JP6065518B2 - 切削工具の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1では、偏光素子を調整してレーザの偏光状態を変更することができるようにしており、加工対象物の表面に応じて楕円偏光の楕円率を変更することにより、直線偏光から円偏光までのレーザを照射することが開示されている。
一方、特許文献2では、超短パルスレーザを用いて、アブレーション閾値に対する所定範囲のフルエンスで直線偏光させて照射することが開示されている。
このように、直線偏光や円偏光の場合、形態形成しようとする面とレーザビームの照射の関係が変わると、レーザ照射角度の関係以上にレーザ光の材料への吸収効率が変わってしまう。このような状態では、加工時の熱影響が出やすく、変質層が発生しやすくなるとともに、シャープな形態を形成するのに支障を生じる。
本発明の加工対象物であるエンドミル1は、図2及び図3に示すように、軸線x回りに回転される工具先端部2に、一対の切刃部11が軸線xを挟んで互いに反対側に形成された2枚刃のスクエアエンドミルである。このスクエアエンドミル1は、円柱状のシャンク部3の先端部が小径に形成され、その小径の首部4の先端に略円周状のチップ部5が接合された構成とされている。チップ部5は、首部4に接合される超硬合金部6と、その超硬合金部6に接続され、切刃部11が形成されるcBN焼結体、ダイヤモンド焼結体等の工具先端部2とで構成されている。
また、図2の符号15はすくい面を示しており、このすくい面15との間で外周刃12を形成する外周側の逃げ面が、逃げ角θ1,θ2の異なる第1逃げ面16a、第2逃げ面16bの2段で構成されている。
本実施形態の製造方法に用いるレーザ加工装置100は、図1に示すように、円柱状の素材20にレーザビームを照射して三次元加工する装置である。このレーザ加工装置100は、レーザビームBをパルス発振して素材20に一定の繰り返し周波数で照射しながら走査するレーザビーム照射機構22と、素材20を保持した状態で回転、旋回及びxyz軸方向にそれぞれ移動可能な素材保持機構24と、これらを制御する制御部25とを備えている。
これらの要素を有する光学系において、直線偏光とラジアル偏光との両方のレーザビームを照射するために、偏光コンバータ28を図1の実線で示すようにレーザ光路L内に配置した状態と、二点鎖線で示すように光路Lから退避させた状態との間で移動することができるように構成されている。
このレーザ加工装置100を用いたレーザ加工工程においては、円柱状の素材20を素材保持機構24に所定の姿勢で保持し、レーザビーム照射機構22からレーザビームBを照射して工具先端部2の形状を形成する。その際、すくい面の加工は、素材保持機構24により保持した素材20の表面とレーザビームBの照射方向との角度関係の変化が少ないので、直線偏光のレーザビームBにより加工する。レーザビーム照射機構22の中の偏光コンバータ28を二点鎖線で示すように光路Lから退避させておき、レーザ発振源26から発振される直線偏光のレーザビームをビームエキスパンダ27、スキャナ29、集光レンズ30を経由して素材20に照射する。素材20の加工面に直線偏光をp偏光となるように照射し、スキャナ29によりすくい面15に平行にレーザビームを走査して加工する。
ラジアル偏光のレーザビームBであるので、レーザビームBの加工面への照射方向にかかわらず常に材料に対してp偏光となり、反射が抑えられて材料への吸収効率が高く、蓄熱しにくい加工ができ、加工形態が安定する。したがって、レーザ加工部位の変質層の生成が抑制され、スムーズな逃げ面が得られるため、結果としてすくい面等の交線として形成される切れ刃を鋭利なものにできる。
直線偏光でQスイッチパルス発振されたNd:YAGレーザの第3高調波の355nmのレーザ光をビームエキスパンダによりパワー密度を抑制するためにビーム径10mmに拡大した。そして、このビームエキスパンダを通過したレーザ光をTwisted Nematic CellによるARC Optix社製偏光コンバータに入力して、直線偏光(Vertical)からラジアル偏光に変換した。ラジアル偏光に変換されたレーザビームを、x−y平面を走査するガルバノスキャナに導入し、fθレンズによって集光した。
cBN焼結体は、cBN(cubic Boron Nitride)の粒子とバインダとの複合材であり、約6eVと大きなバンドギャップをもつcBN粒子とバインダとの間に大きなバンドギャップ差がある。このため、多光子吸収により加工させる場合であっても、s偏光ではレーザビームを入射すると吸収率の変動を大きくすることで、cBN粒子は加工がよりされにくくなり、加工後の表面起伏が安定しなくなるため、cBN焼結体では特にラジアル偏光が本発明の効果を発揮する。
実施形態ではエンドミルの外周刃を加工する場合について説明したが、本発明は、他の切削工具の切刃部を加工する場合にも適用することができる。
2 工具先端部
3 シャンク部
4 首部
5 チップ部
6 超硬合金部
11 切刃部
12 外周刃
13 底刃
15 すくい面
16a 第1逃げ面
16b 第2逃げ面
20 素材
22 レーザビーム照射機構
24 素材保持機構
25 制御部
26 レーザ発振源
27 ビームエキスパンダ
28 偏光コンバータ
29 スキャナ
30 集光レンズ
31x x軸ステージ部
31y y軸ステージ部
31z z軸ステージ部
32 旋回機構
33 回転機構
100 レーザ加工装置
Claims (2)
- 切削工具の刃先部をレーザビームにより加工するレーザ加工工程を有し、少なくとも逃げ面を加工する際のレーザビームをラジアル偏光とし、すくい面を加工する際のレーザビームを直線偏光又は円偏光とすることを特徴とする切削工具の製造方法。
- レーザ発振源と、該レーザ発振源から出射されたレーザのビーム径を拡大するビームエキスパンダと、ビーム径が拡大されたレーザを直線偏光からラジアル偏光に変換する偏光コンバータと、加工面に照射されるレーザビームを走査するスキャナと、該スキャナにより走査されるレーザビームを集光する集光レンズとを備えるとともに、前記偏光コンバータがレーザ光路から退避可能に設けられていることを特徴とする切削工具の製造装置。
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JP2012234469A JP6065518B2 (ja) | 2012-10-24 | 2012-10-24 | 切削工具の製造方法及び製造装置 |
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