JP5124790B2 - ダイヤモンド被覆切削工具 - Google Patents
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Description
図1は、本発明のダイヤモンド被覆切削工具の切れ刃部付近の概略断面図である。本発明のダイヤモンド被覆切削工具10は、図1に示されるように、基材1と、該基材1上に形成されたダイヤモンド層2とを備え、すくい面3と逃げ面4とを有し、すくい面3と逃げ面4とが交わる刃先稜線8からすくい面方向および逃げ面方向にそれぞれ60μmの距離をもって広がる領域を切れ刃部6とすると、切れ刃部におけるダイヤモンド層は、その表面の算術平均粗さRaが0.1μm以上5μm以下であり、切れ刃部6において、逃げ面4のダイヤモンド層2の平均層厚は、すくい面3のダイヤモンド層2の平均層厚よりも厚いことを特徴とするものである。このような構成を有する本発明のダイヤモンド被覆切削工具10は、たとえばドリル、エンドミル、フライス加工用または旋削加工用刃先交換型切削チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、タップ、またはクランクシャフトのピンミーリング加工用チップ等として極めて有用に用いることができる。
本発明のダイヤモンド被覆切削工具10は、切削加工時において被削材の切り屑と接触するすくい面3と、被削材自体に接触する逃げ面4とを有する。そして、すくい面3と逃げ面4とが交わる刃先稜線8からすくい面3方向および逃げ面4方向にそれぞれ60μmの距離をもって広がる領域を切れ刃部6とすると、当該切れ刃部6において、逃げ面4のダイヤモンド層2の平均層厚は、すくい面3のダイヤモンド層2の平均層厚よりも厚いことを特徴とする。
切れ刃部におけるダイヤモンド層2(すくい面側および逃げ面側の両方を含む)は、その表面の算術平均粗さRaが0.1μm以上5μm以下であることを特徴とする。ダイヤモンド層2の表面がこのような算術平均粗さRaの範囲を有することにより、ダイヤモンド層2の摩耗量を低減するとともに、切屑詰まりを防止することができ、以ってダイヤモンド被覆切削工具の工具寿命を向上させるとともに、難削材に対する加工品位を高めることができる。ダイヤモンド層2の表面の算術平均粗さRaは、加工品位を高めるという観点から、0.8μm以上4.2μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.1μm以上3μm以下である。
上述の表面粗さのパラメータ(RaおよびRSm)は、基材1上にダイヤモンド層2を形成した後に直接または間接的にダイヤモンド層2の表面を測定することにより得ることができる。
本発明において、基材1上に形成されるダイヤモンド層2は、多結晶ダイヤモンドからなる膜であることが好ましい。ここで、多結晶ダイヤモンドとは、10数nm〜数μm程度のダイヤモンド微粒子が固く結合したものである。このようなダイヤモンド層2は、結晶性を高くするような成膜プロセスにより形成されることがより好ましく、たとえば化学蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)法を用いて基材1を被覆することが好ましい。
ダイヤモンド層2を形成する上で好適に用いられるCVD法としては、従来公知のCVD法を特に限定することなく用いることができる。このようなCVD法としては、たとえばマイクロ波プラズマCVD法、熱フィラメントCVD法、プラズマジェットCVD法、直流プラズマCVD法等を挙げることができる。すくい面3のダイヤモンド層2の平均層厚よりも、逃げ面4のダイヤモンド層2の平均層厚を厚く形成するという観点から、熱フィラメントCVD法を用いてダイヤモンド層2を形成することが好ましい。
本発明のダイヤモンド被覆切削工具10の基材1としては、このような切削加工用の基材1として知られる従来公知のものを特に限定なく使用することができる。たとえば、超硬合金(たとえばWC基超硬合金、WCの他、Coを含み、あるいはさらにTi、Ta、Nb等の炭窒化物等を添加したものも含む)、サーメット(TiC、TiN、TiCN等を主成分とするもの)、高速度鋼、工具鋼、セラミックス(炭化チタン、炭化硅素、窒化硅素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、およびこれらの混合体など)、立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体等をこのような基材の例として挙げることができる。これらの中でも、基材1とダイヤモンド層2との密着性を高めるという観点から、基材1には超硬合金を用いることが好ましく、K種超硬合金を用いることがより好ましい。なお、基材1として超硬合金を使用する場合、そのような超硬合金は、組織中に遊離炭素やη相と呼ばれる異常相を含んでいても本発明の効果は示される。
本実施例のダイヤモンド被覆切削工具の作製にあたり、ダイヤモンド被覆切削工具の基材として、その材質がJIS K10超硬合金(WC−5%Co)であって、その形状が外径6mmの2枚刃ソリッドドリルであるものを用いた。
実施例1において、ダイヤモンド被覆切削工具を作製するときのCVD装置に導入するガスの組成、温度条件、成長時間、遮蔽板の配置等を適宜変更することにより、実施例2〜8および比較例1〜5のダイヤモンド被覆切削工具を作製した。
各実施例および各比較例のダイヤモンド被覆切削工具の切れ刃部に対し、光学式のレーザー顕微鏡(製品名:LEXT OLS3500(オリンパス株式会社製))を用いて1000倍の倍率でダイヤモンド層の表面を観察し、150μm区間の単位長さにおけるダイヤモンド層の表面粗さのパラメータRaおよびRSmを測定した。このように測定して得られた結果を以下の表1に示す。
上記で作製した各実施例および各比較例のダイヤモンド被覆切削工具のそれぞれについて、穴あけ加工試験による工具寿命の評価を行なった。穴あけ加工試験の切削条件は、炭素繊維層を複数重ね合わせた上でプラスチックを含浸させて硬化した厚さ10mmの炭素繊維強化プラスチックを被削材として用い、切削速度100m/min、送り速度0.05mm/revの条件で行なった。該切削条件による工具寿命の評価は、10箇所の穴あけ加工ごとに切削加工を止めて刃先状態を観察し、基材の表面が露出していることが確認できた時点で穴あけ加工を中断した。そして、穴あけ加工を中断するまでに加工できた穴数を工具寿命の評価の指標とした。
上記の穴あけ加工試験において、加工後に被削材に形成された穴、および穴周辺の被削材において炭素繊維層の一部が剥がれている部分を観察した。そして、炭素繊維層が剥がれている部分のうち、穴から最も離れた部分までの長さを層間剥離幅として測定し、加工初期から10箇所の穴の層間剥離幅の平均値を表2に示す。なお、層間剥離が生じている部分は、被削材の機械強度が低下するとともに、後工程で他の部材を嵌合する際に、その嵌合の精度が低下するという問題がある。このため、被削材の層間剥離幅が小さいものほど、加工品位がよいことを示している。
Claims (8)
- 基材と、前記基材の表面を被覆したダイヤモンド層とを含むダイヤモンド被覆切削工具であって、
前記ダイヤモンド被覆切削工具は、すくい面と逃げ面とを有し、
前記すくい面と前記逃げ面とが交わる刃先稜線からすくい面方向および逃げ面方向にそれぞれ60μmの距離をもって広がる領域を切れ刃部とすると、
前記切れ刃部におけるダイヤモンド層は、その表面の算術平均粗さRaが0.1μm以上5μm以下であり、
前記切れ刃部において、前記逃げ面の前記ダイヤモンド層の平均層厚は、前記すくい面の前記ダイヤモンド層の平均層厚よりも厚く、かつ
前記切れ刃部において、前記すくい面の前記ダイヤモンド層は、0.5μm以上25μm以下の平均層厚である、ダイヤモンド被覆切削工具。 - 前記基材の表面は、算術平均粗さRaが0.1μm以上10μm以下であり、かつ、粗さ曲線要素の平均長さRSmが1μm以上100μm以下である、請求項1に記載のダイヤモンド被覆切削工具。
- 前記切れ刃部において、前記すくい面の前記ダイヤモンド層の平均層厚を1とすると、前記逃げ面の前記ダイヤモンド層の平均層厚は1.1以上2.0以下である、請求項1または2に記載のダイヤモンド被覆切削工具。
- 前記切れ刃部において、前記すくい面の前記ダイヤモンド層の平均層厚を1とすると、前記逃げ面の前記ダイヤモンド層の平均層厚が1.2以上1.5以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のダイヤモンド被覆切削工具。
- 前記切れ刃部において、前記逃げ面のダイヤモンド層は、0.6μm以上30μm以下の平均層厚である、請求項1〜4のいずれかに記載のダイヤモンド被覆切削工具。
- 前記切れ刃部におけるダイヤモンド層は、その表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが0.1μm以上10μm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のダイヤモンド被覆切削工具。
- 前記ダイヤモンド層は、多結晶ダイヤモンドからなる、請求項1〜6のいずれかに記載のダイヤモンド被覆切削工具。
- 前記ダイヤモンド層は、化学蒸着法により被覆される、請求項1〜7のいずれかに記載のダイヤモンド被覆切削工具。
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