JP5838858B2 - 耐摩耗性に優れたダイヤモンド被覆超硬合金製ドリル - Google Patents

耐摩耗性に優れたダイヤモンド被覆超硬合金製ドリル Download PDF

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この発明は、CFRPとAlの重ね合わせ穿孔などにおいて、耐チッピング性に優れるばかりか、長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するダイヤモンド被覆超硬合金製ドリルに関する。
従来、炭化タングステン基(WC基)超硬合金からなる基体に、ダイヤモンド膜を被覆したダイヤモンド被覆超硬合金製ドリルが知られているが、従来のダイヤモンド被覆超硬合金製ドリルにおいては、耐溶着性、耐摩耗性が十分でないため、これを改善するために種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1に示すように、ダイヤモンド被覆切削工具において、切れ刃部の逃げ面におけるダイヤモンド層の平均層厚を、すくい面のダイヤモンド層のそれよりも厚くすることによって、工具寿命を延ばすとともに、難削材に対する加工品位を高めることが提案されている。
また、例えば、特許文献2に示すように、人工ダイヤモンド被覆超硬合金製スローアウエイ切削チップにおいて、ダイヤモンド被覆層の厚さを、切刃のすくい面における角部を標準厚さとし、少なくとも切粉当接部分を含む他の部分を標準厚さより相対的に肉厚とすることによって、人工ダイヤモンド被覆層の剥離を抑制し、工具の長寿命化を図ることが提案されている。
特開2011−101910号公報 特開平5−162007号公報
近年の切削加工の技術分野における省力化および省エネ化、さらに低コスト化に対する要求は強く、また、切削ドリルの汎用性も求められてきているが、従来のダイヤモンド被覆超硬合金製ドリル(以下、単にダイヤモンド被覆ドリルという)を、CFRP単体、あるいは、CFRPとAl合金の複合材等の難削材のドリル加工に供した場合には、摩耗進行が早く、また、チゼルエッジ部での溶着発生等により、穴精度の劣化や切れ刃が欠損する、などの問題が生じていた。
また、例えば、上記特許文献1に示されるダイヤモンド被覆ドリルにおいては、逃げ面側のダイヤモンド被覆厚を厚くし、すくい面側の被覆厚を薄くしているため、エッジの鋭利さの確保という点での利点はあるものの、チゼルエッジ部の層厚が厚いために、その部分において溶着を発生し、穴精度確保が不十分であり、これが問題となっていた。
そこで、この発明は、エッジ部の鋭利さを保ち、溶着の発生を抑制し、穴精度確保や切れ刃の耐欠損性に優れたダイヤモンド被覆ドリルを提供することを目的とする。
本発明者らは、CFRP単体、あるいは、CFRPとAl合金の複合材等の難削材のドリル加工において、切れ刃の欠損やドリルの折損を生じにくくするとともに、長期の使用に亘って、すぐれた耐摩耗性を発揮するダイヤモンド被覆工具を提供すべく鋭意検討を重ねたところ、次のような知見を得た。
即ち、熱フィラメントCVD装置内でダイヤモンドを成膜するにあたって、熱フィラメントをドリル外周刃に出来るだけ近づけ、ドリル本体はシャンク部を冷却することで、ドリル基体(WC超硬合金)には温度差が生じ、ダイヤモンド成膜のための活性種(メチルラジカル、原子状水素)の供給量の差を大きくすることができる。
それにより、チゼルエッジ部と切刃外周部とのダイヤモンド膜の膜厚差を大きくすることができ、さらに、成膜されるダイヤモンドの膜質差を大きくすることができる。
本発明者らは、上記の方法でダイヤモンドを成膜することによって、チゼルエッジ部ではダイヤモンドの膜厚を薄くするとともに、ダイヤモンドの結晶性を低下せしめることによって、被削材との溶着発生を抑制し得るとともに、チゼルエッジ部の鋭利さを保つことができるため、アルミ合金の切削においても食いつきよく加工することが可能であることを見出した。
一方、切刃外周部においては、ダイヤモンドの膜厚を厚くし、しかも、結晶性を高くすることができるから、耐摩耗性を向上し得ることを見出したのである。
つまり、チゼルエッジ部と切刃外周部のダイヤモンド膜の膜厚、結晶性を異ならしめることによって、穴位置精度を確保すると同時に、長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するダイヤモンド被覆ドリルを得られることを見出したのである。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 炭化タングステンとコバルトを主成分とし、かつ、3〜15質量%のコバルトを含有する炭化タングステン基超硬合金をドリル基体とし、該ドリル基体の先端の外周部上に平均膜厚5〜30μmのダイヤモンド膜を被覆形成したダイヤモンド被覆超硬合金製ドリルにおいて、
上記ドリルの切刃外周部の膜厚をh1とし、チゼルエッジ部の膜厚をh2とした時に、h1/h2の値が1.2以上2.0以下であることを特徴とするダイヤモンド被覆超硬合金製ドリル。
(2) 上記ドリルの切刃外周部とチゼルエッジ部をラマン分光測定した場合、ダイヤモンド由来の1333cm−1を中心とするピークの半価幅を、それぞれw1、w2とした時に、w2の値が15cm-1〜25cm−1であり、かつw1/w2の値が0.5以上0.9以下であることを特徴とする前記(1)に記載のダイヤモンド被覆超硬合金製ドリル。
(3) 上記ドリルの切刃外周部とチゼルエッジ部の圧縮残留応力の値を、それぞれσ1、σ2とした時に、σ2の値が1.8GPa以下であり、かつσ2/σ1の値が0.6以上0.9以下であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のダイヤモンド被覆超硬合金製ドリル。」
を特徴とするものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のダイヤモンド被覆ドリルのドリル基体としては、硬質相成分としての炭化タングステン(WCで示す)と結合相成分としてのCoを少なくとも含有し、かつ、Co含有量は3〜15質量%であるWC基超硬合金を使用する。
Co成分には、結合相を形成して基体の強度および靭性を向上させる作用があるが、WC基超硬合金中のCo含有量が3質量%未満では、特に靭性の向上が望めず、一方、Co含有量が15質量%を越えると、塑性変形が起り易くなって、偏摩耗の進行が促進されるようになることから、WC基超硬合金中のCo含有量は3〜15質量%と定める。
また、基体表面に被覆するダイヤモンド膜は、その厚さが5μm未満では、長期の使用に亘って十分な耐摩耗性を発揮することができず、一方、ダイヤモンド膜厚が30μmを超えると、チッピング、欠損、剥離が発生しやすくなることから、ダイヤモンド膜の膜厚は、5〜30μmと定めた。
本発明のダイヤモンド被覆ドリルでは、図1に示すように、ドリルの切刃外周部の膜厚をh1とし、チゼルエッジ部の膜厚をh2とした時に、h1/h2の値が1.2以上2.0以下となるようにダイヤモンドの被覆厚を定めたが、その理由の一つは、チゼルエッジ部の膜厚を薄くすることによって、チゼルエッジ部の鋭利さを保持するということにあり、また、切刃外周部の膜厚を相対的に厚くすることにより、耐摩耗性を維持するということにある。
即ち、後記する成膜法によって、チゼルエッジ部ではダイヤモンドの膜厚を相対的に薄く成膜することによって、チゼルエッジ部の鋭利さを保つことができるため、アルミ合金切削時の食いつきを確保することができる。
ただ、h1/h2の値が1.2未満の場合には、アルミ合金切削時の食いつきの確保は可能となる場合はあるが、その反面、工具寿命延長効果が小さくなり、また、h1/h2の値が2.0を超えると、チゼルエッジ部付近の切れ刃の摩耗量が大きくなり早期に寿命に達することから、h1/h2の値は、1.2以上2.0以下と定めた。
切刃外周部、チゼルエッジ部におけるダイヤモンド膜厚の測定は、切れ刃部を切断してSEM観察を行い、対象部分の膜厚の3点測定を行い、その平均値をそれぞれの膜厚とする。
なお、本発明でいう「チゼルエッジ部」とは、「ドリルの中央先端部から100μmの範囲内」を指し、「切刃外周部」とは、「ドリルの外周部の肩部から100μmの範囲内」を指す。
本発明のダイヤモンド被覆ドリルでは、ドリルの切刃外周部とチゼルエッジ部をArレーザーによるラマン分光測定した場合、ダイヤモンド由来の1333cm−1を中心とするピークの半価幅を、それぞれw1、w2とした時に、w2の値が15cm-1以上25cm-1以下であり、かつw1/w2の値が0.5以上0.9以下であることが望ましい。
これは、チゼルエッジ部のダイヤモンド膜の結晶性をある程度低下させておくこととと、切刃外周部の結晶性に比して相対的に低下させておくことにより、チゼルエッジ部における被削材との溶着発生を抑制するとともに、切刃外周部においては、耐摩耗性を確保するという理由による。
即ち、w2の値が15cm-1未満の場合には、被削材との溶着発生抑制効果が少なくなり、一方、25cm-1を超える場合には、耐摩耗性低下が顕著となるため、w2の値は15cm-1以上25cm-1以下であることが望ましい。また、w1/w2の値が0.5未満の場合には、チゼルエッジ部付近における耐摩耗性低下が顕著となり、一方、w1/w2の値が0.9を超える場合には、被削材との溶着発生抑制効果が少なくなるため、w1/w2の値は0.5以上0.9以下であることが望ましい。
このようなw2の値およびw1/w2の値は、ダイヤモンド膜の後記する成膜法によって、形成することができる。
本発明のダイヤモンド被覆ドリルでは、切刃外周部とチゼルエッジ部の圧縮残留応力の値を、それぞれσ1、σ2とした時に、σ2の値が1.8GPa以下であり、かつσ2/σ1の値を0.6以上0.9以下とすることが好ましい。
これは、σ2の値が1.8GPaを超えると被削材の溶着等に起因して膜剥離などを発生しやすくなるためである。σ2の下限値は技術的な意味からは特に設定はしないが、上記のw2の値が25cm−1程度である場合、製法上、1.2〜1.4GPaあたりが下限値となる。また、σ2/σ1の値が0.6未満であるとチゼルエッジ部における摩耗が進行し易く、一方、この値が0.9を超えると、被削材の溶着等に起因するチッピングを発生しやすくなるからである。
なお、切刃外周部、チゼルエッジ部におけるダイヤモンド膜の圧縮残留応力は、Coを管球とするX線回折による2θ−sinφ法によって求めることができる。
本発明のダイヤモンド被覆ドリルは、例えば、以下の方法によって製造することができる。
まず、WCとCoを主成分とし、Coを3〜15質量%含有する超硬合金焼結体からなるWC基超硬合金ドリル基体を作製した後、該超硬合金ドリル基体の表面近傍のCoを化学的なエッチング(硫酸+過酸化水素+水)によって除去し、その後、熱フィラメントCVD装置に装入し、ドリル基体のシャンク部を水冷治具で冷却支持し、フィラメントをドリル外周部の近傍にセットし、フィラメントの位置を成膜するダイヤモンドの膜厚に応じて調整しながらダイヤモンドを成膜することによって製造することができる。
なお、ドリル径によってフィラメントの位置を調節することも必要であり、例えば、ドリル径が6mmより細い場合には、フィラメント位置を下側に移動させ、また、ドリル径が10mmより太い場合には、フィラメント位置を上側に移動させて、所望の膜厚になるように調整することが必要である。
このようなダイヤモンド膜の成膜法により、ドリルの切刃外周部の膜厚とチゼルエッジ部の膜厚の比の値h1/h2が1.2以上2.0以下、また、ラマン分光測定における1333cm−1を中心とするピークの半価幅の比の値w1/w2が0.5以上0.9以下、さらに、圧縮残留応力の比の値σ2/σ1が0.6以上0.9以下である本発明のダイヤモンド被覆ドリルを製造することができる。
本発明のダイヤモンド被覆ドリルは、切刃外周部に比して、チゼルエッジ部のダイヤモンドの膜厚を相対的に薄くするとともに、ダイヤモンドの結晶性を低下せしめ、さらに、圧縮残留応力を適正な範囲に保つことによって、被削材との溶着発生を抑制し得るとともに、チゼルエッジ部の鋭利さを保つことができるため、穴位置精度を確保し得ることができるとともに、長期の使用に亘って、すぐれた耐摩耗性を発揮するのである。
本発明のダイヤモンド被覆ドリルのドリル中央先端近傍の概略説明図である。
つぎに、本発明のダイヤモンド被覆ドリルについて、実施例により具体的に説明する。
(a) 原料粉末として、いずれも0.5〜3μmの範囲内の所定の平均粒径を有するWC粉末、Co粉末、Cr粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、TiC粉末およびZrC粉末を、表1に示される割合に配合し、さらにバインダーと溶剤を加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、いずれも100MPaの圧力でプレス成形して、直径が10mmの丸棒圧粉体とし、これらの丸棒圧粉体を、1Paの真空雰囲気中、1380〜1450℃の温度で1〜2 時間保持後、炉冷の条件で焼結することにより、WC基超硬合金焼結体1〜5を製造した。
ついで、上記WC基超硬合金焼結体1〜5を、溝形成部の外径寸法が8mmとなるように研削加工することにより、WC基超硬合金製ドリル基体(以下、単に「ドリル基体」という)1〜5を製造した。
(b) ついで、上記ドリル基体1〜5を、硫酸と過酸化水素と水を1:1:100(容積比)で混合したエッチング液に2〜4秒浸漬して、ドリル基体1〜5の表面近傍のCoを数ミクロンの深さまでエッチングで除去する。
(c) ついで、このドリル基体1〜5を、熱フィラメントCVD装置に装入し、ドリル基体をシャンク部で水冷治具により冷却支持し、フィラメントをドリルの外周部から5mmの位置にセットし、フィラメントに電流を流して2200℃の温度とし、装置内に水素ガスとメタンガスを導入し、該雰囲気ガス中でドリル基体1〜5にダイヤモンド膜を成膜することにより、表2に示す本発明のダイヤモンド被覆WC基超硬合金製ドリル(以下、単に、「本発明ドリル」という)1〜10を製造した。
比較のため、本発明ドリル1〜10の上記製造工程における工程(a)〜(c)により、表3に示す比較例のダイヤモンド被覆WC基超硬合金製ドリル(以下、単に、「比較例ドリル」という)1〜10を製造した。
なお、比較例ドリル1〜10の製法においては、ドリル基体を冷却する機構がないこと、そのため、ドリルとフィラメント間の距離は基板温度を適正に保つために、10〜15mmの範囲としていること、の点で本発明の製法とは異なっている。
ついで、上記で製造した本発明ドリル1〜10および比較例ドリル1〜10について、ドリルの切れ刃部を切断して、チゼルエッジ部(ドリルの中央先端部から100μmの範囲内)と切刃外周部(ドリルの外周部の肩部から100μmの範囲内)をSEMで観察し、それぞれの部分の3点について膜厚を測定し、測定値を平均することによって、切刃外周部の膜厚h1およびチゼルエッジ部の膜厚h2を求めた。
表2、3に、h1,h2,h1/h2の値を示す。
また、本発明ドリル1〜10および比較例ドリル1〜10の切刃外周部およびチゼルエッジ部について、Arレーザーによるラマン分光測定を行い、ダイヤモンド由来の1333cm−1を中心とするピークの半価幅w1、w2をそれぞれ求めた。
表2、3に、w1を切刃外周部,w2チゼルエッジ部,w1/w2の値を示す。
また、本発明ドリル1〜10および比較例ドリル1〜10のチゼルエッジ部および切刃外周部のダイヤモンド膜について、それぞれの圧縮残留応力の値を以下の測定法で測定(3点測定)し、その平均値から、切刃外周部の圧縮残留応力の値σ1、チゼルエッジ部の圧縮残留応力の値σ2を求めた。
即ち、X線回折装置にて、40mA、200kVの電流と電圧にてCo管球を用いて、X線を発生させ、ダイヤモンドの(311)のピークに関し、2θ−sinψ法により、ψ角を0から39度まで変化させることで、測定を行った。
表2、3に、σ1,σ2,σ2/σ1の値を示す。



つぎに、上記本発明ドリル1〜10および比較例ドリル1〜10を用いて、以下の条件で、CFRPとAl合金A7075の複合材(入口側がCFRP材:15mm、出口側がAl材:5mm)のドリル穴開け試験を行った。
切削速度: 110 m/min,
送り: 0.12 mm/rev.,
穴深さ: 20 mm(貫通穴),
上記の切削試験において、正常摩耗の場合は切れ刃の最大逃げ面摩耗幅が、0.3mmを超えた時点で使用寿命とし、それまでの穴あけ加工数を測定した。
また、チッピング、ドリル折損等が原因で使用寿命に至った場合には、それまでの穴あけ加工数を測定した。
表4にこれらの測定結果を示す。

表2〜表4の結果からも明らかなように、本発明ドリル1〜10は、切刃外周部に比して、チゼルエッジ部のダイヤモンドの膜厚を相対的に薄くするとともに、ダイヤモンドの結晶性を低下せしめ、さらに、圧縮残留応力を適正な範囲に保つことによって、被削材との溶着発生が抑制されるとともに、チゼルエッジ部の鋭利さを保つことができるため、Al合金への食いつきを維持し、そのために異常なチッピングなどの損傷の発生が比較的少なく、さらに、長期の使用に亘って、すぐれた耐摩耗性を発揮しているため、概して工具寿命が長くなっていることがわかる。
つまり、h1/h2,w1/w2,σ2/σ1のいずれもが請求項1〜3記載の所定数値範囲内である本発明ドリル1,3,5,6,9については、摩耗形態は正常摩耗であって、しかも、穴あけ加工数も全て156穴以上であって、工具寿命が非常に長い。
また、w1/w2,σ2/σ1のいずれか一方あるいは両方が、請求項2,3記載の所定数値範囲外となったものは、チッピング発生によって工具寿命となるものの、穴あけ加工数は100個前後であって、耐摩耗性に優れることがわかる。
これに対して、比較例ドリル1〜10は、本発明ドリルに比して、穴あけ加工数が少ない(最大でも31個)ばかりか、溶着などが原因で切削の早期に切れ刃にチッピング等の異常損傷を発生し、工具寿命も非常に短いことが明らかである。
本発明のダイヤモンド被覆超硬合金製ドリルは、CFRPとAlの重ね合わせ穿孔などにおいて、耐チッピング性に優れるばかりか、長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮することから、切削加工の省エネ化、低コスト化に十分満足に対応できるものである。





Claims (3)

  1. 炭化タングステンとコバルトを主成分とし、かつ、3〜15質量%のコバルトを含有する炭化タングステン基超硬合金をドリル基体とし、該ドリル基体の先端の外周部上に平均膜厚5〜30μmのダイヤモンド膜を被覆形成したダイヤモンド被覆超硬合金製ドリルにおいて、
    上記ドリルの切刃外周部の膜厚をh1とし、チゼルエッジ部の膜厚をh2とした時に、h1/h2の値が1.2以上2.0以下であることを特徴とするダイヤモンド被覆超硬合金製ドリル。
  2. 上記ドリルの切刃外周部とチゼルエッジ部をラマン分光測定した場合、ダイヤモンド由来の1333cm−1を中心とするピークの半価幅を、それぞれw1、w2とした時に、w2の値が15cm−1以上25cm-1以下であり、かつw1/w2の値が0.5以上0.9以下であることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド被覆超硬合金製ドリル。
  3. 上記ドリルの切刃外周部とチゼルエッジ部の圧縮残留応力の値を、それぞれσ1、σ2とした時に、σ2の値が1.8GPa以下であり、かつσ2/σ1の値が0.6以上0.9以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のダイヤモンド被覆超硬合金製ドリル。





























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