JP6950183B2 - ダイヤモンド被覆回転切削工具及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、刃先のダイヤモンド被膜を研磨加工により平面的に薄くすることで刃先を鋭利にすることが記載されている。また、特許文献2又は特許文献3には、刃先にチャンファを形成することで切れ刃の切れ味が良くなることが記載されている。また、特許文献4には、工具すくい面のダイヤモンド被膜の成膜速度を工具逃げ面よりも遅くすることで、工具すくい面の膜厚を工具逃げ面の膜厚よりも薄くし、通常(工具すくい面と工具逃げ面の膜厚が等しいもの)よりも刃先の曲率半径を小さくする方法が記載されている。さらに、特許文献5には、レーザ加工により工具すくい面のダイヤモンド被膜を薄く加工し、刃先の曲率半径を小さくする方法が記載されている。また、特許文献5の実施例には、工具すくい面のダイヤモンド被膜の剥離に関して、工具すくい面のダイヤモンド被膜の膜厚を薄くすることで抑制できることが報告されている。
しかし、特許文献1に記載の方法では、刃先の曲率半径を1μm以下にするためには、工具逃げ面と工具すくい面の両側を大きく研磨する必要がある。このため、加工の手間がかかり、また、ダイヤモンド被膜全体が薄くなるため、工具寿命が低下することが問題となる。
さらに、特許文献4に記載の方法では、工具すくい面と工具逃げ面の膜厚に対し、それらを滑らかな曲面で結んだ形状で刃先の曲率が決まるため、工具の寿命を十分に保つことが可能な逃げ面の膜厚(8μm以上)において、刃先の曲率半径を1μm以下に形成することはできない。
また、工具すくい面における、基体切れ刃部の先端から50μm又は工具直径D0の1/10までのいずれか小さい方の範囲において、すくい面側ダイヤモンド被膜の平均膜厚d1を1.0μm≦d1≦5.0μmとしているので、そのすくい面側ダイヤモンド被膜
の剥離を防止でき、良好な加工精度を維持できる。なお、平均膜厚d1が1.0μm未満では、工具すくい面(すくい面側ダイヤモンド被膜)の摩耗により、工具基体が直ぐに露出する(あるいは、最初から露出している)。このように工具基体が露出した状態ではすくい面の耐摩耗性が低くなり、工具基体の摩耗箇所を起点としてダイヤモンド被膜が剥離する等により、工具寿命が低下する。また、平均膜厚d1が5.0μmを超える場合は、すくい面側ダイヤモンド被膜の剥離が生じやすい。
また、被削材の加工時において、工具逃げ面は、工具すくい面と比べて、工具切れ刃部の刃先先端(先端作用点)から離れた位置においても被削材と接触しやすく、被削材との摺動により摩耗しやすい。そこで、逃げ面側ダイヤモンド被膜の平均膜厚d2を8μm≦d2≦30μmに確保することで、その逃げ面側ダイヤモンド被膜の剥離を防止するとともに、工具寿命の低下を防止できる。
なお、平均膜厚d2が8μm未満では、工具すくい面よりも工具逃げ面が先に摩耗しやすくなり、工具寿命が低下する。本発明ではd2を12μm以上とした。一方で、平均膜厚d2が30μmを超えると、ダイヤモンド被膜が自壊しやすくなる。
また、ダイヤモンド被覆回転切削工具では、工具切れ刃部の刃先の最も鋭利な点の曲率半径Rを1μm以下(R≦1μm)で形成しているので、被削材の加工時における切削抵抗をより小さくでき、光沢度の高い加工面を得ることができる。
一般に、超硬金型加工用等の精密さを要求される工具では、一刃あたりの切り込み深さが5μm又は(d2/2)μm程度で用いる場合が多いため、その領域における刃先すくい角θが切削性能に影響する。このため、刃先すくい角θは、(1)刃先の最も鋭利な点と、刃先の最も鋭利な点から工具中心側に5μm進んだ先の工具すくい面の表面上の点とを直線で結んだ線を工具切れ刃部の刃先すくい面とした場合の、この刃先すくい面の基準線Cに対する角度、又は(2)刃先の最も鋭利な点と、刃先の最も鋭利な点から工具中心側に(d2/2)μm進んだ先の工具すくい面の表面上の点とを直線で結んだ線を工具切れ刃部の刃先すくい面とした場合の、この刃先すくい面の基準線Cに対する角度のうち、つまり、(1)又は(2)で規定する範囲の角度のうち、いずれか小さい方の範囲における角度とする。
そこで、加工レイヤー毎のレーザビームの走査を、その加工レイヤー毎に加工予定の工具切れ刃部の刃先先端位置よりも外側に走査停止位置を有する走査線と、その刃先先端位置よりも内側に走査停止位置を有する走査線とを組み合わせて行うことにより、照射されるレーザビームのエネルギー密度を容易に調整することができる。これにより、すくい面側ダイヤモンド被膜の所定部分を除去して、三次元形状の加工面(刃先すくい面)を容易に形成できる。
本発明のダイヤモンド被覆回転切削工具は、図2に示すように、工具基体1の表面にダイヤモンド被膜2が被覆されたドリル、エンドミル、又はインサート等のダイヤモンド被覆回転切削工具に適用される。このうち本実施形態では、図1に示すように、軸線O回りに回転される工具先端部3を有し、その工具先端部3に、一対の工具切れ刃部41が軸線Oを挟んで180°反対側に形成された2枚刃のボールエンドミル101に適用した例について説明する。
なお、平均膜厚d2が8μm未満では、工具すくい面42よりも工具逃げ面43が先に摩耗しやすくなり、工具寿命が低下する。一方で、平均膜厚d2が30μmを超えると、ダイヤモンド被膜2が自壊しやすくなる。
本実施形態のボールエンドミル101の製造方法は、超硬合金からなる工具基体1の表面にダイヤモンド被膜2を成膜する成膜工程と、ダイヤモンド被膜2にレーザビームLを照射し、ダイヤモンド被膜2を加工して工具切れ刃部41を形成するレーザ加工工程とを有する。
成膜工程では、基体すくい面12と、基体逃げ面13と、これら基体すくい面12と基体逃げ面13との間に形成された基体切れ刃部11とを有する工具基体1の表面に、ダイヤモンド被膜2を例えば8μm以上30μm以下の略一定の膜厚(平均膜厚)で、すなわち一様に成膜する。
工具基体1へのダイヤモンド被膜2の成膜は、例えばマイクロ波プラズマCVD法や、熱フィラメントCVD法、高周波プラズマCVD法等の公知の方法を好適に用いることができる。また、イオンビーム法等の他の成膜方法を適用することもできる。
レーザ加工工程では、例えば、図4に示すようなレーザ加工装置201を使用し、工具基体1の表面に被覆されたダイヤモンド被膜2にレーザビームLを照射して、そのダイヤモンド被膜2を加工する。以下、図4及びレーザ加工工程の説明においては、ダイヤモンド被膜2が形成された工具基体1を符号10で示す。
レーザ発振機51は、190nm〜1100nmの短波長のレーザビームLを照射できる光源を使用することができ、例えば本実施形態では、波長355nmのレーザビーム(Nd:YAGレーザの第三高調波)を発振して出射できるものを用いている。また、ビーム走査系53は、工具保持機構60の真上に配置されている。
そして、制御機構70は、全体の動作を制御するもので、レーザビームLの旋回軌道の半径、旋回軌道における後述のウエイト時間などを設定するプログラムを有している。
なお、図6では、工具切れ刃部41の刃先先端位置よりも外側に走査停止位置を有する走査線S1と、工具切れ刃部41の刃先先端位置よりも内側に走査停止位置を有する走査線S2とを、交互に実施しているが、これに限定されるものではない。加工面形状に応じて、外側の走査線S1と内側の走査線S2との走査タイミングや回数を組み合わせることができる。
(加工条件)
レーザ波長:355nm
パルス幅:30ns
繰り返し周波数:200kHz
フルエンス:2.5(J/cm2)
隣接するレーザビームのオーバーラップK:75%
レーザビームの走査速度:200(mm/s)
レーザビームの走査線の間隔(中心間距離A):2μm
加工レイヤーの層数:14層(このうち、刃先先端位置の内側に走査停止位置を設定したものは5層)
図8及び図9に示すボールエンドミルは、工具直径D0が2.0mmの工具基体1に対し、熱フィラメントCVD法により単層で平均膜厚20μmのダイヤモンド被膜2を被覆したものに対し、すくい面側ダイヤモンド被膜22の平均膜厚d1が約1.5μm、刃先の曲率半径Rが約0.09μm、刃先すくい角θが約−8°、刃先の高さhが−9μmとなるように加工したものである。
刃先の曲率半径Rの測定は、倍率10000倍以上のSEM像を用いて行い、図9(b)の10000倍のSEM像に示すように、FIB加工により得られた刃先の切れ刃稜線に垂直な方向の断面像により、刃先のダイヤモンド被膜の表面(二点鎖線)を半径Rの円(破線円)で近似したものとした。また、すくい面側ダイヤモンド被膜22の平均膜厚d1の測定は、倍率2000倍以上のSEM像を用いて行い、FIB加工により得られた刃先の断面像において、範囲Eの範囲内で2μmおきに等間隔ですくい面側ダイヤモンド被膜22の膜厚を測定していき、得られた複数の膜厚の値の平均値を平均膜厚d1として求めた。
(切削試験条件)
加工方法:平面加工(ダウンカット)
切削油:無し(エアブローのみ)
ワーク(被削材):超硬合金(ISO分類記号:K20)、
直径20mm、厚さ2mmのコイン状
回転速度:30000(min−1)
送り速度:300(mm/min)
切り込み量:ap=0.05mm、ae=0.03mm
切削長:約10m
評価方法:
SEM像:日立ハイテクノロジース製 走査電子顕微鏡(型番:S‐3400N)
光沢度:日本電色工業株式会社製 光沢度計(型番:PG‐1M)、
測定角度:20°、測定面積:10.0×10.6mm(ワーク中央部)
面粗さ:KEYENCE レーザ顕微鏡(型番:VK‐X200)
面粗さ測定箇所はワーク中央部(切削長約5mの箇所)
表1に示す試料番号1〜13の条件のボールエンドミルを作製し、各ボールエンドミルについて、切削試験後のダイヤモンド被膜の膜厚と剥離発生との関係を調べた。表1に結果を示す。
表2に示す未処理1の条件のダイヤモンド被膜(平均膜厚12μm)を表面に被覆したボールエンドミルにレーザ加工を施し、試料番号14〜28の条件のボールエンドミルを作製した。加工レイヤーの層数はいずれの試料も9層とし、それぞれの試料について、レーザビームの走査を刃先すくい面上(刃先の内側)で停止する層の層数と、レーザビームの走査停止位置とを調整することで、刃先の高さhと刃先すくい角θを制御した。なお、試料番号13〜27は、いずれも、切削試験において、すくい面側ダイヤモンド被膜の剥離が発生しない条件(d1=1.5μm)とし、工具切れ刃部の刃先先端の曲率半径Rを1μm以下で形成した。なお、未処理1の場合は、工具切れ刃部の刃先先端の曲率半径Rが12μmであった。また、試料番号14〜28の逃げ面側ダイヤモンド被膜の平均膜厚d2はいずれも12μmであるから、(−d2/2)=−6μmとなる。
そして、各試料について、切削試験後のワーク加工面の光沢度が未処理1(レーザ加工処理していないもの)の結果を上回り、かつ、ワーク加工面の面粗さ(算術平均粗さ)Raが未処理1の結果を下回ったものを「○」と評価した。また、光沢度が未処理1の結果を下回り、かつ、ワーク加工面の面粗さRaが未処理1の結果を上回ったものを「×」と評価した。さらに、判定が「○」と「×」以外のものは「△」と評価した。結果を表2に示す。
表3に示す未処理2の条件のダイヤモンド被膜(平均膜厚20μm)を表面に被覆したボールエンドミルにレーザ加工を施し、試料番号29〜43の条件のボールエンドミルを作製した。加工レイヤーの層数はいずれの試料も16層とし、それぞれの試料について、レーザビームの走査を刃先すくい面上(刃先の内側)で停止する層の層数と、レーザビームの走査停止位置とを調整することで、刃先の高さhと刃先すくい角θを制御した。なお、試料番号29〜43は、いずれも、切削試験において、すくい面側ダイヤモンド被膜の剥離が発生しない条件(d1=1.5μm)とし、工具切れ刃部の刃先先端の曲率半径Rを1μm以下で形成した。なお、未処理2の場合は、工具切れ刃部の刃先先端の曲率半径Rが20μmであった。また、試料番号29〜43の逃げ面側ダイヤモンド被膜の平均膜厚d2はいずれも20μmであるから、(−d2/2)=−10μmとなる。
そして、各試料について、切削試験後のワーク加工面の光沢度が未処理2(レーザ加工処理していないもの)の結果を上回り、かつ、ワーク加工面の面粗さ(算術平均粗さ)Raが未処理2の結果を下回ったものを「○」と評価した。また、光沢度が未処理2の結果を下回り、かつ、ワーク加工面の面粗さRaが未処理2の結果を上回ったものを「×」と評価した。さらに、「○」と「×」以外のものを「△」と評価した。結果を表3に示す。
また、試験2と試験3の結果から、刃先の高さhは、逃げ面側ダイヤモンド被膜の平均膜厚d2に対し、(−d2/2)μm≦h≦0μmを満たす条件で、刃先すくい角θが−30°≦θ≦5°の際に判定が「○」となり、良好な光沢度と面粗さRaが得られることがわかった。
また、図10に、切削試験後の試料番号37のボールエンドミルの画像を示す。試料番号37のボールエンドミルは、図8及び図9に示した実施例1のボールエンドミルと同じ条件で作製されたものである。切削試験前の図8及び図9と、切削試験後の図10とを比較してわかるように、切削試験によっても工具すくい面のダイヤモンド被膜の剥離が発生せず、良好な加工性が得られた。
なお、刃先の高さhが−10μm≦h≦0μmの場合、図5及び図6で示した製造方法では、基体切れ刃部の先端から工具切れ刃部の刃先先端までの範囲におけるダイヤモンド被膜表面の基準線Cからの高さは、すくい面の平均膜厚d1を超えることはない。
表4に示す未処理3の条件のダイヤモンド被膜(平均膜厚20μm)を表面に被覆したボールエンドミルにレーザ加工を施し、試料番号44,45の条件のボールエンドミルを作製した。加工レイヤーの層数はいずれの試料も16層とし、それぞれの試料について、レーザビームの走査を刃先すくい面上(刃先の内側)で停止する層の層数と、レーザビームの走査停止位置とを調整することで、刃先の高さhと刃先すくい角θを制御するとともに、ビームのフルエンスを調整することで、刃先の曲率半径Rを制御した。なお、表4の未処理3は、表3の未処理2の条件のボールエンドミルと同じものである。
なお、試料番号44,45は、いずれも、切削試験において、すくい面側ダイヤモンド被膜の剥離や摩滅が発生しない条件(1.0μm≦d1≦5.0μm)とした。また、試料番号44,45の逃げ面側ダイヤモンド被膜の平均膜厚d2はいずれも20μmであるから、(−d2/2)=−10μmとなり、高さhを−10μm≦h≦0μmの範囲内で形成した。
そして、各試料について、切削試験後のワーク加工面の光沢度が未処理3(レーザ加工処理していないもの)の結果を上回り、かつ、ワーク加工面の面粗さ(算術平均粗さ)Raが未処理3の結果を下回ったものを「○」と評価した。また、光沢度が未処理3の結果を下回った場合、又はワーク加工面の面粗さRaが未処理3の結果を上回った場合のいずれかの場合を「△」と評価した。結果を表4に示す。
例えば、上記実施形態ではボールエンドミルを加工する場合について説明したが、刃先を一体に形成したドリルやその他のエンドミル、インサートなどの切削工具においても、本発明を適用することができ、曲線状の切れ刃部で構成されているもの、曲線状の切れ刃部と直線状の切れ刃部との組合せで構成されているものなど、広く適用することができる。
2 ダイヤモンド被膜
3 工具先端部
11 基体切れ刃部
12 基体すくい面
13 基体逃げ面
22 すくい面側ダイヤモンド被膜
23 逃げ面側ダイヤモンド被膜
25 加工レイヤー
41 工具切れ刃部
42 工具すくい面
43 工具逃げ面
44 刃先すくい面
50 レーザビーム照射機構
51 レーサ発振機
52 集光レンズ
53 ビーム走査系
54 撮像部
60 工具保持機構
61x x軸ステージ部
61y y軸ステージ部
61z z軸ステージ部
62 旋回機構
63 ホルダ
64 回転機構
70 制御機構
101 ボールエンドミル(ダイヤモンド被覆回転切削工具)
201 レーザ加工装置
Claims (4)
- 超硬合金からなる工具基体の表面にダイヤモンド被膜が被覆されたダイヤモンド被覆回転切削工具であって、
前記工具基体の基体すくい面と基体逃げ面との間に基体切れ刃部が形成され、
前記基体すくい面の表面に被覆されたすくい面側ダイヤモンド被膜により工具すくい面が形成され、
前記基体逃げ面の表面に被覆された逃げ面側ダイヤモンド被膜により工具逃げ面が形成され、
前記工具すくい面と前記工具逃げ面との間に工具切れ刃部が形成されており、
工具直径をD0とし、前記すくい面側ダイヤモンド被膜の平均膜厚をd1とし、前記逃げ面側ダイヤモンド被膜の平均膜厚をd2としたときに、
前記工具すくい面における前記基体切れ刃部の先端から50μm又は前記工具直径D0の1/10までのいずれか小さい方の範囲の前記平均膜厚d1が1.0μm≦d1≦5.0μmとされ、
前記工具逃げ面における平均膜厚d2が12μm≦d2≦30μmとされ、
前記工具切れ刃部の刃先先端の曲率半径をRとしたときに、該曲率半径Rが1μm以下とされ、
工具回転中心と前記基体切れ刃部の先端とを結ぶ直線を基準線Cとし、
前記基準線Cから前記工具切れ刃部の刃先先端までの高さをhとし、該高さhについて前記基準線Cよりも前記工具すくい面側を正とし、前記工具逃げ面側を負としたときに、
前記高さhが(−d2/2)μm≦h≦0μmに設けられていることを特徴とするダイヤモンド被覆回転切削工具。 - 前記工具すくい面と前記工具切れ刃部の刃先における刃先すくい面とが曲面により接続されていることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド被覆回転切削工具。
- 前記工具切れ刃部の刃先における前記工具すくい面と前記基準線Cとがなす角度を刃先すくい角θとしたときに、該刃先すくい角θが−30°≦θ≦5°とされることを特徴とする請求項1又は2に記載のダイヤモンド被覆回転切削工具。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載のダイヤモンド被覆回転切削工具の製造方法であって、
超硬合金からなり、基体すくい面と、基体逃げ面と、前記基体すくい面と前記基体逃げ面との間に形成された基体切れ刃部とを有する工具基体の表面にダイヤモンド被膜を成膜する成膜工程と、
前記ダイヤモンド被膜にレーザビームを照射し、前記ダイヤモンド被膜を加工して、前記基体すくい面上の領域の工具すくい面と、前記基体逃げ面上の領域の工具逃げ面と、前記工具すくい面と前記工具逃げ面との間に工具切れ刃部とを形成するレーザ加工工程とを有し、
前記レーザ加工工程では、
前記基体すくい面上のすくい面側ダイヤモンド被膜の厚み方向に複数層の加工レイヤーを設定し、
各加工レイヤーに対して前記レーザビームを垂直に照射するとともに、該レーザビームを前記基体切れ刃部の延在方向に直交する方向に沿って走査することにより、前記加工レイヤー毎に前記ダイヤモンド被膜の所定部分を除去して、前記工具すくい面と前記工具逃げ面と前記工具切れ刃部とを形成し、
前記加工レイヤー毎の前記レーザビームの走査を、加工予定の前記工具切れ刃部の刃先先端位置よりも外側に走査停止位置を有する走査線と、前記工具切れ刃部の刃先先端位置よりも内側に走査停止位置を有する走査線とを組み合わせて行うことを特徴とするダイヤモンド被覆回転切削工具の製造方法。
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