JP2018039101A - 切削工具の製造方法及びホーニング面形成装置 - Google Patents

切削工具の製造方法及びホーニング面形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018039101A
JP2018039101A JP2017128402A JP2017128402A JP2018039101A JP 2018039101 A JP2018039101 A JP 2018039101A JP 2017128402 A JP2017128402 A JP 2017128402A JP 2017128402 A JP2017128402 A JP 2017128402A JP 2018039101 A JP2018039101 A JP 2018039101A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
laser beam
cutting edge
honing surface
honing
laser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017128402A
Other languages
English (en)
Inventor
拓矢 久保
Takuya Kubo
拓矢 久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to PCT/JP2017/030592 priority Critical patent/WO2018043352A1/ja
Publication of JP2018039101A publication Critical patent/JP2018039101A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】レーザを用いて曲線状の切れ刃を有する工具本体にホーニング面を形成する際に、工具本体を保持するステージの動作速度の影響により発生する、切れ刃の位置によるホーニング面の形状の変動やレーザ熱によるダメージを抑制する。
【解決手段】切れ刃の一部に曲線状切れ刃13を有する工具本体にレーザビームLを照射してホーニング面15を有する切削工具を製造する方法であって、レーザビームLを曲線状切れ刃13に対して離間接近する方向に旋回しながら曲線状切れ刃13に沿って相対移動させて走査し、その旋回軌道の一部で曲線状切れ刃13のホーニング面15を形成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、工具本体の切れ刃にレーザ加工によってホーニング面を形成する切削工具の製造方法及びホーニング面形成装置に関する。
切削工具では、切れ刃にホーニング面を形成することで刃先の強度を向上させる効果が一般に知られている。ホーニング面の形成には特許文献1や特許文献2のようにレーザを用いる方法が提案されており、通常の研削加工と比較して、砥石の摩耗による加工形状の変化が発生しないことや、ダイヤモンドなどの硬質材料に対しても高効率かつ高精度の加工が出来ること等の利点がある。
特許第4976576号 特許第3013448号
特許文献1や特許文献2の方法では、単純に切れ刃へ倣ったレーザビームの走査にてホーニング面を形成しているため、以下の理由で複雑な曲線形態の切れ刃へホーニング面を形成することが困難となる。
例えば、工具の先端部に取り付けられるインサートの切れ刃に一定形状のホーニング面を形成する場合、特許文献1の図1に示すようなx−y−zステージと2つの独立した回転軸でインサートを動かすことが可能な装置にて、レーザビームを特定の位置に照射した状態とし、このレーザビームに対してインサートを動かすことで切れ刃に倣ってレーザビームが走査されるように制御する方法が考えられる。
しかし、このような多軸のステージは比較的大型の装置となるため、ステージの慣性が大きく、インサートのノーズ部などの曲率の大きな箇所にてレーザビームが切れ刃に倣うことが難しく、オーバーランによる位置ずれが発生しやすくなる(図9(a)の二点鎖線参照)。そこで、曲率が大きな箇所ではステージの移動速度を十分に小さくする必要があるが、一般に、レーザ加工ではレーザビームの走査速度が小さくなると、ホーニング面の加工代、レーザビーム入射側のホーニング面の垂れ具合、照射部の蓄熱による熱変質層の増加などが生じる。このため、走査速度によりホーニング面の形態が異なるという問題がある。特に、ナノ秒レーザでは、熱変質層を最小化するためにはビームの走査速度は例えば100mm/s程度以上とすることが適切であるが、5軸のステージで1μm以下の位置精度を得るためには、1mm/s以下程度までステージ速度を落とす必要がある。一般に、パルス幅が100ps程度以下のレーザを用いれば熱影響の問題は低減されるが、ナノ秒レーザと比較して加工効率が低く、ビームの貫通力が低いために、ホーニング幅が大きく直進性の高いホーニング面を形成しにくいという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、レーザを用いて曲線状の切れ刃を有する工具本体にホーニング面を形成する際に、工具本体を保持するステージの動作速度の影響により発生する、切れ刃の位置によるホーニング面の形状の変動やレーザ熱によるダメージを抑制することを目的とする。
本発明の切削工具の製造方法は、切れ刃の一部に曲線状切れ刃を有する工具本体にレーザビームを走査して該切れ刃を構成するすくい面と逃げ面との交差稜線部にホーニング面を形成するホーニング面形成工程を有し、前記ホーニング面形成工程は、少なくとも前記曲線状切れ刃に前記ホーニング面を形成する際に、前記レーザビームを前記曲線状切れ刃に対して離間接近する方向に旋回しながら前記曲線状切れ刃に沿って相対移動させて走査し、その旋回軌道の一部で前記曲線状切れ刃の前記ホーニング面を形成する。
レーザビームを旋回しながら、その旋回軌道の一部で曲線状切れ刃のホーニング面を形成することにより、レーザビームの旋回軌道のうち、曲線状切れ刃のホーニング面を加工していない時間帯では、レーザビームが切れ刃から離間している。つまり、レーザビームが切れ刃に接触離間を繰り返しながら、その接触している間にホーニング面の加工を行うのであり、切れ刃には、レーザビームの接触離間により断続的に熱が作用する。このため、レーザビームが切れ刃から離間している間に、切れ刃に作用した熱が緩和され、従来のように連続して加工する場合に比べて切れ刃に対する熱的影響が大幅に少なくなる。したがって、レーザビームの走査速度は切れ刃(工具本体)に対する走査速度を変えずに、すなわちレーザビームの走査速度を一定にして切れ刃の移動速度を小さくすることが可能であり、ホーニング面の加工代、レーザビーム入射側のホーニング面の垂れ具合、ホーニング面における熱変質層などの変動を少なくすることができる。
本発明の切削工具の製造方法の好ましい実施形態では、前記ホーニング面形成工程において、前記レーザビームの旋回軌道の中心位置を、前記交差稜線部よりも外側に配置するとよい。
このように、レーザビームの旋回軌道の中心位置を交差稜線部よりも外側に配置することで、レーザビームを切れ刃に対して接触離間を繰り返しながら走査できる。したがって、切れ刃の移動速度によらず、レーザビームの走査速度を一定に維持しても、ホーニング面の加工代、レーザビーム入射側のホーニング面の垂れ具合、ホーニング面における熱変質層などの変動を少なくできる。
本発明の切削工具の製造方法の好ましい実施形態では、前記ホーニング面形成工程において、前記レーザビームの回転軌道の隣接する軌道のオーバーラップを70%以上とするとよい。
レーザビームのオーバーラップを70%以上とすることで、ホーニング面を凹凸のない滑らかな面に仕上げることができ、安定した切削性能を有する切削工具を製造できる。
本発明の切削工具の製造方法の好ましい実施形態では、前記ホーニング面形成工程において、前記レーザビームは、前記すくい面側から照射するとよい。
レーザビームをすくい面側から照射することで、ホーニング面とすくい面とを滑らかに接続して形成できる。このように、すくい面と滑らかに連続したホーニング面を形成しておくことで、切削工具の切れ刃の刃先先端のフレーキングやチッピングを低減でき、工具寿命を延ばすことができる。
本発明のホーニング面形成装置は、工具本体にレーザビームを照射して切れ刃にホーニング面を形成する装置であって、前記工具本体を保持して前記レーザビームに対する前記切れ刃の位置を移動可能な切れ刃保持機構と、前記切れ刃に前記レーザビームを照射するレーザ光照射機構とを有し、前記レーザ光照射機構は、前記切れ刃に対して離間接近する方向にレーザビームを旋回移動させる制御部を有している。
本発明によれば、工具本体の移動速度や加工すべき切れ刃の位置によらずに、切れ刃に対するレーザビームの走査速度を一定にして、ホーニング面の形態の変動を抑制することができ、高品質かつ高精度のホーニング面を形成することができる。
本発明のホーニング面形成装置の一実施形態を示す全体構成図である。 ホーニング面形成工程において、切れ刃に対してレーザビームを旋回移動している状態を模式的に示した斜視図である。 ホーニング面形成工程において、切れ刃に対するレーザビームの照射姿勢を示す模式図である。 ホーニング面形成工程において、インサートにホーニング面を形成する際のレーザビームとインサートとの位置関係の変化を示す模式図である。 超硬インサートについてのホーニング面形成例を示す写真であり、左側が従来方法による比較例、右側が本発明の方法を用いた実施例1を示す。 図5のホーニング面付近のSEM像であり、左側が比較例、右側が実施例1を示す。 ホーニング面付近をレーザ顕微鏡で計測して得た断面プロファイルであり、左側が比較例、右側が実施例1を示す 本発明の方法で形成したCVDダイヤモンド被覆ドリルのホーニング面のSEM像である。 (a)がコーナー切れ刃でのレーザビームのオーバーランを説明する模式図、(b)がコーナー切れ刃での加工代の増大を説明する模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
まず、ホーニング面形成装置について説明する。このホーニング面形成装置100は、図1に示すように、インサート(本発明の工具本体)10にレーザビームLを照射してインサート10を三次元加工してホーニング面を有するインサートを製造する装置である。ホーニング面形成装置100は、レーザビームLをパルス発振してインサート10に一定の繰り返し周波数で照射するレーザ光照射機構20と、インサート10を保持した状態で回転、旋回及びxyz軸方向にそれぞれ移動可能な工具保持機構30と、これらを制御する制御部40とを備えている。
工具保持機構30は、インサート10をx−y−zの各方向に並進運動でき、且つ旋回運動、及び自転運動できる機構を有している。具体的には、水平面に平行なx方向に移動なx軸ステージ部31xと、そのx軸ステージ部31x上に設けられx方向に対して直角で水平面に平行なy方向に移動可能なy軸ステージ部31yと、y軸ステージ部31y上に設けられ水平面に対して垂直方向に移動可能なz軸ステージ部31zと、z軸ステージ部上に設けられた旋回機構32と、旋回機構32に固定され、インサート10を保持可能なホルダ33を旋回機構32の旋回中心と直交する軸を中心に回転する回転機構34とを備える構成とされている。これら各ステージ部31x〜31z、旋回機構32、回転機構34の各駆動部は、例えばステッピングモータが用いられ、エンコーダにより位相をフィードバックすることができるようになっている。
レーザ光照射機構20は、QスイッチによりレーザビームLとなるレーザ光をパルス発振するレーザ発振機21と、レーザ光をスポット状に集光させる集光レンズ22と、集光レンズ22からのレーザビームLを走査するガルバノスキャナ等のビーム走査系23と、レーザビームLの照射位置を撮影するCCDカメラ等の撮影部24とを備えている。
レーザ発振機21は、190nm〜1100nmの短波長のレーザ光を照射できる光源を使用することができ、例えば本実施形態では、波長355nmのレーザ光を発振して出射できるものを用いている。また、ビーム走査系23は、工具保持機構30の真上に配置されている。
制御部40は、全体の動作を制御するもので、レーザビームLの旋回軌道の半径、旋回軌道におけるウェイト時間などを設定するプログラムを有している。
次に、このホーニング面形成装置100を使用してインサート10の切れ刃にホーニング面を形成した切削工具を製造する方法について説明する。本実施形態の切削工具の製造方法は、切れ刃の一部にコーナー切れ刃(曲線状切れ刃)を有するインサート10(切削工具)を用いて、このインサート10にレーザビームを走査して切れ刃を構成するすくい面と逃げ面との交差稜線部にホーニング面を形成するホーニング面形成工程を有する。以下では、本発明における曲線状切れ刃の例として、インサートのコーナー切れ刃を対象として説明する。
インサート10は、超硬合金等からなり、平面視が三角形、四角形等の多角形をした平板ブロック状に形成され、その上面がすくい面11、側面が逃げ面12とされ、すくい面11と逃げ面12との交差稜線部に切れ刃16が形成されている。また、インサート10は、切れ刃16の一部にコーナー切れ刃(曲線状切れ刃)13を有し、すくい面11における多角形の角部の稜線に、凸円弧曲線状のコーナー切れ刃13が形成されるとともに、このコーナー切れ刃13の両端に連なる多角形状の辺に相当する稜線に直線状切れ刃14が形成されている。
(ホーニング面形成工程)
このインサート10をホーニング面形成装置100の工具保持機構30に保持し、図3に示すように、レーザビームLがインサート10のすくい面11に対して斜めに照射されるように配置する。そして、レーザビームLを特定の位置に照射した状態とし、このレーザビームLに対して図4(a)から(c)に順に示すようにインサート10を移動しながら、撮影部24で読み取った切れ刃13,14の輪郭形状に倣ってレーザビームLを相対移動させ、レーザビームLが切れ刃13,14に沿って走査されるようにする。このとき、ビーム走査系23を用いて図2に示すようにレーザビームLを一定速度で円軌道を描くように旋回移動し、その旋回軌道の一部がインサート10の切れ刃13,14に接するように設定する。
具体的には、図3に示すように、レーザビームLの旋回軌道の中心位置Gが加工すべき切れ刃13,14の稜線よりも外側に配置されるようにする。つまり、この旋回軌道の中心位置Gと切れ刃13,14の稜線との距離をHとし、旋回軌道の円の半径をrとすると、r≧H≧0の関係となるように設定する。
また、図示は省略するが、パルス発振されるレーザビームLの照射点における隣接するパルス照射点のオーバーラップJは50%以上とするのが良い。このオーバーラップJとは、パルスビームを掃引した際に、パルス間で隣接するビームスポットの中心間距離をAとし、ビームスポットの半径をBとすると、A=2×BのときオーバーラップJは0%で、A=BのときオーバーラップJは50%となる。
また、レーザビームLの旋回軌道において隣接する軌道のオーバーラップK(図2参照)は70%以上が良い。なお、図2では見やすくするためにKを40%程度で描いている。
これらレーザビームLのパルス間のオーバーラップJや旋回軌道のオーバーラップKの条件は、ホーニング面15を凹凸のない滑らかな面に仕上げるために好適な条件である。なお、レーザビームLの旋回軌道の半径rは必ずしも限定されるものではないが、100μm〜1000μmが好ましい。また、レーザビームLの照射角も特に限定されないが、すくい面や逃げ面に平行に近くなるほど、すくい面や逃げ面に対する研磨に近くなる。なお、図3に示すすくい面11とレーザビームLの光軸Cとのなす角によりホーニング角θが設定されることから、すくい面11とレーザビームLの光軸Cとのなす角を調整することで、所望のホーニング角θを有するホーニング面15を形成できる。
レーザビームLは、図2に示すように旋回移動することにより切れ刃13,14に対して接触離間を繰り返しながら走査され、切れ刃13,14に接している間に切れ刃13,14を加工し、切れ刃13,14を加工していない状態では切れ刃13,14から離間している。このため、切れ刃13,14には、レーザビームLによる熱が断続的に作用し、レーザビームLが切れ刃13,14から離間している間に、加工部分に蓄積した熱の一部が放散する。
このように、ホーニング面形成工程では、レーザビームLを旋回移動しながら切れ刃13,14に沿って走査されるようにインサート10を移動することにより、切れ刃13,14にホーニング面15を形成できる。この場合、ビーム走査系23によるレーザビームLの走査速度(旋回速度)は工具保持機構30によるインサート10の移動速度よりもはるかに高く、例えば、インサート10の移動速度よりも2桁程度高く設定される。このように、インサート10の移動速度によらず、レーザビームLの走査速度が一定に維持されるが、レーザビームLを旋回移動しながら切れ刃13,14に沿って相対移動させて走査するので、レーザビームLの走査中に切れ刃13,14に熱的な緩和時間が発生し、従来のように連続して加工する場合に比べて切れ刃13,14に対する熱的影響が大幅に少なくなる。
また、本実施形態では、レーザビームLをすくい面11側から照射することで、ホーニング面15とすくい面11とを滑らかに接続して形成できる。このように、すくい面11と滑らかに連続したホーニング面15を形成しておくことで、切削工具の切れ刃の刃先先端のチッピングを防止でき、工具寿命を延ばすことができる。
前述したように、図9(a)に二点鎖線で示すオーバーランを防止するために、直線状切れ刃14を加工するときよりも、コーナー切れ刃13を加工するときの移動速度を小さくする必要があるが、レーザビームLの旋回移動により熱的な緩和時間を形成することでインサート10に与える熱的影響を小さくできるので、加工代の増加、ビーム入射側の加工部の垂れ、照射部の蓄熱による熱変質層の増加などの発生を低減することができる。
因みに、レーザビームLを旋回させずに、単純に切れ刃13,14に沿って走査する従来の方法では、図9(b)に示すように、コーナー切れ刃13で直線状切り刃14よりも走査速度を遅くすると、二点鎖線で示すように加工代が変化し、コーナー切れ刃13で加工代が増大する。これにより、図3に二点鎖線で示したようにホーニング面17に垂れが大きくなる。
なお、加工すべき切れ刃13,14の稜線からすくい面11上のホーニング面15の開始点までの距離をホーニング幅E、レーザビームLの光軸Cと加工後のホーニング面15までの距離を加工代Fとする。
素材として超硬インサートを用い、そのすくい面に以下の加工条件でホーニング面を形成した。
(加工条件)
レーザ波長:355nm
レーザ出力:7W
繰り返し周波数:50kHz
パルス幅:30ns
集光スポット直径:8μm
ビームの走査速度:100mm/s
隣接するパルス照射点のオーバーラップJ:75%
x−yステージの移動速度:1mm/s
隣接するレーザビームの旋回軌道のオーバーラップK:97%
レーザビームの旋回軌道の半径r:500μm
ホーニング角θ:40°
ホーニング幅E:50μm
また、比較例として、レーザビームを旋回移動させずに(加工条件のビームの走査速度、レーザビームの旋回軌道の半径rがともに0となる)、定点照射しながらインサートのみを移動することによりホーニング面を形成したものも作製した。
いずれの場合も、レーザビームをすくい面側から斜めに照射しており、また、ホーニング面を形成した後、後加工しないでホーニング面を観察した。
図5は、コーナー切れ刃のホーニング面を中心として斜めに撮影した写真であり、左側が従来方法による比較例、右側が本発明の方法を用いた実施例1のものである。実施例1では、ホーニング面に金属光沢が認められ、凹凸のない平滑な面に仕上がっているが、比較例のものは、溶融などで表面状態が悪いために光沢がなくなっている。
図6はコーナー切れ刃におけるホーニング面の付近のSEM(走査型電子顕微鏡)像であり、左側の比較例のものは表面の溶融が大きいが、右側の実施例1のものは、比較例に比べて表面の溶融が大幅に低減している。
図7は、レーザ顕微鏡により測定したホーニング面の断面プロファイルであり、実線で示すプロファイルが直線状切れ刃、破線で示すプロファイルがコーナー切れ刃である。これらの比較で明らかなように、比較例は、コーナー切れ刃のホーニング面においては、溶融した超硬成分の溶着により直線状切れ刃のホーニング面よりも隆起しているのに対して、実施例1は、直線状切れ刃、コーナー切れ刃とも、ほぼ同じプロファイルで形成されている。
これらの結果より、本発明の方法により、ホーニング面をシャープで安定した形状に形成できることがわかる。
図8は、素材としてCVDダイヤモンド被覆ドリル(以下、ドリルとする。)を用い、そのすくい面と逃げ面にホーニング面を形成した例の刃先のSEM(走査型電子顕微鏡)像である。各ホーニング面形成時のレーザビームの照射方向は、それぞれ、すくい面側、または、逃げ面側から、刃先先端へ向かう方向とした。
なお、この例では、すくい面側のホーニング面と、逃げ面側のホーニング面とを、刃先先端部分でオーバーラップして形成しており、そのため、未処理持の刃先の曲率半径よりも、処理後の刃先の曲率半径の方が小さくなっている(この例では、約15μmから約1μmへの縮小)。このように、本発明の製造方法は、すくい面だけではなく逃げ面、あるいはその両方に対して適用することも可能である。
(加工条件)
レーザ波長:355nm
レーザ出力:5W
繰り返し周波数:50kHz
パルス幅:30ns
集光スポット直径:8μm
ビームの走査速度:200mm/s
隣接するパルス照射点のオーバーラップJ:50%
x−yステージの移動速度:0.5mm/s
隣接するレーザビームの旋回軌道のオーバーラップK:99%
レーザビームの旋回軌道の半径r:500μm
ホーニング角θ:15°(すくい面)、3°(逃げ面)
ホーニング幅E:60μm(すくい面)、80μm(逃げ面)
図8のSEM像に示されるように、本発明の方法により、平滑なホーニング面を得ることが出来ている。なお、図8のXは、ホーニング面形成後の切れ刃先端の稜線を示し、図3にXで示す位置に相当する。
また、ホーニング面を形成した後、FIB(集束イオンビーム)加工により切れ刃先端の稜線Xの垂直断面を露出させて、その垂直断面のSEM像を観察した。このSEM像において、切れ刃先端の稜線Xの形状を最小二乗法により円弧で近似した場合の曲率半径は約1μmであった。また、一般に、ナノ秒レーザを用いたCVDダイヤモンド被膜の加工では、レーザ加工面表層の厚み200nm程度の領域でグラファイト化が発生する場合が多く、そのダイヤモンド被膜の断面のSEM像(SE2)においてその境界がコントラストの違いとして観察されるが、本発明の方法により加工したホーニング面を有するドリルではグラファイトの境界が観察されなかった。このように、本発明の方法でホーニング面を加工することで、切れ刃に対する熱影響が抑制されることが確認できた。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
実施形態では主にインサートを加工する場合について説明したが、刃先を一体に形成したドリルやエンドミルなどの切削工具においても、本発明を適用することができ、曲線状の切れ刃で構成されているもの、曲線状の切れ刃と直線状の切れ刃との組合せで構成されているものなど、広く適用することができる。
また、本発明が適用される切削工具の材料は、上記実施形態で説明した超硬合金やダイヤモンド被膜に限られず、例えば、cBN焼結体、PCD(多結晶ダイヤモンド焼結体)、サーメット、又は、それらの工具本体上に成膜したセラミックス被膜など、どのような材料にも適用できる。
また、ステージのオーバーランを防ぐために局所的な切れ刃の曲率に応じてステージの移動速度を変動させる際に、隣接するレーザビームの旋回軌道のオーバーラップKが変動することでホーニングの形状が変動する場合があるため、例えばレーザビームの旋回軌道中のレーザビームが切れ刃から離間している箇所においてガルバノスキャナの停止時間(ウェイト時間)を設けることで、レーザビームの旋回軌道のオーバーラップKが一定となるよう調整してもよい。
また、レーザビームの旋回軌道は円形だけでなく、楕円形などとしてもよい。
10…インサート(工具本体)
11…すくい面
12…逃げ面
13…コーナー切れ刃(曲線状切れ刃)
14…直線状切れ刃
15…ホーニング面
16…切れ刃
17…ホーニング面
20…レーザ光照射機構
21…レーザ発振機
22…集光レンズ
23…ビーム走査系
24…撮影部
30…工具保持機構
31x…x軸ステージ部
31y…y軸ステージ部
31z…z軸ステージ部
32…旋回機構
33…ホルダ
34…回転機構
40…制御部
100…ホーニング面形成装置

Claims (5)

  1. 切れ刃の一部に曲線状切れ刃を有する工具本体にレーザビームを照射して該切れ刃を構成するすくい面と逃げ面との交差稜線部にホーニング面を形成するホーニング面形成工程を有し、
    前記ホーニング面形成工程は、少なくとも前記曲線状切れ刃に前記ホーニング面を形成する際に、前記レーザビームを前記曲線状切れ刃に対して離間接近する方向に旋回しながら前記曲線状切れ刃に沿って相対移動させて走査し、その旋回軌道の一部で前記曲線状切れ刃の前記ホーニング面を形成することを特徴とする切削工具の製造方法。
  2. 前記ホーニング面形成工程において、前記レーザビームの旋回軌道の中心位置を、前記交差稜線部よりも外側に配置することを特徴とする請求項1に記載の切削工具の製造方法。
  3. 前記ホーニング面形成工程において、前記レーザビームの旋回軌道の隣接する軌道のオーバーラップを70%以上とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の切削工具の製造方法。
  4. 前記ホーニング面形成工程において、前記レーザビームは、前記すくい面側から照射することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の切削工具の製造方法。
  5. 工具本体にレーザビームを照射して切れ刃にホーニング面を形成する装置であって、前記工具本体を保持して前記レーザビームに対する前記切れ刃の位置を移動可能な工具保持機構と、前記切れ刃に前記レーザビームを照射するレーザ光照射機構とを有し、前記レーザ光照射機構は、前記切れ刃に対して離間接近する方向にレーザビームを旋回移動させる制御部を有していることを特徴とするホーニング面形成装置。
JP2017128402A 2016-08-31 2017-06-30 切削工具の製造方法及びホーニング面形成装置 Pending JP2018039101A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2017/030592 WO2018043352A1 (ja) 2016-08-31 2017-08-25 切削工具の製造方法及びホーニング面形成装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016169172 2016-08-31
JP2016169172 2016-08-31

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018039101A true JP2018039101A (ja) 2018-03-15

Family

ID=61624678

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017128402A Pending JP2018039101A (ja) 2016-08-31 2017-06-30 切削工具の製造方法及びホーニング面形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018039101A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109773435A (zh) * 2019-01-15 2019-05-21 常德市中天精密工具有限公司 一种制作刀具圆盘的磨切方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003025118A (ja) * 2001-07-13 2003-01-29 Allied Material Corp 切削用ダイヤモンド工具
JP2014046330A (ja) * 2012-08-30 2014-03-17 Keyence Corp レーザマーキング装置及びウォブル印字端部処理パターン生成プログラム並びにコンピュータで読取可能な記録媒体
WO2014126020A1 (ja) * 2013-02-13 2014-08-21 住友化学株式会社 レーザー光照射装置及び光学部材貼合体の製造装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003025118A (ja) * 2001-07-13 2003-01-29 Allied Material Corp 切削用ダイヤモンド工具
JP2014046330A (ja) * 2012-08-30 2014-03-17 Keyence Corp レーザマーキング装置及びウォブル印字端部処理パターン生成プログラム並びにコンピュータで読取可能な記録媒体
WO2014126020A1 (ja) * 2013-02-13 2014-08-21 住友化学株式会社 レーザー光照射装置及び光学部材貼合体の製造装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109773435A (zh) * 2019-01-15 2019-05-21 常德市中天精密工具有限公司 一种制作刀具圆盘的磨切方法
CN109773435B (zh) * 2019-01-15 2022-05-17 常德市中天精密工具有限公司 一种制作刀具圆盘的磨切方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4976576B2 (ja) 切削工具とその製造方法および製造装置
JP6435801B2 (ja) エンドミル
JP6950183B2 (ja) ダイヤモンド被覆回転切削工具及びその製造方法
JP5870621B2 (ja) レーザ加工装置及びレーザ加工方法
JP5201424B2 (ja) 炭素膜被覆切削工具およびその製造方法
JP6089596B2 (ja) エンドミル及びその製造方法
JP2019063904A (ja) ダイヤモンド被覆回転切削工具
JP2012016735A (ja) レーザ加工装置およびレーザ加工方法
JP5899904B2 (ja) 炭素膜被覆エンドミルおよびその製造方法
JP6635501B2 (ja) 脆性材料の回転切削用工具および回転切削方法
US11440147B2 (en) Method of manufacturing cutting tool
JP2018039101A (ja) 切削工具の製造方法及びホーニング面形成装置
JP2015085336A (ja) レーザ加工方法及び加工装置
JP2019042755A (ja) 人工ダイヤモンドコーティング領域を処理する方法及びシステム
WO2018043352A1 (ja) 切削工具の製造方法及びホーニング面形成装置
WO2021049257A1 (ja) スカイビング加工装置およびスカイビング加工方法
JP6065518B2 (ja) 切削工具の製造方法及び製造装置
JP2012045581A (ja) レーザ加工方法
JP5983364B2 (ja) エンドミル
CN213827472U (zh) 一种激光车削加工机床
JP2021011015A (ja) ダイヤモンド被覆回転切削工具の製造方法
JP4724062B2 (ja) ドレスギアの製造方法及び製造装置
JP5892007B2 (ja) スクエアエンドミル及びその製造方法
JP6354451B2 (ja) ボールエンドミル及びその製造方法
JP2012135828A (ja) 炭素膜被覆インサートチップおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200325

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200623

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210105