JP2017064840A - ダイヤモンド被覆超硬合金製切削工具 - Google Patents

ダイヤモンド被覆超硬合金製切削工具 Download PDF

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Abstract

【課題】セミドライ切削加工が可能で、すぐれた耐溶着性、耐欠損性を備えるダイヤモンド被覆超硬合金製切削工具を提供する。
【解決手段】Coを3〜15質量%含有する炭化タングステン基超硬合金からなる工具基体表面に、平均膜厚3〜30μmのダイヤモンド膜が設けられているダイヤモンド被覆超硬合金製切削工具において、前記ダイヤモンド膜は、平均結晶粒径が100〜500nmの一次結晶粒と、該一次結晶粒の集合体からなる平均結晶粒径が1〜5μmの二次結晶粒からなり、前記ダイヤモンド膜中には、膜厚方向の平均深さが0.5〜10μm、かつ、工具基体表面と平行な面内方向の平均幅が50〜500nmである空孔が形成され、この空孔に加工油が保持されるダイヤモンド被覆超硬合金製切削工具。
【選択図】図4

Description

本発明は、熱伝導性が低いTi合金のセミドライ切削加工のように、刃先が高温になる切削加工条件において、すぐれた耐溶着性、耐欠損性を発揮するダイヤモンド被覆炭化タングステン基超硬合金製切削工具に関する。
従来、炭化タングステン(WC)基超硬合金(以下、「超硬合金」という)からなる工具基体に、ダイヤモンド膜を被覆したダイヤモンド被覆超硬合金製切削工具(以下、「ダイヤモンド被覆工具」という)が知られているが、Ti合金の切削加工等においては、被削材の熱伝導性が低いため、工具刃先が高温になりやすく、このため切削加工油(以下、単に、「加工油」という)を用いた切削加工がおこなわれている。
しかし、従来のダイヤモンド被覆工具においては、ダイヤモンド膜に加工油を保持させることが難しいため、多量の加工油を供給する必要があった。
そこで、ダイヤモンド膜の加工油の保持性を高めるため、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、切削加工において工具と被加工材料の摩擦を低減し、切削工具の長寿命化、切削動力の低減、仕上げ面性状の改善を図るため、工具の表面に幅1μm〜20μm、深さ0.1μm〜10μmの大きさの微細なうねり形状を設け、この微細なうねり形状が、油溜まりとしての作用や接触面積の減少を促すことにより、工具と被削材の間の摩擦が低減され、切削抵抗、工具摩耗が抑制される切削工具が提案されている。
また、特許文献2には、鉄基合金上のダイヤモンド膜の密着性を改善するため、基材上にタングステンから成る30〜300μmの厚さの中間層と、前記中間層上に被覆された15μmの厚さのダイヤモンド膜から成るダイヤモンド膜被覆部材において、中間層上に溝部によって分割された微小区域を有し、前記微小区域表面上の最長距離が100μmを超え450μm未満とすることが記載され、また、ダイヤモンド膜表面に生じる凹部を油溜まりとして機能させ得ることが開示されている。
特許第5224331号公報 特許第5078002号公報
従来技術におけるダイヤモンド被覆工具においては、ダイヤモンド膜内に加工油を保持することが難しいため、Ti合金等の低熱伝導性の被削材を切削加工する際に、少量の加工油を供給しただけでは、刃先温度が高くなり、溶着が生じやすいという問題があった。また、溶着が生じることによって、切削抵抗が変動し、欠損および剥離が生じやすくなるという問題もあった。
一方、最近では、環境への影響を少なくするため、加工油の使用を極力抑えたセミドライ加工が求められているところ、従来のダイヤモンド被覆工具では、セミドライ加工による切削加工を行い得ないという問題があった。
例えば、前記特許文献1、特許文献2に示されるダイヤモンド被覆工具では、ダイヤモンド膜が少量の加工油を保持することはできるにしても、これらのダイヤモンド被覆工具によってセミドライ加工を行うという段階には至っていない。
そこで、セミドライ加工をおこない得るような保油性能を有するダイヤモンド膜を被覆したダイヤモンド被覆工具が求められている。
本発明者は、ダイヤモンド膜の成膜法とそれによって得られる膜構造について鋭意検討したところ、次のような知見を得た。
即ち、工具基体表面にエッチング等により微細な凹凸形状を形成し、ついで、ダイヤモンド膜を成膜するにあたり、成膜初期に結晶粒子を成長させ、ついで一次結晶粒(ナノダイヤモンド)の成長と水素エッチング処理を交互に施し、一次結晶粒が集合した二次結晶粒を成膜・形成することにより、ダイヤモンド膜内には、所定の深さと所定の幅を有する空孔が形成されること、そして、一次結晶粒、二次結晶粒、空孔の大きさを制御することによって、ダイヤモンド膜の有するすぐれた耐摩耗性を損なうことなく、保油性能を高めることができることを見出したのである。
したがって、本発明のダイヤモンド被覆工具は、熱伝導性が低いTi合金等の被削材のセミドライ切削加工のように、刃先が高温になる切削加工条件に供した場合であっても、すぐれた耐溶着性、耐欠損性とともにすぐれた耐摩耗性を発揮することを見出したのである。
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであって、
「Coを3〜15質量%含有する炭化タングステン基超硬合金からなる工具基体表面に、平均膜厚3〜30μmのダイヤモンド膜が設けられているダイヤモンド被覆超硬合金製切削工具において、
(a)前記ダイヤモンド膜は、平均結晶粒径が100〜500nmの一次結晶粒と、該一次結晶粒の集合体からなる平均結晶粒径が1〜5μmの二次結晶粒からなり、
(b)前記ダイヤモンド膜中には、膜厚方向の平均深さが0.5〜10μm、かつ、工具基体表面と平行な面内方向の平均幅が50〜500nmである空孔が形成されていることを特徴とするダイヤモンド被覆超硬合金製切削工具。」
を特徴とするものである。
以下、本発明について、詳細に説明する。
工具基体を構成するWC基超硬合金のCoの含有量:
工具基体を構成するWC基超硬合金のCoの含有量が3質量%未満の場合、工具基体の靭性が低くなり切削時に折損が生じやすくなるため好ましくない。一方、15質量%を超える場合には、後記するエッチング処理によって工具基体表面からCoを除去し、微細な凹凸を形成するが、工具基体表面からCoが除去された脆弱化領域の割合が増加し、ダイヤモンド膜と工具基体表面との界面強度の低下により、刃先の欠損が生じやすくなり好ましくない。
したがって、工具基体を構成するWC基超硬合金中のCoの含有量は、3〜15質量%とする。
なお、本発明のWC基超硬合金は、それぞれ、TaC、NbC等の炭化物等を3質量%以下(ただし、炭化物換算による)含有することができる。
ダイヤモンド膜:
図1に、工具基体表面に形成された本発明のダイヤモンド膜の表面のSEM像の一例を示す。
また、図2に、工具基体表面に形成された本発明のダイヤモンド膜の表面の模式図を示し、図3には、工具基体表面に形成された本発明のダイヤモンド膜の膜厚方向縦断面の模式図を示し、図4には、本発明のダイヤモンド膜の膜厚方向縦断面の部分拡大模式図を示す。
図1に示すダイヤモンド膜の表面のSEM像、図2、図3として示される模式図からもわかるように、本発明のダイヤモンド膜5は、WC基超硬合金からなる工具基体4の表面に一次結晶粒1と該一次結晶粒1の集合体からなる二次結晶粒3からなるダイヤモンド膜5が形成され、さらに、二次結晶粒3の間隙には、膜厚方向に所定の空孔の深さ7を有し、また、工具基体表面と平行な面内方向には所定の空孔の幅8を有する空孔9が形成されている。なお、工具基体4は、硬質相成分のWC粒子6と結合相成分のCo(図示せず)で主として構成されている。
図2、図3は、空孔9中に加工油2が保持されている状態を示している。
本発明のダイヤモンド膜は、その平均膜厚が3μm未満では、長期の使用に亘って十分な耐摩耗性を発揮することができない。一方、ダイヤモンド膜厚が30μmを超えると、結晶粒の粗大化が生じ、チッピング、欠損、剥離が発生しやすくなり、かつ加工精度も低下する。
したがって、ダイヤモンド膜の平均膜厚は、3〜30μmとする。
本発明のダイヤモンド膜は、後記する成膜法により形成されることで、一次結晶粒と該一次結晶粒の集合体からなる二次結晶粒で構成され、さらに、二次結晶粒の間隙には、所定の平均深さ、平均幅を有する空孔が形成される。
本発明の一次結晶粒の平均粒径は、100nm未満では、ダイヤモンド膜のすぐれた耐摩耗性を確保することができず、一方、500nmを超えると空孔が形成されにくくなるので、一次結晶粒の平均粒径は、100〜500nmとする。
また、本発明の二次結晶粒は、その平均粒径が1μm未満では、空孔の割合が多くなり、十分な耐摩耗性を確保することができず、一方、5μmを超えると、空孔内に加工油を保持する能力が低下し、セミドライ加工における切削性能が低下するので、二次結晶粒の平均粒径は、1〜5μmとする。
さらに、二次結晶粒の間隙に形成される空孔は、膜厚方向の平均深さが0.5〜10μm、かつ、工具基体表面と平行な面内方向の平均幅が50〜500nmとして形成される。
ダイヤモンド膜厚方向の空孔の平均深さが0.5μm未満あるいは工具基体表面と平行な面内方向の空孔の平均幅が50nm未満では、空孔内に加工油を保持することができず、一方、ダイヤモンド膜厚方向の空孔の平均深さが10μmを超える場合、あるいは、工具基体表面と平行な面内方向の空孔の平均幅が500nmを超える場合には、ダイヤモンド膜の耐摩耗性が低下する。
したがって、空孔は、膜厚方向の平均深さを0.5〜10μm、かつ、工具基体表面と平行な面内方向の平均幅を50〜500nmとする。
また、本発明のダイヤモンド被覆工具は、例えば、次のような工程で製造することができる。
(1)まず、3〜15質量%のCoを含有するWC基超硬合金からなる工具基体を洗浄処理後、エッチング処理により工具基体表面に微細な凹凸形状を形成する。
エッチング処理は、酸、アルカリ、酸の三段階で行うことが望ましい。
例えば、まず、希硫酸(1%)と過酸化水素水(5%)とからなる酸混合溶液に工具基体を浸漬してエッチングすることにより工具基体表面近傍のCoを除去し、ついで、村上試薬(フェリシアン化カリウム10gと水酸化ナトリウム10gとイオン交換水100gの混合溶液)にてエッチングして、工具基体表面に微細な凹凸を形成し、ついで、希硫酸(1%)と過酸化水素水(5%)とからなる酸混合溶液でエッチングして工具基体表面のCoを除去する。
上記の処理によって、工具基体表面に微細な凹凸形状を形成する。
(2)ついで、前記エッチング処理後の工具基体に対して、イソプロピルアルコールにダイヤモンド粉末と界面活性剤を添加したSeeding溶液で超音波処理を施すことで、傷つけ処理を行い、ダイヤモンドの核形成を促す。
(3)ついで、前記工具基体を、熱フィラメントCVD装置に装入し、タングステンフィラメント温度を2000℃とし、水素ガスに対するメタンガスの流量を1.0%、酸素ガスの流量を0.3〜0.6%に調整し、工具基体温度を750〜850℃、装置内全圧を10〜13Torrに1時間維持することにより、二次結晶粒の前駆体となる粗粒結晶粒を成長させる。さらに、水素ガスに対するメタンガスの流量を2〜3%に調整し、工具基体温度を750〜850℃、装置内全圧を10〜13Torrに1時間維持することで一次結晶粒となるナノダイヤモンド粒子を成長させた後、メタンガスの流量を0%、水素ガスの流量を100%に調整し、工具基体温度を750〜850℃、装置内全圧を10〜13Torrに0.3〜0.5時間保持することで、非ダイヤモンド成分を選択的に水素エッチング処理することにより、多数の一次結晶粒を工具基体表面に形成させる。さらにナノダイヤモンドの成膜と水素エッチング処理を交互に継続することで、二次結晶粒間の非ダイヤモンド成分が選択的にエッチングされ、二次結晶粒間に空孔が形成された一次結晶粒(ナノダイヤ)の集合体からなる二次結晶粒を形成する。
上記(1)〜(3)の工程によって、一次結晶粒の集合体からなる二次結晶粒が形成されるとともに、二次結晶粒の間隙に、所定の深さ、所定の幅の空孔が形成された本発明のダイヤモンド被覆工具を作製することができる。
本発明のダイヤモンド被覆超硬合金製切削工具は、Coを3〜15質量%含有するWC基超硬合金からなる工具基体にダイヤモンド膜を被覆形成したものであって、ダイヤモンド膜は、平均結晶粒径が100〜500nmの一次結晶粒と、該一次結晶粒の集合体からなる平均結晶粒径が1〜5μmの二次結晶粒からなり、しかも、ダイヤモンド膜中には、膜厚方向の平均深さが0.5〜10μm、かつ、工具基体表面と平行な面内方向の平均幅が50〜500nmである空孔が形成されていることにより、熱伝導性が低いTi合金等の被削材のセミドライ切削加工に用いた場合であっても、加工油がダイヤモンド膜中に保持されるため、高速切削加工が可能となり、加工能率が向上する。
さらに、ダイヤモンド膜中に加工油が保持されていることと相俟って、被削材とダイヤモンド膜の実接触面積が小さくなるため、切削時の発熱が低減される結果、溶着発生が抑制され、耐欠損性が向上する。
工具基体表面に形成された本発明のダイヤモンド膜の表面のSEM像の一例を示す。 工具基体表面に形成された本発明のダイヤモンド膜の表面の模式図を示す。 工具基体表面に形成された本発明のダイヤモンド膜の膜厚方向縦断面の模式図を示す。 工具基体表面に形成された本発明のダイヤモンド膜の膜厚方向縦断面の部分拡大模式図を示す。
つぎに、本発明のダイヤモンド被覆工具について、実施例に基づき具体的に説明する。
なお、ここでは、ダイヤモンド被覆工具の具体例としてダイヤモンド被覆超硬合金製ドリルについて述べるが、本発明はこれに限られるものではなく、ダイヤモンド被覆超硬合金製インサート、ダイヤモンド被覆超硬合金製エンドミル等、各種のダイヤモンド被覆工具に適用できることは言うまでもない。
(a)原料粉末として、いずれも0.5〜1.0μmの範囲内の所定の平均粒径を有するWC粉末、Co粉末、TaC粉末、NbC粉末を配合し、さらにバインダーと溶剤を加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、いずれも押し出しプレス成形し、直径が10mmの丸棒圧粉体とし、これらの丸棒圧粉体を、1Paの真空雰囲気中、1380〜1500℃の温度で1〜2時間保持するという条件で焼結することにより焼結体を作製し、該焼結体を研磨加工し、ついで、溝形成部の外径寸法がφ6mm、長さ80mmとなるように研削加工することにより、表1に示される成分組成(ただし、TaC、NbCについては、炭化物換算の含有量)を有するWC基超硬合金製ドリル基体(以下、単に「ドリル基体」という)を製造した。
(b)ついで、前記ドリル基体を、第1エッチングとして、表2に示すエッチング条件でエッチングすることにより、ドリル基体表面近傍のCoをエッチングで除去した。
(c)ついで、第2エッチングとして、表2に示すエッチング条件でドリル基体表面近傍のWCをエッチングすることにより、ドリル基体表面に微細な凹凸を形成した。
(d)ついで、微細な凹凸を形成した前記ドリル基体を、第3エッチングとして、第1エッチングと同条件のエッチングを行うことにより、ドリル基体表面近傍のCoをエッチングで除去した。
(e)ついで、前記ドリル基体を、イソプロピルアルコールに粒径が0.1μm以下のダイヤモンド粉末と界面活性剤を添加したSeeding溶液で超音波処理を施すことで、傷つけ処理を行った。
(f)ついで、前記ドリル基体を、熱フィラメントCVD装置に装入し、表3、表4に示す条件で、表5に示す目標平均層厚のダイヤモンド膜を形成した。
即ち、まず、表3に示すように、フィラメント温度を約2000℃とし、水素ガスに対するメタンガスの流量を0.5〜1%、水素ガスに対する酸素ガス流量を0.3〜0.6%に調整して流しながら、ドリル基体温度を750〜850℃、装置内全圧を10〜13Torrに維持して0.5〜1時間初期成膜を行う。
ついで、表4に示すように、フィラメント温度を2000℃とし、水素ガスに対するメタンガスの流量を2〜3%に調整して流しながら、ドリル基体温度を750〜850℃、装置内全圧を10〜13Torrに維持して、多数の一次結晶粒(ナノダイヤモンド)を形成し、続けて、表4に示す条件で水素エッチングを行い、ついで、上記一次結晶粒(ナノダイヤモンド)の形成と水素エッチングを交互に繰り返し行うことにより、3〜30μmの膜厚のダイヤモンド膜を形成した。
上記(a)〜(f)の工程により、表5に示す本発明のダイヤモンド被覆WC基超硬合金製ドリル(以下、単に、「本発明ドリル」という)1〜12を製造した。
比較のため、前記で作製したドリル基体を、表6に示すエッチング条件で、ドリル基体表面をエッチングし、次いで、ドリル基体を、イソプロピルアルコールに0.1μm以下のダイヤモンド粉末と界面活性剤を添加したSeeding溶液で超音波処理を施すことで傷つけ処理を行い、ついで、熱フィラメントCVD装置に装入し、表7、表8に示す条件で、表9に示す目標平均層厚のダイヤモンド膜を形成することにより、表9に示す比較例のダイヤモンド被覆WC基超硬合金製ドリル(以下、単に、「比較例ドリル」という)1〜12を製造した。









本発明ドリル1〜12、比較例ドリル1〜12のダイヤモンド膜の膜厚を、走査型電子顕微鏡を用いて断面観察により、観察視野内の5点の膜厚を測定し、平均膜厚を算出した。
表5、表9にこれらの値を示す。
また、本発明ドリル1〜12、比較例ドリル1〜12について走査型電子顕微鏡による断面観察により、ダイヤモンド膜内に形成された一次結晶粒径、二次結晶粒径、空孔の平均深さ、空孔の平均幅を以下の方法で測定した。走査型電子顕微鏡によるダイヤモンド膜の表面観察より、5μm四方の領域において、二次結晶粒が占める面積を一次結晶粒子数で除し、一次結晶粒の面積より一次粒子径を算出し、平均値を一次結晶粒径とした。二次結晶粒径は、走査型電子顕微鏡によるダイヤモンド膜の表面観察より、50μm四方の領域において、二次結晶粒が占める面積を二次結晶粒の数で除した平均粒径を二次結晶粒径とした。空孔の平均深さは、空孔付近をCross-section polisherにて断面を加工し、走査型電子顕微鏡によりダイヤモンド膜の断面観察より、ダイヤモンド膜の端面を境界として、ダイヤモンド膜に囲まれた領域を空孔とした。
表5、表9に、これらの測定結果を示す。
なお、表5から分かるように、本発明ドリル1〜12において観察・測定された一次結晶粒径、二次結晶粒径、空孔の平均深さ、空孔の平均幅は、それぞれ、100〜500nm、1〜5μm、0.5〜10μm、50〜500nmの範囲内であることが確認された。
つぎに、前記本発明ドリル1〜12および比較例ドリル1〜12(いずれも、ドリル径はφ6mm)を用いて、以下の条件で、Ti合金のドリル穴開け試験を行った。
被削材:厚さ10mmのTi合金(Ti-6Al-4V),
切削速度:10m/min,
送り:0.1mm/rev,
穴深さ:10mm(貫通穴),
加工油:水溶性切削油
前記切削試験において、切削の異常音および切削時の荷重が異常を示した際に、試験を中断し、チッピング、欠損、剥離等の異常損傷の有無を確認した。チッピング、欠損、剥離等の異常損傷の発生が確認された場合、それまでの穴あけ加工数を加工寿命とした。
また、本発明ドリルの合格条件として、100穴迄欠損せず、切れ刃の中央の逃げ面の摩耗形態が正常であることとした。
表10、表11にこれらの評価結果を示す。


表5、9〜11の結果からも明らかなように、本発明ドリル1〜12は、ダイヤモンド膜は、平均結晶粒径が100〜500nmの一次結晶粒と、該一次結晶粒の集合体からなる平均結晶粒径が1〜5μmの二次結晶粒からなり、しかも、ダイヤモンド膜中には、膜厚方向の平均深さが0.5〜10μm、かつ、工具基体表面と平行な面内方向の平均幅が50〜500nmである空孔が形成されていることによって、熱伝導性が低いTi合金のセミドライ切削加工において、高速切削加工が可能であり、また、溶着、欠損の発生もない。
これに対して、比較ドリル1〜12は、溶着発生、欠損発生によって、短期で寿命に至ることが明らかである。
本発明のダイヤモンド被覆超硬合金製切削工具は、ダイヤモンド被覆超硬合金製ドリルばかりでなく、ダイヤモンド被覆超硬合金製インサート、ダイヤモンド被覆超硬合金製エンドミル等、各種のダイヤモンド被覆工具に適用できるものであり、セミドライ加工が可能であり、また、溶着、欠損という異常損傷が発生することがないため、切削加工の省エネ化、低コスト化に十分満足に対応できるものであり、その産業上の利用可能性はきわめて大きい。
1 一次結晶粒
2 加工油
3 二次結晶粒
4 工具基体
5 ダイヤモンド膜
6 WC粒子
7 空孔の深さ
8 空孔の幅
9 空孔






Claims (1)

  1. Coを3〜15質量%含有する炭化タングステン基超硬合金からなる工具基体表面に、平均膜厚3〜30μmのダイヤモンド膜が設けられているダイヤモンド被覆超硬合金製切削工具において、
    (a)前記ダイヤモンド膜は、平均結晶粒径が100〜500nmの一次結晶粒と、該一次結晶粒の集合体からなる平均結晶粒径が1〜5μmの二次結晶粒からなり、
    (b)前記ダイヤモンド膜中には、膜厚方向の平均深さが0.5〜10μm、かつ、工具基体表面と平行な面内方向の平均幅が50〜500nmである空孔が形成されていることを特徴とするダイヤモンド被覆超硬合金製切削工具。
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