JP6089596B2 - エンドミル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
この種のエンドミルにおいては、切刃部が鋭利すぎると欠損が生じやすいので、切刃部には、長寿命化のために一般に砥石を使った研削加工によってチャンファーホーニング等を形成して、耐欠損性を向上させ、長寿命化を図っている。この場合、軸線を中心として回転する工具では、底刃の軸線に近い側と外周部に近い側とでは周速度が異なり、速度が速い外周部側ではチッピングなどを防ぐための耐欠損性が必要であり、速度が遅い軸線側では切削抵抗を小さくすることが必要となる。
近年では、金型の形状の複雑化や小型化に伴って直径2mm以下の小径のエンドミルの需要の増加が見込まれており、このような小径のエンドミルにおいては、特に切削抵抗の減少と、耐欠損性の向上を果たすことが重要となっている。
この場合、テーパ率が1/50未満では所望のホーニング面を得ることができず、1/20を超える角度では外周部側の抵抗と軸線側とでの抵抗が大きく異なって十分な強度が得られない。また、外周端のホーニング面の曲率半径が標準切り込み深さに対して1/2を超える場合、ホーニングによる抵抗が大きくなりすぎるため、同様に十分な強度が得られなくなる。
前述したように、金型の形状の複雑化や小型化に伴って直径2mm以下の小径のエンドミルの需要の増加が見込まれており、このような小径のエンドミルにおいては、従来の砥石を使った加工方法では、特に外周部側と軸線側との研削量を調整しながら研削することが難しいが、本発明の製造方法により、底刃の切削性を向上しつつその消耗を抑えた小径のエンドミルを提供することができ、複雑で小型化した金型等に適用して、その製作性を向上させることができる。
本実施形態のエンドミル1は、図1〜図4に示すように、軸線D回りに回転される工具先端部2に、一対の切刃部11が軸線Dを挟んで180°反対側に形成された2枚刃のスクエアエンドミルであり、工具先端部2の外径は、2mm以下の小径に設けられる。
図5に示すように、エンドミル1には円柱状のシャンク部3が設けられ、このシャンク部3の先端部が小径に形成され、その小径の首部4の先端に略円周状のチップ部5が接合された構成とされている。チップ部5は、首部4に接合される超硬合金部6と、その超硬合金部6に接続され、切刃部11が形成されるcBN焼結体、焼結ダイヤモンド等の工具先端部2とで構成されている。
この場合、外周刃12は、工具先端部2に周方向に180°離間して形成されたすくい面14と外周の逃げ面15とにより形成され、底刃13は、すくい面14と先端の逃げ面16とにより形成される。
この標準切り込み深さは、エンドミルの直径、被削材の種類、切削条件等によって定まるもので、例えば、焼入れ鋼(−55HRC)を切削する場合、直径0.5mmのエンドミルでは標準切り込み深さは10μm(回転速度50000mm−1、送り速度750mm/分)である。この条件では、テーパ率を1/50とすると、ホーニング面は、軸中心での曲率半径が0μm、外周端の曲率半径が5μmとなる。同じ被削材を直径2mmのエンドミルで切削する場合は、標準切り込み深さは40μm(回転速度20000mm−1、送り速度800mm/分)であり、ホーニング面は、軸中心での曲率半径が0μm、外周端の曲率半径が20μmとなる。
レーザ光源26は、190nm〜550nmの短波長のレーザ光を照射できる光源を使用することができ、例えば本実施形態では、波長355nmのレーザ光を発振して出射できるものを用いている。また、ガルバノスキャナ27は、素材保持機構24の真上に配置されている。
なお、加工対象の素材によってレーザの偏光状態を制御するとよい。例えば、cBN焼結体は、cBN(cubic Boron Nitride)の粒子とバインダとの複合材であり、約6eVと大きなバンドギャップをもつcBN粒子とバインダとの間に大きなバンドギャップ差がある。同様に、PCD(ダイヤモンド焼結体)は、ミクロンサイズの合成ダイヤモンドパウダーを高温高圧下で焼結して結合させたものであり、ダイヤモンドの微結晶と焼結時に必要な焼結助材の複合材であり、主に5.47eVと大きなバンドギャップをもつダイヤモンドと焼結助剤との間に大きなバンドギャップ差がある。このため、多光子吸収により加工させる場合であっても、s偏光ではレーザビームを入射すると吸収率の変動を大きくすることで、cBN粒子やダイヤモンド微結晶は加工がよりされにくくなり、加工後の表面起伏が安定しなくなるため、cBN焼結体やPCDでは特にラジアル偏光が本発明の効果を発揮する。
円柱状素材20を移動しながらレーザビームLを走査して、工具先端部2にギャッシュ及びすくい面14を形成するとともに、外周側の逃げ面15、先端側の逃げ面16をそれぞれ形成して、所定形状の外周刃12と底刃13とを形成する。
この底刃13を形成する方法についてさらに詳述すると、素材保持機構24における回転機構33の回転軸と円柱状素材20の軸線Dとを一致させ、且つ、ガルバノスキャナ27のx軸とも一致するように設置する。この状態でレーザビームLの断面強度分布が通常となる加工領域に円柱状素材20を移動させ、工具先端部2より不要部分をレーザビームLの走査によって除去しすくい面14と逃げ面16との形態形成を行う。その後、すくい面14と逃げ面16との間の稜線部にホーニング加工を施す。
このときのレーザビームLの照射の条件としては、工具先端部2のホーニング面17の曲率半径Rが、軸線D上から半径方向外方に向けて1/50以上1/20以下のテーパ率で変化し、外周端で標準切り込み深さの1/2以下になるようにする。
この場合、テーパ率が1/50未満では所望のホーニング面を得ることができず、1/20を超える角度では外周部側の抵抗と軸線側とでの抵抗が大きく異なって十分な強度が得られない。また、外周端のホーニング面の曲率半径が標準切り込み深さに対して1/2を超える場合、ホーニングによる抵抗が大きくなりすぎるため、同様に十分な強度が得られなくなる。
この連続的に異なる曲率半径のホーニング面17とすることにより、エンドミル1の寿命を飛躍的に向上させることができ、例えば従来品の1.5倍〜2倍の寿命を得ることができる。
なお、エンドミルの底刃は、前述したように半径方向に対して2°〜5°の角度(すかし角)θで傾斜しており、このため、直径0.5mm、すかし角θが5°のエンドミルでは、標準切り込み深さ10μmを切り込む際に、外周端から半径方向に114μmまでの範囲の底刃が実際の切刃として使用されることになる。この標準切り込み深さをカバーできる範囲までホーニング面が形成されていればよいとすると、外周端の曲率半径を前述したように5μmとし、外周端から半径方向に114μmの位置での曲率半径を0μmとすると、テーパ率は(5−0)/114≒1/20となる。角度θが5°より小さいとテーパ率は小さくなる。
図1(b)等ではホーニング面の曲率半径を単一半径として図示しているが、本発明は複数の円弧の連続形状となるものを含むものであり、その場合、底刃の半径方向外方に向けて全体的に曲率半径が大きくなるように加工すればよい。
また、本実施形態では、外周刃、底刃ともレーザ加工によって形成したが、底刃以外の形態はレーザ以外の方法によって加工することも可能である。
2 工具先端部
3 シャンク部
4 首部
5 チップ部
6 超硬合金部
11 切刃部
12 外周刃
13 底刃
14 すくい面
15,16 逃げ面
17 ホーニング面
20 円柱状素材
22 レーザ光照射機構
24 素材保持機構
25 制御部
26 レーザ光源
27 ガルバノスキャナ
31x〜31z ステージ部
32 旋回機構
33 回転機構
100 レーザ加工装置
Claims (2)
- 直径が2mm以下であり、底刃のすくい面と逃げ面との稜線部に、該稜線部の長さ方向と直交する断面が凸円弧状となるホーニング面が形成されるとともに、該ホーニング面の曲率半径が半径方向の外方に向かうにしたがって漸次大きく形成されており、前記ホーニング面の曲率半径は、軸線上から半径方向外方に向けて1/50以上1/20以下のテーパ率で変化し、外周端で標準切り込み深さの1/2以下であることを特徴とするエンドミル。
- 底刃のすくい面と逃げ面との稜線部に、断面の光強度分布が径方向の中心で大きく外周部で小さいガウシアン分布となるレーザビームを照射して、前記稜線部の長さ方向と直交する断面が凸円弧状となるホーニング面を加工するレーザ加工工程を有し、該レーザ加工工程における前記レーザビームの走査方向を前記底刃の半径方向外方に向かうにしたがってレーザビームの中心が前記稜線部より離れた位置から漸次稜線部にくい込む方向に傾斜させることを特徴とするエンドミルの製造方法。
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