが、回転軸心Oから離れるに従って幅W1が増加するので各ボール刃の強度(剛性)が確保され、高送り荒加工でも各ボール刃チッピングあるいは欠損の発生を防止できる
図4は、図3のB1-B1線断面の要部を示す。図4に示すように、ボール刃6bの回転方向A前方にすくい面11bが形成され、ボール刃6bの回転方向A後方に逃げ面9bが形成されている。さらに、ボール刃6bのすくい面11bの回転方向A前方にギャッシュ溝底7b1を有するギャッシュ7bが形成され、すくい面11bはギャッシュ7bの一方のギャッシュの側面を構成している。ギャッシュ溝底7b1の回転方向A前方に、ボール刃6cの逃げ面9cに繋がるギャッシュ7bの他方の側面(図示せず)がある。図4においては、ボール刃6bのすくい面を含む各ボール刃のすくい面11a〜11dのすくい角γ1は正であるが、各ボール刃のすくい角γ1、すなわち、回転軸心Oと直交する方向のすくい角(軸直角断面のすくい角)は、−30°以上20°以下の範囲設定することが望ましい。
各ボール刃のすくい角γ1を−30°以上20°以下の範囲設定することにより、高能率な切削加工を行った場合にも、ボール刃のチッピングや欠損の発生を防止し、安定した切削加工が可能になる。各ボール刃のすくい角γ1が−30°より小さい場合は、ボール刃の剛性は向上するが切削抵抗が増加するため、高能率な切削加工を行った場合にはビビリ振動が生じやすくなる傾向がある。また、各ボール刃のすくい角γ1が20°より大きい場合には、切削抵抗が低減し切削性は向上するが、ボール刃の剛性が低下するため高能率な切削加工を行った場合にはチッピングや欠損が生じやすくなる傾向がある。
それぞれのボール刃6a、6b、6c、6dの回転方向A前方に形成されたギャッシュ7a、7b、7c、7d、図4に示すギャッシュ7bのようにV字状、あるいは略U字状の断面形状を有する溝であって、切削加工中にボール刃6a、6b、6c、6d、及び中低勾配刃8a、8b、8c、8dにより生成された切屑を収集して切屑排出溝4に排出するこれらのギャッシュ7a〜7dは窪み部13と連接している。
回転軸心O近傍の中低勾配刃8a、8b、8c、8d構成を、図5を参照して説明する。各ボール刃6a、6b、6c、6d、図5に示すように、回転軸心Oの近傍の点P1、P2、P3及びP4まで形成されており各点P1、P2、P3、P4から各中低勾配刃8a、8b、8c、8dは回転軸心Oに接するように形成されており、さらにこれら中低勾配刃8a、8b、8c、8dは、回転軸心Oに直交する平面に対してシャンク部2側に向けて微小な傾斜角度αをもって傾斜している(図2参照)。図5は各中低勾配刃8a、8b、8c、8dが直線状の例を示す
回転軸心O方向から見た平面視を示す図5において、各中低勾配刃8a、8b、8c、8dの回転方向A後方には、平面状もしくは略平面状中低勾配刃の逃げ面10a、10b、10c、10dが形成されている。各中低勾配刃の逃げ面10a、10b、10c、10dも、中低勾配刃8a〜8dの傾斜角度αに追従するように、傾斜角度αをもってシャンク部2側に傾斜している。中低勾配刃の逃げ面10a、10b、10c、10dは、対応するボール刃の逃げ面9a、9b、9c、9d境界線15a、15b、15c、15dを介して一体に繋がっている隣接する逃げ面10a、10b、10c、10dの間は、それぞれギャッシュ7a、7b、7c、7dに連通する微小な溝部である。
中低勾配刃の逃げ面10a、10b、10c、10d回転方向Aの幅W2は、図5に示すように、回転軸心Oから離れるに従って徐々に増加する
中低勾配刃の逃げ面10a、10b、10c、10dは、図5に示すように、少なくとも回転軸心O近傍の位置P1、P2、P3、P4を結んだ円Cを含む。図5に示す例では、中低勾配刃の逃げ面10a、10b、10c、10dは回転軸心Oを頂点とした菱形状の平面である。中低勾配刃の逃げ面10a、10b、10c、10dは、微小な幅を有する回転研削砥石を用いた研削加工により形成するので、研削加工のやり易さを考慮して、これらの逃げ面は若干上方に向けて極めて微小な凸状(球面状)、もしくは微小な凹状の面としてもよい。逃げ面10a、10b、10c、10dを凸状にすると剛性が向上し凹状にすると切屑の排出性が向上する
切削加工中回転軸心Oの近傍に大きな負荷が作用するが、上記の通り、各中低勾配刃の逃げ面10a〜10b回転方向Aの幅W2回転軸心Oから離れるに従って徐々に増加するので、中低勾配刃8a、8b、8c、8dの剛性は回転軸心Oから離れるに従って向上する。中低勾配刃8a、8b、8c、8dはシャンク部の側に傾斜しているので、各中低勾配刃8a、8b、8c、8dの端部が回転軸心Oと接する部分は被削材に接触しないが、中低勾配刃の逃げ面の幅W2が回転軸心Oから離れるに従って徐々に増加するので、中低勾配刃8a、8b、8c、8d被削材に接触する部分の剛性は十分に確保されている。その結果、切削加工中において中低勾配刃8a〜8dのチッピングや欠損の発生を防止できる
図6は、回転軸心O付近の構成を、回転軸心O方向からさらに拡大して示す。図6においては、各中低勾配刃8a〜8dは直線状ではなく、回転方向A後方に緩やかに凹んだ曲線状の切れ刃と、直線状の切れ刃とからなる。図6に示す例では、中低勾配刃8dは、回転方向A後方に凹んだ曲線状中低勾配刃8d1と、この曲線状中低勾配刃8d1の端部Kに、直線状の中低勾配刃8d2を一体に形成した構成としたものである。図6においては、曲線状の中低勾配刃8d1と直線状の中低勾配刃8d2のみを図示しているが、他の中低勾配刃8a〜8cについても中低勾配刃8dと同様の構成としている。この中低勾配刃の構成は本発明の特徴となる。図6で、7c1はギャッシュ7cのギャッシュ溝底、7d1はギャッシュ7dのギャッシュ溝底を示す。
前記特徴により、図5に示す直線状切れ刃のみからなる中低勾配刃と比較して中低勾配刃8a〜8dを長くすることができる。これにより、中低勾配刃8d1の端部Kの剛性低下を抑制し、中低勾配刃による切り屑を排出するための窪み部13の空間の体積を大きくできるので、中低勾配刃8a〜8dで生成された切屑の排出性がさらに向上する特に切れ刃部3の直径Dが大きい多刃ボールエンドミルの場合、高硬度の難削材に高送りの荒加工を行ったときの切屑の排出性が良好になる
ボール刃6a〜6dのすくい面11a〜11dと、各中低勾配刃8a〜8dのすくい面12a〜12dと、各ギャッシュ7a〜7dとの関係を、図6〜図9を参照して説明する。7は図6に示す中低勾配刃のすくい面とギャッシュの配置の他の例を示し、図8は図6をさらに拡大して示し、図9は図7をさらに拡大して示す
6に示すように、各中低勾配刃すくい面12a〜12dとボール刃すくい面11a〜11d(11a、11bは図示していない)は異なる面であるギャッシュの溝底7a1〜7d1(7a1、7b1は図示していない)は中低勾配刃の回転方向A後方に配置されている例えば、図6(図8)に示すギャッシュ溝底7d1は中低勾配刃8d回転方向A後方に配置されている。この構成により、回転軸心O付近の中低勾配刃の剛性が向上する
上記構成を図8及び図10を参照して説明する。図8に示すギャッシュ7dの溝底7d1は、中低勾配刃8dの逃げ面10dとすくい面12dとがなす稜線からなる中低勾配刃8dに対して、回転方向A後方に配置されている
上記構成を実現するための一つの方法は、図10に示すように、各中低勾配刃8a〜8dのすくい面12a〜12dのすくい角γ2各ボール刃6a〜6dのすくい面11a〜11dのすくい角γ1よりも負側に大きくすることである。このように中低勾配刃のすくい角γ2ボール刃のすくい角γ1よりも負側に大きくするとボール刃すくい面11a〜11dは、対応する中低勾配刃8a〜8dのすくい面12a〜12dより回転方向A後方に位置することになる。このため、切れ刃部3に各種の切れ刃を形成するための研削加工を行うと、ボール刃の端部P1〜P4に接続される中低勾配刃のすくい面とボール刃のすくい面との接続部には、微小な段差が生じる場合がある。
上記構成を実現するためのもう一つの方法は、ギャッシュ7a〜7dを大きくすることである。図6(図8)に示す中低勾配刃8dを例にして説明すると、例えば、ギャッシュ7dの回転方向Aの幅を研削加工により大きく設けることである。これにより、ギャッシュ7dの溝底7d1中低勾配刃8dより回転方向A後方に配置できる。さらに、図7(図9)に示すように、中低勾配刃8d1のすくい面12dとボール刃のすくい面11dとがギャッシュ7d側で交差する境界点K1からギャッシュ7dの溝底7d1を形成してもよい。
上記構成により、回転軸心O付近の中低勾配刃の剛性が向上するボール刃の逃げ面9a〜9dの逃げ角と、中低勾配刃の逃げ面10a〜10dの逃げ角は、ほぼ同じ値に設定する。また、ボール刃の逃げ面9a〜9dの逃げ角と、中低勾配刃の逃げ面10a〜10dの逃げ角は7°以上21°以下の範囲設定することにより、高硬度の難削材に対して高送りの荒加工を行うために、切り込み深さ、または送り量を大きくした高能率な切削加工を行った場合にも、ボール刃や中低勾配刃のチッピングや欠損の発生を防止し、安定した切削加工が可能になる。
ボール刃の逃げ面9a〜9dの逃げ角と、中低勾配刃の逃げ面10a〜10dの逃げ角が7°より小さい場合は、ボール刃と中低勾配刃剛性は向上するが逃げ面の摩耗の進行による切削抵抗が増加するため、高能率な切削加工を行った場合にはビビリ振動が生じやすくなる傾向がある。また、ボール刃の逃げ面9a〜9dの逃げ角と、中低勾配刃の逃げ面10a〜10dの逃げ角が21°より大きい場合には、切削抵抗が低減し切削性は向上するが、ボール刃と中低勾配刃の強度(剛性)が低下するため高能率な切削加工を行った場合にはチッピングや欠損が生じやすくなる傾向がある。このため、ボール刃の逃げ面9a〜9dの逃げ角と、中低勾配刃の逃げ面10a〜10dの逃げ角は7°以上21°以下が好ましく、9°以上19°以下がより好ましい
上記構成例の詳細を、ボール刃6dと中低勾配刃8dを例にして図8及び図9に基づいて説明する。図8においては、すくい面12dを備えた中低勾配刃8dは、回転軸心Oから端部Kまで回転方向A後方に凹んだ曲線状の中低勾配刃8d1と、端部Kから回転軸心Oの近傍位置P4まで直線状に形成された中低勾配刃8d2とからなる。また、図8においては、回転軸心Oの近傍位置P4で直線状中低勾配刃8d2はボール刃6dに接続され、さらに、凹曲線状中低勾配刃8d1と直線状中低勾配刃8d2の境界点Kからボール刃6dのすくい面11dを形成している。そして、すくい面11dをギャッシュ7dの一方の側面とするとともに、すくい面11dの回転方向A側の稜線をギャッシュ7dの溝底7d1としている。ギャッシュ7dの溝底7d1中低勾配刃8dより回転方向A後方に位置する
8に示すボール刃6dと中低勾配刃8dは、下記の構成を備えている。すなわち、中低勾配刃8dは、中低勾配刃8dの逃げ面10dと中低勾配刃8dのすくい面12dとがなす回転方向後方に凹んだ曲線状の第1の稜線8d1(凹曲線状中低勾配刃8d1)と、第1の稜線8d1の端部Kに繋がる直線状の第2の稜線であって、中低勾配刃8dの逃げ面10dと、中低勾配刃8dのすくい面12dより回転方向A後方に傾斜するボール刃6dのすくい面11dとがなす第2の稜線8d2(直線状中低勾配刃8d2)から構成されている。他のボール刃6a〜6c及び他の中低勾配刃8a〜8cも、ボール刃6d及び中低勾配刃8dと同じ構成を備えている。
前記したように図10(a) に示す中低勾配刃すくい角(γ2)ボール刃すくい角(γ1)よりも負側に大きくするか、ギャッシュ7a〜7dの回転方向Aの幅を大きくすると、各中低勾配刃のすくい面とボール刃のすくい面との間に、ギャッシュ中に形成された段差が生じる場合がある。この段差が生じた場合には、切れ刃部3の研削加工時にこの段差部分が生じているギャッシュの一部を埋めるように補強部を形成してもよい。この補強部は、両者のすくい面同士を滑らかに繋ぐために研削加工を施した補強部になり、中低勾配刃8a〜8dの剛性を向上させることができる
図10(a) は図8に示す中低勾配刃8dのB2-B2線断面を示し、図10(b) は図8に示すボール刃6dのB3-B3線断面を示す。図10(a)、(b) に示すように、ボール刃6dのすくい角γ1は、−30°以上20°以下の範囲に設定することが望ましく、中低勾配刃8dのすくい角γ2は、−30°以上20°以下の範囲に設定することが望ましい。
中低勾配刃8dのすくい角γ2が−30°より小さい場合は、中低勾配刃8dの剛性は向上するが切削抵抗が増加し切屑の排出性が悪化するため、高能率な切削加工を行った場合にはビビリ振動が生じやすくなる傾向がある。また、中低勾配刃8dのすくい角γ1が20°より大きい場合には、切削抵抗が低減し切削性は向上するが、中低勾配刃8dの剛性が低下するため高能率な切削加工を行った場合にはチッピングや欠損が生じやすくなる傾向がある。このため、より好ましくは中低勾配刃8dのすくい角γ2は、−10°以上15°以下の範囲に設定することが望ましい。
なおかつ、ボール刃6dのすくい角γ1よりも負側に大きくなるように設定するのが望ましい。これにより、中低勾配刃8a〜8dの剛性を向上させることができるので、切削加工中に各中低勾配刃に大きな加工負荷が作用しても中低勾配刃にチッピングや欠損の発生を防止できる
図7の拡大図である図9、中低勾配刃8d1のすくい面12dとボール刃のすくい面11dとがギャッシュ7d側で交差する境界点K1からギャッシュ7dの溝底7d1を形成した例を示す。図9に示すように境界点K1からギャッシュ7dの溝底7d1を形成すると、ボール刃のすくい面11dの幅を大きくできるので、すくい面11dの研削加工容易になるとともに、ボール刃6d及び直線状の中低勾配刃8d2の剛性が向上する
図11は、回転軸心O近傍における中低勾配刃8dとボール刃6dとの連結点P4の近傍の他の構成例を示す他の中低勾配刃8a、8b、8cについても同様である
図11に示す例では、中低勾配刃8dは図6等に示すものより短く、回転方向A後方に凹んだ曲線状中低勾配刃のみからなる直線状中低勾配刃8d2を設けないで、中低勾配刃8dの端部は回転軸心Oの近傍位置P4ボール刃6dと一体に連結するとともに、位置P4からギャッシュの溝底7d1を形成している。また、位置P4からボール刃6dのすくい面11dを形成している。前記したように、11に示す構成は、他の中低勾配刃8a〜8c及び他のボール刃6a〜6cにも採用される
図12は、図11に示す実施形態についてさらに改善した実施形態を示す。図12は、中低勾配刃8dのすくい面12dとボール刃6dのすくい面11dがなす稜線のギャッシュ側の端部K2からギャッシュの溝底7d1を形成した例を示す。この構成例では、ボール刃6dのすくい面11dの幅を大きくすることができるので、ボール刃6dの強度を向上させることができる。12に示す構成は、他の中低勾配刃8a〜8c及び他のボール刃6a〜6cについても採用される
本発明において、それぞれの中低勾配刃8a、8b、8c、8d等と、ボール刃6a、6b、6c、6d等との繋ぎ点となる回転軸心Oの近傍位置P1、P2、P3、P4の付近の構成について、前記した実施形態のいずれを採用するかは、切れ刃部3の直径D、回転軸心O近傍の研削加工の容易さ、等を考慮して適宜決定するとよい。
本発明の多刃ボールエンドミルにおいて、ボール刃の逃げ面9a、9b、9c、9dと、中低勾配刃の逃げ面10a、10b、10c、10dの形成は、極薄の回転研削砥石を用いたNC制御による研削加工装置を使用して行うが、ボール刃の逃げ面9a〜9dの研削加工と、中低勾配刃の逃げ面10a〜10d等の研削加工は別々の工程で実施する。この理由は、極めて微小な範囲(面積)の中低勾配刃の逃げ面10a〜10dの研削加工精度良く行う必要があるために、微小な砥石幅を備えた研削砥石、例えば、砥石幅が1 mm以下の研削砥石を使用する必要があるからである。
上記のように、ボール刃の逃げ面9a〜9dの研削加工と、中低勾配刃の逃げ面10a〜10dの研削加工は別々の工程で実施するので、ボール刃の逃げ面9a〜9d、及び中低勾配刃の逃げ面10a〜10dの表面を、例えば、顕微鏡で30〜50倍程度に拡大して観察すると、逃げ面9aと逃げ面10a等の表面に現れる研削加工痕(研削加工筋)の向きは、異なっていることが分かる
図13は、本発明の多刃ボールエンドミルの回転軸心O近傍のさらに他の構成例として、中低勾配刃8a、8b、8c、8d回転方向A後方に凹んだ曲線状中低勾配刃のみからなる例を示す。図13に示す回転軸心O近傍の構成上の特徴は、凹状曲面部16a、16b、16c、16dが隣接する中低勾配刃の逃げ面10a、10b、10c、10dの間に形成されていることである
凹状曲面部16a、16b、16c、16dは、隣接する逃げ面10aと10b、同じく逃げ面10bと10c、同じく逃げ面10cと10d、同じく逃げ面10dと10aを繋ぐために設けた溝部である。これら凹状曲面部16aなどは、回転軸心Oからギャッシュ7a、7b、7c、7d向けて形成され、回転軸心Oからギャッシュ7a、7b、7c、7dに向かう方向と直交する断面は緩やかな略U字形状である。また、凹状曲面部16a、16b、16c、16dは、回転軸心O付近からギャッシュ7a、7b、7c、7dに向けて緩やかに下方に傾斜している
凹状曲面部16a、16b、16c、16dのうち、隣接する逃げ面10dと10aの間に形成された凹状曲面部16dの構成を例にして説明すると、凹状曲面部16dは、中低勾配刃8dのすくい面12dと、逃げ面10aの回転方向A後方の側面とから構成されている。凹状曲面部16a、16b、16c、16d、薄板円板状のダイヤモンド砥石を装着したNC制御の研削加工機を用いて略U字状断面に加工することにより形成される
凹状曲面部16a、16b、16c、16dは、被削材の切削加工中において中低勾配刃8a、8b、8c、8dにより生成された極めて薄く微小な切屑を、ギャッシュ7a、7b、7c、7d方向に排出する作用を行う。中低勾配刃8a、8b、8c、8dにより生成される切屑のギャッシュ7a、7b、7c、7dへの排出は、(a) 各逃げ面10a、10b、10c、10シャンク部の側に傾斜角度αをもって傾斜していること、及び(b) 凹状曲面部16a、16b、16c、16dを設けたことにより一層良好になる。
続いて、本発明の多刃ボールエンドミルを用いて被削材の高送り加工を行うために、中低勾配刃が備えている他の特徴について説明する。図14は、切れ刃部3の先端部を回転軸心O方向から見たときの平面図であって、中低勾配刃が備えている形状的な特徴を説明するための図である。
中低勾配刃の幅Xは切れ刃部3の直径Dの1.25%以上3.75%以下の範囲に設定することが望ましい。中低勾配刃の幅Xとは、切れ刃部3の先端部を回転軸心O方向から見た平面図において、回転軸心Oから中低勾配刃の端部までの距離である。図14に示す例では、中低勾配刃8dは回転方向A後方に凹んだ曲線状中低勾配刃8d1と直線状中低勾配刃8d2とから構成されているので、幅Xは回転軸心Oから直線状中低勾配刃8d2の端部(ボール刃6d側の端部)までの距離である
中低勾配刃の上記幅Xにより、ボール刃の長さを確保しながら、切削速度が0となる回転軸心O近傍の切れ刃(中低勾配刃)は確実にシャンク部2の側に傾斜するため、高能率な切削加工が可能となる。
中低勾配刃の幅Xが切れ刃部3の直径Dの1.25%未満の場合、回転軸心Oに接する中低勾配刃の端部シャンク部の側に設けるために中低勾配刃の傾斜角度αを極めて大きくする必要が生じるため、中低勾配刃とその逃げ面の加工が困難となる。また、中低勾配刃の幅Xが切れ刃部の直径Dの3.75%を超える場合、中底勾配刃の幅Xに対してボール刃6a〜6dが相対的に短くなるため、本発明が目的としている多刃ボールエンドミルによる高能率な高送りによる切削加工が実現できなくなる
図15は図14の拡大図である。本発明において、中低勾配刃8a、8b、8c、8dを凹曲線状中低勾配刃のみ、もしくは直線状中低勾配刃凹曲線状中低勾配刃とから構成した場合には、凹曲線状中低勾配刃の形状次のようにすることが望ましい。
凹曲線状中低勾配刃の望ましい形状を図15に示す凹曲線状中低勾配刃8d1を例にして説明する。凹曲線状中低勾配刃8d1において、回転方向Aに対して最も後方側に位置する点a1はこの凹曲線状中低勾配刃8d1の中央の位置となる点aよりも回転軸心O側に設けることが望ましい。他の凹曲線状中低勾配刃8a1、8b1、8c1についても上記と同様にする。これにより、各凹曲線状中低勾配刃の剛性をより一層向上させることができる。
中低勾配刃8a、8b、8c、8dの各凹曲線状中低勾配刃は回転軸心Oからボール刃に向けて連続的に延びるが望ましい。さらに、凹曲線状中低勾配刃と直線状中低勾配刃とを設けた場合には、凹曲線状中低勾配刃と直線状中低勾配刃とボール刃は、一つの切れ刃として連続して、一体に繋がった切れ刃を構成するが望ましい。この場合には、回転軸心O側に凹曲線状中低勾配刃を設け、ボール刃側に直線状中低勾配刃を設けるのが良い。
なお、凹曲線状中低勾配刃において最も回転方向の後方側に位置する点a1を、凹曲線状中低勾配刃の中央に設けた場合、もしくは、凹曲線状中低勾配刃の中央となる点aよりもボール刃側に設けた場合には、凹曲線状中低勾配刃と直線状中低勾配刃とがなす角度、もしくは凹曲線状中低勾配刃とボール刃とがなす角度が小さくなるために、切削加工の負荷によりこの角度が小さくなった箇所に応力が集中して、凹曲線状中低勾配刃の剛性が低下する傾向となる。
なお、本発明において、中低勾配刃を凹曲線状中低勾配刃のみで構成した場合には、前記した「凹曲線状中低勾配刃の中央の位置となる点a」、次のように定義される。すなわち、回転軸心Oと、この曲線状中低勾配刃上の任意の点Mとの間隔が、回転軸心Oと、この曲線状中低勾配刃に接続されるボール刃との接続点とを結んだ直線の長さ(前記した中低勾配刃の幅Xに相当する)の半分の値であったときに、その位置となる点Mが上記の「点a」と定義される。
同様に、本発明において、中低勾配刃を直線状中低勾配刃と凹曲線状中低勾配刃とから構成した場合は、回転軸心Oと、凹曲線状中低勾配刃上の任意の点Mとの間隔が、図14に示す中低勾配刃の幅Xの半分の値であったときに、点Mが上記の「点a」と定義される。
また、本発明において、前記した「凹曲線状中低勾配刃において回転方向Aに対して最も後方側に位置する点a1」次のように定義される。すなわち、回転軸心Oと、凹曲線状中低勾配刃とボール刃との接続点とを結んだ直線、もしくは、回転軸心Oと、凹曲線状中低勾配刃と直線状中低勾配刃の接続点とを結んだ直線を基準として見たときに、最も回転方向Aの後方側に位置する、この凹曲線状中低勾配刃上の点が「点a1」と定義される。
また、本発明において、図15に示すように、凹曲線状中低勾配刃8d1等を含む中低勾配刃において、最も回転方向Aの後方側に位置する点a1が、回転軸心Oを基準に測定したときに、凹曲線状中低勾配刃の幅X1の20%以上40%以下の区間h内にあることが望ましい。これにより、凹曲線状中低勾配刃8d1等の中低勾配刃の剛性がより一層向上する。
凹曲線状中低勾配刃において最も回転方向の後方側に位置する点a1が、回転軸心Oを基準にして測定したときに、この凹曲線状中低勾配刃の幅x1の20%未満となる位置に設けられている場合には、凹曲線状中低勾配刃を研削加工により形成することが困難にな。また、点a1が、回転軸心Oから測定したときに、凹曲線状中低勾配刃の幅x1の40%を超える位置に設けられている場合には、凹曲線状中低勾配刃の剛性がやや低下する傾向となる。
[製造方法]
本発明の多刃ボールエンドミルはWC基の超硬合金からなるソリッド型のボールエンドミルである。超硬合金からなるボールエンドミル、前記したように、WC(炭化タングステン)粉末にCo(コバルト)粉末を混合した超硬合金粉末を金型で円柱状に成形し、得られた成形体を1300℃程度で焼成した後に、切れ刃部等に所定の仕上げ加工を実施し、さらに、必要に応じて、切れ刃部3の表面に耐摩耗性硬質皮膜を被覆することにより製造される。この硬質皮膜、例えば、TiSiN、TiAlSiN、CrSiN、AlCrSiNなどからなる。具体的には、周期律表4a、5a、6a族金属、Al、Si、Bの元素から選択される1種以上の元素を含有する窒化物、炭窒化物、酸窒化物のいずれかからなる硬質皮膜を3〜5μmの厚さに被覆するのが望ましい。
ソリッド型の多刃ボールエンドミルの金型成形及び焼成は、従来から一般に採用されている粉末成形法及び焼成法により行うことができるので、その詳細説明は省略する。
本発明の多刃ボールエンドミルを製造するためには、焼成後の多刃ボールエンドミル切れ刃部3などに仕上げ加工、特に、切れ刃部3の先端部にボール刃6a、6b、6c、6d、中低勾配刃8a、8b、8c、8d、ギャッシュ7a、7b、7c、7dを所定の形状に仕上げ加工を行う仕上げ加工は、薄板円板状のダイヤモンド砥石を装着したNC(CNC)制御の研削加工機を用いて実施する。
[第2の実施形態]
図16は、本発明の第2の実施形態による多刃ボールエンドミルの切れ刃部3の先端部を回転軸心O方向から見た正面図である。第2の実施形態による多刃ボールエンドミル1aは3枚のボール刃6a、6b、6cを備え、ボール刃6a、6b、6cの端部P1、P2、P3から中低勾配刃8a、8b、8c回転軸心Oまで延在している。また、3つのボール刃6a、6b、6c回転軸心Oを中心として等間隔で配置され、各ボール刃の間にギャッシュ7a〜7cが設けられている。これ以外の基本的な構成は、第1の実施形態4枚刃の多刃ボールエンドミルとほぼ同じであるので、その詳細な構成の説明は省略する。
本発明例の超硬合金製の多刃ボールエンドミルを製作して、被削材に切削加工を行って切れ刃の摩耗状態などについて観察、評価した実験例について説明する。
(実験例1)
本発明WC基からなる4枚刃ボールエンドミル(以下、本発明例1という)を試作して、SKD61(合金工具鋼)からなる被削材に平面切削加工実験(実験例1)を実施して、ボール刃と中低勾配刃の摩耗観察した。実験例1においては、本発明例1と比較するために、比較例1として、既に市販されている4枚刃ボールエンドミルに対しても同様の切削加工実験を実施した。比較例1の多刃ボールエンドミルは、切れ刃部の先端部において、回転軸心Oの近傍範囲C(図5に示す円「C」に相当)内を没入させた形状を有するが、本発明が備えている中低勾配刃を有していない多刃ボールエンドミル(特許文献5に記載されている多刃ボールエンドミルに相当するもの)である
実験例1に用いた本発明例1の多刃ボールエンドミル4枚のボール刃を有し、切れ刃部3の直径Dは8 mm、図2に示す窪み部13の幅tは0.55 mm、中低勾配刃の傾斜角度αは2°、及び中低勾配刃の幅Xは0.275 mmであり、中低勾配刃は図6に示すように直線状中低勾配刃と凹曲線状中低勾配刃から成り、凹曲線状中低勾配刃の回転方向最後点a1を凹曲線状中低勾配刃の幅X1の30%となる位置に設けた。また、多刃ボールエンドミルの全長Lは100 mmとし、NC制御の3軸マシニングセンタに装着したときの工具突き出し量OHを32 mm、すなわち、「工具突き出し量OH直径D」(OH/D)を4とした。
本発明例1の多刃ボールエンドミルボール刃の逃げ角を10°、ボール刃のすくい角を−11°に、各中低勾配刃の逃げ角を10°中低勾配刃のすくい角を−11°とした。一方、比較例1の多刃ボールエンドミルは、ボール刃の逃げ角が17°、ボール刃のすくい角が−14°であって、本発明例1が備えている中低勾配刃を有していなかった
実験例1においては、本発明例1及び比較例1の多刃ボールエンドミルをNC制御の3軸マシニングセンタに装着して、下記の切削条件1切削加工を実施した。そして、切削加工を開始してから30分経過後(30分加工後)、60分経過後(60分加工後)、及び90分経過後(90分加工後)に、切れ刃(ボール刃)の逃げ面の摩耗を観察するために、逃げ面摩耗幅(VBmax)として摩耗による母材の露出量を測定した。
(切削条件1)
加工方法 :乾式切削(エアーブロー)による平面切削
切削速度(Vc) :94[m/min]
回転数(n) :3750[min-1
送り速度(Vf) :1500[mm/min]
1刃当たりの送り量(fz) :0.1[mm/tooth]
軸方向切込み量(ap) :0.7[mm]
径方向切込み量(ae) :1.75[mm]
工具突き出し量(OH) :32[mm]
切削条件1で実施した切削加工実験の結果を図17〜図19に示す。図17〜図19は、それぞれ切削加工時間が30分経過した後、60分経過した後、90分経過した後の切れ刃の摩耗状態を、回転軸心O方向から拡大して示す写真であって、各図の(a) は本発明例1を示し、(b) は比較例1を示す17〜図19に示す各写真の中央部に回転軸心Oが位置し、回転軸心Oから外周部に向かって円弧状に延びている4つの稜線と面がボール刃(6a、6b、6c、6d)とその逃げ面(9a、9b、9c、9d)である。これらの写真において、ボール刃と逃げ面の位置を明確に示すために、図17(a) ボール刃の符号(6a、6b、6c、6d)と、逃げ面の符号(9a、9b、9c、9d)と、回転軸心符号(O)を示す
図17〜図19に示す実験例1の結果から、次の事項が判明した。
(1) 本発明例1の多刃ボールエンドミルでは、切削加工時間が60分に達したときには4枚のボール刃及び中低勾配刃に、欠損、チッピング、摩耗が発生していなかった(図17(a)、図18(a) 参照)。
(2) 本発明例1の多刃ボールエンドミルでは、切削加工時間が90分に達したときにはボール刃の逃げ面の摩耗幅が0.12 mmであった。この摩耗幅は正常な切削加工において切れ刃に発生する均一な摩耗(図19(a) 参照)であって、被削材の加工精度に影響を与えるものではないと考えられる。摩耗幅は4刃のボール刃の逃げ面摩耗幅(VBmax)の平均値である。
(3) 比較例1の多刃ボールエンドミルでは、切削加工時間が30分に達したときに、ボール刃の回転中心軸に近い逃げ面に均一で微小な摩耗幅が観察され(図17(b) 参照)、切削加工時間が60分に達した後には摩耗幅がさらに拡大していることが確認された(図18(b) 参照)。
(4) 比較例1の多刃ボールエンドミルでは、切削加工時間が90分に達したときには、図19(b) に示すように、ボール刃から逃げ面にかけて摩耗幅は0.20 mmに拡大した0.20 mmの摩耗幅は一般的な荒加工用工具の寿命に近づいた値であり、被削材の加工精度に影響を与えると考えられる。
(5) 上記(1)〜(4) 結果から、本発明例1多刃ボールエンドミルは、90分の切削加工後にボール刃の摩耗幅が比較例1の1/2に低減可能、長寿命であると判断できる。
(実験例2)
本発明の多刃ボールエンドミルをNC制御の3軸マシニングセンタに装着したときの工具突き出し量OHを実験例1より大きくした場合について、切削加工によるボール刃と中低勾配刃の摩耗を観察した
実験例2ではOH/Dを6とし、冷間鍛造金型などに用いられる鋼種「YXR3(58 HRC)」(YXR3は登録商標)からなる被削材について、下記の切削条件2で、立ち壁を備えたポケットの切削加工(縦:25 mm、横:25 mm、高さ:14.7 mm)を行った。実験例2に用いた本発明例と比較例のボールエンドミルの仕様は、それぞれ実験例1に用いた本発明例1と比較例1の多刃ボールエンドミルと同じにした
(切削条件2)
加工方法 :乾式切削(エアーブロー)、立ち壁のポケット加工
切削速度(Vc) :38[m/min]
回転数(n) :1500[min-1
送り速度(Vf) :225[mm/min]
1刃当たりの送り量(fz) :0.075[mm/tooth]
軸方向切込み量(ap) :0.35[mm]
径方向切込み量(ae) :1.23[mm]
工具突き出し量(OH) :48[mm]
20は実験例2被削材に90分間の切削加工を行ったときのボール刃の摩耗を示す拡大写真であって、上段に本発明例1を、下段に比較例1を示す20に示す「撮像方向A」多刃ボールエンドミルの回転軸心Oの延長線方向から撮影したことを示し、「撮像方向B」回転軸心Oの延長線上の斜め上方から撮影したことを示す
実験例2の結果から次の事項が明らかになった。
(1) 本発明例1では、ボール刃の逃げ面の摩耗幅は0.07 mmであって、安定した摩耗であった。中低勾配刃の摩耗、欠損の発生は確認されなかった。
(2) 比較例1では、ボール刃の逃げ面の摩耗幅は0.07 mmであったが、図20の撮影方向Bの列に○印で示す箇所のボール刃に欠けが発生していた。比較例1のボール刃にこのような欠けが発生した原因は、ボール刃の回転軸心O近傍の没入した範囲C内に切れ刃がないので、立ち壁を備えたポケット部の切り込み加工を行った際に範囲Cにおける切削加工の負荷が大になってビビリ振動が発生したためであると推測される
(実験例3)
工具突き出し量OHを実験例2よりさらに大きくし(OH/D=7)、下記の切削条件3で、SKD11(60 HRC)からなる被削材に平面切削加工の実験を行って、ボール刃と中低勾配刃の摩耗を観察した実験例3において、本発明は実験例1及び実験例2における本発明例1の多刃ボールエンドミルを用い、比較例2種の多刃ボールエンドミルを用いた。
比較例の2種の多刃ボールエンドミルのうちの1種は、全てのボール刃を回転軸心Oまで延設し、ボール刃の回転軸心O側の端部が互いに略接させた構成からなる多刃ボールエンドミル(以下、比較例2という)とした。比較例2の多刃ボールエンドミルは特許文献3に記載されている多刃ボールエンドミルに相当する
比較例の他の1種、図5に示す本発明多刃ボールエンドミルにおいて、中底勾配刃の逃げ面10a、10b、10c、10dがシャンク部の側に傾斜していない多刃ボールエンドミルとした(以下、比較例3という)。
(切削条件3)
加工方法 :乾式切削(エアーブロー)による平面切削
切削速度(Vc) :94[m/min]
回転数(n) :3750[min-1
送り速度(Vf) :1500[mm/min]
1刃当たりの送り量(fz) :0.1[mm/tooth]
軸方向切込み量(ap) :0.7[mm]
径方向切込み量(ae) :1.75[mm]
工具突き出し量(OH) :56[mm]
図21は、実験例3により被削材に40秒間の切削加工を行ったときボール刃の摩耗を示す拡大写真である。実験例3において40秒間の切削加工での切削距離は1 mであり、図21切削加工の初期(切削加工開始後の早期)におけるボール刃の状態を示す図21の上段に本発明例1を、中段に比較例2を、下段に比較例3のそれぞれの写真を示す図21に示す「撮像方向A」及び「撮像方向B」は、図20に表示した「撮像方向A」及び「撮像方向B」と同じである。
工具突き出し量OHを56 mmと大きくした実験例3結果から次の事項が明らかになった。
(1) 本発明例1においては、図21の上段に示すように、○印で示すボール刃の箇所に正常な摩耗が発生していた。また、中低勾配刃には摩耗、欠損の発生は確認されなかった。
(2) 比較例2においては、図21の中段に○印で示すボール刃の箇所に欠けの発生が確認された。
(3) 比較例3においては、図21の下段に○印で示すボール刃に、微小な局所的なチッピングの発生が確認された。
(4) 比較例2及び比較例3の多刃ボールエンドミルにおいて、切削加工の開始後の早期にボール刃に欠け及びチッピングが発生した原因は次の通りであると考えられる。比較例2及び3の多刃ボールエンドミルでは、各ボール刃の先端部が回転軸心Oに接するように延設していること、及び工具突き出し量OHを56 mmと大きくした切削加工を行ったために、平面切削時にボール刃の先端部に加工負荷が集中した不安定な切削加工が進行してビビリ振動が発生し、ビビリによりボール刃に作用する加工負荷が不均一になって欠けが発生したと推測できる。一方、本発明例1においては、前記したように4枚の中低勾配刃を回転軸心Oと直交する面に対して、シャンク部の側にわずかに傾斜しているので、これら4枚の中低勾配刃も切削加工に均等に寄与し、ビビリ振動が発生しなかったと考えられる。
実験例1〜3の結果から、多刃ボールエンドミルにおいては、ボール刃の先端部近傍、すなわち、回転軸心Oの近傍における切れ刃の配置とその構成が、切削加工時のビビリ振動発生に大きな影響を与えると考えられる。この理由を、図22に基づいて説明すると次のようになる。
図22(a) は、従来の超硬合金製ソリッド型の多刃ボールエンドミルであって、回転軸心Oと交わる部分にも円弧状のボール刃20が形成されている例(以下、「従来例1」という)を示す従来例1の多刃ボールエンドミルを用いて、高硬度の難削材21に高送り荒加工を行うと、回転軸心Oと交わるボール刃の部分には大きな加工負荷が作用するとともに、ボール刃は回転軸心Oと交わる点Qで被削材21と接触しながら切削加工を行う。このとき、点Qは切削(回転)速度が0であるので、ボール刃20は点Qを被削材21に対して引き摺りながら不安定な状態で切削加工を行うことになる。このような不安定な状態で切削加工を行うと、ビビリ振動などの振動を誘発して、ボール刃に欠け等が発生する
図22(b) は、回転軸心O近傍のボール刃を除去するように凹部22を設けた従来の多刃ボールエンドミルの一例(以下、「従来例2」という)の先端部の概略構成を示す従来例2においては、凹部22の縁部にボール刃20の終端が配置されている。従来例2は特許文献5に開示されているボールエンドミルに相当する
従来例2多刃ボールエンドミルを用いて高硬度の難削材21に高送り荒加工を行うと、凹部22の縁部に大きな加工負荷が作用するので、凹部22の縁部に配置されているボール刃20の終端部近傍では摩耗の進行が早くなり、その結果、不安定な状態で切削加工が実施されてビビリ振動を誘発して、ボール刃20に欠け等が発生する。従って、従来例1及び従来例2のボールエンドミルが備えている回転軸心O近傍の切れ刃構成は、高硬度の難削材21の高送り加工に適していない
図22(c) は、本発明の多刃ボールエンドミル(以下、「本発明例」という)の先端部の構成を概略的に示す本発明例では、回転軸心Oの近傍でボール刃と繋がって回転軸心Oに接する中低勾配刃を備え、これら中低勾配刃は、回転軸心Oと直交する面に対して、シャンク部の側に傾斜している。すなわち、多刃ボールエンドミルの先端部窪み部13(図2参照)が形成されており窪み部13内にボール刃20と繋がって回転軸心Oに接する中低勾配刃8a、8b等が配置されている中低勾配刃がシャンク部2の側に傾斜する角度(回転軸心Oと直交する面に対する傾斜角度)0.5°以上3°以下と微小である
このように図22(c) に示す基本的な構成を備えた本発明の多刃ボールエンドミル、例えば、4枚のボール刃を備えた多刃ボールエンドミルを用いて、高硬度の難削材21に高送り荒加工を行うと、4枚の中低勾配刃8a、8b等のボール刃側の端部とその近傍は、被削材21に対して90°間隔となる4点Q1、Q2、Q3及びQ4(図22(c) ではQ1、Q3のみを図示)切削加工を行うとともに、ボール刃21で主切削加工を行うので、安定した状態で被削材21に対する切削加工が進行する。これにより、本発明の多刃ボールエンドミルは、ビビリ振動などが発生し難く、従ってボール刃に欠け等が発生しないと考えられる。
上記したように、高硬度の難削材高送り荒加工を行った場合に、ボール刃の先端部近傍、すなわち、回転軸心Oの近傍における切れ刃の配置とその構成が、ビビリ振動発生に大きな影響を与えると考えられるので、切削加工時の切削抵抗を測定して振動発生状況を確認するための実験(実験例4)を行った。
(実験例4)
実験例4においては、本発明例多刃ボールエンドミル1種と、比較例2種の多刃ボールエンドミルを用いて被削材の切削加工を行ったときの切削抵抗の3分力波形をキスラー社製の切削動力計により測定し3分力Fx、Fy、Fzの波形の時系列変化から振動発生の有無を判定した。実験例4に用いた本発明例の多刃ボールエンドミルは実験例1〜3に用いた本発明例1と同じ仕様とした。また、2種の比較例の多刃ボールエンドミルは、実験例1に用いた比較例1のボールエンドミルと、実験例3に用いた比較例3と同じ仕様とした
実験例4においては、本発明例及び比較例の多刃ボールエンドミルをそれぞれNC制御の3軸マシニングセンタに工具突き出し量OHが32 mm(OH/D=4)となるように装着し、実験例1と同じ切削条件1で、YXR3(58 HRC)(YXR3は登録商標)からなる被削材を平面切削加工した
図23は、実験例4で測定した切削抵抗の3分力Fx、Fy、Fz時系列変化を示し、横軸は経過時間(秒)を、縦軸は切削抵抗(N)を示す。また、図23(a) は本発明例1の多刃ボールエンドミルの切削抵抗の変化を示し、図23(b) は比較例1のボールエンドミルの切削抵抗の変化を示し、図23(c) は比較例3の多刃ボールエンドミルの切削抵抗の変化を示す
図23に示す実験例4の結果から次の(1)〜(4) に記載した事項が明らかになった。
(1) 図23(a) に示す本発明例1の多刃ボールエンドミル比較例1より3分力Fx、Fy、Fzともに切削抵抗が低く、波形の時系列変化も規則正しく安定していた。このことは、切削加工中に発生した振動は極めて少なく、振動の不規則な変化、すなわち、ビビリ振動が発生していないことを示す
(2) 図23(b) に示す比較例1の多刃ボールエンドミル本発明例1より3分力Fx、Fy、Fzともに切削抵抗が高く、かつ、切削抵抗の波形の時系列変化も不規則(不安定)であった。このことはビビリ振動の発生により切削抵抗の波形の時系列変化が不規則になったと考えられる。
(3) 図23(c) に示す比較例3の多刃ボールエンドミルの切削抵抗の波形変化については、Fxは本発明例1ほぼ同じであるが、Fy及びFz本発明例1のように安定した規則正しい変化ではなかった。この理由は、比較例3のボールエンドミルは本発明例1が備えている中低勾配刃を有していないために、微小なビビリ振動が発生したことによると考えられる。
(4) 上記(1)〜(3) により、本発明の多刃ボールエンドミルは先端部に窪み部13を有し窪み部13で中低勾配刃8a、8b等が微小な傾斜角度αをもってシャンク部側に傾斜しているため、ビビリ振動発生を有効に抑制できると判断できる。
(実験例5)
ラジアスエンドミル等の回転切削工具においては、高送り加工を実施するために刃数を増やしたときに発生するビビリ振動を抑制するために、先端部に設ける切れ刃(底刃)をいわゆる「不等分割」に配置する手段が採用されている。切れ刃を不等分割に配置するとは、先端部に形成した複数の切れ刃を、回転軸心Oを中心とした工具本体の円周方向に、同じ角度(等間隔)で配置するのではなく、回転軸心Oを中心として隣り合う切れ刃どうしを異なった角度で配置することである。実験例1〜4に用いた本発明多刃ボールエンドミルは、回転軸心Oを中心として4枚のボール刃を90°間隔、すなわち、等分割(等角度又は等間隔)に配置したものである。
そこで、実験例5では、4枚のボール刃を不等分割に配置した多刃ボールエンドミルを用いて、下記切削条件5でYXR3(58 HRC)(YXR3は登録商標)からなる被削材を切削加工したときの切削抵抗の3分力波形を測定し、ボール刃の不等分割がビビリ振動発生の抑制に効果があるか否かを評価した。この実験では、直線状平面加工を行った後に90°のコーナ部の加工を行い、再び直線状平面加工を切削速度を減速しないで行った。また、実験例5では、不等分割に配置した多刃ボールエンドミルと比較するために、等分割した多刃ボールエンドミルについても切削抵抗の3分力波形を測定した。そこで、実験例5では、次の4種となる不等分割2°(本発明例2)、不等分割4°(本発明例3)、等分割例1、及び等分割例2多刃ボールエンドミルについて実験を行った。
(不等分割2°:本発明例2)
本発明例2の多刃ボールエンドミル回転軸心Oを中心として4枚のボール刃を順次88°、92°、88°及び92°の角度(不等分割2°)で配置した以外、その他の構成は実験例1〜3で用いた本発明例1の多刃ボールエンドミルと同じである。
(不等分割4°:本発明例3)
本発明例3の多刃ボールエンドミル回転軸心Oを中心として4枚のボール刃を順次86°、94°、86°及び94°の角度(不等分割4°)で配置した以外、その他の構成は実験例1〜3で用いた本発明例1の多刃ボールエンドミルと同じである。
不等分割及び不等分割4°の多刃ボールエンドミルについては、ボール刃のすくい角を−10°に、ボール刃の逃げ角を10°に、中低勾配刃8a〜8cのすくい角を−10°に、中低勾配刃の逃げ角を10°にした。また、切屑排出溝4のねじれ角を30°にした。
(等分割例1)
実験例1〜3に用いた本発明例1の多刃ボールエンドミルと同じ仕様であって、4枚のボール刃が回転軸心Oを中心として90°で等分割に配置されたボールエンドミルである。この多刃ボールエンドミルの中低勾配刃8a〜8cのすくい角と逃げ角は、不等分割2°及び4°のボールエンドミルと同じ値にした。
(等分割例2)
実験例1及び2に用いた比較例1の多刃ボールエンドミルと同じ仕様であって、4枚のボール刃が回転軸心Oを中心として90°で等分割された多刃ボールエンドミルである。この多刃ボールエンドミルの回転軸心近傍のボール刃のすくい角は−14°、ボール刃の逃げ角は17°、切屑排出溝4のねじれ角40°である。
(切削条件5)
加工方法 :乾式切削(エアーブロー)による平面切削
切削速度(Vc) :100[m/min]
回転数(n) :4000[min-1
送り速度(Vf) :1920[mm/min]
1刃当たりの送り量(fz) :0.12[mm/tooth]
軸方向切込み量(ap) :0.3[mm]
径方向切込み量(ae) :0.1[mm]
工具突き出し量(OH) :32[mm]
実験例5において切削抵抗の3分力の波形を図24に示す24において、(a) は不等分割2°の多刃ボールエンドミル(本発明例2)、(b) は不等分割4°の多刃ボールエンドミル(本発明例3)、(c) は等分割例1のボールエンドミル、(d) は等分割例2の多刃ボールエンドミル(比較例1)を示す
図24に示す実験例5の結果から、下記(1)〜(4) に記載の事項が判明した。
(1) 図24(a) に示す不等分割2°の多刃ボールエンドミル(本発明例2)においては、図24(c) に示す等分割例1と比較して、3分力の波形Fx、Fy、Fzともに微小な振幅の変動は現れていなかった。これは、不等分割2°の多刃ボールエンドミル(本発明例2)には共振によるビビリ振動が発生していなかったと判断することができる。
(2) 図24(b) に示す不等分割4°の多刃ボールエンドミル(本発明例3)においても、上記(1) と同様に共振によるビビリ振動が発生していなかったと判断することができる。
(3) 図24(d) に示す等分割例2の多刃ボールエンドミルにおいては、図24(c) に示す等分割例1と同様に、3分力の波形Fx、Fy、Fzともに微小な振幅の変動が現れていた。これにより、等分割例2の多刃ボールエンドミルにおいても共振によるビビリ振動が発生したと判断することができる。
(4) 上記(1)〜(3) により、本発明の多刃ボールエンドミルの先端部に形成するボール刃を、不等分割で配置すると共振によるビビリ振動発生の抑制に有効であると判断できる。不等分割の角度の差(角度の最大値と最小値の差)を大きくすると切削抵抗の変動が大きくなって共振によるビビリ振動が発生するので、4枚刃から構成された本発明のボールエンドミルの場合、不等分割の角度の差、すなわち、90°からの角度差の上限は5°程度にすることが望ましい。
実験例1〜5において4枚刃のボールエンドミルについて説明したが、3枚刃又は5〜6枚刃のボールエンドミルも同様の効果を発揮すると考えられる
また、本発明の多刃ボールエンドミルは、切れ刃部の直径Dが1〜30 mm程度の範囲までの多刃ボールエンドミルに実用化が可能である。そして、各ボール刃の逃げ角及びすくい角、中低勾配刃の逃げ角及びすくい角は、被削材の硬度、切れ刃部の直径D等に応じて、前記した範囲内の適切な値に設定する
本発明により、特に焼入れ鋼などの高硬度の難削材について、高送り荒加工を実施しても長寿命を得られる多刃ボールエンドミルを提供することができる。また、一般的な鋼材を切削したときにおいても、多刃ボールエンドミルの特有の問題である回転軸心近傍の切削性を改善することにより、ボール刃や中低勾配刃の欠損及びチッピングを抑制し、先端部を用いた切削加工を安定して行うことができる。本発明は、特に金型の切削加工における荒加工の工程に好適である。
1、1a:多刃ボールエンドミル
2:シャンク部
3:切れ刃部
4:切屑排出溝
5:外周刃
6a、6b、6c、6d:ボール刃
7a、7b、7c、7d:ギャッシュ
7b1、7c1、7d1:ギャッシュの溝底
8a、8b、8c、8d:中低勾配刃
8a1、8b1、8c1、8d1:凹曲線状中低勾配刃
8a2、8b2、8c2、8d2:直線状中低勾配刃
9a、9b、9c、9d:ボール刃の逃げ面
10a、10b、10c、10d:中低勾配刃の逃げ面
11a、11b、11c、11d:ボール刃のすくい面
12a、12b、12c、12d:中低勾配刃のすくい面
13:窪み部
14a、14b、14c、14d:ボール刃の逃げ面とギャッシュとの稜線
15a、15b、15c、15d:ボール刃の逃げ面と中低勾配刃の逃げ面との境界線
16a、16b、16c、16d:凹状曲面部
A:多刃ボールエンドミルの回転方向
C:回転軸心の近傍範囲
D:切れ刃部の直径
K:凹曲線状中低勾配刃の端部
L:全長
O:多刃ボールエンドミルの回転軸心
P1、P2、P3、P4:回転軸心の近傍位置
W1:ボール刃の逃げ面の回転方向幅
W2:中低勾配刃の逃げ面の回転方向幅
l:刃長
t:窪み部の幅
α:中低勾配刃の傾斜角度
γ1:ボール刃のすくい角
γ2:中低勾配刃のすくい角
X:中低勾配刃の幅
X1:凹曲線状中低勾配刃の幅
a:凹曲線状中低勾配刃の中央に位置する点
a1:凹曲線状中低勾配刃において最も回転方向の後方側に位置する点
h:凹曲線状中低勾配刃の幅の20%以上40%以下の範囲となる区間

Claims (6)

  1. 回転軸心を中心として回転するシャンク部と、先端部にボール刃を有する3枚以上の切れ刃を有する切れ刃部とを具備する多刃ボールエンドミルであって、
    前記先端部の回転軸心の近傍で各ボール刃の先端から前記回転軸心まで中低勾配刃が延在しており、
    各中低勾配刃は前記回転軸心と直交する面に対して前記シャンク部の側に0.5°以上3°以下傾斜しており、
    各中低勾配刃の少なくとも前記回転軸心側の部分は回転方向後方に凹んだ曲線状であることを特徴とする多刃ボールエンドミル。
  2. 請求項1に記載の多刃ボールエンドミルにおいて、各中低勾配刃が前記回転軸心側に設けた回転方向後方に凹んだ曲線状中低勾配刃と、前記ボール刃側に設けた直線状中低勾配刃とからなり、かつ回転軸心方向平面視において前記凹曲線状中低勾配刃の半径方向幅が前記直線状中低勾配刃の半径方向幅より大きいことを特徴とする多刃ボールエンドミル。
  3. 請求項2に記載の多刃ボールエンドミルにおいて、各中低勾配刃が前記凹曲線状中低勾配刃のみからなることを特徴とする多刃ボールエンドミル。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の多刃ボールエンドミルにおいて、各中低勾配刃の半径方向幅Xが前記切れ刃部の直径Dの1.25%以上3.75%以下であることを特徴とする多刃ボールエンドミル。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の多刃ボールエンドミルにおいて、前記中低勾配刃の前記凹曲線状中低勾配刃の回転方向最後点a1が前記凹曲線状中低勾配刃の半径方向幅X1の半分となる位置aより回転軸心側にあることを特徴とする多刃ボールエンドミル。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の多刃ボールエンドミルにおいて、4枚の切れ刃を具備することを特徴とする多刃ボールエンドミル。
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