JP2011073129A - 穴あけ用ドリル - Google Patents

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Abstract

【課題】穴あけを行いつつ、穴加工を行うことで、工作物に無垢の状態から内周壁面粗さの良好な穴を形成することが可能な穴あけ用ドリルを提供する。
【解決手段】ランドのヒール側に第2副溝を設けて、この第2副溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記刃先部の先端逃げ面との交差稜線部に第2副刃を形成し、前記主切刃と前記第2副溝の間に第1副溝を設けて、この第1副溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記刃先部の先端逃げ面との交差稜線部に第1副刃を形成し、かつ、前記主切刃の主切刃径方向すくい角θ1を−25°≦θ1≦−5°、前記第1副刃の第1副刃径方向すくい角θ2を0°<θ2≦20°、及び前記第2副刃の第2副刃径方向すくい角θ3を−40°≦θ3<0°の範囲とするのが良い。
【選択図】図2

Description

本発明は、良好な内周面粗さの穴を穿設するのに適した穴あけ用ドリルに関する。
ドリルには、穴加工用ドリルと穴あけ用ドリルがある。穴加工用ドリルとは、あらかじめ工作物に設けられた穴を加工するための穴加工工具の一つであり、例えば鋳抜き穴は、鋳物の材料使用量を低減するために設けるものであり、所定の穴寸法に対して仕上げ代を持たせ、鋳造を行うときにあらかじめ形成されるが、穴位置に対して加工穴が偏心することが多い。このため、穴加工用ドリルなどを用いて所定の内径寸法や良好な内周面粗さをもつ穴加工を行っている。
穴あけ用ドリルとは、工作物に穴を穿設するためのドリルであり、ツイストドリルが挙げられる。
一方、上記穴加工用ドリルでは加工ができないような穴あけ加工、すなわち、工作物に無垢の状態から所定の内径寸法で良好な内周面粗さの穴を穿設する穴あけ加工の要望は極めて多い。しかし、無垢の状態から内周面粗さの良好な穴を加工する場合、穴あけ用ドリルを用いた穴加工後にリーマで仕上げ加工を行うという、2つの工程で加工するのが一般的な方法であった。このため、加工コストを低減すべく、リーマ加工の工程を省略し、1工程で良好な内周面粗さを持つ穴を加工できる工具が求められている。
これらの問題に対して、工作物に無垢の状態から所定の内径寸法で良好な内周面粗さの穴を穿設する手段として、いくつかの提案がなされている。
特許文献1には、鋳抜き穴を加工する穴加工用ドリルとして、鋳抜き穴と工具の芯ずれが生じても、ドリル本体の外周部に設けられた粗切刃が180°以上の先端角を有しているため、加工開始時の片刃加工を防止することができ、ドリルの加工状態を安定させ、加工精度を向上することができることが開示されている。
また、特許文献2には、鋳抜き穴を加工する穴加工用ドリルとして、工具本体の外周部に切刃と切刃よりわずかに大きな径を持つ仕上げ刃が等間隔に3箇所設けられており、切刃における径方向のすくい角が正であり、前記仕上げ刃における径方向のすくい角が0°または負であることにより、鋳抜き穴の中心とドリルの軸心にずれが生じるような鋳抜き穴の加工においても、ドリルによる穴あけ加工とリーマによる仕上げ加工の2工程を経る必要がなく、一度に位置のずれた鋳抜き穴を正確な位置に開け直しつつ滑らかな仕上げ面に仕上げることができることが開示されている。
特許文献3には、ランドに3箇所のマージンを設けることで、各マージンの幅を小さく設定したとしても、穴の内周面に周接する領域を不用意に増大させることなく、刃先部を安定してガイドすることができ、内壁面精度を向上させることが出来る穴あけ用ドリルが開示されている。
特開2002−370113号公報 特開2008−188682号公報 特開2005−177891号公報
無垢の状態の工作物に穴あけ用ドリルで良好な内周面粗さを持つ穴あけを行う場合、加工中に工具(ドリル)の振れが発生するため、振れを抑制しつつ穴あけをして、内壁面粗さを向上させるよう穴加工を行うなどの工夫が必要である。上述したように、特許文献3には、ランドに3箇所のマージンを小さく設けることで刃先部を安定させ、内周面精度を向上することができる技術が記載されているが、本発明者の検討によれば、マージンを設けるだけでは、リーマで仕上げ加工を行ったときと同等程度の内周面粗さをもつ穴あけを行うことが難しいことが判った。
本発明は、鋳抜き穴の加工のようにあらかじめ設けられた穴を加工する穴加工用ドリルとは異なるものであって、穴あけを行いつつ、穴加工を行うことで内周壁面粗さの良好な穴を工作物に形成することができる穴あけ用ドリルを提供することを目的とするものである。
本発明は、軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分に刃先部の先端部分にある主切刃からシャンク部の方向に向かって延設された切屑排出溝とランドを有する刃先部が形成され、刃先部の先端部分に主切刃を有する穴あけ用ドリルにおいて、前記ランドのヒール側に第2副溝を設けて、この第2副溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記刃先部の先端逃げ面との交差稜線部に第2副刃を形成し、前記主切刃と前記第2副溝の間に第1副溝を設けて、この第1副溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記刃先部の先端逃げ面との交差稜線部に第1副刃を形成し、かつ、前記主切刃の主切刃径方向すくい角θ1を−25°≦θ1≦−5°、前記第1副刃の第1副刃径方向すくい角θ2を0°<θ2≦20°、及び前記第2副刃の第2副刃径方向すくい角θ3を−40°≦θ3<0°の範囲としたことを特徴とするものである。
上記構成の本発明において、主切刃は穴あけを行う切刃であり、切屑排出溝は主切刃による穴あけ作用で生成される切屑を排出するために設けてあり、主切刃には、刃先の強度を保ちつつ切れ味を持たせるために、主切刃径方向すくい角θ1を−25°≦θ1≦−5°で設けてある。
第1副刃は、中仕上げ切削加工を行うための穴加工用の切刃であり、主切刃で加工された穴の内周面をさらに微小量切削加工することで内周面粗さを良好にするために第2副刃径方向すくい角θ2を0°<θ2≦20°として、切れ味を持たせてある。第1副溝は、第1副溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と先端逃げ面との交差稜線部を構成させ、該交差稜線部に前記第1副刃を形成するために設けるものであるが、第1副刃で生成される切屑を排出させるという効果も持つ。第1副刃は、主切刃で生ずる削り残しを加工するためのものであり、切削量が少ないので第1副溝の断面積は小さくて良い。
第2副刃は、内周面に擦らせることで仕上げ加工を行うための穴加工用の切刃であり、内周面への食い込みを防ぎ面粗さを向上させるため、第2副刃径方向すくい角θ3を−40°≦θ3<0°とする。第2副溝は、第2副溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と刃先部先端逃げ面とで交差稜線部を構成させ、該交差稜線部に前記第1副刃を形成するために設けるものであり、第2副刃で生成される切屑などを排出させる効果もある。
本発明の穴あけ用ドリルにおいて、穴あけ用ドリルのランドの幅をランド幅L、前記第1副溝の第1副溝幅をFw1、及び前記第2副溝の第2副溝幅をFw2とするとき、第1副溝の幅Fw1をランド幅Lに対し0.3L≦Fw1≦0.46L、及び第2副溝の幅Fw2をランド幅Lに対し0.3L≦Fw2≦0.46Lの範囲とした。この範囲であれば、切削抵抗を上昇させることなく第1副刃で中仕上げを行い、第2副刃を内周面に擦らせる効果を得ることができる。
本発明の穴あけ用ドリルにおいて、ランドに設けられる第1マージン、第2マージン及び第3マージンの幅を等しくした。各々のマージンの幅を等しく設けることで、切削抵抗を適切に分散させることができるため、切削中の工具の振れを抑制する効果が期待できる。
本発明の穴あけ用ドリルにおいて、ランドへ設ける第2マージンの幅を、第1マージンの幅及び第3マージンの幅より小とした。第2マージンの幅を小さくすることで、中仕上げ切削加工を行う第1副刃の切れ味を向上させる効果が期待できる。
本発明の穴あけ用ドリルにおいて、第3マージンの幅を、第1マージンの幅及び第2マージンの幅より大とした。第3マージンの幅を大きくすることで第2副刃の擦れによる内周面の仕上げ効果の向上が期待できる。
本発明の穴あけ用ドリルにおいて、穴あけ用ドリルの直径をドリルの直径Dとするとき、第1副溝深さH1をドリルの直径Dに対して0.02D≦H1≦0.2D、及び第2副溝深さH2をドリルの直径Dに対して0.02D≦H2≦0.2Dの範囲とした。この範囲であれば、工具の剛性を損なうことなく、第1副刃や第2副刃で生成される切屑を良好に排出することができる。
本発明によれば、工作物に切削加工で穴を穿設する場合に、穴あけで発生する工具の振動やふらつきによる削り残しを、第1副刃により穴加工することで除去しつつ、第2副刃の外周部を内周面に周接させて、内周面に形成された傷を擦ることで除去し、内壁面粗さを向上させることができるため、穴あけ加工のみで内周壁面粗さの良好な穴を工作物に成形することができる。また、穴あけ後に穴加工工具を用いた穴加工を行う必要がなくなるため、穴加工の工程を省略することができ、加工のコストを削減することができる。
本発明の一例に係る穴あけ用ドリルの一例の側面視図を示す。 本発明の一例に係る穴あけ用ドリルの一例の正面図を拡大した図を示す。 図1に示した刃先部の先端部分の拡大説明図を示す。 図3におけるA−A´断面図を示す。 図3におけるB−B´断面図を示す。 図3におけるC−C´断面図を示す。 真円度測定器を用いて測定した、加工穴の真円度図形と位置のずれの一例を示したモデル図を示す。 本発明のドリルによる加工中の工具の挙動の一例を示す。 図3におけるD−D´断面図を示す。 第1副溝および第2副溝の形状がU字形である本発明によるドリルの正面図を拡大した図を示す。
上述したように本発明は、穴あけを行いつつ穴内周面の穴加工を行うことで、内周面粗さの良好な穴を工作物に形成することができる工具であり、周方向に主切刃と2枚の副刃の3枚を一組とする刃部を有し、主切刃で穴あけ(荒加工)を行い、第1副刃で中仕上げ加工、第2副刃で仕上げ加工を行うように構成したものである。
図1に本発明の一例に係る穴あけ用ドリルの一例の側面視図を示す。ドリル本体1は、超硬合金等の硬質材料からなり、回転軸線Oを中心軸とする略円柱状に形成されており、その先端側部分には刃先部2が形成され、後端側部分は工作機械の回転軸に把持されるシャンク部3となっている。刃先部2には、刃先部2の先端部分にある主切刃7からシャンク部3の方向に向かって一定のねじれ角でねじれた切屑排出溝5が回転軸心Oに対して延設形成されている。
図2に本発明の一例に係る穴あけ用ドリルの正面図を拡大した図を示す。図2に示すように本発明には主に切屑排出溝5、ランド6及び主切刃7から構成され、ランド6には第1副溝8、第2副溝11、第1マージン14、第2マージン15及び第3マージン16が設けられている。主切刃7の外周のコーナー付近は直線となっている。第2副溝11は前記ランド6のヒール側に設けられ、第2副溝11にある第2副溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面12と先端逃げ面4との交差稜線部には第2副刃13が形成されている。さらに前記主切刃7と前記第2副溝11の間に第1副溝8を設けて、第1副溝8にある第1副溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面9と先端逃げ面4との交差稜線部には第1副刃10が形成されている。
図3は、図1に示した刃先部の先端部分の拡大説明図である。本発明のドリルはオイルホール17が設けられていることが望ましい。また、図3に示すようにオイルホール17は切屑排出溝5と同じねじれ角にて設けることが望ましい。
図4は、図3におけるA−A´断面図であり、点Mを通り回転軸心Oに直角な断面を示す図である。図4の斜線は断面を示す。図4に示すように、本発明において、主切刃7の主切刃径方向すくい角θ1は、主切刃7の外周のコーナーを示す点Mと回転軸心Oとを結ぶ直線18と、主切刃の延長線19のなす角度である。主切刃径方向すくい角θ1は、−25°≦θ1≦−5°の範囲で設ける。
主切刃7には、穴あけ加工時において、径方向の切削範囲が広いため大きな切削抵抗がかかるが、主切刃径方向すくい角θ1がこの範囲であれば、十分に刃先の強度を維持しつつ切れ味を持たすことができるため、良好に切削を行うことができる。主切刃径方向すくい角θ1が−5°より大きい場合には、切削抵抗を軽減することは出来るものの刃先の強度が不十分なためチッピングが発生する。また、主切刃径方向すくい角θ1が−25°より小さいと、切削抵抗の増大により安定して穴あけを行うことができず、加工面の内周面粗さを著しく損ない、第1副刃及び第2副刃で穴加工を行っても良好な加工面の内周面粗さを得ることができない。
図5は、図3におけるB−B´断面図であり、点Nを通り回転軸心Oに直角な断面を示す図である。図5の斜線は断面を示す。図5に示すように、本発明において、第1副刃10の第1副刃径方向すくい角θ2は、第1副刃の外周のコーナーを示す点Nと回転軸心Oとを結ぶ直線20と、第1副刃の延長線21のなす角度である。第1副刃径方向すくい角θ2は、0°<θ2≦20°の範囲で設ける。
この範囲であれば、切刃の強度を維持しつつ、主切刃で形成された加工穴の内周面を切削することで、第2副刃で仕上げ加工できる程度まで良好な面粗さに加工することができる。第1副刃径方向すくい角θ2が0°以下の場合には、切刃の強度は十分に確保できるものの、切れ味が不足するため、第2副刃で仕上げ加工を行えるほどの十分な加工穴の内周面粗さを得ることができない。また、第1副刃径方向すくい角θ2が20°より大きいと切刃の強度が不足するためチッピングが発生するため、良好な加工面の内周面粗さを得ることができない。
図6は、図3におけるC−C´断面図であり、点Pを通り回転軸心Oに直角な断面を示す図である。図6の斜線は断面を示す。図6に示すように、本発明において、第2副刃13の第2副刃径方向すくい角θ3は、第2副刃13の外周のコーナーを示す点Pと回転軸心Oとを結ぶ直線22と、第2副刃の延長線23のなす角度である。第2副刃径方向すくい角θ3は、−40°≦θ3<0°の範囲で設ける。
この範囲であれば、第1副刃の加工で発生する加工面の内周面での微小なむしれや切り残しを除去することができ、擦れの効果で加工穴の内周壁面粗さを良好な状態に仕上げ加工することができる。第2副刃径方向すくい角θ3が−40°より小さい場合、むしれや削り残しを加工する際に生成される切屑が第2副刃13と加工穴の内周壁面との間に噛み込み、良好な内周壁面粗さを得ることができない。第2副刃径方向すくい角θ3が0°以上である場合、第2副刃13で穴加工を行ったときに発生する内壁面のむしれやわずかな切り残しを除去する際に、すくい角の作用で内周面へ食い込むため、内壁面あらさを損なうこととなる。
図7は、真円度測定器を用いて測定した、加工穴の真円度図形と位置のずれの一例を示したモデル図である。図7に示すように、一般的な穴あけ用ドリルによる加工穴の形状は、穴あけ用ドリルによる加工穴形状25のような形状となる。この形状は位置のずれの無い真円26に対し、加工穴の形状が歪んだひずみ円となっている。これは一般的な穴あけ用ドリルでの穴あけ時には、工具の回転軸心が、回転軸心の軌跡24に示すような振れ回りを起こすためである。この穴あけ用ドリルによる加工穴形状25のような歪んだひずみ円は、ドリルが送りにより工作物に入っていくのに伴い、角数の多いひずみ円に落ち着くが、必ず断面位置により位相差があり、削り残しが発生していると考えられる。
図8は本発明のドリルによる加工中の工具の挙動の一例を示す。本発明のドリルが最初にドリルの基準の位置27にある場合、ドリルの基準の位置27から工具回転方向へ40°回転したときには、本発明のドリルは点線で示されるように工具回転方向へ40°回転したときのドリルの位置28に回転移動する。その際、ドリルが最初にドリルの基準の位置27にあるときの回転軸心Oは、回転軸心Oの軌跡24を通り工具回転方向へ40°回転したときの回転軸心O´に移動する。
ここでドリルが、ドリルの基準の位置27にあるときの主切刃7及び第1副刃10で切削した時の削り残しは、工具回転方向へ40°回転したときの第1副刃29及び工具回転方向へ40°回転したときの第2副刃30により除去することが可能となる。
このように、ドリルを用いた穴あけでは、工具の振れ回りが発生するが、本発明による穴あけ用ドリルは、第1副刃及び第2副刃を有しているために、例えば図8に示すように、回転軸心Oの軌跡24のような工具の回転軸心の振れ回りが発生した場合でも、主切刃と同じ円周上の回転方向後方側に設けられた第1副刃、第2副刃においても削り残しを切削する作用を持つために、加工穴の内周面粗さを良好に加工することができるものと考えられる。
図9は、図3におけるD−D´断面図であり、先端近傍における先端逃げ面以外の任意の点を通り、回転軸心Oに直角な断面を示す図である。図9の斜線は断面を示す。図9に示すように、本発明の穴あけ用ドリルは、ランド6の円周長さをランド幅Lとするとき、第1副溝の円周長さである第1副溝の幅Fw1をランド幅Lに対し0.3L≦Fw1≦0.46Lの範囲に設け、第2副溝の円周長さである第2副溝の幅Fw2をランド幅Lに対し0.3L≦Fw2≦0.46Lの範囲に設ける。
この範囲であれば、第1マージン14、第2マージン15及び第3マージン16をランド幅Lに対し適切な幅に設けることができるため、切削抵抗を上昇させることなく、第1副刃で中仕上げを行い、第2副刃を内周面に擦らせることで加工穴の内周面の粗さを向上させることができる。第1副溝の幅Fw1及び第2副溝の幅Fw2が0.3L未満の場合、第1マージン14、第2マージン15及び第3マージン16が大きくなり、切削抵抗が大きくなるため切削中の振動が大きくなり内周面の粗さを損なう可能性がある。第1副溝の幅Fw1及び第2副溝の幅Fw2が0.46Lを超える場合、第1マージシ14、第2マージン15及び第3マージン16が小さくなり、マージンの強度が不足するためマージンのチッピングが発生する可能性がある。
本発明の穴あけ用ドリルにおいて、ランドに設けられる第1マージン、第2マージン及び第3マージンの幅を等しくすることが好ましい。各々のマージンの幅を等しく設けることにより切削抵抗を適切に分散させることで、切削抵抗により発生する加工中の振動の部分的な集中を抑制し、加工穴の内周面の粗さの向上が期待できる。
本発明の穴あけ用ドリルにおいて、ランドに設けられる第2マージンの幅を、第1マージンの幅及び第3マージンの幅より小とすることも同様に好ましい。第2マージンの幅を小さくすることで、中仕上げ切削加工を行う第1副刃の切れ味を向上させることができ、第1副刃の加工で発生する微小な内周面のむしれや切り残しを小さくすることで、第2副刃の擦れによる仕上げの効果が高まるため加工穴の内周面の粗さの向上が期待できる。
本発明の穴あけ用ドリルにおいて、第3マージンの幅を、第1マージンの幅及び第2マージンの幅より大とすることも同様に好ましい。第3マージンの幅を大きくすることで、加工穴の内周面に擦らせることで仕上げ加工を行うための刃である第2副刃の効果の向上が期待できる。
図9に示すように、ドリルの直径Dを直径として円を描いたとき、その円はドリルの直径Dによる円31で表される。本発明の穴あけ用ドリルにおいて、第1副溝の径方向の深さである第1副溝深さH1をドリルの直径Dに対し0.02D≦H1≦0.2Dの範囲に設けることが好ましい。第2副溝の径方向の深さである第2副溝深さH2はドリルの直径Dに対し0.02D≦H2≦0.2Dの範囲に設けることが好ましい。この範囲であれば、工具の剛性を損なうことなく、第1副刃や第2副刃で生成される切屑を良好に排出することができるため、切屑の噛み込みによる加工穴の内周面の粗さの低下を抑える効果が期待できる。
本発明の穴あけ用ドリルにおいて、第1副溝8及び第2副溝11の形状は、図2に示すようにドリルの回転軌跡と同心円状としても良い。図10に第1副溝及び第2副溝の形状がU字形である本発明の正面図を拡大した図を示す。図10に示すように、第1副溝8及び第2副溝11の形状はU字形としても良い。
以下、本発明を下記の実施例により詳細に説明するが、それらにより本発明が限定されるものではない。実施例に用いるドリルはすべて試料番号で管理し、従来例と本発明例及び比較例の種別にかかわらず通し番号で管理した。
(実施例1)
従来例1、従来例2及び本発明例3として、代表的な従来例である汎用の穴あけ用ドリルと、本発明の穴あけ用ドリルの比較を行った。従来例1、従来例2及び本発明例3ともに、工具本体を通してクーラントを供給するためのオイルホールを有し、ドリルの直径を6.0mm、全長を100mm、溝長を50mm、切屑排出溝のねじれ角を30°、心厚を1.5mm、溝幅比を52%、シャンク径を6.0mm、主切刃径方向すくい角θ1を−15°に設け、ドリルの母材はWCの平均粒径が0.8μm以下、Co量は12質量%の超微粒子超硬合金とし、AlCrN膜を被覆した状態に仕様を統一した。
従来例1として、前記仕様に加え、主切刃の外周のコーナー付近に幅0.30mmのマージンを設け、切屑排出溝の回転方向後方側に隣接する幅0.30mmのマージンを設けたドリルを作製した。
従来例2として、前記仕様に加え、主切刃の外周のコーナー付近に幅0.30mmのマージンを設け、切屑排出溝の回転方向前方側に隣接する幅0.30mmのマージンを設け、さらに2つのマージンの中間に幅0.30mmのマージンを設け、3箇所のマージンを設けたドリルを作製した。
本発明例3として、前記仕様に加え、第1副刃径方向すくい角θ2を10°とした第1副刃を設け、さらに第2副刃径方向すくい角θ3を−20°とした第2副刃を設けたドリルを作製した。第1副刃は、主切刃と第2副刃の中間の位置に設けた。また、第1副溝の幅Fw1をランド幅Lに対して0.35L、第2副溝の幅Fw2をランド幅Lに対して0.35L、第1マージンの幅を0.40mm、第2マージンの幅を0.40mm、第3マージンの幅を0.40mm、第1副溝深さH1をドリルの直径Dに対して0.10D、第2副溝深さH2をドリルの直径Dに対して0.10Dに設けた。
作製したドリルを用いて、切削試験を行った。試験条件として、被削材にはS50C(硬さが200HB)の長方形のブロック材を用意し穴加工を行った。横型マシニングセンターを使用し、切削条件を回転数3200min−1(切削速度約60m/min)、一回転当たり送り量0.1mm/rev、穴あけ深さ24mm(ドリルの直径Dの4倍)の止まり穴の加工を行った。クーラントは、水溶性切削液を使用し、オイルホールを通して供給した。
評価方法として、1つの試料番号につき3本の工具を用いて、1本の工具で10穴の加工を行い、加工穴の内周面粗さを測定するために被削材を切断し、各々の穴について加工穴の入り口から10mm付近の工具の送り方向の最大高さ粗さの測定を行い、加工穴の内壁面の最大高さ粗さ平均値を算出し評価を行った。また、試験後の主切刃の状態を光学顕微鏡で観察した。評価基準として、最大高さ粗さ平均値は5.0μm以下で、なおかつ主切刃の状態が正常摩耗のものを良好とした。結果を表1に示す。
Figure 2011073129
その結果、本発明例3は従来例1及び従来例2と比較して、最大高さ粗さ平均値が5.0μm以下で、主切刃の状態も正常摩耗であり良好な結果となった。本発明例3は、加工中の工具の振れ回りによって生じる、主切刃の削り残しや傷を、第1副刃で切削して削り取り、第1副刃で加工を行った際に加工穴の内壁面に生じる微小なむしれや微小な削り残しを、第2副刃の切削と擦りの作用により加工を行った効果と考えられる。
(実施例2)
本発明例5〜9及び比較例4、10として、主切刃径方向すくい角θ1を変化させた場合の比較を行った。本発明例5〜9及び比較例4、10ともに、工具本体を通してクーラントを供給するためのオイルホールを有し、ドリルの直径を6.0mm、全長を100mm、溝長を50mm、切屑排出溝のねじれ角を30°、心厚を1.5mm、溝幅比を52%、シャンク径を6.0mmに設け、ドリルの母材はWCの平均粒径が0.8μm以下、Co量は12質量%の超微粒子超硬合金とし、AlCrN膜を被覆した。さらに第1副刃径方向すくい角θ2を10°とした第1副刃を設け、さらに第2副刃径方向すくい角θ3を−20°とした第2副刃を設けたドリルを作製した。第1副刃は、主切刃と第2副刃の中間の位置に設けた。また、第1副溝の幅Fw1をランド幅Lに対して0.35L、第2副溝の幅Fw2をランド幅Lに対して0.35L、第1マージンの幅を0.40mm、第2マージンの幅を0.40mm、第3マージンの幅を0.40mm、第1副溝深さH1をドリルの直径Dに対して0.10D、第2副溝深さH2をドリルの直径Dに対して0.10Dに設けた状態に仕様を統一した。
本発明例5〜9として、前記仕様に加え、主切刃径方向すくい角θ1をそれぞれ−5°、−10°、−15°、−20°、−25°としたドリルを作製した。
比較例4、10として、前記仕様に加え、主切刃径方向すくい角θ1を−3°、−27°としたドリルを作製した。試験条件、評価方法及び評価基準は実施例1と同様とした。結果を表2に示す。
Figure 2011073129
その結果、本発明例5〜9は最大高さ粗さ平均値が5.0μm以下で、主切刃の状態も正常摩耗であり良好な結果となった。比較例4は、最大高さ粗さ平均値が5.8μmであり、加工後に主切刃の状態を観察したところ外周コーナーに微小なチッピングが発生していた。原因としては、主切刃径方向すくい角θ1が−5°より大きいため、主切刃の強度が不足し、加工中の振動で微小なチッピングが発生したと考えられる。比較例10は、最大高さ粗さ平均値が10.7μmとなり、加工穴の内周面の粗さが悪化した。原因としては、主切刃径方向すくい角θ1が−25°より小さいため、切削抵抗の増大により加工中の振動が大きくなり、主切刃で加工を行った際に生じる削り残しや傷が大きくなり、第1副刃や第2副刃で十分に加工穴の内周面を加工することができなかったと考えられる。
(実施例3)
本発明例12〜16及び比較例11、17として、第1副刃径方向すくい角θ2を変化させた場合の比較を行った。本発明例12〜16及び比較例11、17ともに、工具本体を通してクーラントを供給するためのオイルホールを有し、ドリルの直径を6.0mm、全長を100mm、溝長を50mm、切屑排出溝のねじれ角を30°、心厚を1.5mm、溝幅比を52%、シャンク径を6.0mmに設け、ドリルの母材はWCの平均粒径が0.8μm以下、Co量は12質量%の超微粒子超硬合金とし、AlCrN膜を被覆した。さらに主切刃径方向すくい角θ1を−15°に設け、第2副刃径方向すくい角θ3を−20°とした第2副刃を設けたドリルを作製した。第1副刃は、主切刃と第2副刃の中間の位置に設けた。また、第1副溝の幅Fw1をランド幅Lに対して0.35L、第2副溝の幅Fw2をランド幅Lに対して0.35L、第1マージンの幅を0.40mm、第2マージンの幅を0.40mm、第3マージンの幅を0.40mm、第1副溝深さH1をドリルの直径Dに対して0.10D、第2副溝深さH2をドリルの直径Dに対して0.10Dに設けた状態に仕様を統一した。
本発明例12〜16として、前記仕様に加え、第1副刃径方向すくい角θ2をそれぞれ1°、5°、10°、15°、20°とした第1副刃を設けたドリルを作製した。
比較例11、17として、前記仕様に加え、第1副刃径方向すくい角θ2をそれぞれ0°、22°とした第1副刃を設けたドリルを作製した。試験条件、評価方法及び評価基準は実施例1と同様とした。結果を表3に示す。
Figure 2011073129
その結果、本発明例12〜16は最大高さ粗さ平均値が5.0μm以下で、主切刃の状態も正常摩耗であり良好な結果となった。比較例11は、最大高さ粗さ平均値が9.8μmと加工穴の内周面の粗さが悪化した。原因としては、第1副刃径方向すくい角θ2が0°以下であるため切れ味が不足し、加工穴の内周面のむしれや削り残しが大きくなり、第2副刃で十分に加工穴の内周面を加工することができなかったためと考えられる。比較例17は、最大高さ粗さ平均値が5.0μm以下であったが、加工後に主切刃の状態を観察したところ主切刃の外周コーナーに微小なチッピングが発生していた。これは第1副刃径方向すくい角θ2が20°より大きいため主切刃の強度が不足し、切削中の振動で主切刃の外周コーナーに微小なチッピングが発生したと考えられる。
(実施例4)
本発明例19〜23及び比較例18、24として、第2副刃径方向すくい角θ3を変化させた場合の比較を行った。本発明例19〜23及び比較例18、24ともに、工具本体を通してクーラントを供給するためのオイルホールを有し、ドリルの直径を6.0mm、全長を100mm、溝長を50mm、切屑排出溝のねじれ角を30°、心厚を1.5mm、溝幅比を52%、シャンク径を6.0mmに設け、ドリルの母材はWCの平均粒径が0.8μm以下、Co量は12質量%の超微粒子超硬合金とし、AlCrN膜を被覆した。さらに主切刃径方向すくい角θ1を−15°に設け、第1副刃径方向すくい角θ2を10°とした第1副刃を設けたドリルを作製した。第1副刃は、主切刃と第2副刃の中間の位置に設けた。また、第1副溝の幅Fw1をランド幅Lに対して0.35L、第2副溝の幅Fw2をランド幅Lに対して0.35L、第1マージンの幅を0.40mm、第2マージンの幅を0.40mm、第3マージンの幅を0.40mm、第1副溝深さH1をドリルの直径Dに対して0.10D、第2副溝深さH2をドリルの直径Dに対して0.10Dに設けた状態に仕様を統一した。さらに第2副刃径方向すくい角θ3を−20°とした第2副刃を設け、第2副刃径方向すくい角θ3を−1°、−5°、−20°、−35°、−40°とし、比較例18、24として第2副刃径方向すくい角θ3を0°、−42°とした以外は、本発明例3と同じ仕様で種々作製し、切削評価を行った。試験条件及び評価方法は実施例1と同様とした。結果を表4に示す。
本発明例19〜23として、前記仕様に加え、第2副刃径方向すくい角θ3をそれぞれ−1°、−5°、−20°、−35°、−40°とした第2副刃を設けたドリルを作製した。
比較例18、24として、前記仕様に加え、第2副刃径方向すくい角θ3をそれぞれ0°、−42°とした第2副刃を設けたドリルを作製した。試験条件、評価方法及び評価基準は実施例1と同様とした。結果を表4に示す。
Figure 2011073129
その結果、本発明例19〜23は最大高さ粗さ平均値が5.0μm以下で、主切刃の状態も正常摩耗であり良好な結果となった。比較例18は、最大高さ粗さ平均値が6.1μmと加工穴の内周面の粗さが悪化した。原因としては、第2副刃径方向すくい角θ3が0°以上であるため、切れ味が増すことで第2副刃が加工穴の内周面へ食い込むため、内周面粗さが悪化したと考えられる。比較例24は最大高さ粗さ平均値が7.2μmと加工穴の内周面の粗さが悪化した。また、主切刃を観察したところ、主切刃のすくい面に溶着が観察された。これは、第2副刃径方向すくい角θ3が−40°より小さいため、第2副刃により除去された微小なむしれが第2副刃と内周面の間に入り込むことで、第2副刃により除去された微小なむしれが第2副刃と加工穴の内周壁面との間に噛み込み、内周面粗さを悪化させたと考えられる。
(実施例5)
本発明例25〜37として、第1副溝の幅及び第2副溝の幅を変化させた場合の比較を行った。本発明例25〜37ともに、工具本体を通してクーラントを供給するためのオイルホールを有し、ドリルの直径を6.0mm、全長を100mm、溝長を50mm、切屑排出溝のねじれ角を30°、心厚を1.5mm、溝幅比を52%、シャンク径を6.0mmに設け、ドリルの母材はWCの平均粒径が0.8μm以下、Co量は12質量%の超微粒子超硬合金とし、AlCrN膜を被覆した。さらに主切刃径方向すくい角θ1を−15°に設け、第1副刃径方向すくい角θ2を10°とした第1副刃を設けたドリルを作製した。第1副刃は、主切刃と第2副刃の中間の位置に設けた。また、第1マージンの幅を0.40mm、第2マージンの幅を0.40mm、第3マージンの幅を0.40mm、第1副溝深さH1をドリルの直径Dに対して0.10D、第2副溝深さH2をドリルの直径Dに対して0.10Dに設けた状態に仕様を統一した。
本発明例25〜29として、前記仕様に加え、第2副溝の幅Fw2をランド幅Lに対して0.35Lとし、第1副溝の幅Fw1はランド幅Lに対してそれぞれ0.28L、0.30L、0.35L、0.46L、0.48Lとしたドリルを作製した。
本発明例30から33として、前記仕様に加え、第1副溝の幅Fw1をランド幅Lに対して0.35Lとし、第2副溝の幅Fw2はランド幅Lに対してそれぞれ0.28L、0.30L、0.46L、0.48Lとしたドリルを作製した。
本発明例34及び本発明例35として、前記仕様に加え、第1副溝の幅Fw1をランド幅Lに対して0.48Lとし、第2副溝の幅Fw2はランド幅Lに対してそれぞれ0.48L、0.28Lとしたドリルを作製した。
本発明例36及び本発明例37として、前記仕様に加え、第1副溝の幅Fw1をランド幅Lに対して0.28Lとし、第2副溝の幅Fw2はランド幅Lに対してそれぞれ0.28L、0.48Lとしたドリルを作製した。試験条件は実施例1と同様とした。評価方法として、1つの試料番号につき3本の工具を用いて、1本の工具で10穴の加工を行い、加工穴の内周面粗さを測定するために被削材を切断し、各々の穴について加工穴の入り口から10mm付近の工具の送り方向の最大高さ粗さの測定を行い、加工穴の内壁面の最大高さ粗さ平均値を算出し評価を行った。評価基準として、最大高さ粗さ平均値は5.0μm以下のものを良好とした。結果を表5に示す。
Figure 2011073129
その結果、本発明例25〜37は最大高さ粗さ平均値が5.0μm以下と良好な結果となった。特に、本発明例26〜28及び本発明例31、32は、最大高さ粗さが3.0μm以下となりきわめて良好であった。
(実施例6)
本発明例38〜43として、第1マージンの幅、第2マージンの幅及び第3マージンの幅を変化させた場合の比較を行った。本発明例38〜43ともに、工具本体を通してクーラントを供給するためのオイルホールを有し、ドリルの直径を6.0mm、全長を100mm、溝長を50mm、切屑排出溝のねじれ角を30°、心厚を1.5mm、溝幅比を52%、シャンク径を6.0mmに設け、ドリルの母材はWCの平均粒径が0.8μm以下、Co量は12質量%の超微粒子超硬合金とし、AlCrN膜を被覆した。さらに主切刃径方向すくい角θ1を−15°に設け、第1副刃径方向すくい角θ2を10°とした第1副刃を設け、さらに第2副刃径方向すくい角θ3を−20°とした第2副刃を設けたドリルを作製した。第1副刃は、主切刃と第2副刃の中間の位置に設けた。また、第1副溝の幅Fw1をランド幅Lに対して0.35L、第2副溝の幅Fw2をランド幅Lに対して0.35L、第1副溝深さH1をドリルの直径Dに対して0.10D、第2副溝深さH2をドリルの直径Dに対して0.10Dに設けた状態に仕様を統一した。
本発明例38として、前記仕様に加え、第1マージンの幅を0.40mm、第2マージンの幅を0.40mm、第3マージン幅を0.40mmとしたドリルを作製した。
本発明例39として、前記仕様に加え、第1マージンの幅を0.20mm、第2マージンの幅を0.20mm、第3マージン幅を0.20mmとしたドリルを作製した。
本発明例40として、前記仕様に加え、第1マージンの幅を0.35mm、第2マージンの幅を0.30mm、第3マージン幅を0.35mmとしたドリルを作製した。
本発明例41として、前記仕様に加え、第1マージンの幅を0.20mm、第2マージンの幅を0.15mm、第3マージン幅を0.20mmとしたドリルを作製した。
本発明例42として、前記仕様に加え、第1マージンの幅を0.35mm、第2マージンの幅を0.35mm、第3マージン幅を0.42mmとしたドリルを作製した。
本発明例43として、前記仕様に加え、第1マージンの幅を0.25mm、第2マージンの幅を0.25mm、第3マージン幅を0.32mmとしたドリルを作製した。
これらの工具を用いて切削評価を行った。試験条件、評価方法及び評価基準は実施例5と同様とした。結果を表6に示す。
Figure 2011073129
その結果、本発明例38〜43は最大高さ粗さ平均値が5.0μm以下となり良好な結果であった。マージンの幅がこの範囲であれば工具の十分にガイドされるとともに、切削抵抗が均等に分散されるためと考えられる。特に本発明例40及び本発明例42は最大高さ粗さ平均値が2.0μm以下となり特に良好な結果を示した。本発明例40は第1副刃の切れ味が向上するため第1副刃の削り残しや内周面のむしれが軽減されるため、第2副刃による仕上げの効果が高まったためと考えられる。
本発明例42は第2副刃の擦れの効果が高まるため、加工穴の内周壁の面粗さをより良好な状態に仕上げ加工することができると考えられる。
(実施例7)
本発明例44〜56として、第1副溝深さ及び第2副溝深さを変化させた場合の比較を行った。本発明例44〜56ともに、工具本体を通してクーラントを供給するためのオイルホールを有し、ドリルの直径を6.0mm、全長を100mm、溝長を50mm、切屑排出溝のねじれ角を30°、心厚を1.5mm、溝幅比を52%、シャンク径を6.0mmに設け、ドリルの母材はWCの平均粒径が0.8μm以下、Co量は12質量%の超微粒子超硬合金とし、AlCrN膜を被覆した。さらに主切刃径方向すくい角θ1を−15°に設け、第1副刃径方向すくい角θ2を10°とした第1副刃を設け、第2副刃径方向すくい角θ3を−20°とした第2副刃を設けたドリルを作製した。第1副刃は、主切刃と第2副刃の中間の位置に設けた。また、第1副溝の幅Fw1をランド幅Lに対して0.35L、第2副溝の幅Fw2をランド幅Lに対して0.35L、第1マージンの福を0.40mm、第2マージンの幅を0.40mm、第3マージンの幅を0.40mmに設けた状態に仕様を統一した。
本発明例44〜50として、前記仕様に加え、第2副溝深さH2をドリルの直径Dに対して0.10Dとし、第1副溝深さH1をドリルの直径Dに対してそれぞれ0.01D、0.02D、0.05D、0.10D、0.15D、0.20D、0.21Dとしたドリルを作製した。
本発明例51〜56として、前記仕様に加え、第1副溝深さH1をドリルの直径Dに対して0.10Dとし、第2副溝深さH2をドリルの直径Dに対してそれぞれ0.01D、0.02D、0.05D、0.15D、0.20D、0.21Dとしたドリルを作製した。試験条件および評価方法は実施例5と同様とした。結果を表7に示す。
Figure 2011073129
その結果、本発明例44〜56は最大高さ粗さ平均値が5.0μm以下であり良好な結果となった。特に、本発明例45〜49及び本発明例53、54は最大高さ粗さ平均値が2.5μm以下となりきわめて良好であった。これは第1副刃や第2副刃で生成される切屑が良好に排出され、工具の剛性も十分に保つことができるためと考えられる。
本発明の穴あけドリルは、ランドに第1副刃及び第2副刃を設けることにより、穴あけを行いつつ、穴加工を行うことで内周壁面粗さの良好な穴を工作物に形成することが可能である。そのため、工作物に無垢の状態から所定の内径寸法で良好な内周面粗さの穴を穿設する加工に適している。
1 ドリル本体
2 刃先部
3 シャンク部
4 先端逃げ面
5 切屑排出溝
6 ランド
7 主切刃
8 第1副溝
9 第1副溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面
10 第1副刃
11 第2副溝
12 第2副溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面
13 第2副刃
14 第1マージン
15 第2マージン
16 第3マージン
17 オイルホール
18 点Mと回転軸心Oを結んだ直線
19 主切刃の延長線
20 点Nと回転軸心Oを結んだ直線
21 第1副刃の延長線
22 点Pと回転軸心Oを結んだ直線
23 第2副刃の延長線
24 回転軸心Oの軌跡
25 穴あけ用ドリルによる加工穴
26 位置のずれの無い真円
27 ドリルの基準の位置
28 工具回転方向へ40°回転したときのドリルの位置
29 工具回転方向へ40°回転したときの第1副刃
30 工具回転方向へ40°回転したときの第2副刃
31 ドリルの直径Dによる円
O 回転軸心
O´ 工具回転方向へ40°回転したときの回転軸心
M 主切刃の外周のコーナー
N 第1副刃の外周のコーナー
P 第2副刃の外周のコーナー
θ1 主切刃径方向すくい角
θ2 第1副刃径方向すくい角
θ3 第2副刃径方向すくい角
L ランド幅
Fw1 第1副溝の幅
Fw2 第2副溝の幅
D ドリルの直径
H1 第1副溝深さ
H2 第2副溝深さ

Claims (6)

  1. 軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分に刃先部の先端部分にある主切刃からシャンク部の方向に向かって延設された切屑排出溝とランドを有する刃先部が形成され、刃先部の先端部分に主切刃を有する穴あけ用ドリルにおいて、
    前記ランドのヒール側に第2副溝を設けて、この第2副溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記刃先部の先端逃げ面との交差稜線部に第2副刃を形成し、前記主切刃と前記第2副溝の間に第1副溝を設けて、この第1副溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記刃先部の先端逃げ面との交差稜線部に第1副刃を形成し、
    かつ、前記主切刃の主切刃径方向すくい角θ1を−25°≦θ1≦−5°、前記第1副刃の第1副刃径方向すくい角θ2を0°<θ2≦20°、及び前記第2副刃の第2副刃径方向すくい角θ3を−40°≦θ3<0°の範囲としたことを特徴とする穴あけ用ドリル。
  2. 請求項1に記載の穴あけ用ドリルにおいて、前記穴あけ用ドリルのランドの幅をランド幅Lとするとき、第1副溝の幅Fw1をランド幅Lに対し0.3L≦Fw1≦0.46L、及び第2副溝の幅Fw2をランド幅Lに対し0.3L≦Fw2≦0.46Lの範囲としたことを特徴とする穴あけ用ドリル。
  3. 請求項2に記載の穴あけ用ドリルにおいて、第1マージン、第2マージン及び第3マージンの幅を等しくしたことを特徴とする穴あけ用ドリル。
  4. 請求項2に記載の穴あけ用ドリルにおいて、第2マージンの幅を、第1マージンの幅及び第3マージンの幅より小としたことを特徴とする穴あけ用ドリル。
  5. 請求項2または3に記載の穴あけ用ドリルにおいて、第3マージンの幅を、第1マーシンの幅及び第2マージンの幅より大としたことを特徴とする穴あけ用ドリル。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の穴あけ用ドリルにおいて、前記穴あけ用ドリルの直径をドリルの直径Dとするとき、前記第1副溝の第1副溝深さH1をドリルの直径Dに対して0.02D≦H1≦0.2D、及び前記第2副溝の第2副溝深さH2をドリルの直径Dに対して0.02D≦H2≦0.2Dの範囲としたことを特徴とする穴あけ用ドリル。
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