JP7216915B2 - ダイヤモンド被覆超硬合金製工具 - Google Patents
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Description
「(1)WCを含む硬質層とCoを含む結合相を有し、
WC:72.4~93.6質量%、Co:4.0~12.0質量%、Cr:2.4~15.6質量%、粒成長抑制剤:1.0質量%以下を含有し、残部が不可避的不純物である組成である工具基体に、
ダイヤモンド皮膜が被覆され、
前記工具基体にCoがMco質量%、CrがMcr質量%、それぞれ、含有されるとき、0.6≦Mcr/Mco≦1.3であることを特徴とするダイヤモンド被覆超硬合金製工具。
(2)工具刃先の任意の逃げ面に垂直な断面にて前記工具基体のすくい面と逃げ面とが交差する稜線の曲率半径が5μm以下であることを特徴とする前記(1)に記載されたダイヤモンド被覆超硬合金製工具。」
まず、工具基体について説明する。
本発明において、工具基体は、WCを含む硬質相とCoを含む結合相を含む組織を有しており、その組成について説明する。
硬質相を構成するWCの含有割合は、72.4~93.6質量%とする。この範囲とする理由は、WC含有量が72.4質量%未満となると、工具基体としての硬さが不足し、一方、93.6質量%を超えると、工具基体の靭性が低下し切削加工時にチッピングや欠損が発生するためである。WCの含有割合は、79.3~92.0質量%がより好ましい。
結合相を構成するCoの含有割合は、4.0~12.0質量%とする。この範囲とする理由は、4.0質量%未満であると、工具基体の靭性が低下し切削加工時にチッピングや欠損が発生し、一方、12.0質量%を超えると工具基体の硬さが不足して脆弱になるためである。Coの含有割合は、5.0~9.0質量%がより好ましい。
従来のCrの含有目的は、硬質粒子(硬質相)の成長の抑制であり、そのために少量含有させているが、本発明では、工具基体とダイヤモンド皮膜との密着性を向上させるために、従来の少量含有ではなく、2.4~15.6質量%と多量に含有させる。この多量の含有により工具基体とダイヤモンド皮膜との密着性が飛躍的に向上し、CFRP/Al材等の難削材の高速高送り切削加工においても、ダイヤモンド皮膜の剥離を抑制し、工具寿命が向上する。Crの含有割合は4.5~15.0質量%がより好ましい。
粒成長抑制剤とは、硬質粒子(硬質相)の成長を抑制する働きを有するものであって、Nb、Zr、Ti、Taの1種または2種以上、あるいは、これら元素の1または2以上の炭化物、窒化物、炭窒化物の1種または複数種、例えば、NbC、TaC、(Ta、Nb)C、TiCNの1種または複数種である。粒成長抑制剤は含有しなくてもよい(すなわち、0質量%であってもよい)が、含有するときは、1質量%以下とすることにより、粒の成長を抑制できる。含有割合は、0.05~0.90質量%がより好ましい。
製造工程で不可避的に混入する不純物があり、これを不可避的不純物という。この不可避的不純物は少ない方が好ましいが含まれていたとしてもWC、Co、Crおよび粒成長抑制剤の含有割合が前記の範囲にあれば、本発明が解決すべき課題は解決される。
工具基体刃先曲率は、加工面の品位を考えると、10μm以下であればよいが、本発明では、加工品位を確実なものとするために5μm以下とする。
ダイヤモンド皮膜を成膜した工具の工具基体工具基体の刃先の曲率は次のように測定する。すなわち、すくい面と逃げ面とが交差する稜線を含む刃先近傍の任意の逃げ面に垂直な方向の断面(膜厚方向の断面である縦断面)をCross-sectional Polisher(CP)にて加工し、加工した断面を走査電子顕微鏡により適切な倍率(例、倍率5000倍)にてすくい面と逃げ面とが交差する稜線を含む刃先近傍を反射電子像にて観察し、すくい面と逃げ面とが交差する稜線の曲率を画像解析により測定する。
なお、ダイヤモンド被覆工具を製造する工程中に測定する場合は、後述するダイヤモンド皮膜成膜前に実施する前処理後の刃先に対して、すくい面と逃げ面とが交差する稜線を含む刃先近傍をレーザー顕微鏡で観察し、すくい面と逃げ面とが交差する稜線に対して垂直な線分を分析する。
ダイヤモンド被覆層の厚さは特に制約がないが、平均層厚が3~30μmのものが好ましい。その理由は、3μm未満では、長期の使用にわたって十分な耐摩耗性を発揮できず、一方、30μmを超えると、チッピング、欠損、剥離を生じやすくなり、刃先が丸みを帯びて加工精度が低下するためである。
ここで、ダイヤモンド皮膜の平均層厚の測定は、工具基体に垂直な方向の断面(膜厚方向の断面である縦断面)をCPにて加工し、加工した断面を走査電子顕微鏡により適切な倍率(例、倍率5000倍)で膜厚を測定し、例えば、観察視野内の5点の膜厚を測定して平均して求めることができる。
本発明のダイヤモンド被覆超硬合金製工具は、例えば、以下のようにして製造することができる。
(1)原料粉末の準備
原料粉末として、平均粒径が1μm以下のWC粉末、平均粒径が1~3μmのCo粉末、Cr粉末、および、必要に応じて粒成長抑制剤を準備する。
(2)粉砕・混合
本発明で規定する組成となるように、前記原料粉末をボールミルにより粉砕・混合し、焼結体原料粉末を得る。
(3)成形、焼結、切削加工
得られた焼結体原料粉末を、所定圧力で成形して成形体を作製し、これを真空下で仮焼結し、その後、本焼結により焼結体を得る。その後、この焼結体を研削加工して所定形状の工具基体を製作する。
(4)ダイヤモンド被覆層の形成
前記工具基体上にダイヤモンド皮膜を形成する。
ここでは、本発明に係るダイヤモンド被覆工具の実施例としてダイヤモンド被覆ドリルについて述べるが、本発明はこれに限られるものではなく、ダイヤモンド被覆合金インサート、ダイヤモンド被覆エンドミルなどの各種のダイヤモンド被覆工具に適用できることは云うまでもない。
原料粉末として、1μm以下の平均粒径を有するWC粉末、1~3μmの平均粒径を有するCo粉末、Cr粉末、および粒成長抑制剤を用意し、これらの原料粉末を表1に示される焼結体組成(SEM-EDS分析値)となるように配合し、ボールミルで96時間湿式混合して乾燥した後、100MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を仮焼結後、6Paの真空中、温度:1400~1500℃に1時間保持の条件で本焼結し、直径が10mmの工具基体形成用丸棒焼結体を形成し、さらに、前記丸棒焼結体から、研削加工にて、直径7mmのドリル形状の超硬合金製の工具基体(本発明工具基体)A~Fを製作した。なお、表1において、各成分の組成の和が100質量%とならないものがある理由は、不可避的不純物が存在するためである。
引き続いて、この工具基体A~Fの表面をエタノール中で超音波洗浄し、乾燥した後、エッチング処理を行った後、粒径1~2μmのダイヤモンド粉末を含むイソプロピルアルコール液中で10分間の超音波処理を行なった。
前記のとおり、工具基体A~Fに対して、刃先曲率をレーザー顕微鏡にて測定し、5μm以下であることを確認した。
前記前処理を施した工具基体A~Fを熱フィラメントCVD装置に装入した。そして、フィラメント温度を2000~2200℃、ガス圧2~6Torr(266.6~800.0Pa)の下で、水素ガスとメタンガスとの流量比を調整し、基体温度を750~900℃に所定の時間維持しダイヤモンド皮膜を成膜して、本発明のダイヤモンド被覆ドリル(以下、「本発明被覆工具」という)1~10を作製した。
なお、表2に、前記した方法により求めたダイヤモンド皮膜の平均層厚を念のために示す。
被削材:CFRP(厚さ20mm)と
Al合金(A7075:厚さ7mm)からなる積層材
切削速度:VC=100m/分
送り量:fr=0.05mm/rev
これに対して、本発明の規定する事項を一つでも満足しない工具基体を用いている比較被覆工具1~10においては、いずれも、欠損・チッピングが発生するばかりか、切削長が短い(加工穴の数が少ない)、または短時間で使用寿命に至っている。
Claims (2)
- WCを含む硬質層とCoを含む結合相を有し、
WC:72.4~93.6質量%、Co:4.0~12.0質量%、Cr:2.4~15.6質量%、粒成長抑制剤:1.0質量%以下を含有し、残部が不可避的不純物である組成である工具基体に、
ダイヤモンド皮膜が被覆され、
前記工具基体にCoがMco質量%、CrがMcr質量%、それぞれ、含有されるとき、0.6≦Mcr/Mco≦1.3であることを特徴とするダイヤモンド被覆超硬合金製工具。 - 工具刃先の任意の逃げ面に垂直な断面にて前記工具基体のすくい面と逃げ面とが交差する稜線の曲率半径が5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載されたダイヤモンド被覆超硬合金製工具。
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